JP2004002554A - 蛍光体及び発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種励起下、特に紫外線および真空紫外線励起において高輝度な青色または紫色発光を呈する化学的に安定な新規な蛍光体及びそれを用いた発光素子を提供する。
【解決手段】X(Y1−b,Eu(Mg5−c,Al)(Si8−a ,Ala+c)O22(X:Na,K,Li、Y:Mg,Ca,Sr,Ba、Z:F,Cl、0≦a≦1、0<b≦0.2、0≦c≦2、0≦a+c≦2)の組成を有する角閃石構造のアルカリ土類金属ハロ珪酸塩を用いて蛍光体を構成する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外線、真空紫外線、電子線、X線、特に紫外線、真空紫外線励起により、高輝度の青色または紫色発光を呈するユーロピウム付活ハロ珪酸塩蛍光体及びそれを用いた発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、蛍光体は蛍光ランプ、CRT、PDP等のディスプレイ、放射線増感紙、屋内外装飾用に幅広く実用化されている。これらの蛍光体は励起源である紫外線、真空紫外線、電子線、X線により、近紫外光から可視光の発光を呈するものである。これらの蛍光体の構成は金属の酸化物、硫化物、酸硫化物、ハロゲン化物等の母材結晶中にEu、Mn等の発光イオンを少量添加したものである。一般に蛍光体には発光色、発光強度に加え、励起波長との適合性、安定性等の種々の特性が求められるが、本発明が対象とする青色発光蛍光体の中で、それらを全て満足するものは得られていない。
【0003】
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)や希ガスランプ等の真空紫外線励起により蛍光体を発光させる機構を有する発光素子の開発が盛んになってきた。中でも、PDPは陰極線管(CRT)やカラー液晶ディスプレイでは困難とされる大画面平面ディスプレイとして期待されている。
【0004】
PDPは多数の微小放電セルをマトリックス状に配置して構成された表示素子である。各放電セル内の空間にはHe―Xe、Ne−Xe、Ar等の希ガスが封入されており、その希ガスの放電で得られる波長が147nm、173nmの真空紫外線により蛍光体が励起され、可視光を発する。光の3原色である青色、緑色、赤色蛍光体が各放電セルに塗布され、フルカラー表示を行っている。
【0005】
また、希ガスランプは希ガスの放電で得られる真空紫外線により蛍光体を励起し、可視光を発する機構のランプである。従来から使用している蛍光ランプは水銀の環境への影響が懸念されている。希ガスランプは水銀を使用しないため、環境問題の観点から注目されている。
【0006】
真空紫外線励起用蛍光体、特にPDP用はCRT用や蛍光ランプ用蛍光体を中心に探索され、既に3原色が提案されている。青色蛍光体としては例えばBaMgAl1017:Eu、緑色蛍光体としては例えばZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、赤色蛍光体としては例えば(Y,Gd)BO:Euが現在、使用されている。この中で、青色蛍光体のBaMgAl1017:Euは、他色蛍光体に比べ、パネル製造時の熱処理による劣化、および、真空紫外線による経時劣化が顕著であり、寿命特性の優れた新たな真空紫外線励起用蛍光体が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は各種励起下、特に紫外線および真空紫外線励起において高輝度な青色または、紫色発光を呈する化学的に安定な新規な蛍光体及びそれを用いた発光素子を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、固有の結晶構造を有する2価のユーロピウムを付活した化合物が青色または、紫色発光を呈し、寿命特性の良い安定な蛍光体であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の蛍光体は角閃石の結晶構造を有する化合物に2価のユーロピウムを付活したものを基体とするものである。
【0011】
角閃石は天然に産出する鉱物として知られており、単斜晶または、斜方晶型の結晶構造を有する化合物である。一般式はW 22(OH)で表される。この式でW=Na,K,Li、X=Ca,Sr,Ba,Na,Mg,Fe,Mn、Y=Mg,Fe,Al,Ti,Mn,Cr,Li,Zn、Z=Si,Alである。またOHイオンは一部もしくは全部がFやClで置換され、時には酸素イオンにより置換される。Xが主にMgからなるものがマグネシウム角閃石であり、斜方晶型の結晶構造を有し、一般式はMgSi22(OH)で表される。また、Xが主にカルシウムからなるものがカルシウム角閃石であり、単斜型の結晶構造を有し、CaMgSi22(OH)で表される。角閃石では、SiはAl,Naの組み合わせにより置換が可能であり、また、Mg,Siの組みを2倍のAlで置換可能である。これらの結晶構造は例えば、X線回折により容易に同定することが可能である。例えば、CaMgSi22のX線回折データはJCPDSカードNo.27−0082、NaCa(MgAl)(SiAl)O22のX線回折データはJCPDSカードNo.41−1429に記載されている。
【0012】
本蛍光体は以下の組成式で表される角閃石構造を有するアルカリ土類ハロ珪酸塩を基体とする。
【0013】
(Y1−b,Eu(Mg5−c,Al)(Si8−a ,Ala+c)O22
(式中、XはNa,K,Liから選ばれた少なくとも1種類以上の元素、YはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた少なくとも1種類以上の元素、ZはF,Clから選ばれた少なくとも1種類以上の元素からなり、a、b及びcはそれぞれ、0≦a≦1、0<b≦0.2、0≦c≦2、0≦a+c≦2の範囲の数である。)
本組成式の範囲を図1に示した。本組成式は図1の斜線部を表している。
【0014】
尚、本蛍光体は上記の角閃石の結晶構造を有する化合物の単相からなるものに限らず、例えば、本組成の角閃石化合物の他にSiO、Al等の不純物を含有していてもかまわない。特に珪酸塩蛍光体では、化学量論組成よりSiOが少し多い時の方が発光特性が良い場合が多々報告されている。本蛍光体においても同様にSiOが化学量論組成より多い場合に発光特性が良い場合がある。
【0015】
本発明の蛍光体は角閃石構造を有する化合物に2価のEuを付活したものを基体とするものである。紫外線、真空紫外線、電子線、X線等による励起により405nm、440nm付近に2種類の発光が確認される。この異なる発光は化合物を構成する組成に依存し、Alを含まない組成の場合は主に440nm付近にピークを有する青色発光、Alを含む組成の場合は主に405nm付近にピークを有する紫色発光を呈する。この2種類の発光に関しては、角閃石の結晶構造中にEuをドープする2つの異なるサイトが存在するためであると推測する。
【0016】
また、本発明の発光素子は、電子線、紫外線、希ガス中の放電で得られる真空紫外線により励起して発光できる発光源として、上記の蛍光体を備えることを特徴とする発光素子である。なお、本発明の発光素子としては、例えば、CRT、蛍光ランプ、希ガスランプやプラズマディスプレイパネル(PDP)を構成する放電セル等を例示することができる。特に励起源として紫外線を利用する蛍光ランプ(低圧水銀ランプ)、高圧水銀ランプや、真空紫外線を利用する希ガスランプやPDP用発光素子として有用である。
【0017】
本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩のa量は0≦a≦1である。a量は角閃石(YMgSi22;YはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた少なくとも1種類以上の元素、ZはF,Clから選ばれた少なくとも1種類以上の元素)のSiをAlとX(XはNa,K、Liから選ばれた少なくとも1種類以上の元素)へ置換する量に対応する。この範囲内では、主に角閃石が生成し、紫外線、真空紫外線、電子線、X線等による励起で405nm、440nm付近にピークを有する紫色または青色発光を呈する。
【0018】
本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩のEu量は0≦b≦0.2である。Eu量bが0.2を超えると濃度消光のため、発光効率が低下し、好ましくない。
【0019】
本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩のc量は0≦c≦2である。c量は角閃石(YMgSi22;YはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた少なくとも1種類以上の元素、ZはF,Clから選ばれた少なくとも1種類以上の元素)のSi,Mgの組みを2倍のAlへ置換する量に対応する。この範囲内では、主に角閃石が生成し、紫外線、真空紫外線、電子線、X線等による励起で405nm、440nm付近にピークを有する紫色または青色発光を呈する。
【0020】
さらに好ましくは、本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩のc量は0≦c≦1である。この範囲では目的の角閃石構造を有する化合物の生成が容易であり、強い発光強度が得られる。
【0021】
本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩のa量とc量の和は0≦a+c≦2である。この範囲内では、主に角閃石が生成し、紫外線、真空紫外線、電子線、X線等による励起で405nm、440nm付近にピークを有する紫色または青色発光を呈する。
【0022】
さらに好ましくは、本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩のa量とc量の和は0≦a+c≦1である。この範囲では目的の角閃石構造を有する化合物の生成が容易であり、強い発光強度が得られる。
【0023】
本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩のZはFであることが好ましい。ZがFである場合、角閃石化合物が容易に生成し、発光特性が良好である。
【0024】
本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩のYが主にCaであることが好ましい。Yが主にCaである場合、角閃石化合物が容易に生成し、発光特性が良好である。なお、Yが主にCaである場合とは、Yを構成する元素全体に対するCaの割合が80atm%以上である場合を意味する。
【0025】
特に、本発明の蛍光体中のアルカリ土類ハロ珪酸塩は、XがNa、YがCa、ZがFであり、a、b及びcがそれぞれ、0≦a≦1、0<b≦0.2、0≦c≦1及び0≦a+c≦1の範囲のものであることがさらに好ましい。
【0026】
次に本発明の蛍光体の製造方法の一例を示す。
【0027】
本発明の蛍光体の原料は酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、水酸化物など焼成処理中に容易に酸化物またはハロゲン化物になるものを使用することができる。
【0028】
カルシウム原料としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、フッ化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、蓚酸カルシウム、カルシウムのアルコキシドを使用することができる。
【0029】
ストロンチウム原料としては、例えば、酸化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、蓚酸ストロンチウム、ストロンチウムのアルコキシドを使用することができる。
【0030】
バリウム原料としては、例えば、酸化バリウム、炭酸バリウム、塩化バリウム、フッ化バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、酢酸バリウム、蓚酸バリウム、バリウムのアルコキシドを使用することができる。
【0031】
ナトリウム原料としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、ナトリウムのアルコキシドを使用することができる。
【0032】
カリウム原料としては、例えば、炭酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、カリウムのアルコキシドを使用することができる。
【0033】
リチウム原料としては、例えば、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、リチウムののアルコキシドを使用することができる。
【0034】
シリコン原料としては、例えば、石英、クリストバライト等の二酸化珪素、シリカゲル、シリコンのアルコキシドを使用することができる。
【0035】
アルミニウム原料としては、例えば、α―アルミナ、γ―アルミナ、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、アルミニウムのアルコキシドを使用することができる。
【0036】
ユーロピウム原料としては、例えば、酸化ユーロピウム、塩化ユーロピウム、フッ化ユーロピウムを使用することができる。
【0037】
特にハロゲンの原料として、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、フッ化ユーロピウム、塩化ユーロピウム等の蛍光体を構成する元素のハロゲン化物や塩化アンモニウムやフッ化アンモニウム等のハロゲンアンモニウム塩を使用することが好ましい。
【0038】
これらの原料を所定量秤量し、混合する。混合方法は公知の方法を使用することができ、湿式混合、乾式混合のどちらでもよい。また、ゾルゲル法、共沈法などの化学反応を利用して原料を調製することもできる。
【0039】
なお、結晶成長を促進させ、発光輝度を向上させるために、化学量論組成より過剰量のハロゲン原料を添加することや、蛍光体原料に対して0.1から10重量%のアルカリ金属のハロゲン化物、硼素化合物等の比較的低融点の化合物を融剤として添加、混合しても良い。
【0040】
この原料混合物を乾燥後、アルミナるつぼ等の耐熱容器に入れて、不活性ガス中、水素ガスなどの還元雰囲気中、または、水蒸気を含む還元雰囲気中、900〜1300℃で1乃至50時間焼成することで本発明の蛍光体を得ることができる。特に、0.1乃至5%の水素を含有する不活性ガスを用いると、付活剤であるEuが2価の状態に良好に保持され、発光強度の強い蛍光体が得られるため好ましい。得られた蛍光体を粉砕し、再焼成を繰り返すことも、均質な蛍光体粉末を得るために有効である。
【0041】
次に、この蛍光体を目的の純度、粒度に調整するために必要に応じ、粉砕、水洗、乾燥、篩い分けを行い、使用する。
【0042】
以上のようにして本発明蛍光体は製造できるが、本発明は、従来より評価されていた254nm、365nmといった波長の紫外線を励起光源とした蛍光体にも使用可能であるが、特に、146nm、173nmといった波長の真空紫外線を励起光源とした蛍光体として有用である。このような短波長域において十分な蛍光量を有し、かつ実施例にも記載のような、発光強度を維持できる蛍光体は実用上極めて有用である。
【0043】
また、本発明蛍光体は、紫外線励起により発光を得る発光素子、例えば、蛍光ランプ(低圧水銀ランプ)、高圧水銀ランプを構成することができる。本発明の蛍光体からなる蛍光体膜を備えた蛍光ランプの一例を図2に示す。蛍光ランプは図2に示すように、ガラス管11の内面に被覆された蛍光体膜12を備え、更にガラス管11内に所定の放電用ガスを封入してなり、ガラス管11の両端部に取り付けられた電極13に所定電圧を印可し、放電により励起されたガスから発生する紫外線によって蛍光体膜12が発光するものである。蛍光体膜12は赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体からなり、本発明の蛍光体は青色蛍光体として使用される。
【0044】
また、希ガス中の放電で得られる真空紫外線により励起して発光できる発光素子、例えば、PDP(プラズマディスプレイパネル)用の発光素子を構成することができる。
【0045】
本発明の蛍光体からなる蛍光体膜を備えたPDPの一例を図3に示す。
【0046】
2枚のガラス基板21上にそれぞれ縦、横のマトリックス上に電極が構成される。一方は表示データを書き込むデータ電極22で、もう一方は発光のための放電を行う表示電極23である。これら2本を一組として形成される。
【0047】
データ電極は隣接した放電セル間の放電を隔離するためにストライプ状の隔壁24で仕切られる。データ電極上と隔壁面を覆うように赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体膜25が形成されており、R、G、Bの3セルで1画素が構成される。本発明の蛍光体は青用として使用される。この2枚のガラス基板を貼り合わせ、Ne、Xeの混合ガスを封入する。データ電極と表示電極の交点が1セルとなる。表示電極間に百数十ボルトの電圧をかけることで放電を開始させ、放電により励起されたXe原子から真空紫外線を発生させる。各セルには真空紫外線により発光する蛍光体が塗布されており、各々の色の蛍光体は可視光を発生させ、パネル全体の発光にいたる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
(1)結晶構造
粉末の結晶構造は粉末X線回折装置(マック・サイエンス社製MPX3)により同定した。X線源としてはCu−Kα線を使用した。
【0050】
(2)発光評価
・紫外線蛍光評価
市販の分光蛍光光度計(FP−777、日本分光製)を用い、254nmの紫外線による発光スペクトルを測定した。また、励起波長が220から400nmでの励起スペクトルを測定した。
・真空紫外線蛍光評価
光源として、146nmのエキシマランプ(ウシオ電機製)を使用し、真空チャンバー内にサンプルをセットし、真空度0.1torrにて、発光スペクトルを測定した。
・発光色
発光色は国際照明委員会の定めたCIE表示系で示した。評価はJIS Z8722に準じて行った。
【0051】
(3)熱劣化試験
蛍光体を大気中、600℃、1時間熱処理した後に254nmの紫外線、および146nmの真空紫外線蛍光評価を行った。発光強度の維持率は下記の式から求めた。
【0052】
発光強度の維持率(%)=(熱処理後の発光ピーク強度)/(初期の発光ピーク強度)×100
(4)経時劣化試験
254nmの紫外線、および146nmの真空紫外線(エキシマランプ:ウシオ電機製)を10時間照射した後の発光強度を測定した。発光強度の維持率は下記の式から求めた。
【0053】
発光強度の維持率(%)=(10時間照射後の発光ピーク強度)/(初期の発光ピーク強度)×100
(実施例1)
CaF 1.89g、MgCO 5.15g、SiO 5.87g、Eu 0.043gの各原料を秤量し、混合した。この混合物を白金製容器に入れ、電気炉に導入し、5vol%の水素ガスを含有した窒素ガスの雰囲気中で1100℃で4時間焼成し、蛍光体を得た。この蛍光体の組成はCa1.98Eu0.02MgSi22であった。得られた蛍光体の粉末X線回折結果を図4(図4中、1と付した下段のプロファイル)に示す。得られた蛍光体は角閃石特有の回折パターンを示した。
【0054】
(実施例2)
CaCO 2.33g、NaHCO 1.00g、MgCO 3.00g、MgF1.48g、Al 0.60g、SiO 4.99g、Eu 0.084gの各原料を秤量し、混合した。この混合物を白金製容器に入れ、電気炉に導入し、5vol%の水素ガスを含有した窒素ガスの雰囲気中で1000℃で4時間焼成し、蛍光体を得た。この蛍光体の組成はNaCa1.96Eu0.04MgAlSi22であった。得られた蛍光体の粉末X線回折結果を図4(図4中、2と付した上段のプロファイル)に示す。得られた蛍光体は角閃石特有の回折パターンを示した。
【0055】
(実施例3)
CaCO 2.29g、MgCO 3.05g、AlF 2.03g、SiO 5.07g、Eu 0.21gの各原料を秤量し、混合した。この混合物を白金製容器に入れ、電気炉に導入し、5vol%の水素ガスを含有した窒素ガスの雰囲気中で1100℃で4時間焼成し、蛍光体を得た。この蛍光体の組成はCa1.90Eu0.10MgAlSi22であった。得られた蛍光体は粉末X線回折の結果、角閃石特有の回折パターンを示した。
【0056】
(実施例4)
実施例1と同様にして、Eu濃度を変化させたサンプルを調製した。
【0057】
調製した蛍光体の組成はCa2−xEuMgSi22、x=0.02、0.04、0.08、0.16、0.20、0.40であった。得られた蛍光体は粉末X線回折の結果、角閃石特有の回折パターンを示した。
【0058】
発光評価
実施例1から3の蛍光体を254nmの紫外線、および146nmの真空紫外線にて発光評価を行った。図5に実施例1および2の蛍光体の254nmの紫外線励起による発光スペクトルを示す(3は実施例1、4は実施例2の発光スペクトルを示す)。実施例1の蛍光体は、440nmにピークを有する青色の発光を示した。CIE色度座標はx=0.159、y=0.043であった。また、実施例2の蛍光体は、405nmにピークを有する紫色の発光を示した。CIE色度座標はx=0.168、y=0.046であった。図6に実施例1および2の蛍光体の励起スペクトルを示す(5は実施例1、6は実施例2の励起スペクトルを示す)。発光波長は、実施例1の場合は440nm、実施例2の場合は405nmとした。220から400nmまでの幅広い波長域の紫外線により励起され、それぞれ、異なる励起スペクトルを与えた。表1、2にそれぞれの励起源による蛍光体の発光ピーク波長、発光ピーク強度を示す。すべての蛍光体で254nmの紫外線、146nmの真空紫外線励起により発光を確認した。
【0059】
【表1】
Figure 2004002554
【表2】
Figure 2004002554
また、実施例4の蛍光体中のEu量と254nm、365nm励起での発光強度の関係を図7に示す(図中の7は254nm励起での発光強度、図中の8は365nm励起での発光強度を示す)。Eu濃度の増加により発光強度の増加が見られ、x=0.20で極大値を取った。
【0060】
熱劣化試験
実施例1から3の蛍光体について熱劣化試験を行った。結果を表1、2に示す。254nmの紫外線、146nmの真空紫外線で熱劣化はほとんど観察されず、むしろ熱処理後、発光強度の増加が観察された。比較例1のBaMgAl1017に比べて加熱処理に対し安定であることが確認された。
【0061】
経時劣化試験
実施例1から3の蛍光体について、254nmの紫外線、146nmの真空紫外線での経時劣化試験を行った。結果を表1、2に示す。254nmの紫外線、146nmの真空紫外線で経時劣化はほとんど観察されなかった。比較例1のBaMgAl1017に比べて真空紫外線照射に対して安定であることが確認された。
【0062】
(比較例1)
BaCO 2.52g、MgCO 1.20g、Al 6.87g、AlF0.60g、Eu 0.25gの各原料を秤量し、混合した。この混合物をアルミナ製容器に入れ、電気炉に導入し、4vol%の水素ガスを含有した窒素ガスの雰囲気中で1500℃で2時間焼成した。この焼成物を粉砕後、同条件でもう一度焼成を行った。この焼成物を粉砕し、組成がBa0.9Eu0.1MgAl1017の蛍光体を得た。得られた蛍光体の粉末X線回折の結果、β―アルミナ構造を有することが確認された。
【0063】
この蛍光体の熱劣化試験と経時劣化試験を行った。結果を表1、2に示す。熱処理後の発光強度の維持率は146nmの真空紫外線では72%であった。また、経時劣化試験において、146nmの真空紫外線では発光強度維持率は82%であった。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、上記組成を有する熱安定性が高く、真空紫外線照射による経時劣化に強い新規な蛍光体を提供できる。また、該蛍光体を用いて、蛍光体を励起して発光させる発光素子を構成することにより、高輝度の青色または紫色発光を呈し、寿命特性の優れた発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光体を構成するアルカリ土類金属ハロ珪酸塩の好ましい組成範囲を示す図である。
【図2】本発明の蛍光体を含有する蛍光体膜を備えた蛍光ランプの一例を示す図である。
【図3】本発明の蛍光体を含有する蛍光体膜を備えたPDPの一例を示す図である。
【図4】実施例1および2で得られた蛍光体粉末のX線回折パターンを示す図である(1:実施例1、2:実施例2)。
【図5】実施例1および2で得られた蛍光体粉末の波長=254nmの紫外線励起による発光スペクトルを示す図である(3:実施例1、4:実施例2)。
【図6】実施例1および2で得られた蛍光体粉末の励起スペクトルを示す図である(5:実施例1、6:実施例2)。
【図7】実施例4で得られた蛍光体粉末の発光強度を示す図である(7:254nm励起での発光強度、8:365nm励起での発光強度)。
【符号の説明】
11 ガラス管
12 蛍光体膜
13 電極
21 ガラス基板
22 データ電極
23 表示電極
24 隔壁
25 蛍光体膜

Claims (8)

  1. 2価のユーロピウムで付活され、角閃石構造を有するアルカリ土類金属ハロ珪酸塩からなる蛍光体。
  2. アルカリ土類金属ハロ珪酸塩が下記組成式で表されることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ土類金属ハロ珪酸塩からなる蛍光体。
    (Y1−b,Eu(Mg5−c,Al)(Si8−a ,Ala+c)O22
    (式中、XはNa,K,Liから選ばれた少なくとも1種類以上の元素、YはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた少なくとも1種類以上の元素、ZはF,Clから選ばれた少なくとも1種類以上の元素からなり、a、b及びcはそれぞれ、0≦a≦1、0<b≦0.2、0≦c≦2、0≦a+c≦2の範囲の数である。)
  3. ZがFからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ土類金属ハロ珪酸塩からなる蛍光体。
  4. Yが主にCaからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルカリ土類金属ハロ珪酸塩からなる蛍光体。
  5. 励起源として紫外線又は真空紫外線を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルカリ土類金属ハロ珪酸塩からなる蛍光体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蛍光体を用い、前記蛍光体を励起して発光させることを特徴とする発光素子。
  7. 励起源として紫外線を用いることを特徴とする請求項6に記載の発光素子
  8. 励起源として真空紫外線を用いることを特徴とする請求項6に記載の発光素子
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