JP2004001341A - 光学素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光硬化性樹脂を用いて光学素子を製造する際、ラジカル系光重合開始剤を用いると硬化阻害が生じる恐れがあり、カチオン系光重合開始剤を用いると光学素子が着色されてしまった。
【解決手段】予めの型の表面にカチオン系光重合開始剤又はカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を塗布しておき、この型を用いてラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を成形する。
【選択図】 図1
【解決手段】予めの型の表面にカチオン系光重合開始剤又はカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を塗布しておき、この型を用いてラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を成形する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ、プリズム、回折光学素子等の光学素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光硬化性樹脂を用いて成形によって光学素子を製造する方法において、光硬化性樹脂の重合を開始させるために、ラジカル系光重合開始剤或いはカチオン系光重合開始剤が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の光重合開始剤の内、ラジカル系光重合開始剤は、酸素の存在下において硬化阻害が生ずるという特性を有している。このため、型の表面に酸素ガスが吸着していると、型側の樹脂が十分に硬化せず、正確な成形が困難であるという問題点があった。特に、光学素子として表面に微小な溝を有する回折格子を製造する場合には、精密な形状の転写が求められる一方で、これらの溝に空気が残りやすく、上記硬化阻害の問題はより深刻であった。
【0004】
上記の硬化阻害を回避する方法としては、光学素子の成形を窒素ガス雰囲気下で行うことが考えられるが、設備が大型化するといった新たな問題が生じてしまう。
【0005】
これに対して、カチオン系光重合開始剤は、上記のような硬化阻害のような問題は発生しないが、可視光の波長領域に吸収を持つものが多く、光学素子の製造には適していなかった。特に、50μm以上の厚さを有する光学素子を、カチオン系光重合開始剤を用いて製造した場合、光学素子が着色されてしまい好ましくなかった。
【0006】
一方、特開2000−336127号公報には、重合阻害を生じさせることなく、十分な硬化速度を得るために、光硬化性樹脂にカチオン系光重合開始剤とラジカル系光重合開始剤とを混合して成る組成物を用いて光ファイバーを被覆した例が記載されている。しかしながら、この例においては、光ファイバーそのものではなく、その被覆材に上記組成物を用いたものなので、光の吸収に関しては考慮されていない。このため、上記公報に記載された組成物を用いて光学素子を製造した場合には、十分な透明性が得られないことが考えられた。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、硬化阻害を生ずることなく精密な形状の製造が可能で、且つ、光の吸収の小さい光学素子及びその製造方法を提供することにある。本発明によれば、型表面において十分に樹脂の硬化が進むため、離型性が良く、また転写性のよい光学素子を製造することが可能である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に関わる光学素子の製造方法は、光学素子を成形するための型の表面にカチオン系光重合開始剤を塗布する塗布工程と、前記型の表面にラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を供給する供給工程と、前記組成物に光を照射して硬化させる硬化工程とから成るものである。
【0009】
上記の製造方法において、更に前記供給工程と硬化工程との間に、前記組成物上に光学素子の母体となる光学素子ブランクを載置する載置工程を備えても良い。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明に関わる光学素子の他の製造方法は、光学素子を成形するための型の表面にカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物を塗布する塗布工程と、前記型の表面にラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第2の組成物を供給する供給工程と、前記第1及び第2の組成物に光を照射して硬化させる硬化工程とから成るものである。
【0011】
上記の製造方法において、更に前記供給工程と硬化工程との間に、前記第2の組成物上に光学素子の母体となる光学素子ブランクを載置する載置工程を備えても良い。
【0012】
本発明に係わる光学素子は、上記いずれかの製造方法により製造されるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0014】
図1乃至図3は、本発明の第1の実施形態における光学素子の製造工程を説明するための側方断面図である。図1乃至図3において、1は回折格子形状が形成された金型、2はレンズブランク、3は金型固定枠をそれぞれ示す。また、4はラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物、5は格子面、6はカチオン系光重合開始剤をそれぞれ示す。
【0015】
製造工程は、まず図1に示すように格子形状が形成された金型1を用意する。このような金型1は、リン青銅などの金属をダイヤモンドバイト等を用いて切削加工して形成することができる。格子形状としては、階段状(マルチレベル)或いはのこぎり刃(ブレーズ)状のものが用いられる。また、このような格子形状を有するものに限らず、金型1として表面が球面あるいは非球面状の光学面が形成されたものを用いても良い。
【0016】
次に、金型1の表面にカチオン系光重合開始剤6をハケ等を用いて薄く塗布する。続いて、風乾あるいは加熱によって溶剤を蒸発させ、金型壁面にカチオン系光重合開始剤6を付着させる。カチオン系光重合開始剤6の塗布にはスピンコータを用いても良い。この金型1を金型固定枠3に固定し、この上に組成物4を適量滴下し、上からレンズブランク2を重ねて図2のように組成物4を押し広げる。ここで、金型1とレンズブランク2との間隔は、スペーサを用いて任意に調整することが可能である。レンズブランク2は、ガラスあるいはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂等の透明な樹脂から形成されている。
【0017】
続いて、図2の状態で上方から不図示の光源によってレンズブランク2を通して紫外線を組成物4に照射し、組成物4の樹脂を硬化させる。光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。その後、金型1から硬化した組成物4と共にレンズブランク2を離型させることによって、図3に示すようにレンズブランク2の表面に組成物4から成る格子面5を有する光学素子が製造される。
【0018】
上記実施形態においては、金型1の表面に予めカチオン系光重合開始剤6を塗布しているので、硬化阻害が発生せず、型表面において十分に樹脂の硬化が進むため、離型性が良く、精密な形状の製造が可能である。また、可視光の波長領域に吸収を持つカチオン系光重合開始剤6を用いていても、金型表面に薄く塗布するだけなので、製造される光学素子の透明性は失われない。
【0019】
上記実施形態において、カチオン系光重合開始剤は、光などのエネルギー線を照射することによってカチオン重合を開始させる物質を放出する化合物であり、例えば光が照射されることによってルイス酸を放出するオニウム塩が好適に用いられる。特に芳香族オニウム塩はカチオン系光重合開始剤として有効であり、中でもジアリールヨードニウム塩、ジアルキルフェナシルスルフォノキソニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、トリアリールスルフォノキソニウム塩、アリールオキシジアリールスルフォノキソニウム塩等が適している。これらのカチオン系光重合開始剤は2種類以上混合して用いても良い。このカチオン系光重合開始剤は、トルエン或いはヘキサン等の有機溶剤に溶解して用いられる。この際の好適な比は、溶剤に対してカチオン系光重合開始剤が0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0020】
上記実施形態において、ラジカル系光重合開始剤は、光などのエネルギー線を照射することによってラジカルを発生する化合物である。このようなラジカル系光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、チオキサントン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、トリフェニルアミン、キサントン、ベンゾインプロピルエーテル、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられる。これらのラジカル系光重合開始剤は2種類以上混合して用いても良い。このラジカル系光重合開始剤は、トルエン或いはヘキサン等の有機溶剤に溶解して用いられる。この際の好適な比は、溶剤に対してカチオン系光重合開始剤が0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0021】
本実施形態において、光硬化性樹脂としては、モノマー、オリゴマー又はこれらを混合した樹脂が用いられる。このような光硬化性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和基を1〜5個、好ましくは2〜3個有するポリエーテルポリオール系ウレタンオリゴマーを好適に用いることができる。
【0022】
図4乃至図6は、本発明の第2の実施形態における光学素子の製造工程を説明するための側方断面図である。図4乃至図6において、図1乃至図3と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。符号7はカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物を示す。
【0023】
製造工程は、まず図4に示すように金型1の表面にスピンコータ等を用いてカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物7を薄く塗布する。この金型1を金型固定枠3に固定し、この上にラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第2の組成物4を適量滴下し、上からレンズブランク2を重ねて図5のように第2の組成物4を押し広げる。
【0024】
次に、図5の状態で上方から不図示の光源によってレンズブランク2を通して紫外線を第2の組成物及び第1の組成物7に照射し、これらの組成物の樹脂を硬化させる。その後、金型1から硬化したこれらの組成物と共にレンズブランク2を硬化した離型させることによって、図3に示すようにレンズブランク2の表面に第1の組成物7及び第2の組成物4から成る格子面5を有する光学素子が製造される。
【0025】
上記実施形態においては、硬化工程の際に金型1の近傍にカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物が存在しているので、硬化阻害が発生せず、離型性が良く、精密な形状の製造が可能である。また、第1の組成物には可視光の波長領域に吸収を持つカチオン系光重合開始剤が含有されているが、第1の組成物は光学素子の表面に薄い層を形成しているだけなので、製造される光学素子の透明性は失われない。
【0026】
上記第2の実施形態において、光硬化性樹脂、カチオン系光重合開始剤、ラジカル系光重合開始剤として、第1の実施形態で説明したものと同様の材料を用いることができる。
【0027】
以下、本発明の実施例及び比較例を説明する。
【0028】
(実施例1)
図1乃至図3に示した工程によって、実施例1の光学素子を製造した。まず図1に示すよう金属から成る金型1を用意した。この金型1の表面には、ダイヤモンドバイトを用いてのこぎり刃(ブレーズ)状の格子形状が切削加工によって形成した。次に、金型1の表面にカチオン系光重合開始剤6を0.5cc滴下し、スピンコータによって遠心乾燥させた。ここで、カチオン系光重合開始剤6としては、η(5)−シクロペンタジエニル−η(6)−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)(商品名:イルガキュア261、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、イルガキュアはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社の登録商標)0.01重量部を含むトルエン溶液を用いた。この金型1を金型固定枠3に固定し、この上に組成物4を適量滴下し、上からレンズブランク2を、その中心軸と金型1の中心軸とが合致するように重ねて、図2のように組成物4を押し広げた。組成物4としては、350nm以上の可視波長域において光の吸収が小さいラジカル系光重合開始剤を1重量部含む多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いた。ここで、ラジカル系光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を用いた。また、レンズブランク2としては、材質BK−7から成る直径26mmのレンズブランクを用いた。
【0029】
続いて、図2の状態で上方から不図示の紫外線ランプによって、40mW、12Jの条件でレンズブランク2を通して紫外線を組成物4に照射し、組成物4の樹脂を硬化させた。その後、金型1から硬化した組成物4と共にレンズブランク2を離型させることによって、図3に示すようにレンズブランク2の表面に中心肉厚300μm、最大樹脂厚差200μm、樹脂径20mmの樹脂層が形成された光学素子を製造した。この際、脱型はスムーズであった。
【0030】
このように製造した光学素子の格子面5を観察したところ、ピッチに欠けはなく、転写性は良好であった。また、光学素子は透明であった。
【0031】
(比較例1)
金型1上にカチオン系光重合開始剤6を塗布しない他は実施例1と全く同様の工程で光学素子を製造した。脱型の際には実施例1と比較して2倍ほどの力を要した。このように製造した光学素子は透明であったが、その格子面を観察したところ、ピッチに一部欠けが認められた。また、格子面の表面にタック性(ベタツキ)が認められた。
【0032】
(実施例2)
組成物4として、ラジカル系光重合開始剤である2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:イルガキュア369、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を1重量部含む多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いた他は実施例1と全く同様の工程で光学素子を製造した。脱型はスムーズであった。このように製造した光学素子の格子面を観察したところ、ピッチに欠けはなく、転写性は良好であった。また、光学素子は透明であった。
【0033】
(実施例3)
図4乃至図6に示した工程によって、実施例3の光学素子を製造した。まず図4に示すよう金属から成る金型1を用意した。この金型1の表面には、ダイヤモンドバイトを用いてのこぎり刃(ブレーズ)状の格子形状が切削加工によって形成した。次に、金型1の表面に第1の組成物7を0.5cc滴下し、スピンコータによって遠心乾燥させた。第1の組成物7としては、カチオン系光重合開始剤であるη(5)−シクロペンタジエニル−η(6)−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)(商品名:イルガキュア261、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)1重量部を含む多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーのトルエン溶液(濃度1%)を用いた。この金型1を金型固定枠3に固定し、この上に第2の組成物4を適量滴下し、上からレンズブランク2を、その中心軸と金型1の中心軸とが合致するように重ねて、図5のように第2の組成物4を押し広げた。第2の組成物4としては、350nm以上の可視波長域において光の吸収が小さいラジカル系光重合開始剤を1重量部含む多官能ウレタンアクリレート系樹脂を用いた。ここで、ラジカル系光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を用いた。また、レンズブランク2としては、材質BK−7から成る直径26mmのレンズブランクを用いた。
【0034】
続いて、図5の状態で上方から不図示の紫外線ランプによって、40mW、12Jの条件でレンズブランク2を通して紫外線を第1及び第2の組成物に照射し、これらの組成物の樹脂を硬化させた。その後、金型1から硬化した組成物と共にレンズブランク2を離型させることによって、図6に示すようにレンズブランク2の表面に中心肉厚300μm、最大樹脂厚差200μm、樹脂径20mmの樹脂層が形成された光学素子を製造した。この際、脱型はスムーズであった。
【0035】
このように製造した光学素子の格子面5を観察したところ、ピッチに欠けはなく、転写性は良好であった。また、光学素子は透明であった。
【0036】
(比較例2)
金型1上に第1の組成物7を塗布せず、組成物4としてカチオン系光重合開始剤であるη(5)−シクロペンタジエニル−η(6)−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)(商品名:イルガキュア261、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)1重量部を含む多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いた他は実施例3と全く同様の工程で光学素子を製造した。脱型はスムーズであった。このように製造した光学素子の格子面を観察したところ、ピッチに欠けはなかった。ただ、製造された光学素子は黄色く着色していた。
【0037】
本発明は、以上説明した実施例の他にも様々な変形が可能である。例えば、光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物には、必要に応じて種々の配合剤を添加しても良い。このような配合剤としては、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、保存安定剤、紫外線吸収剤、塗面改良剤、濡れ性改良剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラーなどが挙げられる。本発明は、このような変形例を全て包含するものである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、予めの型の表面にカチオン系光重合開始剤又はカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を塗布しておき、この型を用いてラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を成形するようにしたので、離型性が良く、また転写性のよい光学素子を製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【符号の説明】
1 金型
2 レンズブランク
3 金型固定枠
4 (第2の)組成物
5 格子面
6 カチオン系光重合開始剤
7 第1の組成物
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ、プリズム、回折光学素子等の光学素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光硬化性樹脂を用いて成形によって光学素子を製造する方法において、光硬化性樹脂の重合を開始させるために、ラジカル系光重合開始剤或いはカチオン系光重合開始剤が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の光重合開始剤の内、ラジカル系光重合開始剤は、酸素の存在下において硬化阻害が生ずるという特性を有している。このため、型の表面に酸素ガスが吸着していると、型側の樹脂が十分に硬化せず、正確な成形が困難であるという問題点があった。特に、光学素子として表面に微小な溝を有する回折格子を製造する場合には、精密な形状の転写が求められる一方で、これらの溝に空気が残りやすく、上記硬化阻害の問題はより深刻であった。
【0004】
上記の硬化阻害を回避する方法としては、光学素子の成形を窒素ガス雰囲気下で行うことが考えられるが、設備が大型化するといった新たな問題が生じてしまう。
【0005】
これに対して、カチオン系光重合開始剤は、上記のような硬化阻害のような問題は発生しないが、可視光の波長領域に吸収を持つものが多く、光学素子の製造には適していなかった。特に、50μm以上の厚さを有する光学素子を、カチオン系光重合開始剤を用いて製造した場合、光学素子が着色されてしまい好ましくなかった。
【0006】
一方、特開2000−336127号公報には、重合阻害を生じさせることなく、十分な硬化速度を得るために、光硬化性樹脂にカチオン系光重合開始剤とラジカル系光重合開始剤とを混合して成る組成物を用いて光ファイバーを被覆した例が記載されている。しかしながら、この例においては、光ファイバーそのものではなく、その被覆材に上記組成物を用いたものなので、光の吸収に関しては考慮されていない。このため、上記公報に記載された組成物を用いて光学素子を製造した場合には、十分な透明性が得られないことが考えられた。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、硬化阻害を生ずることなく精密な形状の製造が可能で、且つ、光の吸収の小さい光学素子及びその製造方法を提供することにある。本発明によれば、型表面において十分に樹脂の硬化が進むため、離型性が良く、また転写性のよい光学素子を製造することが可能である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に関わる光学素子の製造方法は、光学素子を成形するための型の表面にカチオン系光重合開始剤を塗布する塗布工程と、前記型の表面にラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を供給する供給工程と、前記組成物に光を照射して硬化させる硬化工程とから成るものである。
【0009】
上記の製造方法において、更に前記供給工程と硬化工程との間に、前記組成物上に光学素子の母体となる光学素子ブランクを載置する載置工程を備えても良い。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明に関わる光学素子の他の製造方法は、光学素子を成形するための型の表面にカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物を塗布する塗布工程と、前記型の表面にラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第2の組成物を供給する供給工程と、前記第1及び第2の組成物に光を照射して硬化させる硬化工程とから成るものである。
【0011】
上記の製造方法において、更に前記供給工程と硬化工程との間に、前記第2の組成物上に光学素子の母体となる光学素子ブランクを載置する載置工程を備えても良い。
【0012】
本発明に係わる光学素子は、上記いずれかの製造方法により製造されるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0014】
図1乃至図3は、本発明の第1の実施形態における光学素子の製造工程を説明するための側方断面図である。図1乃至図3において、1は回折格子形状が形成された金型、2はレンズブランク、3は金型固定枠をそれぞれ示す。また、4はラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物、5は格子面、6はカチオン系光重合開始剤をそれぞれ示す。
【0015】
製造工程は、まず図1に示すように格子形状が形成された金型1を用意する。このような金型1は、リン青銅などの金属をダイヤモンドバイト等を用いて切削加工して形成することができる。格子形状としては、階段状(マルチレベル)或いはのこぎり刃(ブレーズ)状のものが用いられる。また、このような格子形状を有するものに限らず、金型1として表面が球面あるいは非球面状の光学面が形成されたものを用いても良い。
【0016】
次に、金型1の表面にカチオン系光重合開始剤6をハケ等を用いて薄く塗布する。続いて、風乾あるいは加熱によって溶剤を蒸発させ、金型壁面にカチオン系光重合開始剤6を付着させる。カチオン系光重合開始剤6の塗布にはスピンコータを用いても良い。この金型1を金型固定枠3に固定し、この上に組成物4を適量滴下し、上からレンズブランク2を重ねて図2のように組成物4を押し広げる。ここで、金型1とレンズブランク2との間隔は、スペーサを用いて任意に調整することが可能である。レンズブランク2は、ガラスあるいはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂等の透明な樹脂から形成されている。
【0017】
続いて、図2の状態で上方から不図示の光源によってレンズブランク2を通して紫外線を組成物4に照射し、組成物4の樹脂を硬化させる。光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。その後、金型1から硬化した組成物4と共にレンズブランク2を離型させることによって、図3に示すようにレンズブランク2の表面に組成物4から成る格子面5を有する光学素子が製造される。
【0018】
上記実施形態においては、金型1の表面に予めカチオン系光重合開始剤6を塗布しているので、硬化阻害が発生せず、型表面において十分に樹脂の硬化が進むため、離型性が良く、精密な形状の製造が可能である。また、可視光の波長領域に吸収を持つカチオン系光重合開始剤6を用いていても、金型表面に薄く塗布するだけなので、製造される光学素子の透明性は失われない。
【0019】
上記実施形態において、カチオン系光重合開始剤は、光などのエネルギー線を照射することによってカチオン重合を開始させる物質を放出する化合物であり、例えば光が照射されることによってルイス酸を放出するオニウム塩が好適に用いられる。特に芳香族オニウム塩はカチオン系光重合開始剤として有効であり、中でもジアリールヨードニウム塩、ジアルキルフェナシルスルフォノキソニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、トリアリールスルフォノキソニウム塩、アリールオキシジアリールスルフォノキソニウム塩等が適している。これらのカチオン系光重合開始剤は2種類以上混合して用いても良い。このカチオン系光重合開始剤は、トルエン或いはヘキサン等の有機溶剤に溶解して用いられる。この際の好適な比は、溶剤に対してカチオン系光重合開始剤が0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0020】
上記実施形態において、ラジカル系光重合開始剤は、光などのエネルギー線を照射することによってラジカルを発生する化合物である。このようなラジカル系光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、チオキサントン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、トリフェニルアミン、キサントン、ベンゾインプロピルエーテル、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられる。これらのラジカル系光重合開始剤は2種類以上混合して用いても良い。このラジカル系光重合開始剤は、トルエン或いはヘキサン等の有機溶剤に溶解して用いられる。この際の好適な比は、溶剤に対してカチオン系光重合開始剤が0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0021】
本実施形態において、光硬化性樹脂としては、モノマー、オリゴマー又はこれらを混合した樹脂が用いられる。このような光硬化性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和基を1〜5個、好ましくは2〜3個有するポリエーテルポリオール系ウレタンオリゴマーを好適に用いることができる。
【0022】
図4乃至図6は、本発明の第2の実施形態における光学素子の製造工程を説明するための側方断面図である。図4乃至図6において、図1乃至図3と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。符号7はカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物を示す。
【0023】
製造工程は、まず図4に示すように金型1の表面にスピンコータ等を用いてカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物7を薄く塗布する。この金型1を金型固定枠3に固定し、この上にラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第2の組成物4を適量滴下し、上からレンズブランク2を重ねて図5のように第2の組成物4を押し広げる。
【0024】
次に、図5の状態で上方から不図示の光源によってレンズブランク2を通して紫外線を第2の組成物及び第1の組成物7に照射し、これらの組成物の樹脂を硬化させる。その後、金型1から硬化したこれらの組成物と共にレンズブランク2を硬化した離型させることによって、図3に示すようにレンズブランク2の表面に第1の組成物7及び第2の組成物4から成る格子面5を有する光学素子が製造される。
【0025】
上記実施形態においては、硬化工程の際に金型1の近傍にカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物が存在しているので、硬化阻害が発生せず、離型性が良く、精密な形状の製造が可能である。また、第1の組成物には可視光の波長領域に吸収を持つカチオン系光重合開始剤が含有されているが、第1の組成物は光学素子の表面に薄い層を形成しているだけなので、製造される光学素子の透明性は失われない。
【0026】
上記第2の実施形態において、光硬化性樹脂、カチオン系光重合開始剤、ラジカル系光重合開始剤として、第1の実施形態で説明したものと同様の材料を用いることができる。
【0027】
以下、本発明の実施例及び比較例を説明する。
【0028】
(実施例1)
図1乃至図3に示した工程によって、実施例1の光学素子を製造した。まず図1に示すよう金属から成る金型1を用意した。この金型1の表面には、ダイヤモンドバイトを用いてのこぎり刃(ブレーズ)状の格子形状が切削加工によって形成した。次に、金型1の表面にカチオン系光重合開始剤6を0.5cc滴下し、スピンコータによって遠心乾燥させた。ここで、カチオン系光重合開始剤6としては、η(5)−シクロペンタジエニル−η(6)−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)(商品名:イルガキュア261、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、イルガキュアはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社の登録商標)0.01重量部を含むトルエン溶液を用いた。この金型1を金型固定枠3に固定し、この上に組成物4を適量滴下し、上からレンズブランク2を、その中心軸と金型1の中心軸とが合致するように重ねて、図2のように組成物4を押し広げた。組成物4としては、350nm以上の可視波長域において光の吸収が小さいラジカル系光重合開始剤を1重量部含む多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いた。ここで、ラジカル系光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を用いた。また、レンズブランク2としては、材質BK−7から成る直径26mmのレンズブランクを用いた。
【0029】
続いて、図2の状態で上方から不図示の紫外線ランプによって、40mW、12Jの条件でレンズブランク2を通して紫外線を組成物4に照射し、組成物4の樹脂を硬化させた。その後、金型1から硬化した組成物4と共にレンズブランク2を離型させることによって、図3に示すようにレンズブランク2の表面に中心肉厚300μm、最大樹脂厚差200μm、樹脂径20mmの樹脂層が形成された光学素子を製造した。この際、脱型はスムーズであった。
【0030】
このように製造した光学素子の格子面5を観察したところ、ピッチに欠けはなく、転写性は良好であった。また、光学素子は透明であった。
【0031】
(比較例1)
金型1上にカチオン系光重合開始剤6を塗布しない他は実施例1と全く同様の工程で光学素子を製造した。脱型の際には実施例1と比較して2倍ほどの力を要した。このように製造した光学素子は透明であったが、その格子面を観察したところ、ピッチに一部欠けが認められた。また、格子面の表面にタック性(ベタツキ)が認められた。
【0032】
(実施例2)
組成物4として、ラジカル系光重合開始剤である2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:イルガキュア369、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を1重量部含む多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いた他は実施例1と全く同様の工程で光学素子を製造した。脱型はスムーズであった。このように製造した光学素子の格子面を観察したところ、ピッチに欠けはなく、転写性は良好であった。また、光学素子は透明であった。
【0033】
(実施例3)
図4乃至図6に示した工程によって、実施例3の光学素子を製造した。まず図4に示すよう金属から成る金型1を用意した。この金型1の表面には、ダイヤモンドバイトを用いてのこぎり刃(ブレーズ)状の格子形状が切削加工によって形成した。次に、金型1の表面に第1の組成物7を0.5cc滴下し、スピンコータによって遠心乾燥させた。第1の組成物7としては、カチオン系光重合開始剤であるη(5)−シクロペンタジエニル−η(6)−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)(商品名:イルガキュア261、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)1重量部を含む多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーのトルエン溶液(濃度1%)を用いた。この金型1を金型固定枠3に固定し、この上に第2の組成物4を適量滴下し、上からレンズブランク2を、その中心軸と金型1の中心軸とが合致するように重ねて、図5のように第2の組成物4を押し広げた。第2の組成物4としては、350nm以上の可視波長域において光の吸収が小さいラジカル系光重合開始剤を1重量部含む多官能ウレタンアクリレート系樹脂を用いた。ここで、ラジカル系光重合開始剤としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を用いた。また、レンズブランク2としては、材質BK−7から成る直径26mmのレンズブランクを用いた。
【0034】
続いて、図5の状態で上方から不図示の紫外線ランプによって、40mW、12Jの条件でレンズブランク2を通して紫外線を第1及び第2の組成物に照射し、これらの組成物の樹脂を硬化させた。その後、金型1から硬化した組成物と共にレンズブランク2を離型させることによって、図6に示すようにレンズブランク2の表面に中心肉厚300μm、最大樹脂厚差200μm、樹脂径20mmの樹脂層が形成された光学素子を製造した。この際、脱型はスムーズであった。
【0035】
このように製造した光学素子の格子面5を観察したところ、ピッチに欠けはなく、転写性は良好であった。また、光学素子は透明であった。
【0036】
(比較例2)
金型1上に第1の組成物7を塗布せず、組成物4としてカチオン系光重合開始剤であるη(5)−シクロペンタジエニル−η(6)−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)(商品名:イルガキュア261、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)1重量部を含む多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いた他は実施例3と全く同様の工程で光学素子を製造した。脱型はスムーズであった。このように製造した光学素子の格子面を観察したところ、ピッチに欠けはなかった。ただ、製造された光学素子は黄色く着色していた。
【0037】
本発明は、以上説明した実施例の他にも様々な変形が可能である。例えば、光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物には、必要に応じて種々の配合剤を添加しても良い。このような配合剤としては、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、保存安定剤、紫外線吸収剤、塗面改良剤、濡れ性改良剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラーなどが挙げられる。本発明は、このような変形例を全て包含するものである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、予めの型の表面にカチオン系光重合開始剤又はカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を塗布しておき、この型を用いてラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を成形するようにしたので、離型性が良く、また転写性のよい光学素子を製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における光学素子の製造工程を示す側方断面図である。
【符号の説明】
1 金型
2 レンズブランク
3 金型固定枠
4 (第2の)組成物
5 格子面
6 カチオン系光重合開始剤
7 第1の組成物
Claims (5)
- 光学素子を成形するための型の表面にカチオン系光重合開始剤を塗布する塗布工程と、前記型の表面にラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した組成物を供給する供給工程と、前記組成物に光を照射して硬化させる硬化工程とから成る光学素子の製造方法。
- 更に前記供給工程と硬化工程との間に、前記組成物上に光学素子の母体となる光学素子ブランクを載置する載置工程を備えた請求項1記載の光学素子の製造方法。
- 光学素子を成形するための型の表面にカチオン系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第1の組成物を塗布する塗布工程と、前記型の表面にラジカル系光重合開始剤と光硬化性樹脂とを混合した第2の組成物を供給する供給工程と、前記第1及び第2の組成物に光を照射して硬化させる硬化工程とから成る光学素子の製造方法。
- 更に前記供給工程と硬化工程との間に、前記第2の組成物上に光学素子の母体となる光学素子ブランクを載置する載置工程を備えた請求項3記載の光学素子の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法で製造されたことを特徴とする光学素子。
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