JP2004001123A - 超音波加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波加工における加工精度を良好に保つためのホーンの工具取付面の精度の維持を、容易かつ確実に行うことができる超音波加工装置を提供する。
【解決手段】超音波穿孔装置1は、ホーン23に取り付けられた工具9を超音波により振動させ、この振動をワーク13との間に介在する砥粒に伝達することにより工具形状に倣った形状をワーク13に形成する。この超音波穿孔装置1は、ワーク13を固定する治具12が設置される移動テーブル10と、ホーン23の工具取付面23aを研磨するための研磨装置42とを備え、この研磨装置42は、前記移動テーブル10上に設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】超音波穿孔装置1は、ホーン23に取り付けられた工具9を超音波により振動させ、この振動をワーク13との間に介在する砥粒に伝達することにより工具形状に倣った形状をワーク13に形成する。この超音波穿孔装置1は、ワーク13を固定する治具12が設置される移動テーブル10と、ホーン23の工具取付面23aを研磨するための研磨装置42とを備え、この研磨装置42は、前記移動テーブル10上に設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波振動により加工を行う超音波加工装置に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来から、超音波振動子と、この超音波振動子に連結された、工具が取り付けられるホーンとを備えた超音波加工装置は一般に知られている。
この構成により、超音波加工装置の治具に被加工物を設置し、工具の周囲に砥粒を供給しながら該装置を駆動する。すると、超音波振動子からの超音波振動が、ホーンを介して工具に伝えられる。この工具の振動が砥粒を介して被加工物にぶつけられることにより、被加工物の表面は、工具の表面に倣った形状に加工される。
【0003】
上記の超音波加工装置においては、工具の周囲に供給される砥粒がホーンと工具との間に侵入し、ホーンの工具取付面が砥粒によって徐々に摩損されることが避けられない。そのため、被加工物への加工を連続して行うと、ホーンの工具取付面が徐々に荒れてしまい、工具を適正に取り付けることができなくなる事態が発生する。そこで、従来は、所定の回数の加工を行う毎に、ホーンを一旦超音波加工装置から取外し、該装置外でホーンの工具取付面を研磨することが行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のようにホーン工具取付面の研磨を行う場合、超音波加工装置からホーンを取外し、研磨後に再び取付ける必要があるため、手間がかかり作業性が悪いという問題がある。
また、ホーンが超音波加工装置から取外された状態で工具取付面の研磨が行われるため、ホーン工具取付面を被加工物の加工面に対して斜めに(偏って)研磨してしまい、工具を取り付ける向きが傾いて被加工物に対する加工精度を低下させてしまう場合があり、特に脆性材料を高い精度で加工しなければならないときに、歩留りが悪くなり加工コストが上昇してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、超音波加工における加工精度を良好に保つためのホーンの工具取付面の精度の維持を、容易かつ確実に行うことができる超音波加工装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
請求項1に記載の超音波加工装置は、ホーンに取り付けられた工具を超音波により振動させ、この振動を被加工物との間に介在する砥粒に伝達することにより工具形状に倣った形状を前記被加工物に形成する超音波加工装置であって、前記被加工物を固定する治具が設置されるテーブルと、前記ホーンの工具取付面を研磨するための研磨装置とを備え、前記研磨装置は、前記テーブル上に設けられていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によると、ホーンと工具との間の隙間に砥粒が入り込むことでホーンの工具取付面が摩滅しても、治具が設置されるテーブル上に設けられている研磨装置により研磨することで、工具がホーンに適正に取り付けられる状態に再度戻すことができる。
また、ホーンとテーブルとを相対的に移動させることで、ホーンの工具取付面と研磨装置とを対向させる状態とすることができる。従って、加工作業から研磨作業に移行するのも容易である。
更には、この研磨作業を、前記ホーンの機械送り精度あるいは前記テーブルの機械送り精度で工具取付面に対して研磨装置を移動させることで行うことができる。従って、ホーン工具取付面を斜めに(偏って)研磨してしまうことが防止され、工具を取り付ける向きが傾いて被加工物に対する加工精度を低下させることがない。また、研磨作業の際に工具取付面と研磨装置とを相対的に移動させることを、ホーンの送り装置またはテーブルの送り装置によって行わせる構成であるから、送りのための特別な構成が不要となり、部品点数が低減される。また、ホーンあるいはテーブルを送り移動させるのみでホーンの工具取付面を研磨することができるから、研磨のための装置の制御も容易である。
【0009】
請求項2に記載の超音波加工装置は、請求項1に記載の超音波加工装置であって、前記工具は前記ホーンから取外し可能であり、該工具が取り外された状態で、前記工具取付面が前記研磨装置により研磨されることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によると、工具がホーンから取り外された状態で工具取付面を研磨できるため、研磨作業の際に工具が邪魔にならず、容易かつ確実に研磨作業を行える。
【0011】
請求項3に記載の超音波加工装置は、請求項1または請求項2に記載の超音波加工装置であって、前記ホーンの工具取付面は平坦に形成されていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によると、工具取付面を平坦に研磨するのみでよいから、研磨作業の際は工具取付面と研磨装置とを相対的に直線状に動かすのみで良いこととなって、研磨作業が一層容易となる。
【0013】
請求項4に記載の超音波加工装置は、請求項3に記載の超音波加工装置であって、前記工具は平坦な取付面を有するように構成し、該工具は、その取付面とホーン側の工具取付面とを接合させた状態で前記ホーンに取り付けられるように構成したことを特徴としている。
【0014】
上記の構成によると、ホーンと工具の取付面同士が密着されるので、ホーンの振動が工具に確実に伝えられ、加工作業の効率が向上される。
また、ホーンの工具取付面が前述のように精度良く研磨されるから、それに取付面を介して取り付けられる工具も傾かずに精度良く取り付けられることとなる。従って、加工作業時の加工精度が向上する。
【0015】
請求項5に記載の超音波加工装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項において、前記テーブル及び/又は前記ホーンは、移動可能であることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によると、テーブル及び/又はホーンを移動させることで、ホーンの工具取付面に対して相対的に研磨装置を移動させ、研磨作業を容易に行うことができる。また、高い精度で工具取付面を研磨することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
〔装置全体の概略構成〕
本発明の一実施形態としての超音波穿孔装置(超音波加工装置)の全体側面図が図1に、全体正面図が図2に、それぞれ示される。この図1、図2に示すように、この超音波穿孔装置1は、床上に設置される基台2の上にコラム3を立設し、このコラム3に穿孔ヘッド部4を支持する構成となっている。
【0019】
コラム3にはネジ軸5が上下方向に配置され、回転自在に支持されている。このネジ軸5に昇降体6が螺着されて、ネジ軸5と昇降体6とにより公知のボールネジ機構が構成されている。このネジ軸5には、コラム3上に設置されたモータ7のモータ軸が連結されている。この構成においてモータ7を正逆方向に回転駆動することで、昇降体6の上下位置を変更することができる。
コラム3には更にリニアガイドが上下方向に配設されて(図略)、このリニアガイドに沿って上下変位可能に、連結体8が備えられている。この連結体8に前記昇降体6が連結されることで、連結体8(ひいては、この連結体8に備えられる穿孔ヘッド部4)を上下方向(Z方向)に移動させることができる。
【0020】
連結体8には穿孔ヘッド部4が上下摺動自在に支持される。穿孔ヘッド部4には穿孔を行うための工具9が取り付けられるとともに、この工具9に超音波振動を与えるための機構が備えられている。
【0021】
基台2上には水平方向(XY方向)に移動可能な移動テーブル(テーブル)10が設置され、この移動テーブル10の上に、図2に示すように、昇降テーブル11、カメラ部41、研磨装置42の三者が並べて配置される。
昇降テーブル11上面の前記工具9に対向し得る位置には、被加工物としてのワーク(被加工物)13が固定可能とされる。このワーク13としては種々のものが考えられるが、本実施形態は、インクジェットプリンタ等のインクジェットヘッドに圧電式アクチュエータとして使用される、圧電セラミック材料(PZT)を加工する場合を示している。
【0022】
装置全体を覆うように基台2上にはカバー43が設置されて、穿孔作業時に発生する切り粉や後述する砥粒液が周囲に飛散しないように配慮されている。装置の正面には開閉可能な両開き式の扉44が設けられ(図1)、ワーク13の交換作業などの必要に応じて扉44を開いてカバー43内部にアクセスできるようになっている。
【0023】
〔穿孔ヘッド部の構成〕
穿孔ヘッド部4の構成について、側面図である図3、正面図である図4、および平面断面図である図5を主に参照しながら具体的に説明する。
この穿孔ヘッド部4は、前記連結体8に支持される基部フレーム14に、前記工具9を支持するための工具フレーム17を上下摺動自在に連結した構成となっている。基部フレーム14には支軸15が水平に架設され、この支軸15に、前後方向に細長いバランス体16の中央部が枢支されて揺動自在とされている。
基部フレーム14上にはエアシリンダ18が設置され(図3,図4)、このシリンダロッド19が下方に延出して、前記バランス体16の一端に連結している。そして、バランス体16の前記シリンダロッド19が連結された一端に、前記工具フレーム17が連結されている。基部フレーム14には変位センサ20が設けられ、工具フレーム17の基部フレーム14に対する相対変位を検出できるように構成されている。
【0024】
図3に示すように、工具フレーム17の下端には環状のホーン支持部21が軸受22を介して旋回可能に設けられ、このホーン支持部21にホーン23が固定される。ホーン23は上下方向に細長く形成され、その上部には超音波振動子24が固着されるとともに、ホーン23の下端には平坦な工具取付面23aが形成され、この工具取付面23aに対して前記工具9が脱着可能に取り付けられる。なお、基部フレーム14や工具フレーム17を覆うように板状のカバー45が設けられて、内部の超音波振動子24等を保護できるようになっている。
【0025】
図5の平面図に示すように、ホーン支持部21には側方に向けて突起25が設けられて、この突起25の一側に、付勢体26が工具フレーム17に設けられている。付勢体26は付勢バネ28の弾発作用により、突起25を一側に向けて常時押動するように構成されている。一方、付勢体26に突起25を挟んで対向する位置に、ツマミを有する角度微調整ネジ27が工具フレーム17に取り付けられる。
この構成において、角度微調整ネジ27のツマミを一方向に回転させると、その先端が突起25を前記付勢体26に抗して押すので、ホーン支持部21が図5の反時計回り方向に旋回される。一方、ツマミを逆方向に回転させた場合は、ネジ27の先端が後退して、前記付勢体26が突起25を押すので、ホーン支持部21は図5の時計回り方向に旋回される。従って、ネジ27を適宜回転させることで、ホーン支持部21の角度(即ち、ホーン23に取り付けられた工具9の水平面内における向き)を微調整することができる。
なお、ヘッド前面には固定ネジ36が設けられており(図3・図4)、前述の微調整作業が終了した後はこのネジ36を回転させて締め付けることで、ホーン支持部21が不用意に旋回しないよう固定できるようになっている。
【0026】
〔昇降テーブルの構成〕
ワーク13を固定するための昇降テーブル11の構成を、図6の側面図を参照して説明する。
この昇降テーブル11は、移動テーブル10の上に立設固定された基部フレーム29と、この基部フレーム29に図示せぬリニアガイドを介して昇降自在に設けられた昇降フレーム31と、を有している。
【0027】
前記基部フレーム29にはリフトシリンダ30が取り付けられ、このシリンダロッド32が上方に延出して、その先端が前記昇降フレーム31に連結されている。
リフトシリンダ30はエアシリンダ式に構成されており、圧縮空気を供給/ドレンすることで、昇降フレーム31の上下位置を変更することができる。基部フレーム29には変位センサ33が設置されて、昇降フレーム31の上下位置を測定できるようになっている。
また、内部のリフトシリンダ30や変位センサ33を保護すべく、箱状のカバー46が昇降フレーム31に設けられる。
【0028】
昇降フレーム31の上部は水平に構成され、この上に、ワーク13を取り付けるための治具12が設置される。また、治具12の脇の位置において、昇降フレーム31上にクランプ機構34が設けられている。このクランプ機構34はエアシリンダで構成されており、治具12上にワーク13を載置した状態でエアシリンダを作動させると、伸張するシリンダロッド35がワーク13を水平方向へ押圧し、治具12に設けられたガイド部に突き当てた状態で固定するようになっている。
【0029】
この超音波穿孔装置1は図示せぬ砥粒液溜めを備えており、この砥粒液溜めには、砥粒(例えば、粒径4〜6μm程度のSiC)を分散させた液体が注入されている。砥粒液溜めに接続させて、パイプや可撓性のホースや管継手などからなる砥粒液循環経路が形成され、この経路が、前記昇降テーブル11近傍に設けた中継パイプ47(図1,図2,図6に図示)に接続されている。この中継パイプ47には供給孔48が形成されるとともに、更に該供給孔48の近傍位置において、案内棒49が下向きに突設されている。案内棒49は湾曲状に構成されて斜め方向に向きを変え、その先端が、昇降テーブル11上の治具12の直上方に位置している。
この構成で、砥粒液溜めに設置された図略のポンプを駆動させると、砥粒液は中継パイプ47内に送られ、その一部が供給孔48を介して外部に漏出する。中継パイプ47の外面に漏れ出た砥粒液は案内棒49を伝って治具12上に落下し、工具9による加工に用いられる。
【0030】
〔穿孔作業の様子の説明〕
以上に示した構成において、実際に工具9を超音波振動させてワーク13に穿孔する作業を説明する。
まず、ワーク13を前記クランプ機構34により治具12上に固定したのち、前記移動テーブル10をXY方向に移動させるとともに、前記モータ7を駆動して穿孔ヘッド部4を下降させ、図6の鎖線で示すように、前記工具9がワーク13のすぐ上に僅かな隙間をおいて位置するようにする。
そして、変位センサ33で昇降フレーム31の位置を常時測定しながら、リフトシリンダ30に圧縮空気を供給して、シリンダロッド32を徐々に伸張させて昇降フレーム31を上方向へ移動させ、ワーク13を上昇させる。そして、ワーク13の上面が工具9に接触した瞬間の昇降フレーム31の位置を、装置1を制御するコントローラの適宜の記憶手段にゼロ位置として記憶しておく。
そして、穿孔ヘッド部4の超音波振動子24を駆動し、ホーン23を介して振幅数μm程度の上下方向の超音波振動を工具9に付与しながら、リフトシリンダ30に圧縮空気を供給してワーク13を上昇させ、工具9に対し押し付ける。また、前記砥粒液循環経路のポンプが駆動されることにより、中継パイプ47から案内棒49を経由して砥粒液が工具9の周囲に供給される。
これによりワーク13は、工具9との間にある砥粒によって削られてゆき、工具9に倣った形状の溝や孔等がワーク13の上面に形成される。
【0031】
なお、前述した穿孔ヘッド部4のエアシリンダ18(図3)は、工具フレーム17の変位を変位センサ20で測定しながら必要に応じて圧縮空気の給排を行って、工具フレーム17を支持する力を調節している。これにより、穿孔作業中にワーク13に対し過大な力で工具9が押し付けられることが防止されるので、本実施形態の圧電セラミックスのような脆性材料のワーク13を加工する場合でも、ワーク13の破損が十分に回避される構成となっている。
【0032】
工具9によりワーク13に穿孔を行っている間も、前記昇降フレーム31の位置が変位センサ33(図6)によって常時測定されている。そして昇降フレーム31が、前記ゼロ位置から所定の距離だけ上昇した時点で、リフトシリンダ30への圧縮空気の供給が停止され、ワーク13の上昇が停止される。この結果、前記ワーク13には、正確に当該距離だけの深さの孔あるいは溝を形成することができる。
【0033】
〔カメラ部の構成〕
次に、工具9の向きを調整するために設置されるカメラ部41を説明する。このカメラ部41は図2に示すように、昇降テーブル11の側方位置に設けられている。
図7に示すようにカメラ部41は箱状のカバー37を備えており、このカバー37の内部にCCD式のビデオカメラ38が、そのレンズ部39を上に向けた状態で収められている。カバー37の上面には透明な蓋40が、前記レンズ部39に対応する位置に開閉可能に設けられる。
【0034】
この構成における工具9の向きの調整作業を説明する。前記移動テーブル10をXY方向に移動させるとともに、前記モータ7を駆動して穿孔ヘッド部4を下降させ、図7の鎖線で示すように、カメラ38のレンズ部39の直上方に工具9が位置するようにすることで、工具9の向きをビデオカメラ38で撮影することができる。撮影された映像は、装置1の適宜位置(例えば、コラム3の側方位置)に設置したモニタに、リアルタイムに表示される。オペレータはこの映像を見ながら、前述の角度微調整ネジ27を回してホーン23の旋回角度を微調整し、工具9の向きが適正となるよう調整することができる。
【0035】
〔研磨装置の説明〕
更に、前記ホーン23の工具取付面23aを研磨するための研磨装置42を説明する。研磨装置42は図2に示すように、正面視において昇降テーブル11を挟んで前記カメラ部41の反対側に設置されている。
この研磨装置42の具体的な構成が図8に示される。この図に示すように研磨装置42は、移動テーブル10上(なお、図8においては移動テーブル10は図略とされている)に立設された筒状のフレーム50を備え、このフレーム50内に回転軸51を回転自在に軸支した構成となっている。この回転軸51の上端にはカップ型の砥石52が固着されている。回転軸51の側方にはモータ53が設置されており、該モータ53のモータ軸54が、前記回転軸51と、プーリ55・56及びベルト57を介して連結されている。
【0036】
この構成における研磨作業の様子を説明する。
即ち、ホーン23から工具9を取り外した状態で、前記移動テーブル10を移動させ、更に、前述のモータ7を駆動して穿孔ヘッド部4を下降させる。そしてモータ53を駆動して砥石52を回転させるとともに、ホーン23下面の工具取付面23aに対し砥石52の上面を接触させながら、移動テーブル10を水平に移動させることで、該工具取付面23aを研磨することができる。
なお、前記穿孔ヘッド部4には加圧シリンダ58が設置されており(図3,図4)、このシリンダ58が、ホーン23の工具取付面23aを砥石52に押し付けるために用いられる。
【0037】
以上で説明したように、本発明の超音波穿孔装置(超音波加工装置)1は、ホーン23に取り付けられた工具9を超音波により振動させ、この振動をワーク(被加工物)13との間に介在する砥粒に伝達することにより工具形状に倣った形状をワーク13に形成する。この加工を連続的に行うと、ホーン23の工具取付面23aと工具9との間の隙間に砥粒が入り込むことにより、工具取付面23aが摩滅してしまう。従って、そのような事態に至った場合には、何らかの方法で、工具9がホーン23に適正に取付けられる状態に再度戻すことが要求される。
【0038】
この点、本実施形態の超音波穿孔装置1は、ワーク13を固定する治具12が設置される移動テーブル(テーブル)10と、ホーン23の工具取付面23aを研磨するための研磨装置42とを備えており、研磨装置42は、移動テーブル10上に設けられている。これにより、ホーン23と工具9との間の隙間に砥粒が入り込むことでホーン23の工具取付面23aが摩滅しても、研磨装置42により研磨することで、工具9がホーン23に適正に取り付けられる状態に再度戻すことができる。
また、研磨装置42は治具12が設置される移動テーブル(テーブル)10上に設けられているため、移動テーブル10を移動させてホーン23と移動テーブル10とを相対的に移動させることで、工具取付面23aと研磨装置42とが対向する、研磨に適した状態に、容易に移行させることができる。更には実際の研磨作業においても、移動テーブル10の機械送り精度で工具取付面23aに対して研磨装置42を移動させ、ホーン23を研磨することができる。従って、ホーン工具取付面23aを斜めに(偏って)研磨してしまうことが防止され、工具9を取り付ける向きが傾いてワーク13に対する加工精度を低下させることがない。
更には、研磨作業の際に工具取付面23aと研磨装置42とを対向させるための移動の機能、および、研磨の際に砥石52とホーン23とを相対的に移動させる機能を、前記移動テーブル10に兼用させる構成であるから、送りのための特別な構成が不要となり、部品点数が低減される。また、移動テーブル10を送り移動させるのみでホーン23の工具取付面23aを研磨することができるから、研磨のための装置の制御も容易である。
【0039】
なお、本実施形態においては、研磨装置42が設けられた移動テーブル10が水平方向(XY方向)に移動するものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、研磨装置42を移動不能に構成してホーン23が研磨装置42に対して水平移動するものであってもよいし、移動テーブル10およびホーン23の双方が移動可能なものであってもよい。要は、ホーン23の工具取付面23aに対して相対的に研磨装置42(砥石52)を移動できれば良いのである。
【0040】
なお、本実施形態においては、ホーン23の工具取付面23aは平坦に形成されている。これにより、工具取付面23aを平坦に研磨するのみでよいから、研磨作業の際は工具取付面23aと研磨装置42とを相対的に直線状に動かすのみで良いこととなって、研磨作業が一層容易となる。
【0041】
次に、本実施形態の工具9について詳述する。
工具9は、図9(a)に示すように、ワーク13に実際に加工を施す工具本体90と、この工具本体90に分離不能に固定される取付部91とを備えて構成される。この取付部91は鍔部92を有しており、該鍔部92の上面には凸部93が形成されている。鍔部92の上面(工具本体90と反対側の面)には、平坦な取付面92aが形成されており、工具9をホーン23に取り付ける際には、この取付面92aがホーン23側の工具取付面23aと面一に接合される。凸部93は、ホーン23の工具取付面23aに設けられた凹部(図示しない)に嵌合される。
上記の構成において、工具9は、ホーン23に焼ばめにより取り付けられる。即ち、鉄で形成されたホーン23の工具取付面23a付近を加熱し、前記凹部を拡張させた上で、取付部91の凸部93を凹部に挿入させている。このように挿入された状態で、ホーン23が冷却されると、加熱により拡張されていた凹部は元の状態に収縮する。常温における該凹部の寸法形状は前記凸部93よりも僅かに小さく設定してあるので、この凹部が前記凸部93を締め付ける形となって、工具9がホーン23に固定される。
なお、工具9がホーン23に固定される方法は、上記で説明した焼ばめに限定されるものではない。例えば、前記凸部93にネジを切っておき、同様にネジを切ってある前記工具取付面23a側の凹部に螺合させることにより、工具9を脱着可能に固定する方法が考えられる。
【0042】
上記で説明したように、工具9はホーン23から取外し可能であり、該工具9が取り外された状態で、工具取付面23aが研磨装置42により研磨される。これにより、工具取付面23aの研磨作業の際に工具9が邪魔にならず、容易かつ確実に研磨作業を行える。
【0043】
また、工具9は平坦な取付面92aを有するように構成し、該工具9は、この取付面92aとホーン23側の工具取付面23aとを接合させた状態で、ホーン23に取り付けられる。これにより、ホーン23と工具9の取付面23a・92a同士が密着されるので、ホーン23の振動が工具9に確実に伝えられ、加工作業の効率が向上される。
また、ホーン23の工具取付面23aが前述のように精度良く研磨されるから、それに取付面92aを介して取り付けられる工具9も傾かずに精度良く取り付けられることとなる。従って、加工作業時の加工精度が向上する。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、ホーンと工具との間の隙間に砥粒が入り込むことでホーンの工具取付面が摩滅しても、治具が設置されるテーブル上に設けられている研磨装置により研磨することで、工具がホーンに適正に取り付けられる状態に再度戻すことができる。
また、ホーンとテーブルとを相対的に移動させることで、ホーンの工具取付面と研磨装置とを対向させる状態とすることができる。従って、加工作業から研磨作業に移行するのも容易である。
更には、この研磨作業を、前記ホーンの機械送り精度あるいは前記テーブルの機械送り精度で工具取付面に対して研磨装置を移動させることで行うことができる。従って、ホーン工具取付面を斜めに(偏って)研磨してしまうことが防止され、工具を取り付ける向きが傾いて被加工物に対する加工精度を低下させることがない。また、研磨作業の際に工具取付面と研磨装置とを相対的に移動させることを、ホーンの送り装置またはテーブルの送り装置によって行わせる構成であるから、送りのための特別な構成が不要となり、部品点数が低減される。また、ホーンあるいはテーブルを送り移動させるのみでホーンの工具取付面を研磨することができるから、研磨のための装置の制御も容易である。
【0045】
請求項2の発明によると、工具がホーンから取り外された状態で工具取付面を研磨できるため、研磨作業の際に工具が邪魔にならず、容易かつ確実に研磨作業を行える。
【0046】
請求項3の発明によると、工具取付面を平坦に研磨するのみでよいから、研磨作業の際は工具取付面と研磨装置とを相対的に直線状に動かすのみで良いこととなって、研磨作業が一層容易となる。
【0047】
請求項4の発明によると、ホーンと工具の取付面同士が密着されるので、ホーンの振動が工具に確実に伝えられ、加工作業の効率が向上される。
また、ホーンの工具取付面が前述のように精度良く研磨されるから、それに取付面を介して取り付けられる工具も傾かずに精度良く取り付けられることとなる。従って、加工作業時の加工精度が向上する。
【0048】
請求項5の発明によると、テーブル及び/又はホーンを移動させることで、ホーンの工具取付面に対して相対的に研磨装置を移動させ、研磨作業を容易に行うことができる。また、高い精度で工具取付面を研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波穿孔装置の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく正面図。
【図3】穿孔ヘッド部の側面図一部断面図。
【図4】同じく正面図。
【図5】同じく平面断面図。
【図6】昇降テーブルの側面断面図。
【図7】カメラ部の側面断面図。
【図8】研磨装置の正面断面図。
【図9】工具の、(a)は側面図、(b)は底面図。
【符号の説明】
1 超音波穿孔装置(超音波加工装置)
9 工具
10 移動テーブル(テーブル)
13 ワーク(被加工物)
23 ホーン
23a 工具取付面
42 研磨装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波振動により加工を行う超音波加工装置に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来から、超音波振動子と、この超音波振動子に連結された、工具が取り付けられるホーンとを備えた超音波加工装置は一般に知られている。
この構成により、超音波加工装置の治具に被加工物を設置し、工具の周囲に砥粒を供給しながら該装置を駆動する。すると、超音波振動子からの超音波振動が、ホーンを介して工具に伝えられる。この工具の振動が砥粒を介して被加工物にぶつけられることにより、被加工物の表面は、工具の表面に倣った形状に加工される。
【0003】
上記の超音波加工装置においては、工具の周囲に供給される砥粒がホーンと工具との間に侵入し、ホーンの工具取付面が砥粒によって徐々に摩損されることが避けられない。そのため、被加工物への加工を連続して行うと、ホーンの工具取付面が徐々に荒れてしまい、工具を適正に取り付けることができなくなる事態が発生する。そこで、従来は、所定の回数の加工を行う毎に、ホーンを一旦超音波加工装置から取外し、該装置外でホーンの工具取付面を研磨することが行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のようにホーン工具取付面の研磨を行う場合、超音波加工装置からホーンを取外し、研磨後に再び取付ける必要があるため、手間がかかり作業性が悪いという問題がある。
また、ホーンが超音波加工装置から取外された状態で工具取付面の研磨が行われるため、ホーン工具取付面を被加工物の加工面に対して斜めに(偏って)研磨してしまい、工具を取り付ける向きが傾いて被加工物に対する加工精度を低下させてしまう場合があり、特に脆性材料を高い精度で加工しなければならないときに、歩留りが悪くなり加工コストが上昇してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、超音波加工における加工精度を良好に保つためのホーンの工具取付面の精度の維持を、容易かつ確実に行うことができる超音波加工装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
請求項1に記載の超音波加工装置は、ホーンに取り付けられた工具を超音波により振動させ、この振動を被加工物との間に介在する砥粒に伝達することにより工具形状に倣った形状を前記被加工物に形成する超音波加工装置であって、前記被加工物を固定する治具が設置されるテーブルと、前記ホーンの工具取付面を研磨するための研磨装置とを備え、前記研磨装置は、前記テーブル上に設けられていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によると、ホーンと工具との間の隙間に砥粒が入り込むことでホーンの工具取付面が摩滅しても、治具が設置されるテーブル上に設けられている研磨装置により研磨することで、工具がホーンに適正に取り付けられる状態に再度戻すことができる。
また、ホーンとテーブルとを相対的に移動させることで、ホーンの工具取付面と研磨装置とを対向させる状態とすることができる。従って、加工作業から研磨作業に移行するのも容易である。
更には、この研磨作業を、前記ホーンの機械送り精度あるいは前記テーブルの機械送り精度で工具取付面に対して研磨装置を移動させることで行うことができる。従って、ホーン工具取付面を斜めに(偏って)研磨してしまうことが防止され、工具を取り付ける向きが傾いて被加工物に対する加工精度を低下させることがない。また、研磨作業の際に工具取付面と研磨装置とを相対的に移動させることを、ホーンの送り装置またはテーブルの送り装置によって行わせる構成であるから、送りのための特別な構成が不要となり、部品点数が低減される。また、ホーンあるいはテーブルを送り移動させるのみでホーンの工具取付面を研磨することができるから、研磨のための装置の制御も容易である。
【0009】
請求項2に記載の超音波加工装置は、請求項1に記載の超音波加工装置であって、前記工具は前記ホーンから取外し可能であり、該工具が取り外された状態で、前記工具取付面が前記研磨装置により研磨されることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によると、工具がホーンから取り外された状態で工具取付面を研磨できるため、研磨作業の際に工具が邪魔にならず、容易かつ確実に研磨作業を行える。
【0011】
請求項3に記載の超音波加工装置は、請求項1または請求項2に記載の超音波加工装置であって、前記ホーンの工具取付面は平坦に形成されていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によると、工具取付面を平坦に研磨するのみでよいから、研磨作業の際は工具取付面と研磨装置とを相対的に直線状に動かすのみで良いこととなって、研磨作業が一層容易となる。
【0013】
請求項4に記載の超音波加工装置は、請求項3に記載の超音波加工装置であって、前記工具は平坦な取付面を有するように構成し、該工具は、その取付面とホーン側の工具取付面とを接合させた状態で前記ホーンに取り付けられるように構成したことを特徴としている。
【0014】
上記の構成によると、ホーンと工具の取付面同士が密着されるので、ホーンの振動が工具に確実に伝えられ、加工作業の効率が向上される。
また、ホーンの工具取付面が前述のように精度良く研磨されるから、それに取付面を介して取り付けられる工具も傾かずに精度良く取り付けられることとなる。従って、加工作業時の加工精度が向上する。
【0015】
請求項5に記載の超音波加工装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項において、前記テーブル及び/又は前記ホーンは、移動可能であることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によると、テーブル及び/又はホーンを移動させることで、ホーンの工具取付面に対して相対的に研磨装置を移動させ、研磨作業を容易に行うことができる。また、高い精度で工具取付面を研磨することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
〔装置全体の概略構成〕
本発明の一実施形態としての超音波穿孔装置(超音波加工装置)の全体側面図が図1に、全体正面図が図2に、それぞれ示される。この図1、図2に示すように、この超音波穿孔装置1は、床上に設置される基台2の上にコラム3を立設し、このコラム3に穿孔ヘッド部4を支持する構成となっている。
【0019】
コラム3にはネジ軸5が上下方向に配置され、回転自在に支持されている。このネジ軸5に昇降体6が螺着されて、ネジ軸5と昇降体6とにより公知のボールネジ機構が構成されている。このネジ軸5には、コラム3上に設置されたモータ7のモータ軸が連結されている。この構成においてモータ7を正逆方向に回転駆動することで、昇降体6の上下位置を変更することができる。
コラム3には更にリニアガイドが上下方向に配設されて(図略)、このリニアガイドに沿って上下変位可能に、連結体8が備えられている。この連結体8に前記昇降体6が連結されることで、連結体8(ひいては、この連結体8に備えられる穿孔ヘッド部4)を上下方向(Z方向)に移動させることができる。
【0020】
連結体8には穿孔ヘッド部4が上下摺動自在に支持される。穿孔ヘッド部4には穿孔を行うための工具9が取り付けられるとともに、この工具9に超音波振動を与えるための機構が備えられている。
【0021】
基台2上には水平方向(XY方向)に移動可能な移動テーブル(テーブル)10が設置され、この移動テーブル10の上に、図2に示すように、昇降テーブル11、カメラ部41、研磨装置42の三者が並べて配置される。
昇降テーブル11上面の前記工具9に対向し得る位置には、被加工物としてのワーク(被加工物)13が固定可能とされる。このワーク13としては種々のものが考えられるが、本実施形態は、インクジェットプリンタ等のインクジェットヘッドに圧電式アクチュエータとして使用される、圧電セラミック材料(PZT)を加工する場合を示している。
【0022】
装置全体を覆うように基台2上にはカバー43が設置されて、穿孔作業時に発生する切り粉や後述する砥粒液が周囲に飛散しないように配慮されている。装置の正面には開閉可能な両開き式の扉44が設けられ(図1)、ワーク13の交換作業などの必要に応じて扉44を開いてカバー43内部にアクセスできるようになっている。
【0023】
〔穿孔ヘッド部の構成〕
穿孔ヘッド部4の構成について、側面図である図3、正面図である図4、および平面断面図である図5を主に参照しながら具体的に説明する。
この穿孔ヘッド部4は、前記連結体8に支持される基部フレーム14に、前記工具9を支持するための工具フレーム17を上下摺動自在に連結した構成となっている。基部フレーム14には支軸15が水平に架設され、この支軸15に、前後方向に細長いバランス体16の中央部が枢支されて揺動自在とされている。
基部フレーム14上にはエアシリンダ18が設置され(図3,図4)、このシリンダロッド19が下方に延出して、前記バランス体16の一端に連結している。そして、バランス体16の前記シリンダロッド19が連結された一端に、前記工具フレーム17が連結されている。基部フレーム14には変位センサ20が設けられ、工具フレーム17の基部フレーム14に対する相対変位を検出できるように構成されている。
【0024】
図3に示すように、工具フレーム17の下端には環状のホーン支持部21が軸受22を介して旋回可能に設けられ、このホーン支持部21にホーン23が固定される。ホーン23は上下方向に細長く形成され、その上部には超音波振動子24が固着されるとともに、ホーン23の下端には平坦な工具取付面23aが形成され、この工具取付面23aに対して前記工具9が脱着可能に取り付けられる。なお、基部フレーム14や工具フレーム17を覆うように板状のカバー45が設けられて、内部の超音波振動子24等を保護できるようになっている。
【0025】
図5の平面図に示すように、ホーン支持部21には側方に向けて突起25が設けられて、この突起25の一側に、付勢体26が工具フレーム17に設けられている。付勢体26は付勢バネ28の弾発作用により、突起25を一側に向けて常時押動するように構成されている。一方、付勢体26に突起25を挟んで対向する位置に、ツマミを有する角度微調整ネジ27が工具フレーム17に取り付けられる。
この構成において、角度微調整ネジ27のツマミを一方向に回転させると、その先端が突起25を前記付勢体26に抗して押すので、ホーン支持部21が図5の反時計回り方向に旋回される。一方、ツマミを逆方向に回転させた場合は、ネジ27の先端が後退して、前記付勢体26が突起25を押すので、ホーン支持部21は図5の時計回り方向に旋回される。従って、ネジ27を適宜回転させることで、ホーン支持部21の角度(即ち、ホーン23に取り付けられた工具9の水平面内における向き)を微調整することができる。
なお、ヘッド前面には固定ネジ36が設けられており(図3・図4)、前述の微調整作業が終了した後はこのネジ36を回転させて締め付けることで、ホーン支持部21が不用意に旋回しないよう固定できるようになっている。
【0026】
〔昇降テーブルの構成〕
ワーク13を固定するための昇降テーブル11の構成を、図6の側面図を参照して説明する。
この昇降テーブル11は、移動テーブル10の上に立設固定された基部フレーム29と、この基部フレーム29に図示せぬリニアガイドを介して昇降自在に設けられた昇降フレーム31と、を有している。
【0027】
前記基部フレーム29にはリフトシリンダ30が取り付けられ、このシリンダロッド32が上方に延出して、その先端が前記昇降フレーム31に連結されている。
リフトシリンダ30はエアシリンダ式に構成されており、圧縮空気を供給/ドレンすることで、昇降フレーム31の上下位置を変更することができる。基部フレーム29には変位センサ33が設置されて、昇降フレーム31の上下位置を測定できるようになっている。
また、内部のリフトシリンダ30や変位センサ33を保護すべく、箱状のカバー46が昇降フレーム31に設けられる。
【0028】
昇降フレーム31の上部は水平に構成され、この上に、ワーク13を取り付けるための治具12が設置される。また、治具12の脇の位置において、昇降フレーム31上にクランプ機構34が設けられている。このクランプ機構34はエアシリンダで構成されており、治具12上にワーク13を載置した状態でエアシリンダを作動させると、伸張するシリンダロッド35がワーク13を水平方向へ押圧し、治具12に設けられたガイド部に突き当てた状態で固定するようになっている。
【0029】
この超音波穿孔装置1は図示せぬ砥粒液溜めを備えており、この砥粒液溜めには、砥粒(例えば、粒径4〜6μm程度のSiC)を分散させた液体が注入されている。砥粒液溜めに接続させて、パイプや可撓性のホースや管継手などからなる砥粒液循環経路が形成され、この経路が、前記昇降テーブル11近傍に設けた中継パイプ47(図1,図2,図6に図示)に接続されている。この中継パイプ47には供給孔48が形成されるとともに、更に該供給孔48の近傍位置において、案内棒49が下向きに突設されている。案内棒49は湾曲状に構成されて斜め方向に向きを変え、その先端が、昇降テーブル11上の治具12の直上方に位置している。
この構成で、砥粒液溜めに設置された図略のポンプを駆動させると、砥粒液は中継パイプ47内に送られ、その一部が供給孔48を介して外部に漏出する。中継パイプ47の外面に漏れ出た砥粒液は案内棒49を伝って治具12上に落下し、工具9による加工に用いられる。
【0030】
〔穿孔作業の様子の説明〕
以上に示した構成において、実際に工具9を超音波振動させてワーク13に穿孔する作業を説明する。
まず、ワーク13を前記クランプ機構34により治具12上に固定したのち、前記移動テーブル10をXY方向に移動させるとともに、前記モータ7を駆動して穿孔ヘッド部4を下降させ、図6の鎖線で示すように、前記工具9がワーク13のすぐ上に僅かな隙間をおいて位置するようにする。
そして、変位センサ33で昇降フレーム31の位置を常時測定しながら、リフトシリンダ30に圧縮空気を供給して、シリンダロッド32を徐々に伸張させて昇降フレーム31を上方向へ移動させ、ワーク13を上昇させる。そして、ワーク13の上面が工具9に接触した瞬間の昇降フレーム31の位置を、装置1を制御するコントローラの適宜の記憶手段にゼロ位置として記憶しておく。
そして、穿孔ヘッド部4の超音波振動子24を駆動し、ホーン23を介して振幅数μm程度の上下方向の超音波振動を工具9に付与しながら、リフトシリンダ30に圧縮空気を供給してワーク13を上昇させ、工具9に対し押し付ける。また、前記砥粒液循環経路のポンプが駆動されることにより、中継パイプ47から案内棒49を経由して砥粒液が工具9の周囲に供給される。
これによりワーク13は、工具9との間にある砥粒によって削られてゆき、工具9に倣った形状の溝や孔等がワーク13の上面に形成される。
【0031】
なお、前述した穿孔ヘッド部4のエアシリンダ18(図3)は、工具フレーム17の変位を変位センサ20で測定しながら必要に応じて圧縮空気の給排を行って、工具フレーム17を支持する力を調節している。これにより、穿孔作業中にワーク13に対し過大な力で工具9が押し付けられることが防止されるので、本実施形態の圧電セラミックスのような脆性材料のワーク13を加工する場合でも、ワーク13の破損が十分に回避される構成となっている。
【0032】
工具9によりワーク13に穿孔を行っている間も、前記昇降フレーム31の位置が変位センサ33(図6)によって常時測定されている。そして昇降フレーム31が、前記ゼロ位置から所定の距離だけ上昇した時点で、リフトシリンダ30への圧縮空気の供給が停止され、ワーク13の上昇が停止される。この結果、前記ワーク13には、正確に当該距離だけの深さの孔あるいは溝を形成することができる。
【0033】
〔カメラ部の構成〕
次に、工具9の向きを調整するために設置されるカメラ部41を説明する。このカメラ部41は図2に示すように、昇降テーブル11の側方位置に設けられている。
図7に示すようにカメラ部41は箱状のカバー37を備えており、このカバー37の内部にCCD式のビデオカメラ38が、そのレンズ部39を上に向けた状態で収められている。カバー37の上面には透明な蓋40が、前記レンズ部39に対応する位置に開閉可能に設けられる。
【0034】
この構成における工具9の向きの調整作業を説明する。前記移動テーブル10をXY方向に移動させるとともに、前記モータ7を駆動して穿孔ヘッド部4を下降させ、図7の鎖線で示すように、カメラ38のレンズ部39の直上方に工具9が位置するようにすることで、工具9の向きをビデオカメラ38で撮影することができる。撮影された映像は、装置1の適宜位置(例えば、コラム3の側方位置)に設置したモニタに、リアルタイムに表示される。オペレータはこの映像を見ながら、前述の角度微調整ネジ27を回してホーン23の旋回角度を微調整し、工具9の向きが適正となるよう調整することができる。
【0035】
〔研磨装置の説明〕
更に、前記ホーン23の工具取付面23aを研磨するための研磨装置42を説明する。研磨装置42は図2に示すように、正面視において昇降テーブル11を挟んで前記カメラ部41の反対側に設置されている。
この研磨装置42の具体的な構成が図8に示される。この図に示すように研磨装置42は、移動テーブル10上(なお、図8においては移動テーブル10は図略とされている)に立設された筒状のフレーム50を備え、このフレーム50内に回転軸51を回転自在に軸支した構成となっている。この回転軸51の上端にはカップ型の砥石52が固着されている。回転軸51の側方にはモータ53が設置されており、該モータ53のモータ軸54が、前記回転軸51と、プーリ55・56及びベルト57を介して連結されている。
【0036】
この構成における研磨作業の様子を説明する。
即ち、ホーン23から工具9を取り外した状態で、前記移動テーブル10を移動させ、更に、前述のモータ7を駆動して穿孔ヘッド部4を下降させる。そしてモータ53を駆動して砥石52を回転させるとともに、ホーン23下面の工具取付面23aに対し砥石52の上面を接触させながら、移動テーブル10を水平に移動させることで、該工具取付面23aを研磨することができる。
なお、前記穿孔ヘッド部4には加圧シリンダ58が設置されており(図3,図4)、このシリンダ58が、ホーン23の工具取付面23aを砥石52に押し付けるために用いられる。
【0037】
以上で説明したように、本発明の超音波穿孔装置(超音波加工装置)1は、ホーン23に取り付けられた工具9を超音波により振動させ、この振動をワーク(被加工物)13との間に介在する砥粒に伝達することにより工具形状に倣った形状をワーク13に形成する。この加工を連続的に行うと、ホーン23の工具取付面23aと工具9との間の隙間に砥粒が入り込むことにより、工具取付面23aが摩滅してしまう。従って、そのような事態に至った場合には、何らかの方法で、工具9がホーン23に適正に取付けられる状態に再度戻すことが要求される。
【0038】
この点、本実施形態の超音波穿孔装置1は、ワーク13を固定する治具12が設置される移動テーブル(テーブル)10と、ホーン23の工具取付面23aを研磨するための研磨装置42とを備えており、研磨装置42は、移動テーブル10上に設けられている。これにより、ホーン23と工具9との間の隙間に砥粒が入り込むことでホーン23の工具取付面23aが摩滅しても、研磨装置42により研磨することで、工具9がホーン23に適正に取り付けられる状態に再度戻すことができる。
また、研磨装置42は治具12が設置される移動テーブル(テーブル)10上に設けられているため、移動テーブル10を移動させてホーン23と移動テーブル10とを相対的に移動させることで、工具取付面23aと研磨装置42とが対向する、研磨に適した状態に、容易に移行させることができる。更には実際の研磨作業においても、移動テーブル10の機械送り精度で工具取付面23aに対して研磨装置42を移動させ、ホーン23を研磨することができる。従って、ホーン工具取付面23aを斜めに(偏って)研磨してしまうことが防止され、工具9を取り付ける向きが傾いてワーク13に対する加工精度を低下させることがない。
更には、研磨作業の際に工具取付面23aと研磨装置42とを対向させるための移動の機能、および、研磨の際に砥石52とホーン23とを相対的に移動させる機能を、前記移動テーブル10に兼用させる構成であるから、送りのための特別な構成が不要となり、部品点数が低減される。また、移動テーブル10を送り移動させるのみでホーン23の工具取付面23aを研磨することができるから、研磨のための装置の制御も容易である。
【0039】
なお、本実施形態においては、研磨装置42が設けられた移動テーブル10が水平方向(XY方向)に移動するものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、研磨装置42を移動不能に構成してホーン23が研磨装置42に対して水平移動するものであってもよいし、移動テーブル10およびホーン23の双方が移動可能なものであってもよい。要は、ホーン23の工具取付面23aに対して相対的に研磨装置42(砥石52)を移動できれば良いのである。
【0040】
なお、本実施形態においては、ホーン23の工具取付面23aは平坦に形成されている。これにより、工具取付面23aを平坦に研磨するのみでよいから、研磨作業の際は工具取付面23aと研磨装置42とを相対的に直線状に動かすのみで良いこととなって、研磨作業が一層容易となる。
【0041】
次に、本実施形態の工具9について詳述する。
工具9は、図9(a)に示すように、ワーク13に実際に加工を施す工具本体90と、この工具本体90に分離不能に固定される取付部91とを備えて構成される。この取付部91は鍔部92を有しており、該鍔部92の上面には凸部93が形成されている。鍔部92の上面(工具本体90と反対側の面)には、平坦な取付面92aが形成されており、工具9をホーン23に取り付ける際には、この取付面92aがホーン23側の工具取付面23aと面一に接合される。凸部93は、ホーン23の工具取付面23aに設けられた凹部(図示しない)に嵌合される。
上記の構成において、工具9は、ホーン23に焼ばめにより取り付けられる。即ち、鉄で形成されたホーン23の工具取付面23a付近を加熱し、前記凹部を拡張させた上で、取付部91の凸部93を凹部に挿入させている。このように挿入された状態で、ホーン23が冷却されると、加熱により拡張されていた凹部は元の状態に収縮する。常温における該凹部の寸法形状は前記凸部93よりも僅かに小さく設定してあるので、この凹部が前記凸部93を締め付ける形となって、工具9がホーン23に固定される。
なお、工具9がホーン23に固定される方法は、上記で説明した焼ばめに限定されるものではない。例えば、前記凸部93にネジを切っておき、同様にネジを切ってある前記工具取付面23a側の凹部に螺合させることにより、工具9を脱着可能に固定する方法が考えられる。
【0042】
上記で説明したように、工具9はホーン23から取外し可能であり、該工具9が取り外された状態で、工具取付面23aが研磨装置42により研磨される。これにより、工具取付面23aの研磨作業の際に工具9が邪魔にならず、容易かつ確実に研磨作業を行える。
【0043】
また、工具9は平坦な取付面92aを有するように構成し、該工具9は、この取付面92aとホーン23側の工具取付面23aとを接合させた状態で、ホーン23に取り付けられる。これにより、ホーン23と工具9の取付面23a・92a同士が密着されるので、ホーン23の振動が工具9に確実に伝えられ、加工作業の効率が向上される。
また、ホーン23の工具取付面23aが前述のように精度良く研磨されるから、それに取付面92aを介して取り付けられる工具9も傾かずに精度良く取り付けられることとなる。従って、加工作業時の加工精度が向上する。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、ホーンと工具との間の隙間に砥粒が入り込むことでホーンの工具取付面が摩滅しても、治具が設置されるテーブル上に設けられている研磨装置により研磨することで、工具がホーンに適正に取り付けられる状態に再度戻すことができる。
また、ホーンとテーブルとを相対的に移動させることで、ホーンの工具取付面と研磨装置とを対向させる状態とすることができる。従って、加工作業から研磨作業に移行するのも容易である。
更には、この研磨作業を、前記ホーンの機械送り精度あるいは前記テーブルの機械送り精度で工具取付面に対して研磨装置を移動させることで行うことができる。従って、ホーン工具取付面を斜めに(偏って)研磨してしまうことが防止され、工具を取り付ける向きが傾いて被加工物に対する加工精度を低下させることがない。また、研磨作業の際に工具取付面と研磨装置とを相対的に移動させることを、ホーンの送り装置またはテーブルの送り装置によって行わせる構成であるから、送りのための特別な構成が不要となり、部品点数が低減される。また、ホーンあるいはテーブルを送り移動させるのみでホーンの工具取付面を研磨することができるから、研磨のための装置の制御も容易である。
【0045】
請求項2の発明によると、工具がホーンから取り外された状態で工具取付面を研磨できるため、研磨作業の際に工具が邪魔にならず、容易かつ確実に研磨作業を行える。
【0046】
請求項3の発明によると、工具取付面を平坦に研磨するのみでよいから、研磨作業の際は工具取付面と研磨装置とを相対的に直線状に動かすのみで良いこととなって、研磨作業が一層容易となる。
【0047】
請求項4の発明によると、ホーンと工具の取付面同士が密着されるので、ホーンの振動が工具に確実に伝えられ、加工作業の効率が向上される。
また、ホーンの工具取付面が前述のように精度良く研磨されるから、それに取付面を介して取り付けられる工具も傾かずに精度良く取り付けられることとなる。従って、加工作業時の加工精度が向上する。
【0048】
請求項5の発明によると、テーブル及び/又はホーンを移動させることで、ホーンの工具取付面に対して相対的に研磨装置を移動させ、研磨作業を容易に行うことができる。また、高い精度で工具取付面を研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波穿孔装置の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく正面図。
【図3】穿孔ヘッド部の側面図一部断面図。
【図4】同じく正面図。
【図5】同じく平面断面図。
【図6】昇降テーブルの側面断面図。
【図7】カメラ部の側面断面図。
【図8】研磨装置の正面断面図。
【図9】工具の、(a)は側面図、(b)は底面図。
【符号の説明】
1 超音波穿孔装置(超音波加工装置)
9 工具
10 移動テーブル(テーブル)
13 ワーク(被加工物)
23 ホーン
23a 工具取付面
42 研磨装置
Claims (5)
- ホーンに取り付けられた工具を超音波により振動させ、この振動を被加工物との間に介在する砥粒に伝達することにより工具形状に倣った形状を前記被加工物に形成する超音波加工装置であって、
前記被加工物を固定する治具が設置されるテーブルと、
前記ホーンの工具取付面を研磨するための研磨装置とを備え、
前記研磨装置は、前記テーブル上に設けられていることを特徴とする超音波加工装置。 - 請求項1に記載の超音波加工装置であって、前記工具は前記ホーンから取外し可能であり、該工具が取り外された状態で、前記工具取付面が前記研磨装置により研磨されることを特徴とする超音波加工装置。
- 請求項1または請求項2に記載の超音波加工装置であって、前記ホーンの工具取付面は平坦に形成されていることを特徴とする超音波加工装置。
- 請求項3に記載の超音波加工装置であって、前記工具は平坦な取付面を有するように構成し、該工具は、その取付面とホーン側の工具取付面とを接合させた状態で前記ホーンに取り付けられるように構成したことを特徴とする超音波加工装置。
- 前記テーブル及び/又は前記ホーンは、移動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の超音波加工装置。
Priority Applications (1)
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JP2002159478A JP2004001123A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 超音波加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002159478A JP2004001123A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 超音波加工装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105798719A (zh) * | 2016-03-30 | 2016-07-27 | 魏会芳 | 一种用于智能化生产滴流瓶杆的装置 |
CN110216531A (zh) * | 2019-06-28 | 2019-09-10 | 深圳市圆梦精密技术研究院 | 双头超声波加工设备及应用其的双面加工方法 |
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2002
- 2002-05-31 JP JP2002159478A patent/JP2004001123A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105798719A (zh) * | 2016-03-30 | 2016-07-27 | 魏会芳 | 一种用于智能化生产滴流瓶杆的装置 |
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CN110216531B (zh) * | 2019-06-28 | 2024-05-24 | 深圳市圆梦精密技术研究院 | 双头超声波加工设备及应用其的双面加工方法 |
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