JP2003534066A - 重イオン治療室内の、頭／頸部に腫瘍のある腫瘍患者を配置する装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、重イオン治療室（５）内に頭／頸部（３）に腫瘍（２）のある腫瘍患者（１）を、空間座標により固定される不変方向（Ｃ）からの重イオンビームに関連し配置する装置に関する。重イオンビーム（６）は、２個の高速偏向マグネット（７）の手段により水平および垂直方向に腫瘍断面上にビーム方向（Ｃ）と直交するようガイドされる。イオンビーム（６）の貫通の深さは、照射プランの重イオン投与の調整手段による重イオンエネルギーおよび照射量の変化により決定でき、照射室に設置されたPETカメラによりモニターできる。その装置は、患者用寝椅子の代用として、患者（１）を座り位置に固定し、装置（８）の移動の自由度により患者（３）の腫瘍（２）をイオンビーム（６）の同一中心（９）に保つ機構を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、重イオン治療室内に頭または頸部に腫瘍がある腫瘍患者を位置決め
する装置に関する。

【０００２】 公知のイオン治療室には、患者用寝椅子が設けられ、それに患者が照射マスク
の手段により頭／頸部の位置を固定され、患者用寝椅子は、重イオン治療ビーム
用水平ビームチューブと一直線になっている。このような公知の装置では、照射
または衝撃の方向が患者の頭の正面となり、限られた場合にのみ満足できる投与
分布が得られる。その目的のためイオンビームは、２個の急速に作動する偏向マ
グネットの手段により、腫瘍の断面上に水平および垂直方向にイオンビームを横
断してガイドされ、重イオンビームの貫通の深さは、照射プラン上の重イオンの
調整手段による重イオンビームエネルギーおよび照射量の変化により、腫瘍組織
のサイズおよび空間的広がりの関数として決定される。照射の間、照射手順は照
射室に設置されたPETカメラによりモニターされる。

【０００３】 しかしながら、脳幹、視神経、視神経の交差、または眼のようなハイリスク器
官に直接近接する腫瘍にありがちな形状の結果として、患者の頭／頸部のハイリ
スク器官をすべて、自由度が一つだけ患者用寝椅子の垂直軸についての回転によ
り与えられるのでは、常に十分に防護できるわけではない。従って、個々のハイ
リスク器官の負荷がいまだに投与量ヒストグラムによる許容範囲と思われる放射
プランなら、どれでも実際に適用できるというわけではない。そのような場合、
頭／頸部におけるイオンビームのリスクのない照射角度または衝撃角度に、絶対
的に信頼できる保証がないからである。

【０００４】 重イオンビームの使用もまた限定される。というのは、イオンが非常に不均質
な物質を通過した後、ハイリスク器官の前で直ちに止めなければならなかったか
らである。わずかに不正確な横方向の配置が作用域においては相当な変化となり
、その結果ハイリスク器官への誤った投与となる。そのため患者用寝椅子の可能
性は制限され、頭／頸部の腫瘍の処理には僅かに限られた可能性しかない。

【０００５】 本発明の課題は、患者用寝椅子の代用として、患者の頭の照準合わせのための
自由度を更に少なくとも一つ可能にする装置を提供することにある。

【０００６】 公知の解決手段には、イオンビームガントリの構造が含まれ、それに患者用寝
椅子が挿入され、イオンビームが円筒状受け台にガイドされ、全ての空間方向か
ら患者に照射できるようになっている。それでもこの様なコスト中心の解決は、
重イオンビームが、空間座標に関し不変の空間方向のみから水平に照射される時
、重イオン治療室には適当でない。同様に、腫瘍断面を急速スキャニングする間
のイオンビームの僅かな偏位では、そのような方法で装備される重イオン治療室
のその問題を解決できない。更に、建物の数階に渡るガントリの空間容積は、限
定された重イオン治療室には適当でない。

【０００７】 この問題は、独立クレームによって解決される。本発明のより好ましい更なる
改良が従属クレームに開示されている。

【０００８】 本発明によると、腫瘍患者を配置する装置は、患者用寝椅子の代用として、
患者を座り位置に固定する装置を有する。装置は、装置の移動の自由度により、
患者の腫瘍を重イオンビームと同一中心に維持する機構を有する。腫瘍を重イオ
ンビームの同一中心に維持すると、患者の座り位置により与えられる全ての可能
な自由度が、単に腫瘍組織が破壊できる角度のみならず、三次元座標Ｘ、Ｙおよ
びＺ内の患者の固定についても有効であるという利点がある。即ち、デカルト座
標システムの原点は、同時に腫瘍の中心とイオンビームとの交点であり、角度の
変更および調節の如何に係わらず、その配置は、座り位置の患者用装置の回転移
動の自由度を追加する手段により維持される。

【０００９】 装置のより好ましい例では、装置は、移動の更なる自由度として、重イオンビ
ームと同一中心に交差する少なくとも一つの水平軸についての傾斜移動を有する
。そのような傾斜移動は通常の患者用寝椅子には設けられていないので、装置の
傾斜移動によりこれまで処理できなかった患者を処理することが可能である。

【００１０】 本発明の更なる例では、装置は、同一中心に重イオンビームと交差する垂直軸
についての回転移動の自由度を有する。装置の移動のその自由度で、装置を、回
転移動の自由度が一つしかない患者用寝椅子の可能性に適応させる。その結果、
患者用寝椅子用に供される処理プランが、簡単な方法で新たな装置用処理プラン
に再計算、または変更することができる。

【００１１】 更なるより好ましい例では、装置は定位固定座標(stereotactic coordinates)
Ｘ、ＹおよびＺの３並進移動(three translations)の自由度を有する。本発明の
別の例の、別の自由度用駆動の空間配置は、並進移動用駆動が回転運動用駆動の
上の位置に配置されるように、相互に調整される。ただその位置配置のみにより
装置は回転の自由度を利用でき、同一中心の腫瘍位置の同時保持を可能にする。
その結果、有利な方法では、同一中心に関する装置の調整も、全ての設定の最初
に、目標物を頭または頸部の腫瘍の照射に、３並進移動手段により統合し、その
後、同一中心回転および／または装置の同一中心傾斜を実施することにより促進
される。

【００１２】 その目的のために、発明の更なるより好ましい例では、水平および垂直軸につ
いての回転移動のための駆動は、重イオンビームの同一中心の交点で、患者シー
ト位置の下方、および並進駆動の下の空間に配置される。

【００１３】 発明の更なる好ましい例では、水平軸についての回転または傾斜のために、装
置は、シート部分および／または寝椅子部分の下にカーブしたガイドを有する。
本発明のより好ましい例において、患者のシート位置が寝椅子位置に調整できる
場合には、寝椅子部分だけが関連する。しかしこれは、水平および垂直回転移動
を患者の頭部／頸部と同一中心に同時に止めておく時には、高レベルの技術的複
雑さを伴う。

【００１４】 発明のより好ましい例では、移動の全ての調整可能な自由度は、電動モーター
で調整できる。そのような電動モーター駆動は、並進調整および回転調整の両方
を最高の精度で実行でき、その結果、０．５ｍｍ未満の精度が並進方向で達成で
き、０．１°未満の角度誤差が回転方向で達成できる利点がある。

【００１５】 装置の更なる好ましい例では、装置は、駆動ユニットとして、定位固定座標の
３並進方向であるＸ、Ｙ、およびＺ方向の転位用に、および水平および垂直軸に
ついての回転用に、位置測定手段、リミットスイッチ、および電気制御モジュー
ルを有するステッパーモーターを有する。ステッパーモーターの利点は、電気制
御モジュールの方法によりデジタルに制御できることであり、装置の並進および
回転移動が、予め定めた精度のステップで実行できることである。リミットスイ
ッチにより、設定されたパラメーターからの極度の角度および極度の横方向の逸
脱、および電気制御モジュールによる照射プランの不正な解釈に対し、更に安全
性が高まる。

【００１６】 本発明の更なる好ましい改良では、装置の並進転置用駆動は、装置の直接シー
ト位置の外側に配置される。これはシート位置をできるだけ低く配置できる利点
があり、例えば、Ｚ方向の高さ調整用並進駆動をシート背面部に配置することで
ある。

【００１７】 特に、装置は、好ましくは自動緊急切断スイッチを備え、処理位置の明らかな
不正解釈の際に急速および自動的な介入および訂正を可能にする。その目的のた
め、装置は、衝突防護を備え、および移動限界モニタリング装置と協同する制御
プログラムの手段により制御可能である。

【００１８】 発明の更なる例では、重イオンビーム方向の装置の並進転置は移動レール上に
設けられ、パーク位置から与えられた患者処理位置までの装置の移動の長い通路
が設けられ、微調整用装置は、移動レールとは独立し、患者処理位置で有効であ
る。これは、本発明の装置が、患者を座り位置に固定するが、患者用寝椅子の挿
入を妨げないパーク位置へ短時間で転置できる利点がある。発明の更なる好まし
い実施例では、装置の全ての並進的に調整可能な自由度の配置精確度は、０．５
ｍｍに満たないまたは等しい、好ましくは０．１ｍｍに満たないまたは等しい。
この高レベルの位置精度により確実に、装置が重イオンビームに対し同一中心に
正確に設定され、配置偏向およびそれによる不正照射が避けられる。この理由の
ため、装置は±１乃至±０．５ｍｍの精度で同一中心に調整可能である。そのた
め、装置は、好ましくは重イオンビーム処理室の位置モニタリング手段と協力す
る方法で、腫瘍位置が連続して同一中心にモニターされるように接続される。そ
のような配置モニタリング手段は、好ましくはＸ線カメラである。Ｘ線カメラは
、正確に処理の前後に並進位置を設定し、それにより確実に装置が処理と処理の
間も正確に作動する。

【００１９】 更なる発明の実施例では、装置は、目標座標および横たわりおよび／または座
り位置の患者の配置用処理設定を、適切に再計算するコンピューターを有する。
そのようなコンピューター手段により、横たわりおよび座り位置からなる二つの
照射位置を結合し、様々な照射角度での照射の実行が有利に可能となり、腫瘍の
上にある健康な組織が最適に防護される。

【００２０】 患者の照射をモニターするために、PETカメラのカメラヘッドは、好ましくは
重イオンビーム軸について回転可能に取り付けられる。回転可能に取り付けるこ
とで、患者用寝椅子への照射および中で患者が座り位置にある装置への照射を、
同一のPETカメラを用いてモニターできる。

【００２１】 この様に、装置の好ましい実施例では、座りおよび横たわり位置の患者の併行
照射が、患者用寝椅子および発明による装置に関連し可能である。

【００２２】 患者の体のサイズを、重イオンビームの同一中心に適合させるため、装置はＺ
方向に充分に調節可能な高さ設定を有する。その目的のため、高さ調節手段は、
±１００乃至±５００ｍｍ、好ましくは±２００乃至±３００ｍｍの移動範囲を
有する。高さ調節手段は、１乃至１５ｍｍ/ｓ、好ましくは２乃至５ｍｍ/ｓの移
動速度で運転でき、患者がいない時は高速移動を行うが、患者が位置についてい
る時は低速移動を行う。

【００２３】 患者処理位置で、およびＹ方向の水平並進転置おいて、駆動装置は好ましくは
１００乃至２００ｍｍ、好ましくは１２０乃至１５０ｍｍの移動範囲と、５乃至
２００ｍｍ/ｓ，好ましくは、８乃至１０ｍｍ/ｓの移動速度を有する。

【００２４】 水平軸についての回転は、好ましくは、傾斜範囲±３０°、好ましくは±２０
°で運転するより好ましい傾斜移動に限定され、傾斜移動速度は０．５乃至１°
/ｓ、好ましくは０．６°乃至０．８°/ｓである。その場合にも、患者が座り位
置に固定される時、低傾斜移動速度が使われる。

【００２５】 垂直軸についての回転の範囲は限定されず、０乃至３６０°の完全円周でよい
。患者が、頭／頸部の患者の重イオン処理用座り位置にある時は、回転運動は、
患者用寝椅子の場合より少ないスペースで有利に行うことができる。そのような
回転には、発明の好ましい実施例では、１乃至１０°/ｓ、好ましくは３乃至６
°/ｓの垂直軸についての回転速度が好ましい。

【００２６】 頭および／または頸部の患者の腫瘍を空間座標に関し固定される重イオンビー
ム方向を有する重イオン処理室で処理する好ましい方法は、発明による装置を腫
瘍患者の配置に使用する際、以下のステップを含む： - ハイリスク部分を考慮し、腫瘍の方向へ健康な組織を通る重イオンビーム（
５）の最適破壊角度の計算； - 患者が定位置に固定される患者用椅子のパーク位置から処理位置への移動； - Ｘ、ＹおよびＺ方向の３並進による、腫瘍を同一中心に位置するように定位
固定目標点の設定； - 水平および／または垂直軸についての同一中心の回転移動による最適破壊角
度の設定； - 組織の周囲の影響を最低限に、計算された最適破壊角度での腫瘍組織の正確
に測定された照射。

【００２７】 方法のより好ましい実施では、処理位置に到達した後、Ｘ、ＹおよびＺ方向の
並進調整の一番目を、腫瘍がイオンビームの同一中心に配置されるまで行い、水
平軸についての回転を行い、それは装置のシート部分の下のカーブしたガイド手
段により調整され、最後に、垂直軸についての回転調整を行う。本発明によれば
、腫瘍をイオンビームの同一中心に整列させる並進運動用駆動は、傾斜移動用カ
ーブしたガイドの上、回転移動用駆動の上に空間的に配置され、回転運動の軸は
有利に同一中心に交差し、腫瘍の並進転置は有利に回転運動に関係しない。

【００２８】 装置の更なる特徴、利点および特性を、図１を参照して、実施例により詳細に
記載する。

【００２９】 図１は、頭／頸部３に腫瘍２のある腫瘍患者１を、空間座標で固定され変更不
可方向Ｃからの重イオンビーム６に関する重イオン治療室５内に配置する装置８
を示す。重イオンビーム６は、急速偏向マグネット７の手段により、ビームに直
交して、腫瘍の断面上水平および垂直方向にガイドすることができる。重イオン
ビーム６の貫通の深さは、照射室内の重イオン投与の調整手段による重イオンエ
ネルギーおよび照射量を変えることにより決定できる。

【００３０】 使用される重イオンは、通常カーボンイオンであるが、プロトンのような軽イ
オンを用いる処理室における手順を行うことができる。

【００３１】 患者の照射は、ここでは示されていないが、PETカメラの手段でモニターされ
る。発明のこの実施例では、垂直軸１１についての回転運動Ａおよび水平軸１０
についての回転運動Ｂは、重イオンビームの同一中心９で交差する。腫瘍患者の
配置用のこの装置上に、患者は座り位置に固定される。

【００３２】 このような照射室に通常使用される患者用寝椅子は、図面の装置を横切る位置
で、示されていないが、パーク位置に配置される。患者は患者用寝椅子上で頭ま
たは頸部にある腫瘍と同一中心の周りを回転しなければならないので、患者の頭
および頸部３の腫瘍処理用のそのような患者寝椅子は、図面の装置に比較して実
質上大きな半径を必要とする。この実施例では、患者用寝椅子用駆動手段２０は
、患者用椅子２１の真下に配置される。

【００３３】 並進方向Ｘ、ＹおよびＺはまた、患者用寝椅子の駆動ユニット２０内に、垂直
軸１１についての患者用寝椅子の回転移動Ｄの方向に設けられている。照射角ま
たはイオンビーム６の破壊角は、前面で、限られた手段で調整することができる
。PETカメラ（図示せず）を使用できるようにするために、患者用椅子２１およ
び患者用寝椅子（図示せず）を使用する場合いずれも、カメラヘッドは重イオン
ビーム６のビーム軸Ｃについての回転可能に取り付けられる。照射手順をモニタ
ーするために、カメラヘッドは、横になった位置の操作では垂直に一直線になる
ように患者用椅子の位置の操作では水平に設定される。

【００３４】 患者用椅子２１は、装置２３によって支えられる片保ちプラットフォーム２４
上に配置される。装置２３は、床下ガイド１８および１９の手段により、床下移
動レール１６上を移動可能である。患者が患者用寝椅子上で処理され、処理のた
め図１に示す処理位置へ動かされるとき、片保ちプラットフォーム２４は、装置
２３の手段によりパーク位置へ動かすことができ、プラットフォーム２４は、寝
椅子の駆動ユニット２０の上に配置される。患者椅子の調整用自由度は、上から
下まで、以下の順序で空間的に設けられる： １．駆動ユニット１２の手段による傾斜 ２．駆動ユニット１３の手段による回転 ３．ＸおよびＹの水平方向の、Ｘ方向へは駆動ユニット２５により、Ｙ方向へは
ユニット２６による並進 ４．垂直並進、並進駆動２５および２６上に垂直に配置されたＺ方向のカラム２
８に固定される駆動ユニット２７

【００３５】 垂直並進は、患者の体のサイズをマッチさせる役目を果たす。その目的のため
、垂直並進用駆動ユニット２７は、患者用椅子の背１７に連結される。本発明の
この実施例の重要な技術データを表１に示す。

【００３６】

【表１】

【００３７】 垂直軸１１および水平軸１０についての二つの回転用、および水平並進用の機
械は、シート部分の下に位置し、この実施例では３５ｃｍ未満の高さが必要であ
る。装置は、ビーム方向Ｃを横切り、空間的に固定された垂直軸１０について傾
く。患者用椅子２１は同時にカーブしたガイド１５内を移動する。回転と傾斜は
同一中心であり、軸１１と１０との交点は、Ｘ、ＹおよびＺ方向の並進調整の方
法で、空間的に固定することができ、同一中心に配置できる。並進の移動範囲内
で、患者頭部のどんな目標点でも同一中心に設定することができる。垂直並進の
移動範囲が椅子の背の後方に位置し、更にまた患者のサイズの補正に適合する。
図１の実施例のこの装置の全自由度は、モーターで制御される。

【００３８】 ±０．５ｍｍの誤差限界は、本来の位置決め精度およびスペース内の位置精度
の両者により達成される。

【００３９】 処理椅子の重要な特性は、患者用寝椅子の場合に既に試みられたのと類似の配
置技術が用いられることである。このため、回転軸は直角に設定され、回転の角
度は０°に設定され、患者がビームの方に向くようにする。定位固定座標は、そ
れから、Ｘ、ＹおよびＺ方向の３並進による目標装置の助けにより調整され、最
後に回転の角度および傾斜角度が、イオンビームの破壊方向を決定するために設
定される。

【００４０】 本手順の利点は、患者用寝椅子の配置と同じように進行し、そのため、照射プ
ランに困難性が増えないことである。この様に、角度依存の並進の必要がないの
で、照射プランの変更が管理可能である。しかしながら、本発明による装置の重
要な違いは、少なくとも２つの角度を調節できる可能性にある。プラニングプロ
グラムで、イオンビームの水平ビームチューブに対しては患者用寝椅子を用いる
照射の間９０°のガントリ角度が期待され、前面内の照射または破壊の方向がテ
ーブルの角度により調整できる。

【００４１】 傾斜を使用せず患者用椅子を使用するのは、患者用寝椅子用プラニングプログ
ラムに相当し、照射および破壊角の方向が並進平面内のみで実行することができ
る。しかしながら、傾斜角が使用される時は、患者用椅子角度と患者用寝椅子調
整角度との２つの可能性の連動はない。調整されるべき椅子角度は、プラニング
角度からの座標変換の手段により計算することができる。プラニング実施につい
て、患者用椅子の患者配置用のこの装置との連動の決定的な利点は、患者用寝椅
子用プランおよび処理椅子用の両方のプランが同じプログラムを用いて計算でき
ることにある。

【００４２】 この様に、混合ゾーン（寝椅子および椅子）の照射プランの先行必要条件は、
原則としてさらに、発明による装置の使用である。これにより頭および頸部に腫
瘍がある腫瘍患者の処理に対するプラニングの自由度が増す。発明による患者用
椅子は、従って、通常の医療照射装置の延長であり、患者の頭および頸部の腫瘍
の処理の可能性の改良である。

【００４３】 照射室内の照射点が、床から予め定められた低い高さにあるという事実を考慮
し、通常の患者用椅子が不適当なのは、特に患者用寝椅子用の駆動機構および駆
動ユニット２０が、既に照射点より低い間違った床に配置されるからである。寝
椅子２０の駆動ユニット上に突出する片保ちプラットフォーム上の患者椅子２１
全体の配置による特別な利点は、配置装置が前後に、処理位置およびパーク位置
の間を反復性良く移動できることである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 重イオン治療室内の、頭または頸部に腫瘍がある腫瘍患者の位置決めする装置
（実施例）

【符号の説明】

１ 腫瘍患者 ２ 腫瘍 ３ 頭／頸部分 ４ 照射マスク ５ 重イオン治療室 ６ 重イオンビーム Ｃ 重イオンビーム方向 ７ 偏向マグネット ８ 患者の配置装置 ９ 同一中心 Ｂ 傾斜移動 １０ 水平軸 Ａ 垂直軸についての回転移動 １１ 垂直軸 １２ 水平軸についての回転移動用駆動 １３ 垂直軸についての回転移動用駆動 １４ シート位置 １５ カーブしたガイド １６ 移動レール １７ シート背部 １８，１９ 床下ガイド ２０ 患者用寝椅子用駆動ユニット ２１ 患者用椅子 ２２ 周囲の組織 Ｄ 患者用寝椅子の回転移動方向 ２３ 患者用椅子の移動用装置 ２４ プラットホーム ２５ Ｘ方向用駆動ユニット ２６ Ｙ方向用駆動ユニット ２７ 高さ調節用駆動ユニット ２８ カラム

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１４年８月１４日（２００２．８．１４）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｇ２１Ｋ 5/10 Ｇ２１Ｋ 5/10 Ｍ Ｔ Ｆターム(参考） 4C082 AA01 AC05 AE01 AG05 AG09 AJ06 AJ13 AJ16 AL02 AL03 AL04 AL06 AP07 AP08 AR07 AR12

Claims (32)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 重イオン治療室（５）内で照射マスク（４）の手段で固定さ
   れる頭／頸部（３）に腫瘍（２）のある腫瘍患者（１）を配置する装置で、空間
   座標により固定される不変方向（Ｃ）からの重イオンビームに関連し、重イオン
   ビーム（６）は、２個の高速偏向マグネット（７）の手段により腫瘍断面上に水
   平および垂直方向にビーム方向（Ｃ）と直交するようガイドされ、重イオンビー
   ム（６）の貫通の深さは、照射プランの重イオン投与の調整手段による重イオン
   エネルギーおよび照射量の変化により決定でき、照射室に設置されたPETカメラ
   によりモニターでき、 その装置が、患者用寝椅子の代わりとして、患者（１）を座り位置に固定し、装
   置（８）の移動の自由度により、患者（３）の腫瘍（２）を重イオンビーム（５
   ）の同一中心（９）に保つ機構を有することを特徴とする装置。
2. 【請求項２】 装置（８）の移動の自由度が、水平軸（１０）についての傾
   斜移動（Ｂ）を有し、それが同一中心（９）に重イオンビーム（６）と交差する
   ことを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 【請求項３】 装置（８）の移動の自由度が、垂直軸（１１）についての
   回転移動（Ａ）を有し、それが同一中心（９）に重イオンビーム（６）と交差す
   ることを特徴とする請求項１または２に記載の装置。
4. 【請求項４】 装置（８）の移動の自由度が、定位固定(stereotactic)座標
   （Ｘ、Ｙ、Ｚ）内の３並進を有することを特徴とする前記請求項の何れか１に記
   載の装置。
5. 【請求項５】 重イオンビーム（５）の同一中心（９）内に交点のある水平
   および垂直軸（１０，１１）についての回転移動用駆動（１２，１３）が、患者
   （１）のシート位置（１４）の下に配置されることを特徴とする前記請求項の何
   れか１に記載の装置。
6. 【請求項６】 水平軸（１０）についての回転または傾斜用に、装置（８）
   が、シート部分および／または寝椅子部分の下にカーブしたガイド（１５）を有
   することを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
7. 【請求項７】 移動の調整可能な自由度が全て電動モーターによって設定で
   きることを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
8. 【請求項８】 装置（８）の移動の自由度の調整により、下から上へ、傾斜
   、回転、並進（Ｘ、Ｙ、Ｚ）の順に同一中心傾斜および回転が生じることを特徴
   とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
9. 【請求項９】 装置（８）が、Ｘ、ＹおよびＺ方向の転置用、定位固定(ste
   reotactic)座標の３並進用、および水平および垂直軸（１０、１１）についての
   回転用駆動ユニット（１２，１３）として、位置測定手段、リミットスイッチお
   よび電子制御モジュールを有するステッパーモーターを有することを特徴とする
   前記請求項の何れか１に記載の装置。
10. 【請求項１０】 パーク位置にある時に、装置が、照射位置にある患者用寝
    椅子への照射を許可することを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
11. 【請求項１１】 装置（８）の並進転置用駆動が、装置（８）のすぐ近くの
    シート位置（１４）の外側に配置されることを特徴とする前記請求項の何れか１
    に記載の装置。
12. 【請求項１２】 装置（８）に自動緊急切断スイッチが設けられることを特
    徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
13. 【請求項１３】 装置（８）が、衝突を防止し移動制限／モニタリング手段
    と協同するプログラムの手段により制御可能であることを特徴とする前記請求項
    の何れか１に記載の装置。
14. 【請求項１４】 装置（８）の並進転置が、移動レール（１６）上の重イ
    オンビーム（６）の方向に備えられ、パーク位置から患者処理位置へ装置（８）
    の移動の長い通路が備えられ、および患者処理位置に微調整装置が備えられるこ
    とを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
15. 【請求項１５】 全ての並進調節可能な自由度（Ｘ、Ｙ、Ｚ）における装置
    （８）の位置精度が、０．５ｍｍに満たないまたは等しいことを特徴とする前記
    請求項の何れか１に記載の装置。
16. 【請求項１６】 装置（８）が、±０．１乃至±０．５ｍｍの精度で同一中
    心（９）に設定できることを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
17. 【請求項１７】 装置（８）が、重イオン処理室（４）内の位置モニタリン
    グ手段と協動し、その手段が同一中心（９）の腫瘍位置をモニターすることを特
    徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
18. 【請求項１８】 位置モニタリング手段が、Ｘ線カメラであることを特徴と
    する請求項１７記載の装置。
19. 【請求項１９】 装置（８）が、患者（１）を横たわりおよび／または座り
    位置に配置する標的座標および処理設定を、適切に再計算するコンピュータを有
    することを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
20. 【請求項２０】 頭／頸部の腫瘍の照射用標的座標が、並進移動およびその
    後の同一中心回転および／または同一中心傾斜により調整されることを特徴とす
    る前記請求項の何れか１に記載の装置。
21. 【請求項２１】 PETカメラのカメラヘッドが、患者の照射のモニタリング
    用に、重イオンビーム軸（６）について回転可能に取り付けられることを特徴と
    する前記請求項の何れか１に記載の装置。
22. 【請求項２２】 患者用寝椅子と接続する装置（８）により、患者に座り位
    置および寝位置の併用照射が可能なことを特徴とする前記請求項の何れか１に記
    載の装置。
23. 【請求項２３】 装置（８）が、装置（８）を患者（１）の体のサイズに重
    イオンビーム（６）の同一中心（９）に関しマッチさせるための高さ調節手段を
    有することを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
24. 【請求項２４】 高さ調節手段が±１００乃至±５００ｍｍ、好ましくは±
    ２００乃至±３００ｍｍの範囲の移動範囲を有することを特徴とする請求項２３
    に記載の装置。
25. 【請求項２５】 高さ調節手段が１乃至１５ｍｍ/s、好ましくは２乃至５ｍ
    ｍ/sの移動速度を有することを特徴とする請求項２３または２４に記載の装置。
26. 【請求項２６】 患者処理位置において、装置（８）がＸおよびＹ方向の水
    平並進転置を有し、移動範囲が±１００乃至±２００ｍｍ、好ましくは±１２０
    乃至±１５０ｍｍであることを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置。
27. 【請求項２７】 装置（８）のＸおよびＹ方向の移動速度が、５乃至２０ｍ
    ｍ/s、好ましくは８乃至１０ｍｍ/sであることを特徴とする請求項２６に記載の
    方法。
28. 【請求項２８】 水平軸（１０）についての回転用に、装置（８）が±３０
    °、好ましくは±２０°の傾斜範囲の傾斜移動手段を有することを特徴とする前
    記請求項の何れか１に記載の装置。
29. 【請求項２９】 傾斜移動（Ｂ）の速度が０．５乃至１°/s，好ましくは０
    ．６乃至０．８°/sであることを特徴とする請求項２８に記載の装置。
30. 【請求項３０】 垂直軸（１１）についての回転用に、装置（８）が０乃至
    ３６０°の回転範囲を持つことを特徴とする前記請求項の何れか１に記載の装置
    。
31. 【請求項３１】 垂直軸（１１）についての回転速度が１乃至１０°/s，好
    ましくは３乃至６°/sであることを特徴とする請求項３０に記載の装置。
32. 【請求項３２】 頭および／または頸部（３）の患者（１）の腫瘍（２）を
    空間座標に関し固定される重イオンビーム方向（Ｃ）を有する重イオン処理室（
    ５）で処理する方法で、前記請求項の何れか１に記載の腫瘍患者（１）を配置す
    る装置（８）を用い、次のステップを含む方法： 腫瘍（２）方向の健康な組織を通る重イオンビームの最適破壊角度を計算； 患者用椅子（２１）をパーク位置から処理位置へ移動；、 Ｘ、Ｙ、Ｚ方向の３並進による定位固定目標点座標(stereotactic target-p
    oint coordinates)を、腫瘍（２）が同一中心（９）に配置されるようにセット
    ； 水平および／または垂直軸（１０，１１）についての回転移動による最適破
    壊角度をセット； 周囲の組織の影響を最低限に、計算された最適破壊角度で調整された腫瘍組
    織の照射。