JP2003531030A - 画像受容シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 マルチプリント刷りのスタックにおける画像形成したシート間での、液性の画像形成インク液滴の転移を防ぐように適応された液体インク反撥性コーティング。その反撥性コーティングは、約３０ｍＪ／ｍ^２未満の表面エネルギーを有するポリマー組成物と、艶消剤としての不溶性粒状充填剤とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 技術分野 本発明は、インクジェットプリンタにより形成される画像用の受容体要素を提
供するための、フィルム材料に被着されるコーティングに関する。さらに詳細に
は、本発明は、印刷中、画像が乾燥する前にインク液滴を汚すことなく、複数の
画像形成したシートの間で接触できるように、一方の面にインクジェット画像受
容コーティングを、他方の面にインク反撥性コーティングを有するフィルムに関
する。

【０００２】 背景 インクジェット印刷および電子写真印刷またはレーザー印刷を含む印刷法は、
紙およびフィルムなどの様々な受容基材上に文字および図柄を印刷するために、
家庭および職場で広く受け入れられている。そのフィルムは、オーバーヘッドプ
ロジェクタ用の透明フィルムとして使用してもよい。インクジェットプリンタは
、画像を形成するインク液滴を迅速に吸収する紙製基材での使用にもまた適して
おり、紙受容体表面からシートの繊維状バルク中に液滴が吸収される。インク液
滴の紙シートへの移行は、いくつかの方法でまだ乾いていない画像が汚される場
合に生じる可能性のある画像品質の低下を防ぐ。

【０００３】 紙とは異なり、フィルム材料は、インクジェットプリンタで通常使用されるイ
ンクを吸収する固有の能力を持たない。プラスチックフィルムは実質的に液体に
不浸透性であることから、透明フィルム上の画像形成インク液滴の取り込みは、
技術上の挑戦を表す。インク受容表面を形成する従来の方法は、フィルム表面を
インク受容層でコーティングすることを含む。通常、親水性コーティング（イン
ク受容層）は、インク液滴を吸収して、インク移りまたはフィルム表面全体のに
じみによって生じる可能性のある画像鮮明度の低下を最小限にする。

【０００４】 フィルム材料に被着された親水性コーティングは、インクジェット画像に受容
層を提供することが知られている。この種類の受容層は、毛管作用によってイン
ク液滴を吸収するために多孔質であってもよい。かかるコーティングは、例えば
米国特許第５，２６４，２７５号に記載されている。吸収性インクジェット受容
コーティングの代りの種類は、画像形成インク液滴を吸収すると同時に膨潤する
ポリマーを含む。かかるコーティングには、米国特許第３，８８９，２７０号、
同第４，５０３，１１１号、同第４，５６４，５６０号、同第４，５５５，４３
７号、同第４，３７９，８０４号、同第５，１３４，１９８号および同第５，３
４２，６８８号に記載されたコーティングが含まれる。親水性インクジェット受
容コーティングには、米国特許第４，３７９，８０４号に記載された多層コーテ
ィングもまた含まれる。

【０００５】 インクジェット画像受容コーティングに加えて、インクジェット印刷可能な媒
体のフィルムシートは、表面あらさ、静電荷の蓄積、およびカール癖など、シー
トの物理的性質を制御するための更なる処理を必要とする。インク受容コーティ
ングの反対側の裏面コーティングは、表面あらさを提供して、インクジェットプ
リンタの輸送ローラーによるシート供給を助ける可能性がある。帯電防止コーテ
ィングの被着および関連する処理は、シート間の供給問題およびスタッキング問
題を生じる可能性のある静電荷の蓄積を低減する。インクジェット受容シート上
の裏面コーティングのごく一般的な機能は、カールの制御である。低湿度条件下
では、インク受容コーティングは、水を大気中に失い、その結果、層が全体的に
収縮する。これによって、軟質基材の一方の面に応力が生じ、通常画像を有する
面の方向へのカール癖がフィルムにつくことになる。従って、画像側のカールを
防止するために、軟質基材裏面上に、親水性の、吸湿コーティングを施すことが
一般的となってきている。裏面コーティングは、それ自体、その構造がインクジ
ェット画像の付着中に好ましい向きを持たない対称形であるような、インクジェ
ット受容層であってもよい。

【０００６】 米国特許第６，０２２，６７７号、同第５，９１６，６７３号および同第５，
７２３，２１１号を含む米国特許には、上述のような、物理的性質を制御するた
めのインクジェット媒体の裏面コーティングが記載されている。これらの裏面コ
ーティング配合物の多くは、紙および他の不透明基材向けに開発され、特にコー
ティング自体が完全には透明でない場合には、透明フィルム用途向けには不適切
であるかもしれない。

【０００７】 インクジェット画像受容コーティングと、テキストおよびグラフィック画像記
録プラスチックシートの物理的性質の制御とを改善することによって、インクジ
ェットプリンタの１分当たりのシート排出の増大が可能になった。プラスチック
フィルムなどの比較的不浸透性の基材に対する印刷速度の連続制約は、インク受
容層による画像形成液滴の吸収速度である。インクジェットプリンタは一般に、
排出印刷コピーを排出トレイに自動的に積み重ねる。次のシートが排出トレイに
排出される前に、シート上の画像が接触に対して乾燥していない場合には、乾い
ていない画像からのインクが、スタックにおいて次に重なるシートの裏面に移行
してしまうことがよくある。

【０００８】 シートが、オーバーヘッドプロジェクタなどの拡大プロジェクタを用いたプレ
ゼンテーション用の、テキストおよびグラフィック画像を有する透明フィルムで
ある場合、比較的不浸透性のシート間の画像移りの問題は、さらに厳しくなる。
透明フィルム上に付着された画像は通常、投影スクリーンに焦点を合わせた色あ
せた投影画像の出現を回避するために、ハイコントラストの画像であるだろう。
ハイコントラストの画像は、反射光によって視認される紙などの白色背景に付着
された画像と比べて、最適な光学濃度を達成するために、高いインク充填を必要
とする可能性がある。予想できるように、高いインク充填は、長い乾燥時間を必
要とする。乾燥の遅れにより、場合によっては、隣接するシート間での画像移り
または裏移りの量が増加する可能性がある。この理由から、インクジェットプリ
ンタの製造業者は一般に、投影用のフィルムスライドを印刷する場合には、印刷
速度を落とす必要があることを見出している。

【０００９】 公知のインクジェット画像受容フィルムの使用に関連する上述の欠点、特にイ
ンク液滴により形成された画像の裏移りを考慮して、これらの欠点を軽減し、更
なる改善を提供するために、本発明は開発された。これらの改善および便益を、
本発明のいくつかの代替実施形態に関して、以下にさらに詳細に説明する。

【００１０】 要約 開示したいくつかの実施形態において、本発明は、インクジェット画像に受容
体要素を提供する、コーティングを含有する不浸透性フィルムに関して、上述の
欠点を軽減する。画像受容シートの反対面上への異なるコーティングの使用が特
に関心の対象となる。本明細書において、インクジェット印刷中にプリンタの排
出トレイに生じるスタックのシートの隣接表面間の、画像の裏移りとも呼ばれる
インク転移が阻止されない場合、これらのコーティングにおける相違は最小とな
る。

【００１１】 大部分の印刷およびコピー方法において、マルチプリント刷りを製造するのに
使用される印刷装置では、シートを排出トレイに排出する前に、画像転写用受容
シートの正確な位置決めが確立されている。排出されたシートの向きは、通常、
最後に付着された画像パターンをシートの露出上向き面上に置く。印刷装置から
排出される次のシートは、前のシートの上に落ち着く前に、露出した画像形成面
の端から端まで滑り動く。プリンタの連続操作では、スタック中の次のより高い
シートの下向き表面または裏面と上向きの画像形成面とが接触するシートのスタ
ックが生じるであろう。上向き面の画像は、印刷順序において、次のシートの裏
面との接触前は、完全に固定されているわけではなく、または不変の状態にある
わけではない。この条件は、画像形成液滴によって製造されるインクジェット画
像に特に当てはまる。インクジェットプリンタから排出されるシートの間の滑り
接触は、まだ乾いていない画像の汚れの原因となる。積重ね構造中の隣接するシ
ートの接触もまた、画像形成面とそれに最も近い隣の裏面との間の境界面を超え
るインク移りが原因で、インク転移または汚れを引き起こす。本発明に従ったコ
ーティングフィルムの使用によって、実質的に、画像の汚れおよびシート間のイ
ンク移りにより生じる画像の裏移りの問題が解消される。インク移りの低減また
は排除は、フィルムの裏面に非湿潤性またはインク反撥性コーティングを被着す
ることを含む。かかるコーティングが電子写真プリンタで使用されるトナー粉末
に有利に受け入れられることもまた発見された。この発見は、インクジェットプ
リンタおよび電子写真プリンタの両方での使用に適した、二つの目的を兼ねた受
容体要素の開発をもたらした。

【００１２】 簡潔にまとめると、本発明は、（ａ）第１面および第２面を有する基材と、（
ｂ）その第１面上に配置されたインク受容コーティングと、（ｃ）第１面から第
２面へのインク転移を防ぐための、第２面上に配置されたインク反撥性層であっ
て、（ｉ）約３０ｍＪ／ｍ^２未満の表面エネルギーを有するポリマー組成物、お
よび（ｉｉ）艶消剤としての不溶性粒状充填剤；を含むインク反撥性層と、を含
む画像受容シートを提供する。一実施形態において、インク反撥性コーティング
はまた、トナー粉末受容性であり、従って、画像受容シートを静電プリンタで使
用することが可能になる。これらの構成要素それぞれを、以下に詳細に説明する
。

【００１３】 詳細な説明 基材 本発明の画像受容シートの製造は、一方の面にインク受容単層または多層コー
ティングで、他方の面に非湿潤性のインク反撥性単層または多層コーティングで
被覆する基材の選択を含む。投影装置での画像シートとしての使用では、基材お
よび被覆層は、実質的に透明であり、それは波長約４００〜７００ｎｍの光を透
過することを意味する。基材は、インクなどの液体に対して実質的に不浸透性で
あることが好ましい。この明細書中、「約」という用語は、明確にと示してあろ
うとなかろうと、寸法、時間、温度、パーセンテージなどの数値を加減するとみ
なされるものとする。

【００１４】 適切な基材には、三酢酸セルロースまたは二酢酸セルロースなどのセルロース
、ポリスチレン、ポリアミド、塩化ビニルポリマーおよびコポリマー、ポリオレ
フィンおよびポリアロマ−ポリマーおよびコポリマー、ポリサルホン、ポリカー
ボネート、ならびにポリエステルを含む、広範囲な軟質プラスチックフィルムが
含まれる。基材は、厚さ５０〜１２５マイクロメートルである。好ましいフィル
ム基材は、三酢酸セルロースまたは二酢酸セルロース、ポリエステル、特にポリ
（エチレンテレフタレート）、およびポリスチレンフィルムであり、厚さ１０５
〜１２５マイクロメートルを有するポリ（エチレンテレフタレート）が最も好ま
しい。

【００１５】 ポリエステルまたはポリスチレン基材を使用する場合、基材は二軸延伸フィル
ムであることが好ましく、支持体へ画像を融合する際の寸法安定性のためにヒー
トセットすることも可能である。これらのフィルムは、従来の任意の方法によっ
て生産してもよい。その方法では、フィルムを二方向に延伸して、分子配向を付
与し、かつヒートセットにより寸法安定化する。

【００１６】 インク受容層の基材への付着性を促進するため、単層または多層において基材
表面を１種または複数種のプライマーで処理することが望ましいかもしれない。
有用なプライマーには、基材に膨潤作用を及ぼす公知のプライマーが含まれる。
その例には、有機溶剤に溶解されたハロゲン化フェノール類が含まれる。代替方
法として、フィルムバッキングの表面を、コロナ処理またはプラズマ処理などの
処理によって改質してもよい。使用する際、そのプライマー層は、比較的薄い、
好ましくは２マイクロメートル、さらに好ましくは１マイクロメートル未満であ
るべきであり、従来のコーティング法によってコーティングしてもよい。

【００１７】 インク反撥性コーティング（ｉｎｋ ｒｅｐｅｌｌｅｎｔ ｃｏａｔｉｎｇ） 本発明の顕著な特徴は、広範囲の流体組成物を実質的にはじき、それによって
、非湿潤性表面へそれらが転移するのを防ぐ、非湿潤性表面コーティングの使用
に関する。所与の表面での流体媒体の反撥は、流体の表面張力およびその流体が
接触する材料の表面エネルギーに依存する。流体が表面に向かって移行するため
には、流体は先ず表面を湿潤し、次いでその上に広がる傾向を示す。広がる傾向
は、流体と表面との接触角によって示すことができる。比較的低い接触角は湿潤
を示し、比較的高い接触角の測定値は、不満足な表面湿潤およびそれらが被着さ
れる表面に対してほとんど親和性を持たない流体のビーズの可能な形成と一致す
る。

【００１８】 約３０ｍＪ／ｍ^２未満、好ましくは２５ｍＪ／^２未満の低い表面エネルギーを
示す表面は、水性および溶液系流体の両方をはじく傾向がある。本明細書におい
て「溶剤」という用語は、インクジェット組成物に使用される溶剤を意味する。
次いで、コーティングは、液滴の実質的な粒状化と共に不連続層となる。このよ
うに反応する液体は、表面に対する親和性をほとんど持たないため、いかなる表
面残留物も残すことなく容易に除去することができる。この条件は、画像形成イ
ンクジェットインク液滴の転移を防ぐのに望ましい。上述のように、次のより高
いシートの裏面と接触する上向き面の画像形成面を有するシートは、その裏面が
インク反撥性コーティングを含む場合に、非湿潤性表面から分離されたインク受
容表面を含む境界面を形成する。画像形成液滴は、インク受容表面とインク反撥
性表面との間の空隙に伸びる。インク液滴は境界面の両側と接触する。裏面コー
ティングは、十分な反撥性を有するため、まだ乾いていないインクジェット画像
が隣接する次のシートの裏面と接触する際のインク転移は生じないだろう。ポリ
マー微小球などの不溶性粒子を裏面コーティングに添加すると、隣接する画像形
成シート間の境界面にわたり、乾いていないインクジェット画像が転移する傾向
がさらに低減されると思われる。

【００１９】 インクジェット配合物が、広範囲な基材上への画像付着を促進する量の溶剤、
イオン溶質、界面活性剤等を含有することは公知である。かかる配合物は、本発
明によれば、本発明の画像受容シートの調製を複雑化しうる。画像受容シートは
、実質的に広がる傾向を示さないインク反撥性コーティングを有する。米国特許
第５，６２４，７４７号に、有用かつ適切な低表面エネルギーのコーティングが
開示されている。

【００２０】 本発明による非湿潤性、インク反撥性裏面コーティングは、約４０ｍＪ／ｍ^２ 未満、さらに好ましくは３５ｍＪ／ｍ^２未満、最も好ましくは３０ｍＪ／ｍ^２未
満の表面エネルギーを有する。表面エネルギーの試験を、本明細書に記載された
試験法に従って行うことができる。流体反撥性コーティングの選択では、インク
ジェットインクの表面張力に対するその表面エネルギーを考慮に入れる。かかる
インクは、範囲３０〜５０ダイン／ｃｍ、さらに一般的には３５〜４５ダイン／
ｃｍの表面張力を示す。

【００２１】 適切なインク反撥性コーティングを、水不溶性ポリマー、特に炭化水素基、ケ
イ素原子もしくはフッ素原子またはそれらの組み合わせを含有するポリマーから
製造してもよい。有用なインク反撥性コーティングは、インクジェット用インク
にさらした際に、低表面エネルギーを示し、かつその化学構造を維持する剥離コ
ーティングである。（ａ）米国特許第５，９９０，２３８号（Ｄｉｚｉｏら）に
記載された種類のポリマーなどの水性ウレタン剥離コーティング、（ｂ）米国特
許第２，５３２，０１１号（Ｄａｈｌｑｕｉｓｔ）に開示された種類のポリマー
などのウレタン剥離コーティング、（ｃ）米国特許第５，２９０，６１５号（Ｔ
ｕｓｈａｕｓら）に記載された種類のポリマーなどのシリコーンポリ尿素剥離コ
ーティング、および（ｄ）それらの組み合わせを含む反撥性コーティングが特に
有用である。好ましい実施形態では、そのインク反撥性コーティングは透明であ
り、かつ１０マイクロメートル未満、好ましくは２〜３マイクロメートルの乾燥
コーティング厚さを有する。

【００２２】 米国特許第５，９９０，２３８号には、それに結合する置換基を有するポリエ
チレン主鎖を含有するポリマーを含む剥離コーティング組成物が開示されている
。好ましくは、置換基は、長さ約５個以上の炭素原子を有するウレタン連結窒素
結合炭化水素側鎖およびメチル末端基、ならびに酸素連結水可溶性基を含む。置
換基はさらに、水素；ヒドロキシル；ハロゲン化物；ヒドロキシル末端基を有す
る、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン基、またはそれらの
混合物；

【化１】 ―Ｏ―Ｒ^５；―Ｒ^６、またはそれらの混合物（式中、Ｒ^４、Ｒ^５、およびＲ^６ はそれぞれ独立して、脂肪族基、芳香族基、およびそれらの混合物の群から選択
される。）、をさらに含む。

【００２３】 水可溶性基は、イオン化することが可能である官能基であるか、またはそのイ
オン化状態である官能基であり、陰イオンまたは陽イオンのいずれかでありうる
。例えば、水可溶性基は、陰イオン種を形成できる酸性基を含んでもよい。好ま
しくは、水可溶性基が陰イオンを含有する場合、それは、―ＯＳＯ_２Ｏ⁻、―Ｓ
Ｏ_２Ｏ⁻、―ＣＯ_２ ⁻、（―Ｏ）_２Ｐ（Ｏ）Ｏ⁻、―ＯＰ（Ｏ）（Ｏ⁻）_２、―
Ｐ（Ｏ）（Ｏ⁻）_２、―Ｐ（Ｏ⁻）_２、および―ＰＯ（Ｏ⁻）_２の群から選択さ
れる。―ＮＨ（Ｒ^８）_２ ^＋および―Ｎ（Ｒ^８）_３ ^＋（式中、Ｒ^８は、フェニル基
、脂環式基、および炭素原子約１〜１２個を有する直鎖または枝分れ脂肪族基の
群から選択される。）の群から選択される陽イオンを含有する水可溶性基が同様
に好ましい。

【００２４】 米国特許第５，９９０，２３８号の剥離コーティング組成物は、有機溶剤、水
、またはそれらの混合物からコーティングすることが可能である。従って、その
剥離コーティング組成物は、好ましくは、芳香族炭化水素、エステル、脂肪族炭
化水素、アルコール、ケトン、およびそれらの混合物の群から選択される有機溶
剤を含有してもよいし、または水を含有してもよい。

【００２５】 米国特許第５，２９０，６１５号は、（ＡＢ）_ｎ型のセグメント化コポリマー
である、オルガノシロキサン−ポリ尿素ブロック共重合体の剥離コーティングを
提供している。それらは、単官能性または非官能性シロキサン不純物からの汚染
がほとんどない二官能性オルガノポリシロキサンアミン（これはソフトセグメン
トを形成する）のジイソシアナート（これはハードセグメントを形成する）との
縮重合によって得られ、二官能性アミンもしくはアルコール、またはそれらの混
合物などの二官能性連鎖延長剤を含んでもよい。ブロック共重合体の詳細な説明
については、米国特許第５，２９０，６１５号のコラム１の６７行〜コラム２の
４２行を参照のこと。ブロック共重合体を製造する方法もまた開示されている。

【００２６】 インク受容コーティング インク受容コーティングは、置換ポリウレタン、ポリビニルアルコールおよび
置換ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよび置換ポリビニルピロリ
ドン、ビニルピロリドン／酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル／アクリル共重合体
、アクリル酸ポリマーおよびアクリル酸共重合体、アクリルアミドポリマーおよ
びアクリルアミド共重合体、セルロースポリマーおよびセルロース共重合体、ア
リルアルコール、アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸エステルまたは無水マレ
イン酸などのスチレン共重合体、酸化アルキレンポリマーおよび酸化アルキレン
共重合体、ゼラチンおよび変性ゼラチン、ならびに多糖を含む、任意の適切な親
水性ポリマーまたはポリマーブレンドの１つまたは複数の層を含んでもよい。好
ましい親水性ポリマーには、ポリビニルピロリドンおよび置換ポリビニルピロリ
ドン、ポリビニルアルコールおよび置換ポリビニルアルコール、ビニルピロリド
ン／酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル／アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、
ポリアクリルアミド、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシエチ
ルセルロース、ゼラチン、ならびに多糖が含まれる。

【００２７】 第２添加剤をインクジェット受容コーティング中に組み込んでもよい。例示的
な添加剤には、それらに制限されないが、媒染剤、水不溶性粒子、可塑剤、帯電
防止剤、退色防止剤（画像色の明るさのため）、充填剤、架橋剤および抗菌剤が
含まれる。

【００２８】 媒染剤は、染料拡散を制御するために使用される。典型的な媒染剤は、第四級
アンモニウム塩を含む、アミンおよび置換アミンなどの陽イオン物質を含む。米
国特許第５，３４２，６８８号（Ｋｉｔｃｈｅｎら）には、その特許の全体にわ
たり、例えば、コラム３の３２行〜コラム４の１６行に記載されているような、
グアニジン官能基を含む有用なポリマー媒染剤が開示されている。

【００２９】 水不溶性粒子は、印刷装置による確実なシート供給のため、画像受容シートの
摩擦特性を制御するための艶消剤としての使用で知られている。適切な粒子材料
は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ尿素ホルムアルデヒド、デ
ンプン粉末などの有機ポリマー、ならびにシリカ、アルミナ、および金属ケイ酸
塩を含む無機材料から誘導されてもよい。

【００３０】 可塑剤を使用して、低湿度でのコーティングがカールする傾向を制御すること
ができる。例示的な可塑剤には、それらに限定されないが、ポリエチレングリコ
ール、多価アルコール、還元糖等が含まれる。

【００３１】 ＣＹＡＳＴＡＴ ６０９またはＣＹＡＳＴＡＴ ＳＮ（Ａｍｅｒｉｃａｎ Ｃ
ｙａｎａｍｉｄから入手できる）などの帯電防止剤は、フィルムの静電帯電を防
ぐ。

【００３２】 退色防止剤を使用して、時間に伴う劣化に対して画像染料を安定化させてもよ
い。適切な退色防止剤には、Ｃｉｂａ Ｇｅｉｇｙから入手できるＩＲＧＡＮＯ
Ｘ １０１０などの酸化防止剤が含まれる。

【００３３】 充填剤が層の透明性を損なわないという条件で、かかる材料を使用して、コー
ティングの機械的性質を改質してもよい。適切な材料には、コロイド状シリカお
よびアルミナが含まれる。

【００３４】 架橋シラン、アジリジン等を使用して、コーティングの機械的性質を改質して
もよい。

【００３５】 Ａｃｔｉｃｈｅｍ社から入手できるＡＣＴＩＣＩＤＥ ＭＶなどの抗菌剤を受
容層中に組み込んでもよい。

【００３６】 表面エネルギーについての試験 表面エネルギー（平方メートル当たりのミリジュールの単位、ｍＪ／ｍ^２での
）は、水およびヨウ化メチレンの前進接触角の測定値およびこれらの液体の既知
の表面張力から、Ｍａｒｃｅｌ Ｄｅｋｋｅｒ，Ｉｎｃ出版，Ｓｏｕｈｅｎｇ
Ｗｕ著，Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｉｎｔｅｒｆａｃｅ ａｎｄ Ａｄｈｅｓｉｏｎ，ｐ
．１７８−１８１，１９８２に記載された幾何平均式を用いて計算される。

【００３７】 接触角の測定は、環境チャンバを備えたＲａｍｅ Ｈａｒｔ角度計で液滴法を
用いて行った。接触角の測定に使用する水およびヨウ化メチレンを蒸留した。前
進接触角は、三相境界がコーティング表面を超えて移動するまで、液滴体積を増
やすか、または減らすことによって得られた。測定中、マイクロシリンジの毛管
ピペットを液滴中に浸漬したままにした。接触角は、４〜６個の異なる液滴上で
得られた測定値の平均である。

【００３８】 実施例 以下の実施例は、本発明の様々な具体的な特徴、利点、および他の詳細をさら
に説明する。これらの実施例に示される特定の材料および量、ならびに他の条件
および詳細は、本発明の範囲を不当に制限するであろうやり方で解釈されるべき
ではない。示されるパーセンテージは、特に明記しない限り重量による。

【００３９】 インク受容コーティングの調製 実施例１〜６では、次のインク受容コーティング組成物を、約１２０マイクロ
メートルの厚さを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィル
ムの第１面上に被着した。コーティングし、強制空気オーブン内で乾燥させた後
、コーティングしたＰＥＴフィルムを８．５×１１インチのシートに切断した。 ヒドロキシプロピルメチルセルロース：５．６％ コロイド状の酸化アルミニウム三水和物：３．０％ キシリトール：１．０％ Ｐ１３４−Ｃｌ（ポリマー媒染剤）：０．３％ ３０μｍポリメチルメタクリレート微小球：０．１％ 水：９０．０％

【００４０】 比較例１ 比較例１は、フィルムの第１面上にインク受容コーティングを含むが、第２面
上にインク反撥性コーティングを含まないポリエチレンテレフタレートフィルム
である。

【００４１】 実施例２〜６ インク反撥性コーティングの調製 実施例２〜６では、インク反撥性コーティングの様々な配合物を、インク受容
コーティングの反対側の、厚さ１２０マイクロメートル（μｍ）の二軸延伸ＰＥ
Ｔフィルム上にコーティングした。熱空気オーブン内で乾燥させた後のコーティ
ングの厚さは、０．２〜０．３μｍであった。

【００４２】 これらの実施例で使用した成分を表１に詳述する。

【００４３】

【表１】 表１

【００４４】 実施例２（シリコーンポリ尿素ＬＡＢ） シリコーンジアミン（分子量５０００）：２．０％ ＪＥＦＦＡＭＩＮＥ ＤＵ７００（ＰＰＯ分子量９００）：２．５％ ジアミノペンタン（１．６５％）／イソホロンジイソシアナート（３．８５％
）：５．５％ イソプロピルアルコール：８７．３％ ｎ−ブタノール：２．７％

【００４５】 実施例３（シリコーンポリ尿素ＬＡＢ） シリコーンジアミン（分子量９００）：７．９％ テトラメチルキシレンジイソシアナート：２．１％ イソプロピルアルコール：８７．３％ ｎ−ブタノール：２．７％

【００４６】 実施例４（シリコーンポリ尿素ＬＡＢ） シリコーンジアミン（分子量１０，０００）：９．７６％ テトラメチルキシレンジイソシアナート：０．２４％ イソプロピルアルコール：８７．３％ ｎ−ブタノール：２．７％

【００４７】 実施例５（水性ウレタンＬＡＢ） ポリビニルＮ−オクタデシルカルバメート：９．６５％ ポリビニルアルコール：０．３％ ＧＥＭＴＥＸ６８０：０．０５％ 水：９０．０％ 表面エネルギー：２３ｍＪ／ｍ^２

【００４８】 実施例６（シリコーンポリ尿素ＬＡＢ） シリコーンジアミン（分子量９００）：７．８％ テトラメチルキシレンジイソシアナート：２．１％ １．５μｍポリメチルメタクリレート微小球：０．１％ イソプロピルアルコール：８７．３％ ｎ−ブタノール：２．７％

【００４９】 画像転移（裏移り）の評価 実施例１〜６の基材の第１面（つまり、インク受容組成物でコーティングされ
た面）を、Ｈｅｗｌｅｔｔ Ｐａｃｋａｒｄ（ＨＰ）モデル２０００Ｃインクジ
ェットプリンタを用いて、透明モードで画像形成して、最大利用可能濃度の赤色
、緑色、青色および黒色のインク液滴のブロックを生成させた。まだ湿っている
画像が各実施例の第２シートのインク反撥性裏面コーティングと接触するように
、その画像形成したシートを直ちに積み重ねた。追加の両面コーティングシート
１２枚の重量を加え、裏面コーティングから画像形成面を分離する前に、得られ
たスタックを室温（２３℃〜２５℃）で２４時間放置した。インク受容コーティ
ングとインク反撥性裏面コーティングとの間の境界面を越える転移によって裏移
りした裏面印刷領域のパーセンテージを目視により評価し、以下の結果を得た。

【００５０】 比較例１：ほぼ完全なインク転移^＊（約１００％転移） 実施例２：２分の１未満のインク転移（約４０％転移） 実施例３：４分の３を超えるインク転移（約８０％転移） 実施例４：４分の３のインク転移（約７５％転移） 実施例５：実質的にインク転移なし（ほぼ０％転移） 実施例６：最小のインク転移（１０％未満転移）^＊ インク転移は、インク反撥性コーティングへ転移するインクの量を示す。

【００５１】 実施例２、３、および４はインク転移を示したが、比較例１よりも少ない転移
を示した。この特定の評価は、２４時間放置した積重ねで非常に過酷であること
を意図していたことを留意すべきである。それより過酷でない条件下においては
、実施例２、３、および４は、たとえあるにしても、わずかなインク転移を示す
にすぎないであろう。

【００５２】 インクジェットインクおよびトナー粉末受容体の画像形成 一実施形態において、本発明の画像受容シートは、積重ねた画像形成シート間
でのインク転移を実質的に解消するだだけではなく、電子写真プリンタ（一般に
、レーザープリンタと呼ばれる）での使用に適したトナー粉末受容面もまた提供
する、インク反撥性コーティングを含有する。異なる種類の画像形成材料、つま
り液体インクおよびトナー粉末の受容体として、本発明の受容体シートは、レー
ザープリンタまたはインクジェットプリンタのいずれでも使用可能である、簡便
な、用途の広い、多目的の画像形成可能な要素を提供する。

【００５３】 これらの受容シートの多用性を、以下に特定される様々な種類のプリンタおよ
び複写機で画像を記録することによって実証した。

【００５４】 実施例９ 熱空気オーブン内で乾燥させた後のコーティング厚さ約９．０μｍを有するイ
ンク受容コーティング（以下に詳述する）で、厚さ１２０μｍの二軸延伸ＰＥＴ
フィルムの一方の面をコーティングした。インク反撥性トナー粉末受容コーティ
ングをそのフィルムの反対側に被着して、同様に乾燥された約０．３μｍのコー
ティングを得た。

【００５５】 インク受容コーティング組成物 ヒドロキシプロピルメチルセルロース：５．６％ コロイド状の酸化アルミニウム三水和物：３．０％ キシリトール：１．０％ Ｐ１３４−Ｃｌ（ポリマー媒染剤）：０．３％ ３０μｍポリメチルメタクリレート微小球：０．１％ 水：９０．０％

【００５６】 インク反撥性、トナー粉末受容コーティング組成物 アクリル酸イソボルニル／メタクリル酸メチル／アクリル酸エチルラテックス
：４．１５％ Ｎ−β−（アミノエチル）−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン：０．０
２％ ＣＹＡＳＴＡＴ ６０９（Ａｍｅｒｉｃａｎ Ｃｙａｎａｍｉｄから入手でき
る帯電防止剤）：０．０６％ ４μｍポリステアリルメタクリレート微小球：０．０５％ 水：９５．７１％

【００５７】 ＰＥＴフィルムの両面にコーティングして画像受容シートを製造した後に、そ
れらを８．５×１１インチのシートに切断し、次のように試験した。

【００５８】 インク受容組成物でコーティングした受容シートの面を、以下のインクジェッ
トプリンタ（ＨＰ７２０Ｃ、ＨＰ８４０Ｃ、ＨＰ８５０Ｃ、ＨＰ８９５Ｃ、ＨＰ
９３２Ｃ、ＨＰ９７０Ｃ、ＨＰ１２２０Ｃ、ＨＰ２０００、およびＨＰ２５００
Ｃ；Ｃａｎｏｎ ＢＪＣ２０００、Ｃａｎｏｎ ＢＪＣ４３０２、Ｃａｎｏｎ
ＢＪＣ６０００、およびＣａｎｏｎ ＢＪＣ８２００；Ｌｅｘｍａｒｋ ＰＭ１
００およびＬｅｘｍａｒｋ５７７０；Ｅｐｓｏｎ Ｓｔｙｌｕｓ７４０、Ｅｐｓ
ｏｎ Ｓｔｙｌｕｓ８７０およびＥｐｓｏｎ Ｓｔｙｌｕｓ９００）でテストチ
ャートを用いて画像形成した。すべてのケースで、クリアーな背景に対してシャ
ープで、色彩に富んだ画像が形成された。

【００５９】 トナー粉末受容組成物でコーティングしたシートの面を、次の電子写真複写機
およびプリンタ（（１）モノクロ（白黒複写機）−Ｘｅｒｏｘ５０５３、Ｃａｎ
ｏｎ６０３０、Ｌａｎｉｅｒ６５１４およびＬａｎｉｅｒ７３６５、（２）モノ
クロレーザープリンタ−ＨＰ２、ＨＰ２Ｐ、ＨＰ４、ＨＰ４Ｍ Ｐｌｕｓ、ＨＰ
４ＳＩ、ＨＰ５、およびＨＰ５ＳＩ、（３）カラー複写機−Ｘｅｒｏｘ５７６５
、Ｘｅｒｏｘ５７９０、Ｃａｎｏｎ７００、およびＣａｎｏｎ１０００、（４）
カラーレーザープリンタ−ＨＰ８５００、ＨＰ Ｃｏｌｏｒ Ｌａｓｅｒｊｅｔ
５、ＨＰ Ｃｏｌｏｒ Ｌａｓｅｒｊｅｔ４５００、Ｔｅｋｔｒｏｎｉｘ５６０
、Ｔｅｋｔｒｏｎｉｘ７５０、Ｔｅｋｔｒｏｎｉｘ Ｐｈａｓｅｒ７４０、Ｔｅ
ｋｔｒｏｎｉｘ Ｐｈａｓｅｒ７８０）において、テストチャートを用いて画像
形成した。

【００６０】 すべてのケースで、クリアーな背景に対してシャープな画像が形成された。着
色した画像は、良好な色濃度および均一性を示した。

【００６１】 フィルム基材に被着するインク受容コーティングおよびトナー粉末受容コーテ
ィングを本明細書に記述してきた。当業者であれば理解されるように、これらの
変形および他の変形は、以下に特許請求される本発明の意図される範囲内である
。上述のように、本発明の詳細な実施形態を本明細書に開示する。しかしながら
、開示された実施形態は、様々な形態で具体化することが可能な本発明の単なる
例示であることを理解されたい。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＯＡ(ＢＦ ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ， ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，Ｇ Ｍ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ， ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ， ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，Ｂ Ｚ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＯ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ ，ＤＫ，ＤＭ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ， ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，Ｉ Ｓ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ， ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，Ｐ Ｔ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ， ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ (72)発明者 デイビッド・ジェイ・キニング アメリカ合衆国55133−3427ミネソタ州セ ント・ポール、ポスト・オフィス・ボック ス33427 (72)発明者 ジョン・ダブリュー・バンダーザンデン アメリカ合衆国55133−3427ミネソタ州セ ント・ポール、ポスト・オフィス・ボック ス33427 Ｆターム(参考） 2C056 EA13 EA16 FB02 FC06 2H086 BA01 BA15 BA19 BA24 BA31 BA33 BA35 BA36 BA37 BA41

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）第２面に対向する第１面を有するフィルム基材と、 （ｂ）前記第１面上に配置されたインク受容コーティングと、 （ｃ）前記第１面から前記第２面へのインク転移を防ぐための、前記第２面上
   に配置されたインク反撥性層であって、約３０ｍＪ／ｍ^２未満の表面エネルギー
   を有するポリマー組成物を含むインク反撥性層と、を含む画像受容シート。
2. 【請求項２】 前記インク反撥性層が、不溶性粒状充填剤をさらに含む、請
   求項１に記載の画像受容シート。
3. 【請求項３】 前記基材が、透明な二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで
   ある、請求項１に記載の画像受容シート。
4. 【請求項４】 前記インク反撥性層が、ウレタン剥離コーティング、水性ポ
   リウレタン剥離コーティング、シリコーンポリ尿素剥離コーティング、およびそ
   れらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー組成物である、請求項１に
   記載の画像受容シート。
5. 【請求項５】 前記不溶性粒状充填剤が、ポリメチルメタクリレート、ポリ
   スチレン、およびポリ尿素ホルムアルデヒド微小球からなる群から選択される、
   請求項１に記載の画像受容シート。
6. 【請求項６】 前記インク受容コーティングが、ポリビニルピロリドンおよ
   び置換ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよび置換ポリビニルアル
   コール、ビニルピロリドン／酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル／アクリル共重合
   体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アルキルヒドロキシアルキルセルロ
   ース、カルボキシエチルセルロース、ゼラチン、多糖、およびそれらの混合物か
   らなる群から選択される、請求項１に記載の画像受容シート。
7. 【請求項７】 前記インク受容コーティングが、媒染剤、可塑剤、帯電防止
   剤、退色防止剤、充填剤、架橋剤および抗菌剤からなる群から選択される第２添
   加剤をさらに含む、請求項１に記載の画像受容シート。
8. 【請求項８】 前記インク受容層およびインク反撥性層が透明である、請求
   項１に記載の画像受容シート。