JP2003528576A5 - - Google Patents

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【書類名】明細書
【発明の名称】バラバスタチンの微生物的製造方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記式(I):
【化1】
Figure 2003528576
の化合物を、一般式に(II)
【化2】
Figure 2003528576
の化合物より製造するための微生物的方法であって、
前記式中Rがアルカリ金属又はアンモニウムイオンを表すものであり、発酵により式(II)の化合物を6β−ヒドロキシル化できる株によるものであり、そして
a)−式中のRは上記の通りである式(II)の化合物を6β−加水分解できるミクロモノスポラ(Micromonospora)属の微生物を、同化可能な炭素と窒素源及び鉱物塩を含む栄養培地中で25−32℃にて培養する段階、その後に
b)発達した培養物に、変換されるべき基質を供給する段階、続いて
c)生物変換終了時まで基質を発酵する段階、そして
d)培養液より式(I)の化合物を分離し、必要に応じて同物質を精製する段階、
を含む生物変換の過程で形成された、式(I)の化合物を分離、精製することによることによる微生物的工程に関する。
【請求項2】微生物が約25ないし約37℃の温度で培養される、請求項9記載の工程。
【請求項3】微生物が約25ないし約37℃の温度で培養される、請求項10記載の工程。
【請求項4】栄養培地が水性溶液である請求項9記載の工程。
【請求項5】栄養培地が更に無機塩を含む請求項9記載の工程。
【請求項6】ハンガリー(Hungary)、ブダペスト(Budapest)にある国立農業産業微生物コレクション(National Collection of Agricultural and Industrial Microorganisms)に番号NCAIM P(B)001268で寄託された、一般式(II)の化合物を6β−ヒドロキシル化できるミクロモノスポラ種(Micromonospora sp.)IDR−P株又はその突然変異株が培養される、請求項9記載の工程。
【請求項7】ハンガリー(Hungary)、ブダペスト(Budapest)にある国立農業産業微生物コレクション(National Collection of Agricultural and Industrial Microorganisms)に番号NCAIM P(B)001271で寄託された一般式(II)の化合物を6β−ヒドロキシル化できるミクロモノスポラ パープレア(Micromonospora purpurea)IDR−P株又はその突然変異株が培養される、請求項9記載の工程。
【請求項8】ハンガリー(Hungary)、ブダペスト(Budapest)にある国立農業産業微生物コレクション(National Collection of Agricultural and Industrial Microorganisms)に番号NCAIM P(B)001272で寄託された、一般式(II)の化合物を6β−ヒドロキシル化できるミクロモノスポラ エチノスポラ亜種エチノスポラ(Micromonospora echinospora ssp.echinospora)IDR−P株又はその突然変異株が培養される、請求項9記載の工程。
【請求項9】ハンガリー(Hungary)、ブダペスト(Budapest)にある国立農業産業微生物コレクション(National Collection of Agricultural and Industrial Microorganisms)に番号NCAIM P(B)001273で寄託された、一般式(II)の化合物を6β−ヒドロキシル化できるミクロモノスポラメガロミセラ亜種ニグラ(Micromonospora megalomicea spp.nigro)IDR−P株又はその突然変異株が培養される、請求項9記載の工程。
【請求項10】ハンガリー(Hungary)、ブダペスト(Budapest)にある国立農業産業微生物コレクション(National Collection of Agricultural and Industrial Microorganisms)に番号NCAIM P(B)001274で寄託された、一般式(II)の化合物を6β−ヒドロキシル化できるミクロモノスポラロサリア(Micromonospora rosaria)IDR−P株又はその突然変異株が培養される、請求項9記載の工程。
【請求項11】前記Rがナトリウムイオンである、請求項9記載の工程。
【請求項12】発酵中に形成される式(I)の化合物が、陰イオン交換樹脂上への吸着又は水−非混合性有機溶媒による抽出とそれに続くその中間体としてのラクトン誘導体又はその第2アミン塩の分離、又は非イオン性吸着樹脂を用いたクロマトグラフィーによる発酵ブロスの有機溶媒抽出物から得たアルカリ性水性抽出物の精製により培養ブロスから分離される、請求項9ないし18に記載の工程。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明はパラバスタチンの調整に関する微生物的方法に関する。
【0002】
発明の背景
高コレステロール血症はアテローム性動脈硬化症、特に冠動脈性心疾患の主要リスクとして認識されている。コレステロールの生合成は、高コレステロール血症の主要寄与因子である。HMG−CoA還元酵素は、コレステロール生合成の速度決定段階でのHMG−CoAからメバロン酸塩への変換を触媒する。この20年間、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A還元酵素(HMG−CoA還元酵素EC.1.1.1.34)が徹底的に研究されてきた。各種真菌種により生合成されたメビノリン及び関連化合物がこの酵素の競合的阻害剤であることが見いだされている[Endo.Aら、J.Antibiotics 29、1346−1348(1976):Endo.Aら、FEBS Lett。72,323−326(1976):Kuo、H.H.ら、J.Org.Chemi。48,1991−1998(1983)]。
【0003】
プラバスタチン(pravastatin)はコンパクチン(Compactin)、ロバスタチン(lovastatin)、シムバスタチン(simvastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)及びアトロバスタチン(storvastatin)と共に、この系統のHMG−CoA還元酵素のメンバーである。プラバスタチンは一連のコンパクチンに関する代謝研究のなか[Aral,M.ら、Sankyo Kenkyusho Nempo、40、1−38(1988)]で、コンパクチンの主要なイヌ代謝物としてまず単離された(Tanaka、Mら、未発表)。
組織選択性がパラバスタチン特有の特徴である。プラバスタチンは肝臓及び小腸でのコレステロール合成を選択的に阻害するが、その他臓器のコレステロール合成は弱くしか阻害しない。Kogaら、Biochim.Biophys.Acta,1990、1045、115−120。プラバスタチンはその他HMG−CoA還元酵素阻害剤に比べ毒性が低いという利点がある。
【0004】
コンパクチンは各種属の真菌の各種属、及び放線菌(Actinomycetes)群のノカルジアNocardia属、マズラミセテス(Maduromycetes)群のアクチノマズラ(Actinomudura)属、及びステプトミセス(Steptomyces)群のストレプトミセス属にあって、特にストレプトマイセスロセオクロモゲネス(Streptomyces roseochromogenes)及びストレプトマイセスカルボフィルス(Streptomyces carbophilus)に属する細菌を用いた微生物的ヒドロキシル化によりプラバスタチンに変換できる(米国特許第5,179,013号、米国特許第4,448,979号、米国特許第4,346,227号、米国特許第4,537,859号、日本国特許第58−10572号)。
プラバスタチンの製造への真菌の使用には問題がある。一般に真菌は培地に加えられた高負荷量のコンパクチンに耐性ではない[Serizawa、N.ら、J.Antibiotics 36、887−891(1983)]。
【0005】
チトクロームP450系はストレプトマイセスカルボフィルス菌によるコンパクチンからプラバスタチンへのヒドロキシル化に必要であることが示されている[Matusoka、T.ら、Eur、J.Biochem.184,707−713(1989)]。チトクロームP450システムの使用に伴う問題は、それが単一蛋白質というよりはむしろ複合蛋白質であるため組換え体DNA操作が難しいことである。
高濃度のコンパクチンに耐えることができ、発光ブロス中に高い収率かつ高濃度でプラバスタチンを産生できる、プラバスタチンを調整するための改良型微生物工程が求められている。
【0006】
発明の概要
本発明はプラバスタチンの調整に関する新規微生物的工程を提供する。より具体的には、本発明は、下記式(I):
【化3】
Figure 2003528576
のプラバスタチンを、一般式(II):
【0007】
【化4】
Figure 2003528576
【0008】
の化合物から微生物的製造する方法において、前記式中Rがアルカリ金属又はアンモニウムイオンを表すものであり、一般式(II)の化合物を6β位置でヒドロキシル化できる原核生物であるアクチオプラネテス(Actinoplanetes)群のミクロモノスポラ(Micromonospora)属を用いる方法を提供する。
【0009】
本発明はプラバスタチンの製造に関する新規微生物的工程を提供する。
本発明は既知微生物的システムで可能な場合に比べより高濃度且つ有利な条件下にプラバスタチンを産生する微生物を見いだすことを目的とした研究の蓄積である。6,000株を越える数の放線菌がスクリーニングされた。その内僅かに10株の微生物のみがコンパクチンのナトリウム塩をヒドロキシル化しプラバスタチンを産生できることが判明した。
【0010】
具体的には以下の種がこの能力を有していた:ストレプトマイセス・バイオラセウス(Streptomyces violaceus No.1/43(Kampferら、1991)、ストレプトマイセス・ロチェイ(Streptomyces rochei)No1/41(Bergerら、1989)、ストレプトマイセス・レシストミチフィカス(Streptomyces resistomycififus)N.1/44(Lindenbein 1952)、ストレプトマイセス・ラナタス(Streptomyces lanatus(Frommer 1959)、ストレプトマイセス種N0.1/28、ミクロモノスポラ種No.IDR−P、ミクロモノスポラ・パープレア(Micromonospora purpurea)No.IDR−P(LuedemannとBrodsky 1964)、ミクロモノスポラ・メガロミセア亜種ニグラ(Micromonospora megalormicea ssp.nigra)No.IDR−P(Weinsteinら 1969)、ミクロモノスポラ・ロザリア(Micromonospora rozaria)No.IDR−P(Horan及びBrodsky 1986)。ミクロモノスポラ属の種がコンパクチンの酸形状の塩がプラバスタチンに変換できるか従来不明であったことから、我々は陽性とスクリーニングされたミクロモノスポラについて詳細に研究した。
【0011】
ミクロモノスポラ(Micromonospora)は細菌分類学上放線菌群の属の一つである。アクチノミセタレス(Actinomycetales)目及びアクチノプラネテス(Actinoplanetes)の属を越えた群では、ミクロモノスポラ(Micromonospora)属はアクチノプラネス(Actinoplanes)やダクチロスポランギウム(Dactylosporagium)の様な胞子嚢形成放線菌により密接に関係していること、そして関連付けられてきたサーモモノスポラ(Thermomonospora)及びサーモモノアクチノマイセス(Thermoactinomyces)の様な単胞子嚢属とは明確に異なっていることが示されている。アクチノプラネテス属は似た走化性特性と核酸親和性を有する。それらは直径0.2−1.6μmの非分節型の分岐し、隔壁を持つ菌糸を伸ばすグラム陽性の非抗酸菌である。中空の菌糸体がまれに発生するか、散在する。Genus Micromonospora Krskov、1923。
【0012】
ミクロモノスポラ カラセア(Micromonospora chalcea(Foulerton,1905)はよく分化した分岐状の隔壁を持つ菌糸体を形成する。不動性の胞子が無柄型で、又は時に分岐状の集団を形成する短いあるいは長い担胞子体の上に単独で形成される。担胞子体の発生は短軸性であるか、またはある場合には仮軸性である。中空型の菌糸体は存在しないか、又は一部の培養体に於いて制限された白色または灰色のブルームの様な不定形を呈する。細胞壁はメソ−ジアミノピメリン酸及び/又はその3−ヒドロキシ誘導体とグリシンを含む。
【0013】
細胞の加水分解中にはキシロース及びアラビノースが存在する。特徴的なリン脂質はホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールとホスファチジルイノシトールマンノシドである。ミクロモノスポラ カラセアは好気性から微好気性であり、有機栄養性である。それらは6以下のpHに感受性である。増殖は通常は20℃ないし40℃の間で起こるが、50℃より高い温度では増殖しない、Orskov、1923。
【0014】
ミクロモノスポラ属に属する明らかに異なる複数の種が6β位置でコンパクチンを海水分解することが観察されており、従って6位置でコンパクチンを加水分解する能力はミクロモノスポラ属の種に広く共通していると考えられている。本発明のミクロモノスポラはコンパクチン基質をプラバスタチンに変換することができる野生型及び突然変異株を含む。発明の特定好適実施態様を更に記述すること、及び具体的実施例によりそれを例示するのに用いられる好適ミクロモノスポラは、0.1g/リットルのコンパクチン酸ナトリウム塩濃度に於いて約90%を越える高い加水分解酵素能力もつことで選択された。
【0015】
ミクロモノスポラの次の株は1999年4月13日に、ハンガリー(Hungary)、ブダペスト(Budapest)にある国立農業産業微生物コレクション(National Collection of Agricultural and Industrial Microorganisms)に番号NCAIM P(B)001271のミクロモノスポラ・パープレア(Micromonospora purpurea)IDR−P;NCAIM P(B)001272のミクロモノスポラ・エチノスポラ亜種エチノスポラ(Micromonospora echinospora ssp.echinospora)IDR−P;NCAIM P(B)001273のミクロモノスポラ・メガロミセラ亜種ニグラ(Micromonospora megalomicea spp.nigro)IDR−P;及びNCAIM P(B)001274のミクロモノスポラ・ロサリア(Micromonospora rosaria)IDR−Pを寄託した。
【0016】
単離されたミクロモノスポラ種、番号IDR−Pは1998年10月13日に、ハンガリー、ブダペストにある国立農業産業微生物コレクションに番号NCAIM P(B)001268で寄託された。株番号IDR−Pのミクロモノスポラ種は、ハンガリー(Hungary)、レークバラトン(Lake Balaton)の泥サンプルから単離された。大規模発酵に好適な条件の下高濃度のコンパクチンナトリウム塩からプラバスタチンを製造することに加え、この種はその他の構造関連化合物を極微量にしか生合成しない。即ち、本種はプラバスタチンの工業製造に極めてよく適合している。
【0017】
ミクロモノスポラIDR−P3の培養体の分類学的特徴を以下にまとめる。微細構造上の特徴:基質の菌糸体はよく分解した、直線ではなく彎曲した分枝型の微小繊維より成る。スライド培養では、分岐型菌糸の単足性システム(担胞子体)が観察されるだろう。胞子は単一の、直径約1.8μmの球形であり、菌糸上に均一に分散している。胞子は無柄であるか、または短形の短胞子体の末端上にある。いずれの培養体の場合も、おそらくは成熟胞子は培地中に直ぐに放出されるために胞子は芽胞形成中の菌糸上には観察されない。
【0018】
培養−形態学的特性:
ツェパック(Czepak)−ショ糖寒天:中程度の増殖。コロニーは点状の黒色の胞子形成域により覆われた赤色である。
グルコース−アスパラギン寒天:増殖は点状の盛り上がった赤−茶色又は黒色のコロニーとして記録された。赤色の拡散性の色素。
栄養寒天:良好な増殖を示す、盛り上がった赤−茶色又は黒色のコロニー。培地中に赤−茶色の外色素。
【0019】
酵母抽出物−麦芽抽出寒天(ISP培地2):よく発達した盛り上がりしわの寄った茶色のコロニーで、部分的に黒色の胞子形成域、又は制限された白色または灰色のブルームの外観を持つ“偽中空菌糸体”で覆われている。
無機塩−澱粉寒天(ISP培地4):赤−茶色の盛り上がり、しわの寄ったコロニーの中度の増殖。明るい赤色の可溶性色素。
グリセロール−アスペラギン寒天(ISP培地5):痕跡程度に増殖した、灰色がかった白色又は明るいオレンジ色の、平坦なコロニー、明るい赤色の可溶性色素。
観察した幾つかの培地では、可溶性色素は特異的な指示的な特徴を有している:酸性pH域で黄色になり、塩基性pH域では暗く曇った赤色に変化する。
【0020】
炭素源の利用:L−アラビノース、D−セロビオース、D−フルクトース、D−グルコース、ラクトース、D−マルトース、D−マンニトール、D−マンノース、α−メチル−D−グルコシド、L−ラムノース、D−リボース、D−ショ糖、D−トレハロース及びD−キシロース上ではよく増殖し、これらを積極的に利用した。アドニトール、ダルシトール、ミオ−イノシトール、イヌリン、D−メレジトース、D−ラフィノースは利用されない。D−ガラクトース、グリセロール、D−メリビオース及びD−サリシンによる増殖は、負のコントロール培地に比べわずかに良好であった。
【0021】
窒素源の利用:酵母抽出物及びNZ−アミンにより良好な増殖、L−アスパラギン、L−グルタミン酸、NHNO及びNaNOの利用無し。
その他の生理学的−生化学的特徴:セルロース及び澱粉は加水分解され、ミルクは強く消化される。硝酸塩還元試験は陰性である。炭酸カルシウムなしではジャガイモスライス上で無増殖(pH5.8−6.0)。
【0022】
ハンガリー、ブダペストにある国立農業産業微生物コレクションに寄託されたミクロモノスポラ株に関する我々の研究に拠れば、発明の好適形態は下記式(I):
【化5】
Figure 2003528576
のプラバスタチンを、一般式に(II):
【0023】
【化6】
Figure 2003528576
【0024】
の化合物から製造するための新規微生物的方法にあって、前記式中Rがアルカリ金属又はアンモニウムイオンを表すものであり、式(II)の化合物を6β−ヒドロキシル化できる株を好気的発酵により液中培養され、そして生物変換の過程で形成された式(I)の化合物を分離、精製することによるものであって、前記工程が:a)式(II)の化合物−式中のRは上記である−を6β−加水分解できるミクロモノスポラ(Micromonospora)属の微生物を同化可能な炭素と窒素源及び鉱物塩を含む栄養培地中、25−32℃にて培養すること、その後にb)生物変換終了まで基質を供給すること、c)生物変換終了時まで基質を発酵すること、そしてd)培養ブロスより式(I)の化合物を分離し、必要に応じて同化合物を精製することを含む新規微生物的工程に関する。
【0025】
さらにより好ましい実施態様によればプラバスタチンは、ミクロモノスポラ・パープレア(Micromonospora purpurea)IDR−P[NCAIM P(B)001271]、ミクロモノスポラ・エチノスポラ亜種エチノスポラ(Micromonospora echinospora ssp.echinospora)IDR−P[NCAIM P(B)001272]、ミクロモノスポラ・メガロミセラ亜種ニグラ(Micromonospora megalomicea spp.nigro)IDR−P[NCAIM P(B)001273]及びミクロモノスポラ・ロサリア(Micromonospora rosaria)IDR−P「NCAIM P(B)001274]より成るグループから選択されたミクロモノスポラの野生株又は突然変異株より製造される。発明の最適実施態様によれば、プラバスタチンはミクロモノスポラ種(Micromonospora sp.)IDR−P3[NCAIM P(B)001268]を用い製造される。
【0026】
本発明はインサイチュー発酵、即ちバッチ培養体又は連続バッチ培養技術を使い活発の増殖中の微生物存在下に実施されるヒドロキシル化により実施できる。 ヒドロキシル化は式(II)の化合物を増殖培地に加えるときに、フラスコ培養器を振盪させる様な攪拌により、又はファーメンター中に通気し攪拌することにより実施される。この様な場合、消泡剤を使用してもよい。
【0027】
微生物は炭素及び窒素源、ならびに無機塩と微量元素を含む適当な栄養培地を用い培養され、維持されるだろう。典型的な同化性炭素源にはグルコース、グリセロール、デキストリン、澱粉、ラムノース、キシロース、ショ糖、可溶性澱粉等が含まれる。典型的な同化性窒素源にはダイズミール、コーン浸漬液、ペプトン、酵母抽出物、肉抽出物、クエン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等が含まれる。炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の無機塩もまた培養培地に加えられるだろう。微生物の増殖に好適な培地は、実施例中に記載されている。
【0028】
好ましくは、培養体は攪拌された液体培地である。ヒドロキシル化実施に好ましい温度範囲は約25℃ないし37℃であり、最適には約25℃ないし32℃である。好適pHは約6.0ないし9.0であり、最適には約7.0ないし8.5である。好適振盪条件は約200rpmないし400rpmであり、最適には約250rpmである。
いずれのコンパクチン濃度を利用してもプラバスタチンが製造されるだろう。約0.1ないし10g/リットル、より好ましくは約0.3ないし3.0g/リットルのコンパクチン濃度がインサイチューヒドロキシル化に好適である。コンパクチンからプラバスタチンへの変換のパーセンテージは発明の工程の重要な特徴ではない。しかし、変換は好ましくは約30%以上、好ましくは約60%以上、さらにより好ましくは約90%以上で起こる。
【0029】
発酵ブロスの組成は実施例記載の条件を用いた高性能液体クロマトグラフィー法(HPLC)によりモニターされる。
プラバスタチンは、例えば抽出−再抽出、陰イオン交換クロマトグラフィー又は沈殿といった方法により発酵ブロスから単離できる。以下の単離工程はミクロモノスポラの生合成産物としてプラバスタチンを単離するのに好適である。しかしこれら工程はコンパクチンより出発してプラバスタチンを獲得する好ましい様式を完全に開示することだけを目的に提供されたものであり、いかなる形でも本発明を限定することを意図するものではない。
【0030】
生物変換が終了した後、プラバスタチンは発酵ブロスより、又は細菌細胞分離後に得られる濾液から抽出することができる。細菌細胞は濾過又は遠心分離により取り除くことができる。しかし、特に工業スケールでは全ブロス抽出を実施することが有益である。抽出溶媒は水と全く混合しないいずれかの溶媒である。好ましい抽出溶媒は低水溶解性を有する。特に好ましい溶媒には酢酸エチル及び酢酸イソブチルの様な脂肪族アルコキシ成分を含む、2−4個の炭素原子を有する酢酸エステルが含まれる。
【0031】
我々の実験では、プラバスタチンはブロスの有機抽出物より第2アミンを持つ結晶塩として沈殿できることが分かっていた。更に、アルキル−、シクロアルキル−、アラルキル−、又はアリール−置換基を含む複数の第2アミンが特に塩形成に好適であることも見いだされた。特に、次の第2アミンが最適であるが、これは一部にそれらの毒性が低いことに拠る:ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン及びジベンジルアミン。
【0032】
プラバスタチンの有機第2アミン塩を単離する方法はジベンジルアミンを用い例示されている。ジベンジルアミン塩の単離は、抽出物のプラバスタチン含有量に関し1.5当量のジベンジルアミンを加え、続いて抽出物を真空蒸留により基の容積の5%までに濃縮してから、0.2当量比の濃度になるまで更にジベンジルアミンを加えることで実施される。濃縮体より結晶性のジベンジルアミン塩が沈殿される。結晶性粗産物は真空下に濾過され乾燥され、チャコールを用いてメタノール又はアセトン液中に清浄化された。アセトンから再結晶化することでプラバスタチンジベンジルアミン塩は更に精製することができる。
【0033】
プラバスタチンの有機型第2アミン塩は、水酸化ナトリウム又は名取り組むアルコキシドによりプラバスタチンに転換することができる。好ましいナトリウムアルコキシドはナトリウムエトキシドである。
第2アミン塩中間体を介したプラバスタチンの単離は既知の単離方法に比べ単純な方法である。この方法では、人為産物は形成されない。生物変換の副産物及び微生物をヒドロキシル化することで生合成された各種代謝産物からのプラバスタチンの分離は好都合に溶解することができる。
【0034】
発酵ブロスからのプラバスタチンの単離に関する別の工程は、生物変換がプラバスタチンをその酸形状で生ずるという利点を有している。即ち、プラバスタチンはブロスより陰イオン交換樹脂カラムへの吸着により、好ましくはブロスの濾液より単離できる。Dowex(商標)A1400(OH−型)、Dowex(商標)1x2(OH−型)、Dowex(商標)2x4(OH−型)、Amberlite(商標)IRA900(0H−)樹脂の様な、第4アンモニウム活性基を持ったポリスチレン−ジビニルベンゼンポリマーの様な強塩基性陰イオン交換樹脂は、ブロスからのプラバスタチン遊離型酸の吸収に好適である。
【0035】
陰イオン交換樹脂上に吸着された物質は、酢酸水溶液又はアセトン及び塩化ナトリウムを含む水との混合液により、カラムから溶出することができる。アセトン:水(1:1)の混合液の1%の塩化ナトリウム液が特に好適な溶出液である。プラバスタチン含有分画はまとめられ、真空蒸留によりアセトンが取り除かれる。濃縮液のpHは15%硫酸により3.5−4.0の範囲に調節され、酸性化された水溶液は酢酸エチルにより抽出される。プラバスタチンは1/10ないし1/20容積比の5%炭酸水素ナトリウム又はその他の穏やかなアルカリ塩基性液(pH7.5−8.0)を用いて酢酸エチル抽出液から再抽出できる。
【0036】
プラバスタチンはアルカリ水性抽出液より、非イオン性吸着樹脂を使ったカラムクロマトグラフィーにより純粋形状で回収することができる。ある方法では、抽出中にアルカリ水相中に溶解した残存酢酸エチルは真空蒸留により除かねばならず、続いて水性抽出液はDialonHP−20カラムにかけられる。カラムに吸着されたプラバスタチンは徐々にアセトン含有量が増加されるアセトン水により溶出、精製され、次に単一成分としてプラバスタチンを含むクロマトグラフィー分画がまとめられ、真空下に濃縮される。濃縮体はチャコールで清浄化され、凍結乾燥される。次にプラバスタチンはエタノール−エチルアセトン混合体から結晶化され、医薬品応用に利用可能な品質のプラバスタチンを得る。
【0037】
プラバスタチンを単離する別の方法は、プラバスタチンをラクトン化しブロス中のその他酸性有機物質からの分離を改善する。抽出前に発酵ブロス又はブロス濾過液のpHを無機酸、好ましくは硫酸希釈液により3.5−3.7に調節する。次にブロスを水−非混合性有機溶媒、好ましくは酢酸エチル又は酢酸イソブチルの様な脂肪属アルコキシ成分を含む2−4炭素原子を持つ酢酸エステルで抽出される。酢酸エチル抽出物は水で洗浄され、無水硫酸ナトリウムにより乾燥される。
【0038】
次にプラバスタチンはそのラクトンに変換される。ラクトン環の閉鎖は、室温にて連続攪拌されている乾燥酢酸エチル液中にて触媒量のトリフルオロ酢酸を使用し実施される。ラクトン環の閉鎖は薄層クロマトグラフィー(“TLC”)にて行われる。ラクトン形成後、酢酸エチル液は5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄され、続いて水で洗浄される。酢酸エチル液は無水硫酸ナトリウムで乾燥され、酢酸エチルは真空下に蒸発させられる。残渣は酢酸柄チエルとヘキサンの混合液で、酢酸エチル含有量が漸次増加しながら溶出されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製される。
【0039】
精製されたプラバスタチンラクトンは室温、エタノール中に等量以上の水酸化ナトリウムにより加水分解され、プラバスタチンナトリウムに変換される。プラバスタチンナトリウム塩が形成された後、プラバスタチンナトリウムはアセトンにより沈殿させることができる。沈殿は濾過され、アセトンとn−ヘキサンにより洗浄され、真空下に乾燥される。プラバスタチンナトリウムはエタノール−酢酸エチル混合液より結晶化され、医薬品応用可能な品質のプラバスタチンナトリウムを得ることができる。
【0040】
プラバスタチン単離の別の方法は、SepHadexLH−20ゲルのクロマトグラフィーを利用する。純度99.5%(HPLCにより測定)を越えるプラバスタチンは、SepHadexLH−20ゲルを利用したクロマトグラフィーにより作ることができる。
特定の好適実施態様に関し発明を記載するために、ミクロモノスポラを用いたプラバスタチンの生合成の発明工程及びプラバスタチンの分離について、以下実施例を用い詳細に例示する。
【0041】
実施例
高性能液体クロマトグラフィー(“HPLC”)はWaters(商標)社製装置を用い実施された。HPLC条件:カラムパッケージングWaters NovaPackC185μm逆相パッケージング;UV検出:λ=237nm:注入容積:10μl;流速:0.6−0.9ml/分直線勾配;勾配溶出:溶媒A=アセトニトリル−0.1 MNaHPO水(25:75)、溶媒B=アセトニトリル−水(HPOにてpH2)(70:30)。勾配プログラムを表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 2003528576
【0043】
実施例1
可溶性澱粉ゲル培地(“SM”、表2)をpH7.0に調節し、続いて121℃にて25分間滅菌した。
【表2】
Figure 2003528576
【0044】
次にSM培地にミクロモノスポラ種IDR−P[NCAIM P(B)001268]を接種した。7−10日齢のミクロモノスポラ種IDR−P[NCAIM P(B)001268]の可溶性澱粉寒天(SM)傾斜培地より得た胞子から胞子の蒸留水懸濁液(5ml)を調整した。
この懸濁液を用い、T1培地のpHを7.0に調節し121℃にて25分間滅菌した後、500mlのエーレンマイヤーフラスコ中のT1接種培地(100ml、表3)に接種した。
【0045】
【表3】
Figure 2003528576
【0046】
培養体は回転式シェーカー(250r.p.m;振幅:2.5cm)上にて3日間、32℃にて振盪した。次にこの接種菌培養体の一部5mlを用い、事前にpH7.0に調節され121℃にて25分間滅菌されたTT培地(100ml、表4)を含む10本のエーレンマイヤーフラスコに接種した。
【0047】
【表4】
Figure 2003528576
【0048】
細菌は32℃にて72時間インキュベーションされた。次にコンパクチンのナトリウム塩(50mg)が各フラスコに蒸留水液として加えられ、生物変換を更に32℃で96時間持続した。コンパクチンナトリウム塩からプラバスタチンへの変換はHPLCにより82%と測定された。
発酵終了後、培養体を一つにまとめた。プラバスタチンは平均濃度410μg/mlで形成された。プラバスタチンは次の様にして単離された。発酵ブロスは2500r.p.mにて20分間遠心分離された。ブロス上清と細菌細胞とが分離された。水(250ml)が細菌細胞に加えられ、懸濁液を1時間攪拌した後濾過した。上清及び濾液が一つにまとめられた。pHは15%硫酸により4.0に調節された。酸性濾液/上清混合液は酢酸エチル(3×300ml)により抽出され、無水硫酸ナトリウムで乾燥され、真空下に100mlの容積まで濃縮された。
【0049】
プラバスタチンラクトンは、触媒量のトリフルオロ酢酸を連続攪拌しながら室温にて加えることでプラバスタチンより調製された。プラバスチチンラクトンの形成はTLC:吸着体:Kleselgel(シリカゲル)60F254DC(Merck)をアルミフォイル上でベーキングしたもの;展開溶媒:アセトン:ベンゼン:酢酸(50:50:1.5)混合液;検出:リン酸モリブデン試薬;Rf(プラバスタチンラクトン)=0.7によりモニターされた。ラクトン化終了後、酢酸エチルは5%の炭酸水素ナトリウム水溶液(2×20ml)、続いて水(20ml)で洗浄され、無水硫酸ナトリウムにより乾燥させられた。
【0050】
酢酸エチルは真空下に蒸発させられた。残渣(0.5g)は10gのKieselgel60吸着剤(カラム直径:1.2cm)と極性を増加する酢酸エチル−n−ヘキサン混合液で溶出される勾配カラムクロマトグラフィーにより分離された。プラバスタチンラクトンはカラムより、60%酢酸エチル/n−ヘキサンの混合液により溶出された。プラバスタチンラクトンを含む分画はまとめられ、真空下で蒸発させられた。残渣(230mg)はエタノール(5ml)に溶解され、続いて110モルの水酸化ナトリウムが!Mのエタノール液として攪拌しながら加えられた。
【0051】
攪拌は30分間、室温で続けられた。次に溶液は0.2mlまで濃縮された。アセトン(4ml)が濃縮液に加えられた。この混合液を+5℃に一晩保った。沈殿を濾過し、アセトン(2ml)、続いてn−ヘキサン(2ml)にて洗浄してから、室温にて真空下に乾燥した。得られた粗プラバスタチンはエタノールに溶解された。溶液をチャコールで清浄化し、プラバスタチン(170mg)をエタノール−酢酸エチル混合液から結晶化した。
特性分析:
【0052】
融点:170−173℃(溶解)
[α] 20=+156°(c=0,5、水中)。
紫外線吸収スペクトル(20μg/ml、エタノール中):λmax=231、237、245nm(logε=4.263;4.311;4.136)。
赤外線吸収スペクトル(KBr):vOH3415、vCH2965、vC−0 1730、vCOO−1675cm−1
【0053】
H−NMRスペクトル(CO、δ、ppm):0.86、d、3H(2−CH);5.92、dd、J=10.0及び5.4Hz、1H(3−H);5.99、d、J=10.0Hz、1H(4−H);5.52、br、1H(5−H);4.24、m、1H(6−H);5.34、br、1H(8−H);4.06、m、1H(β−H)、3.65、m、1H(δ−H);1.05、d、3H(2‘−CH);0.82、t、3H(4’−H)。
13C−NMRスペクトル(DO、δ、ppm):15.3、q(2−CH);139.5、d(C−3);129、d(C−4);138.1、s(C−4a);127.7、d(C−5);66.6、d(C−6);70.1、d(C−8);182.6、s(COO−);72.6、d(C−β);73.0、d(C−δ);182.0,s(C−1‘);18.8、q(2’−CH);13.7、1(C−4‘)。
【0054】
ポジティブFABマススペクトル(特性イオン):469[M+Na];447[M+H]
ネガティブFABマススペクトル(特性イオン):445[MーH];423[M−Na]101[2−メチル−ブチル酸−J]。
【0055】
実施例2
生物変換培地MT(表5)はpH7.0に調節され、121℃にて25分間滅菌された。
【表5】
Figure 2003528576
【0056】
MT生物変換培地(100ml)をそれぞれ含む10本の500mlエーレンマイヤーフラスコに、実施例1で調製された接種培養体を接種し、28℃にて96時間インキュベーションした。コンパクチンのナトリウム塩(50mg)を最小量の蒸留水に溶解し、各フラスコに加えた。72時間発酵し続けた。次に新たに50mgのコンパクチンナトリウム塩の蒸留水溶液を各培養体に加え、更に72時間発酵を続けた。
【0057】
培養体を一つにまとめ、プラバスタチンをブロスから以下の手順で単離した。まとめられた、HPLCアッセイによれば750mgのプラバスタチンを含む培養体を2500r.m.p.で20分間遠心分離した。分離された細菌細胞を水(250ml)と共に1時間攪拌し、濾過した。上清と濾過液をまとめ、得られた液のpHを15%の硫酸で3.5−4.0に調節した。この溶液を酢酸エチル(3x300ml)で抽出した。次に150モル%のジベンジルアミン−プラバスタチン含有量に対し計算された−を酢酸エチル抽出物に加えた。エチル酢酸抽出物を約30ml容積まで蒸発させ、懸濁液を一晩0−5℃に維持した。沈殿したプラバスタチンジベンジルアンモニウム塩を濾過し、フィルター上にて冷酢酸エチルとn−ヘキサンを用い洗浄し、真空下に乾燥させた。
【0058】
粗プラバスタチンジベンジルアンモニウム塩(1.1g)をアセトン(33ml)に62−66℃で溶解した。溶液をチャコール(0.1g)で30分間清浄化した。濾過により溶液からチャコールを除き、温めたアセトン(10ml)で洗浄した。濃縮液から結晶を沈殿させ、再度62−66℃にて溶解した。この溶液を+5℃に一晩置いた。沈殿を濾過し、冷アセトンとn−ヘキサンにて洗浄し、真空下に乾燥させた。こうして得たプラバスタチンジベンジルアンモニウム塩(0.7g)をエタノール(10ml)に懸濁し、続いて110モル%の水酸化ナトリウムを1Mの水溶液の形でこの溶液に加えた。
【0059】
アルカリ溶液を室温にて30分間攪拌し続けた。水(30ml)を加え、溶液のpHを中性化した。エタノールを真空下に蒸留し除いた。得られた濃縮水溶液を50mlのDiaionHP20樹脂で満たされたカラムを用いた勾配カラムクロマトグラフィーにより分離した(カラム直径:1.5cm)。カラムは5%づつアセトン濃度を増加するアセトン−脱イオン化水混合液で溶出した。プラバスタチンは15%アセトン−脱イオン水混合液によりカラムから溶出できた。分画は実施例1記載のTLC法により分析された;Rf(プラバスタチン)=0.5。プラバスタチンを含む分画をまとめ、アセトンを真空下に蒸発させた。
水性残渣を凍結乾燥して、クロマトグラフィー的に純粋なプラバスタチン(390mg)を得た。
【0060】
実施例3
TT/2培地(4.5L、表6)を研究用ファーメンター中にて121℃、45分間滅菌し、実施例1記載の如くに調製されたミクロモノスポラ種IDR−P接種菌振盪培養体を接種した。
【表6】
Figure 2003528576
【0061】
次にこの培地を28℃にインキュベーションし、150L/時で無菌空気を通気し、フラットブレードスターラーにより300r.p.mにて攪拌した。72時間発酵を続け、コンパクチンのナトリウム塩(2.5g)を培養体に加えた。生物変換48時間目までにコンパクチン基質は発酵ブロスから消費された。追加のコンパクチンナトリウム塩(2.5g)を培養体に加えた。第2回目に投与されたコンパクチン基質は24時間で消費された。コンパクチンナトリウム塩のプラバスタチンへの変換率は90%であった。
【0062】
実施例4
TT/1発酵培地(4.5L、表7)をpH7.0に調節し、研究用ファーメンター中にて121℃、45分間滅菌した。
【表7】
Figure 2003528576
【0063】
TT/1培地に、実施例1記載の如くに調製されたミクロモノスポラ種IDR−P接種菌振盪培養体を接種した。次にこの培養体を28℃にインキュベーションし、200L/時で無菌空気を通気し、フラットブレードスターラーにより400r.p.mにて96時間攪拌した。コンパクチンのナトリウム塩(2.5g)を滅菌濾過水溶液として培養体に加えた。発酵は28℃にて実施された。発酵5日目までにコンパクチンは発酵ブロスから消費された。追加のコンパクチンナトリウム塩(7.5g)を2.5gづつ間欠的に2日間かけて加えた。追加のコンパクチンナトリウム塩は初回投与から4日以内に完全にプラバスタチンに変換された。発酵終了時、コンパクチンナトリウム塩(10g)がプラバスタチンに変換された(9g、90%)。
【0064】
ブロスからは以下の様にして1800μg/mlの濃度のプラバスタチンが単離された。培養ブロス(5L)が2500r.p.m、20分間の遠心分離にかけられ、上清が細菌細胞から分離された。水(2L)が分離された細胞に加えられ、得られた懸濁液は1時間攪拌され、濾過された。上清と濾過液をまとめ、Dowex(商標)A1400(OH)樹脂を含むカラム(300g、カラム直径:4cm)に流速500ml/時で通過させた。樹脂床は脱イオン水(1L)で洗浄された。次にカラムを10gの塩化ナトリウムを含む1:1アセトン−水混合(1L)で溶出し、50mlの分画に集めた。この分画を実施例1記載のTLC法にて分析した。
【0065】
産物を含む分画をまとめ、アセトンを真空下に蒸留して除いた。濃縮液のpHを15%の硫酸にて3.5−4.0に調節した。この濃縮液を酢酸エチル(2x250ml)で抽出した。まとめた酢酸エチル抽出液に脱イオン水(40ml)を加えた。水相のpHを1Mの水酸化ナトリウムで7.5−8.0に調節した。15分間攪拌した後、水相と酢酸エチル相を分離した。水性アルカリ抽出を2回繰り返した。アルカリ水溶液をまとめたものを50ml容積まで濃縮し、残渣をDiaion(商標)HP20(Mitsubishi Co.Japan、600ml、カラム直径3.8cm)により分離した。カラムを脱イオン水(600ml)にて洗浄し、続いて5%づつアセトン濃度を増加しながらアセトン−脱イオン水混合液にて溶出した。溶出液は50ml分画に集めた。溶出液は実施例1記載のTLC法により分析された。
【0066】
プラバスタチンは15%アセトン−脱イオン水混合的中にカラムより溶出された。TLCにより純粋なプラバスタチンを含む分画と決定された分画をまとめ、溶液を真空下に150mlまで濃縮した。濃縮溶出液をチャコール(0.6g)上に室温にて1時間攪拌し、清浄化した。チャコールを濾過して除き、濾液を凍結乾燥した。得られた凍結乾燥プラバスタチン(6.5g)をエタノール及び酢酸エチル混合液から2回結晶化した。沈殿を濾過し、酢酸エチル(20ml)及びn−ヘキサン(20ml)で洗浄、室温にて真空下に乾燥させクロマトグラフィー上純粋なプラバスタチンを得た(4.6g)。
【0067】
実施例5
実施例1の滅菌可溶性澱粉培地SMにミクロモノスポラエチノスポラ亜種エチノスポラ(Micromonospore echinospora ssp. echinospora)IDR−P5[NCAIM P(B)001272]細菌株を接種し、10日間インキュベーションした。10日齢の可溶性澱粉培地から得た胞子を使い胞子の蒸留水懸濁液を調製し、この懸濁液を用いて500mlのエーレンマイヤーフラスコ中にある実施例1記載の滅菌T1接種培地100mlに接種した。培養体をロータリーシェーカー(250r.p.m.、振幅2.5cm)にて3日間、28℃攪拌した。
【0068】
次に得られた培養体の一部5mlを、それぞれが100mlの、前もって121℃、25分間にて滅菌された生物変換培地TT/1を含む10本の500mlのエーレンマイヤーフラスコに移した。TT/1培地の組成は実施例3に記載されている。フラスコにロータリーシェーカーにて攪拌しながら(250r.p.m.,振幅2.5cm)、3日間、25℃にてインキュベーションした。コンパクチンナトリウム塩(10mg)を滅菌濾過した水溶液として各フラスコに加えた。168時間、25℃にて発酵を続けた。生物変換終了時では発酵ブロスのプラバスタチン含有量はHPLCにより決定したところ40μg/mlであった。
【0069】
実施例6
接種、インキュベーション、発酵、及び基質添加は、ミクロモノスポラメガロミセア亜種ニグラ(Micromonospore megalomicea spp.nigra)IDR−P[NCAIM P(B)001273]菌株を使い、実施例5記載の如くに実施された。168時間後の発酵ブロスのプラバスタチン含有量はHPLCにより50μg/mlと決定された。
【0070】
実施例7
ミクロモノスポラパープレア(Micromonospore purpurea)IDR−P[NCAIM P(B)001271]菌株(5ml)の接種培養体は実施例1記載の如くに調製された。接種培養体を用い、pHを7.0に調製し121℃にて25分間滅菌された後の500mlエーレンマイヤーフラスコ中のTT/14培地(100ml、表8)に接種した。
【0071】
【表8】
Figure 2003528576
【0072】
フラスコをロータリーシェーカー(250r.p.m.、振幅2.5cm)にて3日間振盪した。コンパクチンナトリウム塩の添加、生物変換及びプラバスタチン含有量の決定は実施例5記載の如くに実施された。生物変換終了時の発酵ブロスのプラバスタチン含有量はHPLCにより測定され、40μg/mlであった。
【0073】
実施例8
接種、インキュベーション、発酵、及び基質添加は、ミクロモノスポラメガロミセアロサリア(Micromonospore rosaria)IDR−P[NCAIM P(B)001274]菌株を使い、実施例1記載の方法に従い実施された。生物変換終了時、発酵ブロス中にはHPLCにより測定した場合に、350μg/mlのプラバスタチンが存在していた。
上記の如く発明を特定の好適実施態様及び実施例を参照しながら記述したが、当業者は上記及び添付クレームの発明の精神及び範囲から逸脱しない変型を認識するだろう。
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