JP2003524730A - ターボラジアル送風機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ターボラジアル送風機は、ステータハウジング（１０）内に設けられているステータ（３５）と、ポンプハウジング（１１）内で回転する羽根車（１３）とを有している。該羽根車（１３）は中空室（２３）を有している。該中空室（２３）は支承装置（２６）を備えている。該支承装置（２６）は、張り出した支承心棒（２５）に支承されている。ポンプ室（１２）はステータ室（２２）から薄い分離壁（２１）によって分離されている。これによって、ステータ室（２２）内には大気圧が維持される。送風機は少ない構成要素から成っていて、短い構造長さを有している。送風機には十分に保守の必要がなく、オイルによる羽根車領域の汚染の危険がない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、ターボラジアル送風機であって、回転可能に支承された羽根車と、
該羽根車を運転するモータとが設けられている形式のものに関する。

【０００２】 真空技術におけるターボラジアル送風機は、通常、一段式の構成で形成されて
いるだけでなく、二段式の構造でも形成されている。この場合、羽根車と、モー
タと、支承装置とが空間的に連続して配置されている。この場合、羽根車は軸受
けの間に位置しているかまたは片持ち式に支承されていてよい。軸受け潤滑はオ
イルによって行われる。このオイルはオイル圧送装置によって軸受けに圧送され
る。このようなターボラジアル送風機は軸方向の大きな構造長さと大きな数の構
成部材とを有している。これによって、複雑な釣合せ工程が必要となる。さらに
、軸受け潤滑のための設けられたオイルによる羽根車領域の汚染の危険がある。
モータは真空内に位置している。これによって、手間のかかる巻線絶縁が必要と
なる。この結果、好ましくない熱移行と電流線路のためのシールされた線路貫通
案内とが生ぜしめられる。

【０００３】 本発明の課題は、コンパクトな構造を有していると同時に少ない構成要素から
廉価に製作することができるターボラジアル送風機を提供することである。

【０００４】 この課題は、本発明によれば、請求項１記載の特徴によって解決される。本発
明によれば、モータが、永久励磁されたディスクロータ型モータとして形成され
ており、該ディスクロータ型モータが、羽根車に固定された、軸方向に方向付け
られた磁界を備えた永久磁石と、定置のステータコイルとを有している。したが
って、モータは部分的に羽根車に組み込まれていて、羽根車のすぐ近くに配置さ
れている。これによって、送風機の構造長さが減少させられる。さらに、羽根車
が、該羽根車の中空室内に収納されている支承装置によって、中空室内に突入し
た位置固定された支承心棒に支承されている。すなわち、羽根車の支承は羽根車
の内側でしか行われない。この場合、一緒に回転する軸は不要となる。むしろ、
羽根車ハブは、支承心棒に嵌められた支承装置に直接支承されていてよい。この
ような形式の支承によって、羽根車の振動も回避される。少ないロータ損失と、
これによって、効率の上昇とが得られる。位置固定された支承心棒によって製造
が容易となる。モータのためには、単純な水冷装置を取り付けることができる。

【０００５】 支承装置がグリースによって潤滑されると有利である。この場合、少なくとも
１つのグリース室が羽根車の中空室内に設けられている。これに対して択一的に
は、同じく保守の必要がない磁気軸受けを使用することが可能である。また、磁
気軸受けと、グリース潤滑される軸受けとの組合せも可能である。

【０００６】 羽根車の中空室が、後側に向かって開いており、該中空室の後方の端部で羽根
車と支承心棒との間にシールギャップが形成されていると有利である。このシー
ルギャップは、中空室からポンプ室内への潤滑グリースと軸受け構成部材との吸
込みを阻止している。この箇所にシール部材を使用することも可能であるが、こ
の場合、摩耗によって生ぜしめられたシール部材の破片がポンプ室内に到達する
恐れがある。

【０００７】 本発明の有利な構成によれば、中空室を仕切る壁と、良熱伝導性に支承心棒に
嵌められたスペースリングとの間に最高０．５ｍｍの幅の、熱を羽根車から支承
心棒に導出するための狭幅の熱伝達ギャップが形成されている。この狭幅の熱伝
達ギャップの形成によって、熱が羽根車から、冷却された支承心棒に導出される
。

【０００８】 羽根車とステータコイルとの間に圧力密な透磁性の分離壁を配置することがで
きる。この分離壁はダイヤフラム、繊維複合材料または封止材料から成っていて
よい。分離壁はポンプ室とモータ室との間の真空シールを行っているので、モー
タ室内に設けられたステータは大気側に位置していて、真空室内には位置してい
ない。これによって、ステータ巻線のより簡単なかつより安価な巻線絶縁が可能
となる。さらに、ステータハウジングに圧力密な通電手段は不要となる。むしろ
、単純な端子ボックスを使用することができる。

【０００９】 本発明によるターボラジアル送風機では、冷却装置がステータハウジング内に
収納されることによって冷却を著しく簡単にすることもできる。冷却装置はステ
ータだけでなく支承心棒も冷却し、羽根車から支承心棒に伝達される熱の熱導出
を生ぜしめる。

【００１０】 羽根車の回転位置を検知したい場合には、誘導型ベースのまたは容量型ベース
のまたは光学ベースの適宜な発信器が設けられていてよい。この発信器はステー
タ内に配置されている。

【００１１】 ディスクロータ型モータとしてのモータの本発明による構成の別の利点は、ス
テータコイルがロータを引き寄せており、これによって、羽根車に対する、予荷
重もしくはプレロードによる軸方向力の機械的な付与が不要となることにある。

【００１２】 本発明によるターボラジアル送風機は、特に迅速に回転する送風機、たとえば
迅速に通流されるＣＯ_２レーザでの使用のために適している。

【００１３】 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

【００１４】 ターボラジアル送風機はステータハウジング１０とポンプハウジング１１とを
有している。このポンプハウジング１１はポンプ室１２を有している。このポン
プ室１２内には回転可能な羽根車１３が配置されている。この羽根車１３は、ハ
ブ１４と、このハブ１４を越えて張り出した翼１５とを有している。この翼１５
は、僅かなギャップを備えてポンプハウジング１１の壁の輪郭に追従している外
縁部を有している。ポンプは、移送したい流体を軸方向で吸い込み、この流体を
半径方向で出口１６に圧送する。

【００１５】 羽根車１３のハブ１４は支持体部分１７を有している。この支持体部分１７は
管区分１８とフランジ区分１９とから成っている。このフランジ区分１９は羽根
車１３の後方の端壁を形成している。フランジ区分１９は切欠きを有している。
この切欠き内には永久磁石２０が配置されている。この永久磁石２０は、軸方向
に方向付けられた磁界を有している。このことは、Ｎ極ＮとＳ極Ｓとが、羽根車
軸線に対して平行に延びる線上に位置していることを意味している。支持体部分
１７とハブ１４とは磁性材料から成っている。

【００１６】 永久磁石２０に隣接して分離壁２１が設けられている。この分離壁２１はステ
ータハウジング１０の内室２２をポンプ室１２から分離している。分離壁２１は
透磁性のダイヤフラム、有利には繊維複合材料から成っているかまたは封止材料
から成っている。分離壁２１はステータ室２２とポンプ室１２との間の真空シー
ルを行っている。

【００１７】 羽根車１３は内側の中空室２３を有している。この中空室２３は前方の端部で
キャップ２４によって密に閉鎖されている。中空室２３内には支承心棒２５が突
入している。この支承心棒２５には羽根車１３が支承装置２６によって支承され
ている。この支承装置２６には２つの転がり軸受け、つまり、前方の玉軸受け２
７と後方の玉軸受け２８とが所属している。両玉軸受け２７，２８は支承心棒２
５に嵌められていて、支持体部分１７の管区分１８を支承している。各玉軸受け
２７，２８には少なくとも１つのグリース室２９が隣接している。このグリース
室２９は軸受け潤滑のためのペースト状のグリースを有している。両玉軸受け２
７，２８の少なくとも一方は磁気軸受けとして形成されていてもよい。原理的に
は、磁気軸受けでの完全な軸受け構成も可能である。

【００１８】 支承心棒２５の外側の端部にはキャップ３０が固定されている。このキャップ
３０は皿ばね積重ね体３１を支持している。この皿ばね積重ね体３１自体は前方
の玉軸受け２７を押圧していて、これによって、支承装置２６を軸方向で押し合
わされた状態で保持している。

【００１９】 両玉軸受け２７，２８の間では、支承心棒２５に良熱伝導性の材料から成るス
ペースリング３２が位置している。このスペースリング３２は支承心棒２５に密
に接触している。管状の部分１８の、中空室２３を仕切る壁と、スペースリング
３２との間には、最高０．５ｍｍ、有利には約０．４ｍｍの幅を備えた、熱を羽
根車１３からスペースリング３２を介して支承心棒２５に導出するための熱伝達
ギャップ３３が位置している。

【００２０】 支持体部分１７の管区分１８の後方の端部と、支承心棒２５との間にはシール
ギャップ３４が形成されている。このシールギャップ３４によって、ポンプ室１
２から中空室２３内へのガス吸出しが可能となる。この中空室２３からは、支承
心棒２５に設けられた孔（図示せず）を通って導出が行われる。シールギャップ
３４は中空室２３のただ１つの開口を成している。

【００２１】 ステータ室２２内にはステータ３５が位置している。このステータ３５はステ
ータコイル３６を備えている。このステータコイル３６は積層鉄心３７に埋め込
まれている。ステータ３５は、永久磁石２０を有する支持体部分１７と共にディ
スクロータ型モータ４４もしくはフラットロータ型モータを形成している。ステ
ータコイル３６は、永久磁石２０が羽根車１３の回転時に運動する円に位置して
いる。電子的な整流器はステータ巻線３６に周期的に環状に電流を発生させるの
で、ステータ巻線３６は、全周にわたって延びる磁界を発生させる。羽根車１３
はその永久磁石２０でこの磁界に追従している。ディスクロータ型モータ４４は
、いわば非接触式の羽根車駆動に用いられる電磁継手である。ステータコイル３
６と永久磁石２０との間のエアギャップは分離壁２１によって貫通されている。
この分離壁２１は基部３８に密に固定されている。この基部３８はステータハウ
ジング１０の底壁３９に固く組み付けられていて、支承心棒２５の構成部材を形
成している。分離壁２１はステータ室２２を真空部分から分離しているので、ス
テータ室２２内には大気圧が形成される。ステータハウジング１０の壁には、電
流ケーブルを貫通案内するためのケーブル開口４０が位置している。さらに、管
貫通案内開口４１が設けられている。この管貫通案内開口４１を通って導管４２
が案内される。この導管４２は、冷却水によって通流される冷却蛇管の構成部分
である。冷却蛇管は冷却装置４３を形成している。この冷却装置４３はステータ
３５だけでなく支承心棒２５も冷却し、熱を送風機ハウジング全体から導出する
。

【００２２】 ターボラジアル送風機はほとんど個別部材から成っておらず、廉価に製作可能
である。ターボラジアル送風機は十分に保守の必要がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 ターボラジアル送風機の縦断面図である。

【符号の説明】

１０ ステータハウジング、 １１ ポンプハウジング、 １２ ポンプ室、
１３ 羽根車、 １４ ハブ、 １５ 翼、 １６ 出口、 １７ 支持体部
分、 １８ 管区分、 １９ フランジ区分、 ２０ 永久磁石、 ２１ 分離
壁、 ２２ ステータ室、 ２３ 中空室、 ２４ キャップ、 ２５ 支承心
棒、 ２６ 支承装置、 ２７ 玉軸受け、 ２８ 玉軸受け、 ２９ グリー
ス室、 ３０ キャップ、 ３１ 皿ばね積重ね体、 ３２ スペースリング、
３３ 熱伝達ギャップ、 ３４ シールギャップ、 ３５ ステータ、 ３６
ステータコイル、 ３７ 積層鉄心、 ３８ 基部、 ３９ 底壁、 ４０
ケーブル開口、 ４１ 管貫通案内開口、 ４２ 導管、 ４３ 冷却装置、
４４ ディスクロータ型モータ、 Ｎ Ｎ極、 Ｓ Ｓ極

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１４年２月９日（２００２．２．９）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カール−ハインツ ロンターラー ドイツ連邦共和国 ツュルピッヒ ノイサ ー シュトラーセ 15 (72)発明者 ハンス クリーヒェル ドイツ連邦共和国 ボン カール−フリー ドリッヒ−シンケル−シュトラーセ 27 Ｆターム(参考） 3H022 AA02 BA06 CA16 CA33 CA41 DA02 DA20 3H034 AA02 BB02 BB06 CC01 CC06 DD14 EE03 EE12 EE13

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ターボラジアル送風機であって、回転可能に支承された羽根
   車（１３）と、該羽根車（１３）を運転するモータとが設けられている形式のも
   のにおいて、 モータが、永久励磁されたディスクロータ型モータ（４４）として形成されて
   おり、該ディスクロータ型モータ（４４）が、羽根車（１３）に固定された、軸
   方向に方向付けられた磁界を備えた永久磁石（２０）と、定置のステータコイル
   （３６）とを有しており、羽根車（１３）が、該羽根車（１３）の中空室（２３
   ）内に収納されている支承装置（２６）によって、中空室（２３）内に突入した
   位置固定された支承心棒（２５）に支承されていることを特徴とする、ターボラ
   ジアル送風機。
2. 【請求項２】 支承装置（２６）が、少なくとも１つのグリース室（２９）
   を備えたグリース潤滑部を有している、請求項１記載のターボラジアル送風機。
3. 【請求項３】 羽根車（１３）の中空室（２３）が、後側に向かってしか開
   いておらず、該中空室（２３）の後方の端部で羽根車（１３）と支承心棒（２５
   ）との間にシールギャップ（３４）が形成されている、請求項１または２記載の
   ターボラジアル送風機。
4. 【請求項４】 中空室（２３）を仕切る壁と、良熱伝導性に支承心棒（２５
   ）に嵌められたスペースリング（３２）との間に最高０．５ｍｍの幅の、熱を羽
   根車（１３）から支承心棒（２５）に導出するための狭幅の熱伝達ギャップ（３
   ３）が形成されている、請求項１から３までのいずれか１項記載のターボラジア
   ル送風機。
5. 【請求項５】 羽根車（１３）とステータコイル（３６）との間に圧力密な
   透磁性の分離壁（２１）が配置されている、請求項１から４までのいずれか１項
   記載のターボラジアル送風機。
6. 【請求項６】 ステータコイル（３６）が、大気圧下にあるステータハウジ
   ング（１０）内に設けられており、該ステータハウジング（１０）が、冷却装置
   （４３）を有している、請求項５記載のターボラジアル送風機。
7. 【請求項７】 支承心棒（２５）の一部（３８）が、ステータ（２５）に熱
   伝導接触していて、該ステータ（３５）を越えて突出しており、しかも、そこで
   冷却装置（４３）の作用にさらされている、請求項６記載のターボラジアル送風
   機。
8. 【請求項８】 一方の軸受けが、グリース潤滑される構成で形成されており
   、他方の軸受け、有利には下側の軸受けが、受動型の磁気軸受けとして形成され
   ている、請求項１記載のターボラジアル送風機。
9. 【請求項９】 支承装置（２６）が、能動型の磁気軸受けによって形成され
   ている、請求項１記載のターボラジアル送風機。