JP2003519614A - マールスラグの製造方法 - Google Patents

マールスラグの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 マールスラグ及びマールスラグセメント又は混合セメントの混合成分を、塩基度CaO/SiOが2.0未満のマールから製造する方法とする。この方法では、第1の処理工程において、塩基度が2.0未満の粘土質マール又はマールと粘土との混合物を乾燥させ、予備加熱し、そしてか焼すること、及びこの第1の処理工程の後の第2の処理工程で、別個の溶融炉において第1の処理工程よりも高温で、得られた生成物を溶融し、溶融体を粒状化することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、マールスラグ及びマールスラグセメント、又は混合セメントの混合
成分を、塩基度CaO/SiOが2.0未満のマール(泥灰)から製造する方
法に関する。
【0002】 セメントを製造する場合、粘土質の石及び石灰質、特に石灰石及び石灰マール
を開始材料として使用し、これを焼いてセメントクリンカーにしている。開始材
料に含まれる石灰は、完全にケイ素質アルミナ及び随意に鉄に結合し、それによ
ってポルトランドセメントクリンカーに一般的なセメント無機質、例えばアライ
ト、ベライト、ブラウンミレライト及びガラスができる。約1,350℃の比較
的低い温度でセメントクリンカーへの所望の焼結を確実にするために、比較的高
品質の開始材料、特に石灰質の割合が多い石灰マールが必要とされる。しかしな
がら、通常は塩基度が3〜4である石灰マールは、石灰と並んで、SiO、A
及び酸化鉄を含んでおり、比較的高純度でかなり純粋な石灰マールとし
てだけではなく、一般的又は低純度のマールとして実質的にかなり多量に存在し
ている。実質的に比較的広く分布しているマールは、塩基度が0.8〜2である
ことを特徴とし、また粘土質マールとして存在することも多い。これらの比較的
低品質で、実質的に幅広く分布している開始物質は、安価な原料として大量に入
手することができるが、費用のかかる純化及び石灰富化処理をしなければ、従来
のセメント製造プロセスでは使用することができない。
【0003】 スラグセメント、特に高炉スラグセメント等は水硬性を示し、スラグの化学的
性質を最適化することによって、特に塩基度とアルミン酸塩含有率を調節するこ
と、並びに特別な活性化処理を行うことによって、冶金スラグは、コンクリート
の強度の増加に対応し且つクリンカーセメントと少なくとも等価な程度まで改良
されることが既に示されている。
【0004】 本発明の目的は、塩基度が低い広く分布し安価な原料マールを、スラグセメン
ト又は混合セメントのための混合成分の製造で経済的に使用し、同時に生成物の
品質を調節して高品質なものに要求される品質を提供できるようにすることであ
る。この目的のために本発明の方法は、第1の処理工程において、塩基度が2.
0未満である粘土質マール又はマールと粘土との混合物を乾燥させ、予備加熱し
、そしてか焼し、その後、第2の処理工程において、第1の処理工程で得られた
生成物を、別個の溶融炉において第1の処理工程よりも高い温度で溶融し、溶融
体から造粒することから本発明になる。か焼は吸熱反応であり、溶融は発熱反応
を起こす。第1の処理工程において、粘土質マール、すなわち塩基度が2未満の
Al含有率が高い比較的低質のマール又は低品質マールと粘土との混合物
を乾燥し、予備加熱し、そしてか焼するので、か焼の間に放出される多量のCO を、セメント製造において焼結のために通常は必要とされる温度まで加熱する
必要がない。つまり、水和化合物、硫黄化合物及び炭酸化合物のか焼を低い温度
で行うので、放出される大量のガスが低温になり、それによってプロセスの熱効
率、すなわち経済性が改良される。開始物質の純度が比較的低いので、比較的高
純度の炭酸カルシウムと比べて、か焼は比較的低い温度で行われている。第2の
処理工程において得られる生成物は後に、別個の溶融炉において第1の処理工程
でよりも高い温度で融解させるので、任意の手段によって溶融体の組成を後で適
当にすることができ、また溶融体を粒状化することによって、所望のガラス部分
を提供し、全ての望ましくない結晶化が冷却の間にほぼ起こらないようにするこ
とができる。そのような低温での第1の処理工程における乾燥、予備加熱及びか
焼は更に、既知のセメントクリンカー焼結プロセスよりも実質的に比較的粗い粒
状物質を投入することを可能にし、それによって原料調製、特に磨砕が原則とし
て必要ないようにする。しかしながら、粗い投入原料はわずかに微細化する必要
がある。また本発明の方法は、クリンカープロセスと比較して、熱の消費量が比
較的少ない。
【0005】 有利には本発明の方法は、第1の処理工程を浮遊式熱交換器、ロータリーチュ
ーブキルン(回転管炉)、複数炉床炉若しくは高炉において、又は流動床若しく
はサイクロン予備加熱装置において行う。特に有利な様式では、浮遊式熱交換器
を使用することができる。これによれば、特にロータリーチューブキルン又は高
炉を第1の工程で使用する場合に、かなり粗い粒度の投入原料を選択することが
でき、例えば40mmまでの粒度の投入材料の乾燥、予備加熱及びか焼を容易に
行うことができる。
【0006】 特に有利な様式では、第2の処理工程を溶融サイクロン、ロータリーチューブ
キルン(回転管炉)若しくは炉床タイプ炉、又は鉄溶融酸化反応器で行う。これ
によれば、溶融酸化反応器を使用する場合には、発泡スラグの発生でさえ有利で
ある。
【0007】 所望のセメントの技術的性質を得るために重要なことは結局、目標スラグのス
ラグ塩基度の調節であり、マールと粘土を混合して、塩基度CaO/SiO
0.9〜1.85になるように、対象のスラグを調節する様式で有利に行われる
。同時にAl含有率を6〜20wt%にすると、高品質合成溶鉱炉スラグ
が得られる。このようなAl含有率は、粘土質マールを使用することによ
って、特に単純な様式で得ることができる。異なる品質のマールを主成分として
使用する場合、所望のスラグの化学的性質は、ボーキサイト、粘土、煙道灰又は
他の工業的な廃棄物質、例えば赤泥、清掃屑、コランダム含有研磨屑又は耐火物
の破損片を使用することによって調節できる。
【0008】 所望のセメントの技術的性質を得るために必要な他のことは当然に、迅速な冷
却であり、これによって結晶の形成を抑制する。スラグの塩基度に依存して、ス
ラグは異なる粘度によって特徴付けられる。特に塩基度が1.4よりも大きいと
きに、スラグはかなり粘性になり、従来の粒状化プロセス、例えば熱水中での粒
状化では、結晶の形成をもはや信頼可能に妨げることができない。従って、本発
明に関して、塩基度が1.4よりも大きい溶融体を粒状化装置、特に蒸気粒状化
装置内に噴霧して処理することが有利である。水又は水蒸気内に噴霧することに
よって溶融滴の冷却を行うことが多い噴霧粒状化は、炭化水素を更に噴霧粒状化
装置に噴出することによって実質的に改良することができる。炭化水素の熱分解
は、10〜10K/sの冷却速度で噴霧された滴から熱を奪い、また同時に
高品質の合成ガスを作る。第1の処理工程ではか焼のために熱が必要とされてい
るので、この炭化水素は、第1の処理工程で燃焼させることができる。これは本
発明の方法の好ましい更なる態様である。
【0009】 開始材料の純度が比較的低いので、か焼は比較的低い温度で行われる。有利に
は本発明の方法は、第1の処理工程を950℃〜1,000℃までの温度で行い
、ここで乾燥も100℃〜210℃、予備加熱を210℃〜600℃、またか焼
を600℃〜1,000℃の温度で行う。
【0010】 スラグを融解させて、その後でガラス状のコンシステンシーにして固化させる
第2の処理工程では、最終的な温度が1,450℃〜1,550℃になる様式で
処理を行うことが好ましい。
【0011】 上述のように本発明の方法は、面倒な原料の調製なしで、特に開始材料の粉砕
を行わずに実施することができる。有利には本発明の方法は、第1の処理工程を
、20mm〜30mmの平均粒度の微細に粉砕されたマールを使用して実施する
【0012】 セメントの技術的性質を更に促進するために、本発明では、クリンカーの製造
からのバイパスダストを投入材料に加えることができる。本発明の方法ではスラ
グマールを製造するので、クリンカー製造バイパスダストに含まれる高アルカリ
成分を溶融体に導入することができ、そのように製造された生成物は特に反応性
であり、初期強度が大きいことによって特徴付けられる。従来のセメント製造プ
ロセスで使用されるようなクリンカー原料は一般に、高アルカリ含有率であるこ
とによって特徴付けられ、そのようなアルカリに富む原料の処理は、一般に廃棄
の際に問題をもたらすが、この問題は本発明の方法によって解決できる。また他
の工業的アルカリ含有廃棄物質、例えばAl及びリグニンのような有機物
質の含有率が特に高い紙及びセルロースパルプの製造の際の廃棄物質の使用が有
利である。ここで、有機物質はその熱量を利用することができる。
【0013】 溶融体に従来の水による粒状化処理を行う場合、その塩基度は1.4未満に低
下させなければならず、従って目標のスラグのAl含有率を増加させて、
最終生成物でクリンカーと同様な硬度の変化を達成しなければならない。
【0014】 本発明の方法では、ドロマイト含有率が高い材料を投入することが好ましくな
い影響を与えず、単に投入材料のMgO含有率を19wt%未満に調製しなけれ
ばならないだけである。この量までの酸化マグネシウムは、スラグの粘度を減少
させることによって、粒状化能力を促進することができる。これは、アモルファ
ス又はガラス状の粒子の割合を増加させる。
【0015】 以下では、例示の態様を示すことによって、本発明の方法をより詳細に説明す
る。
【0016】 例1 マールと粘土の材料を投入することによって、マールスラグを製造する。開始
材料の解析結果は下記の表に示す。
【表1】
【0017】 開始材料にクリンカー炉バイパスダストを加え、それによってマールスラグの
初期強度を有意に増加させた。
【0018】 スラグ塩基度CaO/SiO(C/S)を1.4未満に調節して、従来の水
による粒状化を行うために、混合物中のこれら2つの成分の割合を、目標塩基度
が1.1になるようにして以下のように決定した。
【数1】
【0019】 従って、1部の粘土を6.48部のマールと混合し、マールが86.6wt%
で粘土が13.4wt%の混合物を得た。これによって、意図するマールスラグ
のための粗混合物の組成は以下の表のようになった。
【表2】
【0020】 100℃〜210℃で乾燥し、210℃〜600℃で予備加熱し、そして60
0℃〜950℃でか焼した後で、乾燥及びか焼された生成物を、浮遊式熱交換器
から取り出し、溶融サイクロンに導入した。溶融サイクロン内において、温度を
1,450℃〜1,550℃に調節し、その後で熱水中において溶融体を粒状化
した。
【0021】 窒素酸化物部分を減少させるために、燃焼空気中に吹き込むことによって、浮
遊式熱交換器内で活性な後燃焼を行わせ、それによって熱効率を改良することが
できる。溶融体を噴霧粒状化装置に注入する別個の溶融サイクロンにおいて使用
される燃料は、粒状化の間に炭化水素を使用することによって作られる。ここで
、この作られた分解ガス又は合成ガスは、溶融サイクロンにおいて空気と共に燃
料として使用する。更にこの粒状化方法は、スラグの酸化鉄を実質的に完全に金
属化し、続くスラグの磁気分離によって分離する。
【0022】 例2 第1の処理工程においてロータリーチューブキルンを使用し、第2の処理工程
において炉床型炉を使用し、粒度が約25mmの微細に粉砕されたマールを使用
した。マールスラグの組成は下記の表に示すものであった。
【表3】
【0023】 塩基度が1.43であり比較的大きいので、噴霧粒状化装置に噴霧することに
よってスラグを分離し、それによって高い割合で微細粒子を得た。塩基度が大き
いので、微細粒子の割合が大きいことは、特に大きい水硬活性によって特徴付け
られる。塩基度が1.43のそのようなスラグは、熱水によってはもはやうまく
粒状化することができない。これは、セメントの技術的視点で重要な微細な部分
が、ベライト結晶形成によって水硬性に関して不活性になるためである。
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Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マールスラグ及びマールスラグセメント又は混合セメントの
    混合成分を、塩基度CaO/SiOが2.0未満のマールから製造する方法で
    あって、第1の処理工程において、塩基度が2.0未満の粘土質マール又はマー
    ルと粘土との混合物を乾燥させ、予備加熱し、そしてか焼すること、及びこの第
    1の処理工程の後の第2の処理工程において、別個の溶融炉において第1の処理
    工程でよりも高温で、得られた生成物を溶融し、溶融体を粒状化することを特徴
    とする、マールスラグ及びマールスラグセメント又は混合セメントの混合成分を
    、塩基度CaO/SiOが2.0未満のマールから製造する方法。
  2. 【請求項2】 第1の処理工程を、浮遊式熱交換器、ロータリーチューブキ
    ルン、複数炉床炉若しくは高炉、又は流動床若しくはサイクロン予備加熱装置に
    おいて行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 第2の処理工程を溶融サイクロン、ロータリーチューブキル
    ン若しくは炉床型炉、又は鉄溶融酸化反応器において行うことを特徴とする、請
    求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 マールと粘土とを混合することによって、目標スラグの塩基
    度CaO/SiOを0.9〜1.85に調節することを特徴とする、請求項1
    、2又は3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 塩基度が1.4よりも大きい溶融体を粒状化装置、特に蒸気
    粒状化装置で噴霧することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 第1の処理工程を950℃〜1000℃までの温度で行い、
    ここで乾燥を100℃〜210℃の温度で行い、予備加熱を210℃〜600℃
    の温度で行い、そしてか焼を600℃〜1000℃の温度で行うことを特徴とす
    る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の処理工程を1,450℃〜1,550℃の温度で
    行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の処理工程を20mm〜30mmの平均粒度の細か
    く分割されたマールで行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 クリンカーの製造からのバイパスダストを投入材料に加える
    ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 投入材料のMgO分率を19wt%未満に調節することを
    特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 冷却剤としての炭化水素を使用して、噴霧粒状化を行うこ
    と、及びここで形成された合成ガスを第1の処理工程で燃焼させることを特徴と
    する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
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