JP2003517827A - 水中にある表面をファウリングによる汚染から保護する方法と、該方法において使用するブラシおよび塗料 - Google Patents

水中にある表面をファウリングによる汚染から保護する方法と、該方法において使用するブラシおよび塗料

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、水中にある表面（３）、特に、塗膜（４）が塗布された金属表面を、ファウリングによる汚染から保護する方法であって、塗膜（４）が、水の存在下で、研削材（１０）が埋め込まれた合成物質から成る剛毛（９）を有する少なくとも一つのブラシ（８）によって平滑にブラシ研摩または磨き仕上げされることを特徴とする方法、に関する。塗膜（４）には、銀が付着させられたガラスフレーク（５）が埋め込まれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 本発明は、水中の表面、特に金属の表面を、ファウリングによる汚染（ｐｏｌ
ｌｕｔｉｏｎ ｄｕｅ ｔｏ ｆｏｕｌｉｎｇ）から保護する方法に関する。
【０００２】 公知のように、通常または定期的に水中に置かれる表面、特に、船殻その他の
ものの部分は、水中に存在する生物、たとえば藻類またはその他の水中棲息生物
たとえば甲殻類、によるファウリングによって急速に汚染される。
【０００３】 喫水線以下の船殻上での生物成長によるそのような汚染は、船の重量を増大さ
せ、かつ水中の摩擦を増大させ、その結果、航行のためのエネルギー消費が増大
する。
【０００４】 これらの表面の清掃には、時間と費用がかかる。
【０００５】 そのため、ファウリングによる汚染を防ぐ試みがなされており、この目的のた
めに、ある種の塗膜いわゆる防汚塗膜が表面に塗布されている。
【０００６】 この塗膜は、化学殺生剤が添加された塗料の一つ以上の層から成ることができ
る。
【０００７】 しかし、これらの殺生剤は徐々に水中に放出され、水中の動物群と植物群とに
対して非常に大きな害を及ぼす。大部分の場合、これらの殺生剤は船殻の金属に
対しても攻撃的である。
【０００８】 さらに、そのような塗料層は定期的に塗り替えなければならず、これは乾ドッ
クで実施しなければならないので、割合に大きな費用がかかる。
【０００９】 他の公知の塗膜は一層以上の合成物質たとえばポリエステルから成り、この塗
膜には、強化のためにガラスフレークを添加することができる。
【００１０】 合成物質から成る塗膜によって汚染が大幅に減少するが、この汚染はとにかく
かなり急速に起る。
【００１１】 本発明の目的は、水中の表面をファウリングによる汚染から保護する方法であ
って、前記公知の方法にまさる保護を与える方法を提供することである。
【００１２】 本発明によれば、この目的は、 表面に塗布される、たとえば合成物質を基材とする被覆層すなわちペイント膜
またはいわゆる塗膜を、水の存在下で、研削材が埋め込まれた合成物質から成る
剛毛（ｂｒｉｓｔｌｅｓ）を有する少なくとも一つのブラシによって平滑にブラ
シ研磨または磨き仕上げする、 ことによって、達成される。
【００１３】 この方法は、表面が滑らかであるほど、水中でのファウリングによる汚染がゆ
っくり起るという観察結果にもとづく。ブラシ研摩（ｂｒｕｓｈｉｎｇ）または
磨き仕上げ（ｐｏｌｉｓｈｉｎｇ）により、非常に滑らかな表面を得ることがで
きる。
【００１４】 ブラシ研摩または磨き仕上げは水中または地上で実施することができるが、後
者の場合、ブラシ研摩または磨き仕上げ中に、ブラシ研摩されている表面に水を
供給しなければならない。
【００１５】 好ましくは、ブラシ研摩または磨き仕上げは、酸化アルミニウムまたは炭化シ
リコンの粒子を埋め込んだ剛毛を有するブラシによって実施する。
【００１６】 ブラシの剛毛は、曲がりやすい合成物質たとえばナイロン、ポリエチレン、ポ
リエステル、およびその他で作ることができる。
【００１７】 塗膜には、好ましくは、ガラス粒子いわゆる“ガラスフレーク（ｇｌａｓｓ
ｆｌａｋｅｓ）”を加える。
【００１８】 この場合、ファウリングによる汚染に対するさらなる保護は、微生物に対する
非毒性薬剤が付着させられたガラスフレークを含む塗膜をブラシ研摩または磨き
仕上げすることによって得られる。
【００１９】 微生物汚染（ｍｉｃｒｏ−ｐｏｌｌｕｔｉｏｎ）が微生物に対抗する薬剤によ
って強く阻害されることがわかった。
【００２０】 塗膜は少なくとも二つの層から成るようにすることができ、このとき、少なく
とも最外層に、微生物に対抗する非毒性薬剤を付着させたガラスフレークを加え
る。
【００２１】 微生物に対抗する非毒性薬剤として、好ましくはそのような性質を有する金属
特に銀を加える。
【００２２】 銀が付着させられたガラスフレークを含む塗膜は、ブラシ研摩または磨き仕上
げなしでもファウリングによる水中表面の汚染を減速させることができるが、ブ
ラシ研摩または磨き仕上げにより、ガラスフレークが表面外部に露出し、したが
ってまた、銀も表面外部に露出することになる。
【００２３】 本発明は、また、本発明による前述の方法を使用するのに特に適したブラシに
も関する。このブラシの著しい特徴は、その剛毛中に研削材が埋め込まれている
ということである。
【００２４】 本発明は、また、 水中の表面のファウリングによる汚染に対抗する、水中の表面を被覆するため
の塗料であって、硬化性の液体を含む塗料において、 前記液体が、微生物に対抗する非毒性の薬剤特に銀が付着させられたガラスフ
レークを含むことを特徴とする塗料、 にも関する。
【００２５】 以下、本発明の特徴をさらに十分に説明するために、本発明を限定しない例と
して、添付の図面を参照しつつ、本発明による、ファウリングによる汚染から水
中の表面を保護する方法と、該方法において使用するブラシおよび塗料とのいく
つかの好ましい実施形態について、述べる。
【００２６】 図１に、船の鋼製船殻１の一部分を示す。
【００２７】 全船殻１、または最低でも、常に水中にありしたがって水中表面３を構成する
最低喫水線（ｌｏｗｅｓｔ ｆｌｏａｔｉｎｇ ｌｉｎｅ）２以下にある船殻部
分、好ましくは、少なくとも最高喫水線（ｈｉｇｈｅｓｔ ｆｌｏａｔｉｎｇ
ｌｉｎｅ）２Ａ以下にある部分が、塗膜４によって被覆される。
【００２８】 図４に詳しく示すように、この塗膜４は、微生物の成長を遅らせるかまたは微
生物を殺す、微生物に対抗する銀または類似の非毒性薬剤が付着させられたガラ
スフレーク５が埋め込まれた合成物質から成る。
【００２９】 適当な合成物質は、ポリエステルまたはビニルポリエステルである。
【００３０】 塗膜４または被覆は、重合によって硬化する、ガラスフレーク５が分散させら
れている非重合合成物質を基材とするマトリックス６から成る硬化性の液体塗料
を塗布することによって生成させることができる。
【００３１】 この塗布は、ブラシ、ロール、またはスプレーガンによって実施することがで
きる。
【００３２】 この塗膜４は、たとえば１ｍｍの厚さに単層塗布することができるが、好まし
くは図面に示すように、約０．５ｍｍの厚さの層二つにわけて塗布する。
【００３３】 ガラスフレーク５は約０．４ｍｍの最大寸法を有する。このガラスフレークの
厚さは塗膜４の厚さ全体にわたって約１５０層のガラスフレークが存在するよう
なものである。
【００３４】 このガラスフレーク５は、塗膜４が水に対して不浸透性となるように備えるも
のであるが、合成物質６自身は浸透性である。
【００３５】 微生物に対抗する非毒性薬剤を、ガラスフレーク５に付着させることができる
。
【００３６】 ガラスフレーク５には、微生物に対抗するこの薬剤を含浸させることができる
が、あるいは図４に示すように、この薬剤の薄い層７で被覆することができる。
【００３７】 微生物に対抗する薬剤は好ましくは金属であり、この場合に特に適当な薬剤は
銀である。
【００３８】 地上たとえば乾ドックで塗布される塗膜４は、図２に示すように、後続工程に
おいて、水中でのブラシ研摩または磨き仕上げにより、平滑化される。
【００３９】 変形実施形態の場合、このブラシ研摩または磨き仕上げは地上で行われるが、
その場合、ブラシ研摩または磨き仕上げ中、水をブラシ研摩または磨き仕上げさ
れている表面に供給する。この変形実施形態の場合、ブラシ研摩または磨き仕上
げは、たとえば塗膜４の硬化後ただちに、乾ドックで実施することができる。
【００４０】 どちらの実施形態の場合にも、ブラシ研摩または磨き仕上げはブラシ８によっ
て行われ、このとき該ブラシの束になった剛毛９は曲がりやすい合成物質ででき
ているが、たとえば図３に示すように、研削材１０が埋め込まれている。
【００４１】 ブラシ８は、機械的に動かすことができ、たとえばモーターによって回転させ
ることができる。
【００４２】 剛毛９のために適当な合成物質は、たとえば特に、ナイロン、ポリエチレン、
およびポリエステルである。
【００４３】 適当な研削材１０は、たとえば特に、酸化アルミニウム、およびカーボランダ
ムすなわち炭化シリコンであり、その粒子が剛毛９の合成物質中に埋め込まれる
。
【００４４】 前述の方法は、生物によるファウリングを大幅に遅らせることにより、水中表
面３をこのファウリングから保護する。
【００４５】 前述のブラシ８によるブラシ研摩または磨き仕上げは、一方では、非常に滑ら
かな表面を与え、その結果、成長に対する機械的な保護が得られる。
【００４６】 他方、ガラスフレーク５上の、微生物に対抗する薬剤は、胞子その他の微生物
が水中表面３に定着しないようにして、微生物汚染を阻害する。
【００４７】 特に、これらの組み合わせが効果的である。その場合、ブラシ研摩または磨き
仕上げは、水中表面３を平滑化するばかりでなく、ガラスフレーク５したがって
また微生物に対抗する薬剤が、水中表面３の外部に露出し、したがってこの薬剤
が完全な効果を発揮できるようにする。
【００４８】 本発明は、いかなる意味でも、前述し、また図に示した実施形態に限定される
ものではない。本発明の方法、ブラシ、および塗料は、本発明の範囲を逸脱する
ことなく、いろいろな変形により具体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の方法を使用中の船殻の一部分を横から見た図である。
【図２】 図１の線II−IIに沿う断面の拡大図である。
【図３】 図２にＦ３で示す部分をさらに大きく拡大した図である。
【図４】 図２にＦ４で示す部分をさらに大きく拡大した図である。
【符号の説明】
１ 船殻 ２ 最低喫水線 ２Ａ 最高喫水線 ３ 水中表面 ４ 塗膜 ５ ガラスフレーク ６ マトリックス ７ 薬剤の薄い層 ８ ブラシ ９ 剛毛 １０ 研削材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＯＡ(ＢＦ ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ， ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，Ｇ Ｍ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ， ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ， ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，Ｂ Ｚ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ ，ＤＭ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ， ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，Ｊ Ｐ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ， ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，Ｒ Ｏ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ， ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 水中にある表面（３）、特に、塗膜（４）が塗布された金属
    表面を、ファウリングによる汚染から保護する方法であって、 塗膜（４）が、水の存在下で、研削材（１０）が埋め込まれた合成物質から成
    る剛毛（９）を有する少なくとも一つのブラシ（８）によって平滑にブラシ研摩
    または磨き仕上げされることを特徴とする方法。
  2. 【請求項２】 合成物質を基材とする塗膜（４）が塗布されることを特徴と
    する請求項１に記載の方法。
  3. 【請求項３】 ブラシ研摩または磨き仕上げが水中で実施されることを特徴
    とする請求項１または２に記載の方法。
  4. 【請求項４】 ブラシ研摩または磨き仕上げが地上で実施されるが、ブラシ
    研摩または磨き仕上げ中、ブラシ研摩または磨き仕上げされている表面に水が供
    給されることを特徴とする請求項１または２に記載の方法。
  5. 【請求項５】 ブラシ研摩または磨き仕上げが、酸化アルミニウムまたは炭
    化シリコンの粒子が埋め込まれた剛毛（９）を有するブラシ（８）を用いて実施
    されることを特徴とする請求項１から４の中のいずれか１つに記載の方法。
  6. 【請求項６】 ブラシ研摩または磨き仕上げが、ブラシ（８）を用いて実施
    され、該ブラシの剛毛が、曲がりやすい材料、たとえば特にナイロン、ポリエチ
    レン、ポリエステル、およびその他で作られていることを特徴とする請求項４ま
    たは５に記載の方法。
  7. 【請求項７】 塗膜（４）にガラスフレーク（５）が加えられていることを
    特徴とする請求項１から６の中のいずれか１つに記載の方法。
  8. 【請求項８】 塗膜（４）がブラシ研摩または磨き仕上げされ、該塗膜に、
    微生物に対抗する非毒性薬剤が付着させられているガラスフレーク（５）が含ま
    れていることを特徴とする請求項７に記載の方法。
  9. 【請求項９】 塗膜（４）が少なくとも二層塗布され、このとき、少なくと
    も最外層内に、微生物に対抗する非毒性薬剤が付着したガラスフレーク（５）が
    存在することを特徴とする請求項８に記載の方法。
  10. 【請求項１０】微生物に対抗する非毒性薬剤として、微生物の成長を遅らせ
    、かつ／または微生物を殺す金属が使用されることを特徴とする請求項９または
    １０に記載の方法。
  11. 【請求項１１】微生物に対抗する薬剤として銀がガラスフレーク（５）に付
    着させられていることを特徴とする請求項１２に記載の方法。
  12. 【請求項１２】前記銀が、銀層（７）として、ガラスフレーク（５）を被覆
    していることを特徴とする請求項１１に記載の方法。
  13. 【請求項１３】水中にある表面（３）、特に、塗膜（４）が塗布された金属
    表面を、ファウリングによる汚染から保護する方法であって、 塗膜（４）が、微生物に対抗する非毒性薬剤が付着させられたガラスフレーク
    （５）を含んで塗布されることを特徴とする方法。
  14. 【請求項１４】塗膜（４）が、銀が付着させられたガラスフレーク（５）を
    含んで塗布されることを特徴とする請求項１３に記載の方法。
  15. 【請求項１５】剛毛（９）に研削材（１０）が埋め込まれていることを特徴
    とする、請求項１から１２の中のいずれか１つに記載の方法で使用するためのブ
    ラシ。
  16. 【請求項１６】水中の表面（３）のファウリングによる汚染に対抗する、水
    中の表面を被覆するための塗料であって、少なくとも一部は、硬化性の液体から
    成る塗料において、 前記液体が、微生物に対抗する非毒性の薬剤が付着させられたガラスフレーク
    （５）を含むことを特徴とする塗料。
  17. 【請求項１７】前記液体が、銀が付着させられたガラスフレーク（５）を含
    むことを特徴とする請求項１６に記載の塗料。
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