JP4546686B2 - 水中にある表面をファウリングによる汚染から保護する方法 - Google Patents

水中にある表面をファウリングによる汚染から保護する方法 Download PDF

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Description

【０００１】
本発明は、水中の表面、特に金属の表面を、ファウリングによる汚染（ｐｏｌｌｕｔｉｏｎ ｄｕｅ ｔｏ ｆｏｕｌｉｎｇ）から保護する方法に関する。
【０００２】
公知のように、通常または定期的に水中に置かれる表面、特に、船殻その他のものの部分は、水中に存在する生物、たとえば藻類またはその他の水中棲息生物たとえば甲殻類、によるファウリングによって急速に汚染される。
【０００３】
喫水線以下の船殻上での生物成長によるそのような汚染は、船の重量を増大させ、かつ水中の摩擦を増大させ、その結果、航行のためのエネルギー消費が増大する。
【０００４】
これらの表面の清掃には、時間と費用がかかる。
【０００５】
そのため、ファウリングによる汚染を防ぐ試みがなされており、この目的のために、ある種の塗膜いわゆる防汚塗膜が表面に塗布されている。
【０００６】
この塗膜は、化学殺生剤が添加された塗料の一つ以上の層から成ることができる。
【０００７】
しかし、これらの殺生剤は徐々に水中に放出され、水中の動物群と植物群とに対して非常に大きな害を及ぼす。大部分の場合、これらの殺生剤は船殻の金属に対しても攻撃的である。
【０００８】
さらに、そのような塗料層は定期的に塗り替えなければならず、これは乾ドックで実施しなければならないので、割合に大きな費用がかかる。
【０００９】
国際特許公報ＷＯ−Ａ−９４／１９４１５号には、酸化銅を含むそのような防汚塗膜が開示されている。水生及び海洋生物に対して有毒な銅イオンが水中に放出される。
【００１０】
他の公知の塗膜は一層以上の合成物質たとえばポリエステルから成り、この塗膜には、強化のためにガラスフレークを添加することができる。
【００１１】
合成物質から成る塗膜によって汚染が大幅に減少するが、この汚染はとにかくかなり急速に起る。
【００１２】
本発明の目的は、水中の表面をファウリングによる汚染から保護する方法であって、前記公知の方法にまさる保護を与える方法を提供することである。
【００１３】
本発明によれば、この目的は、ガラス粒子、いわゆるガラスフレーク、を含む塗膜を塗布された水中の表面が、該塗膜を、ファウリングの前又は後に、水の存在下で、研削材が埋め込まれた合成物質から成る剛毛（ｂｒｉｓｔｌｅｓ）を有する少なくとも一つのブラシによって平滑にブラシ研磨または磨き仕上げすることによって、保護されることにより達成される。
【００１４】
この方法は、表面が滑らかであるほど、水中でのファウリングによる汚染がゆっくり起るという観察結果にもとづく。ブラシ研摩（ｂｒｕｓｈｉｎｇ）または磨き仕上げ（ｐｏｌｉｓｈｉｎｇ）により、非常に滑らかな表面を得ることができる。
【００１５】
ブラシ研摩または磨き仕上げは水中または地上で実施することができるが、後者の場合、ブラシ研摩または磨き仕上げ中に、ブラシ研摩されている表面に水を供給しなければならない。
【００１６】
米国特許明細書ＵＳ−Ａ−５．９１５．４３６号には、研磨粒子を含むポリマーから作られた剛毛を有するブラシが開示されている。特定の用法は記載されていない。
【００１７】
ドイツ国公開特許公報ＤＥ−Ａ−２．０１６．５７５号には、水中の物体から汚れを除去する為の、回転式のブラシを有する装置が開示されている。該ブラシは鋼線ブラシであり得るが、実施例の一つでは、これらの鋼線ブラシは研削手段が埋め込まれたブラシ状の要素に交換されている。
【００１８】
本発明によれば、好ましくは、ブラシ研摩または磨き仕上げは、酸化アルミニウムまたは炭化シリコンの粒子を埋め込んだ剛毛を有するブラシによって実施する。
【００１９】
ブラシの剛毛は、曲がりやすい合成物質たとえばナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、およびその他で作ることができる。
【００２０】
ファウリングによる汚染に対するさらなる保護は、微生物に対する非毒性薬剤が付着させられたガラスフレークを含む塗膜をブラシ研摩または磨き仕上げすることによって得られる。
【００２１】
微生物汚染（ｍｉｃｒｏ−ｐｏｌｌｕｔｉｏｎ）が微生物に対抗する薬剤によって強く阻害されることがわかった。
【００２２】
塗膜は少なくとも二つの層から成るようにすることができ、このとき、少なくとも最外層に、微生物に対抗する非毒性薬剤を付着させたガラスフレークを加える。
【００２３】
以下、本発明の特徴をさらに十分に説明するために、本発明を限定しない例として、添付の図面を参照しつつ、本発明による、ファウリングによる汚染から水中の表面を保護する方法のいくつかの好ましい実施形態について、述べる。
【００２４】
図１に、船の鋼製船殻１の一部分を示す。
【００２５】
全船殻１、または最低でも、常に水中にありしたがって水中表面３を構成する最低喫水線（ｌｏｗｅｓｔ ｆｌｏａｔｉｎｇ ｌｉｎｅ）２以下にある船殻部分、好ましくは、少なくとも最高喫水線（ｈｉｇｈｅｓｔ ｆｌｏａｔｉｎｇ ｌｉｎｅ）２Ａ以下にある部分が、塗膜４によって被覆される。
【００２６】
図４に詳しく示すように、この塗膜４は、微生物の成長を遅らせるかまたは微生物を殺す、微生物に対抗する銀または類似の非毒性薬剤が付着させられたガラスフレーク５が埋め込まれた合成物質から成る。
【００２７】
適当な合成物質は、ポリエステルまたはビニルポリエステルである。
【００２８】
塗膜４または被覆は、重合によって硬化する、ガラスフレーク５が分散させられている非重合合成物質を基材とするマトリックス６から成る硬化性の液体塗料を塗布することによって生成させることができる。
【００２９】
この塗布は、ブラシ、ロール、またはスプレーガンによって実施することができる。
【００３０】
この塗膜４は、たとえば１ｍｍの厚さに単層塗布することができるが、好ましくは図面に示すように、約０．５ｍｍの厚さの層二つにわけて塗布する。
【００３１】
ガラスフレーク５は約０．４ｍｍの最大寸法を有する。このガラスフレークの厚さは塗膜４の厚さ全体にわたって約１５０層のガラスフレークが存在するようなものである。
【００３２】
このガラスフレーク５は、塗膜４が水に対して不浸透性となるように備えるものであるが、合成物質６自身は浸透性である。
【００３３】
微生物に対抗する非毒性薬剤を、ガラスフレーク５に付着させることができる。
【００３４】
ガラスフレーク５には、微生物に対抗するこの薬剤を含浸させることができるが、あるいは図４に示すように、この薬剤の薄い層７で被覆することができる。
【００３５】
微生物に対抗する薬剤は好ましくは金属であり、この場合に特に適当な薬剤は銀である。
【００３６】
地上たとえば乾ドックで塗布される塗膜４は、図２に示すように、後続工程において、水中でのブラシ研摩または磨き仕上げにより、平滑化される。
【００３７】
変形実施形態の場合、このブラシ研摩または磨き仕上げは地上で行われるが、その場合、ブラシ研摩または磨き仕上げ中、水をブラシ研摩または磨き仕上げされている表面に供給する。この変形実施形態の場合、ブラシ研摩または磨き仕上げは、たとえば塗膜４の硬化後ただちに、乾ドックで実施することができる。
【００３８】
どちらの実施形態の場合にも、ブラシ研摩または磨き仕上げはブラシ８によって行われ、このとき該ブラシの束になった剛毛９は曲がりやすい合成物質でできているが、たとえば図３に示すように、研削材１０が埋め込まれている。
【００３９】
ブラシ８は、機械的に動かすことができ、たとえばモーターによって回転させることができる。
【００４０】
剛毛９のために適当な合成物質は、たとえば特に、ナイロン、ポリエチレン、およびポリエステルである。
【００４１】
適当な研削材１０は、たとえば特に、酸化アルミニウム、およびカーボランダムすなわち炭化シリコンであり、その粒子が剛毛９の合成物質中に埋め込まれる。
【００４２】
前述の方法は、生物によるファウリングを大幅に遅らせることにより、水中表面３をこのファウリングから保護する。
【００４３】
前述のブラシ８によるブラシ研摩または磨き仕上げは、一方では、非常に滑らかな表面を与え、その結果、成長に対する機械的な保護が得られる。
【００４４】
他方、ガラスフレーク５上の、微生物に対抗する薬剤は、胞子その他の微生物が水中表面３に定着しないようにして、微生物汚染を阻害する。
【００４５】
特に、これらの組み合わせが効果的である。その場合、ブラシ研摩または磨き仕上げは、水中表面３を平滑化するばかりでなく、ガラスフレーク５したがってまた微生物に対抗する薬剤が、水中表面３の外部に露出し、したがってこの薬剤が完全な効果を発揮できるようにする。
【００４６】
本発明は、いかなる意味でも、前述し、また図に示した実施形態に限定されるものではない。本発明の方法、ブラシ、および塗料は、本発明の範囲を逸脱することなく、いろいろな変形により具体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】 本発明の方法を使用中の船殻の一部分を横から見た図である。
【図２】 図１の線II−IIに沿う断面の拡大図である。
【図３】 図２にＦ３で示す部分をさらに大きく拡大した図である。
【図４】 図２にＦ４で示す部分をさらに大きく拡大した図である。
【符号の説明】
【００４８】
１ 船殻
２ 最低喫水線
２Ａ 最高喫水線
３ 水中表面
４ 塗膜
５ ガラスフレーク
６ マトリックス
７ 薬剤の薄い層
８ ブラシ
９ 剛毛
１０ 研削材

Claims (4)

  1. 水中にある表面（３）、塗膜（４）が塗布された金属表面を、ファウリングによる汚染から保護する方法であって、塗膜（４）が、ファウリングの前又は後に、水の存在下で、研削材（１０）が埋め込まれた合成物質から成る剛毛（９）を有する少なくとも一つのブラシ（８）によって平滑にブラシ研摩または磨き仕上げされる方法において、塗膜（４）に、微生物に対抗する非毒性薬剤が付着させられているガラスフレーク（５）が含まれていることを特徴とする方法。
  2. 塗膜（４）が少なくとも二層塗布され、このとき、少なくとも最外層内に、微生物に対抗する非毒性薬剤が付着したガラスフレーク（５）が存在することを特徴とする請求項１に記載の方法。
  3. 微生物に対抗する非毒性薬剤として、微生物の成長を遅らせ、かつ／または微生物を殺す金属が使用されることを特徴とする請求項１または２に記載の方法。
  4. 微生物に対抗する薬剤として銀がガラスフレーク（５）に付着させられていることを特徴とする請求項３に記載の方法。
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