JP2003514712A - ペダルの前後駆動方式の自転車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ペダルを前方に踏み込むときはもとより、後方に踏み込むときにも自転車を前方に走行できるようにして、あまり疲れを感じなく長時間走行できるようにするとともに、ペダルを踏み込む足の筋肉を全体的に均等に使うような運動をさせる。ペダル付きの動力スプロケットと、後輪軸に取り付けられ、一方向に回転する逆方向駆動スプロケットと、前記逆方向駆動スプロケットの上部と後方側にそれぞれ空転可能に取り付けられた上下部誘導スプロケットとを駆動チェーンで連結し、また、前記逆方向駆動スプロケットと同一の軸に正方向駆動スプロケットを取り付け、前記後方誘導スプロケットと同一の軸に補助誘導スプロケットを取り付け、正方駆動スプロケットと補助誘導スプロケットとを補助チェーンで連結して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

〔発明の属する技術分野〕 本発明は自転車の駆動装置に係り、特にペダルを前方に踏み込むとき、自転車
が前方に走行することになるのみならず、ペダルを後方に踏み込むときも自転車
が前方に走行するようにしたペダル前後駆動方式の自転車に関する。

【０００１】 〔従来の技術〕 一般に、運送や運動用に広く用いられている自転車は、ペダルを踏み込むとき
に発生する駆動力がチェーンを介して後輪に伝達され、後輪の回転によって走行
することになっている。

【０００２】 しかし、かかる従来の自転車はペダルを前方に踏み込むときにのみ駆動される
ようになっているので、相当に力が消耗され、全体的な運動の効果が不十分であ
った。

【０００３】 つまり、従来の自転車の駆動は足でペダルを踏み込むときに発生する踏力によ
って行われるので、ペダルを前方に回転させ続けなければならないため、足に無
理がかかってしまい、よく疲れを感じる原因となり、足の筋肉の使用が一方向に
偏っているので、全体的な筋肉運動は不可能であった。

【０００４】 また、従来自転車を用いて上り坂を登るとき、搭乗者の体重が後方に偏ってし
まいバランス的に辛いところになるが、逆にペダルは前方に踏み込まなければな
らないので、ペダルを踏み込む姿勢が正しくなく、足に無理がかかってしまい、
結局相当な力が消耗するだけでなく、よく疲れを感じる原因となった。

【０００５】 さらに、上り坂を登る途中で停止した場合、自転車が後方に押し出されバラン
スを崩して倒れてしまい、またはペダル上の足が正位置からずれて、自転車の輪
が荷重のため傾斜面に沿って急速に下方へ移動することになり、安全事故の原因
となった。

【０００６】 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明はかかる従来の問題点を解決するために研究開発されたもので、その目
的は、ペダルを前方に踏み込むときはもとより、後方に踏み込むときにも自転車
を前方に走行できるようにして、あまり疲れを感じなく長時間走行できるように
するとともに、ペダルを踏み込む足の筋肉を全体的に均等に使うような運動をさ
せることにある。

【０００７】 本発明の他の目的は、上り坂を登るとき、ペダルを後方に踏み込むことにより
、より少ない踏力で走行できるようにするとともに、停止時に後進になることを
防止することにある。

【０００８】 〔課題を解決するための手段〕 本発明のペダルの前後駆動方式の自転車は、ペダルを踏み込むと後輪が駆動さ
れて前方に走行することになる公知の自転車において、ペダル付きの動力スプロ
ケットと、後輪軸に取り付けられ、一方向に回転する逆方向駆動スプロケットと
、前記逆方向駆動スプロケットの上部と後方側にそれぞれ空転可能に取り付けら
れた上下部誘導スプロケットとを駆動チェーンで連結し、また、前記逆方向駆動
スプロケットと同一の軸に正方向駆動スプロケットを取り付け、前記後方誘導ス
プロケットと同一の軸に補助誘導スプロケットを取り付け、正方駆動スプロケッ
トと補助誘導スプロケットとを補助チェーンで連結して構成することを特徴とす
る。

【０００９】 本発明は、ペダルを前方に踏み込んで動力スプロケットを回転させると、逆方
向駆動スプロケットが空転し、後方誘導スプロケットとともに回転する補助誘導
スプロケットによって正方向駆動スプロケットが回転してしまい、後輪が前方側
に回転することになる。

【００１０】 また、ペダルを後方に踏み込むと、正方向駆動スプロケットが空転し、逆方向
駆動スプロケットが回転してしまい、後輪が前方側に回転することになる。

【００１１】 〔発明の実施の形態〕 以下、本発明の構成及び作用を添付図に基づいて詳細に説明する。

【００１２】 図１は本発明の主要部を示す斜視図であり、図２は本発明の一部を示す正面図
であり、図３は本発明の逆方向駆動スプロケットと正方向駆動スプロケットとの
結合状態を示す正断面図であり、図４は本発明のクラッチ部材を示す一部切欠側
面図である。

【００１３】 本発明は図１に示すように、２つのペダル１が上下部にそれぞれ結合されたク
ランク２を動力回転軸３に固定し、さらに動力スプロケット４を動力回転軸３に
固定する。

【００１４】 また、後輪を回転させる駆動軸５に逆方向駆動スプロケット６及び正方向駆動
スプロケット７をそれぞれ取り付けることで、それぞれの逆方向駆動スプロケッ
ト６及び正方向駆動スプロケット７が前方に回転するとき、駆動軸５と連結され
て動力が伝達され、後方に回転するときは、駆動軸５から取り外され空転するよ
うにする。

【００１５】 逆方向駆動スプロケット６及び正方向駆動スプロケット７が駆動軸５に取り付
けられた構成は図３に示されている。

【００１６】 即ち、図３に示すように、逆方向駆動スプロケット６の中央内側に一方向ギヤ
８を形成し、弾性ある係止突起９ａが外周面に沿って形成された一方向駆動部材
９を一方向ギヤ８の内側に位置させ、係止突起９ａが一方向ギヤ８の歯にかかっ
て支持されるようにし、一方向駆動部材９の内側中央に前記駆動軸５を挿着する
。

【００１７】 また、正方向駆動スプロケット７の中央内側に一方向ギヤ８０を形成し、弾性
ある係止突起９０ａが外周面に沿って形成された一方向駆動部材９０を一方向ギ
ヤ８０の内側に位置させ、係止突起９０ａが一方向ギヤ８０の歯にかかって支持
されるようにし、一方向駆動部材９０の内側中央に前記駆動軸５を挿着すること
で、前記正方向駆動スプロケット７と前記逆方向駆動スプロケット６を駆動軸５
に取り付ける。

【００１８】 図２に示すように、下端部が前記駆動軸５に遊動可能に軸着されている支持部
材１０の上端部に形成された上部回転軸１１に、上部誘導スプロケット１２を空
転可能に取り付け、一端部が支持部材１０に遊動可能に結合され、他端部に螺旋
部１３ａが形成された伸軸レバー１３を設けた上、自転車ボディｂに固定された
支持片１３ｂに螺旋部１３ａを貫通させ、ナット１３ｃを締結する。

【００１９】 図１に示すように、上端部が前記上部回転軸１１に結合された支持部材１４の
下端部に後方回転軸１５を形成し、後方誘導スプロケット１６及び補助誘導スプ
ロケット１７を後方回転軸１５に空転可能に取り付ける。

【００２０】 先に述べたように、本発明はそれぞれのスプロケットが取り付けられた状態で
駆動チェーン１８及び補助チェーン１９をそれぞれのスプロケットに連結したも
ので、動力スプロケット４の前方側歯にかかって支持された駆動チェーン１８は
、上部側を後方に延長し、逆方向駆動スプロケット６の下部側歯にかけて支持し
た後、上部に延長し、上部誘導スプロケット１２の上部側歯にかけて支持し、次
いで、下方に延長し、後方誘導スプロケット１６の後方側歯にかけて支持した後
、前方に延長し、前記動力スプロケット４の歯にかけて支持した部位に連結する
ことで、駆動チェーン１８によって動力スプロケット４と逆方向駆動スプロケッ
ト６と上部誘導スプロケット１２と後方誘導スプロケット１６とが順々に連結さ
れる。

【００２１】 また、前記正方向駆動スプロケット７と補助誘導スプロケット１７を補助チェ
ーン１９で連結する。

【００２２】 図４に示すように、逆方向駆動スプロケット６と正方向駆動スプロケット７の
動力を駆動軸５に伝達または遮断するために、クラッチ部材２０を駆動軸５と後
輪側５ａに取り付ける。前記クラッチ部材２０は、前記一方向駆動部材９にクラ
ッチギヤ２１を固定し、バネによって弾む停止具２３をクラッチギヤ２１に噛み
合い、停止具２３の外側に延びているワイヤ２４の上部を、自転車ハンドルに取
り付けられたクラッチ握って（図示せず）に至るまで延長する。

【００２３】 このように構成された本発明の作用を説明すると次のようである。

【００２４】 本発明の自転車は、運転者が座席に座ったまま手でハンドルを握って、足でペ
ダルを踏み込んで前方に走行する通常の方法で運転するもので、ペダルを前方、
後方いずれの方向に踏み込んでも自転車は前方に走行することになる。

【００２５】 つまり、運転者がペダル１を前方に踏み込むと、動力スプロケット４が時計方
向、即ち前方に回転し、これにより動力スプロケット４に連結された駆動チェー
ン１８の上部ライン１８ａが前方側に移動する。駆動チェーン１８の移動により
、逆方向駆動スプロケット６が反時計方向、即ち後方に空転し、この次、上部誘
導スプロケット１２の回転により、駆動チェーン１８が下部から上部へ、さらに
後方下部に方向転換するとともに、後方誘導スプロケット１６が時計方向、即ち
前方に回転する。

【００２６】 後方誘導スプロケット１６が回転し、後方回転軸１５に固定された補助誘導ス
プロケット１７が同一方向に回転するとともに、補助チェーン１９が移動し、正
方向駆動スプロケット７が時計方向、即ち前方に回転する。

【００２７】 正方向駆動スプロケット７が前方に回転するとともに駆動軸５が一体に回転す
ることになり、駆動軸５に結合された後輪が時計方向、即ち前方に回転し、これ
により自転車が前方に走行することになる。

【００２８】 また、運転者がペダル１をずっと前方に踏み込み続けて、疲れを感じるときに
は、或いは上り坂を登るときには、ペダル２を後方に踏み込む。このときも自転
車は前方に走行することになる。

【００２９】 つまり、運転者がペダル１を後方に踏み込むと、動力スプロケット４が反時計
方向、即ち後方に回転し、これにより動力スプロケット４に連結された駆動チェ
ーン１８の下部ライン１８ｂが前方に移動する。駆動チェーン１８の移動により
、後方誘導スプロケット１６が反時計方向、即ち後方に回転し、後方回転軸１５
に固定された補助誘導スプロケット１７が同一方向に回転するとともに補助チェ
ーン１９が移動し、正方向駆動スプロケット７が反時計方向、即ち後方側に空転
する。後方誘導スプロケット１６が後方に回転するにつれ、上部誘導スプロケッ
ト１２も同一方向に回転し、上部誘導スプロケット１２により方向転換した駆動
チェーン１８が、逆方向駆動スプロケット６を時計方向、即ち前方に回転させ、
逆方向駆動スプロケット６の回転力が駆動軸５に伝達され、後輪が時計方向、即
ち前方に駆動し始め、自転車が前方に走行することになる。

【００３０】 上記した逆方向駆動スプロケット６及び正方向駆動スプロケット７はそれぞれ
対向方向に回転するもので、図３に示すように、時計方向、即ち前方に回転する
ときは、係止突起９ａが一方向ギヤ８に支持され、駆動軸５に回転力が伝達され
、一方、反時計方向、即ち後方に回転するときは、係止突起９ａが一方向ギヤ８
から取り外され、駆動軸５への動力が遮断される。従って、ペダル１を前方に踏
み込むと、逆方向駆動スプロケット６が空転し、正方向駆動スプロケット７によ
って動力が伝達され、また、ペダル１を後方に踏み込むと、正方向駆動スプロケ
ット７が空転し、逆方向駆動スプロケット６によって動力が伝達されるので、自
転車の後輪は常時前方に進み、尚、後輪に常時動力がかかっているので、上り坂
を登るとき、不意にバックに入ることを防止し、しかも、ペダル１を回転させず
にシーソーのように上下に動かすことで走行できるようになる。

【００３１】 また、伸縮レバー１３のナット１３Ｃを調節すると、支持部材１０が左右に移
動する。よって、支持部材１０の位置を適切に調節することにより、ペダル１を
後方に踏み込むとき、それぞれのスプロケット、特に動力スプロケット４と逆方
向駆動スプロケット６間の駆動チェーン１８の張力を維持することができる。従
って、支持部材１０の位置を調節することで駆動チェーン１８全体の張りを維持
することが好ましい。

【００３２】 図４に示すように、駆動軸（５）は後輪軸（５ａ）に連結または短絡できるも
ので、普段はバネの加圧力によってクラッチギヤ２１に停止具２３が噛み合って
おり、駆動軸５が後輪軸５ａに連結されている。

【００３３】 また、運転者がクラッチ握ってを操作してワイヤ２４を上部に引っ張ると、停
止具２３が外側に移動し、クラッチギヤ２１から外れ、駆動軸５が後輪軸５ａか
ら外れる。即ち、運転者が自転車を後方に移動しようとする場合、駆動軸１５が
後輪軸５ａに連結されている状態では後輪が後方に回転できないので、クラッチ
握ってを操作して駆動軸５を後輪軸５ａから取り外すと、後輪が空転することに
なり、後進が可能になる。

【００３４】 〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明によれば、ペダルを前方に踏み込むときはもとよ
り、後方に踏み込むときにも自転車が前方に走行できるようになるので、運転者
がペダルをずっと前方に踏み込み続けて、疲れを感じるときには、ペダルを後方
に踏み込んで疲労感を減らし、また、ペダルを踏み込む足の筋肉を全体的に均等
に使うような運動をさせて全体筋肉を均等に発達させるという効果がある。

【００３５】 また、上り坂を登るとき、座席に座っている運転者の体重が後方に偏ってしま
いバランス的に辛いところになるので、このときは、ペダルを後方に踏み込むこ
とにする。これにより、少ない力で走行できるようになるという効果がある。

【００３６】 また、後輪を回転させる駆動軸には逆方向駆動スプロケットや正方向駆動スプ
ロケットによって選択的に常時動力がかかっているので、上り坂を登るとき、不
意にバックに入ることを防止し、より安全でスムーズに走行できるようになる。

【００３７】 さらに、ペダルを回転させずにシーソー方式のようにペダルを前後に反復的に
動かすことで自転車が走行できるので、低速で走行するとき、より少ない力で走
行できるようになるという効果がある。

【００３８】 先に述べたように、本発明は、自転車の全体構造を変更せずに既存の自転車に
本発明の装置を簡単に装着して使用することができ、また、公知のギヤ変換装置
をさらに取り付けるとより効果的に使用することができるもので、全ての自転車
に容易に適用してその効果を極大化することができる有益な発明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の主要部を示す斜視図である。

【図２】 本発明の一部を示す正面図である。

【図３】 本発明の逆方向駆動スプロケットと正方向駆動スプロケットとの結合状態を示
す側断面図である。

【図４】 本発明の自転車のクラッチ部の断面図を示す側面図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ， ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ， ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，Ｃ Ｎ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ，ＥＥ，ＥＳ ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ， ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，Ｋ Ｒ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ， ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，Ｓ Ｉ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ペダル（１）付きの動力スプロケット（４）の回転力がチェーンを介して後輪
   に伝達されて走行することになる公知の自転車において、駆動軸（５）に取り付
   けられ、前方に回転し、後方に空転する逆方向駆動スプロケット（６）と、前記
   逆方向駆動スプロケット（６）の上部側に延びている支持部材（１０）の上部に
   空転可能に取り付けられた上部誘導スプロケット（１２）と、前記上部誘導スプ
   ロケット（１２）の下部後方に延びている支持部材（１４）の下部に空転可能に
   後方回転軸（１５）に取り付けられた後方誘導スプロケット（１６）とをそれぞ
   れ駆動チェーン（８）で連結し、また、前方に回転し、後方に空転可能に前記駆
   動軸（５）に取り付けられた正方向駆動スプロケット（７）と、空転可能に前記
   後方回転軸（１５）に取り付けられた補助誘導スプロケット（１７）とを補助チ
   ェーン（１９）で連結して構成することを特徴とするペダルの前後駆動方式の自
   転車。
2. 【請求項２】 前記逆方向駆動スプロケット（６）及び前記正方向駆動スプロケット（７）は
   中央内側に一方向ギヤ（８，８０）を形成し、係止突起（９ａ，９０ａ）が出て
   いる一方向駆動部材（９，９０）を一方向ギヤ（８，８０）内側に位置させ、係
   止突起（９ａ，９０ａ）が一方向ギヤ（８，８０）の歯にかかって支持されるよ
   うにし、一方向駆動部材（９，９０）の内側中央に前記駆動軸（５）を挿着して
   構成することを特徴とする請求項１記載のペダルの前後駆動方式の自転車。
3. 【請求項３】 前記支持部材（１０）を伸縮レバー（１３）で調節可能に取り付けて構成する
   ことを特徴とする請求項１記載のペダルの前後駆動方式の自転車。
4. 【請求項４】 前記駆動軸（５）と前記後輪軸（５ａ）とをクラッチ部材（２０）によって連
   結または短落可能に取り付けて構成することを特徴とする請求項１記載のペダル
   の前後駆動方式の自転車。