JP2003509306A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】開けるのが容易な安全な容器端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開けるのが容易な安全な容器端部であって、
a)中央部分(8)と、
b)前記中央部分(8)を取り囲み、該中央部分と同じ厚さ(t)を有し、かつ該中央部分とは切り込み線(12)で分離されている周縁部分(10)と、
c)前記切り込み線(12)の近傍の、前記端部の部分に力を加える手段(4)と、
d)前記切り込み線(12)近傍の、前記端部に形成された、円周方向に延びる上部および下部の折り返し(16,14)と
を有し、前記上部の折り返し(16)は、円周方向に延びる第1の部分(3)にわたって、前記切り込み線(12)の近傍の表面から、前記厚さ(t)よりも小さい幅(W1 )を有する隙間(G1 )だけずれている、
開けるのが容易な安全な容器端部において、
前記上部の折り返し(16)は、円周方向に延びる第2の部分(3')にわたって、前記切り込み線(12)の近傍の表面から、前記厚さ(t)よりも大きい幅(W1 ')を有する隙間(G1 ')だけずれており、前記第2の部分(3')は緩んだ部分(16')を含んでいることを特徴とする、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項2】 前記の円周方向に延びる第1の部分(3)が 前記隙間の全円周の主要な円弧を形成し、前記の円周方向に延びる第2の部分(3')が前記隙間の全円周の小さな円弧を形成している、請求項1に記載の開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項3】 前記第2の部分(3')の前記幅(W1 ')が、前記厚さ(t)の少なくとも2倍である、請求項1または請求項2に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項4】 前記第1の部分(3)の前記幅(W1 )が、前記厚さ(t)の半分よりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項5】 前記第1の部分(3)の前記幅(W1 )がほぼ0である、請求項4に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項6】 前記第1の部分(3)の前記幅(W1 )が0.254mm(0.01インチ)よりも小さく、前記第2の部分(3')の前記幅(W 1 ')が少なくとも0.508mm(0.02インチ)であり、前記厚さ(t)は約0.254mm(0.01インチ)である、請求項1または請求項2に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項7】 前記第2の部分(3')が、約1°から25°の間の角度をなす、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の、開くのが容易な安全な容器端部。
【請求項8】 前記第2の部分(3')が、約2°から10°の間の角度をなす、請求項7に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項9】 前記隙間の前記第2の部分が、前記力を加える手段(4)の下側に位置している、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項10】 前記厚さ(t)よりも大きい幅(W 1 ')を有する、前記隙間の、円周方向に延びる第3および第4の部分をさらに有している、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項11】 前記隙間の前記第3および第4の部分が、前記力を加える手段からそれぞれその両側に円周方向にずれている、請求項10に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項12】 前記隙間の前記第2、第3、および第4の部分の合計の角度が約7°から175°の範囲にある、請求項10または請求項11に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項13】 前記隙間の前記第2、第3、および第4の部分の合計の角度が約14°から70°の範囲にある、請求項12に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項14】 前記第1の折り返しと前記隙間とが前記周縁部分に形成されている、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項15】 前記第1の折り返しと前記隙間とが前記中央部分に形成されている、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項16】 前記切り込み線(112)に対して前記第1の一対の上部および下部の折り返し(117,121)と反対側で、前記切り込み線の近傍の前記端部に形成された、円周方向に延びる第2の一対の上部および下部の折り返し(115,123)を有しており、前記第2の一対の折り返しの下側の折り返しは前記切り込み線(112)の近傍の第2の面から、円周方向に延びる他の隙間(G3 )だけずれており、前記隙間(G3 )は前記厚さ(t)よりも小さい幅(W3 )を有する、円周方向に延びる第1の部分と、前記厚さ(t)よりも大きい幅(W3 ')を有する、円周方向に延びる第2の部分を有している、請求項1に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項17】 一対の折り返し(115,123)および対応する隙間(G1 )は前記周縁部分に形成されており、他の一対の折り返し(121,117)および対応する隙間(G3 )は前記中央部分に形成されている、請求項16に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項18】開けるのが容易な容器端部を形成する装置(41)であって、前記容器端部に第1と第2の、円周方向に延びる折り返しを形成する対向する成形面を有する上部(40,42)および下部(44,46)の成形工具を有し、前記成形工具の少なくとも一方が前記成形工具の他方に向かって移動可能である、開けるのが容易な安全な容器端部を形成する装置において、
前記の対向する成形面の少なくとも一方に形成された第1の凹部(48)を有しており、
それによって、前記凹部(48)が前記第1の折り返しの、円周方向に延びる第1の部分を形成し、前記成形面の残りの部分が前記第1の折り返しの、円周方向に延びる第2の部分を形成し、前記第1の部分は前記第2の部分よりも緩んでいる、
ことを特徴とする、開けるのが容易な安全な容器端部を形成する装置。
【請求項19】 前記第1の凹部(48)と反対側の他方の前記成形面に第2の凹部(50)が形成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】 前記第1の凹部(48)が約1°から25°の間の角度をなしている、請求項18または請求項19に記載の装置。
【請求項21】 前記第1の凹部(48)が約2°から10°の間の角度をなしている、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、容器のための安全に閉じるタイプの端部に関する。特に、本発明は、改良された開き特性を有する容器端部に関する。
【0002】
【背景技術】
ポテトチップを含む食品などの多くの製品およびテニスボールのような他の物品は、図1〜図3に示されているような、容易に開けることができる端部2を有する容器内に入れられる。従来、このような端部は、厚みtが約0.0095インチ(0.24mm)である、アルミニュームのような金属板から成形される。このような端部は中央の平板部分8と周縁部分10との間に形成された円形の切り込み線を有している。この周縁部分の上には、容器の側壁に取り付けられる湾曲部17が形成されている。リベット5で中央の平板部分8に取り付けられたタブ4は、開けるために用いられる。タブ4の端7を引き上げることによってタブの突出部6が周縁部分を押し下げ、切り込み線12を破断させ、それによって、捨てられる中央の平板部分8が周縁部分10から分離される。切り込み線12を最初に破断させるために必要な、タブ4の端に加えられる最小の引張り力は「ポップ値」と呼ばれる。最初の破断の後、タブを操作し続けることによって、使用者は、切り込み線を全円周に沿って破断することによって中央の平板部分を周縁部分から完全に切り離すことができる。最初の切断の後の切り込み線の破断を続けるために必要な力は引き裂き力と呼ばれる。ポップ値や引き裂き力が小さければ小さいほど、使用者が容器を開けるのが容易になる。
【0003】
上述した開き動作の結果、周縁部分8に鋭いエッジが形成されることがあり、これは使用者に対して切傷を負わす危険がある。図1〜3に示されるように、周縁部のこのエッジは、上側折り返し16と下側折り返し14とを形成するように、周縁部分10の、切り込み線12に近い部分を内側に折り返し、次に外側に折り返して、その結果、使用者を、周縁部分上に形成された鋭いエッジからそれが切り込み線に沿って切断されるときに保護するように下側折り返しの屈曲部分18が切り込み線12を超えて半径方向内側に突出することによって安全にすることができる。
【0004】
この開き動作はまた中央の平板部分にも鋭いエッジを作り出すことになる。図4に示されるように、中央の平板部分のこのエッジは、上側折り返し121と下側折り返し117とを形成するように、平板部分10の、切り込み線112に近い部分を内側に折り返し、次に外側に折り返し、そのとき、使用者を、中央の平板部分上に形成された鋭いエッジから、それが切り込み線112に沿って切断されるときに、保護するように、下側の折り返しの屈曲部分が切り込み線112を越えて半径方向外側に突出するようにすることによって、安全にすることができる。このタイプの缶端部では、上述のように、周縁部分110に折り返し115と123も形成される。しかしながら、この場合、周縁部分の折り返しは切り込み線112の下方ではなく、切り込み線112の上方に位置している。周縁部分と中央の平板部分の両方に折り返しを有する缶端部が、ここでは参照によってその全体が含まれる米国特許3,986,632号(Morrison等)により詳細に開示されている。
【0005】
従来、この折り返しは締まったきつい状態で形成されていた。例えば、本発明の譲受人によって作られる、容易に開けられる端部は厚さtが約0.0095インチ(0.24mm)の金属板から作られている。図3に示されるように、下部折り返し14の屈曲部分18の上面が周縁部分10の下面の下からずれている垂直方向の隙間G1 は切り込み線12の近傍で幅W1 となっており、これは一般に平板の厚さtよりも小さく、時には平板の厚さtの半分以下となっており、0となっていることすらあり、したがって屈曲部分18の上面は周縁部分20の下面に接触している。上部折り返し16の屈曲部分19の下面が周縁部分10の下側部分の上面からずれている垂直方向の隙間G2 の幅W2 は通常平板の厚さtとほぼ同じかその2倍に等しくなっている。折り返し14と16の全体の高さHは通常平板の厚さtの約6倍よりも大きくはない。
【0006】
残念ながら、折り返しのきつく締まった状態は、望ましくないことに、切り込み線12を最初に破断することの難しさを増大させ、すなわちポップ値を上昇させる。図3に示されるように、隙間G1 の幅W1 は最小である。したがって、タブ4の突出部6が、切り込み線12を破断するために上側部分20に下向きの十分な変形を与えるためには、下側折り返し14の、下にある屈曲部分18を下側に変形させるためにも十分な力Fを加える必要がある。しばしば「ロックアウト」と呼ばれるこの状態はポップ値を上昇させる。
【0007】
折り返しの締まったきつい状態はまた、特に、中央の平板と周縁部分の平板の両方に折り返しを有する端部において、引き裂き力を増大させる。このような端部では、最初の引き上げに続いてのタブ5の操作とその周囲の切り込み線の破断は、中央の平板を、図1に示される線A−Aに沿って曲げさせる。図4に示されるように、この変形は中央の平板の周辺部を、通常はほぼ10時30分の時針の位置と1時30分の時針のである位置Bで局部的に湾曲させる。この湾曲は、中央の平板部分108の切断されたエッジ109を、その上の周縁部の折り返し115の屈曲部分と接触させ、その結果切り込み線112を継続して破断させるために、タブ104にさらなる力を加える必要があり、これによって、必要な引き裂き力が増大する。
【0008】
米国特許5,105,977号(Taniuchi)に開示されたような、折り返しの全周縁に沿って大きな隙間を一様に設けた、容易に開けられる端部を作ることができ、また作られているが、このような構成は、中央の平板部分108が取り除去された後、もし周縁部分10の上側部分20が下方の折り返しを完全に押し下げなければ、折り返しによって与えられる安全性を危うくすることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、安全で、かつ容易に開けられる、開けるのが容易な容器端部を提供することが望まれる。
本発明の目的は、改良された開き特性を有する、容易に開けられる容器端部を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的は、a)中央部分と、b)中央部分を取り囲み、該周縁部分と同じ厚さを有し、かつ該周縁部とは切り込み線で分離されている周縁部分と、c)切り込み線の近傍の、端部の部分に力を加える手段と、d)切り込み線近傍の端部に形成された、円周方向に延びる上部および下部の折り返しとを有し、上部の折り返しは、円周方向に延びる第1の部分にわたって、切り込み線近傍の表面から、前記厚さよりも小さい幅を有する隙間だけずれている、開くのが容易な安全な容器端部において、上部の折り返しは、円周方向に延びる第2の部分)にわたって、切り込み線近傍の表面から、前記厚さよりも大きい幅を有する隙間だけずれており、第2の部分は緩んだ部分を含んでいること、によって達成できる。
【0011】
本発明は、容器端部に第1と第2の、円周方向に延びる折り返しを形成する対向する成形面を有する上部および下部の成形工具を有し、成形工具の少なくとも一方が成形工具の他方に向かって移動可能である、開くのが容易な安全な容器端部を形成する装置において、前記の対向する成形面の少なくとも一方に形成された第1の凹部を有しており、それによって、凹部が第1の折り返しの円周方向に延びた第1の部分を形成し、成形面の残りの部分が第1の折り返しの円周方向に延びる第2の部分を形成し、第1の部分は第2の部分よりも緩んでいる、容易に開けることができる容器端部を形成する装置も含んでいる。
【0012】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の、周縁部分10'にのみ折り返しを有する容器端部2'が図5〜8に示されている。従来と同様に、端部2'は、約0.0095インチ(0.24mm)の厚さtを持ったアルミニュームの平板から作られている。図5,6に示されるように、上側折り返し部16の形状は、その周囲の部分3では図1〜3に示される従来の安全な端部と同じである。特に、円周の部分3にある上側折り返し16は、例えば図3や図6の左側に示されているように、締まっており、したがって下側折り返し14の屈曲部分18の上面が、周縁部分10'の下面から下にずれている垂直方向の隙間G1 は切り込み線20の近傍で幅W1 を有しており、その幅W1 は平板の厚さtより小さい(即ち約0.01インチ(0.25mm)よりも小さい)ことが望ましく、平板の厚さtの半分(即ち約0.005インチ(0.12mm))よりも小さいことがさらに望ましく、ゼロであることが最も好ましく、その場合屈曲部分18の上面は周縁部分20の下面に接触する。さらに、図3や図6の左側に示されているように、周囲の部分3では、下側の折り返しも締まっており、したがって上側折り返し16の屈曲部分19の下面が、周縁部分10'の下側部分の上面からずれている垂直方向の隙間G2 は、平板の厚さtの約2倍以下(即ち約0.02インチ(025mm)以下)であることが望ましい幅W2 を有している。加えて、折り返し14の全高Hは通常、平板の厚さtの約6倍以下(即ち約0.06インチ(1.4mm)以下)である。
【0013】
しかしながら、本発明によれば、折り返しの円周部分は部分的に緩くなっている。特に、タブの突出部6の近傍にある、容器端部2'の円周の部分3'の上側の折り返し16は、締まったというよりはむしろ緩んでいる。図7と8によく示されているように、上側の折り返し16の緩んだ部分16'では、切り込み線12の近傍の垂直方向の隙間G1'の幅W1'は、平板の厚さt(即ち約0.01インチ(0.25mm)よりも大きく、平板の厚さtの少なくとも2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm)であることがさらに望ましい。さらに、下側の折り返し14'がまた、部分3'において緩んでいることが望ましく、それによって、垂直の隙間G2'の幅W2'は、平板の厚さtの2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm)よりも大きいことが望ましく、さらに、平板の厚さtの少なくとも3倍(即ち約0.03インチ(0.75mm))であることがさらに望ましい。緩んだ折り返し部分3'の全高H'は、平板の厚さtの6倍(即ち約0.06インチ(1.4mm))よりも大きいことがさらに望ましく、さらに、平板の厚さtの少なくとも7倍(即ち約0.07インチ(1.8mm))であることが最も望ましい。
【0014】
図8によく示されているように、円周部分3'の折り返しが部分的に緩い結果として、タブ4が引っ張られたときにタブ4の突起部6によって加えられる力Fによる周縁部分10'の部分20の変形は、下側の折り返し14'の屈曲部分18'によって妨げられず、それによって、切り込み線12の破断に必要な力が最小となる。さらに、図3,8に示されるように、折り返しを部分的に緩くすることによって、下側の折り返し14’の屈曲部分18’が切込み線12を越えて半径方向内側に突き出ている距離が小さくなり、それによって、屈曲部分が緩んだ折り返しの部分における開ける動作を妨げる可能性が減少する。
【0015】
図5に示されるように、容器端部2'の締まった折り返しの円周部分3は、鋭いエッジから最大の安全をもたらすために円周の主要な部分を形成し、一方、緩んだ折り返しの円周部分3'は円周の小さい部分を形成している。緩んだ折り返し部分は、締まった折り返しが、開ける動作を妨げる、上記したロックアウト領域のような、円周の部分にのみ形成されることが望ましい。この小さい緩んだ折り返しの部分はタブ4の突出部6の近傍にあることが最も望ましい。ロックアウトを防ぎポップ値を最小にし、それでいて締まった折り返しによって与えられる最適な安全をできるだけ保持するために、緩んだ折り返しの部分3'はタブの軸線に中心をおき、約1°から25°の間、より望ましくは約2°から10°の間の角度Aによって定まる円弧にわたって延びていることが望ましい。本発明の一実施形態では、タブ4に中心をおく緩んだ折り返し部分は、約1/4インチ(6mm)の円周方向の長さを有している。しかしながら、開けることの容易さと安全との最適なバランスを得るために、必要ならば、より小さいあるいはより大きい部分3’を使用することができる。さらに、図5に示すように、容器端部2'が、緩んだ折り返しを有する部分3’を1つしか持たないが、ある場合には、開けることの最適な容易さを得るために、端部2'の円周の周りに緩んだ折り返しの幾つかの部分を分散配置することが望ましいこともある。
【0016】
図5〜8に示すように、部分的に緩んだ折り返しが上側と下側の両方の周縁部分の折り返しに形成されているが、もし望むならば、部分的に緩んだ領域を折り返しの1つにのみ形成することで本発明を実施してもよい。
【0017】
折り返し14’を緩くすることがポップ値に与える影響を求めるために、一連の実験が、約0.0095インチ(0.24mm)の厚さを有するアルミニューム平板から作られた容器端部に対して行われた。締まった折り返し14,16を有する従来の容器端部2が26個作られ、切り込み線12を破断するために必要なポップ値が測定され、その結果平均ポップ値は4.0ポンドであった。本実験は、タブ4の軸線を中心とし、約3°から5°の角度で定まる、円周の部分3'の上方を延びる緩んだ折り返し14'、16'を有する、本発明にしたがって作られた26個の容器端部2'に対して繰り返された。これらの端部の平均ポップ値は2.5ポンドであり、殆ど40%の減少であった。
【0018】
本発明の容器端部2'は従来のマルチステーション回転プレス上で作ることが望ましい。このような容器端部2'における折り返しを形成する工具が図9〜12に示されている。前のステーションで予備の折り返し32が形成されている、部分的に形成された端部9が折り畳みステーション41に搬送される。折り畳みステーション41の上部の工具は、折り畳みパンチ40を取り囲む位置決めリング42を備えている。折り畳みステーション41の下部の工具は、ばね(不図示)に支持されている折り畳みリング46を取り囲む下側成形ダイ44を備えている。折り畳みリング46は加圧パッド52を取り囲んでいる。
【0019】
図11と図12に最もよく示されているように、折り畳みリング46内に、その円周の、角度Aによって囲まれた部分にわたって、緩んだ折り返しを形成することを意図した逃げ部48が形成されている。同様な逃げ部50が折り畳みパンチ40に形成されている。逃げ部48と50の深さは、折り畳みパンチ40と折り畳みリング46とが図10に示す閉じ位置に達したときに、両逃げ部48と50の間に形成された隙間の垂直高さは緩んだ折り返しの目標とする高さH'にほぼ等しく、一方、円周上の残りの部分に形成された隙間の垂直高さは、締まった折り返しの目標とする高さHにほぼ等しい。
【0020】
製造中に、位置決めリング42が部分的に成形された端部9を工具上に正確に位置決めする。折り畳みパンチ40が次に下降し、それによって予備の折り返し32を、最終的な折り返しを形成するように圧縮する。円周上の、工具の逃げ部を有しない部分においては、結果として形成される折り返しは図3に示されるように締まっている。しかしながら、逃げ部48と50が形成された部分では、折り返しは図8に示されるように緩くなる。
【0021】
本発明は、周縁部分と中央の平板部分の両方に折り返しを有する、容易に開けることが可能な端部にも実施できる。図13および図14は、中央の平板部分108と周縁部分102の両方に形成された安全な折り返しを有する容器端部102に適用された本発明を示している。この場合、切り込み線112の下方に位置する折り返し117と121とは中央の平板部分108上に形成されており、一方、周縁部分110上の折り返し115と123とは切り込み線112の上方に位置している。タブ104の突起106は、開けるのを行うために、切り込み線112に近接する、中央の平板部分110の部分を押圧する。
【0022】
本発明によれば、円周上の第1の部分の周りの中央平板部分の折り返し117と121は、図13の左側に示されるように締まっている。締まった折り返しの部分において、下側の折り返し117の屈曲部分127の上面が中央の平板部分108の上側部分の下面との間でずれている、垂直方向の隙間G1 は、切り込み線の近傍で、平板部分の厚さt(即ち、約0.01インチ(0.24mm))よりも小さいことが望ましく、平板の厚さtの約半分(即ち約0.005インチ(0.12mm))よりも少ないことがさらに望ましく、ゼロであることが最も好ましい、切り込み線12の近傍の幅を有している。さらに、締まった折り返しにおいて、上側の折り返し121の屈曲部分の下面が、中央の平板部分の下側部分の上面からずれている、垂直方向の隙間G2 は、平板の厚さtの約2倍(即ち約0.02インチ(0.25mm))以下であることが望ましい最大幅W2'を有している。
【0023】
円周の他の部分の周囲の中央の平板部分の折り返し117'および121'は緩んでいる。特に、切り込み線12近傍の、垂直方向の隙間G1'の幅W1'は、平板の厚さt(即ち約0.01インチ(0.25mm))よりも大きく、平板の厚さtの少なくとも2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm))であることがさらに望ましい。さらに、緩んだ折り返しの円周の部分では、垂直方向の隙間G2'の幅W2'は、平板の厚さtの2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm))よりも大きいことが望ましく、平板の厚さtの少なくとも3倍である(即ち約0.03インチ(0.75mm)である)ことがさらに望ましい。
【0024】
同様に、中央の平板部分の折り返しが締まった、円周上の部分の周りの周縁部の折り返し115および123も、図13の左側に示されるように、締まっており、上側の周縁部分の折り返し115の屈曲部分129の下面が周縁部110の下側部分の上面との間でずれている垂直方向の隙間G3 は、切り込み線112の近傍で、平板部分の厚さt(即ち、約0.01インチ(0.24mm))よりも小さいことが望ましく、平板の厚さtの半分(即ち約0.005インチ(0.12mm))よりも小さいことがさらに望ましく、ゼロであることが最も好ましい幅を有し、周縁部分の上側部分の下面が下側の周縁部の折り返し123の屈曲部分の上面との間でずれている垂直方向の隙間G4 は、平板の厚さtの約2倍(即ち約0.0.2インチ(0.5mm))以下であることが望ましい最大幅を有している。
【0025】
中央の平板部分の折り返しが緩んだ円周上の部分の周りの周縁部分の折り返し115'および123'も緩んでいる。特に、切り込み線12の近傍の垂直方向の隙間G3'の幅W3'は、平板の厚さt(即ち約0.01インチ(0.25mm))よりも大きく、平板の厚さtの少なくとも2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm))であることがさらに望ましい。さらに、この部分において、垂直方向の隙間G4'の幅W4'は、平板の厚さtの2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm))以上であることが望ましく、平板の厚さtの少なくとも3倍(即ち約0.03インチ(0.75mm)よりも小さい)ことがさらに望ましい。
【0026】
図14に最もよく示されているように、中央の平板部分108における折り返しの部分121'が緩んでいることによって、タブ104が引っ張られたときにタブ104の突起部106によって加えられる力によって生ずる、切り込み線112の近傍の中の平板部分108の部分の変形が、下側の折り返し117'の屈曲部分127によって妨げられず、これによって切り込み線112の破断に必要な力が最小化される。さらに、周縁部分の部分110の折り返しの部分123'が緩んでいることによって、破断の間に切り込み線の近傍の中央の平板部分の、先に述べた湾曲が、上側の周縁部の折り返し115'における屈曲部分129との干渉を生ぜず、これによって切り込み線112を引き裂くのに必要な力が最小化される。さらになお、折り返しを緩くすることによって、下側の中央の平板部分の折り返し117の屈曲部分127が切り込み線を越えて半径方向外側に突出する距離を減少させ、上側の周縁部の折り返し115の屈曲部分129が切り込み線を越えて半径方向内側に突出する距離を減少させようとし、これによって、これらの屈曲部分が、開ける動作を妨げる可能性が減少する。
【0027】
図13および14に示される、端部の締まった折り返しを有する円周部分は、鋭いエッジからの保護を最大にするための主要な円周部分を形成し、一方緩んだ折り返し部分は円周の小さい部分を形成している。小さな、緩んだ折り返しの部分は、締まった折り返しが、開ける動作を妨げる、上述したロックアウト領域のような、円周の領域にのみ形成されることが望ましい。この緩んだ折り返しの部分は3つの部分で構成されることが最も望ましい。第1の緩んだ折り返しの部分はタブ104の突起部106の付近、即ち時計の12時の時針の位置にある。第2と第3の緩んだ折り返し部分は突起の両側、望ましくは、上述のロックアウト状態が発生する、図1および図4のBの位置に対応する、時計の10時30分および1時30分の時針の位置に形成されている。ロックアウトを防止し、ポップ値と引き裂き力を最小とし、それにもかわらず締まった折り返しによってもたらされる最適な安全性をできる限り保持するために、12時の時針の位置にある緩んだ折り返しはタブの軸心を中心とし、約1°から25°、より望ましくは2°から10°の間である角度Aによって定まる円弧にわたって延びていることが望ましい。10時30分と1時30分の時針の位置にある緩んだ折返しは、タブの軸心を中心とし、約3°から75°、より望ましくは6°から30°との間である角度Aによって定まる円弧にわたって延びていることが望ましい。このように、10時30分と12時と1時30分との時針の位置にある緩んだ折返しは合計で約7°から175°、より望ましくは約14°から70°の円弧を含む。本発明の一実施形態では、12時の時針の位置にある緩んだ折り返しの周長は約1/4インチ(6mm)であり、10時30分と1時30分の時針の位置にある緩んだ折り返しの周長はそれぞれ約3/4インチ(20mm)である。しかしながら、開けることの容易さと安全との最適なバランスを得るために、必要であれば、より小さなあるいはより大きな折り返し部分3'、すなわち非常に多くの緩んだ折り返し部分を用いてもよい。
【0028】
図9および10に示されているようには、部分的な緩んだ折り返しが周縁部分と中央の平板部分との両方に形成されているが、望むならば、この部分的な緩んだ折り返しを、周縁部分にのみもしくは中央の平板部分にのみ形成し、端部の残りの部分の折り返し全体を締まったままにしておいてもよい。
【0029】
本発明は、その要旨あるいは重要な特性から逸脱することなく他の特定の形態で実施することができ、したがって、上記の明細書ではなく、本発明の範囲を示す添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による、容易に開けることができる容器端部の平面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った横断面図である。
【図3】図2に示されたる容器端部の折り返し部分の拡大図である。
【図4】缶を開ける動作中の中央部分と周縁部分の両方に折り返しを有する従来例の缶端部の斜視図である。
【図5】本発明による、容易に開けることができる容器端部の平面図である。
【図6】図5の線VI−VIに沿った横断面図である。
【図7】図6の線VII−VIIに沿った横断面図である。
【図8】図6に示された容器端部の緩んだ折り返し部分の拡大図である。
【図9】図5〜図8に示された容器端部を製造するために用いられる工具の第1の位置を示す図である。
【図10】図5〜図8に示された容器端部を製造するために用いられる工具の第2の位置を示す図である。
【図11】図10に示された工具の、断面XI−XIに沿った立面図である。
【図12】図9〜図11に示された折り返しリングの平面図である。
【図13】中央部分と周縁部分の両方に折り返しを有する端部に組み込まれた本発明を示す、図6と同様な断面図である。
【図14】図13に示された容器端部の緩んだ折り返し部分の拡大図である。
【発明の名称】開けるのが容易な安全な容器端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開けるのが容易な安全な容器端部であって、
a)中央部分(8)と、
b)前記中央部分(8)を取り囲み、該中央部分と同じ厚さ(t)を有し、かつ該中央部分とは切り込み線(12)で分離されている周縁部分(10)と、
c)前記切り込み線(12)の近傍の、前記端部の部分に力を加える手段(4)と、
d)前記切り込み線(12)近傍の、前記端部に形成された、円周方向に延びる上部および下部の折り返し(16,14)と
を有し、前記上部の折り返し(16)は、円周方向に延びる第1の部分(3)にわたって、前記切り込み線(12)の近傍の表面から、前記厚さ(t)よりも小さい幅(W1 )を有する隙間(G1 )だけずれている、
開けるのが容易な安全な容器端部において、
前記上部の折り返し(16)は、円周方向に延びる第2の部分(3')にわたって、前記切り込み線(12)の近傍の表面から、前記厚さ(t)よりも大きい幅(W1 ')を有する隙間(G1 ')だけずれており、前記第2の部分(3')は緩んだ部分(16')を含んでいることを特徴とする、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項2】 前記の円周方向に延びる第1の部分(3)が 前記隙間の全円周の主要な円弧を形成し、前記の円周方向に延びる第2の部分(3')が前記隙間の全円周の小さな円弧を形成している、請求項1に記載の開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項3】 前記第2の部分(3')の前記幅(W1 ')が、前記厚さ(t)の少なくとも2倍である、請求項1または請求項2に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項4】 前記第1の部分(3)の前記幅(W1 )が、前記厚さ(t)の半分よりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項5】 前記第1の部分(3)の前記幅(W1 )がほぼ0である、請求項4に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項6】 前記第1の部分(3)の前記幅(W1 )が0.254mm(0.01インチ)よりも小さく、前記第2の部分(3')の前記幅(W 1 ')が少なくとも0.508mm(0.02インチ)であり、前記厚さ(t)は約0.254mm(0.01インチ)である、請求項1または請求項2に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項7】 前記第2の部分(3')が、約1°から25°の間の角度をなす、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の、開くのが容易な安全な容器端部。
【請求項8】 前記第2の部分(3')が、約2°から10°の間の角度をなす、請求項7に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項9】 前記隙間の前記第2の部分が、前記力を加える手段(4)の下側に位置している、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項10】 前記厚さ(t)よりも大きい幅(W 1 ')を有する、前記隙間の、円周方向に延びる第3および第4の部分をさらに有している、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項11】 前記隙間の前記第3および第4の部分が、前記力を加える手段からそれぞれその両側に円周方向にずれている、請求項10に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項12】 前記隙間の前記第2、第3、および第4の部分の合計の角度が約7°から175°の範囲にある、請求項10または請求項11に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項13】 前記隙間の前記第2、第3、および第4の部分の合計の角度が約14°から70°の範囲にある、請求項12に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項14】 前記第1の折り返しと前記隙間とが前記周縁部分に形成されている、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項15】 前記第1の折り返しと前記隙間とが前記中央部分に形成されている、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項16】 前記切り込み線(112)に対して前記第1の一対の上部および下部の折り返し(117,121)と反対側で、前記切り込み線の近傍の前記端部に形成された、円周方向に延びる第2の一対の上部および下部の折り返し(115,123)を有しており、前記第2の一対の折り返しの下側の折り返しは前記切り込み線(112)の近傍の第2の面から、円周方向に延びる他の隙間(G3 )だけずれており、前記隙間(G3 )は前記厚さ(t)よりも小さい幅(W3 )を有する、円周方向に延びる第1の部分と、前記厚さ(t)よりも大きい幅(W3 ')を有する、円周方向に延びる第2の部分を有している、請求項1に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項17】 一対の折り返し(115,123)および対応する隙間(G1 )は前記周縁部分に形成されており、他の一対の折り返し(121,117)および対応する隙間(G3 )は前記中央部分に形成されている、請求項16に記載の、開けるのが容易な安全な容器端部。
【請求項18】開けるのが容易な容器端部を形成する装置(41)であって、前記容器端部に第1と第2の、円周方向に延びる折り返しを形成する対向する成形面を有する上部(40,42)および下部(44,46)の成形工具を有し、前記成形工具の少なくとも一方が前記成形工具の他方に向かって移動可能である、開けるのが容易な安全な容器端部を形成する装置において、
前記の対向する成形面の少なくとも一方に形成された第1の凹部(48)を有しており、
それによって、前記凹部(48)が前記第1の折り返しの、円周方向に延びる第1の部分を形成し、前記成形面の残りの部分が前記第1の折り返しの、円周方向に延びる第2の部分を形成し、前記第1の部分は前記第2の部分よりも緩んでいる、
ことを特徴とする、開けるのが容易な安全な容器端部を形成する装置。
【請求項19】 前記第1の凹部(48)と反対側の他方の前記成形面に第2の凹部(50)が形成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】 前記第1の凹部(48)が約1°から25°の間の角度をなしている、請求項18または請求項19に記載の装置。
【請求項21】 前記第1の凹部(48)が約2°から10°の間の角度をなしている、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、容器のための安全に閉じるタイプの端部に関する。特に、本発明は、改良された開き特性を有する容器端部に関する。
【0002】
【背景技術】
ポテトチップを含む食品などの多くの製品およびテニスボールのような他の物品は、図1〜図3に示されているような、容易に開けることができる端部2を有する容器内に入れられる。従来、このような端部は、厚みtが約0.0095インチ(0.24mm)である、アルミニュームのような金属板から成形される。このような端部は中央の平板部分8と周縁部分10との間に形成された円形の切り込み線を有している。この周縁部分の上には、容器の側壁に取り付けられる湾曲部17が形成されている。リベット5で中央の平板部分8に取り付けられたタブ4は、開けるために用いられる。タブ4の端7を引き上げることによってタブの突出部6が周縁部分を押し下げ、切り込み線12を破断させ、それによって、捨てられる中央の平板部分8が周縁部分10から分離される。切り込み線12を最初に破断させるために必要な、タブ4の端に加えられる最小の引張り力は「ポップ値」と呼ばれる。最初の破断の後、タブを操作し続けることによって、使用者は、切り込み線を全円周に沿って破断することによって中央の平板部分を周縁部分から完全に切り離すことができる。最初の切断の後の切り込み線の破断を続けるために必要な力は引き裂き力と呼ばれる。ポップ値や引き裂き力が小さければ小さいほど、使用者が容器を開けるのが容易になる。
【0003】
上述した開き動作の結果、周縁部分8に鋭いエッジが形成されることがあり、これは使用者に対して切傷を負わす危険がある。図1〜3に示されるように、周縁部のこのエッジは、上側折り返し16と下側折り返し14とを形成するように、周縁部分10の、切り込み線12に近い部分を内側に折り返し、次に外側に折り返して、その結果、使用者を、周縁部分上に形成された鋭いエッジからそれが切り込み線に沿って切断されるときに保護するように下側折り返しの屈曲部分18が切り込み線12を超えて半径方向内側に突出することによって安全にすることができる。
【0004】
この開き動作はまた中央の平板部分にも鋭いエッジを作り出すことになる。図4に示されるように、中央の平板部分のこのエッジは、上側折り返し121と下側折り返し117とを形成するように、平板部分10の、切り込み線112に近い部分を内側に折り返し、次に外側に折り返し、そのとき、使用者を、中央の平板部分上に形成された鋭いエッジから、それが切り込み線112に沿って切断されるときに、保護するように、下側の折り返しの屈曲部分が切り込み線112を越えて半径方向外側に突出するようにすることによって、安全にすることができる。このタイプの缶端部では、上述のように、周縁部分110に折り返し115と123も形成される。しかしながら、この場合、周縁部分の折り返しは切り込み線112の下方ではなく、切り込み線112の上方に位置している。周縁部分と中央の平板部分の両方に折り返しを有する缶端部が、ここでは参照によってその全体が含まれる米国特許3,986,632号(Morrison等)により詳細に開示されている。
【0005】
従来、この折り返しは締まったきつい状態で形成されていた。例えば、本発明の譲受人によって作られる、容易に開けられる端部は厚さtが約0.0095インチ(0.24mm)の金属板から作られている。図3に示されるように、下部折り返し14の屈曲部分18の上面が周縁部分10の下面の下からずれている垂直方向の隙間G1 は切り込み線12の近傍で幅W1 となっており、これは一般に平板の厚さtよりも小さく、時には平板の厚さtの半分以下となっており、0となっていることすらあり、したがって屈曲部分18の上面は周縁部分20の下面に接触している。上部折り返し16の屈曲部分19の下面が周縁部分10の下側部分の上面からずれている垂直方向の隙間G2 の幅W2 は通常平板の厚さtとほぼ同じかその2倍に等しくなっている。折り返し14と16の全体の高さHは通常平板の厚さtの約6倍よりも大きくはない。
【0006】
残念ながら、折り返しのきつく締まった状態は、望ましくないことに、切り込み線12を最初に破断することの難しさを増大させ、すなわちポップ値を上昇させる。図3に示されるように、隙間G1 の幅W1 は最小である。したがって、タブ4の突出部6が、切り込み線12を破断するために上側部分20に下向きの十分な変形を与えるためには、下側折り返し14の、下にある屈曲部分18を下側に変形させるためにも十分な力Fを加える必要がある。しばしば「ロックアウト」と呼ばれるこの状態はポップ値を上昇させる。
【0007】
折り返しの締まったきつい状態はまた、特に、中央の平板と周縁部分の平板の両方に折り返しを有する端部において、引き裂き力を増大させる。このような端部では、最初の引き上げに続いてのタブ5の操作とその周囲の切り込み線の破断は、中央の平板を、図1に示される線A−Aに沿って曲げさせる。図4に示されるように、この変形は中央の平板の周辺部を、通常はほぼ10時30分の時針の位置と1時30分の時針のである位置Bで局部的に湾曲させる。この湾曲は、中央の平板部分108の切断されたエッジ109を、その上の周縁部の折り返し115の屈曲部分と接触させ、その結果切り込み線112を継続して破断させるために、タブ104にさらなる力を加える必要があり、これによって、必要な引き裂き力が増大する。
【0008】
米国特許5,105,977号(Taniuchi)に開示されたような、折り返しの全周縁に沿って大きな隙間を一様に設けた、容易に開けられる端部を作ることができ、また作られているが、このような構成は、中央の平板部分108が取り除去された後、もし周縁部分10の上側部分20が下方の折り返しを完全に押し下げなければ、折り返しによって与えられる安全性を危うくすることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、安全で、かつ容易に開けられる、開けるのが容易な容器端部を提供することが望まれる。
本発明の目的は、改良された開き特性を有する、容易に開けられる容器端部を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的は、a)中央部分と、b)中央部分を取り囲み、該周縁部分と同じ厚さを有し、かつ該周縁部とは切り込み線で分離されている周縁部分と、c)切り込み線の近傍の、端部の部分に力を加える手段と、d)切り込み線近傍の端部に形成された、円周方向に延びる上部および下部の折り返しとを有し、上部の折り返しは、円周方向に延びる第1の部分にわたって、切り込み線近傍の表面から、前記厚さよりも小さい幅を有する隙間だけずれている、開くのが容易な安全な容器端部において、上部の折り返しは、円周方向に延びる第2の部分)にわたって、切り込み線近傍の表面から、前記厚さよりも大きい幅を有する隙間だけずれており、第2の部分は緩んだ部分を含んでいること、によって達成できる。
【0011】
本発明は、容器端部に第1と第2の、円周方向に延びる折り返しを形成する対向する成形面を有する上部および下部の成形工具を有し、成形工具の少なくとも一方が成形工具の他方に向かって移動可能である、開くのが容易な安全な容器端部を形成する装置において、前記の対向する成形面の少なくとも一方に形成された第1の凹部を有しており、それによって、凹部が第1の折り返しの円周方向に延びた第1の部分を形成し、成形面の残りの部分が第1の折り返しの円周方向に延びる第2の部分を形成し、第1の部分は第2の部分よりも緩んでいる、容易に開けることができる容器端部を形成する装置も含んでいる。
【0012】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の、周縁部分10'にのみ折り返しを有する容器端部2'が図5〜8に示されている。従来と同様に、端部2'は、約0.0095インチ(0.24mm)の厚さtを持ったアルミニュームの平板から作られている。図5,6に示されるように、上側折り返し部16の形状は、その周囲の部分3では図1〜3に示される従来の安全な端部と同じである。特に、円周の部分3にある上側折り返し16は、例えば図3や図6の左側に示されているように、締まっており、したがって下側折り返し14の屈曲部分18の上面が、周縁部分10'の下面から下にずれている垂直方向の隙間G1 は切り込み線20の近傍で幅W1 を有しており、その幅W1 は平板の厚さtより小さい(即ち約0.01インチ(0.25mm)よりも小さい)ことが望ましく、平板の厚さtの半分(即ち約0.005インチ(0.12mm))よりも小さいことがさらに望ましく、ゼロであることが最も好ましく、その場合屈曲部分18の上面は周縁部分20の下面に接触する。さらに、図3や図6の左側に示されているように、周囲の部分3では、下側の折り返しも締まっており、したがって上側折り返し16の屈曲部分19の下面が、周縁部分10'の下側部分の上面からずれている垂直方向の隙間G2 は、平板の厚さtの約2倍以下(即ち約0.02インチ(025mm)以下)であることが望ましい幅W2 を有している。加えて、折り返し14の全高Hは通常、平板の厚さtの約6倍以下(即ち約0.06インチ(1.4mm)以下)である。
【0013】
しかしながら、本発明によれば、折り返しの円周部分は部分的に緩くなっている。特に、タブの突出部6の近傍にある、容器端部2'の円周の部分3'の上側の折り返し16は、締まったというよりはむしろ緩んでいる。図7と8によく示されているように、上側の折り返し16の緩んだ部分16'では、切り込み線12の近傍の垂直方向の隙間G1'の幅W1'は、平板の厚さt(即ち約0.01インチ(0.25mm)よりも大きく、平板の厚さtの少なくとも2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm)であることがさらに望ましい。さらに、下側の折り返し14'がまた、部分3'において緩んでいることが望ましく、それによって、垂直の隙間G2'の幅W2'は、平板の厚さtの2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm)よりも大きいことが望ましく、さらに、平板の厚さtの少なくとも3倍(即ち約0.03インチ(0.75mm))であることがさらに望ましい。緩んだ折り返し部分3'の全高H'は、平板の厚さtの6倍(即ち約0.06インチ(1.4mm))よりも大きいことがさらに望ましく、さらに、平板の厚さtの少なくとも7倍(即ち約0.07インチ(1.8mm))であることが最も望ましい。
【0014】
図8によく示されているように、円周部分3'の折り返しが部分的に緩い結果として、タブ4が引っ張られたときにタブ4の突起部6によって加えられる力Fによる周縁部分10'の部分20の変形は、下側の折り返し14'の屈曲部分18'によって妨げられず、それによって、切り込み線12の破断に必要な力が最小となる。さらに、図3,8に示されるように、折り返しを部分的に緩くすることによって、下側の折り返し14’の屈曲部分18’が切込み線12を越えて半径方向内側に突き出ている距離が小さくなり、それによって、屈曲部分が緩んだ折り返しの部分における開ける動作を妨げる可能性が減少する。
【0015】
図5に示されるように、容器端部2'の締まった折り返しの円周部分3は、鋭いエッジから最大の安全をもたらすために円周の主要な部分を形成し、一方、緩んだ折り返しの円周部分3'は円周の小さい部分を形成している。緩んだ折り返し部分は、締まった折り返しが、開ける動作を妨げる、上記したロックアウト領域のような、円周の部分にのみ形成されることが望ましい。この小さい緩んだ折り返しの部分はタブ4の突出部6の近傍にあることが最も望ましい。ロックアウトを防ぎポップ値を最小にし、それでいて締まった折り返しによって与えられる最適な安全をできるだけ保持するために、緩んだ折り返しの部分3'はタブの軸線に中心をおき、約1°から25°の間、より望ましくは約2°から10°の間の角度Aによって定まる円弧にわたって延びていることが望ましい。本発明の一実施形態では、タブ4に中心をおく緩んだ折り返し部分は、約1/4インチ(6mm)の円周方向の長さを有している。しかしながら、開けることの容易さと安全との最適なバランスを得るために、必要ならば、より小さいあるいはより大きい部分3’を使用することができる。さらに、図5に示すように、容器端部2'が、緩んだ折り返しを有する部分3’を1つしか持たないが、ある場合には、開けることの最適な容易さを得るために、端部2'の円周の周りに緩んだ折り返しの幾つかの部分を分散配置することが望ましいこともある。
【0016】
図5〜8に示すように、部分的に緩んだ折り返しが上側と下側の両方の周縁部分の折り返しに形成されているが、もし望むならば、部分的に緩んだ領域を折り返しの1つにのみ形成することで本発明を実施してもよい。
【0017】
折り返し14’を緩くすることがポップ値に与える影響を求めるために、一連の実験が、約0.0095インチ(0.24mm)の厚さを有するアルミニューム平板から作られた容器端部に対して行われた。締まった折り返し14,16を有する従来の容器端部2が26個作られ、切り込み線12を破断するために必要なポップ値が測定され、その結果平均ポップ値は4.0ポンドであった。本実験は、タブ4の軸線を中心とし、約3°から5°の角度で定まる、円周の部分3'の上方を延びる緩んだ折り返し14'、16'を有する、本発明にしたがって作られた26個の容器端部2'に対して繰り返された。これらの端部の平均ポップ値は2.5ポンドであり、殆ど40%の減少であった。
【0018】
本発明の容器端部2'は従来のマルチステーション回転プレス上で作ることが望ましい。このような容器端部2'における折り返しを形成する工具が図9〜12に示されている。前のステーションで予備の折り返し32が形成されている、部分的に形成された端部9が折り畳みステーション41に搬送される。折り畳みステーション41の上部の工具は、折り畳みパンチ40を取り囲む位置決めリング42を備えている。折り畳みステーション41の下部の工具は、ばね(不図示)に支持されている折り畳みリング46を取り囲む下側成形ダイ44を備えている。折り畳みリング46は加圧パッド52を取り囲んでいる。
【0019】
図11と図12に最もよく示されているように、折り畳みリング46内に、その円周の、角度Aによって囲まれた部分にわたって、緩んだ折り返しを形成することを意図した逃げ部48が形成されている。同様な逃げ部50が折り畳みパンチ40に形成されている。逃げ部48と50の深さは、折り畳みパンチ40と折り畳みリング46とが図10に示す閉じ位置に達したときに、両逃げ部48と50の間に形成された隙間の垂直高さは緩んだ折り返しの目標とする高さH'にほぼ等しく、一方、円周上の残りの部分に形成された隙間の垂直高さは、締まった折り返しの目標とする高さHにほぼ等しい。
【0020】
製造中に、位置決めリング42が部分的に成形された端部9を工具上に正確に位置決めする。折り畳みパンチ40が次に下降し、それによって予備の折り返し32を、最終的な折り返しを形成するように圧縮する。円周上の、工具の逃げ部を有しない部分においては、結果として形成される折り返しは図3に示されるように締まっている。しかしながら、逃げ部48と50が形成された部分では、折り返しは図8に示されるように緩くなる。
【0021】
本発明は、周縁部分と中央の平板部分の両方に折り返しを有する、容易に開けることが可能な端部にも実施できる。図13および図14は、中央の平板部分108と周縁部分102の両方に形成された安全な折り返しを有する容器端部102に適用された本発明を示している。この場合、切り込み線112の下方に位置する折り返し117と121とは中央の平板部分108上に形成されており、一方、周縁部分110上の折り返し115と123とは切り込み線112の上方に位置している。タブ104の突起106は、開けるのを行うために、切り込み線112に近接する、中央の平板部分110の部分を押圧する。
【0022】
本発明によれば、円周上の第1の部分の周りの中央平板部分の折り返し117と121は、図13の左側に示されるように締まっている。締まった折り返しの部分において、下側の折り返し117の屈曲部分127の上面が中央の平板部分108の上側部分の下面との間でずれている、垂直方向の隙間G1 は、切り込み線の近傍で、平板部分の厚さt(即ち、約0.01インチ(0.24mm))よりも小さいことが望ましく、平板の厚さtの約半分(即ち約0.005インチ(0.12mm))よりも少ないことがさらに望ましく、ゼロであることが最も好ましい、切り込み線12の近傍の幅を有している。さらに、締まった折り返しにおいて、上側の折り返し121の屈曲部分の下面が、中央の平板部分の下側部分の上面からずれている、垂直方向の隙間G2 は、平板の厚さtの約2倍(即ち約0.02インチ(0.25mm))以下であることが望ましい最大幅W2'を有している。
【0023】
円周の他の部分の周囲の中央の平板部分の折り返し117'および121'は緩んでいる。特に、切り込み線12近傍の、垂直方向の隙間G1'の幅W1'は、平板の厚さt(即ち約0.01インチ(0.25mm))よりも大きく、平板の厚さtの少なくとも2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm))であることがさらに望ましい。さらに、緩んだ折り返しの円周の部分では、垂直方向の隙間G2'の幅W2'は、平板の厚さtの2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm))よりも大きいことが望ましく、平板の厚さtの少なくとも3倍である(即ち約0.03インチ(0.75mm)である)ことがさらに望ましい。
【0024】
同様に、中央の平板部分の折り返しが締まった、円周上の部分の周りの周縁部の折り返し115および123も、図13の左側に示されるように、締まっており、上側の周縁部分の折り返し115の屈曲部分129の下面が周縁部110の下側部分の上面との間でずれている垂直方向の隙間G3 は、切り込み線112の近傍で、平板部分の厚さt(即ち、約0.01インチ(0.24mm))よりも小さいことが望ましく、平板の厚さtの半分(即ち約0.005インチ(0.12mm))よりも小さいことがさらに望ましく、ゼロであることが最も好ましい幅を有し、周縁部分の上側部分の下面が下側の周縁部の折り返し123の屈曲部分の上面との間でずれている垂直方向の隙間G4 は、平板の厚さtの約2倍(即ち約0.0.2インチ(0.5mm))以下であることが望ましい最大幅を有している。
【0025】
中央の平板部分の折り返しが緩んだ円周上の部分の周りの周縁部分の折り返し115'および123'も緩んでいる。特に、切り込み線12の近傍の垂直方向の隙間G3'の幅W3'は、平板の厚さt(即ち約0.01インチ(0.25mm))よりも大きく、平板の厚さtの少なくとも2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm))であることがさらに望ましい。さらに、この部分において、垂直方向の隙間G4'の幅W4'は、平板の厚さtの2倍(即ち約0.02インチ(0.5mm))以上であることが望ましく、平板の厚さtの少なくとも3倍(即ち約0.03インチ(0.75mm)よりも小さい)ことがさらに望ましい。
【0026】
図14に最もよく示されているように、中央の平板部分108における折り返しの部分121'が緩んでいることによって、タブ104が引っ張られたときにタブ104の突起部106によって加えられる力によって生ずる、切り込み線112の近傍の中の平板部分108の部分の変形が、下側の折り返し117'の屈曲部分127によって妨げられず、これによって切り込み線112の破断に必要な力が最小化される。さらに、周縁部分の部分110の折り返しの部分123'が緩んでいることによって、破断の間に切り込み線の近傍の中央の平板部分の、先に述べた湾曲が、上側の周縁部の折り返し115'における屈曲部分129との干渉を生ぜず、これによって切り込み線112を引き裂くのに必要な力が最小化される。さらになお、折り返しを緩くすることによって、下側の中央の平板部分の折り返し117の屈曲部分127が切り込み線を越えて半径方向外側に突出する距離を減少させ、上側の周縁部の折り返し115の屈曲部分129が切り込み線を越えて半径方向内側に突出する距離を減少させようとし、これによって、これらの屈曲部分が、開ける動作を妨げる可能性が減少する。
【0027】
図13および14に示される、端部の締まった折り返しを有する円周部分は、鋭いエッジからの保護を最大にするための主要な円周部分を形成し、一方緩んだ折り返し部分は円周の小さい部分を形成している。小さな、緩んだ折り返しの部分は、締まった折り返しが、開ける動作を妨げる、上述したロックアウト領域のような、円周の領域にのみ形成されることが望ましい。この緩んだ折り返しの部分は3つの部分で構成されることが最も望ましい。第1の緩んだ折り返しの部分はタブ104の突起部106の付近、即ち時計の12時の時針の位置にある。第2と第3の緩んだ折り返し部分は突起の両側、望ましくは、上述のロックアウト状態が発生する、図1および図4のBの位置に対応する、時計の10時30分および1時30分の時針の位置に形成されている。ロックアウトを防止し、ポップ値と引き裂き力を最小とし、それにもかわらず締まった折り返しによってもたらされる最適な安全性をできる限り保持するために、12時の時針の位置にある緩んだ折り返しはタブの軸心を中心とし、約1°から25°、より望ましくは2°から10°の間である角度Aによって定まる円弧にわたって延びていることが望ましい。10時30分と1時30分の時針の位置にある緩んだ折返しは、タブの軸心を中心とし、約3°から75°、より望ましくは6°から30°との間である角度Aによって定まる円弧にわたって延びていることが望ましい。このように、10時30分と12時と1時30分との時針の位置にある緩んだ折返しは合計で約7°から175°、より望ましくは約14°から70°の円弧を含む。本発明の一実施形態では、12時の時針の位置にある緩んだ折り返しの周長は約1/4インチ(6mm)であり、10時30分と1時30分の時針の位置にある緩んだ折り返しの周長はそれぞれ約3/4インチ(20mm)である。しかしながら、開けることの容易さと安全との最適なバランスを得るために、必要であれば、より小さなあるいはより大きな折り返し部分3'、すなわち非常に多くの緩んだ折り返し部分を用いてもよい。
【0028】
図9および10に示されているようには、部分的な緩んだ折り返しが周縁部分と中央の平板部分との両方に形成されているが、望むならば、この部分的な緩んだ折り返しを、周縁部分にのみもしくは中央の平板部分にのみ形成し、端部の残りの部分の折り返し全体を締まったままにしておいてもよい。
【0029】
本発明は、その要旨あるいは重要な特性から逸脱することなく他の特定の形態で実施することができ、したがって、上記の明細書ではなく、本発明の範囲を示す添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による、容易に開けることができる容器端部の平面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った横断面図である。
【図3】図2に示されたる容器端部の折り返し部分の拡大図である。
【図4】缶を開ける動作中の中央部分と周縁部分の両方に折り返しを有する従来例の缶端部の斜視図である。
【図5】本発明による、容易に開けることができる容器端部の平面図である。
【図6】図5の線VI−VIに沿った横断面図である。
【図7】図6の線VII−VIIに沿った横断面図である。
【図8】図6に示された容器端部の緩んだ折り返し部分の拡大図である。
【図9】図5〜図8に示された容器端部を製造するために用いられる工具の第1の位置を示す図である。
【図10】図5〜図8に示された容器端部を製造するために用いられる工具の第2の位置を示す図である。
【図11】図10に示された工具の、断面XI−XIに沿った立面図である。
【図12】図9〜図11に示された折り返しリングの平面図である。
【図13】中央部分と周縁部分の両方に折り返しを有する端部に組み込まれた本発明を示す、図6と同様な断面図である。
【図14】図13に示された容器端部の緩んだ折り返し部分の拡大図である。
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