JP2003506145A

JP2003506145A - 失禁治療装置及び方法

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Publication number: JP2003506145A
Application number: JP2001514885A
Authority: JP
Inventors: ファーネス，ジョン，バートン; バーネット，ロバート，ウィリアム; オコーネル，ヘレン，エリザベス; フルスト，ジョージ，デイヴィッド，スカークリフ
Original assignee: ザ・ユニヴァーシティ・オヴ・メルボルン
Priority date: 1999-08-04
Filing date: 2000-08-04
Publication date: 2003-02-18
Also published as: US20040116773A1; US6659936B1; WO2001010357A1; ATE376405T1; CA2378388A1; DE60036873D1; EP1207822B1; EP1207822A1; DE60036873T2; EP1207822A4; US20050119710A1; US7384390B2; NZ517128A; US20080195172A1; CA2378388C; AUPQ202699A0

Abstract

(57)【要約】尿失禁治療の改善された方法、システム、配置が開示されている。その中で、尿道括約筋（２）を提供するために、神経分布のある平滑筋片（２）が移植され、尿道の周囲に配置される。刺激装置（１）の移植による電気刺激は、括約筋の緊張状態を継続的に維持する。遠隔制御装置（７）が、括約筋（２）の弛緩を可能にするので、膀胱から尿が流れ出るようになる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】技術分野本発明は、尿失禁治療のための人工器官、及び、特に組織移植を用いる人工器
官に関する。

【０００２】背景技術本発明は、全体的又は部分的な括約筋の機能不全による失禁の状態に関する。
これは、緊張性尿失禁、緊迫性尿失禁及び完全失禁をも含みうる。本発明は、当
初より男子失禁治療のために開発されたものであり、主にその適用の見地から述
べる。ただし、技術的に高度な者により女子失禁治療のために適用される場合に
おいても真価は認められる。

【０００３】失禁は、特に高齢者において、主要な健康上の問題であり、れっきとした医学
的治療のないものである。女子の間では、緊張性尿失禁のための外科的に造られ
たスリングがますます用いられるようになっており、成功例も増えている。しか
し、特に前立腺癌治療後、危険度が低く信頼性があって効果的な治療が、中程度
から重度の男子緊張性尿失禁のためにはない。前立腺癌の例が増えていることを
踏まえ、このことはますますの健康問題である。

【０００４】尿道の体内括約筋は弾性組織に差し挟まれた平滑筋細胞により構成され、尿道
基部に位置し、その一定の状態は膀胱内の尿から受ける圧力を耐えるだけの尿道
基部の機械的抵抗の維持に欠かせないものである。この部分の弱さが例えば前立
腺癌治療後の尿失禁の一般的な原因である。

【０００５】人工装具による括約筋弁は尿道の破損され障害のある体内括約筋を交換または
補足する機械的、水圧的そして電気的装置を含む様々な形状で提案されている（
例、PT101841,SE931516,GB2266844,FR2638964,WO97/01309及びUS4619245）。括
約筋の筋肉の電気的刺激も提案されている（DE29614895）。他の方法として、外
部の、又は埋め込んだ電極により現在ある括約筋の機能を刺激することも提案さ
れている。

【０００６】括約筋の筋肉を電気的に刺激する事に関しては様々な方法が提案されており、
それらのほとんどは現在ある括約筋及び/又は近辺に配置された筋肉、例えば膀
胱を刺激するという方向である（DE29614895）。

【０００７】もう１つの失禁治療の先行技術による提案は仙骨神経その他を刺激するという
方向である。このような提案もまた、現在ある筋肉構造を使うことを探求してい
る（US4771779,US4703775,US4607639,US3870051、US4688575、US4389719及びUS5
702428）。

【０００８】他の方法も提案され、例えばUS5562717は、刺激性電極を患者の肌に配列し外
部から現在ある筋肉を刺激して失禁をコントロールするというものである。この
方法は、患者の予め決められた部分に電極を配列することと電源に電気的に接続
する必要があり、故に完全な自由が利かないという不都合がある。

【０００９】患者の尿道の周りの大腿からの小さな骨格筋の一部を移植し、そして電気的に
刺激して交換された括約筋としての機能を保持するということも提案されている
（New Scientist、１９９６年６月２９日）。ただし、この方法は、たとえ成功
したとしても、交換された括約筋を十分に収縮させるにはかなり高いレベルの電
気的刺激が必要となる。

【００１０】本発明の目的は、改良された人工器官を失禁治療のために提供することにある
。

【００１１】発明の開示大要を述べれば、本発明は、補助括約筋の提供のために、神経分布のある平滑
筋を用いるものである。この補助括約筋は、患者の括約筋がうまく機能するよう
適切な機器により刺激される。その成果として、刺激装置は低電力消費で作動し
、より良い機能を括約筋にもたらす。

【００１２】本発明の第１の着眼点によると、外科的移植により尿道付近に配置され、神経
が分布した平滑筋である括約筋に、尿道を通り抜ける尿の流れを制御するように
有効な電気刺激をもたらすよう設計されている括約筋刺激装置であって、受信機
と電気的交信を行う刺激発生部とを含み、刺激発生部は、前記括約筋を収縮させ
る、あらかじめ定められた第１の電気刺激信号と、前記括約筋を弛緩させる、あ
らかじめ定められた第２の電気信号とを提供するよう有効に設計されており、受
信機が受信した遠隔制御装置からの信号に応じて、あらかじめ定められた前記信
号のうち１つが選ばれる装置が提供される。

【００１３】好ましい実施形態として、刺激装置は患者が膀胱を空にしたいということを示
しつつも信号が受信されない場合、第１の刺激信号を出す。第２の刺激信号は、
単なる刺激の不在や低レベルの信号、ないし代替信号による。

【００１４】好ましい態様において、刺激信号は、神経の分布がある括約筋において、持続
的な調子を維持するものである。本発明の他の好ましい態様において、刺激信号
は、パルス状である。刺激装置は、複数のチャネルのパルスを発生させるもので
あることも好ましい。また、刺激パルスは、周波数が０．２５から２．５Ｈｚで
あって、０．０５から０．２０ｍｓｅｃの幅であることも好ましい。

【００１５】適用される刺激は、３０ｍＡ以下の電流であることが好ましい。さらに好まし
いのは、刺激信号が一般には方形かつ対称二相であることである。もっとも、代
わりに他の二相パルスを用いることもできる。

【００１６】括約筋刺激装置は、交換可能な、あるいは再充電可能な電源電池、たとえば電
気誘導によるなど、もとの位置のまま再充電できるものを含むことが好ましい。

【００１７】受信機への信号がマイクロウェーブ、電波、光または磁気エネルギーによって
交信されることが好ましい。そして、受信機がそれぞれ、マイクロウェーブ、電
波、光または磁気エネルギー用の受信機であることが好ましい。

【００１８】刺激発生部は、復調器を有しており、これは受信信号に応じて刺激エンコーダ
に変調された信号を供給する。刺激エンコーダは、これに応じて、刺激ドライバ
に信号を出す。括約筋に有効な刺激を与えるために、刺激装置は、２つ以上の電
極を有しているのが好ましい。刺激は電極同士で違ってもいいし、同じでもよい
。

【００１９】刺激装置は、括約筋の弛緩後、括約筋を収縮させるあらかじめ定められた信号
が受信機に受信されない場合、一定時間が経過すると、括約筋を収縮させる第１
の刺激信号を出すのに適したものであることが好ましい。

【００２０】括約筋刺激装置は、遠隔検知を行うために、刺激装置のパラメータを１つ以上
示すテレメータ情報の通信部を有している。

【００２１】電波、マイクロウェーブ、光、または磁気エネルギーによって、この情報が送
信されることが好ましい。さらに好ましいのは、刺激信号の周波数、電流、幅、
波形、受信信号の強度、電池の状態の中から１つ以上が、このパラメータに含ま
れることである。刺激発生部は、不揮発性メモリを持った処理装置を有している
ことが好ましい。

【００２２】受信機は、遠方で発信した括約筋刺激装置に対する変更信号を受信し、これに
応じて、刺激発生部が刺激信号を１つ以上選択的に変更できるよう、設計されて
いることが好ましい。受信された括約筋刺激装置のテレメータ情報、たとえば、
刺激装置からのテレメータ信号に応じて、この変更信号が送信されることがさら
に好ましい。

【００２３】２つ以上電極のついた少なくとも１本のリード線によって、刺激装置が括約筋
と電気的に交信できることが好ましい。この電極は、括約筋のあらかじめ決めら
れた位置に手術によって移植される。さらに好ましいのは、３つの電極のついた
リード線が、括約筋に対してエピミサル（epimysal）、カフ（cuff）または３極
配置を取ることである。

【００２４】平滑筋は、血行を保ったまま膀胱の平滑筋から取られ、尿道付近に移植される
ことが好ましい。これに代わるものとして、平滑筋は、粘膜を除いて、血行を損
なうことなく移植された、ヴィーナス（venous）平滑筋、アノコキジアス（anoc
occygeus）平滑筋、回腸の末端片でもよい。別な代替物として、陰嚢や陰唇から
取られるダートス（dartos）平滑筋がある。いずれの場合にも、筋肉細胞の長軸
が括約筋の周辺付近に配置される。選ばれる筋肉次第で、移植の際に血行が損な
われて良いかどうかが決まる。移植の際に血行が損なわれる場合、新しい血管が
再成長するか調達されるかしなければならない。

【００２５】本発明の第２の着眼点によると、人の失禁の治療に使われるシステムであって
、括約筋の特徴を示し、その人の尿道周囲を実質的に取り囲むように移植される
神経分布のある筋肉組織片と、括約筋に電気刺激を与えることができるよう構成された移植された括約筋刺激
装置と、前記括約筋刺激装置と通信を行って、括約筋を収縮させるか、あるいは括約筋
を弛緩させるそれぞれあらかじめ定められた電気刺激信号の生成を選択的に起動
する、移植されない制御装置とを備えるシステムが提供される。

【００２６】括約筋は、帯状をなし、一般には長方形にするのが好ましい。この帯の寸法は
、４．５〜７．５ｃｍ×１．２５〜２．２５ｃｍとすることが、さらに好ましい
。筋肉細胞の長軸が大体外周に配置されるよう、この筋肉を一般的には円筒状に
して、尿道の周囲をほぼ完全に取り巻くよう配置することも好ましい。

【００２７】平滑筋は、上記のものから選ばれるのが好ましい。システムには、上記の括約筋が含まれるのが好ましい。

【００２８】好ましくは前記制御装置は、送信機と、前記送信機により所定の信号を発生させる手段と、電源と、前記括約筋刺激装置が、信号の受信に応じて、括約筋を収縮させ、または弛緩
させる刺激信号を前記括約筋刺激装置に出力するように、信号を選択的に発生す
る駆動手段とを有する。ここで、弛緩か収縮かを選ぶ信号は違ったものにしてもよいし、同じ信号で状
態の変化を起こしてもよい。

【００２９】制御装置の形式は、特に医師が用いるものは、括約筋刺激装置から括約筋刺激
装置のテレメータ情報を受信する受信機がついたものにするとよい。この信号は
、電波、マイクロウェーブ、光または磁気エネルギーによって送信されるもので
、受信機は、無線、マクロウェーブ、光または磁気エネルギー用の受信機である
ことが好ましい。

【００３０】あらかじめ定められたアウトプットを出せるよう、括約筋刺激装置の選択プロ
グラミングのため、このシステムには括約筋刺激装置に対する遠隔プログラミン
グ部がついていることが好ましい。プログラミング部から与えられる調整信号に
応じて、刺激信号の電流、波形、周波数、幅のうち１つ以上のものが変わるもの
が好ましい。さらに好ましいのは、刺激装置にプログラミング信号を送るために
、プログラミング部に送受信機がついているものである。プログラミング部が医
師向けの制御装置であれば好都合である。

【００３１】本発明の第３の着眼点により、尿の失禁の治療用に括約筋刺激装置の移植方法
が提供される。この方法は、神経の分布した平滑筋による括約筋を尿道周辺に配
置するステップを含み、前記括約筋の神経構造に対する刺激が可能な電極を１つ
以上配置するものである。前記電極は、括約筋刺激装置に接続されている。移植
後に、あらかじめ定められた刺激信号が、刺激発生装置によって、括約筋の収縮
か弛緩かのどちらかで出されるようにするためである。

【００３２】この方法では、無線信号、マイクロウェーブ、光または磁気エネルギーによっ
て括約筋刺激装置に信号を送るステップを含むことが好ましい。エピミサル（epimysal）、カフ（cuff）または３極形で３つの電極を括約筋に配
置することが好ましい。括約筋は、前出のものの中から選ばれた平滑筋であることが好ましい。

【００３３】本発明の第４の着眼点によると、神経の分布した平滑筋による括約筋を尿道の
周囲に配置し、括約筋のあらかじめ定められた位置に複数の電極を設置するとともに、移植さ
れた括約筋刺激装置に電極を電気的に接続し、離れた場所から発信される信号に応じて、前記括約筋刺激装置を選択的に駆動
し、括約筋を収縮または弛緩させる、あらかじめ定められた刺激信号の出力を行
わせる、各ステップを含む尿失禁の治療方法が提供される。

【００３４】本発明の他の着眼点によると、尿の失禁を治療するシステムにおいて、人の尿道付近に、神経の分布した平滑筋による括約筋を移植し、前記括約筋のあらかじめ決められた位置に電極を移植し、前記括約筋刺激装置からの刺激信号が前記平滑筋の神経構造を刺激することが
できるように、前記電極を前記括約筋刺激装置の制御部に電気的に接続して、前
記括約筋刺激装置を移植する、各ステップを含む、括約筋刺激装置を外科的に移植する方法が提供される。

【００３５】この文脈での移植には、同一人または別人からの、あるいは外部で用意された
平滑筋組織の移植がある。どの場合にも、移植される括約筋は、収縮時に尿漏れ
を実質的に防ぐよう機能することが望まれる。一般的には、神経の分布した筋肉
による人工器官の主な機能は、体内の括約筋の機能を増大させることにある。人
工器官は、保護される自然の括約筋のいかなる機能をも超えるものであってはな
らない。人工器官によって影響される括約筋の圧力は、その自然な動作レベルで
の括約筋の本来的な抵抗力を回復させるのに十分でなければならない。不必要に
強度の圧力は、体内の刺激装置の無駄づかいであるばかりではなく、膀胱に危険
な充満過剰をもたらすことがある。他方で、この圧力は尿漏れを防ぐのに十分な
強さでなければならない。

【００３６】平滑筋の組織は、前出のものから選ばれるか、あるいは他の適当な平滑筋組織
によってもよい。別の種類の平滑筋が潜在的に利用可能であることは、先端技術
を持った者にとって歓迎すべきことであろう。移植可能な平滑筋には、αアドレ
ナリンによる興奮の起こる神経線維、アセルコチン興奮作動性のもの、回腸の筋
肉インターアリア（inter alia）がある。

【００３７】平滑筋を使用する長所の一つは、これが生理学的に、あたかも括約筋であるか
のように機能するということである。そして、この筋肉の層は、神経分布を保持
するか神経線維の再成長が可能なもので、血行が保持され、移植可能でなければ
ならない。さらに、上述の諸タイプの平滑筋は、万一手術時に現存する神経分布
が損なわれた場合には、交感神経によってすぐに神経の再分布ができる。神経の
再分布には、たとえば手術後の１〜２週間ほどの時間を要する。

【００３８】平滑筋による括約筋の利用に関連し、本発明に従った別の長所は、１回の神経
刺激の結果としての長時間の収縮（２〜３秒）である。このことから、とりわけ
この収縮が神経伝達物質の放出によって調整される場合に強縮性の収縮を得るの
にも、刺激の頻度は少なくて済む。

【００３９】平滑筋の横断面で生じる緊張は、単位当たりで、骨格筋の場合よりも大きい。
平滑筋は、緊張の長さと広範に関連して、緊張を生じさせる。すなわち、部分的
収縮の場合でさえ、緊張の発生を継続することができる。平滑筋は、比較的小さ
なエネルギー消費で強度の緊張を持続できる。平滑筋組織は、神経刺激の反復頻
度が小さい場合に、持続的な緊張の発生を示すのが一般である。

【００４０】本発明に従った、平滑筋の利用に関する別な長所は、神経の刺激頻度が低い場
合に、化学的な伝達物質が出されることである。平滑筋の内部で神経を刺激する
ことは、いつも収縮を引き起こす。なぜなら、神経伝達物質は、受容器官と相互
作用をもっているからである。活性化された伝達物質と受容器官は相まって、そ
の後、第２のメッセンジャー酵素触媒反応を活性化させる。そして、体内の貯蔵
庫からカルシウムイオンを放出する。この事は、骨格筋、平滑筋、心臓筋におい
て、収縮への最後の誘引物質がカルシウムであることに関連がある。体内の貯蔵
庫からカルシウムが放出される時、ある長さの時間、典型的には５〜６秒間ぐら
い放出が続く。それゆえ、興奮酵素触媒反応が、低い頻度で繰り返されれば、カ
ルシウムの持続的発生が生じ、平滑筋が収縮するのである。すなわち、刺激と刺
激の間で、平滑筋が弛緩しないことになる。たとえば、ある平滑筋の場合には、
２秒ごとの数回の刺激が、持続的な収縮をもたらす。

【００４１】平滑筋を興奮させる別の方法は、平滑筋を直接刺激することである。これは、
かなり長時間の収縮を可能にするが、刺激のための電圧を非常に上げなければな
らない。神経は、筋肉と比べて作動反応発生の閾が低い。このことは、必要な作
動頻度が低いことと相まって、刺激の拡散を防止する。大切なことは、このよう
な低レベルの使用で済む場合には、電気器具が何年間も損傷せずに存続するとい
うことである。

【００４２】好ましい実施形態の詳細総体的に図１から図６までを参照すると、括約筋刺激装置１が示されている。
この括約筋刺激装置１は、尿の流れを調整するために、尿道３の周囲に配置され
た、神経の分布した平滑筋である括約筋２に、選択的に電気的刺激を与えるため
の埋め込み可能な装置である。

【００４３】刺激装置１は、受信器５との電気通信を行う信号処理装置４を含む。信号処理
装置４は、離れたところにある制御装置７から発せられ、受信器１５に受信され
た信号に応じて、刺激装置１の第１出力６に予め定められた電気的刺激を供給す
る。これは、尿道３が尿の流れを十分にふさぐように括約筋２を収縮させたり、
または尿が流れるように括約筋２を弛緩させるために、処理装置４が選択的に刺
激信号を供給する、という態様で行われる。

【００４４】図２を特に参照すると、信号処理装置４は、復調器８を含む。この復調器８は
、受信器５の受信信号に応じて、刺激符号器９に変調信号を供給する。刺激符号
器９は、これに応じて、刺激ドライバ１０に信号を供給する。刺激ドライバ１０
は、括約筋刺激装置の出力６に刺激信号を供給するものである。

【００４５】括約筋２が弛緩させられると、信号処理装置４は、予め定められた時間内に受
信器５を通して信号処理装置４により括約筋を収縮させるための予め定められた
信号が受信されない場合に、括約筋２を収縮させるための刺激信号を出力６から
供給する手段を含む。好ましい実施態様では、信号処理装置４は、刺激が止めら
れ、括約筋が弛緩された場合に、信号が受信されなくても、括約筋を収縮させる
ように適合させた刺激を供給するものである。

【００４６】信号は、括約筋刺激装置１に高周波により送信される。受信器５は、高周波受
信器である。刺激装置の筐体がチタン製であり、受信器がその内側にある場合は
、周波数は８〜１０ｋＨｚが好ましい。筐体がシリコンゴムなどで作られている
場合は、８〜１０ＭＨｚが好ましい。

【００４７】本発明の他の実施形態において、信号は６３０ｎｍから１４００ｎｍの帯域を
用いて光学的に括約筋刺激装置１へ送信されてもよい。この形態において、受信
器５は、ＰＭＴ形式のフォトン検波器、フォトダイオードまたは他の適切な検波
器であってもよい。

【００４８】本発明の更に別の実施形態では、信号は括約筋１へマイクロ波により送信され
る。受信器５は、マイクロ波受信器である。このような実施形態においては、マ
イクロ波信号の周波数は、０．９〜２．５ＧＨｚの範囲である。このようにする
代わりに、信号は、括約筋刺激装置１に磁気手段により送信されてもよい。受信
器５は、磁気エネルギー受信器である。この他、適切な通信手段を使用すること
が可能である。

【００４９】図３において最善に示されている通り、制御装置７は、制御信号を発生させる
ための手段によって駆動される高周波通信部を含む。制御装置７は更に、選択的
に通信部１１から制御信号を出力させる作動手段を含む。

【００５０】通信部１１の一部は、括約筋刺激装置により供給され、少なくとも１つの括約
筋刺激装置のパラメータを表示する情報信号を受信するための受信器である。遠
隔計測情報信号は、受信器５内に配置された通信部により制御装置へ送信される
。制御信号又は遠隔計測情報信号を通信するためにマイクロ波が用いられる実施
形態では、制御装置７の通信部１１はマイクロ波放射の送受信のための構成とな
る。制御信号が光学的に送信される実施形態では、通信部１１は、ＰＭＴ又は固
体ディバイスの形式のフォトン検波器及び予め定められた出力の光源を含む。制
御信号と括約筋刺激装置情報信号が磁気エネルギーによって送信される発明の実
施形態においては、伝動装置受信器５は受動的近接カードとして機能し、制御装
置７は能動的近接カードリーダとして機能する。

【００５１】図２は刺激信号のパルス波形を示したものである。波形は。一般に、方形の対
称２相波形である。図示しない、発明の別の実施形態において、括約筋刺激装置
１は、出力６から複数チャネルのパルス出力を提供する。刺激信号は、実質的に
継続的な調子を括約筋にもたらすように選ばれる。

【００５２】出力６から提供される刺激信号は、実質的に一定の３０ｍＡ以下の電流であり
、１５ｍＡ程度であることが好ましい。

【００５３】出力６から括約筋１に提供される刺激パルスの周波数は、０．２５〜２．５Ｈ
ｚの範囲であり、２Ｈｚが好ましい。刺激パルスの幅は、０．０５ｍｓ〜０．２
ｍｓの範囲であり、０．１５ｍｓが好ましい。装置は、安定化電流源であり、こ
のため、刺激電圧は電極間における筋肉組織の抵抗により変化する。一般的に、
その電圧値は０．２〜７Ｖである。ただし、これらのパラメータは変形可能であり、各人に応じて構成すればよい
。

【００５４】好ましい態様において、平滑筋は、膀胱の平滑筋から得られ、循環を損なわな
いような態様で尿道周辺に移植される。あるいは、筋肉は、なくなった粘膜の一
部として、循環が損なわれないように移植されたヴィーナス平滑筋(venous smoo
th)、アノコキジアス平滑筋(anococcygeus smooth muscle)、回腸終端部であっ
てもよい。さらに、別の方法として陰嚢または陰唇からのダートス（dartos）平
滑筋でもよい。他のどの適用可能な筋肉が用いられてもよい。それぞれの場合に
おいて、筋肉細胞の長軸が、括約筋の周囲を実質的に取り囲むように配置される
。

【００５５】筋肉は、一般に長方形の帯の形状をしており、筋肉細胞の長軸は実質的にこの
帯に沿うように縦に配置されている。筋肉は、更に、筋肉細胞の長軸が尿道周辺
を実質的に取り囲むような一般的に円筒形の形態で、尿道周辺全体にしっかりと
配置される。帯は尿道の周りに完全に配置されることが好ましい。

【００５６】筋肉帯は、６ｃｍ×２ｃｍの寸法で、４．５ｃｍ〜７．５ｃｍ×１．２５ｃｍ
〜２．２５ｃｍの範囲で提供されることが好ましい。

【００５７】括約筋刺激装置１の出力６から提供される刺激信号は、括約筋の予め定められ
た位置に埋め込まれた電極と中間に配置された電気リード線１６とを介して括約
筋２へ供給される。図５において最善に示されている通り、リード線１６は、三
極の形状で括約筋２周辺に配置され、リード線１６と電気的に接続する手段を有
する３つの電極を含む。本発明の他の実施形態では、３つの電極がカフ（cuff）
構成あるいはエピミサル（epimysal）構成の３つの電極が括約筋周辺に配置され
る。

【００５８】電極リード線は、普通の体の動きを考慮に入れた上で、いくらかの長さ上の「
ゆるさ」をもたせるために、パルス発生装置と電極の間で延びるようにしてもよ
い。

【００５９】図５と図６において最善に示されているように、電極は三極形状に配置されて
いる。簡易三極電極が一番安価な代替手段であり、比較的簡単に埋め込むことが
できそして移植された平滑筋を刺激するために使用できる。それらの表に出た金
属表面は通常、２アノード間に並べられたカソードにより構成する。

【００６０】エピミサル（epimysial）構成において、電極は筋肉の表面に直接縫合される
。これらの電極は運動神経中枢が非実用的の場合に埋め込まれるが、しかし、常
にそうであるというものではない。

【００６１】カフ（cuff）電極構成は、代わりの実施形態で用いられ、移植された括約筋の
周囲を取り囲む絶縁鞘の中に含まれる。それらは、刺激部分を移植された部分に
局所的に保ちつつ、はめ込まれた神経繊維を最大限に刺激することができる。

【００６２】本発明の図示しない別の実施形態では、括約筋は片方の括約筋刺激装置出力が
括約筋を収縮させる信号を供給する一方、もう片方が括約筋を弛緩又はもっと小
さく収縮させる刺激信号を供給することができるように、第２の出力を含む。本
実施形態において、括約筋刺激装置の第１及び第２それぞれの出力は、括約筋周
囲に三極形状の３つの出力を持つリード線を含む。更に別の実施形態では、第１
と第２のそれぞれの出力が、括約筋周囲に配置されたカフ（cuff）またはエピミ
サル（epimysal）構成の３つの電極を持つリード線を含む。

【００６３】通常の使用においては、刺激を配信するにあたり、３つのうちの２つの電極の
みが使われることが好ましい。第３の電極は１つの電極の機能が停止した場合の
予備である。ただし、本発明において、より複雑な刺激および多くの電極が使用
される場合も考慮される。

【００６４】括約筋刺激装置１は、図２に図示されない取替え可能な電池電源１７を含む。
１つの実施形態において、制御装置７から括約筋刺激装置１へ提供される制御信
号が電池を充電するために誘導的にエネルギーを提供するという形で電池１７は
信号処理装置４と電気通信を行っている。他の実施形態においては、括約筋刺激
装置との間の無線通信の場合、信号は、高周波信号を変調することにより提供さ
れ、信号処理装置はそこから制御信号を抽出し、高周波信号の残りの電力は電池
へ供給される。

【００６５】図４に最善に示されている通り、刺激装置１の高周波送受信機５は、処理部４
の第３の出力と通信可能である。この処理部４の第３の出力は、遠隔探知のため
に、括約筋刺激装置の１つ以上のパラメータを表示する括約筋刺激装置遠隔計測
情報を送信する。この情報は、無線信号により送信されるが、本発明の他の実施
形態においては、括約筋刺激装置情報は、マイクロ波的手段、光学的手段または
磁気エネルギー的手段によって送信される。括約筋刺激装置情報信号は、刺激信
号周波数、電流、幅及び/又は形状、受信信号強度及び電池の状態などのパラメ
ータに関する情報を含む。これは、内科医によって使用される制御装置にとって
有用である。

【００６６】遠隔括約筋刺激装置プログラミング部１３、受信器５により提供される括約筋
刺激装置情報を受信するように構成されている。括約筋刺激装置プログラミング
部は、送受信機１４を含んでおり、これは刺激装置１に調整信号を供給する。刺
激装置１は、それに応じて、選択的に１つ以上の刺激装置１の出力特性を変化さ
せる。調整信号は、括約筋刺激装置遠隔計測情報の受信に応じて送信されること
が好ましい。調整信号は、出力電流、波形、周波数及び/又は幅を選択的に変化
させるための符号を含む。遠隔括約筋刺激装置プログラミング部は内科医用制御
装置に統合されていると好都合である。

【００６７】本発明の好ましい実施形態は、尿道周囲にしっかりと移植された平滑筋の括約
筋を配置し、括約筋の予め定められた部分に複数の電極を配置し、それらを上述
の移植された括約筋刺激装置と電気的に接続する各ステップを含む尿失禁患者の
治療方法を提供する。

【００６８】括約筋刺激装置は続いて、括約筋を収縮させるため又は弛緩させるための予め
定められた刺激信号を供給するための制御信号の受信により選択的に起動される
。方法は、尿道を収縮させるため又は弛緩させるための収縮信号を括約筋刺激装
置１の出力６から供給することを含む。ただし、本発明の他の実施形態において
、尿道周囲の括約筋を収縮させるための刺激信号は、尿道を弛緩させるための刺
激信号が供給される括約筋刺激装置１の出力とは別の出力により供給される。

【００６９】また、失禁を治療するために、上述の括約筋刺激装置を患者に埋め込む方法に
おいて、患者の尿道周囲を取り囲むように平滑筋の括約筋を移植し、移植された
括約筋近辺に括約筋刺激装置を移植し、複数の電極を括約筋の予め定められた位
置へ埋め込み、括約筋刺激装置を平滑筋の括約筋に電気的に接続する各ステップ
を含む外科的埋め込み方法が提供される。

【００７０】別の好ましい実施形態は、単一チャネル電気パルス発生装置を決定する回路手
段と、電源手段と、移植された括約筋を弛緩させるための制御回路と、パルスパ
ラメータ調整のための別の制御回路と、２つ以上の刺激電極と、刺激装置を電極
に接続するリード線とを含む刺激システムを提供する。

【００７１】人工括約筋は、選択された筋肉からとられ、尿道周囲に移植され、神経の分布
した又は再び神経を分布させることができる筋肉組織の覆いを含む。１つの実施
形態において、２〜３ｃｍの長さである血管茎の末端の小腸の一部を分離させ、
残りの腸の端部相互間を再びつなぎ合わせる。この分離された部分は、対腸間膜
の境に沿って開かれ、粘膜は除去される。

【００７２】この分離された部分は膀胱の頚状部へと引き下げられる。そして、環状筋は、
膀胱の頚状部の周りを取り囲んで配置され、切断された対腸間膜の境は膀胱の頚
状部に緊密なかみ合いを作るために縫い合わされる。必要に応じて、緊密なかみ
合いを作るために周囲の長さを減じても良い。新しく作られ血管を通された括約
筋は、膀胱頚状部の表面接続組織に縫い付けられることにより定位置に固定され
る。刺激電極装置は、軸が血管茎からの血管の入り口付近の環状筋と直角になる
ように、移植された腸に縫い合わされる。固定帯は括約筋を貫き、下にある膀胱
頚状部に固定される。

【００７３】代替的な実施形態において、括約筋の増強は、アノコキジアス筋（anococcyge
us muscles）をそれらの脊髄の差し込みから切り取り、開放された筋肉を膀胱頚
状部の周りに引き付けることによりなされる。また、括約筋は、粘膜を除いて血
行を損なうことなく移植された、筋肉静脈の部分、ヴィーナス平滑筋（venous s
mooth muscle）、回腸端末であってもよく、または陰嚢か陰唇のダートス平滑筋
（dartos smooth muscle）から作られてもよい。

【００７４】刺激パルス発生装置は、電気パルスを電極へと運び、これらのパルスは筋肉括
約筋とともに移植された神経又は手術後に再び括約筋に神経をもたらすための神
経内で活動電位へと変換される。

【００７５】すべての回路構成は、密閉され、かつ、生物学的適合性のシリコン素材など、
生物学的に不活性な素材に入れられることが好ましい。金属電極とリード線は、
プラチナイリジウム合金であることが好ましい。接続線は、シリコン被覆により
絶縁され、腹筋と肌の間に埋め込まれた制御部へと導かれるのが好ましい。

【００７６】刺激装置は、連続的刺激により、尿を漏らすことなく膀胱へとどめるのに十分
な連続的な調子を、移植された括約筋内で維持することが求められる。尿を出す
ためには、例えば括約筋への刺激を止めるために体内の装置を止める高周波信号
を使う外部制御部が図３に概略的に示されている。

【００７７】本発明に係る代替的な実施形態では、括約筋刺激装置へ制御信号を通信するた
めの、例えば赤外線形式のマイクロ波又は光学的手段を用い、括約筋刺激装置は
対応する受信機を患者の肌上又は近辺に含む。

【００７８】患者は、移植された括約筋を弛緩させ尿を流させるために、インプラント上の
肌近辺に外部装置をつける（そして起動ボタンを押す）。膀胱が空になった後、
括約筋への圧力を再開するために再びボタンを押す。上述の通り、もしユーザが
括約筋を閉じるためのボタンを押し忘れた場合、定められた時間後に動作を再開
するよう刺激装置はプログラムされてもよい。

【００７９】このシステムの利点は２通りである。まず、患者は膀胱を空にしている間中ず
っと外部制御部を肌に対してつける必要がない。単に処理を開始し、もし望めば
装置をはずせばいいのである。第２の利点は刺激装置の回路が外部で調整できる
点である。

【００８０】信号が磁気により通信される実施形態においては、埋め込まれた制御回路の位
置上の肌に直接、永久磁石が置かれる。回路は磁界の存在を探知するよう設計さ
れ、状況に応じて刺激を止める。故に、患者は膀胱を空にするために、それに必
要な間だけ単に磁石をインプラント上に置くのである。小永久磁石は持ち運びに
便利な上、電池の必要がない。このシステムの１つの不利な点は、磁気探知機を
埋め込まれた装置に加える必要があり、故に内部電池からのより多くの電力を要
する。

【００８１】手術後と維持された括約筋抵抗能力の高齢化による変化によって、刺激装置の
必要事項が変化することが予見できる。ハードウェア調整のための手術による埋
め込み装置の利用はもちろん好ましくない。故に、外部無線接続の括約筋刺激装
置プログラミング部１３による刺激パラメータ調整が、システムの好ましい機能
である。

【００８２】上述のシステムに対する様々な変形及び変更は本発明の範囲および精神から離
れることなく行われることが好ましい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による失禁治療のシステムの略図である。

【図２】図１の埋め込まれた括約筋刺激装置を概略的に示したものである
。

【図３】図１のシステムの外部及び移植された部分を概略的に示したもの
である。

【図４】括約筋刺激プログラミング部及び図１の括約筋刺激装置のシステ
ムを概略的に示したものである。

【図５】図１の電極の好ましい構造を示す別の略図である。

【図６】図５の電極構造の拡大図である。

【手続補正書】

【提出日】平成１４年３月７日（２００２．３．７）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＢＺ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ (72)発明者オコーネル，ヘレン，エリザベスオーストラリア，ヴィクトリア 3052，パークヴィル，ロイヤルパレード 61 (72)発明者フルスト，ジョージ，デイヴィッド，スカークリフオーストラリア，ヴィクトリア 3141，サウスヤラ，キャロラインストリート 86 Ｆターム(参考） 4C097 AA30 BB01 CC18

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】尿道を通り抜ける尿の流れをコントロールするため、尿道に
外科手術によって移植され、神経分布のある平滑筋である括約筋に対して電気的
刺激を有効に提供するよう設計された移植括約筋刺激装置であって、受信機と電気的に通信を行う刺激発生部を備え、該刺激発生部は、前記括約筋を収縮させるよう調整された第１の所定の電気刺激信号と、前記括
約筋を弛緩させるよう調整された第２の所定の電気刺激信号とを有効に提供する
ように設計されており、前記受信機によって遠隔制御装置から受信された制御信号に応じて前記電気信
号の１つが選ばれる刺激発生装置。
【請求項２】請求項１または２に記載の括約筋刺激装置であって、前記刺
激信号が前記括約筋に持続的な緊張状態を与えるものである装置。
【請求項３】請求項１または２に記載の括約筋刺激装置であって、前記刺
激信号がパルス状である装置。
【請求項４】請求項３に記載の括約筋刺激装置であって、前記刺激信号が
方形の２相対称波形である装置。
【請求項５】請求項３または４に記載の括約筋刺激装置であって、前記刺
激信号の電流が３０ｍＡ以下である装置。
【請求項６】請求項３〜５のいずれか１の請求項に記載の括約筋刺激装置
であって、刺激パルスの周波数が、０．２５Ｈｚから２．５Ｈｚの範囲内である
装置。
【請求項７】請求項３〜６のいずれか１の請求項に記載の括約筋刺激装置
であって、刺激パルスの幅が、０．０５〜０．２０ｍｓの範囲にある装置。
【請求項８】請求項１〜７のいずれか１の請求項に記載の括約筋刺激装置
であって、前記刺激信号が、高周波、マイクロウェーブ、光または磁気によって
送信される装置。
【請求項９】請求項１〜８のいずれか１の請求項に記載の括約筋刺激装置
であって、前記刺激発生部は、前記受信機の受信信号に応じて刺激エンコーダに
変調信号を出力する復調器を備え、該刺激エンコーダは刺激ドライバに信号を出
し、該刺激ドライバが刺激装置の出力のうちの選ばれたものを介して前記刺激信
号を出力する装置。
【請求項１０】請求項１〜９のいずれか１の請求項に記載された括約筋刺
激装置であって、括約筋の弛緩後、あらかじめ定められた括約筋収縮信号があら
かじめ定められた期間内に受信機によって受信されない場合に、括約筋を収縮さ
せる方の出力を選択して第１の刺激信号を供給する手段を有する装置。
【請求項１１】請求項１〜１０のいずれか１の請求項に記載の括約筋刺激
装置であって、リモート検知のために、刺激装置のパラメータを１つ以上を示す
括約筋刺激装置テレメータ情報を送信する通信部を備える装置。
【請求項１２】請求項１１に記載の括約筋刺激装置であって、前記括約筋
刺激装置テレメータ情報が、前記制御信号と同一の通信手段により送信される装
置。
【請求項１３】請求項１１または１２に記載された括約筋刺激装置であっ
て、前記パラメータが、刺激信号周波数、電流、幅や形状、受信信号の強度、電
池の状態のうち１つ以上を含む装置。
【請求項１４】請求項１１〜１３のいずれか１の請求項に記載の括約筋刺
激装置であって、前記受信部は、遠隔的に括約筋刺激装置に調整信号を受信する
よう設計され、信号処理部が、調整信号に応じて、前記括約筋刺激装置の出力特
性を１つ以上選択的に変更する装置。
【請求項１５】請求項１４に記載の括約筋刺激装置であって、前記括約筋
刺激装置テレメータ受信情報に応じて前記調整信号が送信される装置。
【請求項１６】請求項１〜１５のいずれか１の請求項に記載の括約筋刺激
装置であって、前記刺激発生部は、各々１つ以上の電極を有する１本以上のリー
ド線によって、前記括約筋に有効に接続されている装置。
【請求項１７】請求項１６に記載の括約筋刺激装置であって、前記リード
線が前記括約筋にエピミサル（epimysal）形に配置された３個の電極を含む装置
。
【請求項１８】請求項１６に記載の括約筋刺激装置であって、前記リード
線が前記括約筋にカフ（cuff）形に配置された３個の電極を含む装置。
【請求項１９】請求項１６に記載された括約筋刺激装置であって、前記リ
ード線が前記括約筋に３極形に配置された３個の電極を含む装置。
【請求項２０】人の失禁の治療に使われるシステムであって、括約筋の特徴を示すよう構成され、その人の尿道を取り囲むように移植される
神経分布のある筋肉組織片と、前記括約筋に電気刺激を与えることができるよう構成され、移植された括約筋
刺激装置と、括約筋を収縮させるか、あるいは括約筋を弛緩させるそれぞれ予め定められた
電気刺激信号の発生を選択的にトリガするための前記括約筋刺激装置との通信を
行う、移植されない制御装置とを備えるシステム。
【請求項２１】請求項２０に記載のシステムであって、前記筋肉組織片が
帯状であるシステム。
【請求項２２】請求項２１に記載のシステムであって、前記帯が一般的に
長方形であるシステム。
【請求項２３】請求項２２に記載されたシステムであって、前記筋肉組織
片が、前記尿道を完全に取り囲み、実質的に円筒状をなすように配置されたシス
テム。
【請求項２４】請求項２３に記載されたシステムであって、前記筋肉の細
胞の長軸が、実質的に取り囲むように配置されるシステム。
【請求項２５】請求項２０に記載されたシステムであって、粘膜を除いた
、血行が無傷のままの断片を回腸末端から取って、尿道周辺に移植したシステム
。
【請求項２６】請求項２４に記載されたシステムであって、筋肉がヴィー
ナス（venous）平滑筋であるシステム。
【請求項２７】請求項２４に記載されたシステムであって、筋肉がアノコ
キジアス（anococcygeus）平滑筋であるシステム。
【請求項２８】請求項２４に記載されたシステムであって、筋肉が膀胱か
ら取られる平滑筋であるシステム。
【請求項２９】請求項２４に記載されたシステムであって、筋肉が陰嚢ま
たは陰唇が取られるダートス（dartos）筋であるシステム。
【請求項３０】請求項２１〜２８のいずれか１の請求項に記載のシステム
であって、前記帯の寸法が４．５〜７．５ｃｍ×１．２５〜２．２５ｃｍである
システム。
【請求項３１】請求項２９に記載されたシステムであって、前記筋肉の帯
の寸法が、６ｃｍ×１．５〜２ｃｍであるシステム。
【請求項３２】請求項２０〜３０のいずれか１の請求項に記載のシステム
であって、請求項１〜１９のいずれか１の請求項に従った括約筋刺激装置を備え
るシステム。
【請求項３３】請求項３１に記載のシステムであって、前記制御装置が、通信部と、あらかじめ定められた制御信号を通信部に生じさせる手段と、電源と、制御信号を選択的に出力し、信号の受信に応じて、前記括約筋を収縮させるか
弛緩させるための刺激信号を前記括約筋刺激装置に出力させる作動手段とを備えるシステム。
【請求項３４】請求項３２に記載のシステムであって、前記制御装置が、
前記括約筋刺激装置から刺激装置テレメータ信号を受信する受信機を有するシス
テム。
【請求項３５】請求項３２または３に記載のシステムであって、前記制御
信号が電波、マイクロウェーブ、光または磁気によって送信されるシステム。
【請求項３６】請求項２０〜３４のいずれか１の請求項に記載のシステム
であって、前記括約筋刺激装置が、制御信号に応じて、あらかじめ定められたア
ウトプットを出すことができるよう、括約筋刺激装置に対する選択的なプログラ
ミングを行う遠隔プログラミング部を備えるシステム。
【請求項３７】請求項３５に記載のシステムであって、前記プログラミン
グ部から供給される調整信号に応じて、前記刺激信号の電流、波形、周波数、幅
のうち１つ以上のものが可変であるシステム。
【請求項３８】請求項３５に記載のシステムであって、前記プログラミン
グ部が、前記刺激発生部にプログラミング信号を出力する送受信機を有するシス
テム。
【請求項３９】請求項３７に記載のシステムであって、前記プログラミン
グ部が前記制御装置であるシステム。
【請求項４０】尿の失禁を治療するために、移植可能な括約筋刺激装置を
使用する方法であって、尿道に平滑筋を用いた括約筋を配置し、電極につながった刺激装置を移植し、前記括約筋の神経構造を刺激するよう前記電極を設置し、外部に設置された制御装置から提供される制御信号に応じて、前記括約筋刺激
装置の出力から刺激信号を提供し、前記括約筋を収縮または弛緩させる、各ステップを備える方法。
【請求項４１】請求項３９に記載の方法であって、前記刺激信号が一般に
は方形かつ対称２相である方法。
【請求項４２】請求項３９または４０に記載の方法であって、前記刺激信
号の電流が３０ｍＡより小さい方法。
【請求項４３】請求項３９〜４１のいずれ１の請求項に記載の方法であっ
て、０．２５〜２．０Ｈｚの周波数帯でパルスが出される方法。
【請求項４４】請求項６５に記載の方法であって、パルスの幅が０．０５
〜０．２０ｍｓである方法。
【請求項４５】請求項３９〜４３のいずれか１の請求項に記載の方法であ
って、マイクロウェーブ、電波、光学的信号、磁気エネルギーのいずれか１つに
よって前記制御信号を前記括約筋刺激装置に送信するステップを備える方法。
【請求項４６】請求項３９〜４３のいずれか１の請求項に記載の方法であ
って、３つの電極が括約筋にエピミサル（epimysal）形で接合される方法。
【請求項４７】請求項３９〜４３のいずれか１の請求項に記載の方法であ
って、３つの電極が括約筋にカフ（cuff）形で接合される方法。
【請求項４８】請求項３９〜４３のいずれか１の請求項に記載の方法であ
って、３つの電極が括約筋に３極形で接合される方法。
【請求項４９】尿の失禁の治療方法であって、尿道の周辺へ神経分布のある平滑筋移植を括約筋として配置し、請求項１〜１９のいずれか１の請求項における移植された括約筋刺激装置に複
数の電極を電気的に接続するとともに、これらの複数の電極を括約筋のあらかじ
め定められた位置に設置し、離れた所から発信された制御信号に応じて、前記括約筋刺激装置を選択的に駆
動して所定の刺激信号を出力させ、尿道を収縮または弛緩させる、各ステップを備える方法。
【請求項５０】請求項１〜１９のいずれか１の請求項に記載された尿失禁
を治療するための括約筋刺激装置システムの外科的移植方法であって、括約筋となる平滑筋を人の尿道へ移植し、括約筋の基部に刺激装置を移植し、括約筋のあらかじめ定められた位置へ電極を移植するとともに刺激装置に電気
的に接続する、各ステップを備える方法。