JP2003502304A - ターンライブラリをファージ上に表示するための構造化ペプチド骨格 - Google Patents

ターンライブラリをファージ上に表示するための構造化ペプチド骨格

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、重要な生物学的プロセスに関与しているペプチド又はタンパク質の構造−活性分析のためのモデルシステムに関する。本発明によって提供されているのは、エネルギー安定化コンホメーションにとって好ましい配列をともなうジスルフィド制約型環状ペプチドを含んでなるコンビナトリアルライブラリである。本発明の好ましい実施態様は、溶液中で構造化β−ヘアピン骨格を形成するβ−ターンテトラペプチドを含むペプチドに関する。このようなペプチドを選択し利用する方法は、ここにおいて提供され、それらは、インビボでの分子相互作用を模倣すること、及び治療的薬剤を設計することにとって有用である。従って、本発明は、生物学的研究及び薬剤開発のための意味深い有用性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、一般的に、タンパク質構造活性相関の研究、特にコンホメーション
制約型ペプチドのコンビナトリアルライブラリ及び生物学的及び製薬的利用のた
めのそのようなライブラリの作製とスクリーニングの方法に関してである。 (発明の分野)
【0002】 (発明の背景) 構造活性相関(SAR)の研究は、タンパク質又はペプチドと他の生物学的に
活性な分子との間の分子間相互作用の理解のために価値ある知見を提供する。天
然の環境下では、ペプチド又はタンパク質は、結合パートナーを認識して結合し
、それと分子複合体を形成するために、独特でコンホメーション的に制約型構造
をとり、特定の活性を誘導する。タンパク質−タンパク質結合パートナーの例は
、酵素−基質、リガンド−レセプター、及び抗原−抗体を含む。従って、天然型
ペプチドのコンホメーションの決定は、ペプチドのインビボ活性を限りなく模倣
すること、及び薬剤として有用であろうペプチド類似体を合理的に設計するため
に極めて重要である。 殆どの小ペプチドは、かなり柔軟で、典型的には、特有の溶液コンホメーショ
ンをとらず、特に、それらは、同じ配列が天然タンパク質においてとる構造を維
持しない。固定した構造の欠如は、ペプチドが標的(エントロピーの理由から)
に対して有するであろう親和性を減じ、分子の活性コンホメーションの決定を極
めて困難にする。この理由から、多くの戦略は、ペプチドへ制約を導入すること
(例えば、D−アミノ酸,ジスルフィド又は他の架橋)、又はペプチドの一部を
更に強固な非ペプチド骨格と置き換えることを記載している。実際、そのような
ペプチド模倣物は、特定のコンホメーションへ適応し、生物学的活性にとって重
要なペプチド中の特定のアミノ酸又は官能基に関する情報を提供する体系的な構
造−活性研究を行うために利用される。
【0003】 対象となるタンパク質をコンホメーション制約型ドメインとして表すことが可
能な幾つかの制約型タンパク質骨格が同定されていて、それらはミニボデイー構
造(minibody structure)(Bianchiら, (1994)J.Mol.Biol. 236:649-659)、β
−シートターンのループ、コイルドコイル基部構造(Myszka&Chaiken(1994) Bio
chem 33:2363-2372)、Znフィンガードメイン、システイン架橋(ジスルフィド
)構造、トランスグルタミナーゼ架橋構造、環状ペプチド、らせん状バレル又は
束状構造、ロイシンジッパーモチーフ(Martinら,(1994)EMBO J. 13:5303-5309
)、及びその他である。同定されたタンパク質骨格の中では、β−ターンが、多
くの生物学的活性ペプチドの分子認識にとって重要な部位であるとみなされてい
る。Smith & Pease(1980) CRC Crit Rev Biochem 8:315-300。すなわち、コンホ
メーション制約型β−ターンを含むペプチドは特に望ましい。同定されたβ−タ
ーン関連ペプチドの大部分は、天然基質の配列と類似したペプチドの環状化によ
って生成される環状ペプチドである。Milner-White(1989)Trends Pharmacol Sci
. 10:70-74。しかしながら、これら環状ペプチドは、まだ顕著な柔軟性を保持し
うる。このため、多くの研究は、β−ターンを模倣する強固な非ペプチド化合物
を導入することを試みている。そのような非ペプチドβ−ターン模倣物を有する
ペプチドは、薬剤発見のための有用な手掛かりを提供する。Ball & Alewood(199
0) J Mol. Recog. 3:55-64;WO94/03494(Kahn)。
【0004】 薬剤発見における革命的進歩の一つは、コンビナトリアルライブラリの開発で
ある。コンビナトリアルライブラリは、合成的に或いは組み換え法によって作製
することができるペプチドのような、異なった分子の集合である。コンビナトリ
アルペプチドライブラリは、全アミノ酸が無作為にペプチド配列の幾つかの或い
はすべての位置に導入されたペプチドを含む。このようなライブラリは、標的分
子へ効果的に結合するペプチド配列をスクリーニングし、そのような配列を同定
するために、種々の方法で作製され、そして利用された。 ペプチドライブラリを作製するための多くの方法が開発され、記載されてきた
。例えば、ペプチドライブラリのメンバーは、Lamら,(1991) Nature 354:82及び
PCT公開WO92/00091によって記載されているように、ポリスチレン又はポリア
クリルアミド樹脂のような固体支持体上で行われるスプリット合成 (Split synt
hesis)によって作製できる。Geysenら,米国特許第4,833,092号に開示されてい
るその他の方法は、各ライブラリメンバーのペプチドの配置が、そのペプチドの
合成的構造に関する情報を与えるように、秩序だっていて予定づけられた方法で
のペプチドの合成を包含する。 メンバーペプチドが、それらの天然対応物へより近いものを表すように、コン
ビナトリアルペプチドライブラリへ構造的制約を導入することに、かなりの試み
が向けられている。Houstonら, 米国特許第5,824,483号は、α−らせんコンホメ
ーションを特徴とし、その特徴によって互いにコイルドコイル二量体を形成する
ことができるペプチドを含む合成ペプチドライブラリについて記載している。Mc
Brideら(1996) J. Mol. Biol. 259:819-827は、同定されたプロテイナーゼ阻害
剤の抗−トリプシンループ領域を模倣する環状ペプチドの合成ライブラリについ
て記載している。
【0005】 ペプチドライブラリを基礎とする先導的発見の補完的方法は、繊維状バクテリ
オファージでのライブラリの表示である。この方法は、合成によって調製されう
るライブラリよりも大規模の、1010−1012ほどの独特なペプチドメンバ
ーのライブラリの調製を可能にする。大きなライブラリのサイズに加えて、ファ
ージデイスプレイの利点は、ライブラリ構築の容易さ(Kunkel突然変異誘発)、
特異的な識別子(DNA配列)へ結合物(表示されたペプチド)をカップリング
すること、群の中のまれな結合クローンの増幅のための選択プロトコール、及び
生合成の高い忠実度(合成法と比較して)である。更に、迅速で安価な選択プロ
トコールは、対象の標的へ結合するこれらのライブラリメンバーを同定するため
に入手可能である。しかしながら、L−アミノ酸から成る天然ペプチドのみがフ
ァージに表示され、三次構造−活性相関を定義する課題は、非天然発生ペプチド
又は非ペプチド化合物を含む制約型ペプチド模倣物の場合よりもさらに困難であ
る。この課題に対する一つの可能な解決法は、小さな可変性ペプチド断片を示す
ために、折り畳みタンパク質の構造上の制約を利用することである。実際に、幾
つかの小さな、安定なタンパク質は、ペプチドデイスプレイ骨格として示されて
いる。Nygren & Uhlen(1997) Curr. Opin. Struct. Biol. 7: 463-469:Vitaら,
(1998) Biopolymers 47:93-100;Vitaら, (1999)Proc. Natl. Acad. Sci. USA
96:13091-13096:Smithら, (1998) J. Mol. Biol. 277:317-332;Christmannら,
(1999) Protein Engng. 12:797-806。残念ながら、この方法によって得られた
タンパク質リガンドが小分子薬リード化合物へ転換できることは明かではない。
エピトープのタンパク質から小さなペプチド又は非ペプチド小分子への移動は、
非常に挑戦的な課題のままである。Cochran(2000) Chem. Biol. 7:R85-94。 従って、天然ペプチドのコンホメーション優先度を支配している法則に関す
る広範な研究、及び幾つかのペプチドライブラリ系の存在にもかかわらず、天然
ペプチドの構造的安定性に必要な特徴は理解が不十分のままである。特に、構造
における残基置換及び非共有性相互作用の効果に関する体系的又は定量的評価は
殆ど無い。
【0006】 (発明の開示) 本発明は、確定したペプチド骨格の安定性へ貢献する個々の残基を評価するこ
と、及びコンビナトリアルペプチドライブラリに示された一連の置換を評価する
ための新規モデルシステムを提供する。本発明のペプチドは、ペプチド配列内の
二つのシステイン間のジスルフィド結合によって環状化される。種々の確定され
た残基でのアミノ酸置換は、環状ペプチドのコンホメーション及びそれらのエネ
ルギー安定性へ影響する。本発明は、また、ペプチドへ更なる構造的制約を供給
する特異的二次構造である、β−ターンを有する環状ペプチドのスクリーニング
及び分析方法を提供する。β−ターンを有する環状ペプチドの集団を含んでなる
対象ペプチドライブラリは、分子結合アッセイによる生物学的活性候補分子のス
クリーニングに利用できる。また、そのようなスクリーニングのための方法は、
即時発明によって提供されている。本発明の組成物及び方法は、対象ペプチドの
構造−活性相関の分析への活用が可能であり、それによって、治療薬剤の合理的
設計と同様に、特定の生物学的プロセスに関与している分子の相互作用の研究の
ために洞察に満ちた情報を提供する。
【0007】 (発明を実行するためのモデル) I.定義 「β−ターン」という用語は、ペプチド鎖が逆方向に向き、疑似10員環を形
成する4' 及び1' の間の水素結合をしばしば含む、テトラペプチド配列から成
るタンパク質の二次構造に相当する。最も広く受け入れられているβ−ターンの
異なったコンホメーションの分類は、ここにおける参考文献によって明らかに取
り入れられている、Chou及びFasman(1977) J.Mol.Biol. 115:135-175に記載され
ている。例えばI、I' 、II型を含む、種々の型のβ−ターンが明かにされてい
る。本発明の目的としては、「逆向ターン」という用語は、一般的に、β−ター
ン、γ−ターン、β−ヘアピン及びβ−バルジを含む、良く知られたタンパク質
二次構造を包含するために使われる。 「細胞」、「株化細胞」及び「細胞培養」なる表現は相互に交換可能に用いら
れ、これら全ての表記は後代を含む。「形質転換体」あるいは「形質転換細胞」
は、初代対象細胞と何度転換したかに関わらずそれから由来した培養を含む。全
ての後代が、意図的な突然変異あるいは意図せざる突然変異のために、完全に同
一のDNAを有するわけではないことも理解される。最初に形質転換した細胞に
対してスクリーニングされたものと同じ機能あるいは生物的活性を共有する突然
変異後代も含まれる。特に区別して表記されなければならない場合は、文脈から
明瞭に理解されるはずである。
【0008】 「コンピテント細胞」及び「エレクトロポレーションコンピテント細胞」とい
う用語は、コンピテント(適格)な状態で、種々のソースからDNAを取り入れ
ることが可能な細胞を意味する。この状態は、一過性でも永久でもよい。エレク
トロポレーションコンピテント細胞は、エレクトロポレーションの間にDNAを
取り入れることが可能である。 「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合
しているコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適な
コントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボ
ソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグ
ナル及びエンハンサーを利用することが知られている。 「コートタンパク質」という用語は、少なくともウイルス粒子の表面に表れる
タンパク質の一部を意味する。機能的な観点からは、コートタンパク質は、宿主
細胞におけるウイルス構築プロセスの間にウイルス粒子に会合するすべてのタン
パク質である。コートタンパク質は、主要なコートタンパク質であってもよいし
、又は小数のコートタンパク質であってもよい。「主要な」コートタンパク質と
は、10コピーのタンパク質或いはそれ以上のウイルスコートに表れるコートタ
ンパク質である。コートタンパク質は、ビリオン(ウイルス粒子)当たり10、
100又は1000ものコピーとして表れることもある。
【0009】 「エレクトロポレーション」及び「エレクトロポレーションをする」とは、細
胞へ外来物質が取り込まれることが十分に可能な条件の下で、細胞へ電圧をかけ
ることによって細胞へ外来物質(タンパク質、核酸など)を導入するプロセスを
意味する。外来物質は、典型的にはDNAである。 「融合タンパク質」とは、二つの部分が共有結合的に一緒になったポリペプチ
ドで、各部分は異なった特性を有するポリペプチドである。特性とは、インビト
ロ又はインビボにおける活性のような生物学的特性である。また、特性とは、標
的分子へ結合すること、反応の触媒などのような、単純な化学的又は物理的特性
である。二つの部分は、一本のペプチド結合、又は一つ以上のアミノ酸残基を含
むペプチドリンカーを通して直接に結合してもよい。一般的には、二つの部分及
びリンカーは、それぞれのリーデイングフレームにある。 「異種DNA」とは、宿主細胞へ導入されるすべてのDNAである。DNAは
、ゲノムDNA,cDNA、合成DNA,融合又はこれらの組み合わせを含む、
種々のソースから誘導されてもよい。DNAは、同じ細胞又は宿主或いは受容細
胞のような細胞型からのDNA、又は例えば哺乳類或いは植物の異なった細胞か
らのDNAを含んでもよい。あるいは、DNAは、例えば抗生物質耐性遺伝子、
温度耐性遺伝子などの選択遺伝子を含んでもよい。
【0010】 「ライゲーション」とは、二つの核酸断片の間にリン酸ジエステル結合を形成
することである。二つの断片のライゲーションのためには、断片の末端が互いに
適合性がなければならない。幾つかの場合では、末端はエンドヌクレアーゼ消化
の後に直接的に適合性がある。しかしながら、最初に、エンドヌクレアーゼ消化
によって共通に生成される付着末端を、ライゲーションために適合性があるよう
に平滑末端へ変換することが必要である。平滑末端のためには、DNAは、4つ
のデオキシリボヌクレオチド三リン酸の存在下の、約10単位のDNAポリメラ
ーゼI又はT4DNAポリメラーゼのクレノウフラグメントで、適切な緩衝液で
少なくとも15℃で15分間にわたって処理してもよい。次に、DNAは、フェ
ノール−クロロホルム抽出及びエタノール沈殿によって精製してもよい。ともに
ライゲーションされるDNA断片は、約等モル量の溶液に置かれる。また、この
溶液は、一般的に、ATP、ライゲーション緩衝液、及び0.5μgのDNAあ
たり約10単位のT4 DNAリガーゼのようなリガーゼを含む。DNAがベク
ターへライゲーションされるのであれば、ベクターは、最初に、適切な制限エン
ドヌクレアーゼによる消化によって直線化される。直線化された断片は、次に、
ライゲーション段階でのセルフライゲーションを防ぐために、細菌アルカリホス
ファターゼ又はウシ腸ホスファターゼによって処理される。
【0011】 「変異」とは、野生型配列のような基準ヌクレオチドに関連するヌクレオチド
の欠失、挿入、又は置換である。 核酸に関連する「作用可能に結合」とは、核酸が、その他の核酸配列と機能的
関連性で位置づけられていることを意味する。例えば、ポリペプチドの分泌に加
わるするプレタンパク質として発現される場合、シグナルペプチド又は分泌性リ
ーダーのDNAは、ポリペプチドのDNAへ作用可能に結合している:配列の転
写へ影響する場合、プロモーター又はエンハンサーは、コード化配列へ作用可能
に結合している:又は、翻訳を促進するために位置する場合、リボゾーム結合部
位は、コード化配列へ作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合」
とは、結合したDNA配列は隣接し、分泌性リーダーの場合には近接していて、
読みとり段階においては近接している、ことを意味する。しかしながら、エンハ
ンサーは近接している必要がない。結合は、都合の良い制限部位でのライゲーシ
ョンで完成する。そのような部位が存在しない場合は、合成オリゴヌクレオチド
アダプター又はリンカーが、慣行的実務と一致した形で使用される。
【0012】 「ファージデイスプレイ」は、変異体ポリペプチドが、例えば、繊維状ファー
ジ粒子の表面のコートタンパク質上に融合タンパク質として表示される技術のこ
とである。ファージデイスプレイの有用性は、ランダム化されたタンパク質変異
体の大きなライブラリが、標的分子と高い親和性で結合する配列のために、迅速
かつ効果的に識別されることである。ファージ上のペプチドとタンパク質の表示
は、特異的な結合特性を有するものを目的とした数百万のポリペプチドのスクリ
ーニングに利用されている。多価ファージデイスプレイ法は、繊維状ファージの
geneIII又はgneVIIIのどちらかへの融合を通して、小さなランダムペプチド及び
小さなタンパク質を表示することに利用されている。Wells及びLowman(1992) Cu
rr. Opin. Struct. Biol B:355-362及びこれに引用されている参考文献。一価の
ファージデイスプレイでは、タンパク質又はペプチドはgeneIII又はその一部分
へ融合され、野生型geneIIIの存在下で低濃度で発現されるので、ファージ粒子
は1コピーを表示するか融合タンパク質を表示しない。結合活性効果は、多価フ
ァージに比例して低下するので、識別は内在性リガンド親和性に基づき、DNA
操作は単純化されるファージミドベクターが使用される。Lowman及びWells(1991
) Methods: A companion to Methods in Enzymology 3:205-216。ファージデイ
スプレイでは、表示されたポリペプチドを含むファージ粒子の表現型は、ファー
ジ粒子内の遺伝子型、ファージコートタンパク質によって囲まれたDNAに一致
する。
【0013】 「ファージミド」とは、例えばColE1、及びバクテリオファージの属間領域のコ
ピーなど、バクテリアの複製開始点を有するプラスミドベクターである。ファー
ジミドは、繊維状バクテリオファージを含む、すべての既知のバクテリオファー
ジに基づいてもよい。また、ファージは、一般的に、抗生物質耐性の選択マーカ
ーを含む。これらのベクターへクローンされたDNAの断片は、プラスミドとし
て増殖できる。これらのベクターを内に有する細胞へファージ粒子の生産に必要
な遺伝子が提供された場合、プラスミドの複製の方式は、プラスミドDNAの一
本鎖のコピー及びファージ粒子のひとかたまりを生成するように、ローリングサ
イクル複製へ変わる。ファージミドは、感染性又は非感染性のファージ粒子を形
成しうる。この用語は、ファージコートタンパク質、又は異種ポリペプチドがフ
ァージ粒子の表面に表示される遺伝子融合のように、異種ポリペプチド遺伝子へ
結合したファージコートタンパク質の断片を含むファージミドを含む。Sambrook
ら, 4.17。 「ファージベクター」とは、異種遺伝子を含み、複製が可能な二重鎖の複製型
バクテリオファージである。ファージベクターは、ファージ複製及びファージ粒
子形成を可能にするファージ複製開始点を有する。ファージは、好ましくは、M
13、f1、fd、pf3ファージ又はその誘導体のような繊維状バクテリオフ
ァージ、ラムダ、21、phi80、phi81、82、424、434、など
のようなラムドイドファージ、その誘導体、バキュロウイルス又はその誘導体、
T4ファージ又はその誘導体、T7ファージウイルス又はその誘導体である。
【0014】 細胞からのDNAの「調製」とは、宿主細胞の培養からのプラスミドDNAの
単離を意味する。DNAの調製に一般的に利用されている方法は、Sambrookらの
1.25−1.33項に記載されている大及び小規模プラスミド調製法である。
DNAの調製の後、Sambrookらの1.4項に記載されているような当該分野で良
く知られた方法によって精製することができる。 「オリゴヌクレオチド」は、既知の方法によって化学的に合成される短い、
単鎖又は二重鎖ポリデオキシリボヌクレオチドである(例えば、リン酸トリエス
テル、亜リン酸エステル、又はホスホラミダイト化学などの知られた方法によっ
て、1988年5月4日に発行されたEP266,032に記載されたもののような固相技術を
用いて、あるいはFroehlerら,(1986) Nucl. Acids Res. 14: 5399-5407 に記載
されたようなデオキシヌクレオシドH-ホスホネート中間体を介して化学的に合
成される)。更なる方法は、下記に明記されるポリメラーゼ連鎖反応法、及び他
のオートプライマー法、及び固体支持体上でのオリゴヌクレオチド合成を含む。
これらの方法のすべては、Engelsら,(1989)Agnew. Chem. Int. Ed. Engl. 28:21
6-734に記載されている。これらの方法は、遺伝子の全核酸配列が知られている
場合、コード鎖に対して相補的な核酸配列が入手可能な場合に使用が可能である
。あるいは、標的であるアミノ酸配列が知られている場合、各アミノ酸残基の知
られている及び好ましいコード化残基を使用して潜在的な核酸配列を推測するこ
とが可能である。次に、オリゴヌクレオチドは、ポリアクリルアミドゲル上で精
製される。
【0015】 「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」は、ここで用いられる場合、一般に
核酸、RNA及び/又はDNAの特定の切片の少量が1987年7月28日発行の米国
特許第4,683,195号に記載されたように増幅される方法又は技術を意味する。一
般的に、対象とする領域の末端から又は利用可能の必要性を越える配列情報は、
オリゴヌクレオチドプライマーの設計を可能にし;これらのプライマーは増幅さ
れるテンプレートの反対鎖の配列と同一又は類似している。2つのプライマーの
5’末端ヌクレオチドは増幅された物質の末端と一致する。PCR配列は、全ゲ
ノムDNA、及び全細胞性RNA、バクテリオファージ、又はプラスミド配列等
から転写されたcDNAを形成する。一般的に、Mullisら, Cold Spring Harbo
r Symp. Quant Biol. 51: 263 (1987); Erlich, Ed., PCR Technology, (Stockt
on Press, NY, 1989)を参照のこと。ここで用いられるように、PCRは、プラ
イマーとして公知の核酸を、そして核酸の特定の切片を増幅又は生成するために
核酸ポリメラーゼを使用することを含む核酸試験試料の唯一ではない一例である
と考えられる。
【0016】 DNAが非核酸不純物から分離された場合、DNAは「精製」される。不純物
は、極性、非極性、イオン性などである。 制限酵素消化物からの与えられたDNA断片の「回収」又は「単離」とは、電
気泳動によるポリアクリルアミドゲル又はアガロースゲル上での消化物の分離、
分子量が知られているマーカーDNA断片との移動度の比較による対象断片の同
定、所望する断片を含むゲル部分の取り出し、そしてDNAからのゲルの分離を
意味する。この方法は、一般的に知られている。例えば、Lawnら,(1981)Nucleic
Acids Res., 9:6103-6114, 及びGoeddelら,(1980)Nucleic Acids Res., 8:4057
を参照のこと。 「転写制御エレメント」は、以下の構成物を一つ以上含む:エンハンサーエレ
メント。プロモーター、オペレーター配列、レプレッサー遺伝子、及び転写終結
配列。これらの構成物は、当該分野において良く知られている。U.S.5,667,780
。 「形質転換体」とは、DNAを取り入れて維持し、そのDNAに関連した表現
型の発現(例えば、DNAによってコードされたタンパク質によって与えられる
抗生物質耐性)によって証明される細胞である。 「形質転換」又は「形質転換する」とは、細胞がDNAを取り込み、「形質転
換体」になることによるプロセスを意味する。DNAの取り込みは、永久或いは
一過性である。
【0017】 開始ポリペプチドの「変異体」又は「突然変異体」、例えば融合タンパク質又
は異種ポリペプチド(ファージに対して異種)は、1)アミノ酸配列が、開始ポ
リペプチドのそれとは異なるものを有する、及び2)天然又は人工(人為的)突
然変異誘発のどちらかによって開始ポリペプチドから誘導される。このような変
異体は、例えば、対象ポリペプチドのアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は
挿入、及び/又は置換を含む。最終構成物が所望する機能的特徴を有するならば
、欠失、挿入、及び置換のどの組み合わせも、最終変異体又は突然変異体構成物
に到達するように生成されうる。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数
又は位置を変えるように、ポリペプチドの翻訳後プロセスを変えることができる
。ポリペプチドのアミノ酸配列変異体を生成する方法は、U.S.5,534,615に記載
され、参考文献によってここで明らかに取り入れられている。 「ペプチド類似体」という用語は、上記に定義したようなその結合能及び/又
は特異性、特異的分子に関しては、アミノ酸及び類似物から成る分子又はその一
部分に相当する。このようなペプチド類似体は、タンパク質工学技術によって発
見或いは構築され、そのような方法は当該分野に熟練した者に良く知られている
。あるいは、このようなペプチド類似体は反復スクリーニングプロセスで見出す
ことができ、それは、例えば特定分子の天然結合パートナー(特定分子は、必ず
しもタンパク質又はペプチドではない)、又はその一部分が、ここに記載のよう
に(すなわちキメラタンパク質において)、それへ結合する能力に関してペプチ
ド化合物をスクリーニングするために使用される場合である。二番目のスクリー
ニングの段階では、新しく見出されたペプチド化合物(又はその一部分)は、そ
れ自体が、天然結合パートナーの類似体をスクリーニングするために、キメラタ
ンパク質中の特定分子のペプチド類似体として利用される。
【0018】 「エピトープ」という用語は、抗原決定基として、抗体と結合することができ
る抗体又はその一部分を意味する。 「結合パートナー複合体」によってとは、特異的に、検出可能な形式で互いに
結合している二つ以上の分子の会合を意味している:従って、リガンドとレセプ
ター、抗体と抗原、及びキメラタンパク質とそれに結合する化合物の会合である
。 「直接又は間接的に標識化」という用語は、分子が、放射性同位体、染料、又
は蛍光或いは化学発光成分のような検出可能シグナルを発する成分、又はそのも
のは検出されないが、ある付加的な反応を通して化合物の存在を示すことが可能
な、ビオチン、酵素基質、エピトープ、又はヌクレオチド配列のような付着酵素
、リガンドのような成分を含みうることに相当する。
【0019】 「リガンド」によってとは、分子又はその他の与えられた分子又は分子複合体
と特異的に結合することができる多量体分子複合体を意味する。必ずそうではな
いが、、例えば、アンカードメインが細胞膜へ埋め込まれているように標的が固
定化されているほとんどの場合、リガンドは可溶性である。 「レセプター」という用語は、少なくとも分子の一部分、又はアンカードメイ
ンが細胞膜に埋め込まれていて、与えられた分子又は分子複合体へ結合すること
ができる多量体分子複合体に相当する。例えば二量体のように、レセプター又は
リガンドのどちらか、或いは両方がホモ或いはヘテロ多量体型である場合、多く
のレセプターは、特に高い親和性をリガンドに対して有する。 「固体支持体」という用語は、限定を受けずに、細胞又はバクテリオファージ
粒子のような天然の生物学的なもの、又は、限定を受けずに、アクリルアミド誘
導体、セルロース、ナイロン、シリカなどの合成的なもののどちらか、及び磁気
化粒子の、可溶性分子が結合或いは連結しうる不溶性マトリックスに相当する。 「天然発生」によってとは、通常は自然に見出せるものを意味する。一般的に
は、化学物質が自然に発生しうるが、特に天然のソースより生成又は誘導される
必要はない。 「非天然発生」によってとは、まれに又は殆ど自然に見出すことがないことを
意味し、そして/又は有機合成法を利用して生成される。 「修飾された」とは、非天然発生、又は天然発生化合物から逸脱する方法で改
良した、を意味する。
【0020】 II.概略 本発明は、コンホメーション制約型ペプチド、及び生物活性分子の構造−活性
分析及び薬剤リード化合物の発見のために有用なペプチドライブラリに関する。
本発明のペプチドは、互いにジスルフィド結合を形成することができる、二つの
システイン残基を含む。従って、ペプチドは、溶液中でβ−ヘアピン骨格の形成
を促進する環状形をとる。多くのペプチドの構造を制約するのには十分ではない
ものの、ジスルフィド環状化は有益である。ヘアピン構造の形成へかなり傾くた
めに更に選択される。更には、例えばβ−ターンのような、生物学的プロセスに
おいて重要性が証明されている同定済みの二次構造を有する種々の生物活性ペプ
チドを模倣するための相対的な多様性を提供するために、本発明のペプチドの残
基の小数の一組は変えられる。 一側面では、本発明は、構造制約型環状ペプチドの集合を含んでなるペプチド
ライブラリを包含する。ライブラリの各ペプチドメンバーは、アミノ酸配列C1
−A1−A2−(A3)−A4−A5−C2[配列番号:1]であって、 A1,A2,A3,A4及びA5は、天然発生L−アミノ酸: システインC1のカルボキシ末端は、選択的にカルボキシ保護基によって保護
され; システインC2のアミノ末端は、選択的にアミノ保護基によって保護され; A1及びA5は、アミノ酸W,Y,F,H,I,V及びTから成る群から選択
される; A2及びA4は、アミノ酸W,Y,F,L,M,I,及びVから成る
群から選択される; A3は、すべての天然発生L−アミノ酸、及びnは3,4,5,6,7,8,
9,10,11及び12から成る群から選択される整数;そして C1及びC2はジスルフィド結合で結合し、それによって環状ペプチドを形成
する。
【0021】 一つの好ましい実施態様では、本発明のペプチドは、位置A1又はA5或いは
両方のアミノ酸残基のβ−炭素に二つの非水素置換を有するβ−分岐鎖残基を有
する。さらに好ましくは、A1又はA5はスレオニンである。なお更に好ましく
は、A1及びA5の両方がスレオニン残基である。 その他の好ましい実施態様によると、ペプチドは、位置A1又はA5又はその
両方に芳香族残基W,Y,F又はHを有する。さらに好ましくは、A1又はA5
はWである。本発明の更なる好ましいペプチドは、A1、A5又は両方に分枝脂
肪族残基I,V又はTを有する。 その他の好ましい実施態様では、本発明のペプチドは、位置A2又はA4或い
は両方に芳香族残基W,Y,又はFを有する。さらに好ましくは、A2又はA4
はWである:そしてなおさらに好ましくは、A2及びA4はWである。その他の
好ましい実施態様は、位置A2又はA4或いは両方に非分枝脂肪族残基L又はM
を含む:より好ましくは、A2又はA4はロイシンである。さらに、他の好まし
いペプチドは、位置A2又はA4或いは両方に分枝脂肪族残基I又はVを有する
【0022】 本発明のペプチドでは、A3残基のnの数は、3,4,5,6,7,8,9,
10,11,又は12、及び好ましくは4,5,6,7,8,9又は10、そし
てより好ましくは4,5,又は6をとることが可能である。一実施態様では、n
は4であり、生じるペプチドは十量体である。これらの十量体では、残基部位A
1,A2,A4及びA5は、それぞれ上記に記したアミノ酸残基の選択群からの
ものであるが、中央の(A3) は、種々のアミノ酸であるテトラペプチド配
列である。本発明の一側面では、(A3) テトラペプチド配列は、限定され
るものではないが、EGNK、ENGK、QGSF、VWQL及びGPLTを含
むβ−ターン構造を形成するものから選択される。 一側面では、即時発明のライブラリは、少なくとも約10メンバーペプチド
を含み、それぞれは少なくとも他に比べて一つのアミノ酸変化を有する。好まし
くは、ライブラリは、少なくとも約10ペプチド、より好ましくは約1010 ペプチド、そしてさらにより好ましくは少なくとも約1012ペプチドを含む。
種々の実施態様によると、アミノ酸変異は、ペプチドの確定した位置で生じる。
例えば、 変異は、非水素結合(NHB)鎖部位(例えばA1/A5)又は水素
結合鎖部位(例えばA2/A4)で生じることが可能である:残基及びその交差
ストランド対(例えばA1/A5又はA2/A4)は、同じ又は異なったアミノ
酸を有することができる。変異は中央部位(A3)でも生じ、A3は20の天
然発生L−アミノ酸のどれでも可能である。
【0023】 環状ペプチドのカルボキシ末端及びアミノ末端は、(L)及び(D)型の両方
において、従来のアミドペプチド結合を通して、すべての既知の保護基で保護さ
れるか、又は他のアミノ酸残基(一般的には、天然発生残基)へ結合する。 保
護基及び付加的残基は、従来のペプチド合成技術を利用して加えることが可能で
ある。一般的に、1から約50、好ましくは1から20のアミノ酸残基が、各カ
ルボキシ及びアミノ基末端位置に単独で存在しうる。これらの付加的残基は、対
象となるβ−ターンを含む既知のタンパク質の一部であってもよいし、他の所望
する配列の残基であってもよい。これらの付加的残基は、ペプチド全体の構造に
対するβ−ターンの効果を確定するため、又はβ−ターン環状ペプチドと対象タ
ンパク質の結合に対する付加的残基の効果を確定するために加えてもよい。 あるいは、本発明の環状ペプチドのライブラリは、A1,A2,A4及び/又
はA5の一つ以上が独立に固定され、残基A3が、ペプチドライブラリを作製す
る既知の方法を用いて変化されるように調製することができる。ライブラリを作
製する好ましい方法は、ファージデイスプレイである。さらにその詳細が下記に
おいて論じられているファージデイスプレイのどの既知の方法も、本発明の方法
で用いられてもよい。
【0024】 本発明の一実施態様では、本発明の環状ペプチドは、本発明の環状ペプチドを
含む融合タンパク質が形成されるように、少なくともファージコートタンパク質
の一部分へ融合される。融合タンパク質は、下記に記載しているようなファージ
デスプレイの既知の技術を用いて、融合タンパク質をコードする遺伝子融合を発
現することによって作製できる。融合タンパク質は、一つ以上の環状ペプチドが
粒子の表面に表示されるファージ又はファージミド粒子の一部分を形成しうる。
環状ペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸を含んでなる遺伝子は、本発
明の範囲内にある。 また、本発明は、a)上述のような本発明のコンビナトリアルライブラリを提
供し;b)特定位置A1,A2,A3,A4又はA5の一つのアミノ酸に相違の
ある、少なくとも二つのペプチドをコンビナトリアルライブラリから選択するこ
と;c)ペプチドのコンホメーションを確定すること;d)ペプチドの相対的安
定性を測定し、比較すること;及びe)コンホメーション的に安定なβ−ヘアピ
ン骨格を有するペプチドを選択することの段階を含んでなる、コンホメーション
的に安定したβ−ヘアピン骨格を有するペプチドをスクリーニングする方法を包
含する。ペプチドのコンホメーション及び安定性は、NMR、分子モデリング、
結晶学及び自由エネルギー計算などの当該分野で知られた多くの方法を用いて確
定することができる。例えば、Cavanaghら,(1995) Protein NMR Spectroscopy,
Principles and Practice(Academic Press, San Diego)を参照のこと。ペプチド
のコンホメーション及び安定性を確定する特定の方法は、下記に実施例によって
より詳しく記載されている。本発明のペプチドを含むβ−ターンは、結合活性に
ついては天然生物活性タンパク質を模倣している。
【0025】 β−ターン残基A3の同一性は、既知のタンパク質構造の研究をすること、次
に既知の構造配列を本発明の構造化されたβ−ヘアピン化合物へ置換して取り入
れることによって確定できる。この実施態様では、残基A3は既知のタンパク質
より得られるが、残基A1,A2,A4及びA5は本発明のために記載されてと
おりである。この方法では、本発明の固定化残基は、対象のタンパク質の特定の
ターンを構造化するために利用することができ、既知のタンパク質結合パートナ
ーと結合するため、又は関連するタンパク質−タンパク質相互作用をアンタゴナ
イズするために、タンパク質のターンが十分かどうかを試験することを可能にす
る。 また、本発明は、a)上述のようなコンビナトリアルライブラリを提供し;b
)コンビナトリアルライブラリを結合パートナーと接触させ;c)結合パートナ
ーと非共有複合体を形成することが可能なペプチドをライブラリから選択するこ
と;及びd)任意に前記ペプチドを単離することの段階を含んでなる、特定の結
合パートナーと結合することが可能なペプチドを同定する方法を含む。ペプチド
結合活性及び対象ペプチドを単離するための方法及び技術は、当該分野で知られ
ており、下記により詳しく記載されている。
【0026】 本発明のペプチドの結合パートナーは、ペプチドと結合して選択的にに生物活
性を発揮することができる任意の既知又は未知のペプチド、タンパク質、他の高
分子又は化学物質を含む任意の分子の少なくとも一部分であることができる。レ
セプター、リガンド、抗原、抗体、酵素及び酵素基質と断片、又はその一部分の
ようなタンパク質分子は、「結合パートナー」によって包含される。また、他の
非タンパク質化学化合物、有機又は無機は、ペプチドの結合パートナーとなるこ
とができる。
【0027】 III.β−ヘアピンペプチド 本発明の一実施態様は、溶液中でβ−ヘアピン構造をとる短いペプチドを含む
。β−ヘアピン構造の構成成分は、一対の逆平行β−ストランド、及び好ましく
はβ−ターンを含む。β−ストランドにおける、非水素結合部位のジスルフィド
結合システイン対の好ましい置換が研究され、少なくともタンパク質においては
、それは、統計的に好ましい交差ストランド残基の特定の対(水素結合又は非水
素結合部位のどちらか)とされている。一つの研究は、近接する逆平行ストラン
ドの水素結合部位へ種々の残基対が導入されている、変異タンパク質の実験的安
定性測定を記載している。Smith & Regan(1995) Science 270:980-982。β−ス
トランドの幾何学的性質に適したコンホメーションをとる為の個々のアミノ酸の
内在的優先度を確定するための試みが、β−ストランドの残基内容の分析(Chou
& Fassman(1978) Annu. Rev. Biochem. 47:251-276)、又は種々のアミノ酸を
タンパク質のβ−ストランドへ置換して取り入れ、変異体の相対的安定性を測定
すること(Kim & Berg(1993) Nature 362:267-270;Minor & Kim(1994) Nature
367: 660-663;Minor & Kim(1993) Nature 371:264-267;Smithら, Biochemistr
y(1994) 33:5510-5517)のどちらかによっておこなわれてきた。残基のコンホメ
ーションを指定するための改正統計的方法は、種々の実験的性向の規模との相関
を改善した(Munoz & Serrano(1994) Proteins 20:301-311)。トリプトファン
へ割り当てられる傾向は、すべての報告済みの規模の中で中程度である。
【0028】 最近、幾つかの短く、直線のペプチド(4−16アミノ酸)では、溶液中で、
ヘアピンコンホメーションが部分的に存在していることが示されている。設計さ
れたペプチド及びタンパク質配列から得られたペプチドの両方が、この性質を示
している。一般的に、これらの研究は、統計的に強いターン配列(例えば、i+
1、i+2においてasn−gly)を有するペプチドを含む。しかしながら、
ヘアピンの総数は、水溶液中において40−50%を越えることは殆ど無い。 統計的により共通のターン配列(MQIGVKNPDGTITLEV)を伴う
ことを除いて、ユビキチンタンパク質から誘導された16−merペプチドは、
水中(約80%)では、高頻度で存在するヘアピンを形成しなかったが、ヘアピ
ンは天然タンパク質におけるのと同じようなストランドレジスターを持たなかっ
た(Searleら, (1995)Nat.Struct.Biol. 2:999-1006)。その他のグループは、
ターン領域が幾つかの配列(MQIGVKSXXKTITLKV,XX=pro
−ala又はpro−gly:Haque & Gellman(1997) J. Am. Chem. Soc.119:2
303-2304)で置き換えられた類似のペプチドを研究した。天然ストランドレジス
ターを伴うヘヤピン構造の証拠は、L−アミノ酸配列ではなくD−アミノ酸を含
むターンのために観察された。総数の見積もりは、この研究で与えられていない
【0029】 幾つかのグループは、本来的にはタンパク質tendamistatからの配列に基づく
モデルペプチドを研究してきた。ペプチドYQNPDGSQAは、水中において
小数のヘアピンの存在を示すNMRの証拠を示した(Blancoら, (1993) J. Am.
Chem. Soc. 115: 5887-5888;de Albaら,(1995) Eur. J. Biochem. 233:282-292
;Constantineら, (1995) J. Am. Chem. Soc. 117:10841-10854;Friedrichsら,
J. Am. Chem. Soc. (1995)v 117, pp 10855-10864)。より高く期待されるβ−
性向(IYSNPDGTWT)の鎖残基をともなうこのペプチドの変異体は、異
なるターン配列(IYSNSDGTWT)をともなう二番目のペプチドと比較さ
れた。両ペプチドは、NMRによって、水中において30%ヘアピンであると見
積もられた(de Albe ら,(1996)Fold. Des. 1: 133-144)。このペプチドのさら
なる変異は、ほとんどがターン配列にあり、種々の構造のヘアピン及び混合集団
を産する。一般的に、50%を越すコンフォーマー集団は一つもない(de Albe
ら,(1997) J. Am. Chem. Soc. 119:175-183)。最後の研究では、ペプチドIT
SNSDGTWTの三つのN−末端残基は、種々の配列で置き換えられている。
再び、混合コンフォーマーが頻繁に観察され、与えられたヘアピンコンフォーマ
ーの集団は、一般的に50%より低かった:一つのペプチド(YITNSDGT
WT)は、高頻度のレジスターシフトヘアピンを形成しなかった(80%:de A
lbe ら,(1997) Protein Sci. 6:2584-2560)。これらの研究の著者らは、少なく
ともこれらの短いモデルペプチドにおいて、ターン残基のコンホメーションの指
向は、ヘアピンの安定性の決定において交差ストランド相互作用を支配するもの
と結論付けた。
【0030】 結晶構造におけるヘアピン配列の分析は、異なる一連のβ−ヘアピンの設計を
可能にする。標的構造は、三残基鎖が隣接するI’型ターンであった。Arg−
gly配列が、溶解度をを向上させるために末端に加えられた。ペプチド RG
ITVNGKTYGRは、部分的にヘアピンコンホメーション(約30%)へ折
り畳まれることがNMRによって確定した(Ramirez-Alvaradoら, (1996) Nat.
Strruct. Biol. 3:604-612)。鎖残基の重要性は、ile及びval、lys及
びtyr、又はすべての4つの残基をアラニンへ置き換えることによって示され
た。アラニン置換ペプチドは、どれもヘアピンを形成する傾向を示さなかった。
同じ著者らは、位置i+1のターンが変えられた(asnをasp、ala、gly、又はse
rへ)第二シリーズの実験を報告している。asnをターンに有する最初の配列
よりも構造化されたペプチドはなかった(Ramirez-Alvaradoら,(1997) J.Mol. B
iol. 273:898-912)。この研究を記載した総説は、gly−lys対をモデルペ
プチドの末端に加えることでヘアピンが安定化したことを示しているが、さらな
る詳細については提供していなかった(Ramirez-Alvaradoら,(1999)Bioorg. Med
. Chem. 7:93-103)。
【0031】 もう一つのモデルペプチドシリーズ(RYVEVXGOrnKILQ)は、水
中でのヘアピン形成の証拠を与えている。D−pro又はL−asnである残基
Xは、特徴的なNOEs及びα−Hシフトを与えるが、L−proペプチドはア
ンフォールト゛である。集団推定値は与えられておらず,D−proは,より安定 なヘアピンを与えると思われる(Stanger & Gellman(1998) J. Am. Chem. Soc.
120:4236-4237)。 metレプレッサーDNA結合タンパク質領域に基づくもう一つのモデルペプ
チドシリーズ(KKYTVSINGKKITVSI)は、303Kで50%の集
団推定値で水中でヘアピン構造を形成した。程度はより低い(35%)が、一つ
の鎖の切断は、ターンは鎖の相互作用なしでし集団化していた。ヘアピン形成の
熱力学的パラメーターによる分析は、298KにおいてΔG=0.08kcal/mol
で、フォールデイングはエンタルピー的には指向性は不利であり、エントロピー
的には推進されることを示した(Maynard & Searle(1997) Chem. Commun. 1297-
1298;Griffiths-Jonesら,(1998)Chem.Commun. 789-790;Maynardradら, (1998)
J Am. Chem. Soc. 120:1996-2007)。
【0032】 タンパク質G(GB1)のB1ドメインに由来する最終ヘアピンペプチド(G
EWTYDDATKTFTVTE)は、本発明のペプチドへ関連する幾つかの特
徴を有する.上述のモデルヘアピンとは異なり、GB1は、一つのthr−th
r交差ストランド対を含む、4つのスレオニン残基を鎖内の水素結合部位に有す
る。これは、好ましくない対形成であると一般的には考えられている.更に、小
さな疎水性コアを形成するために相互作用するであろう近接する非水素結合部位
に、trp−val及びtyr−phe対がある。報告されたデータは、GB1
ペプチドが水中で良く集団化したヘアピン(約50%)を形成したことを示す。
データは、天然の鎖対形成と一致する(Blancoら(1994) Nat. Struct. Biol. 1:
584-590)。GB1ペプチドの変性研究は、273Kにおいて80%のヘアピン
の推定値を与え、データの分析(ΔCp=0と仮定して)は、ΔH=−11.6
kcal/mol,ΔS=−39cal/molを与えた:すなわちフォールディングは、エン
タルピー的に推進され、エントロピー的に好ましくない(Munozら, Nature(1998
)v390. pp.196-199)。エンタルピー及びエントロピーの相対的役割は、上述の
metレプレッサーペプチドに比較して逆である。
【0033】 幾つかの指定された三重により合わさったシートが報告されている:それらの
一つは、タンパク質に生じる通常の20のアミノ酸のみを含み,水中で折り畳ま
れる(Kortemmeら,(1998) Science 281:253-256)。設計の一側面は、非分岐鎖
アミノ酸の隣の鎖の二つの非水素結合残基をも変える一方で、trpを非水素結
合位置へ加えることである(類似体によってWWドメインへ)。著者は、trp
の側鎖が隣りの鎖へと密集することを、分岐鎖残基が妨げると述べている。変性
データの熱力学的分析は、278Kにおいて−0.6kcal/molのフォールデイン
グ自由エネルギーを与える(フォールデイング集団の推定値=80−90%)。 タンパク質ヘアピンを模倣することを意図した、又はデノボ設計ヘアピンとし
てのジスルフィド制約型ペプチドについての多くの実施例が報告されている。多
くのケースでは、ジスルフィド結合幾何学がヘアピンの交差ストランド幾何学と
適合しないと当初に考えられていたように、設計は一つ又は両末端でD−システ
インを含む。しかしながら、L−cysを利用する幾つかの実施例がある。 ジスルフィド環状ペプチドの殆どの研究において、構造の証拠を欠いている。
ここで列挙された実施例は、実験的に確定されてきたものか、生物学的アッセイ
において正常でないアミノ酸を使用せずに、より大きなヘアピン含有タンパク質
に近い効力を有しているものである。
【0034】 ヘキサペプチド(Boc−CL−Aib−AVC−NMe)の構造は、結晶学
的に決定され、II'型ターン及びβ−シート幾何学が明らかにした(Karleら, J.
Am. Chem. Soc. (1998)v110, pp1958-1963)。同じシステイン間隔を有するオ
クタペプチド(ACSPGHCE)はNMRで研究がなされ、pro−glyの
中心にあるターンと類似の構造を有している(Walseら, (1996) J. Comput.-Aid
ed Mol Des. 10:11-22)。Ac−CXPGXC−NHMe形のペプチドは、1kc
al/molと同程度のペプチド間のターン指向性を示す、ジスルフィド交換平衡の測
定によって評価された(Milburnら(1987) J. Am. Chem. Soc. 109:4486-4496)
。 M13の遺伝子5タンパク質(gene 5 protein)に基づいた11残基環状ペプ
チド(CGVSRQGKPYC)は、水溶液中で安定的に構造化されることがN
MR分析によって実証された。環状ペプチドは、対応するタンパク質ループへか
なり類似構造をとる。著者は、明確なβ−ヘアピン構造は、これまではどの非保
護ジスルフィド制約型環状においても報告されていなかったと主張する(Rietma
nら,(1996) Eur. J. Biochem. 238:706-713)。このペプチドは、システインへ
最も近接する非水素結合部位においてval−pro対を有する。 X線構造に基づくカブトガニ抗-リポ多糖因子(LALF)のループに一致す
るペプチドの環状化は、強力なリピッドAバインダーを産する。これらペプチド
の構造に関する証拠は無い。幾つかのペプチドは、システインへ最も近接する非
水素結合部位に芳香族−芳香族対を有する:しかしながら、最も強力なもの(G
CKPTFRRLKWKYKCG)は、pro−tyr対を有する(Riedら, (1
996)J. Biol. Chem. 271:2820-28127)。
【0035】 ウサギデフェンシンのヘアピン領域のジスルフィド環状化ペプチドは、その線
状類似体を上回る抗菌活性(約5から10倍)を有する。円偏光二色性分光法は
、リン酸緩衝液内の幾つかの非ランダム構造を示した。より強力なペプチド(C
AGFMRIRGRIHPLCMRR)は、システインへ最も近接する非水素結
合部位にgly−pro対を有する(Thennarasu & Nagaraj(1999)Biochem. Bi
ophys. Res. Commun. 254:281-283)。 最後の研究は、ヒトCD4のドメイン1のループの幾つかのペプチドを記載す
る。ジスルフィド制約に加えて、著者らは、ペプチド末端へ環外芳香族アミノ酸
を加えた。例えば、CD4残基39−44を覆うペプチドは、FCNQGSFL
CYとして制約されている。構造に関する証拠は与えられていないが、一つの環
状ペプチド(FCYICEVEDQCY)が、正常なCD4相互作用及びHIV
によるCD−4媒介細胞侵入に関与しているCD4相互作用の両方と拮抗するこ
とが報告された(Zhangら, (1996) Nature Biotechnology 14:472-475;Zhangら
,(1997) Nature Biotechnology 15:150-154)。
【0036】 IV.ペプチドライブラリ 当該分野で知られているペプチドライブラリを作製するための多くの方法は、
本発明のライブラリを作製するために利用することができる。一実施態様では、
ペプチドライブラリのメンバーは、Lamら,(1991) Nature 354:82及びPCT公開
特許WO92/00091によって記載のようなポリスチレン又はポリアクリルアミド樹脂
などの固体支持体上で行われるスプリット合成によって作製することができる。
本発明の一側面では、環状ペプチドのライブラリは、一つ以上の残基A1、A2
、A4及び/又はA5が独立に固定され、残基A3が産するように調製できる。 本発明のライブラリを作製する好ましい方法は、ファージデイスプレイ法であ
る。ファージデイスプレイ法では、本発明の環状ペプチドは、融合タンパク質を
形成するために、少なくともファージコートタンパク質の一部分に融合される。
この融合タンパク質は、下記に記載のようなファージデイスプレイの既知の技術
を利用し、融合タンパク質をコードする融合遺伝子を発現することによって作製
できる。融合タンパク質は、環状ペプチドの一つ以上のコピーが粒子の表面に表
示されているファージ又はファージミド粒子の一部分を形成しうる。
【0037】 その他の実施態様では、本発明は、複数個の複製可能な発現ベクターを含むラ
イブラリを構築する段階を含んでなる方法で、各発現ベクターは、融合タンパク
質をコードする遺伝子融合へ作用可能に結合している転写制御エレメントを、そ
の遺伝子融合は、本発明の環状ペプチドをコードする最初の遺伝子及び少なくと
もファージコートタンパク質の一部分をコードする二番目の遺伝子を含み、ライ
ブラリは変異体環状ペプチド融合タンパク質をコードする複数個の遺伝子を含む
。変異体の一番目の遺伝子及び変異体環状ペプチドをコードするそのライブラリ
は、下記でより詳細に記載されている既知の突然変異誘発技術を利用して調製さ
れる。 本発明は、更に、上述の融合遺伝子を含む発現ベクターをもちろんのこと、こ
れらベクターのライブラリを含む。ベクターのライブラリは、DNAライブラリ
の形、融合遺伝子のライブラリを含む、又は発現ベクター或いはウイルス粒子の
ライブラリを含む宿主細胞のライブラリの形をとるウイルス(ファージ又はファ
ージミド)粒子のライブラリの形であってもよい。
【0038】 また、本発明に含まれるものは、(a)融合タンパク質をコードする遺伝子融
合へ作用可能に結合している転写制御エレメントを含む変異体の複製可能な発現
ベクターのライブラリを構築することあって、遺伝子融合は本発明の環状ペプチ
ドをコードする一番目の遺伝子、及び少なくともファージコートタンパク質の一
部分をコードする二番目の遺伝子を含み、変異体発現ベクターは変異体の一番目
の遺伝子を含む:(b)ベクターで適切な宿主細胞を形質転換する:(c)粒子
が一つ以上の融合タンパク質のコピーを粒子の表面に表示するように、少なくと
も発現ベクターの一部分を含み、宿主細胞を形質転換することが可能な組み換え
体ファージ又はファージミドウイルス粒子を形成するのに適切な条件下で形質転
換細胞を培養すること:(d)粒子を標的分子と接触させ、少なくとも粒子の一
部が標的分子へ結合する:及び(e)結合する粒子を結合しない粒子から分離す
る、を含んでなる新規結合ポリペプチドを選択する方法である。本発明の方法で
は、ファージコートタンパク質は、好ましくはM13のような繊維状ファージの
遺伝子III(geneIII)又は遺伝子VIII(geneVIII)コートタンパク質である。さ
らに、好ましくは、形質転換宿主細胞の培養とは、組み換え体ファージ又はファ
ージミド粒子の形成に適切な条件下でおこなうことであって、少量にすぎないフ
ァージ又はファージミドが粒子の表面に一つ以上の融合タンパク質を表示するよ
うに(一価の表示)条件を調整することである。
【0039】 また、本発明は、上述の段階(a)から(c)を利用し、ファージデイスプレ
イライブラリへ構造バイアスを導入する方法を含む。本発明は、更に、標的がベ
ーターヘアピンペプチド構造へ結合することが知られていて、好ましくはタンパ
ク質標的が結合することが知られている場合には、上述の(a)から(b)の段
階を利用し、ファージデイスプレイライブラリからペプチド構造を形成するベー
ターヘアピンを選択する方法を含む。 バクテリオファージ(ファージ)デイスプレイは、変異体ペプチドが、バクテ
リオファージ粒子の表面のコートタンパク質へ融合タンパク質として表示される
既知の技術である(Scott, J.K.及びSmith, G.P.(1990) Science 249:386)。フ
ァージデイスプレイの有用性は、選択的にランダム化されたタンパク質変異体(
又はランダム化されたクローンcDNA)の大きなライブラリが、高い親和性で
標的分子と結合するこれら配列のために迅速かつ効率良く分類できるという事実
にある。ペプチドの表示(Cwrilaら,(1990)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:637
8)又はファージ上のタンパク質(Lowman ら, (1991)Biochemistry 30:10832;C
lacksonら,(1991)Nature 352:624;Marksら,(1991) J.Mol. Biol.222:581;Kang
ら,(1991)Proc.Natl. Acad. Sci. USA 88:8363)ライブラリは、一つの特異的結
合特性のために、何百万ものポリペプチドのスクリーニングに利用されてきた(
Smith.G.P.(1991) Current Opin. Biotechnology 2:668)。ランダム変異のファ
ージライブラリの分類は、かなり多くの変異体の構築及び増殖のための戦略、標
的レセプターを利用したアフィニテイー精製の手順、及び結合濃縮の結果を評価
する手段を必要とする。U.S. 5,223,409;U.S.5,403,484;U.S.5,571,689;U.S.
5,663,143。
【0040】 典型的には、本発明の環状化合物のような変異体ペプチドは、遺伝子III(gen
eIII)へ融合し、これがウイルス粒子の一つの末端に表示される。あるいは、変
異体ペプチドは遺伝子VIII(geneVIII)へ融合が可能で、これはウイルス粒子の
主要なコートタンパク質である。このような多価デイスプレイライブラリは、フ
ァージ遺伝子III(geneIII)を遺伝子III(geneIII)タンパク質のアミノ末端へ
融合した外来配列をコードするcDNAと置き換えることによって構築される。 一価ファージデイスプレイは、タンパク質又はペプチド配列が遺伝子III(gene III)タンパク質の一部分へ融合し、そして野生型遺伝子III(geneIII)タンパ
ク質の存在下で低レベルで発現し、それに故に粒子が主に野生型遺伝子III(gen
eIII)タンパク質及び一つのコピーを表示し、或いは融合タンパク質を全く表示
しないプロセスである(Bassら,(1990)Proteins 80:309;Lowman. H.B.及びWell
s. J.A.(1991) Methods: a Companion to Methods in Enzymology 3:205)。一
価デイスプレイは、多価ファージデイスプレイに対して利点があり、それに故に後 代ファージミド粒子が全感染力を保持する。アビディティー効果は低下し、分類
は内在性リガンド親和性に基礎を置き,DNA操作を単純化するファージミドベ
クターが利用される。U.S.5,750,373及びU.S.5,780,279を参照のこと。他者も、
タンパク質、特に抗体を表示するためにファージミドを利用している。U.S.5,66
7,988;U.S.5,759,817;U.S.5,770,356;及びU.S.5,658,727。
【0041】 ペプチドライブラリを作製する方法、及びこれらのライブラリのスクリーニン
グは、U.S.5,723,286;U.S.5,432,018;U.S.5,580,717;U.S.5,427,908;及びU.
S.5,498,530に開示されている。また、U.S.5,770,434;U.S.5,734,018;U.S.5,6
98,426;U.S.5,763,192;及びU.S.5,723,323を参照ここと。 M13ファージ上に表示されるペプチドライブラリから高親和性リガンドを選
択するために、二段階法を利用してもよい。低親和性リード物質が、最初に主要
コートタンパク質(タンパク質VIII)上に表示された未使用の多価ライブラリか
ら選択される。低親和性セレクタント(selectant)は、次に遺伝子IIIの小さな
コートタンパク質へ移され、一価の型で高親和性へと成熟した。 殆どのファージデイスプレイは繊維状ファージを利用しているが、ラムドイド
ファージデイスプレイシステム(WO95/34683;U.S.5,627,024)、T4ファージデ
イスプレイ(Renら,(1998)Gene 215:439;Zhu(1997)CAN 33:534;Jiangら,(1997 )CAN 128:44380;Renら,(1997) CAN 127:215644;Ren(1996) Protein Sci5:1833
;Efimovら,(1995)Virus Genes 10:173)及びT7ファージデイスプレイシステム
(Smith & Scott(1993) Methods in Enzymology 217:228-257;U.S.5,766,905)
は,また良く知られており、本発明の環状ペプチドのライブラリの作製に利用が
可能である。 本発明の環状ペプチドのデイスプレイのための適切な遺伝子IIIは、fUSE5
(Scott. J. K.,及びSmith G.P.(1990) Science 249:386-390;fAFF1(Cwi
rlaら, (1990) Proc. Natl. Sci. U.S.A. 87:6378-6382);fd−CAT1(Mc
Caffertyら, (1990) Nature(London)348:552-554);m663(Fowlkesら,(199
2) Biotechniques 13:422-427);fdtetDOG.pHEN1(Hoogeboomら
,(1991) Nucleic Acids Res. 19:4133-4137);pComb3(Gramら, (1992)
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:3576-3580);pCANTAB 5E(Pharm
acia);及びLamdaSurfZap(Hogrefe(1993) Gene 137:85-91)。
【0042】 融合ポリペプチドをコードする遺伝子融合へ作用可能に結合している転写制御
エレメントを含む複製可能なベクター変異体のファミリーの構築すること、適切
な宿主細胞を形質転換すること、ファージ粒子の表面に融合ポリペプチドを表示
するファージ粒子を形成するために形質転換細胞を培養すること、組み換え体フ
ァージ粒子を標的分子と接触させ、少なくとも一部分の粒子が標的と結合するこ
と、結合する粒子を結合しない粒子から分離することを含む、タンパク質、ペプ
チド、及びその突然変異体のファージデイスプレイ法は、知られており、本発明
の方法とともに利用してもよい。U.S.5,750,373;WO97/09446;U.S.5,514,548;
U.S.5,498,538;U.S.5,516,637;U.S.5,432,018;WO96/22393;U.S.5,658,727;
U.S.5,627,024;WO97/29185;O'Boyleら,(1997)Virology 236:338-347;Soumill
ionら, (1994)Appl.Biochem.Biotech.47:175-190;O'Neil 及び Hoess.(1995) C
urr.Orin.Struct.Biol.5:443-449;Makowski(1993)Gene 128:5-11;Dunn(1996)
Curr.Opin.Struct.Biol. 7:547-553;Choo 及び Klug(1995) Curr.Opin.Struct.
Biol.6:431-436;Bradbury & Cattaneo(1995) TINS 18:242-249;Corteseら,(19
95) Curr.Opin.Struct. Biol. 6:73-80;Allenら,(1995) TIBS 20:509-516;Lin
dquist & Naderi(1995) FEMS Micro.Rev. 17:33-39;Clarkson & Wells(1994) T
ibtech. 12:173-184;Barbas(1993) Curr. Opin. Biol. 4:526-530;McGregor(1
996) Mol. Biotech. 6:155-162;Corteseら,(1996) Curr.Opin.Biol. 7:616-621
;McLaffertyら,(1993) Gene 128:29-36。
【0043】 ファージのコートタンパク質をコードする遺伝子、及び本発明の融合タンパク
質の所望する環状ポリペプチド部分(すなわち、少なくともファージコートタン
パク質の一部分へ融合している本発明の環状ペプチド)は、当該分野において知
られている方法によって得ることが可能である(一般的には、Sambrookら, を参
照のこと)。その遺伝子をコードしているDNAは、化学的に合成(Merrfield(
1963) J.Am.Chem.Soc. 85:2149)した後に、下記に記載のような変異体のライブ
ラリを調製するために変異されてされてもよい。 遺伝子融合を含む機能的ベクターを形成する目的でDNA断片をライゲーショ
ンするために、DNA断片の末端は互いに適合しなければならない。幾つかのケ
ース場合では、末端は、エンドヌクレアーゼ消化の後で直接に適合する。しかし
ながら、通常はエンドヌクレアーゼ消化によって生成される付着末端を、それら
をライゲーションにおいて適合せしめるために平滑末端へ最初に変換することが
必要である。末端を平滑末端化するためには、DNAは適切な緩衝液中にて少な
くとも15分間、15℃で、4つのデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で1
0単位のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片(クレノウ)によって処理される
。DNAは、次にフェノール−クロロホルム抽出及びタノール沈殿又は他のDN
A精製技術で精製される。
【0044】 切断DNA断片は、大きさによって分離されてもよいし、DNAゲル電気泳動
を利用して選択されてもよい。DNAは、アガロース又はポリアクリルアミドマ
トリックスのどちらかによって電気泳動してもよい。マトリックスの選択は、分
離されるDNA断片の大きさに依存する。Sambrookら,の6.30−6.33節
に記載のように、電気泳動の後、DNAをマトリックスから電解溶出(electroe
lution)によってマトリックスから抽出するか、低融解アガロースがマトリック
スとして利用されている場合には、アガロースを融解し、DNAをアガロースか
ら抽出する。 ともにライゲーションされるべきDNA断片(その前に適した制限酵素で消化
し、ライゲーションされるべき各断片の末端が適合性であるもの)は、約等モル
量で水溶液にくわえられる。また、この溶液は、ATP、ライゲーション緩衝液
及びリガーゼ、例えば0.5μgのDNA当たり約10単位のT4DNAリガー
ゼを含む。DNA断片がベクターへライゲーションされるのであれば、ベクター
は、最初に適した制限エンドヌクレアーゼによって切断されて直線化される。次
に、直線化されたベクターは、アルカリホスファターゼ又はウシ腸ホスファター
ゼによって処理される。脱リン酸化は、ライゲーション段階でのベクターのセル
フライゲーション(自己連結)を防ぐ。
【0045】 ライゲーションの後、外来遺伝子が挿入されたベクターは、精製され、適切な
宿主細胞へ形質転換される。好ましい形質転換方法は、エレクトロポレーション
である。エレクトロポレーションは、当該分野で知られている方法、及び例えば
U.S.5,422,272;U.S.5,232,856;U.S.5,283,194;U.S.5,128,257;U.S.5,750,37
3;U.S.4,956,288に記載の方法、又は他に知られているバッチ或いは連続エレク
トロポレーションプロセスを利用することで実行されてもよい。一つ以上(多数
)のエレクトロポレーションが、宿主細胞へ形質転換されるDNAの量を増加さ
せるために行われてもよい。繰り返しエレクトロポレーションが、当該分野で記
載の通りに行われる。Vaughanら,(1996)Nature Biotechnology 14:309-314を参
照のこと。付加的エレクトポレーションの数は、数個(2,3,4.....1
0)から十位(10,20,30,.....100)及びさらに百位(100
,200,300,.....1000)まで、所望する通りに変化しうる。繰
り返しエレクトロポレーションが、宿主細胞へ形質転換されるコンビナトリアル
ライブラリ、例えば抗体ライブラリの大きさが増大することを所望してもよい。 ライブラリの構築のためには、好ましくは、DNAは25マイクログラム/m
L又はそれ以上の濃度で存在する。より好ましくは、DNAは、約30マイクロ
グラム/mL又はそれ以上の濃度で存在し、より好ましくは約70マイクログラ
ム/mL又はそれ以上、さらにより好ましくは約100マイクログラム/mL又
はそれ以上でさらに数百マイクログラム/mLまでの濃度でDNAは存在する。
一般的には、エレクトロポレーションでは、約50から約500マイクログラム
/mLの範囲のDNA濃度が使われる。3.0ミリ秒(ms)より大きなエレク
トロポレーション中の時定数は、高い形質転換効率を生じる。
【0046】 DNAは、好ましくは、夾雑物を除くために精製される。DNAは、どの既知
の方法によっても精製されるが、好ましい精製方法はDNAアフィニテイー精製
法の利用である。DNA結合樹脂及び親和性試薬を利用したDNAの精製、例え
ば組み換え体プラスミドDNAは、よく知られており、その既知の方法の何れも
本発明で利用できる(Vogelstein.B.及び Gillespie.D.(1979) Proc. Natl. Aca
d. Sci.USA 76:615;Callen.W.(1993) Strategies 6:52-53)。また、商業的に
入手可能なDNA単離及び精製キットは、Stratagene(CLEARCUT Miniprep Kit)
及びLife Technologies(GLASSMAX DNA Isolation Systems)を含む幾つかのソー
スから入手可能である。DNA精製の適切で制限のない方法は、カラムクロマト
グラフィー(U.S.5,707,812)、水酸化シリカポリマー(U.S.5,693,785)再水和
シリカゲル(U.S.4,923,978)、ホウ素化ケイ酸塩(U.S.5,674,997)、修飾ガラ
ス繊維膜(U.S.5,650,506;U.S.5,438,127)フッ素化吸収剤(U.S.5,625,054;U
.S.5,438,129)、珪藻土(U.S.5,075,430)、透析(U.S.4,921,952),ゲルポリ
マー(U.S.5,106,966)の利用DNA結合試薬をともなうカオトロピック剤の利
用(U.S.5,234,809)を含む。精製の後、DNAは、本発明での濃度でのエレク
トロポレーションでの利用のために、溶出されるか、そうでなければ水、好まし
くは蒸留水又は脱イオン化水に再懸濁される。低塩緩衝液溶液の利用も考慮され
る。
【0047】 エレクトロポレーションによって形質転換されることが可能なすべての適切な
細胞を、本発明の方法における宿主細胞に利用してもよい。形質転換されること
が可能な適切な宿主細胞は、大腸菌のようなグラム陰性細菌を含む。適切な大腸
菌株は、JM101、大腸菌K12株294(ATCC番号31,446)、大
腸菌株W3110(ATCC番号27,325)、大腸菌X1776(ATCC
番号31,537)、大腸菌XL−1Blue(Stratagene)、及び大腸菌Bを
含むが、大腸菌の多くの他の株、例えばXL1−BlueMRF、SURE、A
BLEC、ABLEK、WM1100、MC1061、HB101、CJ136
、MV1190、JS4、JS5、NM522、NM538、及びNM539が
同じく利用される。細胞は、既知の方法を利用してコンピテント(形質転換受容
性)にされる。Sambrookら,, 上掲. 1.76-1.81, 16.30。 約1010コロニー形成単位(cfu/mL)及びそれ以上の濃度の生存可生細胞は
、好まれてエレクトロポレーションに利用される。さらに好ましくは、生存可能
細胞は、約1x1011から4x1011cfu/mLへ濃縮される。この範囲へ濃縮
してもよい好ましい細胞は、下記に記載のSS320細胞である。細胞は、選択
的に37℃で約6−48時間(又はOD600=0.6−0.8へ)の間、標準
的培養液の培養で生育し、次に培養液は遠心分離されて上清を取り除かれる(例
えば、容器を傾けて上清が移される)。最初の精製は、好ましくは細胞ペレット
を緩衝液溶液(例えばHEPES pH7.4)へ再懸濁であり、再遠心分離及
び上清の取り除きがその後に続く。生じた細胞ペレットは、希グリセロール(例
えば5−20%v/v)に再懸濁し、細胞ペレットを形成するために再び遠心分離
され、上清は取り除かれる。最終の細胞濃度は、細胞ペレットを水又は希グリセ
ロールへ再懸濁して所望する濃度とすることによって得られる。
【0048】 エレクトロポレーションに特に好ましい受容細胞は、ファージF’エピソーム
を含むコンピテント大腸菌株である。菌株においてファージの複製を可能にする
どんなF’エピソームも、本発明で利用されてもよい。適切なエピソームは、A
TCCへ寄託された菌株より入手可能であるか、商業的に入手可能である(CJ
236、CSH18、DH5alphaF、JM101、JM103、JM10
5、JM107、JM109、JM110)。KS1000、XL1−BLUE
71−18及び他。SS320株は、XL1−BLUEの稔性エピソーム(F
’プラスミド)をMC1061細胞へ転移するために十分な条件下で、MC10
61細胞をXL1−BLUE細胞と交配させること調製された。一般的には、二
つの細胞型の培養を混合し、37℃で約1時間で培養培地の混合物を生育させる
ことは、交配を可能にし、エピソーム転移を起こすために十分である。新しく生
じた大腸菌株は、ストレプトマイシン耐性染色体マーカーを有するMC1061
の遺伝子型、及びテトラサイクリン耐性を与えるF’プラスミドの遺伝子型を有
する。この交配の後代は、両抗生物質に対して耐性であり、ストレプトマイシン
及びテトラサイクリンの存在下で選択的に生育することが可能である。SS32
0株は、1998年6月18日に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクシ
ョン,10801 University Blvd., Manassas, Virginia, USA(ATCC)へ寄託され、寄
託登録番号98795が割り当てられた。
【0049】 この菌株SS320の寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関
するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。こ
れは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証
するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社と
ATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初で
あろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開
時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米
国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の37CFR
第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に後代を
入手可能とすることを保証するものである。 本出願の譲受人は、寄託した培養物が、適切な条件下で培養されていた場合に
死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のもの即座に
取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政
府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであると
みなされるものではない。
【0050】 オリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発は、本発明の置換、欠失、及び挿入変異
体を調製するためにの好ましい方法である。この技術は、Zollerら,(1987) Nucl
. Acids Res., 10: 6487-6504に記載のように、当該分野においてよく知られて
いる。要約すると、タンパク質融合又は異種ポリペプチドをコードする遺伝子は
、所望する変異をコードするオリゴヌクレオチドをDNAテンプレートへハイブ
リダイゼーションすることで改変し、そのテンプレートは、遺伝子の未改変又は
天然DNA配列を含むプラスミドの一本鎖型である。ハイブリダイゼーションの
後、DNAポリメラーゼは、オリゴヌクレオチドプライマーを取り入れ、遺伝子
内の選択改変をコードする、テンプレートの完全な二番目の相補鎖を合成するた
めに利用される。一般的に、少なくとも25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチ
ドが利用される。最適なオリゴヌクレオチドは、変異をコードしているどちらか
の側のヌクレオチド上のテンプレートに対して完全に法補的な12から15ヌク
レオチドを有する。これは、オリゴヌクレオチドが、正確にに一本鎖DNAテン
プレート分子へハイブリダイゼーションすることを確かなものにする。オリゴヌ
クレオチドは、例えばCreaら,(1978)Proc.Natl. Acad. Sci. USA 75:5765によっ
て記載された当該分野で知られた技術を利用することで容易に合成される。
【0051】 DNAテンプレートは、例えばバクテリオファージM13ベクター(商業的に
入手可能なM13mp18及びM13mp19ベクターは適切)のようなファー
ジデイスプレイシステムで利用されているバクテリオファージより誘導されるベ
クター、又は一本鎖ファージの複製開始点を含むベクターによって生成される:
実施例は、Vieraら,(1987)Meth. Enzymol. 153:3によって記載されている。従っ
て、変異されるDNAは、一本鎖テンプレートを生成するために、これらベクタ
ーのうちの一つへ挿入することが可能である。一本鎖テンプレートの生産は、Sa
mbrookら,の4.21−4.41節に記載されている。 天然DNA配列を改変するためには、適切なハイブリダイゼーションの条件下
で、オリゴヌクレオチドを一本鎖テンプレートへハイブリダイゼーションする。
通常はT7DNAポリメラーゼ又はDNAポリメラーゼIのクレノウ断片である
DNA重合化酵素は、次に、合成のプライマーとしてオリゴヌクレオチドを用い
てテンプレートの相補鎖を合成するために加えられる。従って、ヘテロ二重鎖は
形成され、DNAの一つの鎖は変異型をコードし、他の鎖(元のテンプレート)
は遺伝子の天然、未改変配列をコードする。このヘテロ二重鎖分子は、次に通常
は大腸菌JM101のような原核生物である適切な宿主細胞へ形質転換される。
細胞を生育させた後、細胞はアガロースプレートへプレートされ、変異DNAを
含む細菌コロニーを同定するために、32−リン酸で放射標識されたオリゴヌク
レオチドプライマーを用いてスクリーニングされる。
【0052】 即上述の方法は、プラスミドの両鎖が変異を含む場合に、ホモ二重鎖分子が作
製されるように改変されてもよい。この改変は以下の通りである:一本鎖オリゴ
ヌクレオチドは、上述のように一本鎖テンプレートへアニールされる。デオキシ
リボアデノシン(dATP)、デオキシリボグアノシン(dGTP)、及びデオ
キシリボチミジン(dTTP)の三つのデオキシリボヌクレオチドの混合物は、
dCTP-(aS)と呼ばれる修飾チオ-デオキシリボシステイン(Amershamより
得ることができる)と混ぜられる。この混合物は、テンプレート−オリゴヌクレ
オチド複合体へ添加される。この混合物へのDNAポリメラーゼの添加によって
、変異塩基を除くテンプレートと同一のDNAの鎖が生成される。さらには、こ
のDNAの新しい鎖は、dCTPに代わってdCTP-(aS)を含み、これが
新しい鎖を制限エンドヌクレアーゼ消化から保護する。二本鎖ヘテロ二重鎖のテ
ンプレート鎖に、適した制限酵素で切れ目を入れた後、テンプレート鎖はExo
IIIヌクレアーゼ、又は変異誘発される部位を含む領域を通過したその他の適切
なヌクレアーゼによって消化されることが可能である。そして、反応は、単に部
分的に一本鎖化された分子を遊離するように止められる。次に、完全な二本鎖D
NAのホモ二重鎖は、全4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸、ATP、及
びDNAリガーゼの存在下でDNAポリメラーゼを用いて形成される。そして、
このホモ二重鎖分子を、上記に記載されている大腸菌JM101のような適切な
宿主細胞へ形質転換することが可能である。
【0053】 一つ以上の置換されるアミノ酸をともなう変異は、幾つかの方法のうちの一つ
の方法で生成されうる。アミノ酸がポリペプチド鎖内に近接して位置している場
合は、アミノ酸は、所望するアミノ酸置換のすべてをコードする一つのオリゴヌ
クレオチドを用いて同時に変異される。しかしながら、アミノ酸が各々からある
距離で位置している場合は、所望する変異のすべてをコードする一つのオリゴヌ
クレオチドを生成することはより困難である。代わって、二つの代替法のうちの
一つを用いてもよい。 最初の方法では、置換される各々のアミノ酸に対する個々のオリゴヌクレオチ
ドが生成された。次に、オリゴヌクレオチドは、一本鎖テンプレートDNAへ同
時ににアニールされ、テンプレートから合成されたDNAの二番目の鎖は、所望
するアミノ酸置換のすべてをコードする。代替法は、所望する変異体生産するた
めのを二回転以上の突然変異誘発を含む。一回転目は、単一の突然変異体のため
に記載されている:野生型DNAはテンプレートのために使用される。最初の所
望するアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドは、このテンプレートへア
ニールされ、そしてヘテロ二重鎖DNA分子が生成される。二回転目の突然変異
誘発は、一回転目の突然変異誘発で生産された変異DNAをテンプレートとして
利用する。従って、このテンプレートは、すでに一つ以上の突然変異を含む。次
に、さらなる所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドは、このテン
プレートへアニールされ、生じるDNA鎖は、今回は、一回転目及び二回転目の
突然変異誘発の両方からの変異をコードする。この結果として生じたDNAは、
三回目の突然変異誘発のテンプレートとして利用でき、以後同様である。
【0054】 また、カセット突然変異誘発は、本発明の置換、欠失及び挿入変異体を調製す
るために好ましい方法である。この方法は、Wellsら,(1985)Gene 34:315により
記載された方法に基づく。発材料は変異される遺伝子を含んでなるプラスミド(
又は他のベクター)である。変異される遺伝子のコドンが同定される。同定され
る変異部位の各側に独特な制限エンドヌクレアーゼ部位がなければならない。そ
のような制限部位が存在しない場合は、遺伝子の適切な位置にそれを導入するた
めに上述したオリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発法を使用してこれを産生しう
る。制限部位がプラスミドへ導入された後、プラスミドDNAはこれらの部位で
切断されてそれを線形化する。制限部位間のDNA配列をコードするが所望の変
異を含んでいる二本鎖オリゴヌクレオチドは常套的な手順を使用して合成される
。オリゴヌクレオチドの二本のストランドが別個に合成され、ついで標準的な方
法を使用して共にハイブリダイズされる。この二本鎖オリゴヌクレオチドはカセ
ットと呼ばれる。このカセットは線形化されたプラスミドの末端と適合性である
5'及び3'末端を有するように設計され、プラスミドに直接に結合できる。しか
して、このプラスミドは遺伝子の変異DNA配列を含んでいる。変異された変異
体を含むベクターは、上述の適切な宿主細胞へ形質転換されることが可能である
【0055】 形質転換細胞は、ベクターにtet及び/又はamp耐性遺伝子が存在してい
ることによって耐性が付与されていることから、一般的には、抗生物質、通常は
テトラサイクリン(tet)又はアンピシリン(amp)上で生育させて選択す
る。 本発明での用いられる適切なファージ及びファージミドベクターは、ファージ
デイスプレイにおけるすべての既知のベクターを含む。さらなる実施例は、pC
omb8(Gramら,(1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-3580);pC
89(Feliciら, (1991)J.Mol.Biol 222:310-310);pIF4(Bianchiら,(199
5) J.Mol.Biol. 247:154-160);PM48,PM52,及びPM54(Iannolo.
(1995) J.Mol.Biol. 248:835-844);fHd(Geenwoodら, (1991)J. Mol. Biol
. 220:821-827);pfd8SHU、pfd8SU、pfd8SY、及びfdI
SPLAY8(Malik & Perham(1996) Gene 171:49-51);“88”(Smith(199
3) Gene 128:1-2);f88.4(Zhongら, (1994)J. Biol. Chem.269:24183-24
188);p8V5(Affymax);MB1、MB20、MB26、MB27、MB2
8、MB42、MB48、MB49、MB56:(Marklandら, (1991) Gene 10
9:13-19)。同様に、ファージデイスプレイシステムでファージミドベクターが用
いられた場合、すべての既知のヘルパーファージを利用してもよい。適切なヘル
パーファージの実施例は、M13−KO7(Pharmacia)、M13−VCS(Str
atagene)、及びR408(Statagene)を含む。
【0056】 形質転換細胞の選択の後、これらの細胞は培養によって生育され、次いでベク
ターDNAが単離されうる。ファージ又はファージミドベクターは、例えばSamb
rookら,, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition(1989) Cold
Spring Harbor Laboratory Press. Cold Spring Harbor, NYに記述されている
ように、当該分野において既知の方法を用いて単離することが可能である。 単離されたDNAは、Sambrookら,,上掲の1.40節に記述、及び上述のよう
な当該分野において既知の方法によって精製することが可能である。次いで、精
製されたDNAは、DNA塩基配列決定法によって分析される。DNA塩基配列
決定法は、Messingら,(1981)Nucleic Acids Res. 9:309の方法、Maxamら,(1980)
Meth. Enzymol. 65:499の方法、又はその他の既知の方法のによって行ってもよ
い。
【0057】 v.応用 本発明の種々の側面及び実施態様は、構造的特徴が明確化されているペプチド
の合理的設計及び分析のための新規モデルシステムの利点を証明する。そのよう
なペプチド及びそれを利用する方法を含んでなるコンビナトリアルライブラリは
、殆どすべての生物学的分子相互作用に関与している基礎的構造−活性相関を探
索するために、有用な情報及び手段を提供する。ここで開示された又は本発明の
開示に従って生成されたペプチドは、限定されるものではないが、酵素阻害剤、
リガンド拮抗剤、リガンド作用剤、毒素、及び免疫原を含む種々の生物学的又は
治療的薬剤の候補と成ることが可能である。
【0058】 次の実施例は、例示的な方法を提供するものであって、限定するものではない
。ここで引用する文献の開示の全てにおいて、ここにその全体を取り込む。 (実施例) 実施例1:構造化されたジスルフィド制約型β−ヘアピンペプチド骨格の構築 この実施例において、我々はβターンディスプレイのための骨格としてCX Cの形態のデカマー(decamer)のジスルフィド制約型β−ヘアピンを調べること
を選んだ。我々の目的のためには、多くのターン配列と適合性のある構造を構築
することが必須である。つまり、ターンの残基以外の残基は、ペプチド構造をヘ
アピンの方へかなり偏らせなければならない。ジスルフィド環化は、多くのペプ
チドを構造化させるのには充分ではないが、役に立つ。我々の初期の目的は、ジ
スルフィド結合が共有結合的制約としてのみならず、β鎖の更に広い範囲の相互
作用の中核を成すようにするためにも使用されうるかどうかを決定することであ
った。
【0059】 材料と方法 ペプチドの合成。 ペプチドは、パイオニアシンセサイザー(PE Biosystems
社)で標準的Fmoc化学を用いて合成し、トリフルオロ酢酸(TFA)中の5
%トリイソプロピルシランで樹脂から分離し、逆相HPLC(アセトニトリル/
O/0.1%TFA)により精製した。ペプチド同一性は質量分析により確
認した。ペプチドは、Iの飽和酢酸溶液を滴加することによって環状ジスルフ
ィドに転換させ、HPLCによって再精製した。精製したペプチドはC18分析
カラム(0−40%アセトニトリルで40分)で単一の対称ピークとして溶出し
た。
【0060】 システイン有効濃度の測定。 グルタチオン原液を、3定量の0.2Mの還元
グルタチオン(GSH)を1定量の0.1Mの酸化グルタチオン(GSSG)と
混合することにより調製した。分量したものを−80℃で保存したが、数ヶ月は
安定であった:単一のバッチの使用により、全グルタチオン濃度の変動から生じ
うるΔΔG値のあらゆる誤差を排除した。チオールジスルフィド平衡は、50μ
Lのペプチド貯蔵物(水中に、およそ3mM)を50μLのグルタチオン貯蔵物
と混合し、ファイアストーンバルブから真空/アルゴン循環で酸性溶液を脱酸し
、次いでシリンジで300μLの脱酸した緩衝液を添加した後(0.2Mトリス
、pH8.0;1mMEDTA;グルタチオンを滴定するための67mMトリス
ベース)、更に混合物を脱酸することにより合成した。全反応混合物の最終pH
は8.10±0.05であった。溶液を、アルゴン下で撹拌し、ウォーターバス
に20℃で保った。1.5時間後、連続して分量物(100μL)を、気密性シ
リンジで取り出し、直ちに400μLの3.1mM HCl中に放出することで
クエンチし、最小の遅れでHPLCにより分析した。Ceff値を、グルタチオ
ンモノマーは全体で0.025Mとみなして(つまり、ペプチドと混合したジス
ルフィド中に存在する僅かな量(<1%)のグルタチオンを無視して)ペプチド
及びグルタチオンモルの還元及び酸化型のモル比から計算した(ピーク域の比率
は、HPLCにより測定された吸光度の違いを補正した)、: Ceff=([ペプチド酸化型]/[ペプチド還元型])×([GSH]/[GSSG]) [GSH]+2[GSSG]=0.025M [GSSG]=0.025M/{2+3.26(GSHピーク域 / GSSGピーク域)} [ペプチド酸化型]/[ペプチド還元型]=平衡ピーク域比率 / 吸光度比率 各反応混合物からの2又は3のサンプルを分析した;経時的な数の変化は無く
、計算されたCeff値は、典型的に5%未満と変化した(ΔΔGで30cal/mo
lにする確かさに相当する)。
【0061】 NMR分光法。 NMRサンプルは、92%HO/8%DO pH5.1中
の5−10mMのペプチド及び化学シフト基準としての0.1mMの1,4−ジ
オキサンを含む。全てのスペクトルは、15℃でBrukerDRX-500又はVarian Unit
y-400スペクトル計で得られた。2QF-COSY、TOCSY及びROESYスペクトルは、(Cav
anaghら,(1995) Protein NMR Spectroscopy, Principles and Practices(Academ
ic Press, サンディエゴ)に記載されるようにして、グラジェントコヒーレンス
選択法(van Zijlら, (1995)J. Magn. Reson. 113A:265-270)、又は水サプレッシ
ョンに対して励起像スカルプティング方を(Hwang & Shaka, (1995)J. Magn. Res
on. 112A, 275-279)で取得した。プロトン共鳴は標準的な方法(Wuthrich(1986)
NMR of Protains and Nucelic Acids(John Wiley and Sons, New York)により
与えた。3J-Hαは、Fの高デジタル解像度で処理された2QF-COS
YスペクトルのH−Hαのピーク逆位相二重線にLorentzianラインにフィット
させることにより得た。3J-HαはペプチドのDO溶液で得たCOSY-
35スペクトルから導き出した。距離及び二面角拘束は、(Skeltonら, (1994)B
iochemistry 33:13581-13592)に記載されるようにして生成した。100の初期
構造を、ハイブリッドディスタンスジオメトリー法/シュミレーテッドアニーリ
ングプログラムDGII(Havel等(1991)Prog. Biophys. Mol. Biol. 56:43-78
)を用いて計算した;これらのうち80は、既に記載されているように(Skelto
n等(1994)Prog. Biophys. Mol. Biol. 56:43-78)DISCOVERで実施されるAMBER全
原子フォースフィールドを用いて分子動力学により更に精製された。最も低い拘
束バイオレーションエネルギーの20コンフォメーションを各ペプチドの溶液コ
ンフォメーションを表すために選択した。
【0062】 構造計算。 構造は、78のROE-誘導距離拘束(10の中間-及び28の長
距離拘束;5.4、4.3、3.4又は3.0Åの上限)及び12の二面角拘束で計算した。
最終的な20構造は、それぞれ0.05±0.02Å及び0.7±0.2°の距離及び二面角の
平均最大バイオレーションを有し;実験上の距離及び二面角からのRMS偏差は
、それぞれ0.007±0.002Å及び0.29±0.08°であった。残基の75%がラマチャ
ンドランプロットの最適な部分でΦΨ値を有する(否認又は容認された領域に何
もない)とき、平均構造の平均RMSDは、残基Cys1−Cys10のN、C α 、及びC原子において0.28±0.04Åである(Laskowskiら,(1993)J. Appl. Cr
ystallogr. 26:283-291)。
【0063】 NMR分析。CD4ペプチドのNMRサンプルは、化学シフト基準として50
μMの3-(トリメチルシリル)-1-プロパン-1,1,2,2,3,3,-d6-スルホン酸(DSS
)で92%のHO/8%DO、pH3.5中に〜2mMのペプチドを含有す
る。スペクトルは前記のようにして得られ、分析した。cd2の構造を、84の
(13の中-及び23の長-距離を含む)ROE誘導距離拘束及び13の二面角拘
束から計算した。距離及び二面角拘束の平均最大バイオレーションは、それぞれ
0.05±0.01Å及び0.6±0.4°であり;実験上の距離及び二面角拘束からのRMS
Dは、それぞれ0.009±0.002Å及び0.2±0.1°である。共有幾何学は良好で、Φ
Ψ角の74%が最適の範囲で、ラマチャンドランプロットの否認又は容認された
範囲には何もない(Laskowskiら,(1993)J. Appl. Crystallogr. 26:283-291)
【0064】 側鎖回転異性体の分析。 6−9Hzの範囲の3J α-β及び3J α- βの両方の観察により、側鎖は単一の古典的な回転異性体(χ1=-60°,+60
°又は180°)を占有しないことが示され、大体においてサンプルは3つ全てが
回転異性体のくぼみ(well)を揺らした。これが、bhpWのTrp3及びLe
u8及びcd2のGln4、Phe7及びLeu8の場合の状態である。これら
の側鎖に見られるROEピークは、サンプリングしたχ値の範囲に対する時間平
均を表す。これらのコンフォメーションの全てが、すぐに観察できるROEピー
クを生じるわけではなく、従って、構造計算過程は、拘束が得られる回転異性体
の方に偏りうる。例えば、cd2のPhe7からのROEは、逆ストランドのプ
ロトンに見られ、従って+60°の回転異性体のくぼみにPhe7を強制的に位
置させる。多くのバックボーン-バックボーンの距離及びΦ二面角拘束が与えら
れると、bhpW及びcd2に対して計算された構造は、いくつかの側鎖の方向
性の過剰決定以外においては、これらのペプチドの溶液コンフォメーションを精
確に示す。
【0065】 結果 928の非余剰タンパク質構造の集合からのβシートの我々の調査では、隣接
したストランドにおける残基の水素結合対と非水素結合対の間の平均Cβ-Cα
距離は、それぞれ4.82±0.58及び5.37±0.56Åであったが、ジスルフィド結合シ
ステインの平均Cα-Cβの距離は、3.84Åであった。従って、逆平行鎖の逆残
基のCβ原子は、通常ジスルフィド結合形成のためにはあまりにかけ離れている
。それにもかかわらず、ジスルフィド架橋は、時々、βシートの非水素結合レジ
スターのシステインの間で見いだされている。我々は隣接した逆平行鎖を結合し
ている23のジスルフィド結合システインを見つけた。23のうち14の場合に
おいて、ジスルフィドはシステインの1つ(又は両方)の前に2つの残基を疎水
性側鎖に対してしっかりと詰め込む(Fig.1a)。5つの更なる場合におい
ては、この疎水性部位は極性又は荷電した残基によりβ及びγ-メチレンで(E
、Q又はR)占有されていた。特に、ロイシン又は芳香族アミノ酸のどちらかの
側鎖は、この特性を有するジスルフィドコンホメーションに良好な形の相補性を
提供した。その結果、我々は、我々のモデルペプチドの残基8としてロイシンを
選択し(Fig.1b)、拡張した主鎖コンフォメーションを促進するために位
置2及び9でトレオニンを含み、更に非常に強力なタイプII'βターンではなく
、代わりにターン配列EGNKを選択した。ロイシンと対をなす最良の交差スト
ランド対合を決定するために、位置3が変えられた。
【0066】 ジスルフィドの存在は、ヘアピン安定性に利用できるプローブを提供する。チ
オール-ジスルフィド平衡を、基準チオールグルタチオンに関して測定し、シス
テイン対の効果的濃度(Ceff)を得た。Ceffの大きい方の値は、増加し
た近似値を、システインチオールの平均値で示し、ヘアピン構造の構成と一致す
る。ペプチドCeff値は、位置3の異なる残基のためにかなり変化した(Fi
g.2a)。著しく、位置3のトリプトファンは酸化型の方にペプチド平衡を強
力にシフトした:この作用はペプチド凝集によっては引き起こされない。アニリ
ン類似物(-RT1n{Ceff,x/Ceff,ala})のCeff値のスケー
リングは、折り畳みのためのペプチドの関連性質と解釈されうる>0.8kcal/m
olの範囲である自由エネルギー相違(Fig.2b)を引き起こす。しかしなが
ら、これらのデータはペプチドの折り畳まれた及び折り畳まれていない状態の効
果の間で相違しない。例えば与えられた置換は酸化ペプチドに詰め込むする好ま
しい側鎖を促進しうるか、又は、又は脱酸したペプチドの拡張した主鎖コンフォ
メーションの方に単に偏る。
【0067】 ペプチドが実際にβ-ヘアピンを形成するかどうかを判断するために、それら
のいくつかを、H NMR分光法により評価した(表1)。トリプトファンペ
プチド(bhpW)は、強力につながったHα-HβNOE、多数の主鎖交差ストラ
ンドNOE及びストランド残基の大主鎖スカラーカップリング定数(3J-
α>8.0Hz)の点で、高度に凝集したβ-ヘアピンの特徴の全てを表す。
Cys1及びCys10のHα化学シフトは、組織化されていないペプチドで得
られる値に関して低磁場(downfield)であり、逆平行鎖はこれらの末端残基に
含まれることが示された。他のペプチド研究では、少ない数のヘアピン構造を有
することが判断された(表1参照)。興味深いことには、NMRデータはCef と相関している(表1):従って、ジスルフィド置換アッセイは、酸化ペプチ
ドのヘアピン構造の角度の有用な量を提供する。
【0068】
【0069】 実施例2:選択的テトラペプチドターン配列のヘアピン骨格への移動 構造は、タイプIIターンと逆平行ヘアピンを形成するくぼみに関する実施例1
によってbhpW(Gly5−Asn6)及びCys1、Trp3、Leu8及
びCys10の側鎖の間の疎水性接触を計算した(Fig.3)。bhpW安定
性の熱力学分析は、高温又は化学変性剤の存在のどちらかで完全ほどくための酸
化ペプチドの不足により、複雑になる。それにもかかわらず、我々は高い密度で
、最適には>80%、15℃でヘアピンコンフォメーションを計算する。構造安
定性のため、我々はターンディスプレイ骨格のような研究のためのbhpWを選
んだ。従って我々は、異なるターン配列がbhpWストランド配列により構築で
きるできるかどうか試験した。 HIVgp120の最近の結晶構造は中和抗体と結合し、ヒトCD40は接触
表面の詳細を明らかにした(Kwongら, (1998)Nature 393:648-659.)。多数の
突然変異研究から予想されるように、gp120結合に最も重要なCD40領域
は、タンパク質表面から伸びる重要なPhe43側鎖を有する、C’-C”ヘア
ピンループ(残基37−46)である。実際、CD40残基40-48は境界面
に埋められている表面領域の63%を与え、全体の23%はPhe43により導
かれる(Kwongら, (1998)Nature393:648-659)。意外に、Phe43結合部位
の後にgp120には大きな穴があり、それは疎水性残基で一列に並べられる。
C’-C”ターンに基づく構築されたペプチドはgp120に結合してもよく、
もしそうであれば、結晶構造に見られる穴に伸びるリガンドを構成する開始点で
ありうることが可能なようである。
【0070】 我々は、CD40ヘアピンの天然構造に基づいてジスルフィド拘束ペプチドを
合成し(表2の残基38−45)、それが溶液中で原則的には構造化されていな
いことが分かった(Fig.4a)。次いで我々は、bhpWの相当する残基(
cd2、表2)に適合するように、置換G2T及びN3Wを作った;残基L8及
びL9は既に天然CD4配列中に存在する。ペプチドcd2は、タイプII'ター
ンを有するヘアピン構造を取り入れて、きちんと整列している(Fig.4)。
Fig.4aにおいて、cd2のピーク表示が見られた:cd1の対応するクロ
スピークの表示が示される。3J-H>8.3Hzを有するこれらのcd
2残基は、下線を引いた;全てのcd1残基が5.9と7.7Hzの間の主鎖カ
ップリング定数を有する。測定されたCeff値から、CD4ターン(QGSF
)は、0.5kcal/molでモデルヘアピン(EGNKターン)を不安定化し、我々
はT2及びW3置換の両方が安定したヘアピン構造に必要であることを発見した
(表2)。重要なことには、ペプチド構造をCD4ののものと比較すると、バッ
クボーンコンフォメーションは、構造決定の不確実さで、実質的に同じである(
0.93ÅRMSD;Fig.4B)。Fig.4Bは、示されたcd2のNM
R構造全体(20モデル;2つの垂直図)が、gp120−結合CD4の結晶構
造からCD4残基37−46(赤)上に重なったことを示す。20モデルのRM
SDは、残基1−10のバックボーン原子の平均座標に関して、0.50±0.09Åで
あり;結晶構造からのcd4の残基37−46を有する残基1−10の平均座標
の比較は0.93ÅのRMSDを生じる。cd2のPhe7の3JH-Hカップリン
グ定数は、側鎖が全体に見られる回転異性体を固定しないことを示し;Phe7
側鎖は、共結晶構造で見られるものを確実にサンプリングして、溶液中の複数の
コンフォメーションを取り入れることに注意してほしい。これは、ペプチド骨格
がCD4β−ターンを確実に示すことを表す。
【0071】 末端のセリン及びリジン残基は、CD4ペプチドのいくつかの変異体の溶解性
を改善する、つまり荷電することが加えられる。同様の修飾は、コントロールと
してbhpWに作られた。bhpWとCD4の間で異なる非ターン残基には、下
線を引いた。残基と酸化ペプチドの共溶離は、CD4ペプチドのT2、N3変異
体のCeffの測定を妨げる。環状2色性スペクトルはAviv Instruments. Inc.
モデル202分光光度計で得られ:ペプチド濃度は20mMリン酸カリウムに
20μM、pH7.0であった。 [n. d.:未決定:Cysα:より多いN-末端システインのHα化学シフ
ト(Cys1又はCys2):Cysα:より多いC-末端システインのH
α化学シフト(Cys10又はCys11)]
【0072】 計算した2つの他のターン配列は、ヒト-ε-RIのドメイン2のF-Gループ
からのVWQL、及びペプチドEMP1に対するEPOからのGPLTであった
。3つのターンの全ては、trpペプチド骨格で、及び配列が天然親ヘアピンル
ープにより近接して適合している環化ペプチドで計算した。 SCGNQGSFLTCK-NH2 CD4ペプチド a SCTWQGSFLTCK-NH2 b Ac-CTKVWQLWTC-NH2 Fc-ε-RIペプチド c SCTWVWQLLTCK-NH2 d SCHFGPLTWVCK-NH2 EMP1ペプチド e SCTWGPLTLTCK-NH2 f
【0073】 環状2色性スペクトルは、それぞれの場合において、生成されたtrpヘアピ
ン骨格は更に構築されたペプチドを生じることを示す(Fig.5a-c)。N
MRデータは、ペプチドで増加したヘアピン構造と一致し、骨格は構築状態の方
に様々な「異なる」ターンに偏りうることを示す。 ヘアピン骨格上に存在する他の通常のターンは、γ-ターン(3アミノ酸)、
膨らんだターン(5又は6アミノ酸)、及びより長いヘアピン(8アミノ酸)を
含む。他のターンの長さは既知で、また骨格と適合する。 実施例1及び実施例2の結果は、小ジスルフィド拘束ヘアピンの1つのストラ
ンド位置の最適化が、非常に不完全に構築された分子を高度に構築された(-Δ
ΔG>0.8kcal/mol)ものに置き換えるのに充分であることを示した。構築さ
れたヘアピンのステム位置、-CTW----LTC-は、最適化されたターン配列を
必要としない;従って、β-ターンライブラリのデイスプレイにとって、及び特定
のターンそうでなければ高度に集合していなくてもよいものの研究にとって適し
た骨格である。重要なことは、単なる天然アミノ酸が必要とされ、ターンライブ
ラリはファージに表示されうることである。
【0074】 我々がここで報告した置換エネルギーをβシートシステムの先の研究と比較す
ることは興味深い。エネルギーの相違の大きさは同様であるが、我々が得た順序
は、経験的なβ-性向のスケールと、又は既知のβ-シートの得られた残基対頻度
と関係していない(Hutchinsonら, (1998)Protain Sci. 7:2287-2300, Wouters,
M. A. & Curmi. P.M.G. (1995)Proteins 22:119-131)。特に、トリプトファン
はそのようなスケールの例外ではない。平均が典型的なタンパク質に傾いている
これらの異なるストレスは、ほとんどの残基が高度に溶解して暴露された小ペプ
チドに直接適用しなくても良く、デノボ作成でのそのような情報の使用を困難に
する。更に、ΔΔG順序は、側鎖の非極性領域の増加に関するが、ペプチド残基
は疎水性である。
【0075】 最後に、ヘアピンステムは非常に小さいが、更にジスルフィド及び交差ストラ
ンド3次接触の組み合わせは、例えばCXCのようなジスルフィドのみのもの
を越える構造的偏りを与える。いくつかの特定の配列(例えばVVVV)(Milburn
ら, (1998)Int. J. Peptide Protein Res. 31:311-321)が我々のヘアピンと適
合するターン構造を取り入れることができないことが知られているが、またタン
パク質から得られる非常に少ないターン構造が、単離されたペプチドのジスルフ
ィドターンコンフォメーションをうまく取り入れることを示したのも真実である
。我々はこの数が増加する簡単な方法を示した。我々は、ランダム化されたター
ン配列(例えばXCTWX4LTCX)を有するヘアピンライブラリは、結合決定基が合成
ターン擬態に既に移ることのできる、またはさらに高度な処理能力の親和性最適
化のための小分子誘導を直接同定に使用されうる(Rohrerら, (1998)science 2
82:737-740)構築リガンドを生じうると考える。
【0076】 実施例3:ターン及び交差ストランド相互作用に関連して起因する定量化 前記実施例1において、置換はモデルペプチドbhp(ペプチド1)の位置3
(X)に導入された。このゲスト部位は、タイプII'ターンの空間で完全に閉じ
られる(gly-asn、Fig.1)。ジスルフィドターン配列及び幾何学型を有す
るヘアピンが異なる残基を好ましくはNHBゲスト部位で持つかどうかを更に調
べるために、モデルペプチド1の中央gly-asn配列がタイプI'ターンas
n-gly(ペプチド1)及びタイプII'ターンD-pro-asn及びD-pro-
gly(ペプチド3及び4)と置き換えられる。位置3(X)での置換は、我々
がgly-asn連続で得たヘアピン安定性の範囲をスパンするために選択され
た。Ceffは、前の方で実施例1に記載されたようにして測定された。異なる
ターンから我々が得た値は、Fig.6で比較される。 Ac-CT X E GN KLTC- NH2 1 II' Ac-CT X E NG KLTC- NH2 2 I' X=W,Y,L,V,T,D Ac-CT X E pN KLTC- NH2 3 II' p=D-pro Ac-CT X E pG KLTC- NH2 4 II'
【0077】 全ての場合において、位置3のトリプトファンは、与えられたターンの最も大
きいCeff値を得られ、その安定化作用は、一般的である。異なる交差ストラ
ンド相互作用(横軸)とターン配列(縦軸)のCeffの大きな変化は、両方が
これらの環状ヘアピンペプチドで安定化するのに十分な原因となることができる
ことを示す。ついに、データセット間の著しい線形相関が有り、STランド位置
3の置換とターン交換は環状ヘアピンの安定性に独立して貢献することを示す。
これらのデータはヘアピンの折り畳みが完全なモジュラーであってもよく、ヘア
ピンの構成を充分に単純化することを示唆する。 関連するターンエネルギーは、ペプチドの適切な対のCeffを比較すること
により計算することができる。しかしながら、Fig.6の相関は、勾配からの
関連するターンエネルギーの相関させる。これらの値は表3に示される。asn
-gly(タイプI')と比較して、gly-asn(タイプII')は低い安定性で
あるが、D-pro-含有ターン(またタイプII')はヘアピン安定性を促進する
。asn-gly対D-pro-glyで比較が成されてもよい1つの場合には、
ここで得られるΔΔG値は、NMRにより得られるものとかなりうまく一致する
。これは、Syudら, (1991)J AM Chem Soc 121:11577に示される文献記載及び2
つの状態の折り畳みの条件はモデルシステムに適する;しかしながら、明示した
該文献記載は常に実現可能ではない。
【0078】
【0079】 あるいは、ストランド位置に対する置換エネルギーは、残基X(図示せず)に
よる代わりに、分類された同じデータをプロットすることによって得てもよい。
相関性はまたすばらしく、勾配が自由エネルギーの変化を与えている(表4)。
エネルギーの範囲はペプチド1に関して実施例1で報告したものよりも大きい(
1.42対0.85kcal mol-1)。差異の多くは安定性スケールの底の置換まで
さかのぼる(特に、アスパラギン酸)。グリシン−アスパラギンターンペプチド
の安定性の低さは検知可能に構造化されておらず、Ceffアッセイはそれらの
間に如何なる差異も記録しない。よって、より強いターン配列を持つペプチドに
おいて得られるデータが、ストランド置換エネルギーのより完全な概要を提供す
る。
【0080】
【0081】 ターンのタイプが如何にヘアピン構造へ影響を及ぼすかを評価するために、2
と3のトリプトファン類似体がNMR分析によって特徴付けされ、ペプチド1に
ついて実施例1に記載したようにして構造が算定された。Fig7の最小化平均
構造の比較により、主骨格及び側鎖高次構造が、存在しているターンのタイプに
かかわらず、非ターン残基(RMSD〜0.3Å)に対して非常に類似している
ことが明らかである。よって、Ceffの線形相関性と一致して(Fig6)、
これらの三種のターンは隣接するストランドに対して如何なる構造的影響も及ぼ
さない。 ヘアピン構造に対するターン配列と良好な交差ストランド対合の重要性は多く
のモデル研究において着目されてきた。しかし、残基置換の定量的なデータ又は
体系的な評価は殆ど存在しない。我々のデータは、これらの簡単な環状ペプチド
に対して、ストランド部位の置換とターンの置換は簡単な線形自由エネルギー関
係と一致し、ヘアピン安定性に対して独立した相加効果を有していることを示し
ている。これは、その構造の近接性が示され(Fig3及び7)、タンパク質固
着の特徴に対しての算定ターンエネルギーの敏感性が報告されていることから(
Freidinger, R. M. (1999) Curr. Opin. Chem. Biol. 3:395-406)、意外なこと
である。しかしながら、これらのターンとストランドの間の対合は、それぞれが
単独で及ぼす大きな影響に比較すると無視できるようである。これは、これらの
成分の別個の解析によりβ-ヘアピンの安定性が理解されうることを示唆してい
る。
【0082】 実施例4: 交差ストランド残基からのエネルギー寄与の定量化 上記の実施例の結果から、トリプトファンが、交差ストランドのロイシンと対
合するとペプチド1の非水素結合(NHB)ストランド部位Xにおいてかなり安
定化することが明らかになった。トリプトファンペプチド(bhpW)は水中で
高度に構造化され、意図したヘアピン高次構造を採っている(Fig3)。ここ
では、我々はNHB交差ストランド残基間の関係を調べる。顕著なことには、二
種の構造的に等価でない部位に対する残基の優先傾向は同じであり、特異的な対
の相互作用が単一部位の寄与からのほんの僅かな偏差をつくり出す。従って、ト
リプトファン−トリプトファン交差ストランド対がヘアピンの安定性に対して最
適であるように思われる。
【0083】 トリプトファンからの安定化寄与の我々の知見は、効果が如何に一般的である
かを問うことを我々に促した。ペプチドbhpWのトリプトファン(Fig3)
はII’型ターンの残基の側鎖と交差ストランドロイシンの双方に空間的に近接
している。よって、トリプトファンの効果はこれらの他の残基との安定化接触に
依存することがありうるように思われる。この問題に取り組むために、我々は疎
水性対(ペプチド5)を逆にし、3位にロイシンを固定して8位(ジスルフィド
に最も近い、Fig3)のアミノ酸を変化させた。システインチオールの有効濃
度(Ceff)は我々の過去の研究のようにして決定した。 Ac-CTXEGNKLTC-NH2 1 Ac-CTLEGNKXTC-NH2 5 X=W,Y,F,L,M,I,V,A Ac-CTXEGNKWTC-NH2 6 Ac-CTWEGNKXTC-NH2 7
【0084】 我々は、8位のトリプトファンが、試験したこれらの残基の中で最も安定化す
ることを見出したした(Fig8A)。重要なことは、Ceff値はtrp−l
eu対とleu−trp対とでかなり近いことで、この二つの配置がエネルギー
的におよそ等価であることを示している。この結果は、ロイシンを持つ他の残基
対にも成り立つと思われる:二つの群においてCeffの数値と順序は類似して
いるが、正確ではない(Fig8A)。 逆にした疎水性対の等価性がより一般的かどうかを試験するために、我々は、
残基が代わりに交差ストランドトリプトファンと対合しているペプチド群6及び
7を調べた(Fig8A)。ロイシン対の場合のように、密接な対応が、順序と
effの数値の双方について二群のトリプトファンの間に見られる。我々は、
ターンとジスルフィドに対する側鎖位置の差異にかかわらず、二つの交差ストラ
ンド部位が本質的に等価であると結論する。
【0085】 二つのロイシン群(1及び5)がトリプトファン群(6及び7)と比較されう
る。二つのデータの傾向は非常に類似しており(Fig8A及びB)、交差スト
ランド残基が独立して安定性に寄与していることを示唆している。この考えを探
求するために、我々はペプチド群の各々においてその群の基準ペプチドに対して
の、置換に対する自由エネルギー差を計算した(ΔΔG=−RTln(Ceff
.X/Ceff.ref))。代表的な比較はFig9にプロットする。 線形の自由エネルギー関係は4つのデータ集合において存在する。これは、N
HB部位3及び8の間で切り替えられる特定の交差ストランド対の比較と、同じ
配向のleu対とのtrp対の比較にも見られる(Fig3)。(後者の相関性
にはより多くの散乱性が存在する。)勾配(ρ)は各群の二つの異なる基準ペプ
チドに対して計られたΔΔG値を使用して決定した(X=ala及びtrp)。
得られたρρ値は大きくは異ならなかった(表5)。
【0086】
【0087】 3位と8位が等価であるという考えと一致して、これらのデータを比較するプ
ロットではρは1に近い。これに対して、leu対をtrp対と比較すると、ρ
は約0.4である。これは、与えられた残基対Xに対して、ヘアピン安定性の予
想される差異が、交差ストランドパートナーとしてのtrpの〜2.5倍大きい
ことを意味している。これらの簡単な関係が与えられると、ΔΔGは、交差スト
ランドパートナーのρを置換エネルギーσxに乗じることにより基準対に対する
任意の置換について計算されうる(以下を参照されたい)。これは、これらの残
基が接触距離内にあるので驚くべきことであり、β-ヘアピンの設計に重要な意
味を有している。 β-シートタンパク質におけるHB及びNHB交差ストランド対の統計的解析
では、多くの残基対が高い信頼性でもって正又は負に相関していることが見いだ
される。主として統計的な優先性に従って、タンパク質の突然変異誘発の研究に
よりHB対間に1kcal mol-1の大きさの相互作用エネルギーを特定した。タンパ
ク質において好まれる交差ストランド対を含めることが、安定性を改善、又は単
離されたβ-ヘアピンにストランドレジスターを固定するかもしれないことが提
案される。
【0088】 これらの効果を調べるために、我々は対相互作用エネルギーを計算した(Fi
g10)。Ceff比は単一の又は二重の置換に対してΔΔGをもたらす。典型
的には、二重置換に対するΔΔGと単一の置換に対するΣΔΔGの差が相互作用
エネルギーと見なされる。示された実施例では、これは、leu−leu基準状
態に対するtrp−tyr対について−136cal mol-1となろう。単一置換エ
ネルギーが連続的に計算される場合は、第二工程でρの倍率をかけると、不一致
は+32cal mol-1のみである(これらの実験では有意ではない)。phe-t
rp対に対して(Fig2の上部と底部を比較されたい)、同様な分析によりρ
が含まれる場合、ΔΔΔG=−253cal mol-1が得られる。この不一致は有意
であり、(trpの一般的な優位性を越えて)trpとのpheの対合にある種
の特定の構造的利点が存在しているかも知れないことを示唆している。単一の部
位置換に対して見られる全エネルギー範囲と比較した場合、不一致が小さいこと
は興味深い(Fig9);我々は、このような対特異的効果(及び実験誤差)が
我々の相関性における散在性を説明しうると考える。
【0089】 我々の実験は、交差ストランド三次接触がヘアピン安定性を向上させることを
明らかに示している。顕著なことは、trp−trp対の導入により、我々の元
のペプチドbhpWと比較して大なる安定化が得られており(Fig3及び8)
、我々は、タンパク質中で希であるにもかかわらず、trp−trpが単離され
たヘアピンに対して最適なNHB対であると考える。大抵の場合、一般的な二重
変異分析によって我々が得る対相互作用エネルギーはρの差によっって十分に説
明される。つまり、これらのエネルギーは単一の対に特異的ではないが、代わり
に与えられた交差ストランドパートナーとは反対に全ての残基置換に対して程度
の差はあれ感受性を示す。よって、我々は、組み合わせた単一部位優先性(σ及
びρ)がヘアピン安定性を予想するのに最も重要であると結論する。顕著なこと
は、実験データの限られた基礎となる集合からこれらの予想を行うことが可能で
あろうことである。
【0090】 実施例5: trpペプチド骨格に基づくファージディスプレイライブラリーの
作製 糸状バクテリオファージM13の遺伝子8タンパク質に融合したランダムペプ
チドのライブラリーを、pS349の誘導体であるプラスミドpS1302b(
出典明示によりここに取り込まれる米国特許出願第60/103514号及び同
第60/134870号)のクンケル突然変異誘発により作製した。プラスミド
pS1302bはpS349のtacプロモーターとmalEリーダー配列を含
む。hGH配列とpS349のGly/Serリッチリンカー配列は次の配列に
よって置換した: 5'-TAA-TAA-TAA-ATG-GCT-GAT-CCG-AAC-CGT-TTC-CGC-GGT-AAA-GAT-CTG-GGT- GG
C-GGT-ACT-CCA-AAC-GAC-CCG-CCA-ACC-ACT-CCA-CCA-ACT-GAT-AGC-CCA-GGC-GGT-3'
(配列番号:)
【0091】 挿入配列は3つの停止コドン、GDエピトープタグ、及びhGHの高レベルの
ディスプレイのために選択されたリンカーをコードする。プラスミドはまたpS
349からのlacリプレッサー(lac1)とアンピシリン耐性遺伝子を含
む。ライブラリーを作製するために使用したオリゴヌクレオチドは次の通りであ
った: 5'-TCC-GCC-TCG-GCT-TAT-GCA-NNS-TGC-ACT-TGG-NNS-NNS-NNS-NNS-CTG-ACT-
TGT-NNS-ATG-GCT-GAT-CCG-AAC-CGT-3' (配列番号:) ランダムペプチドの形態はよってXCTWXLTCXであった。10から
1010の個々の形質転換体のライブラリーを過去に記載されている方法(米国
特許出願第60/103514号及び同第60/134870号)によって調製
した。個々のクローンのおよそ三分の一が機能性ペプチド配列をコードしていた
。残りは開始鋳型であり、停止コドンを含み、又は単一のヌクレオチド欠失を含
んでいた。よって、ライブラリーのサイズはそれぞれの可能なランダム配列の幾
つかのコピーを含むのに十分である。
【0092】 実施例6: 構造的にバイアスされたライブラリーからの結合ペプチドの分泌 NuncのMaxiSorpプレートをPBS中2μg/mLのrhuFc-
ε-RI-IgG融合体で終夜被覆した。ついで、プレートをPBS中0.5%の
BSA(シグマのA-7638)で室温にて一時間の間ブロックした。0.5%
のBSAだけで被覆することによって負のウェルを準備した。ファージ(1ウェ
ル当たり1011ifu)を10の各正及び負のウェルに添加し、室温で20h
の間振とうしながらインキュベートした。非特異的に結合したファージを除去す
るために十分に洗浄した後、0.2Mのグリシン、pH2で5分間処理すること
によってバインダーを溶出させた。溶出されたファージをついでトリス塩基を添
加して中和させ、大腸菌の培養物を感染させるために使用した(XL1-ブルー
、ストラタジーン)。結合、溶出及び増幅の数サイクル(全体で3−5)を同様
の条件下で実施した。192の個々のクローンを、ファージソーティングに対し
て記載されたようにして調製されたプレートでのファージ上清のインキュベーシ
ョンにより、標的レセプターへの結合についてスクリーニングした。洗浄後、ウ
ェルをα-M13-HRPコンジュゲート(ファーマシア・バイオテック27−9
421−01)で処理し、結合した抗体をOPD基質(シグマP−9187)で
検出した。プレート吸光度(A492−A405)を正のプレートと負のプレー
トの間で比較してレセプター結合に対して陽性のクローンを同定した。12のそ
のようなクローンを同定した。
【0093】 陽性のクローンの配列を、コード化DNAを配列決定することにより同定する
。ディスプレイされた配列に対応するペプチド(すなわち、12マー)を標準的
な固相法を使用して合成する。ついで、ペプチドを、適切な生物学的又は結合ア
ッセイを使用してアッセイしてその効力を測定する。ペプチドは、上で概説した
既知の方法:円偏光二色性、NMR、又はジスルフィド平衡の何れかを使用して
ヘアピン構造について評価することができる。ついで、ペプチドに置換を行って
、選択されたターン残基の結合への相対寄与を決定することができる。理想的に
は、これらの置換は骨格構造を乱さない。結合モチーフの性質が理解されれば、
ターン配列をついで更なる最適化のための好適な有機骨格上に移すことができる
。 本発明を必要的に好適な実施態様との関連で説明したが、当業者であれば、上
述の明細書を読んだ後に、ここに記載された主題事項群に、その精神と範囲から
逸脱しないで、様々な変化、均等物との置換及び変更を施すことができるであろ
う。よって、本発明はここに特に記載したもの以外の方法で実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【Fig1】 10アミノ酸モデルβ−ヘアピンペプチドである、bhpの
設計図を示す。(A)層を成す構造は、ジスルフィド及び最も近接する非水素結
合残基の側鎖の間の詰め込みを示す;(B)非水素結合残基1,3,8及び10
の側鎖をともなうbhpモデルβ−ヘアピンペプチドの略図が示されている。X
は、20の天然L−アミノ酸の中の19から選択された種々の残基(Cysを除く
)。
【Fig2】 bphペプチド配列の置換Xの相対ヘアピン安定性を示す。
(A)グルタチオンに関連するシステイン有効濃度(Ceff)。エラー棒は、
±1標準偏差;(B)アラニンペプチドに関連する平衡自由エネルギー。
【Fig3】 ジスルフィド環状化ヘアピンbhpWのNMR構造(平均構
造)を示す。側鎖W3及び中央のターン残基G5及びN6は、黒で示されている
。側鎖L8及びジスルフィドは、灰色で示されている。水素結合残基の側鎖(T
2、E4、K7、T9)は、明瞭さのために除外されている。
【Fig4(A−B)】 CD4ペプチドのNMR分析を示す。(A)cd
1及びcd2のCOSYスペクトルの指紋領域のオーバーレイ。(B)gp12
0結合CD4の結晶構造のCD4残基37−46の上に重ねたcd2のNMRア
ンサンブル(20モデル:二つの直角視野)を示す。
【Fig5】 実施例2の三つのペプチド対の円偏光二色性スペクトル。
【Fig6】 実施例3のペプチドの置換Xの有効濃度(Cff)を示す。
ストランド置換Xは、グラフの一番上に示され、ターンの中央の残基は右側に示
されている。
【Fig7】 残基1−3及び8−10のバックボーン原子にオーバーレイ
されている実施例3のペプチドのトリプトファン類似体の最小化平均構造を示す
(2及び3各々に関する1の0.36及び0.30ÅのRMSD)。ペプチド1
は灰色;ペプチド2は黒;及びペプチド3は白。明確さのために、非プロリン側
鎖原子は、4つのターン残基では示されていない。
【Fig8(A−B)】 実施例4に記述のような、非水素結合(NHB)
鎖位置の疎水性対をともなうペプチドの有効濃度(Cff)を示す。交差ストラ
ンドロイシンと対を成す置換の値が、(A)に示されている;トリプトファン対
のこれらは、(B)に示されている。
【Fig9】 実施例4のペプチド間の置換自由エネルギーの違いを比較し
たハメットプロットを示す。
【Fig10】 L3L8に関連したW3Y8の安定性の二重変異分析を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/566 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA, ZW (72)発明者 コクラン,アンドレア,ジー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94116, サン フランシスコ, サーティーファイ ブス アヴェニュー 2158 (72)発明者 スケルトン,ニコラス,ジェイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94401, サン マテオ,ステイト ストリート 218 (72)発明者 スタロヴァスニク,メリッサ,エー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94116, サン フランシスコ,トゥウェンティーエ イス アヴェニュー 2439 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA17 BA80 CA01 DA05 EA03 HA11 4B063 QA13 QA20 QQ79 QS39 QX10 4H045 AA10 BA15 BA16 BA17 BA32 EA50

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A1、A2,A3、A4及びA5が天然発生L−アミノ酸; システインC1のカルボキシ末端が選択的にカルボキシ保護基によって保護され
    ; システインC2のアミノ末端が選択的にアミノ保護基によって保護され; A1及びA5が、アミノ酸W、Y、F、H、I、V及びTから成る群より選択さ
    れ; A2及びA4が、アミノ酸W、Y、F、L、M、I、V及びTから成る群より選
    択され; A3が、任意の天然発生L−アミノ酸、及びnが3,4,5,6,7,8,9,
    10,11,また12の整数値;及び C1及びC2がジスルフィド結合によって結合され、環状ペプチドを形成し、 各環状ペプチドがアミノ酸配列C1−A1−(A3)−A4−A5−C2[配
    列番号:1]を含む、複数個の環状ペプチドを含んでなる構造的に制約型ペプチ
    ドのライブラリ。
  2. 【請求項2】 A1又はA5が、アミノ酸残基のβ−炭素において二つの非
    水素置換基を有するβ−分岐残基である、請求項1のライブラリ。
  3. 【請求項3】 A1又はA5がTである、請求項1のライブラリ。
  4. 【請求項4】 A1又はA5がアミノ酸W、F、H、又はYである、請求項
    1のライブラリ。
  5. 【請求項5】 A2又はA4がアミノ酸W、F、又はYである、請求項1の
    ライブラリ。
  6. 【請求項6】 A2又はA4がWである、請求項5のライブラリ。
  7. 【請求項7】 A2又はA4がWである、請求項6のライブラリ。
  8. 【請求項8】 nが少なくとも4である、請求項1のライブラリ。
  9. 【請求項9】 nが10以下である、請求項8のライブラリ。
  10. 【請求項10】 nが4である、請求項9のライブラリ。
  11. 【請求項11】 (A3) がEGNK、ENGK、QGSF又はVWQL
    である、請求項10のライブラリ。
  12. 【請求項12】 A1がT及びA5がTである、請求項11のライブラリ。
  13. 【請求項13】 A2がW又はLである、請求項12のライブラリ。
  14. 【請求項14】 A4がW又はLである、請求項13のライブラリ。
  15. 【請求項15】 環状ペプチドが少なくともファージコートタンパク質の一
    部分へ融合し、環状ペプチドがファージ又はファージミドの表面に表示される、
    請求項1のライブラリ。
  16. 【請求項16】 a)請求項1のライブラリを提供すること; b)特定の位置A1、A2、A3、A4、又はA5の一つのアミノ酸が異なる、
    少なくとも二つのペプチドを段階a)のライブラリから選択すること; c)段階b)のペプチドのコンホメーションを決定すること; d)段階b)のペプチドの相対自由エネルギーを測定し比較すること; e)コンホメーション的に安定化したβ−ヘアピン骨格を有するペプチドを選択
    すること、の段階を含んでなる、コンホメーション的に安定化したβ−ヘアピン
    骨格を有するペプチドをスクリーニングする方法。
  17. 【請求項17】 a)請求項1のライブラリを提供し、 b)段階a)のライブラリを結合パートナーと接触せしめ、 c)結合パートナーと非共有複合体を形成することが可能なペプチドをライブラ
    リペプチドより選択すること;及び d)選択的に段階c)のペプチドを単離すること、 の段階を含んでなる、特異的な結合パートナーと結合することが可能なペプチド
    を同定する方法。
  18. 【請求項18】 結合パートナーが、抗原、抗体、酵素、酵素基質、レセプ
    ター、及びリガンドから成る群から選択される、請求項17の方法。
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