JP2003347159A - 薄膜電子部品及びその製造方法 - Google Patents

薄膜電子部品及びその製造方法

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JP2003347159A
JP2003347159A JP2002158221A JP2002158221A JP2003347159A JP 2003347159 A JP2003347159 A JP 2003347159A JP 2002158221 A JP2002158221 A JP 2002158221A JP 2002158221 A JP2002158221 A JP 2002158221A JP 2003347159 A JP2003347159 A JP 2003347159A
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thin
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film electronic
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Hiroyuki Fujimori
博行 藤森
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はチッピングに起因する信頼性の低下
を防止し、安定した電気的特性が得られると同時に薄型
化を可能にした薄膜電子部品を提供する。 【解決手段】本発明は、絶縁基板2上に、薄膜電子部品
素子を形成し、さらに該薄膜電子部品素子上部に保護層
6が形成された薄膜電子部品であり、絶縁基板2の一方
主面の外周端部に切り欠き段差部9を周設した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICクロック周波
数の高周波化をはじめとするデジタル端末の高速化、高
機能化、高精度化の機能を十分に満足するため、要求さ
れてきている薄膜電子部品で、中でも近年ますます高速
になるデジタル回路において必要とされてきた小型で薄
型の電子部品である薄膜電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のコンピューター市場において小型
化、高速化が進められ、これらに用いられる電子部品に
はおいては、高速化、高性能化、高機能化に対応しうる
機能が求められるようになってきている。
【0003】上記のような電子部品の中でもとくにIC
の小型高速化はその勢いに衰えが感じられなく、メイン
フレーム、ワークステーション等の大型コンピューター
においては、低インダクタンス化、低背化が特に強く要
求されるという現状がある。これに伴い、ICと近接し
て搭載される受動部品であるコンデンサ等の電子部品も
ICと同様に高周波に対して優れた特徴を持つという高
性能化が要求されている。
【0004】そのような電子部品として薄膜電子部品、
例えば、薄膜コンデンサが例示され、大型コンピュータ
ーにおいてはICチップの周りに表面実装されるデカッ
プリングコンデンサとして使用される。
【0005】図5は、薄膜電子部品の一例である薄膜コ
ンデンサ51の断面構造図を示す。薄膜コンデンサ51
は、絶縁基板52、薄膜下部電極層53、薄膜誘電体層
54、薄膜上部電極層55、保護層56及び外部端子5
7a、57bとから構成されていた。
【0006】絶縁基板52の一方主面には順次薄膜下部
電極層53、薄膜誘電体層54、薄膜上部電極層55、
保護層56が積層され被着形成されており、さらに表面
には夫々前記薄膜下部電極層53、薄膜上部電極層55
から導出される外部端子57a、57bが導出されてい
た。
【0007】また、上述のような薄膜コンデンサの製造
工程にあたっては、複数の薄膜コンデンサを一括的に抽
出できるように、複数の素子領域を有する大型絶縁基板
基板を用い、各個の薄膜コンデンサ素子が並設するよう
に形成され、ウエハーからカットされ分割されることに
より個々の薄膜コンデンサとして作製されていた。
【0008】尚、大型絶縁基板の一方主面に薄膜コンデ
ンサを形成しカットする際、大型絶縁基板の分割部での
割れの発生を抑えるために絶縁基板52の材料としては
高硬度材料、例えば、サファイアや、GaN等を用いる
ことが必要になっていた。
【0009】また、具体的なカットの方法としては、こ
れまでスクライブによりスクライブラインを入れ該スク
ライブラインに沿って押し刃やブレイクローラーを用い
てブレイク分割を行なう方法や、砥粒の付いたワイヤー
をワイヤーソーとして用いる方法、回転刃によるダイシ
ングソーを用いた方法などがあるが、例えば、スクライ
ブではダイヤモンドポイントの磨耗が大きいという問題
があるだけでなく、寿命が短く使いにくいこととカット
精度が悪いという問題があるため、精度の高い分割を必
要とする電子部品や半導体等では、ダイシングソーを用
いることが多かった。
【0010】さらに、薄膜コンデンサの薄型化を達成す
るために個々の薄膜コンデンサにカットされる前の大型
絶縁基板、即ち絶縁基板自体も薄型化されることが必要
になっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、絶縁基
板の材料としてサファイアや、GaN等の高硬度材料を
用いると、容易にカットすることが困難になるという問
題があった。
【0012】また、このサファイアや、GaN等を用い
てカットする具体的な方法は、前述のようにダイシング
を用いてフルカットする方法が多用されている。しかし
このダイシングで切断しても、絶縁基板52の外周端部
で過大な応力がブレードから絶縁基板の表面側に上向き
にかかり、図6に示すように絶縁基板52の外周端部で
のチッピング(チップの欠け)Cが発生してしまうとい
うという問題があった。
【0013】尚、大きなチッピングCが発生すると、チ
ッピングCによる割れが内部に広がりやすくなり薄膜電
子部品素子上部及び該薄膜電子部品素子の外周に覆うよ
うに形成した保護層56の下面の絶縁基板52自体を破
壊してしまう危険があり、そのような場合には前記保護
層56も同時に破壊されるため、湿度等の周囲の環境に
対する影響を直接受けてしまうことになる場合があっ
た。このように絶縁基板52だけでなく保護層56も同
時に破壊されると、コンデンサの絶縁抵抗値を劣化させ
てしまい、コンデンサの絶縁性が損なわれてしまいショ
ートという不具合を発生させていた。
【0014】本発明は、上述の問題に鑑みて案出された
ものであり、その目的は、絶縁基板の外周端部で製造工
程中に発生するチッピングを完全に防止し、もって、絶
縁抵抗値なとの特性を安定化させることができる薄膜電
子部品及びその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、絶縁基板の一
方主面に薄膜電子部品素子を形成し、該薄膜電子部品素
子を保護層にて被覆して成る薄膜電子部品において、前
記絶縁基板の一方主面の外周端部には、該保護層と離間
して切り欠き差部が周設されていることを特徴とする薄
膜電子部品である。
【0016】また、前記絶縁基板の厚みT、前記切り欠
き段差部の厚み方向の深さをD、切り欠き段差部の横方
向の幅をLとした時、D/Tが0.3〜0.55であ
り、且つL/Dが0.27以上である。
【0017】さらに、その製造方法は、複数の素子領域
が抽出しえる大型絶縁基板を用意する工程と、前記各素
子領域の一方主面に薄膜電子部品素子を形成し、該薄膜
電子部品素子を被覆する保護層を被着形成する工程と、
前記大型絶縁基板の一方主面の各素子領域境界線に、前
記大型絶縁基板の厚み途中まで到達する切り欠き溝部を
形成する工程と、前記切り欠き溝部の一部が絶縁基板の
外周端部に残存するように、前記切欠き溝部の底面にて
各素子領域に切断する工程と、からなる薄膜電子部品の
製造方法である。
【作用】本発明の構成によれば、薄膜電子部品素子が表
面に形成される絶縁基板の、薄膜電子部品素子が形成さ
れる一方主面の端辺に切り欠き段差部が周設されてい
る。
【0018】これにより、大型絶縁基板から各素子に切
断される際に、切断される端面においてチッピングの発
生を防ぐことができるようになる。また、切り欠き段差
部下面においてチッピングが発生し絶縁基板内側へ広が
っていった場合にも、切り欠き段差部の側壁部において
絶縁基板がバルク状態になっているので、チッピングが
絶縁基板内部に大きく広がり、保護層下面の絶縁基板自
体を破壊してしまうことを防ぐことができるようにな
る。
【0019】尚、前記絶縁基板の厚みT、前記切り欠き
段差部の厚み方向の深さをD、切り欠き段差部の横方向
の幅をLとした時、D/Tが0.3〜0.55であり、
且つL/Dが0.27以上となるようにしている。これ
により、前記切欠き段差部となる切り欠き溝部を形成す
る際、さらに、大型絶縁基板を切断する際にも、チッピ
ングやクラックが絶縁基板に発生することを一切なくす
ることができる。即ち、これにより、基板の切断部分に
おいて、ブレードが基板に対して平行に近い状態で切欠
き溝部を形成でき、また、切断時においては、切断端面
の上部を引っ掛けることがなくなり、チッピングの発生
を有効に防ぐことができる。
【0020】結局、大きなチッピングを発生させること
を防ぎ、電気的特性の信頼性に優れた薄膜電子部品を提
供することが可能になり、同時に薄型化及び小型化した
薄膜電子部品を提供することを可能にし、また、そのよ
うな薄膜電子部品の製造方法を提供することが可能にな
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の薄膜電子部品であ
る薄膜コンデンサを図面に基づいて詳説する。
【0022】尚、説明では、薄膜電子部品として薄膜コ
ンデンサを用いて示すが、それ以外に絶縁基板上に抵抗
体層、インダクタンス層など形成された薄膜抵抗、薄膜
インダクタや薄膜ヒューズなどの薄膜チップ部品などで
あってもよい。図1は本発明の薄膜電子部品である薄膜
コンデンサの側断面図であり、図2は大型絶縁基板から
各素子領域に切断される状態を示す隣接しあう素子領域
の部分断面図ある。
【0023】本発明の薄膜コンデンサ1は、主に支持基
板となる絶縁基板2、薄膜下部電極層3、機能層である
薄膜誘電体層4、薄膜上部電極層5、保護層6及び外部
接続用電極7a、7bとから構成されている。そして、
薄膜下部電極層3、機能層である薄膜誘電体層4、薄膜
上部電極層5により薄膜電子部品素子が形成される。
【0024】絶縁基板2は高硬度材料で単結晶基板であ
る、例えばサファイアや、GaN等からなり、前記絶縁
基板2の形状は略矩形状に形成されている。一方主面
(実装面となる側の主面)には薄膜コンデンサ素子が被
着形成されており、絶縁基板2の前記一方主面の端辺に
は切り欠き段差部9が周設されている。
【0025】薄膜コンデンサ素子は、絶縁基板2の一方
の主面には薄膜金属層を所定形状にパターンニングした
薄膜下部電極層3が被着形成されており、さらに、所定
形状の薄膜誘電体層4、所定形状の薄膜上部電極層5が
被着形成されることにより形成されている。さらに、前
記薄膜上部電極層5上には、外部端子7a、7bが形成
される領域を除いて保護層6が被着形成されている。
【0026】尚、上述の薄膜下部電極層3、薄膜誘電体
層4、薄膜上部電極層5のパターンニングにより、少な
くとも薄膜誘電体層4を薄膜下部電極層3と薄膜上部電
極層5とで狭持した容量発生領域を形成しており、薄膜
誘電体層4の誘電率、厚み、及び対向しあう薄膜下部電
極層3及び薄膜上部電極層5の対向面積により容量値が
決定される。また、薄膜下部電極層3は、容量発生領域
から延出して外部端子7aと接続するために外部導出電
極70aと接続している。また、薄膜上部電極層5また
は容量発生領域から延出する外部導出電極70bは、外
部端子7bと接続する領域となる。
【0027】このような薄膜コンデンサ素子の表面には
保護層6が被着形成されている。この保護層6のパター
ンニングにより、少なくとも薄膜上部電極層5の一部や
薄膜下部電極層3の一部が露出する貫通穴が形成され、
この貫通穴に半田などのボールグリッドアレイ(BG
A)を形成し外部端子7a、7bへと導出している。薄
膜下部電極層3は、例えば金(Au)、白金(Pt)、
銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、クロム(C
r)及びニッケル(Ni)などの金属材料からなる薄膜
金属層を、フォトリソグラフィ技術により所定形状にパ
ターン化して構成される。尚、薄膜下部電極層3以外に
も、薄膜上部電極層5についても同様である。尚、これ
らの金属材料のうち、薄膜誘電体層4との反応性が小さ
く、酸化されにくい金(Au)や抵抗の低い銅(Cu)
や取り扱いが容易なチタン(Ti)、及びニッケル(N
i)などが最適である。また、それらの金属材料を単層
に用いたり、積層状態で用いたりすることもできる。そ
の膜厚は、高周波領域でのインピーダンス膜の被覆性を
考慮して0.3〜0.5μmとなっている。
【0028】薄膜誘電体層4は高周波領域において高誘
電率を有するものであればよいが、その膜厚は1μm以
下が望ましい。薄膜誘電体層4は、ペロブスカイト型酸
化物結晶からなる誘電体材料で、例えばPb(Mg,N
b)O3系、Pb(Mg,Nb)O3−PbTiO3系、
Pb(Zr,Ti)O3系、Pb(Mg,Nb)O3−P
b(Zr,Ti)O3系、(Pb,La)ZrTiO
3系、BaTiO3系、(Sr,Ba)TiO3系、ある
いはこれに他の添加物を添加したり、置換した化合物で
あってもよく、特に限定されるものではない。
【0029】また、薄膜誘電体層4の膜厚は、高容量と
絶縁性を確保することも考慮すると0.3〜1.0μm
が望ましい。これは0.3μmよりも薄い場合には被覆
性が悪化し、絶縁性が低下する場合があり、また逆に
1.0μmよりも厚い場合には、容量が小さくなる傾向
がある。具体的には測定周波数300MHz(室温)で
の比誘電率が1000以上の材料を用いて誘電体薄膜4
を形成することが望ましい。このような薄膜誘電体層4
は、スパッタ法、PVD法、CVD法、ゾルゲル法等の
公知の方法に絶縁基板1の薄膜下部電極層3上の全面に
誘電体層を形成し、フォトリソグラフィ技術によりパタ
ーン化して形成する。
【0030】また、保護層6は、容量発生領域の表面を
保護するためのものであり、例えば、Si3N4、Si
O2、ポリイミド樹脂及びBCB(ベンゾシクロブテ
ン)等から構成されている。保護層6は外部端子7a、
7bが形成される領域を残して薄膜上部電極層5を完全
に覆うよう、即ち、絶縁基板1の一方主面側を被覆する
よう形成されている。
【0031】上述の薄膜コンデンサは以下のようにして
製造される。
【0032】厚みT≒0.1mm(φ4inch)R面のサ
ファイア単結晶基板である大型絶縁基板を用意する。こ
の大型絶縁基板は、複数の素子領域を含むものであり、
最終的に切断工程により、絶縁基板上に容量形成領域を
有する薄膜コンデンサ素子となる。
【0033】この大型絶縁基板の各素子領域には、スパ
ッタ機にて、密着層となるTiと電極層となるAuの順
でそれぞれ0.1μm、0.5μmの厚みで薄膜下部電
極層3を形成する。そして、薄膜下部電極層3のパター
ンは、ポジレジストを用いフォトリソ工程で、エッチン
グによってパターンニングを行った。
【0034】次に、誘電体ターゲットを用いて、誘電体
を600℃の高温でスパッタし薄膜下部電極層3と同様
にフォトリソ加工を用い、薄膜誘電体層4をウエットエ
ッチングする。尚、パターン形状は一定の間隔をおいて
円形状の非形成部を形成するようにしているが、そのよ
うに最終的に外部端子を形成する取り出し部である前記
非形成部をエッチングすることにより取り除いたパター
ンとしている。
【0035】次に薄膜上部電極層5となる電極層を、ス
パッタ機を用い、密着層/バリア層を含め複数層を成膜
し、同じく感光性レジストを用いフォトリソエッチング
工程でパターンニングする。
【0036】次ぎに、SiO2ターゲットを用いて保護
層6をスパッタにて成膜し、その後外部端子7a、7b
が形成される部分を前述と同様のフォトリソ工程とRI
E装置を用いてドライ加工で穴をあける。ここで、保護
層6は、各素子領域の境界線から素子領域の中央寄りに
離間領域10を設けて形成する。
【0037】次に、上述の貫通孔部分に粒径の小さい半
田ペーストを用いて印刷を行い、後、250℃前後で焼
成して半田ボールからなる第部端子7a、7bを形成し
た。これによって、図2(a)に示す大型絶縁基板11
の各素子領域に薄膜コンデンサが形成される。
【0038】次に、切り欠き段差部9の形成及び各素子
領域ごとに切断を行なう。まず、図2(b)に示すよう
に、大型絶縁基板11上の各素子領域の境界線Xにそっ
て、最終的に切り欠き段差部9となる切り欠き溝部9a
を形成する。これは、例えば粒度#800 外形55m
m 刃幅200μmの先端が矩形状のブレードを用い
て、例えば、基板11の表面から切り込み量を50μm
で形成する。ここで用いるブレードの材質としてはメタ
ルからなるものを用いることが有効である。レジンブレ
ード等を用いるとブレードと基板の間で発生する摩擦熱
で基板にクラックが入りそこから割れてしまうことがあ
るためである。尚、カット条件は回転数2万rpm、移
動速度(カット速度)1mm/secである。
【0039】次に、各素子領域の切断線Xで切断を行な
う。ここでは、研削能力を上げるため、ブレードの粒度
を変更させ、刃幅を薄くし、他の条件をすべて同じで、
基板11の厚みに対して完全に切断して、各素子領域毎
に分離する。ブレードは、#400と、切り欠き溝部9
aを形成したブレードよりも粒度を粗くしたが、同一以
上の粒度であれば良い。尚、刃幅は150μmにて確認
を行った。ここで重要なのが、ブレードの回転中のブレ
を無くすためフランジの外形はできるだけ大きなものを
用いた方が良い。
【0040】このようして、各々の素子に分離された薄
膜コンデンサ1においては、その絶縁基板2の一方主面
の外周端部に、切り欠き溝部9aの残存として切り欠き
段差部9が周設されていることになる。
【0041】このように大型絶縁基板11の切断にあた
り、切り欠き溝部9aを形成して、その後、切断・分離
処理するという2段階の工程を行なうことにより、チッ
ピング発生の一因であるブレードによる引っ掛けを起こ
しにくくすることができる。
【0042】従来の製造方法では、一度で大型絶縁基板
をフルカットするため、ブレードを絶縁基板52に対し
深く切り込ませる必要があり、そのように深く切り込ま
せた状態ではブレードが絶縁基板の厚み方向に対し略垂
直に切り上げるように動いていた。そのため、絶縁基板
52の特に端面の上端部においてブレードの側面が引っ
かかる状態になりやすく、これにより絶縁基板52の端
面の上端部に上方に向かう力が加わり、チッピングが絶
縁基板52端面の稜線をわずかに削るように入ったり、
絶縁基板52表面を薄く剥ぎ取るように入り、場合によ
っては突発的に大きなチッピングを発生させる一因にな
っていた。これは、特に、絶縁基板52の材料が、サフ
アイアやGaNなどの単結晶基板に特有なR面において
基板表面に対し平行に割断されやすい、即ち、チッピン
グが発生しやすいという特徴によるものである。
【0043】それに対し、本発明では幅の広いブレード
で切り欠き溝部9aを形成して、その後、切り欠き溝部
9aの開口幅よりも狭い幅のブレードで、前記切り欠き
段差部9が形成されるように絶縁基板2をフルカットし
ている。即ち、切り欠き溝部9aの深さとして、約0.
04mmといったわずかな深さの切り込みを入れるだけ
で、図3(a)に示すように第1のブレード8aは絶縁
基板2上面に対し、略平行に接触させるだけでよいとみ
なすことができため、絶縁基板2の端面の上端部に上方
に向かう力を軽減でき、チッピングの発生を抑えること
ができるようになる。
【0044】また、図3(b)に示すように切断工程に
おいても実質的にカットする部分の厚みを薄くすること
ができ、切り欠き溝部9aを形成した時と同じように、
第2のブレード8bについても絶縁基板2に対する角度
を平行に近くすることが可能になる。その結果、絶縁基
板2にチッピングの発生を抑えることが可能になる。ま
た、図4に示すように、絶縁基板2の端辺に切り欠き段
差部9を形成することにより、絶縁基板2を端部薄肉部
Eとバルク部Bを組み合わせた構造にしたと言え、これ
により、絶縁基板2端部にてチッピングが発生した場合
でも、チッピングは端部薄肉部Eからバルク部Bに広が
ることを防ぐことができるようになる。従って、切断処
理において、その作業効率を向上させるため、第2のブ
レード8bに粒度の粗いものを用いてカットしてもよ
い。これにより、個々の薄膜コンデンサをカットし分割
する時に、大きなチッピングの発生を防ぐことができる
ようになった。
【0045】また、切り欠き段差部9は、ブレード8a
の刃先の形状が矩形状エッジのあるものを用いればよ
く、切り込みの深さを管理することもでき、ブレード8
aに磨耗が発生した場合でも切り込み部の形状を安定し
て加工することが容易になる。また保護層6端部と絶縁
基板2端面との離間距離(マージン寸法)Mが0.1m
m程度以上に設定することにより、切り欠き溝部9aを
形成した時に、非常に微小なチッピングが発生しても、
また、図4に示すチッピングが発生しても、保護層6と
して機能を低減されることがないことを確認した。
【0046】また、図2(c)に示すように、絶縁基板
2の厚みT、切り欠き段差部9の厚み方向の深さをD、
切り欠き段差部の横方向の幅をLとした時、D/Tが
0.3〜0.55であり、且つL/Dが0.27以上で
あることが重要であることを見いだした。
【0047】
【表1】
【0048】表の結果から明らかのように、D/Tが
0.3未満では、切り欠き段差部9が浅くなり過ぎてし
まい、切断処理において、第2のブレード8bによって
カットする際に、絶縁基板2の端部薄肉部Eの端面上方
(Eu部)にてチッピングを発生させるおそれがあるた
めである。例えば、絶縁基板2はサファイア基板等であ
り表面方向に裂けやすいため、段差部の深さDを充分深
くしなければ、チッピングの発生を防ぐことはできな
い。逆に、D/Tが5.5を越え、ブレード8aが絶縁
基板2に対して深く切り込んだ時点で前記絶縁基板2平
坦部に対する角度が平行から直角に近づくため、バルク
部B端面上方(Bu部)においてチッピングを発生させ
やすくなってしまう。これは、絶縁基板2の厚みTが、
略0.1mmの場合だけでなく、0.15mmの場合に
ついても確認した。
【0049】さらに、切り欠き段差部9の厚み方向の深
さをD、切り欠き段差部の横方向の幅をLとした時、L
/Dが0.27以上であることが重要となる。
【0050】
【表2】
【0051】L/Dの値が0.27未満では、相対的に
段差部9の横寸法Lが短くなるため、段差部9の端面上
部にてチッピングが発生しやすくなるためである。理由
としては、例えば、切断工程において第2のブレード8
bが段差部9の端面上方に接触することやチッピングが
バルク部Bに広がるのを抑えることができないことが挙
げられる。
【0052】尚、上限については、特に規定はしていな
いが、絶縁基板2の離間距離(マージン寸法)Mを大き
くすることが必要となり、言い換えれば、絶縁基板2の
面積を増大させることに他ならず、薄膜コンデンサを小
型化させることに反してしまうことになる。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、薄膜コン
デンサの薄膜コンデンサ素子を形成している主面の端辺
に切り欠き段差部を周設した。これにより、薄膜電子部
品の製造工程中、例えば切断工程で大小何れのチッピン
グが発生することを防ぎ、電気的特性の信頼性の高い薄
膜電子部品素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜電子部品の一例である薄膜コンデ
ンサの断面図である。
【図2】本発明の薄膜電子部品の主要な製造方法を説明
するための部分断面図であり、(a)は、大型絶縁基板
状態の部分断面図、(b)は切り欠き溝部を形成した状
態の部分断面図、(c)は切断した状態の部分断面図で
ある。
【図3】(a)は本発明の薄膜電子部品の切り欠き溝部
を形成するブレードの動作を説明する概略図であり、
(b)は切断を行なうブレードの動作を説明する概略図
である。
【図4】本発明の薄膜電子部品のチッピングが発生した
状態の要部断面図である。
【図5】従来の薄膜コンデンサの断面図である。
【図6】従来の薄膜電子部品のチッピングが発生した状
態の要部断面図である。
【符号の説明】
1・・・薄膜電子コンデンサ 1a・・・薄膜コンデンサ素子 2・・・絶縁基板 3・・・薄膜下部電極層 4・・・薄膜誘電体層 5・・・薄膜上部電極層 6・・・保護層 7a、7b・・・外部端子 8a・・・第1のブレード 8b・・・第2のブレード 9・・切り欠き段差部 9a・・切り欠き溝部 51・・・薄膜コンデンサ 52・・・絶縁基板 53・・・薄膜下部電極層 54・・・薄膜誘電体層 55・・・薄膜上部電極層 56・・・保護層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板の一方主面に薄膜電子部品素子
    を形成し、該薄膜電子部品素子を保護層にて被覆して成
    る薄膜電子部品において、 前記絶縁基板の一方主面の外周端部には、該保護層と離
    間して切り欠き段差部が周設されていることを特徴とす
    る薄膜電子部品。
  2. 【請求項2】 前記絶縁基板の厚みT、前記切り欠き段
    差部の厚み方向の深さをD、切り欠き段差部の横方向の
    幅をLとした時、D/Tが0.3〜0.55であり、且
    つL/Dが0.27以上であることを特徴とする請求項
    1記載の薄膜電子部品。
  3. 【請求項3】 複数の素子領域が抽出しえる大型絶縁基
    板を用意する工程と、前記各素子領域の一方主面に薄膜
    電子部品素子を形成し、該薄膜電子部品素子を被覆する
    保護層を被着形成する工程と、 前記大型絶縁基板の一方主面の各素子領域境界線に、前
    記大型絶縁基板の厚み途中まで切り欠き溝部を形成する
    工程と、 前記切り欠き溝部の一部が、絶縁基板の外周端部に残存
    するように、前記切欠き溝部の底面にて各素子領域に切
    断する工程と、からなることを特徴とする薄膜電子部品
    の製造方法。
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