JP2003344224A - 動力伝達系の試験装置とその制御方法 - Google Patents
動力伝達系の試験装置とその制御方法Info
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Abstract
ナモメータの発生トルクを与えて試験を行うことを可能
とする。 【解決手段】 動力源を含む動力伝達系の試験装置1で
あって、動力源に接続されるダイナモメータ3と、該ダ
イナモメータ3の実速度を検出する速度検出手段4と、
一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータ3の速度を
推定し、その推定速度ωm^と前記実速度ωmとの偏差に
比例ゲインGを積算することにより、動力源の発生トル
クTe^を推定し、この動力源の発生トルクTe^に基づ
いて前記ダイナモメータ3の発生トルクTmを制御する
制御手段5とを備える動力伝達系の試験装置1を提供す
る。
Description
験装置とその制御方法に関するものである。
特許第3158461号公報に開示されているものがあ
る。この試験装置は、車両の性能試験や耐久試験を室内
で行うために動力伝達系に動力吸収手段として接続され
るダイナモメータを備え、該ダイナモメータの発生トル
クを制御することにより、動力伝達系に、実際の車両と
等価な慣性を負荷して、実車走行を模擬した試験を可能
としている。
験装置においては、ダイナモメータの発生トルクを制御
するために、ダイナモメータの速度を検出し、その速度
の微分値を計算することにより、ダイナモメータの加速
度を求めている。このため、得られるダイナモメータの
加速度値にノイズが発生しやすく高精度にダイナモメー
タの発生トルクを制御することが困難であった。
ーダやレゾルバのような位置検出手段によって行う場合
には、ダイナモメータの加速度値を得るために、検出し
た位置情報を2階微分しなければならず、さらに精度が
低下するという問題がある。これらの場合に、検出期間
を長くすれば、ある程度の精度・分解能の向上を図るこ
とができるものの、検出に遅れを生ずることになるの
で、好ましくない。また、ダイナモメータの出力軸にト
ルク変換器を取り付けることにより、発生トルクを直接
的に検出することも考えられるが、軸の剛性等の影響に
よって過渡的に振動や誤差が発生する等の問題も考えら
れる。
たものであって、動力源を含む動力伝達系に対して、適
正なダイナモメータの発生トルクを与えて試験を行うこ
とを可能とする動力伝達系の試験装置とその制御方法を
提供することを目的としている。
に、この発明は、以下の手段を提供する。請求項1に係
る発明は、動力源を含む動力伝達系の試験装置であっ
て、動力伝達系に接続されるダイナモメータと、該ダイ
ナモメータの実速度を検出する速度検出手段と、一慣性
系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推定し、
その推定速度と前記実速度との偏差に基づく補償を行う
ことにより、動力源の発生トルクを推定し、この動力源
の発生トルクに基づいて前記ダイナモメータの発生トル
クを制御する制御手段とを備える動力伝達系の試験装置
を提供する。
速度を求めるとともに、該推定速度と実速度との偏差を
とることにより、ダイナモメータの実速度を微分する処
理を排除したので、動力源の発生トルクを高い精度で推
定することが可能となる。これにより、動力源の発生ト
ルクに基づいてダイナモメータの発生トルクを制御する
ことができ、動力源を適正に試験することが可能とな
る。
れた動力伝達系の試験装置において、前記制御装置が、
前記速度検出手段の有する速度検出の遅れと同等の遅れ
を持たせて、ダイナモメータの速度推定を行う試験装置
を提供する。この発明によれば、検出される実速度と推
定される推定速度との差の発生を抑制し、さらに精度の
高いダイナモメータの発生トルクの制御を行うことが可
能となる。
伝達系に接続されたダイナモメータの実速度を検出し、
一慣性系をモデルとしてダイナモメータの速度を推定
し、検出された実速度と推定された推定速度との偏差に
比例ゲインを積算することにより、動力源の発生トルク
を推定し、推定された動力源の発生トルクに基づいて、
ダイナモメータの発生トルクを制御する動力伝達系の試
験装置制御方法を提供する。請求項1に係る発明と同様
に、動力伝達系の試験を適正に行うことが可能となる。
動力伝達系の試験装置とその制御方法について、図面を
参照して説明する。本実施形態に係る動力伝達系の試験
装置は、例えば、車両用エンジンの試験装置1であっ
て、図1に示されるように、エンジン2に接続されるダ
イナモメータ3と、ダイナモメータ3の実速度を検出す
る速度センサ4と、ダイナモメータ3の発生トルクを制
御する制御装置5とを備えている。
その発生トルクを制御することによって、エンジン2に
かける負荷を調整することにより、実際に走行する車両
の走行抵抗によってエンジン2に加えられるトルク負荷
を模擬することができるようになっている。また、前記
速度センサ4は、例えば、タコジェネレータである。
に、エンジントルクオブザーバ6を備えている。これ
は、以下の考え方に基づいている。すなわち、実車にお
けるエンジン2の発生トルクTe、エンジン2を含む全
体の慣性量(エンジン軸換算)Jcとすれば、エンジン
軸での加速度αcが、 αc=Te/Jc (1) となる。試験装置におけるダイナモメータ3の発生トル
クTm、ダイナモメータ3の慣性量Jmとすれば、ダイナ
モメータ3の加速度αmは、 αm=(Te−Tm)/Jm (2) となる。
擬するには、条件αc=αmが成立すればよい。そこで、
αc=αmを条件として、上記式(1),(2)から加速
度を消去すると、 Tm=((Jc−Jm)/Jc)・Te (3) となり、エンジントルクTeを知ることができれば、上
記式(3)によってダイナモメータ3の発生トルクTm
を制御することが可能となることがわかる。
遅れなく正確に検出することは困難であるため、エンジ
ントルクオブザーバ6を用いてエンジントルクTeを推
定し、これを用いてダイナモメータ3の発生トルクTm
を算出する。本実施形態においては、エンジントルクオ
ブザーバ6は、速度推定部7と、トルク推定部8とを備
えている。速度推定部7は、エンジントルクTeに対し
てダイナモメータ3のトルクTmが変動したときのダイ
ナモメータ3の速度を推定する部分であって、一慣性系
をモデルとしている。また、前記トルク推定部8は、比
例要素のみからなるオブザーバゲインGにより構成され
ている。その結果、このエンジントルクオブザーバ6は
最小次元オブザーバとなっている。
3と等価な対象を表す一慣性系のモデルであり、推定さ
れたエンジントルクTeと該エンジントルクTeに基づい
て算出されたダイナモメータ3のトルクTmとの偏差を
入力することにより、ダイナモメータ3の推定速度ωm
^(図2等の中において、ωmまたはTeの上に「^」を
付した推定値を示す記号を、文章中では便宜上、ωmま
たはTeの右側に「^」を付すことにより示すことにす
る。)を出力することができるようになっている。ま
た、トルク推定部8には、上記のようにして得られたダ
イナモメータ3の推定速度ωm^に、前記速度センサ4
により検出されたダイナモメータ3の実速度ωmを負帰
還することによって得られた速度偏差が入力され、エン
ジントルク推定値Te^が出力されるようになってい
る。
の試験装置1のブロック図を示す。ダイナモメータ3
は、直結されているエンジン2からエンジントルクTe
を供給されるとともに、制御装置5からダイナモメータ
3の発生トルク指令Tm *を入力される。ダイナモメータ
3は、慣性量Jmを備える一慣性系と考えられ、該一慣
性系にエンジントルクTeと発生トルク指令Tmとが入力
され、速度センサ4によって検出された実速度ωmが出
力される。
オブザーバ6と、該エンジントルクオブザーバ6により
推定されたエンジントルク推定値Te^に基づいて、上
記式(3)によりダイナモメータ3の発生トルク指令T
m *を出力する指令値演算部9とを備えている。指令値演
算部9からの出力は、エンジントルクオブザーバ6に戻
されるようになっている。
両エンジン2の試験装置1によれば、エンジントルクオ
ブザーバ6によりエンジン2の発生トルクTeを推定す
るので、検出することが困難なエンジン2の発生トルク
Teを検出された速度から簡易に得ることができる。こ
の場合において、本実施形態ではエンジントルクオブザ
ーバ6が、速度センサ4により得られた実速度ωmを微
分してエンジン2の発生トルクTeを得るのではなく、
ダイナモメータ3を模擬した一慣性系をモデルとしてダ
イナモメータ3の速度を推定し、当該推定速度ωm^と
前記実速度ωmとの差分をとった上で、比例要素のみか
らなるオブザーバゲインGをかけるという方法によりエ
ンジン2の発生トルクTeを推定するので、信号処理に
おいてノイズを生じやすい微分処理をなくして、高精度
かつ高分解能にエンジン2の発生トルクTeを推定する
ことが可能となる。そして、このようにして推定された
エンジン2の発生トルク推定値からダイナモメータ3の
発生トルク指令Tm *を出力するので、ダイナモメータ3
を適正に制御して、より実車に近く、高応答に慣性を模
擬した性能試験を行うことができる。
3の慣性量Jmに対して、エンジントルオブザーバ6に
設定された慣性量Jm’とし、ダイナモメータ3へのト
ルク指令値Tmに対して、エンジントルク推定値Te^に
基づく制御装置5からのダイナモメータ3のトルク指令
値Tm *とし、ダイナモメータ3の実速度ωmに対して検
出速度ωm’と表現する。ここで、慣性量Jm,Jm’、
ダイナモメータ3へのトルク指令値Tm,Tm *、ダイナ
モメータ3の速度ωm,ωm’に誤差が存在しない(Jm
=Jm’,Tm=Tm *,ωm=ωm’)とすれば、ダイナモ
メータ3の速度ωmとダイナモメータ3へのトルク指令
値Tmとの関係は、図3から下式(4)の通りとなる。
また、この式(4)を整理することにより、式(5)が
導かれる。
速度ωmとトルクTe,Tmとの関係から、式(5)は次
式(6)のように変形される。
をeJm=Jm’/Jm、ダイナモメータ3のトルク指令値
Tmの誤差をeT=Tm/Tm *とすると、エンジントルク
推定値Te^は、エンジントルクTeとの関係から次式
(7)のように表される。
るエンジントルク推定値の誤差eTeおよびその逆数とし
て表される模擬すべき慣性量Jcの誤差eJcは、以下の
式(8)により示される。
含む車全体の慣性量Jcとダイナモメータ3の慣性量Jm
との比である電気慣性比Jc/Jmが大きい場合には、ト
ルク推定値の誤差が支配的になることがわかる。また、
速度検出は、検出分解能の関係から、実用的には時定数
2〜3msec程度の一次遅れフィルタを必要とする。
そこで、実速度ωmと検出速度ωm’との関係を時定数T
cの一次遅れの関係とすることが実情に合っている。ま
た、ダイナモメータ3のトルク指令Tm *に対する実際の
ダイナモメータ3のトルク指令値Tmの遅れは、モータ
制御の特性に依存するものの、約1msec程度と考え
られるので、上述した速度検出の遅れに対しては無視し
得るものと考えられる。
バ6を用いた電気慣性制御系は図4のように整理でき
る。図4中、符号10は、速度センサを示す一次遅れ要
素である。そして、この図4および図3からエンジント
ルク推定値Te^は式(9)の通りとなる。
cの大きさによって減衰係数ζが変化する2時遅れ要素
となる。電気慣性比Jc/Jmと減衰係数ζとの関係を図
5に示す。Jc/Jm<1となるマイナス慣性の時に減衰
係数ζ>1となるため応答遅れが大きくなる。このこと
は、速度検出の一次遅れ10に起因して実速度ωmと検
出速度ωm’との差が大きくなっているためであると考
えられる。そこで、図6に示すように、エンジントルク
オブザーバ6における速度推定値ωm’の演算に、速度
検出の一次遅れ要素10と同じ一次遅れ要素11を挿入
すれば、マイナス慣性制御時の応答遅れが改善できるこ
とになる。
0rpmの誘導モータを対向させ、一方のモータでステ
ップ上に変化するエンジントルクを模擬し、もう一方の
モータで電気慣性制御を行った場合の実施例を示してい
る。各実施例のデータは以下の通りである。 (実施例1)実施例1の結果を図7に示す。実施例1は
以下の実施条件に基づいている。 電気慣性比 Jc/Jm:100 オブザーバゲイン G :15 エンジントルク Te :58Nm(100%) ダイナモメータの慣性量 Jm:約0.18kgm2 速度検出時定数 Tc : 3msec トルク指令時定数 : 2msec
す。実施例2は以下の実施条件に基づいている。 電気慣性比 Jc/Jm:400 オブザーバゲイン G :15 エンジントルク Te :58Nm(100%) ダイナモメータの慣性量 Jm:約0.18kgm2 速度検出時定数 Tc : 3msec トルク指令時定数 : 2msec
す。図中、トルク推定値を示す2本のグラフは、速度検
出の時定数を考慮した図6の対策を行ったものと対策の
ないものをそれぞれをそれぞれ示している。実施例3は
以下の実施条件に基づいている。 電気慣性比 Jc/Jm:0.33 オブザーバゲイン G :15 エンジントルク Te :29Nm(50%) ダイナモメータの慣性量 Jm:約0.18kgm2 速度検出時定数 Tc : 3msec トルク指令時定数 : 2msec
態に係る動力伝達系の試験装置1によれば、検出した速
度を微分することなく、エンジントルクTeを精度よく
推定して、ダイナモメータ3の発生トルクの制御を適正
に行うことができ、所望の慣性量を精度よく高い応答速
度で模擬することができるという効果がある。また、マ
イナス慣性制御時においても、過大な応答遅れを生じる
ことなく、所望の慣性量を精度よく模擬することができ
る。
ジン2の試験装置1を例に挙げて説明したがこれに限定
されるものではない。また、上記各実施例においては、
実験条件を例示して説明したが、実際の運用にあたって
は、これらの条件に何ら限定されるものではなく、模擬
すべき動力源の形態に合わせて、任意の条件に適用させ
ることができる。
動力伝達系の試験装置とその制御方法によれば、検出し
た速度を微分することなく、エンジントルクを高い精度
で推定することができる。これにより、精度よく推定し
た動力源の発生トルクに基づいてダイナモメータの発生
トルクを制御することができ、動力源に対し適正な試験
を行うことができるという効果を奏する。
験装置の基本構成を示すブロック図である。
ーバの基本構成を示すブロック図である。
制御の制御系の基本構成を示すブロック図である。
れを含めた制御系を示すブロック図である。
フである。
構成を示すブロック図である。
波形を示すグラフである。
波形を示すグラフである。
波形を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 動力源を含む動力伝達系の試験装置で
あって、 動力伝達系に接続されるダイナモメータと、 該ダイナモメータの実速度を検出する速度検出手段と、 一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推
定し、その推定速度と前記実速度との偏差に比例ゲイン
を積算することにより、動力源の発生トルクを推定し、
この動力源の発生トルクに基づいて前記ダイナモメータ
の発生トルクを制御する制御手段とを備える動力伝達系
の試験装置。 - 【請求項2】 前記制御装置が、前記速度検出手段の
有する速度検出の遅れと同等の遅れを持たせて、ダイナ
モメータの速度推定を行う請求項1に記載の動力伝達系
の試験装置。 - 【請求項3】 動力源を含む動力伝達系に接続された
ダイナモメータの実速度を検出し、 一慣性系をモデルとしてダイナモメータの速度を推定
し、 検出された実速度と推定された推定速度との偏差に基づ
く補償を行うことにより、動力源の発生トルクを推定
し、 推定された動力源の発生トルクに基づいて、ダイナモメ
ータの発生トルクを制御する動力伝達系の試験装置制御
方法。
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