JP4639046B2 - 動力伝達系の試験装置とその制御方法 - Google Patents

動力伝達系の試験装置とその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、動力伝達系の試験装置とその制御方法に関する。
従来、動力伝達系の試験装置としては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。
この試験装置は、車両の性能試験や耐久試験を室内で行うために動力伝達系に動力吸収手段として接続されるダイナモメータを備え、該ダイナモメータの発生トルクを制御することにより、動力伝達系に、実際の車両と等価な慣性を負荷して、実車走行を模擬した試験を可能としている。
特許第3158461号公報
しかしながら、特許文献1に示す試験装置においては、ダイナモメータの発生トルクを制御するために、ダイナモメータの速度を検出し、その速度の微分値を計算することにより、ダイナモメータの加速度を求めている。このため、得られるダイナモメータの加速度値にノイズが発生しやすく高精度にダイナモメータの発生トルクを制御することが困難であった。
また、ダイナモメータの速度検出をエンコーダやレゾルバのような位置検出手段によって行う場合には、ダイナモメータの加速度値を得るために、検出した位置情報を2階微分しなければならず、さらに精度が低下するという問題がある。
これらの場合に、検出期間を長くすれば、ある程度の精度・分解能の向上を図ることができるものの、検出に遅れを生ずることになるので、好ましくない。
また、ダイナモメータの出力軸にトルク変換器を取り付けることにより、発生トルクを直接的に検出することも考えられるが、軸の剛性等の影響によって過渡的に振動や誤差が発生する等の問題も考えられる。
一方、試験対象となる装置、例えば、車両(供試体側)の慣性量が制御時に必要となる。この場合、エンジン、トランスミッション、ディファレンシャルギア等は慣性量が不明なことが多い。
また、トランスミッション等、ギアのかけかえをするものは、車両(供試体側)とダイナモメータとを接続する軸から見た車両(供試体側)の慣性量が変化するために、制御設定を切り替えることが必要となるが、制御設定のタイミングが難しく、また制御遅れが問題となる。
このように、車両(供試体側)の慣性量を正確に把握し、これに基づいてダイナモメータの発生トルクを制御することは困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、供試体側の慣性量が判らなくても、動力源を含む動力伝達系に対して、適正なダイナモメータの発生トルクを与えて試験を行うことを可能とする動力伝達系の試験装置とその制御方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、動力源を含む動力伝達系の試験装置であって、前記動力伝達系に接続されたダイナモメータと、前記動力伝達系と前記ダイナモメータとを接続する軸と、前記ダイナモメータの実速度を検出する速度検出手段と、前記ダイナモメータの前記軸に対する発生トルクを制御するトルク指令値を前記ダイナモメータに出力する制御手段とを備え、前記ダイナモメータは、前記軸の軸トルクと前記制御手段から出力されたトルク指令値とに基づいて、加速度を出力し、前記速度検出手段は、前記ダイナモメータから出力された加速度に基づいて、前記ダイナモメータの実速度を検出し、前記制御手段は、前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推定する加速度推定部該加速度推定部で推定された加速度から前記ダイナモメータの速度を推定する速度推定部、及び、該速度推定部で推定された速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸トルクを推定する軸トルク推定部を具備する軸トルクオブザーバと、該推定された軸トルク、並びに、予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量及び模擬する慣性量の目標値に基づいて前記トルク指令値を演算し、該トルク指令値を前記ダイナモメータに出力するトルク指令値演算部とを有し、前記加速度推定部は、前記軸トルク推定部で推定した軸トルクの値と前記ダイナモメータに入力された前記トルク指令値との偏差及び前記ダイナモメータ側の慣性量に基づいて前記ダイナモメータの速度を推定することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、動力伝達系の動力源を模擬して前記動力伝達系に接続されたダイナモメータと、前記動力伝達系と前記ダイナモメータとを接続する軸と、前記ダイナモメータの実速度を検出する速度検出手段と、前記ダイナモメータの前記軸に対する発生トルクを制御するトルク指令値を前記ダイナモメータに出力する制御手段とを備え、前記ダイナモメータは、前記軸の軸トルクと前記制御手段から出力されたトルク指令値とに基づいて、加速度を出力し、前記速度検出手段は、前記ダイナモメータから出力された加速度に基づいて、前記ダイナモメータの実速度を検出し、前記制御手段は、前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推定する加速度推定部該加速度推定部で推定された加速度から前記ダイナモメータの速度を推定する速度推定部、及び、該速度推定部で推定された速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸トルクを推定する軸トルク推定部を具備する軸トルクオブザーバと、該推定された軸トルク、並びに、予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量及び模擬する慣性量の目標値に基づいて前記トルク指令値を演算し、該トルク指令値を前記ダイナモメータに出力するトルク指令値演算部とを有し、前記加速度推定部は、前記軸トルク推定部で推定した軸トルクの値と前記ダイナモメータに入力された前記トルク指令値との偏差及び前記ダイナモメータ側の慣性量に基づいて前記ダイナモメータの速度を推定することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、動力源を含む動力伝達系に軸を介して接続され、該軸にトルクを発生するダイナモメータを有する動力伝達系の試験装置の制御方法であって、前記軸の軸トルクと前記ダイナモメータの発生トルクを制御するためのトルク指令値とに基づいて、前記ダイナモメータから加速度を出力するステップと、前記ダイナモメータから出力された加速度に基づいて、前記ダイナモメータの実速度を検出するステップと、前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして、推定された軸トルクの値と前記ダイナモメータに入力された前記トルク指令値との偏差及び予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量に基づいて前記ダイナモメータの速度を推定し、さらに該加速度から前記ダイナモメータの速度を推定し、推定された該速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸トルクを推定するステップと、該推定された軸トルク、並びに、予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量及び模擬する慣性量の目標値に基づいて前記トルク指令値を演算し、該トルク指令値を前記ダイナモメータに出力するステップとを含むことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、動力伝達系の動力源を模擬して前記動力伝達系に軸を介して接続され、前記軸にトルクを発生するダイナモメータを有する動力伝達系の試験装置の制御方法であって、前記軸の軸トルクと前記ダイナモメータの発生トルクを制御するためのトルク指令値とに基づいて、前記ダイナモメータから加速度を出力するステップと、前記ダイナモメータから出力された加速度に基づいて、前記ダイナモメータの実速度を検出するステップと、前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして、前記推定された軸トルクの値と前記ダイナモメータに入力された前記トルク指令値との偏差及び予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量に基づいて前記ダイナモメータの速度を推定し、さらに該加速度から前記ダイナモメータの速度を推定し、推定された該速度推定速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸トルクを推定するステップと、該推定された軸トルク、並びに、予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量及び模擬する慣性量の目標値に基づいて前記トルク指令値を演算し、該トルク指令値を前記ダイナモメータに出力するステップとを含むことを特徴とする。
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、動力源を含む動力伝達系の試験装置であって、前記動力伝達系に軸を介して接続され該軸にトルクを発生するか、又は前記動力源を模擬して前記動力源の出力軸にトルクを発生するダイナモメータと、該ダイナモメータの実速度を検出する速度検出手段と、前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推定し、その推定速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸又は前記出力軸の軸トルクを推定し、該推定された軸トルクに基づいて前記動力源から見たダイナモメータの慣性量、またはダイナモメータで模擬する動力源の慣性量を所望の慣性量となるように前記ダイナモメータの発生トルクを制御する制御手段とを有するので、供試体側の慣性量が判らなくても、動力源を含む動力伝達系に対して、適正なダイナモメータの発生トルクを与えて試験を行うことが可能となる。
すなわち、動力源とダイナモメータ、または動力源を模擬するダイナモメータ出力と動力伝達系とを接続する軸の軸トルクあるいはダイナモメータの加速度を用いることなく、ダイナモメータの慣性量と、設定慣性量のみに基づいてダイナモメータの発生トルクを制御することが可能となり、供試体である動力源の慣性量が判らなくても、動力伝達系のシミュレーションを適正に行うことができるという利便性が有る。
また、請求項2に記載の発明によれば、動力源を含む動力伝達系に軸を介して接続され該軸にトルクを発生するか、又は前記動力源を模擬して前記動力源の出力軸にトルクを発生するダイナモメータを有する動力伝達系の試験装置の制御方法であって、前記ダイナモメータの実速度を検出するとともに、前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推定し、検出された実速度と前記推定された推定速度ととの偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸又は前記出力軸の軸トルクを推定し、該推定された軸トルクに基づいて前記動力源から見たダイナモメータの慣性量、またはダイナモメータで模擬する動力源の慣性量を所望の慣性量となるように前記ダイナモメータの発生トルクを制御するようにしたので、供試体側の慣性量が判らなくても、動力源を含む動力伝達系に対して、適正なダイナモメータの発生トルクを与えて試験を行うことが可能となる。
すなわち、動力源とダイナモメータ、または動力源を模擬するダイナモメータ出力と動力伝達系とを接続する軸の軸トルク、あるいはダイナモメータの加速度を用いることなく、ダイナモメータの慣性量と、設定慣性量のみに基づいてダイナモメータの発生トルクを制御することが可能となり、供試体である動力源の慣性量が判らなくても、動力伝達系のシミュレーションを適正に行うことができるという利便性が有る。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態に係る動力伝達系の試験装置の構成を図1に示す。本発明の実施形態に係る動力伝達系の試験装置は、例えば、車両用エンジンの試験装置1であって、同図に示されるように、動力源であるエンジン2に軸101を介して接続されるダイナモメータ3と、ダイナモメータ3の実速度ωを検出する速度センサ4と、ダイナモメータ3の発生トルクを制御する制御装置5とを備えている。
前記ダイナモメータ3は発電機/電動機であって、その発生トルクを制御することによって、エンジン2にかける負荷を調整することにより、実際に走行する車両の走行抵抗負荷と加減速時の車重相当の慣性負荷によってエンジン2に加えられるトルク負荷を模擬することができるようになっている。すなわち、ダイナモメータ3は、動力伝達系の動力源であるエンジン2の出力側、車両でいうと、タイヤ側にダイナモメータ3を設置して電気慣性制御する場合は、発電機として機能し、動力伝達系の駆動側、すなわち、エンジン2の代わりにダイナモメータ3を設置してダイナモメータ3の慣性量をエンジン2相当に見せかける電気慣性制御を行う場合は電動機として機能する。
また、前記速度センサ4は、例えば、タコジェネレータである。なお、パルスエンコーダ、レゾルバ等の角度検出器を用いて速度を検出する場合でも同様である。
制御装置5は、供試体であるエンジン2とダイナモメータ3を接続する軸101に発生する軸トルクを推定する軸トルクオブザーバ6を備えている。この軸トルクオブザーバは、以下の考え方に基づいている。
図2は、実車におけるエンジン、すなわち供試体側100と、試験装置のダイナモメータ側102とが軸101を介して接続された状態における各々の発生トルクと、慣性量との関係を図示している。
同図において、供試体(エンジン)側100の慣性量をJ、供試体側トルクをτ、軸101の軸トルクをτ、 ダイナモメータ側の慣性量をJ、ダイナモメータ102のトルク、すなわちダイナモメータ3の発生トルクをτとする。
軸101からダイナモメータ102側を見た場合におけるダイナモメータ3の加速度αmは、
Figure 0004639046
となる。
また、ダイナモメータ3の慣性量が電気慣性制御における目標値Jxとなったときのダイナモメータ3の加速度αm’は、
Figure 0004639046
となる。
ダイナモメータ3によって車両の慣性を模擬するには、条件αm=αm’が成立すればよい。そこで、αm=αm’を条件として、上記式(1),(2)から加速度を消去すると、
Figure 0004639046
となり、軸トルクτを知ることができれば、上記式(3)によってダイナモメータ3の発生トルクτを制御することが可能となることがわかる。
次に、本発明の実施形態に係る動力伝達系の試験装置における軸トルクオブザーバを用いた電気慣性制御の制御系の基本構成を図3に示す。
同図において、20は、ダイナモメータ3を含む試験装置の機械装置部分(慣性)である。
電気慣性制御を行う制御装置5は、軸トルクオブザーバ6と、ダイナモメータトルク指令値を演算するトルク指令値演算部10とを有している。
本実施形態においては、軸トルクオブザーバ6は、加速度推定部7と、速度推定部8と、軸トルク推定部9とを有している。
加速度推定部7は、軸トルクτに対してダイナモメータ3のトルクτが変動したときのダイナモメータ3の加速度を推定する部分であって、前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとしている。
速度推定部8は、軸トルクτに対してダイナモメータ3のトルクτが変動したときのダイナモメータ3の速度を推定する部分であって、前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとしている。
また、軸トルク推定部9は、比例要素のみからなるオブザーバゲインGにより構成されている。その結果、この軸トルクオブザーバ6は最小次元オブザーバとなっている。

また、加速度推定部7は、前記ダイナモメータ3と等価な対象を表す一慣性系モデルであり、ダイナモメータ3の慣性量の目標値Jx及び実際の慣性量Jに基づいて算出されたダイナモメータ3のトルクτと推定された軸トルクτ^(図3等の中において、ωまたはτの上に「^」を付した推定値を示す記号を、文章中では便宜上、ωまたはτの右側に「^」を付すことにより示すことにする。)との偏差を入力することにより、ダイナモメータ3の推定加速度α^を出力することができるようになっている。
さらに、速度推定部8は、加速推定部7により推定された推定加速度α^を積分演算することにより推定速度ω^を出力することができるようになっている。
また、トルク推定部9には、上記のようにして得られたダイナモメータ3の推定速度ω^に、前記速度センサ4により検出されたダイナモメータ3の実速度ωを負帰還することによって得られた速度偏差が入力され、軸トルク推定値τ^が出力されるようになっている。
上記構成において、ダイナモメータ3は、直結されているエンジン2から軸101を介して軸トルクτを供給されるとともに、制御装置5からダイナモメータ3の発生トルク指令τを入力される。
ダイナモメータ3は、慣性量Jを備える一慣性系と考えられ、該一慣性系に軸トルクτと発生トルク指令τとが入力され、速度センサ4によって検出された実速度ωが出力される。
また、制御装置5は、軸トルクオブザーバ6により推定された軸トルク推定値τ^に基づいて、上記式(3)によりダイナモメータ3の発生トルクτを指令指令値演算部10より出力する。指令値演算部10からの出力は、軸トルクオブザーバ6に戻されるようになっている。
図3において、軸トルクオブザーバ6内の軸トルク推定部9により、軸トルク推定値τ^が得られると、軸トルク推定値τ^と、指令値演算部10により演算されたダイナモメータ3の発生トルクτとの偏差が加速度推定部7に入力される。
加速度推定部7では、次式により、推定加速度α^を求める。
Figure 0004639046
上式(4)で求められた推定加速度α^は、速度推定部8に入力され、次式により推定加速度α^を積分することにより、推定速度ω^を得る。
Figure 0004639046
次いで、速度センサ4により検出されたダイナモメータの実速度ωと速度推定部8により推定された推定速度ω^との偏差が軸トルク推定部9に入力される。
軸トルク推定部9では、次式により軸トルク推定値τ^を求める。
Figure 0004639046
ここで、Gはオブザーバゲインであり、例えば、比例ゲインである。尚、オブザーバゲインGは、比例ゲインに限らず、比例要素、積分要素、あるいは微分要素を組み合せたものであってもよい。
軸トルク推定部9で求められた軸トルク推定値τ^は、指令値演算部10に入力され、指令値演算部10は次式によりダイナモメータ3の発生トルクτを求める。
Figure 0004639046
指令値演算部10は、上式(7)により求めた発生トルクτをトルク指令値τとして機械装置部分20内のダイナモメータ3に入力する。
なお、ダイナモメータ3からは、軸トルクτと指令値演算部10により算出されたトルク指令値τの偏差に基づいて次式により得られる加速度αが出力される。
Figure 0004639046
ダイナモメータ3から出力された加速度は、速度センサ4により入力され、速度センサ4は、次式により実速度ωを求める。
Figure 0004639046
以上のようにして、制御装置5によりダイナモメータ3の発生トルクを制御することにより、ダイナモメータ3の慣性量Jを制御設定値である目標値Jxになるように制御することができる。
尚、以上の説明では、ダイナモメータ3を動力伝達系の出力側(動力源であるエンジン2の出力側)、すなわち、車両でいうと、タイヤ側にダイナモメータ3を設置して電気慣性制御する場合について述べたが、これに限らず動力伝達系の駆動側に適用する場合、すなわち、車両でいうと、エンジン2の代わりにダイナモメータ3を設置してダイナモメータ3の慣性量をエンジン2相当に見せかける電気慣性制御を行う場合も同様である。
このように構成された本実施形態に係る車両エンジン2の試験装置1によれば、
ダイナモメータの実速度を検出するとともに、一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推定し、検出された実速度と前記推定された推定速度ととの偏差に比例ゲインを積算することにより、前記軸の軸トルクを推定し、該推定された軸トルクに基づいて前記動力源から見たダイナモメータの慣性量を所望の慣性量となるように前記ダイナモメータの発生トルクを制御するようにしたので、供試体側の慣性量が判らなくても、動力源を含む動力伝達系に対して、適正なダイナモメータの発生トルクを与えて試験を行うことが可能となる。
すなわち、動力源とダイナモメータとを接続する軸の軸トルク、あるいはダイナモメータの加速度を用いることなく、ダイナモメータの慣性量と、設定慣性量のみに基づいてダイナモメータの発生トルクを制御することが可能となり、供試体である動力源の慣性量が判らなくても、動力伝達系のシミュレーションを適正に行うことができるという利便性が有る。
この発明の一実施形態に係るエンジンの試験装置の基本構成を示すブロック図。 供試体側と、試験装置のダイナモメータ側とが軸を介して接続された状態における各々の発生トルクと、慣性量との関係を示す説明図。 図1に示したエンジンの試験装置におけるトルクオブザーバを用いた電気慣性制御の制御系の基本構成を示すブロック図。
符号の説明
1…試験装置
2…エンジン
3…ダイナモメータ
4…速度センサ(速度検出手段)
5…制御装置(制御手段)
6…軸トルクオブザーバ
10…指令値演算部

Claims (4)

  1. 動力源を含む動力伝達系の試験装置であって、
    前記動力伝達系に接続されたダイナモメータと、
    前記動力伝達系と前記ダイナモメータとを接続する軸と、
    前記ダイナモメータの実速度を検出する速度検出手段と、
    前記ダイナモメータの前記軸に対する発生トルクを制御するトルク指令値を前記ダイナモメータに出力する制御手段とを備え、
    前記ダイナモメータは、
    前記軸の軸トルクと前記制御手段から出力されたトルク指令値とに基づいて、加速度を出力し、
    前記速度検出手段は、
    前記ダイナモメータから出力された加速度に基づいて、前記ダイナモメータの実速度を検出し、
    前記制御手段は、
    前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推定する加速度推定部該加速度推定部で推定された加速度から前記ダイナモメータの速度を推定する速度推定部、及び、該速度推定部で推定された速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸トルクを推定する軸トルク推定部を具備する軸トルクオブザーバと、
    該推定された軸トルク、並びに、予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量及び模擬する慣性量の目標値に基づいて前記トルク指令値を演算し、該トルク指令値を前記ダイナモメータに出力するトルク指令値演算部とを有し、
    前記加速度推定部は、前記軸トルク推定部で推定した軸トルクの値と前記ダイナモメータに入力された前記トルク指令値との偏差及び前記ダイナモメータ側の慣性量に基づいて前記ダイナモメータの速度を推定することを特徴とする動力伝達系の試験装置。
  2. 動力伝達系の動力源を模擬して前記動力伝達系に接続されたダイナモメータと、
    前記動力伝達系と前記ダイナモメータとを接続する軸と、
    前記ダイナモメータの実速度を検出する速度検出手段と、
    前記ダイナモメータの前記軸に対する発生トルクを制御するトルク指令値を前記ダイナモメータに出力する制御手段とを備え、
    前記ダイナモメータは、
    前記軸の軸トルクと前記制御手段から出力されたトルク指令値とに基づいて、加速度を出力し、
    前記速度検出手段は、
    前記ダイナモメータから出力された加速度に基づいて、前記ダイナモメータの実速度を検出し、
    前記制御手段は、
    前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして前記ダイナモメータの速度を推定する加速度推定部該加速度推定部で推定された加速度から前記ダイナモメータの速度を推定する速度推定部、及び、該速度推定部で推定された速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸トルクを推定する軸トルク推定部を具備する軸トルクオブザーバと、
    該推定された軸トルク、並びに、予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量及び模擬する慣性量の目標値に基づいて前記トルク指令値を演算し、該トルク指令値を前記ダイナモメータに出力するトルク指令値演算部とを有し、
    前記加速度推定部は、前記軸トルク推定部で推定した軸トルクの値と前記ダイナモメータに入力された前記トルク指令値との偏差及び前記ダイナモメータ側の慣性量に基づいて前記ダイナモメータの速度を推定することを特徴とする動力伝達系の試験装置。
  3. 動力源を含む動力伝達系に軸を介して接続され、該軸にトルクを発生するダイナモメータを有する動力伝達系の試験装置の制御方法であって、
    前記軸の軸トルクと前記ダイナモメータの発生トルクを制御するためのトルク指令値とに基づいて、前記ダイナモメータから加速度を出力するステップと、
    前記ダイナモメータから出力された加速度に基づいて、前記ダイナモメータの実速度を検出するステップと、
    前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして、推定された軸トルクの値と前記ダイナモメータに入力された前記トルク指令値との偏差及び予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量に基づいて前記ダイナモメータの速度を推定し、さらに該加速度から前記ダイナモメータの速度を推定し、推定された該速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸トルクを推定するステップと、
    該推定された軸トルク、並びに、予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量及び模擬する慣性量の目標値に基づいて前記トルク指令値を演算し、該トルク指令値を前記ダイナモメータに出力するステップとを含むことを特徴とする動力伝達系の試験装置の制御方法。
  4. 動力伝達系の動力源を模擬して前記動力伝達系に軸を介して接続され、前記軸にトルクを発生するダイナモメータを有する動力伝達系の試験装置の制御方法であって、
    前記軸の軸トルクと前記ダイナモメータの発生トルクを制御するためのトルク指令値とに基づいて、前記ダイナモメータから加速度を出力するステップと、
    前記ダイナモメータから出力された加速度に基づいて、前記ダイナモメータの実速度を検出するステップと、
    前記ダイナモメータのみからなる一慣性系をモデルとして、前記推定された軸トルクの値と前記ダイナモメータに入力された前記トルク指令値との偏差及び予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量に基づいて前記ダイナモメータの速度を推定し、さらに該加速度から前記ダイナモメータの速度を推定し、推定された該速度推定速度と前記実速度との偏差にオブザーバゲインを積算することにより、前記軸トルクを推定するステップと、
    該推定された軸トルク、並びに、予め設定された前記ダイナモメータ側の慣性量及び模擬する慣性量の目標値に基づいて前記トルク指令値を演算し、該トルク指令値を前記ダイナモメータに出力するステップとを含むことを特徴とする動力伝達系の試験装置の制御方法。
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