JP2003343307A - オートテンショナ装置における張力制御方法 - Google Patents

オートテンショナ装置における張力制御方法

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JP2003343307A JP2002152446A JP2002152446A JP2003343307A JP 2003343307 A JP2003343307 A JP 2003343307A JP 2002152446 A JP2002152446 A JP 2002152446A JP 2002152446 A JP2002152446 A JP 2002152446A JP 2003343307 A JP2003343307 A JP 2003343307A
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tension
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康幸 小松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スタータモータによるエンジンの始動前から
始動後にかけて、オートテンショナによるベルトの張力
調整を適切に行う。 【解決手段】 エンジンのアイドル停止後の再始動時
に、ソレノイドを励磁してオートテンショナーのテンシ
ョナ本体を収縮不能にロックした状態で、スタータモー
タを駆動してエンジンをクランキングする。クランキン
グによりエンジン回転数が所定値Ne2以上の状態が所
定時間Tst以上継続すると、エンジンが始動して補機
類が駆動可能になったと判定し、ソレノイドを消磁して
オートテンショナーのテンショナ本体を伸縮可能にす
る。これにより、スタータモータの駆動時にベルトのス
リップを防止しながら、エンジンの始動後にエンジンの
回転数変動や補機類の負荷変動によるベルトの張力変動
をテンショナ本体の伸縮により吸収し、補機の安定した
駆動を可能にすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クランクシャフト
と補機類とモータ・ジェネレータとの間で駆動力を伝達
するベルトに張力を付与するエンジンのオートテンショ
ナ装置に関し、特にその張力調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッド車両のエンジンは車両の停
止時に自動的に停止(アイドル停止)し、車両の発進時
に自動的に再始動するようになっており、クランクシャ
フトにベルトを介して接続したモータ・ジェネレータを
スタータモータとして機能させてエンジンの再始動を行
っている。モータ・ジェネレータをスタータモータとし
て使用するとき、その起動と同時にクランクシャフトと
モータ・ジェネレータとを接続するベルトに瞬間的に強
い張力が作用するため、オートテンショナがスプリング
の弾発力に抗して大きく収縮し、それに続いてスプリン
グの弾発力で大きく伸長するため、ベルトが暴れて動力
伝達がスムーズに行われなくなる可能性がある。
【0003】そこで従来は、モータ・ジェネレータをス
タータモータとして使用するとき、オートテンショナを
収縮不能にロックして上記不具合を回避している。
【0004】図12は上記従来のオートテンショナの縦
断面図であって、そのテンショナ本体01はアッパーハ
ウジング02とロアハウジング03とを摺動自在に嵌合
させてなり、アッパーハウジング02およびロアハウジ
ング03はスプリング04で相互に離反する方向に付勢
され、このスプリング04の弾発力はベルトに張力を付
与する方向に作用する。ロアハウジング03に一体に形
成したシリンダ05にアッパーハウジング02に一体に
形成したピストン06が摺動自在に嵌合する。シリンダ
05およびピストン06によって区画された第1液室0
7と、シリンダ05の外側に区画された第2液室08と
がロアハウジング03に形成した第1連通路09および
第2連通路010を介して接続されており、第1液室0
7および第2液室08に液体が封入される。
【0005】第1連通路09には第1チェック弁011
が設けられており、この第1チェック弁011によって
第1液室07から第2液室08への液体の移動が阻止さ
れ、その逆方向の液体の移動が許容される。第2連通路
010には第2チェック弁012と絞り013とが設け
られており、この第2チェック弁012によって第1液
室07から第2液室08への液体の移動が阻止され、そ
の逆方向の液体の移動が許容される。第2チェック弁0
12の弁体014を弁座015から離反させるべく、ソ
レノイド016により駆動される押圧ロッド017が弁
体014に臨んでいる。
【0006】通常時にはソレノイド016を消磁して押
圧ロッド017を強制的に上昇させて弁体014を弁座
015から離反させることで、第2チェック弁012は
開弁状態に保持される。従って、テンショナ本体01が
収縮して容積が縮小する第1液室07から押し出された
液体は第2チェック弁012および絞り013を有する
第2連通路010を通過して第2液室08に流入し、そ
の際に絞り013を通る液体の流通抵抗で減衰力が発揮
される。またテンショナ本体01が伸長すると、第2液
室08の液体が第1チェック弁011を有する第1連通
路09を介して第1液室07に戻される。
【0007】エンジンのアイドル停止後の再始動時にモ
ータ・ジェネレータをスタータモータとして使用すると
き、あるいはエンジンによる車両の加速時にモータ・ジ
ェネレータをアシストモータとして使用するとき、ソレ
ノイド016を励磁して押圧ロッド017を下降させる
ことで第2チェック弁012を機能させる。モータ・ジ
ェネレータの作動によってベルトの張力が急激に増加し
てテンショナ本体01が強く圧縮されたとき、第1チェ
ック弁011および第2チェック弁012が共に閉弁し
て第1液室07からの液体の流出を阻止するため、テン
ショナ本体01は収縮不能にロックされてベルトの暴れ
が防止される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、オートテン
ショナのテンショナ本体を収縮不能にロックしてモータ
・ジェネレータでエンジンを始動した後、所定のタイミ
ングでテンショナ本体を収縮可能な状態に復帰させてベ
ルトの張力調整機能を回復させる必要がある。上記タイ
ミングが早すぎると、エンジンのクランキング中にテン
ショナ本体が収縮可能な状態になってベルトの張力が減
少してしまうため、ベルトがスリップしてエンジンの始
動が困難になる可能性がある。一方、上記タイミングが
遅すぎると、エンジンが始動した後にもテンショナ本体
が収縮不能にロックされた状態になるため、ベルトの張
力が過剰な状態でエンジンによって補機類が駆動される
ことになり、ベルトの耐久性に悪影響が及ぼす可能性が
ある。
【0009】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、スタータモータによるエンジンの始動前から始動後
にかけて、オートテンショナによるベルトの張力調整を
適切に行うことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、エンジンのク
ランクシャフトと補機類とスタータモータとの間で駆動
力を伝達するベルトに張力を付与すべく、ベルトの張力
に応じて伸縮自在なテンショナ本体と、テンショナ本体
を伸長方向に付勢するスプリングと、テンショナ本体の
収縮に伴って容積が縮小し、伸長に伴って容積が拡大す
る第1液室と、第1液室に連通する第2液室と、第1液
室および第2液室間の連通を許容および阻止する制御弁
とを備えたオートテンショナ装置において、スタータモ
ータよるエンジンの始動時に制御弁を閉弁して第1液室
および第2液室間の連通を阻止する工程と、エンジンが
始動して補機類が駆動可能になったことを判定する工程
と、補機類が駆動可能になったときに制御弁を開弁して
第1液室および第2液室間の連通を許容する工程とを含
むことを特徴とする、オートテンショナ装置における張
力制御方法が提案される。
【0011】上記構成によれば、スタータモータよるエ
ンジンの始動時に制御弁を閉弁して第1液室および第2
液室間の連通を阻止するので、スタータモータの駆動に
よりベルトに大きな張力が作用するときにテンショナ本
体を収縮不能にロックし、ベルトの暴れやスリップを防
止してエンジンの確実な始動を可能にすることができ
る。エンジンが始動して補機類が駆動可能になったこと
が判定されると制御弁を開弁して第1液室および第2液
室間の連通を許容するので、ベルトの張力変動に応じて
テンショナ本体が伸縮可能になる。これにより、エンジ
ンの回転数変動や補機類の負荷変動によるベルトの張力
変動をテンショナ本体の伸縮により吸収して補機類の安
定した駆動を可能にしながら、過負荷によるベルトの耐
久性低下を防止するとともに、ベルトの摩擦抵抗の増加
を抑制してエンジンの燃費向上に寄与することができ
る。
【0012】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、エンジン回転数が所定値以上
の状態が所定時間以上継続したときに、補機類が駆動可
能になったと判定することを特徴とする、オートテンシ
ョナ装置における張力制御方法が提案される。
【0013】上記構成によれば、エンジン回転数が所定
値以上の状態が所定時間以上継続したのを確認すること
で、エンジンの始動が完了して補機類が駆動可能になっ
たことを的確に判定することができる。
【0014】また請求項3に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、エンジン回転数が所定値以上
の状態でエンジン回転数の変動が所定値以下になったと
きに、補機類が駆動可能になったと判定することを特徴
とする、オートテンショナ装置における張力制御方法が
提案される。
【0015】上記構成によれば、エンジン回転数が所定
値以上の状態でエンジン回転数の変動が所定値以下にな
ったのを確認することで、エンジンの始動が完了して補
機類が駆動可能になったことを的確に判定することがで
きる。
【0016】また請求項4に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、スタータモータの出力トルク
が所定値以下になったときに、補機類が駆動可能になっ
たと判定することを特徴とする、オートテンショナ装置
における張力制御方法が提案される。
【0017】上記構成によれば、スタータモータの出力
トルクが所定値以下になったのを確認することで、エン
ジンの始動が完了して補機類が駆動可能になったことを
的確に判定することができる。
【0018】尚、実施例の空調用コンプレッサ13およ
びウオータポンプ14は本発明の補機類に対応し、実施
例のモータ・ジェネレータ15は本発明のスタータモー
タに対応する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0020】図1〜図7は本発明の第1実施例を示すも
ので、図1はハイブリッド車両用のエンジンの正面図、
図2は図1の2部拡大断面図、図3はオートテンショナ
ソレノイド消磁制御ルーチンのフローチャート、図4は
図3のフローチャートに対応するタイムチャート、図5
はモータアシストの作用を説明するタイムチャート、図
6はモータ・ジェネレータの駆動トルクを検索するテー
ブル、図7は制御弁開弁ディレー時間を検索するテーブ
ルである。
【0021】図1に示すように、ハイブリッド車両用の
エンジンEはエンジンブロック11の側面に取り付けた
補機ブラケット12を備えており、補機ブラケット12
に空調用コンプレッサ13、ウオータポンプ14、モー
タ・ジェネレータ15、アイドラプーリ16およびオー
トテンショナ17が支持される。エンジンEのクランク
シャフト18に設けたクランクプーリ19と、空調用コ
ンプレッサ13の回転軸20に設けた空調用コンプレッ
サプーリ21と、ウオータポンプ14の回転軸22に設
けたウオータポンププーリ23と、モータ・ジェネレー
タ15の回転軸24に設けたモータ・ジェネレータプー
リ25と、回転軸26に設けた前記アイドラプーリ16
と、オートテンショナ17に設けたテンショナプーリ2
7とにベルト28が巻き掛けられる。クランクプーリ1
9、空調用コンプレッサプーリ21、ウオータポンププ
ーリ23、モータ・ジェネレータプーリ25、アイドラ
プーリ16およびテンショナプーリ27の回転方法は矢
印で示される。
【0022】オートテンショナ17は伸縮自在なテンシ
ョナ本体29を備えており、その上端が支点ピン30を
介して補機ブラケット12に枢支される。補機ブラケッ
ト12には支点ピン31を介してベルクランク32の中
間部が枢支されており、ベルクランク32の一端部がピ
ン33を介してテンショナ本体29の下端に枢支され、
ベルクランク32の他端部に回転軸34を介して前記テ
ンショナプーリ26が枢支される。
【0023】エンジン回転数を検出するエンジン回転数
センサ35と、モータ・ジェネレータ15の回転数を検
出するモータ・ジェネレータ回転数センサ36と、オー
トテンショナ17のテンショナ本体29の伸縮位置を検
出するストロークセンサ37とからの信号が入力される
電子制御ユニットUは、燃料噴射弁38の燃料噴射量
と、点火プラグ39の点火時期と、モータコントローラ
40およびインバータ41を介してのモータ・ジェネレ
ータ15の作動と、オートテンショナ17のテンショナ
本体29の収縮のロックとを制御する。エンジンEの運
転時にモータ・ジェネレータ15はジェネレータとして
機能して発電あるいは回生制動を司り、エンジンEのア
イドル停止後にモータ・ジェネレータ15はスタータモ
ータとして機能してエンジンEを再始動し、車両の加速
時にモータ・ジェネレータ15はアシストモータとして
機能してエンジンEをアシストする。
【0024】図2に示すように、オートテンショナ17
のテンショナ本体29は、補機ブラケット12に接続さ
れるアッパーハウジング51の内周面に、ベルクランク
32に接続されるロアハウジング52の外周面を摺動自
在に嵌合させてなり、ロアハウジング52に一体に形成
したシリンダ53にアッパーハウジング51に一体に形
成したピストン54が摺動自在に嵌合する。シリンダ5
3およびピストン54によって区画された第1液室55
と、シリンダ53の外側に区画された第2液室56とが
ロアハウジング52に形成した第1連通路57および第
2連通路58を介して接続されており、第1液室55の
全部および第2液室56の一部に液体が封入される。テ
ンショナ本体29が収縮すると第1液室55の容積が縮
小し、テンショナ本体29が伸長すると第1液室55の
容積が拡大する。
【0025】アッパーハウジング51およびロアハウジ
ング52は第2液室56に収納したスプリング59で相
互に離反する方向(つまりテンショナ本体29が伸長す
る方向)に付勢されており、このスプリング59の弾発
力はテンショナプーリ27をベルト28に押し付けて張
力を付与する方向に作用する。
【0026】第1連通路57には円錐状の弁座60およ
び球状の弁体61よりなるチェック弁62が設けられて
おり、このチェック弁62によって第1液室55から第
2液室56への液体の移動が阻止され、その逆方向の液
体の移動が許容される。第2連通路58には、円錐状の
弁座63に向けて球状の弁体64をスプリング65で付
勢した制御弁66と、絞り67とが設けられる。制御弁
66の開閉を制御するアクチュエータ68は、ソレノイ
ド69と、ソレノイド69により作動するアマチュア7
0と、アマチュア70と一体に設けられた押圧ロッド7
1と、アマチュア70を付勢するスプリング72とから
なる。
【0027】アクチュエータ68のソレノイド69を消
磁すると、スプリング72の弾発力でアマチュア70が
左動して押圧ロッド71が弁体64を弁座63から離反
させ、制御弁66は強制的に開弁状態に保持される。従
って、ソレノイド69の消磁状態では、開弁状態にある
制御弁66を介して第1液室55および第2液室56間
の双方向への液体の移動が許容される。一方、ソレノイ
ド69を励磁すると、アマチュア70と共に押圧ロッド
71が右動して弁体64が弁座63に着座し、制御弁6
6はチェック弁として機能する。従って、ソレノイド6
9の励磁状態では、第1液室55から第2液室56への
液体の移動が阻止されてテンショナ本体29が収縮不能
にロックされ、第2液室56から第1液室55への液体
の移動が許容されてテンショナ本体29が伸長可能とな
る。
【0028】次に、上記構成を備えた本発明の第1実施
例の作用を説明する。
【0029】エンジンEの通常の運転時に制御弁66の
アクチュエータ68のソレノイド69は消磁状態にあ
り、アマチュア70および押圧ロッド71がスプリング
72の弾発力で左動して弁体64が弁座63から離反す
ることで、制御弁66は強制的に開弁状態に保持され
る。
【0030】オートテンショナ17の位置でのベルト2
8の張力は、エンジンEが加速すると減少し、エンジン
Eが減速すると増加する。また前記ベルト28の張力
は、空調用コンプレッサ13、ウオータポンプ14ある
いはモータ・ジェネレータ15の負荷が増加すると減少
し、前記負荷が減少すると増加する。
【0031】このようにしてベルト28の張力が増加し
ようとすると、ベルト28からテンショナプーリ27に
作用する荷重がベルクランク32を介してオートテンシ
ョナ17のテンショナ本体29に伝達され、テンショナ
本体29を収縮させようとする。その結果、スプリング
59の弾発力に抗してアッパーハウジング51の内部に
ロアハウジング52が押し込まれて第1液室55の容積
が減少し、チェック弁62が閉弁して第1連通路57が
閉塞されることから、第1液室55内の液体は第2連通
路58の開弁した制御弁66および絞り67を通過して
第2液室56にゆっくりと流入し、ベルト28の張力の
増加が抑制される。その際に液体が絞り67を通過する
ことで減衰力が発生する。
【0032】一方、ベルト28の張力が減少しようとす
ると、ベルト28からテンショナ本体29に伝達される
荷重が減少するため、スプリング59の弾発力でアッパ
ーハウジング51の内部からロアハウジング52が押し
出されて第1油室55の容積が増加する。このとき、チ
ェック弁62が開弁して第1連通路57が開放されるた
め、第2液室56内の液体が第1連通路57を経て第1
液室55に流入し、テンショナ本体29が伸長してベル
ト28の張力の減少が抑制される。その際に、第2液室
56内の液体の一部が第2連通路58の絞り67を経て
第1液室55に流入するが、第2液室56内の液体の大
部分は絞りが設けられていない第1連通路57を経て第
1液室55に速やかに移動し、テンショナ本体29が伸
長する応答性が高められる。
【0033】このように、ベルト28の張力が増減しよ
うとすると、それを補償するようにオートテンショナ1
7のテンショナ本体29が伸縮することにより、ベルト
28の張力を略一定に保持して安定した動力伝達を可能
にすることができる。
【0034】ところで、ハイブリッド車両のエンジンE
は車両の停止時に自動的にアイドル停止し、車両の発進
時に自動的に再始動するようになっており、その再始動
は通常はジェネレータとして機能するモータ・ジェネレ
ータ15をスタータモータとして機能させることで行わ
れる。
【0035】エンジンEを再始動すべくモータ・ジェネ
レータ15を駆動してモータ・ジェネレータプーリ25
を矢印方向に回転させると、オートテンショナ17の位
置でベルト28の張力が急激に増加し、テンショナ本体
29が一旦急激に収縮した後にスプリング59の弾発力
で急激に伸長するため、ベルト28が暴れて動力伝達が
不安定になる虞がある。そこで本実施例では、エンジン
Eのアイドル停止により、エンジン回転数センサ35で
検出したエンジン回転数とモータ・ジェネレータ回転数
センサ36で検出したモータ・ジェネレータ回転数とが
ゼロになり、かつストロークセンサ37で検出したテン
ショナ本体29の伸縮位置がニュートラルになったとき
に、制御弁66のアクチュエータ68のソレノイド69
を励磁して押圧ロッド71を右動させ、弁体64を弁座
63着座可能にして制御弁66をチェック弁として機能
させる。その結果、チェック弁62および制御弁66の
両方に阻止されて第1液室55内の液体が密封されるた
め、エンジンEを再始動すべくモータ・ジェネレータ1
5を駆動したときにテンショナ本体29は収縮不能にロ
ックされ、ベルト28が暴れが防止されるとともにベル
ト28のスリップが抑制されてエンジンEの確実な始動
が可能になる。
【0036】次に、エンジンEのアイドル停止に続く再
始動時の制御弁66の制御の詳細を、図3のフローチャ
ートと図4および図5のタイムチャートとを参照しなが
ら説明する。
【0037】先ず、図3のフローチャートのステップS
1でアイドル停止中のエンジンEの再始動条件が成立し
たか否かを判定し、ステップS2でブレーキペダルが放
されてエンジンEの再始動条件が成立すると、ステップ
S3で電子制御ユニットUがモータコントローラ40を
介してモータ・ジェネレータ15にエンジンEを始動す
るトルクの出力を指令する。その結果、モータ・ジェネ
レータ15が起動してエンジンEがクランキングされる
と、ステップS4でエンジン回転数センサ35によって
エンジン回転数Neを監視する。モータ・ジェネレータ
15の出力トルクTRQは図6に示すテーブルから検索
されるもので、エンジン回転数Neが所定値Ne1(初
爆回転数)に達するまでは所定値TRQ1に保持され、
その後にエンジン回転数Neに増加に伴ってゼロまでリ
ニアに減少する。
【0038】その結果、図4のタイムチャートに示すよ
うに、エンジン回転数Neが増加してピーク値Ne4に
達した後、僅かに減少してアイドル回転数Ne3に安定
する。図4における破線は、エンジンEに燃料を供給せ
ずにモータ・ジェネレータ15によるクランキングを行
ったと仮定した場合であり、この場合にはエンジン回転
数Neは所定値Ne2(完爆判定用回転数)に収束し、
モータ・ジェネレータ15の出力トルクTRQは所定値
TRQ2に収束する。
【0039】そしてステップS5でエンジン回転数Ne
が完爆判定用回転数Ne2以上になり、かつステップS
6AでセットしたタイマーがステップS6Bでタイムア
ップすると、つまりNe≧Ne2の状態が所定時間Ts
t(制御弁開弁ディレー時間)継続すると、ステップS
7でモータアシスト条件が成立したか否かを判定し、ス
テップS8でモータアシスト中でなければ、ステップS
9でオートテンショナー17のアクチュエータ68のソ
レノイド69を消磁して制御弁66をチェック弁として
機能不能にし、オートテンショナ17のテンショナ本体
29を伸縮可能にしてエンジンEの運転中におけるベル
ト28の張力調整機能を発揮させる。
【0040】以上のように、エンジン回転数Neが完爆
判定用回転数Ne2以上になった状態が制御弁開弁ディ
レー時間Tst継続すると、オートテンショナ17を伸
縮可能な状態に復帰させてベルト28の張力調整機能を
発揮させるので、エンジンEの回転数変動や補機類の負
荷変動によるベルト28の張力変動がテンショナ本体2
9の伸縮により吸収されて補機類の安定した駆動が可能
になる。しかも、テンショナ本体29が収縮不能にロッ
クされた状態でエンジンEが長時間運転されることがな
いので、ベルト28の耐久性低下が防止されるだけでな
く、過剰な張力によるベルト28の摩擦抵抗の増加を抑
制してエンジンEの燃費向上に寄与することができる。
【0041】尚、図7に示すように、前記制御弁開弁デ
ィレー時間Tstを冷却水温の上昇に伴って短くしても
良い。これにより、エンジンEが始動し難い低水温時、
つまりエンジンEの冷間時に前記制御弁開弁ディレー時
間Tstを長く設定し、ベルト28が高張力に保持され
る時間を長くしてエンジンEを一層確実に始動すること
ができる。
【0042】ところで、前記ステップS7でモータアシ
スト条件が成立したとき、例えば、エンジンEの始動直
後にアクセルペダルを踏み込んで車両を発進させたと
き、モータ・ジェネレータ15を駆動してエンジンEに
よる車両の加速をアシストするモータアシストが実行さ
れる。図5のタイムチャートに示すように、エンジンE
の完爆から制御弁開弁ディレー時間Tstが経過する以
前にアクセルペダルが踏み込まれると、オートテンショ
ナー17のアクチュエータ68のソレノイド69を励磁
状態に保持してベルト28のスリップを抑制しながら、
モータ・ジェネレータ15にアシストトルクTRQ1を
発生させて車両の加速性能を向上させる。そしてアクセ
ルペダルが戻されたときに、モータ・ジェネレータ15
の駆動を停止すると同時に、アクチュエータ68のソレ
ノイド69を消磁してオートテンショナ17を伸縮可能
な状態に復帰させ、ベルト28の張力調整機能を発揮さ
せる。
【0043】次に、図8および図9に基づいて本発明の
第2実施例を説明する。
【0044】第2実施例はエンジンEの始動後にオート
テンショナー17のアクチュエータ68のソレノイド6
9を消磁する条件が第1実施例と異なっており、図8の
フローチャートに示す第2実施例はステップS1,S
2,S4,S5およびステップS7〜S9が第1実施例
と共通である。即ち、図8のフローチャートのステップ
S3で電子制御ユニットUがモータコントローラ40を
介してモータ・ジェネレータ15にエンジンEを始動す
る出力トルクTRQの発生を指令する際に、エンジン回
転数Neが完爆判定用回転数Ne2になるようにモータ
・ジェネレータ15の出力トルクTRQがフィードバッ
ク制御される。これにより、エンジン回転数Neは完爆
判定用回転数Ne2を僅かにオーバーシュートするだけ
で該完爆判定用回転数Ne2に速やかに収束する。そし
てステップS5でエンジン回転数Neが完爆判定用回転
数Ne2以上になり、かつステップS6Cでモータ・ジ
ェネレータ15の出力トルクTRQが所定値TRQ3以
下になったときに、モータアシストが行われないことを
条件にしてアクチュエータ68のソレノイド69を消磁
し、オートテンショナ17を伸縮可能な状態に復帰させ
てベルト28の張力調整機能を発揮させる。モータ・ジ
ェネレータ15の出力トルクTRQが所定値TRQ3以
下になったときのエンジン回転数Neは完爆判定用回転
数Ne2以上であるため、エンジンEが確実に始動した
ことを確認してオートテンショナ17を伸縮可能な状態
に復帰させることができ、第1実施例と同様の作用効果
を達成することができる。
【0045】次に、図10および図11に基づいて本発
明の第3実施例を説明する。
【0046】第3実施例もエンジンEの始動後にオート
テンショナー17のアクチュエータ68のソレノイド6
9を消磁する条件が第1実施例と異なっており、図10
のフローチャートに示す第3実施例はステップS1〜S
5およびステップS7〜S9が第1実施例と共通であ
る。即ち、図10のフローチャートのステップS5でエ
ンジン回転数Neが完爆判定用回転数Ne2以上にな
り、かつステップS6Dでエンジン回転数Neの所定時
間当たりの変動ΔNeが所定値ΔNe2以下になったと
きに、モータアシストが行われないことを条件にしてア
クチュエータ68のソレノイド69を消磁し、オートテ
ンショナ17を伸縮可能な状態に復帰させてベルト28
の張力調整機能を発揮させる。エンジン回転数Neの所
定時間当たりの変動ΔNeが所定値ΔNe2以下になっ
たときにエンジンEは完爆状態にあるため、エンジンE
が確実に始動したことを確認してオートテンショナ17
を伸縮可能な状態に復帰させることができ、第1実施例
と同様の作用効果を達成することができる。
【0047】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0048】例えば、実施例ではモータ・ジェネレータ
15をスタータモータとして使用しているが、始動専用
のスタータモータを用いることも可能である。
【0049】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、スタータモータよるエンジンの始動時に制御
弁を閉弁して第1液室および第2液室間の連通を阻止す
るので、スタータモータの駆動によりベルトに大きな張
力が作用するときにテンショナ本体を収縮不能にロック
し、ベルトの暴れやスリップを防止してエンジンの確実
な始動を可能にすることができる。エンジンが始動して
補機類が駆動可能になったことが判定されると制御弁を
開弁して第1液室および第2液室間の連通を許容するの
で、ベルトの張力変動に応じてテンショナ本体が伸縮可
能になる。これにより、エンジンの回転数変動や補機類
の負荷変動によるベルトの張力変動をテンショナ本体の
伸縮により吸収して補機類の安定した駆動を可能にしな
がら、過負荷によるベルトの耐久性低下を防止するとと
もに、ベルトの摩擦抵抗の増加を抑制してエンジンの燃
費向上に寄与することができる。
【0050】また請求項2に記載された発明によれば、
エンジン回転数が所定値以上の状態が所定時間以上継続
したのを確認することで、エンジンの始動が完了して補
機類が駆動可能になったことを的確に判定することがで
きる。
【0051】また請求項3に記載された発明によれば、
エンジン回転数が所定値以上の状態でエンジン回転数の
変動が所定値以下になったのを確認することで、エンジ
ンの始動が完了して補機類が駆動可能になったことを的
確に判定することができる。
【0052】また請求項4に記載された発明によれば、
スタータモータの出力トルクが所定値以下になったのを
確認することで、エンジンの始動が完了して補機類が駆
動可能になったことを的確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリッド車両用のエンジンの正面図
【図2】図1の2部拡大断面図
【図3】オートテンショナソレノイド消磁制御ルーチン
のフローチャート
【図4】図3のフローチャートの対応するタイムチャー
【図5】モータアシストの作用を説明するタイムチャー
【図6】モータ・ジェネレータの駆動トルクを検索する
テーブル
【図7】制御弁開弁ディレー時間を検索するテーブルチ
ャート
【図8】第2実施例に係るオートテンショナソレノイド
消磁制御ルーチンのフローチャート
【図9】図8のフローチャートの対応するタイムチャー
【図10】第3実施例に係るオートテンショナソレノイ
ド消磁制御ルーチンのフローチャート
【図11】図10のフローチャートの対応するタイムチ
ャート
【図12】従来のオートテンショナの縦断面図
【符号の説明】
13 空調用コンプレッサ(補機類) 14 ウオータポンプ(補機類) 15 モータ・ジェネレータ(スタータモータ) 18 クランクシャフト 28 ベルト 29 テンショナ本体 55 第1液室 56 第2液室 59 スプリング 66 制御弁 E エンジン Ne エンジン回転数 Ne2 所定値 TRQ 出力トルク TRQ3 所定値 Tst 所定時間 ΔNe エンジン回転数の変動 ΔNe2 所定値
フロントページの続き (72)発明者 小松 康幸 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 瀧澤 一晃 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G084 BA00 CA01 DA04 EC01 FA20 FA33 FA34 3G093 BA14 CA01 CA02 DA01 DA12 DA14 EA00 3J049 AA02 AB03 BB05 BB13 BB17 BB23 BB26 BB35 BC04 BC08 BG03 CA03 CA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン(E)のクランクシャフト(1
    8)と補機類(13,14)とスタータモータ(15)
    との間で駆動力を伝達するベルト(28)に張力を付与
    すべく、 ベルト(28)の張力に応じて伸縮自在なテンショナ本
    体(29)と、 テンショナ本体(29)を伸長方向に付勢するスプリン
    グ(59)と、 テンショナ本体(29)の収縮に伴って容積が縮小し、
    伸長に伴って容積が拡大する第1液室(55)と、 第1液室(55)に連通する第2液室(56)と、 第1液室(55)および第2液室(56)間の連通を許
    容および阻止する制御弁(66)と、を備えたオートテ
    ンショナ装置において、 スタータモータ(15)よるエンジン(E)の始動時に
    制御弁(66)を閉弁して第1液室(55)および第2
    液室(56)間の連通を阻止する工程と、 エンジン(E)が始動して補機類(13,14)が駆動
    可能になったことを判定する工程と、 補機類(13,14)が駆動可能になったときに制御弁
    (66)を開弁して第1液室(55)および第2液室
    (56)間の連通を許容する工程と、を含むことを特徴
    とする、オートテンショナ装置における張力制御方法。
  2. 【請求項2】 エンジン回転数(Ne)が所定値(Ne
    2)以上の状態が所定時間(Tst)以上継続したとき
    に、補機類(13,14)が駆動可能になったと判定す
    ることを特徴とする、請求項1に記載のオートテンショ
    ナ装置における張力制御方法。
  3. 【請求項3】 エンジン回転数(Ne)が所定値(Ne
    2)以上の状態でエンジン回転数の変動(ΔNe)が所
    定値(ΔNe2)以下になったときに、補機類(13,
    14)が駆動可能になったと判定することを特徴とす
    る、請求項1に記載のオートテンショナ装置における張
    力制御方法。
  4. 【請求項4】 スタータモータ(15)の出力トルク
    (TRQ)が所定値(TRQ3)以下になったときに、
    補機類(13,14)が駆動可能になったと判定するこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のオートテンショナ装
    置における張力制御方法。
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