JP2003341975A - クレーンの振れ止め方法 - Google Patents

クレーンの振れ止め方法

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JP2003341975A JP2002154298A JP2002154298A JP2003341975A JP 2003341975 A JP2003341975 A JP 2003341975A JP 2002154298 A JP2002154298 A JP 2002154298A JP 2002154298 A JP2002154298 A JP 2002154298A JP 2003341975 A JP2003341975 A JP 2003341975A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残留振れを小さくすることができるクレーン
の振れ止め方法を提供する。 【解決手段】 既定の速度パターンでの運転と、既定速
度パターンの減速部分のみを修正した速度パターンでの
運転と、既定速度パターンの加速部分のみを修正した速
度パターンでの運転とを行い、各運転における横行終了
時点での振れ運動の角速度及び角度(点P1,P2,P
3)を相互比較して減速部分及び加速部分の修正量(Δ
T)とその修正で生じる横行終了時点での角速度及び角
度の変化分(Va,Vd)との対応関係を求め、その対
応関係を用いて前記既定速度パターンでの運転における
横行終了時点での角速度及び角度を相殺する(V0)よ
うに既定速度パターンの減速部分及び加速部分の修正量
を調整した速度パターンで運転する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二段階加速法を用
いたクレーンの振れ止め方法に係り、特に、残留振れを
小さくすることができるクレーンの振れ止め方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ケーブルクレーンは、図6に示されるよ
うに、主索1に沿って横行するトロリ2より荷3を吊り
下げて搬送するものである。トロリ2を横行させる横行
索4及び荷を巻き上げ・下げする巻き上げロープ5は、
それぞれドラム6,7の回転により巻き取り・繰り出し
される。
【0003】ケーブルクレーンに限らず、荷を吊り下げ
た状態で横行或いは走行を行うときには荷の振れが問題
となる。この種のクレーンにおいて、横行に伴う荷の振
れを二段階加速及び二段階減速を有する速度パターンに
よって解消する振れ止め方法(二段階加速法という)が
知られている。
【0004】図7に示されるように、二段階加速法で
は、停止状態71より一定加速度で加速72し、最高速
度の半分になったとき速度一定73とし、加速開始から
の経過時間が振り子の1/2周期になるまで、その速度
一定を保った後、一定加速度で加速74して最高速度に
達したところで速度を一定にし、定速横行75を行う。
これにより、荷3は、トロリ2に対して相対運動するこ
となく一緒に等速度運動をすることになる。横行終了直
前にも、同様に一定加速度で減速76し、最高速度の半
分になったとき速度一定77とし、減速開始からの経過
時間が振り子の1/2周期になるまで、速度一定を保っ
た後、一定加速度で減速78して停止(横行終了)79
に至る。なお、図示した速度パターンで、加速部分にお
ける一段目の加速開始から二段目の加速開始までの期間
の長さtaと、減速部分一段目の減速開始から二段目の
減速開始までの期間の長さtdとが異なるのは、定速横
行の途中で巻き下げ長さを変化させたために振り子の周
期が変化しているからであり、ta,tdは、それぞれ
の巻き下げ長さでの振り子の1/2周期である。
【0005】荷が集中荷重の単振り子であって、トロリ
が速度指令通りに動くならば、既定の速度パターンで運
転すれば普遍的に振れを止めることができるが、現実に
は、トロリの慣性等の要因により、速度指令値に対して
実際の速度に誤差が生じて横行が終了したときなどに振
れが残ることがある。残留振れは、規模の小さなクレー
ンでは問題にならないこともあるが、ダム建設現場など
に設置される横行距離、落差が100mのオーダーに達
するようなクレーンでは、振れによる需要先と荷との位
置のずれが大きいこと、振り子の周期が長く振れの減衰
が遅いことなどにより、振れ角度が小さい残留振れでも
問題は深刻である。
【0006】従来、光波距離計などで振れの振幅、位相
を計測し、この計測値を横行速度にフィードバックする
方法、あるいはファジールールにより速度パターンを選
択し、オープンループで制御する方法で残留振れを減ら
すようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のクレーンにおい
て、残留振れが小さくならない場合及びその原因は以下
のとおりである。
【0008】(1)初期振れの影響 離床場所上部に構造物があるなどして離床時に荷を真上
に持ち上げることができないとき、初期振れ(横行開始
以前に荷が振れていること)が生じる。初期振れがある
ままで、既定の速度パターンの運転を行うと、残留振れ
が大きい。
【0009】(2)横行と巻きとを並行させたときの誤
差 横行と巻き(上げ・下げ)とを行う時間に重なりがある
場合、一段階開始時の振り子の周期と二段階終了後の振
り子の周期との平均値を周期として速度パターンを生成
している。しかし、これでは周期が実際に振れが止まる
値と違うため、理論的にも振れ止めが不十分であり、残
留振れが大きい。
【0010】(3)動特性による誤差 モータへの電流とモータ軸の回転との関係、ドラムの回
転とトロリの運動との関係などには、慣性等によりダイ
ナミクスがあり、速度指令値に対してオーバーシュート
等が生じ、トロリが速度指令通りに動かないため、残留
振れが大きい。
【0011】(4)速度計の誤差 速度計の計測値をフィードバックしてモータの制御を行
うと、速度計自体に5%程度の誤差があるため、トロリ
が速度指令通りに動かないことになり、残留振れが大き
い。
【0012】(5)巻き長さが長いことの影響 運動方程式で数値積分を行うと、巻き長さが短い状態で
振れがある場合に巻き長さを伸ばすと振れの振幅は大き
くなる。この影響で振れ幅が大きくなる。
【0013】また、従来のケーブルクレーンの振れ止め
方法において、調整等のために、横行終了時点を含む角
速度や角度の時系列を同時に計測しようとすると、光波
距離計などの高価な計測機器が必要であった。
【0014】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、残留振れを小さくすることができるクレーンの振れ
止め方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、横行開始時点より二段階加速し横行終了直
前に二段階減速する速度パターンで運転することによ
り、横行終了時点での荷の振れを止めるクレーンの振れ
止め方法において、既定の速度パターンでの運転と、既
定速度パターンの減速部分のみを修正した速度パターン
での運転と、既定速度パターンの加速部分のみを修正し
た速度パターンでの運転とを行い、各運転における横行
終了時点での振れ運動の角速度及び角度を相互比較して
減速部分及び加速部分の修正量とその修正で生じる横行
終了時点での角速度及び角度の変化分との対応関係を求
め、その対応関係を用いて前記既定速度パターンでの運
転における横行終了時点での角速度及び角度を相殺する
ように既定速度パターンの減速部分及び加速部分の修正
量を調整した速度パターンで運転するものである。
【0016】前記速度パターンの修正は、一段目の減速
開始から二段目の減速開始までの期間の長さまたは一段
目の加速開始から二段目の加速開始までの期間の長さの
修正であってもよい。
【0017】前記既定速度パターンでの運転における横
行終了時点での振れ運動の角速度及び角度に対する前記
速度パターン修正による変化分を角速度と角度とからな
る位相平面上のベクトルで表すことにより、前記3回の
運転から2つのベクトルを得て、その2つのベクトルの
線形結合ベクトルと前記既定速度パターンでの運転にお
ける横行終了時点での角速度及び角度からなるベクトル
との和が角速度及び角度の原点に収まるよう各修正量を
調整してもよい。
【0018】前記相殺が困難な場合には、前記既定速度
パターンの横行速度を変更した速度パターンで運転して
もよい。
【0019】横行及び巻き上げのドラムの回転角を計測
し、これら回転角計測値からトロリの位置及び巻き長さ
を求め、これらトロリの位置及び巻き長さ又はその微分
値を運動方程式に代入することにより、荷の振れ運動の
角速度及び角度を求めてもよい。
【0020】荷を単振り子と見なしたときの巻き上げロ
ープの巻き長さと荷の振れ周期との関係を表す理論式に
実機の構造に即した補正項を導入することにより、実機
における振れ周期を巻き上げのドラムの回転角の関係式
で表し、この実機の振れ周期と同じ振れ周期をもたらす
単振り子の長さを求め、その単振り子の運動方程式を数
値積分するシミュレーションにより、荷の運動の時間履
歴を求め、このシミュレーション値と実際に計測した巻
き上げのドラムの回転角及び振れの角度の時間履歴とに
基づいて上記補正項を同定してもよい。
【0021】ある需要先へ荷を搬送するために既定の速
度パターンを調整したとき、その調整結果をその需要先
に対応付けて記憶しておき、再度同じ需要先又はその近
傍へ荷を運ぶ場合には、記憶してある調整結果を読み出
して速度パターンを調整してもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて詳述する。
【0023】図1に、荷の振れ運動を表す位相平面を示
した。位相平面は、横軸が振れ角θ、縦軸が振れ角速度
/固有角周波数dθ/ωで定義されるもので、振れ運動
の角度と角速度との関係を示すものである。図中、4つ
の○は、各種速度パターンでの運転における横行終了時
点での角速度及び角度(以下、横行終了時点振れ運動成
分という)を表している。即ち、P1は既定速度パター
ンでの試運転によるもの、P2は減速部分修正速度パタ
ーンでの試運転によるもの、P3は加速部分修正速度パ
ターンでの試運転によるもの、P4は最終的な修正量調
整速度パターンでの運転によるものである。本発明で
は、3回の試運転により、速度パターン修正による横行
終了時点振れ運動成分の変化分、即ち、P2−P1、P
3−P1をベクトルで表し、P1からその2つのベクト
ルの線形結合ベクトル分移動した点が角速度及び角度の
原点に収まるよう各修正量を調整することにより、横行
終了時点振れ運動をゼロにしようというものである。な
お、2つのベクトルを得るために行う3回の運転を、こ
こでは試運転と呼んで、4回目以降の定常運転と区別し
ているが、クレーンの特性を変えないために試運転のと
きにも実荷を運搬する。
【0024】上記試運転においては運動方程式に横行、
巻き上げドラムの回転角計測の時系列データを入力して
数値積分することで横行終了時点振れ運動成分を求める
が、その運動方程式の諸定数を同定するために、横行終
了時点振れ運動成分を予め実測しておく。即ち、所定の
目的地に向けて運転を行い、その運転中の横行、巻き上
げドラムの回転角の時系列データを記録すると共に、目
的地上空での振れの大きさを記録する。振れの大きさ
は、ビデオ等の撮影装置にて目的地上空の荷を撮影し、
ディスプレイ装置に表示された映像の振れの大きさを画
面上で計測し、予め知られている撮影装置の撮影角度、
撮影距離、画角とディスプレイ画面上での寸法との関係
を用いて実際の振れの大きさに換算する。より簡便に
は、画面上で荷の寸法に対する振れの大きさの比率を測
定し、この比率を荷の実際の大きさに掛け合わせること
で実際の振れの大きさを得ることができる。
【0025】また、この運転において、横行終了時点か
ら後の経過時間と振れの大きさとの関係を記録してお
き、この経過時間と振れの大きさとの関係から空気等に
よる減衰係数を求める。
【0026】このようにして得られるドラムの回転角の
時系列データと横行終了時点振れ運動成分の実測値との
関係及び横行終了時点から後の経過時間と振れの大きさ
との関係を用いて運動方程式の諸定数を同定する。
【0027】ここで、理論的な背景として基礎方程式を
説明しておく。
【0028】図2に示したトロリ3、荷2(質点とみな
す)、巻き上げロープ5からなる系における荷の振れ運
動の基礎方程式は、式(1)となる。
【0029】
【数1】
【0030】振れ角θを求めるために、トロリ位置x、
巻き長さl(英字エル;図中、数式中では、数字1と区
別するため筆記体で書いてある)をそれぞれドラムの回
転角度の計測値であるセルシン値から求め、トロリ位置
x、巻き長さlの時間微分値は各セルシン値の時間差分
値から求める。なお、セルシン値とトロリ位置x、巻き
長さlとの関係を予め光波距離計などの高精度の計測機
器で較正しておくことで、爾後、セルシン値のみから正
確なトロリ位置x、巻き長さlの値が得られるようにし
ておくとよい。
【0031】また、
【0032】
【数2】
【0033】とし、予め巻き長さlが長いときに、振れ
の振幅が減衰するのにかかる時間から、kを変化させて
数値積分を実行し、kの値を求めておくとよい。
【0034】クレーンを運転し、式(1)を横行開始か
ら横行終了まで数値積分することで、横行終了時点での
振れの大きさを推定することができる。また、横行開始
時に初期振れがある場合には、初期振れの角度、角速度
を設定することで、初期振れの影響を繰り込むことがで
きる。このモデルで横行終了時点振れ運動が小さくなる
ように後述するパラメータを調整し、実クレーンでこの
パラメータを使用することで横行終了時点振れ運動を小
さくする。
【0035】次に、振り子周期の同定について説明す
る。
【0036】巻き長さと振り子周期との理論的な関係
は、式(3)となる。
【0037】
【数3】
【0038】しかし、ここでは式(4)に基づいて巻き
長さから振り子周期を求める。より実際に近い式(4)
が理論式である式(3)と一致しない理由は、式(3)
が荷を質点としていること、式(4)では荷が2本吊り
であること、式(4)では巻き上げロープだけでなく主
索も振れることなどの影響があることなどである。
【0039】
【数4】
【0040】重心位置補正量bd 、振り子周期補正量t
l の値は、巻き長さと振り子周期との関係を予め複数の
巻き長さにおいて計測し、最小自乗法によって初期値を
求めた上で実機で動かしたデータでの数値積分で振れの
大きさが合うようにして定める。
【0041】数値積分を行って横行終了時点振れ運動を
求めるシミュレーションにより、セルシン値から巻き長
さを求め、式(3)で振り子周期を求めてシミュレーシ
ョンを行うと、正確な運動は求まらない。なぜなら、本
発明の振れ止め方法では式(4)の関係を前提に速度パ
ターンを生成しているので、その速度パターンに対して
式(3)によるシミュレーションを行っても正確でない
からである。そこで、理論式の巻き長さLt を修正する
ことで理論式の振り子周期Tt =式(4)で求まる振り
子周期Tcとなるようにする必要がある。
【0042】式(3)=式(4)として理論式の巻き長
さLt について解くと、式(5)となる。
【0043】
【数5】
【0044】このようにして、セルシン値から求めた巻
き長さLc を用いて巻き長さLt を求め、式(3)に基
づいて振り子周期Tt を求めると、修正後の振り子周期
Tcとなるので、式(4)で生成された振り子周期TC
を用いた速度パターンでシミュレーションを行って意味
のあるものとなる。
【0045】以上のように、本発明では、荷を単振り子
と見なしたときの巻き上げロープの巻き長さと荷の振れ
周期との関係を表す理論式(3)に実機の構造に即した
補正項bd ,tl を導入することにより、実機における
振れ周期TC を巻き上げのドラムの回転角の関係式
(4)で表す。この実機の振れ周期TC と同じ振れ周期
をもたらす単振り子の長さLC を求めて式(5)を得
る。その長さLC の単振り子の運動方程式を数値積分す
るシミュレーションにより、ある速度パターンで運転し
たときの荷の運動の時間履歴を求める。一方、この速度
パターンで運転したときの巻き上げのドラムの回転角及
び振れの角度を計測する。このシミュレーション値と実
際に計測した巻き上げのドラムの回転角及び振れの角度
とに基づいて上記補正項bd ,tl を同定する。
【0046】次に、加速部分における一段目の加速開始
から二段目の加速開始までの期間の長さ(以下、加速部
分修正対象時間という)taと、減速部分一段目の減速
開始から二段目の減速開始までの期間の長さ(以下、減
速部分修正対象時間という)tdとを修正する数式につ
いて説明する。
【0047】図7の速度パターンの加速部分修正対象時
間ta、減速部分修正対象時間tdの修正量をΔta、
Δtdとし、これらの修正量をパラメータとして調整す
ることにより、本発明の振れ止めを行う。
【0048】式(1)において横行、巻きが停止して振
れ角θが小さい場合、
【0049】
【数6】
【0050】であり、その解は、
【0051】
【数7】
【0052】なので、横軸が振れ角θ、縦軸が振れ角速
度/固有角周波数dθ/ωで定義される位相平面上に軌
跡をプロットすると、原点を中心とする右回りの円周上
を動くことになり、時間によらず原点からの距離
【0053】
【数8】
【0054】が振れの振幅となる。
【0055】また、トロリが横行加速時に式(1)にお
いて、
【0056】
【数9】
【0057】であり、この解は、
【0058】
【数10】
【0059】となるが、これは位相平面上で
【0060】
【数11】
【0061】を中心とする円になる。
【0062】そこで、図7のような速度パターンでクレ
ーンを運転した場合の軌跡は、図3のようになる。な
お、図3は初期振れがある状態で運転を始めたものであ
る。
【0063】図3の見方を説明する。
【0064】ある瞬時の振れの角度と角速度とを点とし
て位相平面上にプロットしていくと、運動を続けること
により位相平面上に軌跡が描かれる。外力が加わらない
状態で、安定な振り子運動をしている場合は、位相平面
上で円が描かれる。中心からの距離が振り子運動の角度
(振幅値)を示している。空気抵抗を考慮すると減衰に
より円が小さくなる。
【0065】初期振れ運動中のある時点より、一段目の
横行加速により角度、角速度が増大して軌跡31が描か
れる。横行加速を止めて横行速度一定を保つと軌跡32
が描かれ、二段目の横行加速により角度、角速度が縮小
して軌跡33が描かれる。二段目の横行加速が終わり、
定速横行に入ると、二段加速で解消しきれなかった振れ
運動が残り、円の軌跡となるが、ここでは振れ運動の減
衰を誇張して描いているので渦巻き状の軌跡34とな
る。
【0066】その後、一段目の横行減速により角度、角
速度が増大して軌跡35が描かれる。横行減速を止めて
横行速度一定を保つと軌跡36が描かれ、二段目の横行
減速により角度、角速度が縮小して軌跡37が描かれ
る。二段目の横行減速が終わると、その後は、残留振れ
を示す小さな円の軌跡38となる。なお、二段目の横行
加速の開始点をA、一段目の横行減速の開始点をB、二
段目の横行減速の開始点をCとする。
【0067】もし、二段目の横行減速が終わった横行終
了時点のプロット点が原点(角速度=0及び角度=0)
にいれば、振れが止まっていることになる。横行終了時
点のプロット点が原点から外れていれば残留振れがある
ことになり、時間経過と共に、そのプロット点から始ま
る円の軌跡38が形成される。その円の径が大きければ
残留振れが大きいことになる。
【0068】以上の基礎を踏まえて、本発明による振れ
止め方法を説明する。
【0069】図3の軌跡形成に用いた速度パターンにお
ける減速部分修正対象時間tdを修正すると、次のよう
な結果が生じる。例えば、正の修正量Δtdを加えて二
段目の減速開始の時間を遅らせていく。すると、図3に
おいて点Cが右回りの方向にずれていくことになる。こ
の状況を図4に示す。
【0070】図4では、横行速度一定時の軌跡36、二
段目横行減速時の軌跡37だけが示してある。二段目の
減速開始の時間を所定の修正量Δtd刻みで遅らせてい
くと、それに比例した距離(グラフ上の距離)ずつ点C
が移動していく。これに伴い、軌跡37も移動する。点
Cでは横行速度が横行最大速度の1/2であり、横行の
減速加速度は一定なので、点Cから横行速度が0になる
までの時間は点Cの移動に関係なく一定である。一方、
角速度ωも巻き長さにより決まりほぼ一定であるので、
点Cから同じ角度だけ回転して、軌跡37の終端である
横行終了時点のプロット点Dもずれていく。点Dが順次
ほぼ直線上をずれていくことが分かる。即ち、修正量Δ
tdに対して横行終了時点を示す点Dがほぼリニアに移
動する。その移動方向は、図4に矢印で示すとおり、位
相平面の右下方向である。
【0071】従って、既定の速度パターンで運転を行っ
たときの横行終了時点での振れ運動の角速度及び角度に
対し、修正量として任意の値ΔTを与えて修正した速度
パターンで運転を行ったときの横行終了時点での振れ運
動の角速度及び角度の変化量を知れば、修正量ΔTを適
宜に調整することで、矢印上の所望の点に角速度及び角
度を目論んで変化させることができる。
【0072】図4には、複数の点Dから始まる外力のな
い残留振れによる原点を中心とした円の軌跡38が一部
示されている。点Dを移動させることにより、残留振れ
の振幅(軌跡38の径)が違うことが分かる。
【0073】一方、加速部分修正対象時間taを修正す
ると、その修正量Δtaによって変化する横行終了時点
のプロット点のずれは、減速部分の修正のときほど単純
ではないので図示はしないが、二段目の加速開始の時間
を修正量Δta刻みで遅らせていくと、位相平面上を点
Aが右回りの方向にずれていき、軌跡33が移動するの
で、その後の渦巻き状の軌跡34の開始点がずれること
になる。この影響で、一段目の横行減速の開始点である
点Bが移動し、その後の軌跡35,36,37も移動す
ることになる。この結果、横行終了時点のプロット点D
もほぼ直線上をずれていくが、その直線の方向は図4に
示した減速部分の修正による直線の方向と同じとは限ら
ない。
【0074】加速部分修正対象時間taを修正した場合
における横行終了時点のプロット点Dの移動方向(直線
の傾斜)は定速横行の速度に依存して位相平面上を回転
することが分かった。つまり、定速横行の速度を変える
ことで、プロット点Dの移動方向を任意に変えることが
できる。定速横行の速度は、通常は横行の最大速度に設
定されるので、最大速度より低い速度に変えることにな
る。
【0075】加速部分の修正についても、既定の速度パ
ターンで運転を行ったときの横行終了時点での振れ運動
の角速度及び角度に対し、修正量として任意の値ΔTを
与えて修正した速度パターンで運転を行ったときの横行
終了時点での振れ運動の角速度及び角度の変化量を知れ
ば、修正量ΔTを適宜に調整することで、角速度及び角
度を目論んで変化させることができる。
【0076】次に、本発明では、上述した移動方向をベ
クトルとして扱うことにする。速度パターンの加速部分
のみの修正量ΔTで生じる点Dの移動方向及び大きさを
Va、減速部分の修正量ΔTで生じる点Dの移動方向及
び大きさをVdとする。これらのベクトルは、図1に示
したP3−P1、P2−P1のベクトルにほかならな
い。各ベクトルで示される変化量は線形結合させること
ができる。
【0077】そこで、発明の実施の形態の冒頭で述べた
3回の試運転を行う。例えば、最初に既定速度パターン
(公知の技術により搬送距離やトロリ最高速度から求め
た速度パターン)での試運転を行い、次に、既定速度パ
ターンに対してΔta=0,Δtd=ΔTの修正を加え
た速度パターンでの試運転を行い、さらに、既定速度パ
ターンに対してΔta=ΔT,Δtd=0の修正を加え
た速度パターンでの試運転を行う。これらの試運転にお
ける速度パターンの修正量ΔTは、ベクトルの変化量と
の線形性を失わず、Va,Vdが誤差に比して大きい程
度の大きさとする。
【0078】こうして図1の点P1、P2、P3を得
て、2つのベクトルVa,Vdを得る。2つのベクトル
を線形結合して原点上にP4を決定する。このとき、調
整量Δta,Δtdが決まる。例えば、求めたい合成ベ
クトルP4−P1をV0としたとき、V0=k1 Va+
2 Vdとなるようなk1 ,k2 を求め、調整量(Δt
a,Δtd)=(ΔTk1 ,ΔTk2 )とすればよい。
【0079】この調整量Δta,Δtdで既定速度パタ
ーンの修正量を調整した速度パターンで運転すると、横
行終了時点で位相平面上の軌跡がP4、即ち、原点に止
まる。角速度及び角度が共にゼロの状態となり、荷の振
れはなくなる。
【0080】このようにして、3回の試運転を行った後
の4回目以降は、残留振れのない運転を継続することが
可能になる。ダム建設現場等におけるクレーンの運転で
は、同じ箇所の需要先に繰り返し荷を運ぶことが多いの
で、4回目以降の残留振れが解消されることで、荷降ろ
しを迅速かつ正確に行うことが可能になり、効率が向上
する。また、需要先を変更した場合には、そこでも3回
の試運転によるベクトルの学習を行い、4回目以降の修
正量を調整する。学習内容は、需要先を変更した後も記
憶しておき、再度同じ需要先へ荷を運ぶ場合には、記憶
してある調整量を読み出して使用することで同じ需要先
への再学習を不要とする。
【0081】学習及び学習内容の再利用は、次のように
行う。ある需要先へ荷を搬送するために既定の速度パタ
ーンを調整したとき、その調整結果(振れをよく止める
ことのできる横行最大速度、横行速度加速時間の調整量
Δta、横行速度減速時間の調整量Δtd)をその需要
先の位置座標に対応付けて記憶してく。需要先が変わる
たびに、この学習を行うことにより、複数の需要先の位
置座標について調整結果が記憶されることになる。その
後、位置座標が記憶されている同じ需要先へ再度、荷を
運ぶ場合には、記憶してある調整結果を読み出し、その
読み出した値そのものを用いて速度パターンを調整する
ことができる。位置座標が記憶されていない需要先へ荷
を運ぶ場合には、その位置座標の最も近傍の記憶してあ
る需要先の調整結果を用いるか、又は、その位置座標の
周辺の記憶してある需要先の調整結果を内挿して用い
る。
【0082】なお、速度パターンを部分的に修正したこ
とにより、横行距離が変わってしまうが、その変化分
は、定速横行75の時間を増減するなどして横行距離を
当初の計画に一致させることは勿論である。
【0083】上記のベクトル結合の処理において、2つ
のベクトルVa,Vdのなす角が小さいか、2つのベク
トルVa,Vdが平行の場合は、合成ベクトルが線形な
範囲で原点に収まる解が得られない。このとき既定速度
パターンでの運転における横行終了時点での角速度及び
角度を相殺することが困難(不可能)である。このよう
な場合、ベクトルVaを回転させてベクトルVa,Vd
のなす角を大きくするとよい。このベクトル回転の処理
は、すでに述べた定速横行75の速度変更によるプロッ
ト点Dの移動方向の回転で実現できる。即ち、定速横行
75の速度を最大速度より低めに設定しなおして3回の
試運転を再度行うことで、ベクトルVdとの角度が大き
いベクトルVaを得る。これにより、合成ベクトルが線
形な範囲で原点に収まるk1 ,k2 を必ず得ることがで
きる。
【0084】ここでも、定速横行75の速度変更によっ
て横行距離が変わる変化分は、定速横行75の時間を増
減するなどして横行距離を当初の計画に一致させること
は勿論である。また、定速横行75の速度変更によっ
て、一段目加速後あるいは一段目減速後の速度一定7
3,77の期間の速度も定速横行75の速度の半分に変
更することになる。
【0085】速度パターンの減速部分及び加速部分の修
正は、これまでに述べた加速部分修正対象時間ta、減
速部分修正対象時間tdの修正に限定されない。従来の
二段階加速法では、一段目加速後及び一段目減速後の速
度一定73,77の期間の速度は定速横行75の速度の
半分としているが、この速度一定73,77の期間の速
度を変更することによっても横行終了時点での振れ運動
の角速度及び角度をリニアに変化させることができる。
よって、一段目加速後及び一段目減速後の速度一定7
3,77の期間の速度を修正した試運転を行い、前述と
同じようなベクトルの線形結合でもって、残留振れをな
くする調整量を得ることができる。
【0086】以上の方法により、従来技術の問題点は次
のように取り除かれる。
【0087】(1)初期振れの影響 運動方程式の積分を開始する初期値に、初期振れ、初期
位相を設定することで、初期振れの影響を見積もること
ができる。なお、荷を持ち上げるときのトロリの横行位
置は、毎回定まったスタート位置から一定距離の位置に
あるので、初期振れ、初期位相は毎回一定値と考えられ
る。従って、初期振れの影響による残留振れ成分も、速
度パターンの修正によって吸収される。
【0088】(2)横行と巻きとを並行させたときの誤
差 運動方程式の積分によって振れ(角度や角速度)を求め
ているので、横行と巻きとが並行していても、振れは正
確に計算される。従って、横行と巻きとを並行させたこ
とによる残留振れ成分も、速度パターンの修正によって
吸収される。
【0089】(3)動特性による誤差及び(4)速度計
の誤差 速度計の計測値は使用せず、セルシン値、その差分、2
階差分を用いているので、誤差は非常に小さくなる。
【0090】(5)巻き長さが長いことの影響 残留振れが小さくなったことで、横行終了時点以降に巻
き長さを伸ばしても、振れ幅はあまり大きくならない。
【0091】図5に、本発明の振れ止め方法を実行する
ための制御装置の概要を示す。
【0092】速度パターン生成部51は、図示しない計
画部が荷の供給源から需要先までの距離や落差に応じて
計画した最適な経路に基づき、その経路を移動する際に
振れ止めを行うための二段階加減速の速度パターンを生
成するものである。
【0093】速度パターン修正部52は、その速度パタ
ーンを修正する(無修正も含む)ものであり、前述した
3回の試運転のために修正量ΔTを決定する。
【0094】修正量調整部53は、4回目以降の運転に
おいて前記k1 ,k2 による調整を行うものである。
【0095】クレーンのコントローラ54は、与えられ
た速度パターンに応じて横行ドラム6の駆動モータを駆
動し、別途与えられた巻き上げ・下げのタイミングに応
じて巻き上げドラム7の駆動モータを駆動するものであ
る。
【0096】回転角センサ55,56は、両ドラム6,
7の回転軸または駆動モータ回転軸の回転角(セルシン
値)を計測するものである。回転角センサ55,56に
は、例えば、1回転の間に一定間隔で所定個のパルスを
出力するセルシンあるいはロータリエンコーダを用い
る。
【0097】位置・速度等演算部57は、運動方程式の
演算に必要な位置、速度あるいは角度、角速度を回転角
センサ55,56の計測値から演算するものである。
【0098】軌跡演算部58は、運動方程式を演算して
時々刻々の振れの角度、角速度を求めるものである。3
回の試運転における横行終了時点での角度、角速度が修
正量調整部53へ出力される。
【0099】本発明に係る速度パターン修正部52、修
正量調整部53、位置・速度等演算部57、軌跡演算部
58は、ソフトウェアで構成することができる。そのソ
フトウェアは、従来より速度パターン生成部51に用い
ているコンピュータに実行させればよい。従って、本発
明は、従来のクレーンの構造を変更することなく実施す
ることができる。
【0100】図8に、本発明による具体的な振れ止め調
整シーケンスを示す。
【0101】ここでは、先ず、クレーンの設置時或いは
必要が生じたときに運動方程式のパラメータ(定数項、
補正項など)を同定するためのステップS1を実行す
る。ステップS1では、最初に、同定のための目的地
(需要先)を巻きロープ値が最長の場所に設定する。セ
ルシン値(回転角センサ55,56の計測値)を時々刻
々記録しながら、荷を目的地に運び、ラック(離床)し
てからの時間経過に対する振れの大きさを記録する。式
(2)の減衰係数kの値を変えてシミュレーションする
ことにより減衰係数kの値を求める。次に、Δta,Δ
tdを変化させてセルシン値を記録しながら荷を目的地
に運び振れの大きさを記録する。このようにして記録さ
れたセルシン値を用いて、初期振れ、初期位相、重心位
置補正量、振子周期補正量の値を変化させてシミュレー
ションを行い、観測した振れの大きさに合うようにす
る。以上により、運動方程式のパラメータが同定され
る。爾後、クレーンの構造が変化しなければ、このステ
ップS1を実行する必要はない。
【0102】次に、目的地(需要先)が変わる度に行う
振れ止めパラメータ(横行最大速度、調整量Δta,Δ
td)を求めるステップS2を実行する。ただし、目的
地の近傍の横行位置についてパラメータが学習済みであ
れば、このパラメータを読み出して振れ止めに用いるこ
とができる。目的地かその近傍についてパラメータが未
知であれば、三回の試運転(Δta=0,Δtd=0に
よる試運転、Δta=ΔT,Δtd=0による試運転、
Δta=0,Δtd=ΔTによる試運転)を行い、調整
量Δta,Δtdを求める。調整量Δta,Δtdが予
め指定した範囲内にない場合、或いは残留振れ角の解が
0に近い指定した範囲内にならないとき、横行最大速度
を変える。調整量Δta,Δtdが指定範囲内で残留振
れ角が指定範囲内にできる場合、そのパラメータを当該
目的地に対応付けて記録する。これにより、振れ止め調
整が終了する。
【0103】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮す
る。
【0104】(1)実際の運転において速度パターンの
修正量とその修正で生じる振れ運動の変化量との対応関
係を求め、その対応関係を用いて振れ運動を相殺するよ
う速度パターンを修正するので、諸要因が作用している
実際の運転に最適な速度パターンで運転することができ
る。
【0105】(2)ドラムの回転角を計測して、その微
分、二階微分により速度、加速度を得ているので、速度
計の誤差を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法における横行終了時点での角速度
及び角度の変化量を示した位相平面図である。
【図2】荷の振れ運動の諸元を示した振り子の側面図で
ある。
【図3】本発明の方法を実施することにより得られる荷
の振れ運動の軌跡を示した位相平面図である。
【図4】本発明の方法による速度パターンの修正で軌跡
が変化することを示した位相平面図である。
【図5】本発明の方法を実行するための制御装置のブロ
ック図である。
【図6】ケーブルクレーンの簡略的な構造図である。
【図7】クレーンの横行の速度パターンを示す時間速度
特性図である。
【図8】本発明の方法を実行するための振れ止め調整シ
ーケンスの流れ図である。
【符号の説明】
2 トロリ 3 荷 4 横行索 5 巻き上げロープ 6 横行ドラム 7 巻き上げドラム 51 速度パターン生成部 52 速度パターン修正部 53 修正量調整部 55,56 回転角センサ 57 位置・速度等演算部 58 軌跡演算部 P1 既定速度パターンでの運転による横行終了時点振
れ運動成分 P2 減速部分修正速度パターンでの運転による横行終
了時点振れ運動成分 P3 加速部分修正速度パターンでの運転による横行終
了時点振れ運動成分 P4 最終的な修正量調整速度パターンでの運転による
横行終了時点振れ運動成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大牧 康弘 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社横浜エンジニアリ ングセンター内 (72)発明者 村山 茂樹 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社横浜エンジニアリ ングセンター内 Fターム(参考) 3F204 AA03 CA03 EA02 EA03 EA06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横行開始時点より二段階加速し横行終了
    直前に二段階減速する速度パターンで運転することによ
    り、横行終了時点での荷の振れを止めるクレーンの振れ
    止め方法において、既定の速度パターンでの運転と、既
    定速度パターンの減速部分のみを修正した速度パターン
    での運転と、既定速度パターンの加速部分のみを修正し
    た速度パターンでの運転とを行い、各運転における横行
    終了時点での振れ運動の角速度及び角度を相互比較して
    減速部分及び加速部分の修正量とその修正で生じる横行
    終了時点での角速度及び角度の変化分との対応関係を求
    め、その対応関係を用いて前記既定速度パターンでの運
    転における横行終了時点での角速度及び角度を相殺する
    ように既定速度パターンの減速部分及び加速部分の修正
    量を調整した速度パターンで運転することを特徴とする
    クレーンの振れ止め方法。
  2. 【請求項2】 前記速度パターンの修正は、一段目の減
    速開始から二段目の減速開始までの期間の長さまたは一
    段目の加速開始から二段目の加速開始までの期間の長さ
    の修正であることを特徴とする請求項1記載のクレーン
    の振れ止め方法。
  3. 【請求項3】 前記既定速度パターンでの運転における
    横行終了時点での振れ運動の角速度及び角度に対する前
    記速度パターン修正による変化分を角速度と角度とから
    なる位相平面上のベクトルで表すことにより、前記3回
    の運転から2つのベクトルを得て、その2つのベクトル
    の線形結合ベクトルと前記既定速度パターンでの運転に
    おける横行終了時点での角速度及び角度からなるベクト
    ルとの和が角速度及び角度の原点に収まるよう各修正量
    を調整することを特徴とする請求項1又は2記載のクレ
    ーンの振れ止め方法。
  4. 【請求項4】 前記相殺が困難な場合には、前記既定速
    度パターンの横行速度を変更した速度パターンで運転す
    ることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のクレー
    ンの振れ止め方法。
  5. 【請求項5】 横行及び巻き上げのドラムの回転角を計
    測し、これら回転角計測値からトロリの位置及び巻き長
    さを求め、これらトロリの位置及び巻き長さ又はその微
    分値を運動方程式に代入することにより、荷の振れ運動
    の角速度及び角度を求めることを特徴とする請求項1〜
    4いずれか記載のクレーンの振れ止め方法。
  6. 【請求項6】 荷を単振り子と見なしたときの巻き上げ
    ロープの巻き長さと荷の振れ周期との関係を表す理論式
    に実機の構造に即した補正項を導入することにより、実
    機における振れ周期を巻き上げのドラムの回転角の関係
    式で表し、この実機の振れ周期と同じ振れ周期をもたら
    す単振り子の長さを求め、その単振り子の運動方程式を
    数値積分するシミュレーションにより、荷の運動の時間
    履歴を求め、このシミュレーション値と実際に計測した
    巻き上げのドラムの回転角及び振れの角度の時間履歴と
    に基づいて上記補正項を同定することを特徴とする請求
    項1〜5いずれか記載のクレーンの振れ止め方法。
  7. 【請求項7】 ある需要先へ荷を搬送するために既定の
    速度パターンを調整したとき、その調整結果をその需要
    先に対応付けて記憶しておき、再度同じ需要先又はその
    近傍へ荷を運ぶ場合には、記憶してある調整結果を読み
    出して速度パターンを調整することを特徴とする請求項
    1〜6いずれか記載のクレーンの振れ止め方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1071117A (ja) * 1997-07-28 1998-03-17 Clean Tex Japan Kk ダストコントロールマット
JP2007161393A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd クレーンの振れ止め制御方法
JP2014213994A (ja) * 2013-04-25 2014-11-17 東亜建設工業株式会社 クレーンを用いた吊り上げ方法および吊り上げ補助装置
JP2017165580A (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 Jfeプラントエンジ株式会社 クレーンの運転支援方法、及びクレーンの運転支援装置
CN114084800B (zh) * 2021-11-22 2024-03-05 河北工业大学 一种双摆桥式吊车自适应模糊控制方法及系统

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