JP5686404B2 - クレーンの制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吊荷のロープの長さを変動する場合における吊荷の振れ(荷振れ)を抑制するクレーンの制御方法に関するものである。
ダム用のタワークレーン(以降、単にクレーンと呼称する)は、ブームの旋回および起伏と吊荷の巻き上げまたは巻き下げにより、生コンクリートを所定の位置まで運搬する大型の荷役機械である。
例えばダム工事のコンクリート打設設備では、図1に示すように、コンクリート混練プラント101からトランスファーカー102により運ばれた生コンクリートをクレーンCのブーム105の先端からワイヤ104を介して吊り下げられたバケット(吊荷の一例)103に受けた後、ワイヤ104を巻き上げることによってバケット103を吊り上げる。
次いで、クレーンCのブーム105を旋回させて、バケット103をダム堤体200の打設面上の目的地点の上まで搬送する。
そして、前記バケット103が目的地点の所定の高さになるまでワイヤ104を巻降ろした後、バケット103のゲートを開いて、バケット103内の生コンクリートをダム堤体200の目的地点に打設する。
また、コンクリートの打設には、クレーンCの操作者の他に、生コンクリート混練プラント101側と前記目的地点にも作業者が必要である。
上述のようなクレーンCでは、作業の安全を確保するために、バケット103ができるだけ振れないようにブーム105を旋回させて、目的地点上でワイヤ104により吊り下げられたバケット103が振れないようにしたいという要請がある。
さらに、工期を短縮し、コストを低廉化するために、クレーンCの旋回動作をできるだけ速くしたいという要請もある。
そのため、前記2つの要請を満たすためには、クレーンCのブーム105の旋回、起伏およびワイヤの巻上げ、巻降ろしの操作に熟練を要するという事情があった。
しかしながら、建設業界においては、上述のような高度な操作が可能な熟練者が少なくなってきているという実情があり、また、クレーン操作の熟練者を養成するのには時間とコストを要するという問題もある。
一方で、上述のようなコンクリートの打設には、クレーンCの操作者のみならず、そのクレーンCの動きに追従して作業を行う作業者(コンクリート混練プラント側と目的地点側)が必要である。
そのため、上述の操作の熟練の程度によって定まるクレーンCのサイクルタイムの長短が、工期や人件費等のコストに与える影響は非常に大きい。
特に、上述のようなダム工事にあっては、1日に膨大な量の生コンクリートを打設するので、クレーンCのサイクルタイムの長短が工事の工程に及ぼず影響は一層重大となる。
ところで、クレーンCのブーム105の先端は円弧状の軌跡を描き、吊荷103には旋回方向の周方向加速度と動径方向に遠心力が働くため2次元的な運動となり、その動作(ダイナミクス)は走行型のクレーンと大きく異なっている。
特に、運搬のサイクルタイムを短縮するためには、旋回と並行して吊荷の巻き上げまたは巻き下げを行う必要があり、吊荷のダイナミクスはさらに複雑になる。
上述のように、コンクリート打設のサイクルタイムの短縮は重要な課題であり、それを向上させるには打設位置での残留振動の発生を抑制することが必要になるが、2次元的な振れであるため振れの抑制は難しい課題である。
ここで、クレーンにおける残留振動を抑制する技術は種々提案されている。
例えば、特許第3241591号公報には、旋回自在かつ起伏自在なブームを有するブーム式クレーンにより、吊荷をワイヤで吊り下げながら運搬開始地点から目的地点に運搬するクレーンの制御方法において、ブームの旋回の加速開始から加速終了までの間にワイヤが巻上げまたは巻降ろされ、加速開始時の前記ワイヤの吊り長さに基づく吊荷の振り子運動の周期と加速終了時のワイヤの吊り長さに基づく吊荷の振り子運動の周期との平均値の整数倍の時間の間、ブームを加速旋回させると共に、この加速旋回区間のみでブームの起伏を行い、起伏動作終了時のブームの旋回半径が目的地点の旋回半径になるようにし、次に、目的地点の旋回半径を維持した状態で、ブームを加速終了時の旋回角速度で等速で旋回させ、その後、ブームの旋回の減速開始から減速終了までの間にワイヤが巻上げまたは巻降ろされ、減速開始時のワイヤの吊り長さに基づく吊荷の振り子運動の周期と減速終了時のワイヤの吊り長さに基づく吊荷の振り子運動の周期との平均値の整数倍の時間の間、ブームを減速しながら旋回させて、吊荷を目的地点に停止させるクレーンの制御方法が開示されている。
特許第3241591号公報
ところが、前記従来技術によっても吊荷のロープの長さを変動する場合における吊荷の振れを十分に抑制することが難しいことが判明した。
そこで、本発明は、吊荷のロープの長さを変動する場合における吊荷の残留振動をより効果的に抑制することのできるクレーンの制御方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係るクレーンの制御方法は、旋回半径を一定としてブームを旋回させ、ワイヤの長さを変動させつつ、当該ワイヤで吊った吊荷を、運搬開始位置から加速区間、等角速度区間および減速区間を経て目標位置まで運搬するクレーンについて、前記ブームの旋回に伴なう前記目標位置における前記吊荷の残留振動を収束させる振れ止め制御を行うクレーンの制御方法であって、前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)および巻き下げ速度(v r2)を仮定する第1の工程と、仮定した加速時間(Tφ )および減速時間(Tφ )ならびに前記第1の工程で仮定した前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)および巻き下げ速度(v r2)に基づき、数37を用いて加速時間(T )および減速時間(T )を求める第2の工程と、前記第1の工程で仮定される前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)と巻き下げ速度(v r2)とを変化させつつ前記第1の工程および前記第2の工程を繰り返し、数43が成立する前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)と巻き下げ速度(v r2)とを求める第3の工程と、前記ワイヤの巻き上げが開始するS点から前記ワイヤの巻き上げが停止するD点までの前記ワイヤの巻き上げ長さ(D SD )を表す数41、および前記ワイヤの巻き下げが開始するF点から前記ワイヤの巻き下げが停止するE点までの前記ワイヤの巻き下げ長さ(D FE )を表す数42から前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)に対応した巻き上げ時間(t )と巻き下げ速度(v r2)に対応した巻き下げ時間(t )とを求める第4の工程と、前記S点から前記D点までの旋回角度(α SD )を表す数38から旋回速度(α)を求める第5の工程と、運搬開始位置から目標位置までの旋回角度をαTOTとしたとき、数44から前記ブームの旋回の定常速度の時間(T ST)を求める第6の工程と、を実行することを特徴とする。
Figure 0005686404

Figure 0005686404

Figure 0005686404

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Figure 0005686404

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ここで、数37におけるv はv r1 ,v r2 に対応し、t はT ,T に対応し、φは非線形時間スケールを表していてT φ ,T φ に対応する。
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、運搬開始位置から目標位置までの旋回速度(旋回角度)を変えても、吊荷のロープの長さを変動する場合における吊荷の残留振動を効果的に抑制することができる。
施工状態のクレーンCを示す説明図である。 運搬開始位置(S)から目標位置(E)までの移動状態を示す説明図である。 運搬開始位置(S)から目標位置(E)までのコンクリートバケットの位置を示す説明図である。 タワークレーンのモデルを示す説明図である。 タワークレーンのモデルを示す説明図である。 運搬開始位置(S)から目標位置(E)までのコンクリートバケットの位置を示す説明図である。 S点からE点までのコンクリート運搬の旋回および巻上げ(下げ)の速度制御信号を示す説明図である。 ブーム先端と振り子の運動をXY平面に投影して得られる軌道の比較を示す説明図である。 振り子の高さ方向のシミュレーション結果と計測結果の比較を示す説明図である。 振り子のX、Y座標の時間変化のシミュレーション結果と計測結果の比較を示すグラフである。 振り子のX、Y座標の時間変化のシミュレーション結果と計測結果の比較を示すグラフである。 振り子の長さが一定の場合の振り子の振れ角を示すグラフである。 振り子の長さが変動する場合の振り子の振れ角、旋回の加速度を示すグラフである。 ブーム先端のXおよびY方向の加速度を示すグラフである。 旋回方向の加速度を変えた場合の振り子の振れ角を示すグラフである。 運搬時間を長くした場合の振り子の振れ角を示すグラフである。 コンクリートバケットのブーム先端からの無次元相対運動をXY平面に投影したときの軌跡を示す説明図である。 振り子の軌道を図6に示す軌道にするための旋回および巻き上げ(下げ)の速度パターンを示す説明図である。 旋回の加速入力パターンを入力した場合の振り子の軌道を示すグラフである。 本発明に係る「制御方法1」と従来の「制御方法2」を適用した場合の振り子の運動を比較したグラフである。 本発明に係る「制御方法1」と従来の「制御方法2」を適用した場合の振り子の運動を比較したグラフである。 120s〜180sの区間を拡大したグラフである。 120s〜180sの区間を拡大したグラフである。 本発明の実施の一形態に係るブーム式のクレーンの駆動制御装置のブロック図である。 クレーンCを上方から見た平面図である。 運搬パターン(ケース1〜3)を示す説明図である。 算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
ここで、本実施の形態に係るクレーンの制御方法の説明を行う前に、本発明が完成されるまでの経緯等について説明する。
まず、従来においては、タワークレーンをモデル化し吊り荷ロープ長が変動する場合の吊り荷の位置決め制御、振れ止め制御にゲインスケジュールド制御が有効であることを検証している(TAKAGI、K.、NISHIMURA、H.、Gain−Scheduled Controlof A Tower Crane Considering Varying Load−RopeLength、 the Japan Society of Mechanical Engineers、Series C、 Vol.64、 No.626、(1998)、 pp.113−120.)。
また、他の従来技術では、目標位置において吊り荷とタワー部が静止するようなフィードフォワード入力を終端状態制御により求め、荷振れ角センサーを用いないフィードバック制御との2自由度制御系を構成し、吊り荷の振動制御、ブームの起伏・旋回角度の位置決め制御、タワー部の振動制御ができることを検証している(TAKAGI、 K.、 NISHIMURA、H.、UCHIDA、Y.、Controlof A Tower Crane without Sensor for Load−RopeAngle (2DOF Control Using Final−State Control Methodwith Error Learning)、 the Japan Society of MechanicalEngineers、 Series C、 Vol.67、No.656、(2001)、pp.103−111.)。
また、さらに他の従来技術では、振り子の長さが変動する場合について、振り子のエネルギーに相当する関数を定義しその値が小さくなるような重心移動による振れ止めの制御則を導いている(YOSHIDA、Y.、FUKAO、T.、TSUGE、 T.、 Positioning andVibration Control of a Containr Crane Suspended Load、the Japan Society of Mechanichal Engineers、 Series C、Vol.70、No.694、(2004)、pp.151−155.)。この制御則は振り子が上下するようなクレーン系の振り子の振れ止め制御に応用が可能である。
また、さらに他の従来技術では、天井クレーンを対象として極固定可変ゲイン制御を吊り荷の位置追従制御に適用したフィードバックの制御系を構築した(KANESHIGE、 A.、TERASHIMA、K.、MUNETOSHI、H.、SADAMORI、T.、 Modeling and Transferring Control ofan Overhead Traveling Crane based on the informationof Object Position(2nd Report、Design of Object−PositionFeedback Controller Considering the Change of Rope−Length)、 the Japan Society of Mechanichal Engineers、Series C、 Vol.64、 No.628、(1998)、pp.253−260.)。
さらに他の従来技術では、旋回クレーンの旋回、起伏、巻き上げ(下げ)同時運動による直線搬送方式での残留振動の振れ止め制御と吊荷の移動に関する最短時間制御問題を取り扱い、搬送時間の短縮と残留振動の抑制が可能であることを示した(SHEN、Y.、TERASHIMA、K.、YANO、K.、SUZUKI、K.、 Minimum Time Control of a Roatry Crane byUsing Starigt Transfer Transformaton Methd、 the Societyof Instrument and Control Engineers Industrial ThesisCollection、 Vol.3、 No.10、(2004)、pp.70−79.)。
ところで、これらの吊荷のロープ長の変動を考慮した研究ではフィードバック制御が適用できることを前提にして制御方法が誘導されている。
しかしながら、フィードバック制御はシステムのコスト、計測機器の故障を考慮すると現場では不向きであり、オープンループによる運転が必要になる。
そこで、本発明者は、タワークレーンの吊荷のロープ長が変動する場合を対象として、非線形時間スケールを適用し、目標位置で残留振動の発生を抑制する旋回の加速方法を鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
以下に、シミュレーション結果と比較して本発明の有効性を示す。
まず、独立変数の変数変換による振れ止め方法について述べる。
図2に示すようなクレーンを考えると、クレーンの運転はS点の運搬開始位置からO点で最大速度になるように、吊り荷の巻き上げ(下げ)を行いながらトロリーを加速する。 その後、最大速度で運転しコンクリート打設位置に近づいた時に、P点で減速を開始しE点のコンクリート打設位置で停止させ、コンクリート打設終了後再びS点に復帰する。 運描量時間の短縮および安全性からE点の打設位置に到達した時に、コンクリートバケットの振れを小さくする必要がある。
このようなクレーンを図2に示すように振り子の支点が水平方向に変位し長さが変化する振り子とみなして支点の加減速終了後に残留振動が残らない加速パターンを解析的に求める。
運動方程式を数3に示す。
Figure 0005686404
吊り荷の振れ角θは微小としてsinθ≒θ、cosθ≒1、吊り荷ロープは無質量で剛体、吊り荷を質点と仮定し、粘性減衰を無視して考える。
ここに、θは振れ角、lは振り子の長さ、Xはトロリーの位置、gは重力加速度である。
式(1)において、l0を振り子の規準長さとし、l=l0l、X=l0X、t=Tt(T=√(l0/g)と置くと数1は無次元化され数4となる。
Figure 0005686404
次に、非線形スケールの適用について述べる。
初期状態t=0で振れ角θと角速度dθ/dtとする。
新たな時間尺度(振り子の位相に相当する)φを導入し、加速開始時刻をφ=0、加速終了時刻をφ=2πとし、振れ角θが数5のように変化するトロリーの加速度入力d/dt*2を導く。
Figure 0005686404
この場合、加速終了時にθ=dθ/dφ=0となり、後述のようにφとtの関係を設定すると、加速終了時にθ=dθ/dt=0となるため、残留振動は残らない。
数5において、θはトロリーへの加速度入力の最大値がクレーンの仕様から決まるトロリーの最大加速度以下になるように決める。
φをtの関数とみなすと、
Figure 0005686404
Figure 0005686404
が成り立ち、数5のtに関する微分は数8、数9のようになる。
Figure 0005686404
Figure 0005686404
数5、数8、数9を数4の左辺に代入すると数5の振れを実現するためのトロリーへの加速度入力d/dt*2が以下の数10のように求まる。
Figure 0005686404
数6、数7を使って数4の左辺を表し、加速度入力を数10として数4の右辺を表し、両辺を(dφ/dtで割ると、数11を得る。
Figure 0005686404
なお、数11の一般解は、数5である。
ここで、数11の左辺第3項の係数は新たな時間尺度φで見たときの振り子の等価剛性を現している。
これが変化せず一定値1をとるように、時間tと新たな時間尺度φとの間に数12のような関係付けを行うと固有振動数は1になる。
Figure 0005686404
即ち、数13のようにφを設定する。
Figure 0005686404
このとき、時間tと新たな時間φは比例せず、φは非線形時間スケールとなる。
また、入力加速度の数10は数14のように簡便になる。
Figure 0005686404
さらに、数12より数15、数16が成り立つので、加速度入力を表す式は数17のように書き直すことができる。
Figure 0005686404
Figure 0005686404
Figure 0005686404
ここで、 巻き上げ速度v を数18のようにおいた。
Figure 0005686404
数17からφ=0〜2πに対するd/dt*2を求め、その結果をtとφの関係式(数13)を用いて時問軸をφからtに変換することにより、各時刻tのときに与えるべき加速度入力が求められる。
時間領域での振り子の振れ角の応答波形は非線形時間スケールφで定義されているθ=θ(1−cosφ)に数13を適用してtで表した(時間軸方向に伸縮させた)数19のような波形になる。
Figure 0005686404
すなわち、非線形時間スケールを適用して波形を時間軸方向に拡大あるいは縮小すれば振り子の長さが変化する場合の振り子の軌道が数2を積分することなく求められることが分かる。
次に、本発明の根幹に関わるタワークレーンの解析モデルと運動方程式について述べる。
まず、タワークレーンの運転方法について説明する。
クレーンCの運転方法の概要を図3に示す。
図3の(a)のOは旋回中心、SPO’QEはブームの軌跡である。
図3の(b)は図3の(a)のブーム先端の円弧状の軌道を展開したものである。
クレーンCの運転はS点の運搬開始位置からP点で最大旋回速度になるように吊荷の巻き上げ(下げ)を行いながら旋回を加速する。
その後、最大旋回速度で運転し目標位置に近づいた時にQ点で減速を開始しE点のコンクリート打設位置で停止させ、コンクリート打設終了後再びS点に復帰する。
SP間の加速領域、QE間の減速領域では旋回方向の加速度、遠心力に加えて振り子の長さ変動に起因したコリオリ力がコンクリートバケット103に作用する。
また、PQ間の旋回の等速区間では遠心力およびコリオリ力が作用する。
運転方法は、図3に示すように旋回を加速、定常速度、減速領域に分けたオープンコントロールとし、目標位置での残留振動の発生を抑制する旋回の加速パターンの算定方法について考える。
次に、運動方程式について述べる。
ここでは、図4および図5のようなモデル化を用いる。
図5は、ロープの長さを変動させて、コンクリートバケットを上げ下げする場合を示す。
なお、クレーン本体およびブームは剛体、吊り荷は質点、ロープは質量を無視し剛体として取り扱う。
O点は旋回中心、B点はブーム先端を表し、ダム軸をX軸とする。
また、ψはコンクリートバケットのX軸からの方向角、θは吊り荷の振れ角、αはブームのX軸からの角度(旋回角度)、rはB点とO点の水平距離でクレーンの旋回半径、lは吊り荷ロープ長である。
ここで、タワークレーンの吊り荷の運動をB点を支点とする円錐振り子としてモデル化する。
なお、以後、コンクリートバケットを「振り子」と呼ぶものとする。
図4において、旋回の中心(O)の座標を(x、y、z)、ブーム先端(B)の座標を(x、y、z)、振り子の座標を(x、y、z)とすると振り子の座標は数20、数21のようになる。
Figure 0005686404
Figure 0005686404
次に、数20、数21を時間で微分した速度から振り子の運動エネルギーを算出しラグランジアンを求める。
ラグランジアンよりオイラーの微分方程式をつくることにより振り子の運動方程式は数22、数23のようになる。
Figure 0005686404
Figure 0005686404
また、図4に示すように振り子の支点はブーム先端であることから振り子に作用する外力はブーム先端の運動により与えられ、ブーム先端の座標は数24、数25のように表すことができる。
Figure 0005686404
Figure 0005686404
そして、旋回半径が一定とすると、ブーム先端のXおよびY方向の加速度は数26、数27のようになる。
Figure 0005686404
Figure 0005686404
ここで、lを振り子の規準長さとし、l=l、x=l、t=Tt(T=√(l/g))、v =Tvr/lとおくと、振り子の無次元長さは数28のように表すrことができる。
Figure 0005686404
また、d/dt*2=0、θは微小と仮定してsinθ≒θ、cosθ≒1として、数26、数27を数22、数23に代入し、数28を考慮すると、振り子の長さが変動する円錐振り子の運動方程式は数29、数30のようになる。
Figure 0005686404
Figure 0005686404
タワークレーンCの目標位置に到達後の残留振動を抑える制御方法の検討には無次元化された数29、数30を適用する。
このように、本発明では、振り子の長さの変化を考慮しているため、数29の左辺第2項、および数30の左辺第2項が存在している。
次に、実測値との比較によるモデル化の妥当性の検討について述べる。
まず、運搬方法について説明する。
実機タワークレーンの自動運転によるコンクリート打設時のコンクリートバケットの軌道の計測値と数29、数30を適用したシミュレーション結果と比較してタワークレーンのモデル化の妥当性を評価する。
自動運転の方法は下記の通りである。
即ち、振り子の長さが変化しない場合、固有周期の時間に一定の加速度を作用させてトロリーを定常速度にすれば振り子の残留振動が発生しない。
このことを利用して振り子の長さが変化する場合の旋回の加速パターンを次のように設定する。
つまり、加速開始時の固有周期と加速終了時の固有周期を平均した時間を加速時間T とする。
加速開始時の振り子の長さlは1、時間T 後の振り子の長さlは1+vrT となるので加速時間T は数31のようになる。
Figure 0005686404
数31より加速時間T を求めると数32のようになる。
Figure 0005686404
このT を使って次に示す加速度A を設定する方法である。
ここで、上記のような制御方法を「制御方法2」と呼ぶこととする。
Figure 0005686404
ここに、αは定常運転時の旋回速度である。
また、実機タワークレーンの旋回および巻き上げ(下げ)のモータは速度制御されているためモータへの入力信号と回転速度の関係を一次遅れ系でモデル化すると数29、数30のdα/dt*2は数34のようになる。
Figure 0005686404
ここに、T αは旋回の時定数である。
また、旋回の速度制御信号αは数35のように表すことができる。
Figure 0005686404
次に、実測値との比較について説明する。
ここでは、図6に示すS点(運搬開始位置)からE点(コンクリート打設位置)まで運搬した場合の振り子の軌道の計測値とシミュレーション結果を比較する。
表1にS点およびE点の座標を示す。
Figure 0005686404
表1では、ダム軸をX軸とし、Z座標は標高を表している。
S点からE点までの旋回角度は約205度で時計周りに旋回した場合である。
図6の(b)は旋回の円弧状の断面を展開したもので、SDFEを結んだ線はコンクリート運搬中の障害物を回避するための振り子の侵入禁止領域を表している。
したがって、振り子は侵入禁止領域より高い軌道を通るように制御される。
そして、振り子に追尾用ミラーを取り付け自動追尾のトランシットでその3次元座標を計測した。
図7はS点からE点までのコンクリート運搬の旋回および巻上げ(下げ)の速度制御信号を示している。
旋回速度は反時計回りを正、巻き上げ(下げ)は巻き下げを正とする。
図7に示すように25秒から巻き上げを始め、バケットが所定の高さになった時に旋回が始まる。
また、約90秒から巻き下げを始める。
この時に、振り子は図6の(b)に示す侵入禁止領域より高い軌道になる。
図8はブーム先端と振り子の運動をXY平面に投影して得られる軌道の比較を示す。
ブーム先端の軌道はブームの長さと起伏角度から計算した値である。
計測した振り子の座標とシミュレーションにより求めた座標は重なっている。
振り子はブーム先端の軌道より遠心力により外側の軌道を通り半径方向の振動が発生している。
図8に示す円弧状の断面を展開して得た振り子の高さ方向のシミュレーション結果と計測結果の比較を図9に示す。
図9において、横軸は旋回角度で、縦軸は標高である。
運搬開始と共にに巻き上げが始まり障害物を回避する高さになると巻き上げ(下げ)が停止し障害物を越えた時に巻き下げになる軌道になっている。
なお、シミュレーションから求めた振り子の軌道と計測した軌道は重なっている。
次に、振り子のX、Y座標の時間変化のシミュレーション結果と計測結果の比較を図10および図11に示す。
図11は、図10の120秒から180秒を拡大したものである。
図10に示すようにシミュレーションから求めた座標と計測した座標は重なっている。
さらに、振り子の目標位置での計測とシミュレーションを拡大したものが図11で、若干位相が異なっているが、シミュレーション結果は計測結果を模擬しており上述のモデル化は妥当であると考えられる。
したがって、タワークレーンの目標位置での残留振動を抑制するオープンコントロールによる制御方法の構築には数29、数30を用いることとする。
次に、吊り荷の振れ止め方法について説明する。
振り子の長さが変化する場合について、目標位置での残留振動の発生を抑制する加速パターンを次のように求める。
初めに、前述の方法により振り子の長さが変化しない場合に対して、旋回の加速パターンを非線形時間スケールで求めておく。
即ち、運搬開始位置S点から一定加速度でP点まで加速しP点で一定の旋回速度にし、運搬目標位置近くのQ点に達したとき旋回の減速を開始しE点で旋回が停止する場合について残留振動が発生しない加速パターンを求めておく。
振り子の長さが変化する場合には、時間とともに変化する振り子の運動方程式の等価剛性が変化しないように時間と新たな時間尺度を関係づけた数36に示す新たな非線形時間スケールφを適用し振り子の長さが変わる場合の加速パターンに変換する。
Figure 0005686404
ここで、巻き上げ(下げ)速度が一定の場合、非線形時間スケールφから時間tへの変換は数36および数28から数37のようになる。
Figure 0005686404

ここで、v は巻速度を示しており、v r1 ,v r2 に対応している。t は時間を示しており、T ,T に対応している。φは非線形時間スケールであり、T φ ,T φ に対応している。
したがって、数37のφに非線形時間T φ 、v にv r1 を代入すると加速時間T が求められ、φに非線形時間T φ 、v にv r2 を代入すると減速時間T が求められる。
数37を用いて非線形時間スケールから無次元実時間(実際にはさらに有次元時間に変換)に変換された加速パターンを入力することにより目標位置での残留振動の抑制が可能となる。
上述の制御方法(制御方法1)の妥当性を評価するためシミュレーションを行った。
その条件を表2に示す。
Figure 0005686404
表2において、C1〜C3までのケースは旋回の入力加速度を変化させた場合、C4、C5は運搬時間を長くした場合である。
また、表中のdα/dt*2は加速度、vrは巻き上げ(下げ)速度を示している。
C1−1、C2−1、C3−1、C4−1、C5−1のケースは巻上げ(下げ)がない場合で、S点からP点、Q点、E点に達する時刻Tφ 、Tφ 、Tφ は非線形時間スケールφで表されている。
また、その他の振り子の長さが変化する場合のそれらの時刻は、数35にTφ 、Tφ 、Tφ および巻き上げ(下げ)速度v を代入して算出した時刻である。
次に、振り子の長さが一定の場合について説明する。
振り子の長さが一定の場合の振り子の振れ角を図12に示す。
図12の(a)は旋回の加速領域の加速度を変えた場合、図12の(b)は運搬時間を変えた場合である。
図12の(a)より、加速度が大きくなると振り子の振れ角は大きくなっている。
図12の(b)より、加速領域の加速度が等しいため最大振れ角は等しくなっている。 このように、運搬時間を長くしても目標位置での残留振動は発生していないことが分かる。
次に、振り子の長さが変化する場合について説明する。
α/dt*2=0.015、v =0.0、0.0226、0.0452、−0.0226、−0.0452とした場合の振り子の振れ角、旋回の加速度を図13に示す。
運搬時間は振り子の長さが変化しない場合と比較して巻き下げの場合は長く、巻き上げの場合は短くなっている。
巻き下げの場合は振れ角の最大値は小さく、巻き上げの場合は大きくなっている。
振り子の長さが変化しない場合には減速終了後の残留振動の発生を抑制できるが、振り子の長さが変化する場合にはθ=0.0025程度の振れが発生している。
また、巻き下げ速度が大きくなると残留振動の振幅も大きくなっている。
旋回方向の加速度がdα/dt*2=0.015の場合について、巻き上げ(下げ)速度の違いによる加速・減速時間を比較する。
加速時間は、巻き上げ(下げ)がないC2−1では6.99、巻き上げのC2−4では6.71、巻き下げのC2−2では7.27である。
また、減速時間も同様に6.99、5.76、8.22になっている。
それぞれの場合について、ブーム先端のXおよびY方向の加速度を図14に示す。
巻き上げ(下げ)がない場合にはt=9.25においてX方向では対称に、Y方向では点対称になっているが、巻き上げ(下げ)がある場合には、振り子の長さが変化するため非線形時間スケールで算出された入力加速度が時間方向に伸縮され入力加速度は非対称になることが分かる。
次に、巻上げ下げ速度を一定値v =0.0226として、旋回方向の加速度を変えた場合の振り子の振れ角を図15に示す。
加速度が大きくなるとそれに比例して最大振れ角も大きくなっている。
残留振動の大きさはほぼ等しい。
タワークレーンを使った運搬作業において、目標位置までの最大旋回角度はπである。 そこで、旋回角度を大きくした場合、すなわち運搬時間が長くなる場合の目標位置での残留振動の発生を抑制することを確認しておく必要がある。
運搬時間が長くなると実機では巻き上げ(下げ)速度を小さく設定することから、巻き上げ(下げ)速度をv =0.0113とした。
運搬時間を長くした場合の振り子の振れ角を図16に示す。
また、図16に示すケースは旋回角度が約πに対応している。
いずれも場合にも目標位置における残留振動の振幅は0.002程度である。
次に、コンクリートバケットのブーム先端からの無次元相対運動をXY平面に投影したときの軌跡を図17に示す。
ここで、原点はブーム先端位置である。
最大振幅は0.04、目標位置での振幅は約0.002である。
例えば、振り子の長さが50mと仮定した場合に、最大振幅は2m、目標位置での残留振幅は0.1mになる。
この振幅はコンクリートバケットの直径が2.0〜2.5mであることを考慮すると実用的には問題のない振幅である。
次に、本発明に係る制御方法の妥当性の確認について述べる。
前出の表1および図6に示すコンクリート運搬の開始位置とコンクリート打設位置が与えられた場合を例として、前述の「制御方法2」と前述の「制御方法1」との比較を行い本発明の有用性を示す。
図6のS点は運搬の開始位置、E点はコンクリート打設位置、DF点は障害物を回避してコンクリート運搬するために設定される位置で、SDFE点を結んだ線より振り子の軌道を高くする必要がある。
図18は振り子の軌道を図6に示す軌道にするための旋回および巻き上げ(下げ)の速度パターンである。
図18の(a)のS点〜P点まで加速し、その後Q点まで定常速度αで運転し、Q点から減速が始めE点で停止する。
巻き上げ(下げ)はS点〜D点まで速度v r1で巻き上げ、D点で巻きを停止する。
次に、F点で速度v r2で巻き下げを始めコンクリート打設位置E点に到達する。
目標位置での残留振動を抑制するように図18に示す旋回および巻上げ下げの速度パターンを次のようにして求める。
まず、S点〜D点、D点〜F点、F点〜E点への時間をt 、t 、t とする。
また、S点〜P点の加速時間をT 、P点〜Q点の旋回速度が定常な時間をT ST、Q点〜E点の減速時間をT とすると、図6、図18より旋回角度、巻き上げ(下げ)は数38〜42のような関係が成り立つ。
Figure 0005686404
Figure 0005686404
Figure 0005686404
Figure 0005686404
Figure 0005686404
ここに、αSD、αDF、αFEはS点〜D点、D点〜F点、F点〜E点の旋回角度、D SD、D FEはS点〜D点、F点〜E点への巻き上げ(下げ)の長さである。
旋回速度は吊り荷の巻き上げ(下げ)時において、旋回速度が変化することによる振り子の振れの発生を抑制するため旋回速度を等しくする。
したがって、数38、数39から旋回速度αを求め、等しくおき、さらに数41および数42からt 、t を求めて代入すると数43のようになる。
Figure 0005686404
数43において巻き上げ(下げ)速度v r1、v r2は未知数である。
次に、時間領域で定義された数38〜数43と非線形時間スケールで定義された目標位置において残留振動の発生を抑制する加速パターンを対応させて時間領域での加速パターンを求める。
非線形時間スケールで加速時間の終了時刻、減速開始時刻および減速終了時刻を前出の表2に示すようにTφ 、Tφ 、Tφ として、加速パターンを次の手順で求める。
1)巻き上げ(下げ)速度を仮定する。
2)巻上げ下げ速度、S点、E点の振り子の長さ、Tφ =Tφ 、Tφ =Tφ −Tφ から加速および減速時間T 、T を求める。
3)上記2項目を数43が成立するまで繰り返して、v r1、v r2を求める。
4)数41、数42からt 、t を求める。
5)巻き速度が求められているため、Tφ 、Tφ 、Tφ に対応するT 、T 、T を決めることができる。
6)数38からαを求める。
7)運搬開始位置から目標位置までの旋回角度をαTOTとすると、数44から旋回の定常速度の時間T STを求める。
Figure 0005686404

8)巻き上げを停止する時間はt =T +T ST+T −t −t となる。
9)t 、t 、t から数45を適用して求めたTφt とTφ が一致することを確認する。
Figure 0005686404
以上の方法で求めた旋回の加速入力パターンを入力した場合の振り子の軌道を図19に示す。
振り子はSDFEの上部を通り障害物を回避する軌道になっている。
本発明に係る「制御方法1」と従来の「制御方法2」を適用した場合の振り子の運動を比較したものを図20、図21に示す。
図22、図23は、図20、図21の120s〜180sの区間を拡大した図である。 図中の一点鎖線は目標位置を示している。
X方向では目標位置が63.508mに対して、制御方法2の場合は62.8〜64m、「制御方法1」の場合は63.4〜63.9m、Y方向では目標位置が24.191mに対して、「制御方法2」の場合は23.8〜24.8m、制御方法1の場合は23.2〜23.7m間を振動している。
「制御方法2」では、X方向の振幅が1.2m、Y方向の振幅が1.0mであるのに対して、「制御方法1」では、それぞれ0.5m、0.3mに低減していることが分かる。
したがって、通常のコンクリートバケットの直径が2.0m〜2.5mであることを考慮すると、コンクリート打設位置に到達すると同時にコンクリート打設ができるため、従来法と比べて大幅なコンクリート打設位置での時間ロスが少なくなり「制御方法1」の利用によりサイクルタイムの短縮が可能になるという優れた効果を奏する。
ここで、図24、図25を参照して、本実施の形態に係るクレーンCの構成例について説明する。
図24は、本発明の実施の一形態に係るブーム式のクレーンの駆動制御装置の要部ブロック図である。また、クレーンは、駆動制御装置を除き図1に示すコンクリート打設設備に用いたクレーンCと同一の構成をしている。なお、同一構成部については同一符号を付して説明を省略する。
図24において、11は運搬開始地点、目的地点の3次元座標等のデータを入力するデータ入力部、12はデータ入力部11の出力に基づいて、図1に示すブーム105の旋回角度、起伏角度等を演算する演算部、13は演算部12の出力に基づいて、ブーム5の旋回・起伏等を制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御部、14は制御部13の制御信号に基づいてブーム105を旋回させる駆動手段としてのブーム旋回モータ、15は制御部13の制御信号に基づいて、ブーム105を起伏させるブーム起伏モータ、16は制御部13の制御信号に基づいて、図1に示す吊荷としてのバケット103を吊り下げるワイヤ104の巻上げ/巻降ろしを行うワイヤ巻取りモータである。
データ入力部11、演算部12、制御部13、ブーム旋回モータ14、ブーム起伏モータ15およびワイヤ巻取りモータ16で駆動制御装置300を構成している。
また、図25はクレーンCの旋回動作(旋回中心O、旋回角度θ)を上方から見た平面図である。
図24の(a)〜(c)には、本実施の形態に係るクレーンによる運搬パターン(ケース1〜3)を示す。
次に、図27のフローチャートを参照して、駆動制御装置300で実行される算出処理の処理手順について説明する。
この処理が開始されると、まずステップS10で、巻き上げ(下げ)速度を仮定してステップS11に移行する。
ステップS11では、巻上げ下げ速度、S点、E点の振り子の長さ,Tφ =Tφ 、Tφ =Tφ −Tφ から加速および減速時間T 、T を求めてからステップS12に移行する。
ステップS12では、上記2項目を数43が成立するまで繰り返してv r1、v r2を求めてステップS13に移行する。
ステップS13では、数41、数42からt 、t を求めてステップS14に移行する。
ステップS14では、巻き速度が求められているので、Tφ 、Tφ 、Tφ に対応するT 、T 、T を決めてステップS15に移行する。
ステップS15では、数38からαを求めてステップS16に移行する。
ステップS16では、運搬開始位置から目標位置までの旋回角度をαTOTとすると、数42から旋回の定常速度の時間T STを求めてステップS17に移行する。
ステップS17では、巻き上げを停止する時間をt =T +T ST+T −t −t と算出してステップS18に移行する。
ステップS18では、t 、t 、t から数45を適用して求めたTφt とTφ が一致することを確認して処理を終了する。
以上述べたように、本発明によれば、タワークレーンを対象として吊り荷ロープ長が変動する場合に、目標位置に到達後の残留振動の振幅が低く抑えることが可能な旋回の加速方法を提供することができる。
このように、吊り荷ロープ長が一定の加速入力パターンを非線形時間スケールを適用して、吊り荷ロープ長が変動する場合の加速入力パターンに変換した加速入力パターンを用いることにより、コンクリート打設位置での残留振動を抑制するオープンループによる制御が可能になる。
また、本発明に係る制御方法を適用した場合に、目標位置での残留振動の発生が抑制できることを実験的に妥当性を確認した解析モデルを使ったシミュレーションにより確認することができた。
上述の導出過程から分かるように吊り荷ロープ長の様々な巻上げ下げパターンに対して提案する旋回加速パターンを容易に短時間で設定可能であり、タワークレーンを使ったコンクリート打設工事の安全性および省力化に寄与することができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
即ち、画像処理プログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
例えば、所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
また、前記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。
本発明によるクレーンの制御方法は、ダムの施工に適用されるタワークレーンやその他のクレーンに適用することができる。
101 コンクリート混練プラント
102 トランスファーカー
103 コンクリートバケット
104 ワイヤ(ロープ)
105 ブーム
200 ダム堤体
300 駆動制御装置

Claims (1)

  1. 旋回半径が一定の場合においてブームを旋回させ、ワイヤの長さを変動させつつ、当該ワイヤで吊った吊荷を、運搬開始位置から加速区間、等角速度区間および減速区間を経て目標位置まで運搬するクレーンについて、前記ブームの旋回に伴なう前記目標位置における前記吊荷の残留振動を収束させる振れ止め制御を行うクレーンの制御方法であって、
    前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)および巻き下げ速度(v r2)を仮定する第1の工程と、
    仮定した加速時間(Tφ )および減速時間(Tφ )ならびに前記第1の工程で仮定した前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)および巻き下げ速度(v r2)に基づき、数37を用いて加速時間(T )および減速時間(T )を求める第2の工程と、
    前記第1の工程で仮定される前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)と巻き下げ速度(v r2)とを変化させつつ前記第1の工程および前記第2の工程を繰り返し、数43が成立する前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)と巻き下げ速度(v r2)とを求める第3の工程と、
    前記ワイヤの巻き上げが開始するS点から前記ワイヤの巻き上げが停止するD点までの前記ワイヤの巻き上げ長さ(D SD )を表す数41、および前記ワイヤの巻き下げが開始するF点から前記ワイヤの巻き下げが停止するE点までの前記ワイヤの巻き下げ長さ(D FE )を表す数42から前記ワイヤの巻き上げ速度(v r1)に対応した巻き上げ時間(t )と巻き下げ速度(v r2)に対応した巻き下げ時間(t )とを求める第4の工程と、
    前記S点から前記D点までの旋回角度(α SD )を表す数38から旋回速度(α)を求める第5の工程と、
    運搬開始位置から目標位置までの旋回角度をαTOTとしたとき、数44から前記ブームの旋回の定常速度の時間(T ST)を求める第6の工程と、
    を実行することを特徴とするクレーンの制御方法。
    Figure 0005686404

    Figure 0005686404

    Figure 0005686404

    Figure 0005686404

    Figure 0005686404

    Figure 0005686404

    ここで、数37におけるv はv r1 ,v r2 に対応し、t はT ,T に対応し、φは非線形時間スケールを表していてT φ ,T φ に対応する。
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