JP3244498B2 - ケーブルクレーン用横行トロリの速度制御方法 - Google Patents
ケーブルクレーン用横行トロリの速度制御方法Info
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Description
り下げられた荷の振れを防止しながら運搬を行うための
ケーブルクレーン用横行トロリの速度制御方法に関す
る。
梁建設工事などでは、コンクリートの運搬輸送または施
工機材・材料の運搬輸送のために専らケーブルクレーン
設備が用いられている。
事区を跨いで張設された主索と、この主索に懸垂され前
後端に連結された横行索により主索に沿って移動自在と
される横行トロリと、前記横行トロリより垂下された巻
上げ索によって保持され昇降自在とされる吊りフック
と、各索部材毎に設置されるウインチとから主に構成さ
れるクレーン設備である。
に繰り返されるコンクリートの運搬作業を効率化するた
めにその自動化が進められてきた。
しては、たとえば特開平6−115878号公報(第1
先行例)、特開平6−115875号公報(第2先行
例)、特開平6−115876号公報(第3先行例)、
特開平6−115877号公報(第4先行例)などを挙
げることができる。ケーブルクレーンの自動化に当たっ
て、最も重要な制御項目となるのは、スタート座標およ
び目標座標におけるバケットの位置決め制御と、バケッ
トの振れを抑制するための振れ止め制御の2項目であ
る。
記第1先行例では、加減速の特定時期において、振れ角
度及び角速度に応じた振れを相殺するためのフィードバ
ック制御量及びタイミングを演算し、加速時及び減速時
に振れ止めのためのフィードバック制御を行うことが開
示されている。具体的には、横行トロリ(以下、単にト
ロリともいう。)の運転開始後、トロリが加速されてい
る時点で、トロリの位置、速度およびバケットの振れ角
度および角速度を入力し、これらの値を振れ止め用の所
定の運動方程式に当てはめて振れ止め用の制御電圧を算
出するとともに、制御開始時間を計算し、開始するまで
制御待機状態とする。この状態は図11(a)に示すよう
に、運転開始からトロリの速度が定速v1に至った時間を
t1とすると、バケットは応答遅れにより振れが生じ、振
れ幅v2で示されるように左右に振れる振り子状の正弦曲
線となり、その周期は吊索の長さが一定なら一定とな
り、また最大振幅となる。したがって、時刻t1以降にv2
=0となるポイント時刻t2を求め、このポイントからv2
=maxに該当する加速度を所定時間加えることにより振
れが相殺されることになる。開始時刻t2になったなら、
一次フィードバック制御を開始し、トロリに加速のため
の制御電圧を駆動装置に与え、その振れから応答計算を
行う。
れた状態は図11(b)に示される。この間(時刻t2〜t3
間)におけるv2=max<許容値であるならばフィードバ
ック制御を終了する。これに対し、許容値を越えていた
ならば、前記と同様の手順により二次フィードバック開
始時刻t4を計算し、開始時刻となった場合には前記応答
計算より求められた制御電圧を所定時間加えるととも
に、その応答を計測し振れを算出する。二次フィードバ
ック制御がなされた状態を図11(c)に示す。また、こ
の間(時刻t3〜t4間)におけるv2=max<許容値である
ならばフィードバック制御を終了するが、許容値を越え
ていたならば、許容値に収束するまで再度同様のフィー
ドバック制御を繰り返すようにする。なお、減速時にお
ける制御も同様に行われる。
置および搬送終了位置に応じ、主索の撓み度合い、横行
トロリの横行索の繰出し長さ、前記吊索の繰出し長さを
算定要素として、予め前記主索、前記トロリおよびバケ
ットの挙動を解析して運転パターンをモデル化し、前記
ケーブルクレーンを運転する際に、設定条件に応じて前
記モデル化された運転パターンを選択して、この運転パ
ターンに従ってケーブルクレーンを自動制御し、バケッ
トをスタート座標から目標座標までモデル化された加速
度−定速度−減速および振れ止め用行き足のパターンに
よるプログラム内容に沿って横行および昇降制御するこ
とで、振れを防止しつつ目標位置まで自動運搬する方法
が開示されている。具体的には、図12(a)に示すよう
に、ダムの対象領域を幾つかの小ブロックに分割し、各
ブロック毎に振れ止めを考慮してトロリの運転速度、バ
ケットの昇降速度を定め、最短時間での運転パターンを
算定する。また、トロリの運転パターンとしては、図1
2(b)に示されるように、スタート座標から段階的に加
速し、次いで一定速度となり、次いで段階的な減速によ
り目標座標で0となる運転パターンが設定されている。
ように、加速時および減速時に、主索に沿ったトロリの
実際の動きおよび該トロリから吊下されるバケットの実
際の動きを検出し、この検出結果に基づいてファジィ推
論により振れ角および角速度に応じた振れを相殺するた
めのフィードバック制御を行う振れ止め抑制方法が開示
されている。具体的には、出発時の速度とバケットの振
れとの関係を示す図14に示すように、出発時より横行
速度が増すにつれてバケットの応答遅れによってバケッ
トは遅れ側(−)に振れる。この振れを例えば2段階の
速度制御で止める場合を想定すると、加速期間の途中で
所定期間デルタTの間を定速に戻すと、その行き足によ
ってバケットは図中の位置まで進み側(+)にある程
度振り戻される。
とが同調し、再加速終了後定速状態になったときは、バ
ケットは図示の如く中立位置に停止するので、常時振れ
角と振れ方向、トロリ速度を検出して、振れ角とトロリ
速度との関係によりの時点、つまり設定された振れ幅
になったかどうかをファジィ推論し、となったならそ
れに基づいた数値で再加速すれば、加速終了時において
バケットは中立位置に停止する。なお、図13において
速度が直線状となっているが、実際にはフィードバック
制御により加減速時には階段状の軌跡を描くことにな
る。
速時および減速時において、主索に沿ったトロリの位置
および速度とバケットの振れ角度及び角速度とを検出し
てフィードバック制御によりバケットの振れを相殺する
振れ止め制御方法が開示されている。
各々その振れ止め制御に係る横行トロリの運転方法を詳
述したが、これらの運転方法は、その具体的手法部分に
おいて相違はあるものの、横行トロリの加速(減速)区
間において、加速(減速)−定速−加速(減速)の階段
状の速度制御を行う点において共通している。
方法によれば、従来のようにクレーン運転士と合図者と
が無線等で連絡を取り合い、合図者の指示に従ってクレ
ーン運転士が手動操作によって振れ止め制御を行ってい
た従来法に比べると、人為操作ミスが無くなり、効果的
にバケットの振れ止め制御を行うことができ、かつクレ
ーン運転士が長時間の緊張状態から開放されるようにな
るなど、種々の効果がもたらされるようになる。
よびバケットの振れ角度、角速度等を把握(計測)した
上で、これらの計測量に基づいて種々の方法により制御
量を算出し、フィードバック制御により階段状の速度制
御を行うものであり、振れが収束するまでに時間が掛か
るとともに、前述の説明から判るように制御系または制
御方法が複雑であるなどの問題を有する。
横行トロリから吊り下げられたバケット等の吊り荷の振
れを最小時間で止めることが出来るようにし、もって高
い精度での位置決めを可能としたケーブルクレーン用横
行トロリの速度制御方法を提供することにある。
の本発明は、主索に沿って横行自在とされる横行トロリ
と、この横行トロリ位置から吊り下げられた巻取り索
と、この巻取り索の下端に吊持されたバケットとを備え
るケーブルクレーン設備において、前記横行トロリより
吊り下げられた前記バケットの振れを防止しながら運搬
するための横行トロリの速度制御方法であって、予め前
記バケットの振り子周期を計測し逆算から前記主索の上
空側に位置する仮想支点を求めるとともに、前記仮想支
点〜バケットまでの仮想振り子長さから横行トロリ〜バ
ケットまでの振り子長さを減じ、この減算値を横行トロ
リ〜バケットまでの振り子長さに加算する固有の加算長
として設定し、横行トロリの運行区間を加速横行区間、
定速横行区間および減速横行区間に区分するとともに、
前記横行トロリの速度制御を移動距離を制御関数として
制御する条件の下、前記加速横行区間において、横行ト
ロリの移動速度を移動距離に対する二次関数曲線に沿っ
て連続的に一定の加速度で運行制御するとともに、発進
時に生じたバケットの振れが前記加算長を考慮した仮想
振り子長さによる1周期の振り子運動を終了した時点で
定速横行に移行するようにし、前記定速横行区間におい
て、横行トロリとバケットとの間に相対速度差が出ない
ように横行トロリを定速横行させ、前記減速横行区間に
おいて、横行トロリの移動速度を移動距離に対する二次
関数曲線に沿って連続的に一定の減速度で運行制御する
とともに、減速横行移行時に生じたバケットの振れが前
記加算長を考慮した仮想振り子長さによる1周期の振り
子運動を終了した時点で停止させることを特徴とするも
のである。
行速度は、予め設定された目標速度とされ、この目標速
度を基準として前記加速横行区間の加速度および前記減
速横行区間の減速度が設定されることが望ましい。
ロリの速度検出手段より得られた速度検出データと目標
速度との差分値に基づいて、横行装置の機械特性に合わ
せて設定された所定の制御関数を介してフィードバック
制御することにより定速度を維持するようにするのが望
ましい。
て図面を参照しながら詳述する。図1はダム建設におけ
るケーブルクレーン1の配設状態図であり、図2はケー
ブルクレーン1の設備全体図である。
ム建設工事では、ダム建設のためのコンクリート、建設
用機械、資材等を運搬する目的で、ダム建設部位の上空
を横架する態様でケーブルクレーン1が設けられる。図
示の例では、右岸側にバッチャープラント2が設けら
れ、ここでダム建設に使用されるコンクリートが製造さ
れる。バッチャープラント2で製造されたコンクリート
は、バンカー線に沿って移動自在とされるトランスファ
ーカー3に搭載され、所定の運搬開始位置まで運搬され
る。この運搬開始位置にはトランスファーカー3に搭載
されているコンクリートをケーブルクレーンによって吊
下された運搬用バケット(以下、単にバケットとい
う。)に積み替えるためにバケット着床台4が設けられ
ている。
着し、バケット着床台4上に待機しているバケット18
に対してコンクリートが移し変えられたならば、ケーブ
ルクレーン1によってコンクリート打設施工面に置かれ
た中継ホッパ5まで運搬される。
るように、左岸および右岸に夫々、河川方向に沿って移
動自在とされる走行装置6L、6Rが設けられ、これら
走行装置6L、6R間に主索7が張架されている。この
主索7は、ケーブルクレーンの吊上げ荷重や、後述の横
行トロリ8およびハンガ装置9などの荷重を支持するた
めのものであり、走行装置6R側には主索7の張力を一
定に保つために張力調整装置24が設けられている。
れ主索7に沿って横行自在とされる横行トロリ8が設け
られるとともに、横行索や巻上げ索の垂れ下がりを防止
するためのハンガ装置9が主索7方向に所定間隔で設け
られている。
8a、8a…を直列的に備え、これら車輪群8a、8a
…が主索7上を横行するようになっている。横行トロリ
8にはその前端部および後端部に夫々、横行索10L、
10Rが連結されるとともに、これら横行索10L、1
0Rの他端が横行駆動装置XUの横行ウインチ11に巻
き取られ、この横行ウインチ11を正逆方向に回転させ
ることにより前記横行トロリ8が前後進自在となってい
る。なお、横行駆動装置XUにおいて、符号12は減速
機、符号13はブレーキ装置、符号14は駆動用電動
機、符号15は駆動用制御装置である。後述する巻上げ
駆動装置ZUおよび走行駆動装置YL、Y Rにおいて、
同符号は同じものを示している。
横行ウインチ11のドラム外面に高精度の磁気スケール
を貼り付け、この磁気スケールにおける磁気の正弦波状
極性変化を非接触式検出器で読み取ることにより行う。
前記磁気スケールは、磁性体の基台にバリュームフェラ
イト粉を樹脂と混合した強磁性膜を接着し、2mm毎にN
極、S極を交互に垂直磁化したもので、リボンのような
形状となっているため、横行ウインチ11のドラム曲面
に容易に貼り付けることが可能となっている。理想的に
は、横行索10L、10Rの芯の高さと同じ高さに設け
るようにすると、計測誤差や変換の過程で発生する演算
誤差を排除できるようになる。
L、10Rの巻取りまたは繰出し、或いは前進または後
退の判定は、磁気極性の変化の方向で判定する。また、
検出器による読み取り結果をリアルタイムで制御データ
に変換して、磁気変化量をパルス化し、1パルス当たり
の移動量をパルス数に乗じて距離を算定する。さらに、
単位時間当たりの巻取り量または繰出し量、或いは前進
量または後退量から実際の速度が算出される。すなわ
ち、検出した磁気の正弦波状の極性変化を方形パルス化
し、一定の単位時間当たりのパルス量を計数し演算すれ
ば、実際の速度を正確に求めることができる。速度演算
の実行回数は、1秒当たり4回程度とするのが望まし
い。なお、距離の測定精度は、概ね測定長(ドラム周
長)をL(m)とすれば、±(1+0.5L)mm以内のものが
好適に用いられる。
て巻上げ索16が設けられている。この巻上げ索16
は、一方側端部が主索7と同様に、走行装置6L側に固
定され、横行トロリ8に設けられた溝車19,19を介
して下方に垂れ下がり、この垂れ下がり部分の最下部に
吊具装置17が設けられ、バケット18を吊持するよう
になっている。前記巻上げ索16の他端側は所定のシー
ブを経て巻上げ駆動装置ZUの巻上げウインチ20に巻
き取られており、この巻上げウインチ20の繰出し制御
および巻取り制御により前記吊具装置17、すなわちバ
ケット18が昇降操作されるようになっている。この巻
上げ索16によって吊られるバケット18の位置検出機
構は、前記横行トロリ8の場合と同様に、前記巻上げウ
インチ20のドラムに高精度の磁気スケールを設け、こ
の磁気スケールにおける磁気の正弦波状極性変化を非接
触式検出器で読み取ることにより行う。その詳細につい
ては横行トロリ8の項で説明済みであるため省略する。
20L、20Rと、この走行台20L、20Rに沿って
移動自在とされる走行トロリ21L、21Rと、この走
行トロリ21L、21Rを移動させるための走行索22
L、22Rと、走行索22L、22Rの繰出しおよび巻
取りを行うための走行駆動装置YL、YRとから構成さ
れている。これら左岸および右岸に夫々設置された走行
装置6L、6Rを同調しながら前後進させることによ
り、走行トロリ21L、21Rが河川方向に沿って移動
する。なお、符号23は、クレーン運転室であり、前述
した横行駆動装置XU、巻上げ駆動装置ZU、走行駆動
装置YL、YRの制御を行うコントローラーが設備され
ている。
横行トロリ8の運転制御方法について詳述する。
トランスファーカー3に所定量のコンクリートが積込み
されると、トランスファーカー3はバンカー線に沿って
バケット着床台4位置まで移動する。トランスファーカ
ー3からバケット着床台4上に待機しているバケット1
8にコンクリートを積み替え終わると、トランスファー
カー3から「積込み完了」の信号が発信され、これを受
信したトランスファーカー制御用コンピューター25
は、この信号を通信系統を司る通信システム用コンピュ
ーター26に送り、通信システム用コンピューター26
はさらにこの信号をクレーン制御用コンピューター27
に送る。
8への積み替えを終えるとバッチャープラント2位置ま
で戻るが、バケット18から予め設定された距離まで離
れたと判定したとき、「巻上げ許可」の信号を発信し、
同じくトランスファーカー制御用コンピューター25お
よび通信システム用コンピューター26を介してクレー
ン制御用コンピューター27に送られる。クレーン制御
用コンピューター27は、これら「積込み完了」および
「巻上げ許可」の信号を確認した上で、ケーブルクレー
ン1の巻上げ動作を行う。クレーン制御は、前記クレー
ン制御用コンピューター27の管理下に置かれたウイン
チ制御用コンピューター28によって行われる。すなわ
ち、ウインチ制御用コンピューター28は、クレーン制
御用コンピューター27の指令に基づいて、必要な制御
値(制御電圧)に換算して、巻上げウインチ20および
横行ウインチ11の駆動用制御装置15に出力する。ま
た、このウインチ制御用コンピューター28は、ウイン
チドラムに設けられた磁気スケールの変化値を、磁気ス
ケール専用の検出器を介して読み取り、所定のフィルタ
リング(ノイズの除去)や検出結果である二相パルスを
回転方向の符号とパルス数を主軸回転数に変換するなど
の一次的な換算処理を行い、磁気スケールの変化値から
ウインチドラム速度の演算を行う。さらに、指令値に基
づいて電動機14が運転されているか否かを判定し、制
御量を変更する必要があればフィードバック制御により
目標値に合致させる。
ト着床台4から僅かに巻き上げる「地切り」操作を行
い、次いでバケット着床台4付近に存在している構造物
などの障害物が運行上、邪魔にならない高さ位置まで巻
上げ動作を行う。バケット18の底面が、すべての障害
物よりも高くなったことを確認した後、横行トロリ8の
横行動作(以下、実荷重での運搬工程となるため前進ま
たは前進動作ともいう。)を開始する。
ケット18は横行トロリ8に同調して移動することはな
く、両者の間には相対的速度差が発生するため、バケッ
ト18が振れ始める。このバケット18の振れは振り子
運動とみなすことができる。すなわち、横行トロリ8の
スタート時には、横行トロリ8とバケット18とは鉛直
線上に静止しており、当然に横行方向の位置ズレも速度
差も生じていないが、この状態から横行トロリ8を一定
の加速度で前進させると、一旦バケット18はトロリ8
から遅れて動き出し、振り子運動を開始する。
間で収束させるために、横行トロリの移動速度を移動距
離に対する二次関数曲線に沿って連続的に一定の加速度
で運行制御するとともに、発進時に生じた荷の振れが1
周期の振り子運動を終了した時点で定速横行に移行する
ようにしている。前記バケット18は、横行トロリ8の
移動開始から僅かに遅れて、後方側(出発側)に振り子
運動を開始し、その後遅れ幅が最大になったところ(最
大振幅時)から速度を増し、横行トロリ8よりも速い速
度で追い付いてくる。この間、横行トロリ8は、移動距
離に対する二次関数曲線に沿って連続的に一定の加速度
で増速させているが、バケット18が丁度、1周期の振
り子運動を終了し反対側の最大振幅点に位置した瞬間
に、加速度を0として定速横行に移行するようにしてい
る。なお、運搬の効率上、前記加速度を任意として1周
期の振り子運動を終了した瞬間を検出して定速横行に移
行することもできるが、定速横行移行時の速度は予め設
定された目標速度となるように、前記加速度を予め設定
するようにするのが望ましい。
行駆動装置XUの定格速度以下とし、該巻上げ駆動装置
ZU、横行駆動装置XUの速度変動率、速度応答特性お
よび制御精度等を考慮して決定する。たとえば、速度変
動率が±10%であるならば、目標速度は定格速度の8
5%程度に設定すればよい。
速移行瞬間時に、横行トロリ8の鉛直線直下に位置し、
かつ振り子運動としての速度も0となる。すなわち、振
り子運動のみに着目した場合に停止した状態となり、横
行トロリ8とバケット18との間に速度差が無くなるた
め、これ以降、振れがないまま同速度で横行するように
なる。
図面を参照しながら詳述すると、図4および図5に示さ
れるように、横行トロリ8とバケット18との間に相対
速度差があると、バケット18はその相対速度差に応じ
た慣性力を受けて揺れ始める。
運動をしているとすると、この時の振り子運動の中心軸
は、水平分力を加速度α、垂直分力を重力の加速度Gと
した合成力で表され、その方向は加速度αの反対方向と
なる。なお、振り子の支点は滑車を介してバケット18
が吊られていることから、主索7の上空側に存在する
(以下、この点を仮想支点という。)。この仮想支点の
位置はバケット18の振り子周期を計測すれば逆算によ
り求めることができる。図4に示されるように、仮想振
り子の長さS’が求まれば、巻上げ索16の位置検出に
より振り子の長さSが既知であるため、加算長dSが固
有値として求まる。
しているときの振り子の中心軸は、仮想支点をO’、振
り子の中心点をA、振り子の中心軸をO’Aとすれば、
下式(1)で表される。
中心軸である。また、実際の振り子の中心軸O’Aの傾
きθ0は、下式(2)で表される。 θ0=tan−1(α/G) ……(2)
てみると、横行トロリ8の横行を開始した瞬間ではバケ
ット18は静止した状態で仮想支点O’の鉛直下にある
が、横行トロリ8が移動開始した時点から加速度αを受
けるため、θ分の傾きを有する仮想重力軸O’Aを中心
軸とした振り子運動を行う。図8に示されるように、仮
想重力軸O’Aを鉛直軸としてみると、振り子は右側の
最大振幅点(スタート点)より運動を開始し、その後仮
想重力軸O’Aを通り、反対側の最大振幅点で折り返
す。この折り返し点での振り子としての速度は0であ
る。
サイクルの周期運動を終えてスタート地点に戻った瞬間
に、横行トロリ8の加速度を0として、すなわち定速横
行に移行させると、この瞬間に加速度分に相当するθ0
分傾きが無くなり、横行トロリ8とバケット18とを結
ぶ線が振り子運動の中心軸となる。また、この瞬間は、
振り子も最大振幅点に位置しているため速度も0となっ
ており、定速横行に移行した瞬間にθ0分の傾きが無く
なって最も安定した状態(停止状態)である横行トロリ
8を通る重力線上にバケット18が位置しているわけで
あるから、バケット18の振れが無くなり振り子運動が
停止状態となる。振り子運動が停止されれば、後は両者
に相対速度差は存在しないため、振れを起こすこと無く
横行トロリ8と共に定速横行するようになる。
よって与えられ、バケット重量には関係なく、振り子長
さSによって一義的に決定される。
り子中心点Aとの距離である。
運動方程式は、ニュートンの運動方程式を用い、移動距
離Xと加速度αに注目して運動方程式を変形すれば導き
出すことができる。その結果、横行トロリ8の運動式
は、初速を有しない等加速度運動式となり下式(4)お
よび(5)により示される。
(6)が得られる。 Xa=Va 2/2α ……(6)
に変形できる。 Va=(2α・Xa)1/2 ……(7)
制御関数)をkとすると、k=2α 1/2となり、
(7)式は下式(8)となる。 Va=k・Xa 1/2 ……(8)
トロリ8の移動距離Xaの二次関数となる。ここで、横
行トロリ8の速度Vaを移動距離Xaの二次関数とする
のは、制御上の理由によるものである。すなわち、フィ
ードバック制御を行うには、クローズドループにより構
成する必要があり、移動距離Xaを制御関数とすれば時
間要素に関係無く、横行トロリ8の位置を把握でき、か
つ移動距離に対する速度で制御できるようになる。仮
に、時間Tを横軸にすると、横行トロリ8の位置が制御
量に直接関与しないため、横行トロリ8の位置が把握出
来ないことから、制御系はオープンループとなりフィー
ドバック制御を行うことが出来なくなってしまう。
跡、バケット18の速度軌跡および両者の相対距離Pb
の軌跡を模式的に示すと図7のようになる。
は、横行トロリ8をスタート開始時点から移動距離に対
する二次曲線に沿って連続的に一定加速度の加速すると
ともに、バケット18が1サイクルの振り子運動を終了
した瞬間に定速横行に移行するようにすればよい。バケ
ット18は、振り子運動の1サイクル周期運動のみの揺
れで、その後は揺れを起こすことなく横行トロリ8と共
に定速横行するようになる。換言すれば、横行トロリ8
は、速度0からスタートし、一定の加速度で加速させ、
目標速度に到達する時間と、振り子の1周期との時間を
合致させるようにすれば、加速完了時点でバケット18
の振れを収束させることができる。なお、この加速時の
速度は、予め決められた加速度によって増速されるが、
実際速度を監視し、設定速度との間に差分があれば、フ
ィードバック制御により修正される。
ば、目標速度のままで横行しながら巻き下げを行っても
バケット18は振れることはないため、定速横行に併行
して巻き下げを行う。
8との間に相対速度差が生じると、振り子現象が発生す
る。定速横行中に、バケットの振れが発生すると、後述
の減速制御を行うことができない。すなわち、減速制御
でバケット18を振れさせないためには、定速横行終了
時にバケット18が振れていないことが条件となる。そ
の意味において、定速横行中における横行トロリ8の定
速横行制御は重要となる。横行トロリ8の速度制御は、
具体的には横行トロリ8の速度を一定時間毎にサンプリ
ングし、演算を行い統計的処理したデータを用いて数式
化することにより速度検出データと目標速度との差分デ
ータを得る。この速度の差分が無くなるように、一定の
制御関数を介して横行ウインチをフィードバック制御す
る。フィードバック制御のための制御関数は、適用する
横行駆動装置XUの機械特性に合わせて設定する。この
機械特性とは、横行駆動装置XUが保有するGD2(フ
ライホイール効果または、はずみ車効果)やブレーキの
能力・動作特性、ケーブルクレーンとして設置される場
所の地形から発生する主索7の勾配特性、主索7の張力
による勾配やバケット18の重量による主索7の撓み量
の変化などを言う。
位置まで横行した時、速やかに巻き下げ動作を停止し、
横行トロリ8の減速を開始する。
制御は加速時の原理と全く同様の手法により行うことが
できる。すなわち、定速横行から移動距離に対する二次
曲線に沿って連続的に一定減速度(負の加速度)で減速
に入ると、バケット18は慣性力により横行トロリ8よ
りも前方側に進み振り子運動を開始する。バケット18
は、加速時とは反対方向の加速度αを受け、θ分の傾き
を有する仮想重力軸O’Aを中心軸とした振り子運動を
行う。その後、丁度1サイクルの周期運動を終えてスタ
ート地点に戻った瞬間に、横行トロリ8の速度が0(停
止)となるように減速すると、この瞬間に減速度分に相
当するθ0分傾きが無くなり、横行トロリ8とバケット
18とを結ぶ線が振り子運動の中心軸となる。また、こ
の瞬間は、振り子も最大振幅点に位置しているため速度
も0となっており、停止した瞬間にθ0分の傾きが無く
なって最も安定した状態(停止状態)である横行トロリ
8を通る重力線上にバケット18が位置しているわけで
あるから、バケット18の振れが無くなり振り子運動が
停止状態となる。なお、減速時にはバケット18を巻き
下げた分だけ、振り子の周期が長くなるため、減速時間
が長くなり、加速距離と比較すると減速距離の方が長く
なる。
件に従って行えば、バケット18は到達目標地点の直上
に振れることなく精度良く停止させることができるよう
になり、高い精度での位置決めが可能となる。その後、
横行トロリ8が停止した時点から、コンクリートの放出
点(中継ホッパ5の直近直上)の高さまで巻き下げ動作
を開始する。到着目標点に停止したバケットの高さが、
コンクリートを荷受けする面(中継ホッパ5のコンクリ
ート投入口面)からの高さが1m以内であれば、巻き下
げ動作を補正する必要はないが、仮に2m以上である場
合にはさらに設定高さ位置まで巻き下げる。そして、コ
ンクリート荷受け面からの高さが1m以内になったと
き、コンクリートの放出を開始する。この際、コンクリ
ートの放出と共に主索7に掛かる荷重が減少するため、
主索7の撓み量が減り、主索7は無負荷状態まで跳ね上
がろうとする。そのため、コンクリートの放出を行って
いる間に、特にコンクリートの放出直後に多くの補正巻
き下げを行うようにする。なお、これらの巻下げおよび
巻上げ動作は、図3に示される中継ホッパ5部に配置さ
れた通信システムからの信号に基づいて成される。
までの運行手順および横行トロリ8の速度制御方法につ
いて詳述したが、バケット着床台4〜到着目標地点間の
横行トロリ8の速度(Vt)軌跡、バケット18の速度
(Vb)軌跡、両者の相対距離(Pb)軌跡を示せば図
9のようになる。また、加速区間、定速区間および減速
区間における巻上げ軌跡および巻き下げ軌跡を横行トロ
リ8の速度と共に示せば図10のようになる。
リートを放出し終えたならば、空荷重の状態で到達目標
地点から出発位置までの戻り工程を開始する。この復路
工程においても、バケット18を振れさせないために往
路と同じ横行トロリ8の速度制御が行われる。
さを短くして、振り子の周期時間を短縮するようにす
る。ある程度まで振り子長さが短くなった時点で、横行
トロリ8の移動を開始する。出発位置の直上まで達した
ならば、バケット18を巻き下げバケット着床台4に着
床させる。
さを一定としたままで横行トロリ8の増速を行い、かつ
減速運転に入るまえに巻下げ動作を停止し、また復路に
おいて巻上げ動作を終了してから横行トロリ8の移動を
開始するようにしているが、これらは巻下げ(または巻
上げ)しながら、減速(または加速)を行うと、振り子
の周期が巻下げ量(巻上げ量)の変化に比例して変わ
り、振り子の1周期の時間と、横行トロリ8を停止させ
るまでの減速時間(目標速度まで増速する加速時間)と
を一致させ得る加減速度を見つけるプログラム上での計
算が煩雑になり、演算時間の分だけ制御遅れを生じるよ
うになるためである。従って、加減速度算出プログラム
上、この点が考慮されておれば、巻下げ動作(巻上げ動
作)と減速動作(加速動作)とを併行して行うことがで
きる。
速時に横行トロリから吊り下げられたバケット等の吊り
荷の振れを最小時間で止めることが出来るようになり、
もって高い精度での位置決めが可能となる。
態図である。
1)である。
2)である。
3)である。
4)である。
5)である。
軌跡、両者の相対距離軌跡図である。
巻上げ軌跡および巻き下げ軌跡図である。
である。
である。
である。
である。
トランスファーカー、4…バケット着床台、5…中継ホ
ッパ、6L・6R…走行装置、7…主索、8…横行トロ
リ、9…ハンガ装置、10L・10R…横行索、11…
横行ウインチ、12…減速機、13…ブレーキ装置、1
4…駆動用電動機、15…駆動用制御装置、16…巻上
げ索、18…バケット、XU…横行駆動装置、ZU…巻
上げ駆動装置、YL・YR…走行駆動装置
Claims (3)
- 【請求項1】主索に沿って横行自在とされる横行トロリ
と、この横行トロリ位置から吊り下げられた巻取り索
と、この巻取り索の下端に吊持されたバケットとを備え
るケーブルクレーン設備において、前記横行トロリより
吊り下げられた前記バケットの振れを防止しながら運搬
するための横行トロリの速度制御方法であって、予め前記バケットの振り子周期を計測し逆算から前記主
索の上空側に位置する仮想支点を求めるとともに、前記
仮想支点〜バケットまでの仮想振り子長さから横行トロ
リ〜バケットまでの振り子長さを減じ、この減算値を横
行トロリ〜バケットまでの振り子長さに加算する固有の
加算長として設定し、 横行トロリの運行区間を加速横行区間、定速横行区間お
よび減速横行区間に区分するとともに、前記横行トロリ
の速度制御を移動距離を制御関数として制御する条件の
下、 前記加速横行区間において、横行トロリの移動速度を移
動距離に対する二次関数曲線に沿って連続的に一定の加
速度で運行制御するとともに、発進時に生じたバケット
の振れが前記加算長を考慮した仮想振り子長さによる1
周期の振り子運動を終了した時点で定速横行に移行する
ようにし、 前記定速横行区間において、横行トロリとバケットとの
間に相対速度差が出ないように横行トロリを定速横行さ
せ、 前記減速横行区間において、横行トロリの移動速度を移
動距離に対する二次関数曲線に沿って連続的に一定の減
速度で運行制御するとともに、減速横行移行時に生じた
バケットの振れが前記加算長を考慮した仮想振り子長さ
による1周期の振り子運動を終了した時点で停止させる
ことを特徴とするケーブルクレーン用横行トロリの速度
制御方法。 - 【請求項2】前記定速横行区間の横行速度は、予め設定
された目標速度とされ、この目標速度を基準として前記
加速横行区間の加速度および前記減速横行区間の減速度
が設定されている請求項1記載のケーブルクレーン用横
行トロリの速度制御方法。 - 【請求項3】前記定速横行区間において、横行トロリの
速度検出手段より得られた速度検出データと目標速度と
の差分値に基づいて、横行装置の機械特性に合わせて設
定された所定の制御関数を介してフィードバック制御す
ることにより定速度を維持するようにする請求項1,2
いずれかに記載のケーブルクレーン用横行トロリの速度
制御方法。
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-
1999
- 1999-12-10 JP JP35103399A patent/JP3244498B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2018174101A1 (ja) * | 2017-03-22 | 2018-09-27 | 有限会社渥美文次商店 | 搬送装置 |
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