JP2007161393A - クレーンの振れ止め制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Input Shaping法によりクレーン5の走行計画を作成する走行計画作成ステップS1と、前記走行計画に基づいてクレーン5の運搬シミュレーションを行って残留振動幅を求める運搬シミュレーションステップS2と、前記残留振動幅が所定の閾値以下の場合に、自動運転作業指令を出力し、前記走行計画に基づき、横行し、かつロープの巻上げおよび巻下げにより目標位置まで運搬する自動運転制御ステップS5〜S7とを有する。
【選択図】図2
Description
Input Shaping法は、図6に示すように、1つ目のインパルス31による振動35を、ΔT時間の経過後に発生させた2つ目のインパルス33による振動34によって残留振動を打ち消すものである。
言い換えれば、特許文献1は、同じ場所に何度も運搬するクレーンの場合に、最初の数回を調整に用い、クレーンを動作させながらあらかじめ同定された運動方程式の積分を行い、振れ止めパラメータの調整を行い、振れ止めを行うものである。
また、特許文献1の方法は、最初の数回を調整に用いるため、毎回異なる場所へ運搬する場合には対応できない問題点があった。
Input Shaping法によりクレーンの走行計画を作成する走行計画作成ステップと、
前記走行計画に基づいてクレーンの運搬シミュレーションを行って残留振動幅を求める運搬シミュレーションステップと、
前記残留振動幅が所定の閾値以下の場合に、自動運転作業指令を出力し、前記走行計画に基づき、横行し、かつロープの巻上げおよび巻下げにより目標位置まで運搬する自動運転制御ステップと、を有することを特徴とするクレーンの振れ止め制御方法が提供される。
さらに、式(10)及び式(11)を満たすように、加速タイミング時間を求める、ことが好ましい。
実際に運搬するために吊荷を持ち上げた瞬間にその重さを計測し、その重さに近い2つの伝達関数を補間して伝達関数を求める。
修正ZVDシェーパーにより、対象とするシステムに基づいたモデルを構築することで、複数のインパルスによる残留振動の重ね合わせを予測し、残留振動がなくなるように設定することができる。
また、ZVDシェーパーでは横行中の巻き長さの変化に対応していないが、本発明の修正ZVDシェーパーでは、式(10)及び式(11)を満たすように、加速タイミング時間を求めることにより加速減速途中に巻き長さの変化がある場合でも精度良く振れ止めができるようになる。
更に、毎回実際の吊荷の運搬を行う毎に、伝達関数の同定も毎回行うことで、モータの能力低下や駆動系の摩擦の増加などに伴う動特性の変化にも対応が可能となる。
しかし、運搬先の高さが異なると巻きロープ長が変わり振れ周期が変化するため、解析的に速度計画を行うことは難しい。
そこで、本発明ではフィードフォワード制御設計法である Input Shaping法[非特許文献1]に着目し、さらに実用中のケーブルクレーン振れ止め自動調整技術[非特許文献2]も活用する。それにより、巻きロープ長の変化を考慮したクレーンの振れ止め制御に関する方法を提案する。
さらに実際に使用されているコンテナクレーンの条件[非特許文献3]を参考にして、クレーンの運搬シミュレーションを設定した。その結果、巻きロープ長に誤差が含まれていても振れ止め効果が得られること以下で示す。
図1にクレーンの運動モデルを示す。この図において、1は吊荷、2は吊荷を吊り下げる巻きロープ、3はトロリ台車、4は制御装置である。クレーン5は、吊荷1、巻きロープ2、トロリ台車3及び制御装置4で構成される。制御装置4は、トロリ台車3に搭載しても、図示しない制御ラインを介して外部に設置してもよい。
トロリ台車3は、吊荷1を巻きロープ2で吊り下げ、水平に横行し、かつ巻きロープ2の巻上げ及び巻下げを行なう機能を有する。制御装置4は、トロリ台車3及び巻きロープ2の巻上げ・巻下げを制御する。
図1において、座標系はトロリ台車1の進行方向をxとして地面に固定し、振れ角θは図で右向きを正としてトロリ台車3に固定する。
本発明の方法では、トロリ台車3から吊荷1を吊り下げている巻きロープ長L(t)と、トロリ台車3の加速度d2θ/dt2(・・付きθ)によりクレーンの振れ止めを行う。
(1)Zero Vibration (ZV) shaper
Input Shapingは、フィードフォワード制御設計法であり[非特許文献1]、モデルに基づいて加速度計画を作成する。
ZV Shaperとは、二次系システムに対し複数のインパルスによる残留振動を重ね合わせることで振れ止めを行う制御方法である。
式(2a)で示す伝達関数のシステムに対して、積分値がAiのインパルスn個を受けた直後の残留振動幅V(ω,ζ)は式(3)(4)(5)で表せる。
ZVD shaperでは、固有角周波数ωに対する残留振動幅V(ω,ζ)の感度を鈍らせるために、ZV shaperに以下の拘束式(6)を加える。その結果式(7),式(8)を得る。
そこで、本発明では、クレーンの角周波数ωを式(9)で定義する時変数ω(t)とする。
実際は式(1)のようにシステムは非線形であること、入力はインパルスではなく、入力を与えている間に角周波数ωが変化すること、モデル化誤差があることなどにより、式(12),式(13)を満足するだけで十分に振れ止めを行うことは難しい。
(1)クレーンの運搬シミュレーション設定
[非特許文献3]を参考に、巻きロープの巻き動作を含めたクレーンの運搬シミュレーションを行った。
巻きロープ長は、30[m]から10[m]に巻き上げた後、30[m]に巻き下げる。巻きは、クレーンの加速中に行う。横行については最大加速度0.5[m/]、最大速度3[m/s]、移動距離45[m]とした。
本発明のクレーンの振れ止め制御方法は、図1に示した吊荷1を巻きロープ2で吊り下げ、水平に横行し、かつ巻きロープの巻上げ及び巻下げを行なうクレーンの振れ止め制御方法である。
本発明のクレーンの振れ止め制御方法は、走行計画作成ステップS1、運搬シミュレーションステップS2、残留振動判別ステップS3、加速タイミング調整ステップS4、及び自動運転制御ステップS5〜S6からなる。これらの各ステップは、上述した制御装置4によりトロリ台車3および巻ロープ2の長さを制御して実施される。
またこのInput Shaping法は、Zero Vibration and Derivative(ZVD) shaperであり、さらに、上述した式(10)及び式(11)を満たすように、加速タイミング時間を求める。
残留振動判別ステップS3では、残留振動幅を所定の閾値と比較する。
残留振動幅が所定の閾値を超える場合には、加速タイミング調整ステップS4において、位相平面図上でのベクトル合成によって、残留振動幅が前記閾値以下になるまで加速タイミングを調整して走行計画を修正する。
また運搬シミュレーションステップS2は実際に運搬するために吊荷を持ち上げその重さを計測した後に実施される。そのためここで、運搬する吊荷の重量を変化させて予めいくつかの重さで吊荷を運搬し、クレーンの速度指令に対する実際のクレーンの動作の伝達関数を計測しておいたデータから、実際に計測した重さに近い2つの伝達関数を補間してS2の運搬シミュレーションを実施することができる。
上述したように、走行計画作成ステップS1において、移動距離、最高加速度、最高速度、巻きロープ長と巻きロープ長の変化といった条件から、式(14)より修正ZVDによるクレーンの加速タイミング時間を求めた。
また、残留振動幅が所定の閾値を超える場合には、加速タイミング調整ステップS4において、[非特許文献2]に示すθとdθ/dt/ωの位相平面図上でのベクトル合成によって、加速タイミング時間を調整し、クレーン加速終了時、減速終了時に振れ幅が0、又は所定の閾値以下になるようにした。
図3に初期巻きロープ長L0の誤差がない時のシミュレーション結果を示す。この図において、横軸は時間、縦軸は(A)は走行計画作成ステップS1で得られた走行計画におけるトロリ台車3の走行速度、および巻き長さの変化速度、(B)は運搬シミュレーションステップS2で得られた走行位置、および巻き長さ、(C)は運搬シミュレーションステップS2で得られた残留振動幅である。また図中のt1,t2,t3は加速タイミング、t1’,t2’,t3’は減速タイミングである。
この図から、吊荷を巻上げ、水平に横行し、吊荷を巻下げて目標位置まで運搬した際の残留振動幅は0.6[mm]となり、初期巻きロープ長に誤差がない場合には残留振動はほとんどないことがわかる。また、運搬時間は26.33[sec]となった。
この例では、式(1)を数値積分する事で振れシミュレーションを行うが、L=1.025La(Laは真の巻きロープ長)として、横行・巻きの速度パターンを図3と同じように与えて、数値積分を行っている。この結果、この図では残留振動幅4.7[cm]となり、実用上十分小さい値となっている。
Claims (5)
- 吊荷を巻きロープで吊り下げ、水平に横行し、かつ巻きロープの巻上げ及び巻下げを行なうクレーンの振れ止め制御方法であって、
Input Shaping法により運搬クレーンの走行計画を作成する走行計画作成ステップと、
前記走行計画に基づいてクレーンの運搬シミュレーションを行って残留振動幅を求める運搬シミュレーションステップと、
前記残留振動幅が所定の閾値以下の場合に、自動運転作業指令を出力し、前記走行計画に基づき、横行し、かつロープの巻上げおよび巻下げにより目標位置まで運搬する自動運転制御ステップと、を有することを特徴とするクレーンの振れ止め制御方法。 - 前記走行計画作成ステップにおいて、移動距離、最高加速度、最高速度、巻きロープ長および巻きロープ長の変化から、クレーンの加速タイミング時間を求める、ことを特徴とする請求項1のクレーンの振れ止め制御方法。
- 前記運搬シミュレーションステップにおいて、運搬する吊荷の重量を変化させて予めいくつかの重さで吊荷を実際のクレーンで運搬し、クレーンの速度指令に対する実際のクレーンの動作の伝達関数を計測しておき、
実際に運搬するために吊荷を持ち上げた瞬間にその重さを計測し、その重さに近い2つの伝達関数を補間して伝達関数を求める、ことを特徴とする請求項1のクレーンの振れ止め制御方法。 - 前記運搬シミュレーションステップにおいて、前記残留振動幅が所定の閾値を超える場合に、位相平面図上でのベクトル合成によって、残留振動幅が前記閾値以下になるまで加速タイミングを調整して走行計画を修正する、ことを特徴とする請求項1のクレーンの振れ止め制御方法。
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