JP2005339503A - 駆動装置の位置決め制御方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構成で加速度パターンを構成することにより、残留振動を低減することができる駆動装置の位置決め制御方法及び装置を提供する。
【解決手段】 本発明の駆動装置の位置決め制御装置は、少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御装置において、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を予め測定して記憶すると共に制御対象を位置決め制御する任意の加速度パターン及びパラメータを記憶するメモリ22と、加速度パターンをフーリエ変換し、フーリエ変換された加速度パターンのうち、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に対応する成分が零となるように加速度パターンのパラメータを算出して加速度パターンを決定するCPU26を備えたものである。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の駆動装置の位置決め制御装置は、少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御装置において、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を予め測定して記憶すると共に制御対象を位置決め制御する任意の加速度パターン及びパラメータを記憶するメモリ22と、加速度パターンをフーリエ変換し、フーリエ変換された加速度パターンのうち、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に対応する成分が零となるように加速度パターンのパラメータを算出して加速度パターンを決定するCPU26を備えたものである。
【選択図】 図2
Description
本発明は、例えば、工業用ロボットアーム、クレーンや建築機械、人工衛星のアンテナや太陽電池パネルなどの宇宙構造物、液体運搬用の容器とその内容物など、柔軟構造物を駆動装置により位置決め制御する駆動装置の位置決め制御方法及び装置に関する。
産業の発達に伴い、ほとんど全ての製造業で工業用ロボットアームに代表される位置決め装置が使用されている。これらの装置は、生産効率の向上のために高速性が要求され、その実現のために軽量化が図られてきた。しかし、軽量化することにより構造が柔軟になり、移動時及び停止時に過渡振動が発生して、位置決め精度が損なわれるという問題が生じてしまう。そこで、この問題を回避するため、高速度、高精度を同時に要求される位置決め機構においては、フィードバック制御が多く用いられているが、このフィードバック制御には、センサ、アクチュエータ及び制御回路などが必要であり、重量とコストが著しく増加するという欠点があった。
そこで、この欠点を回避するために、フィードバックを行わない制御方法が従来から多数考案され、提案されている。以下、それらを列挙して、各問題点を簡単に説明する。
第1の方法はカム曲線設計法である。このカム曲線設計法は、古くから用いられている方法であり、非常に多くのカム曲線により速度パターンが考案されている(例えば、非特許文献1を参照)。この方法によれば、残留振動を低減するために、対象物に加わる衝撃力が小さくなるよう、加速度及び躍動あるいはジャークと呼ばれる加速度の時間微分がなるべく小さく、かつ連続となるようなパターンを与える必要がある。しかし、ロボットアーム等を高速移動させるためには、加速度とジャークは大きくならざるを得ず、高速性が要求される今となっては、この考え方によって残留振動を抑えることは困難である。
第1の方法はカム曲線設計法である。このカム曲線設計法は、古くから用いられている方法であり、非常に多くのカム曲線により速度パターンが考案されている(例えば、非特許文献1を参照)。この方法によれば、残留振動を低減するために、対象物に加わる衝撃力が小さくなるよう、加速度及び躍動あるいはジャークと呼ばれる加速度の時間微分がなるべく小さく、かつ連続となるようなパターンを与える必要がある。しかし、ロボットアーム等を高速移動させるためには、加速度とジャークは大きくならざるを得ず、高速性が要求される今となっては、この考え方によって残留振動を抑えることは困難である。
第2の方法はポリダイン(多項式)曲線決定法である。このポリダイン曲線決定法は、カム曲線を時間に関する高次多項式で表現し、移動後の残留振動が零又はある範囲内に収まる条件から多項式の係数を決定する方法である(例えば、非特許文献2を参照)。この方法によれば、条件の設定により、高速移動時の残留振動を低減することができ、制御対象の固有振動数の変化に対する適応性が高いという利点があるが、多項式の係数を決定する方法が煩雑であるという問題もある。また、得られる多項式が9次以上の多項式となり、それを実現する精度も要求されるため、実際の機械への適用は難しい状況であった。
第3の方法は加減速時間設定法である。この加減速時間設定法は、一定加速度の条件で加減速を行うとき、加速時間、減速時間を制御対象の固有周期の整数倍と等しくすると、残留振動が零になるという性質を利用する方法である(例えば、特許文献1、2を参照)。この方法によれば、比較的単純な方針で効果が得られるが、移動時間は最も早くても固有周期の2倍であること、また、制御対象の固有周期の変化に敏感で、加減速時間が固有周期の整数倍から少しでもずれると残留振動が大きくなることなどの問題がある。
第4の方法は速度パターン合成法である。この速度パターン合成法は、基本となる速度指令パターンを制御対象の固有周期の1/2の奇数倍ずらして合成すると、残留振動が零になることを利用する方法である(例えば、特許文献3を参照)。この方法によれば、加減速時間設定法に比べて短い時間でロボットアームの移動ができるが、制御対象の固有周期の変化に敏感であるといった問題もある。
第5の方法は目標値計画法である。この目標値計画法は、制御対象の運動方程式を導き、残留振動のない理想的な制御対象の目標軌道を仮定して、速度パターンを逆算する方法である(例えば、非特許文献3を参照)。この方法は、制御対象の正確な数学モデルが必要となる点、速度パターンに精度が要求される点、アクチュエータの最大出力などのさまざまな制約条件を満たす目標軌道を仮定するのが困難である点、及び制御対象の変化に敏感な点などから、ロボットアーム等の実際の機械への適用は難しいものとなっている。
第6の方法はシミュレーション方法である。このシミュレーション法は、制御対象の運動方程式を導き、多くの速度パターンに対する数値シミュレーションを行い、その結果から残留振動の少ない軌道を選定する方法である(例えば、非特許文献4を参照)。この方法も、目標値計画法と同様に制御対象の正確な数学モデルが必要となる点、速度パターンに精度が要求される点、制御対象の変化に敏感な点のほか、適切な速度パターンの構成法が難しく、計算時間が非常にかかる点などから、ロボットアーム等の実際の機械への適用は困難であった。
第7の方法は対称速度パターン整形法である。一般に、制御対象を一自由度系として扱い、移動時間の中央で対称となる速度パターンを仮定して振動挙動を求める場合、速度パターンを定義するパラメータを適切に与えると、移動後の残留振動が零になる。対称速度パターン整形法はこの性質を利用する方法である。この方法としては、比較的単純なパターンに対して解析的に条件を求める方法(非特許文献5を参照。)と、遺伝的アルゴリズムを用いて速度パターンを決定する方法(非特許文献6を参照。)などがある。特に後者においては速度パターン生成に多大な計算時間が必要となる。また、この方法も速度パターンに精度が要求され、制御対象の変化に敏感であり、さらに、制御対象が一自由度系として扱えない場合に高次モードの振動に対応できないという問題がある。
第8の方法は加速度パターン合成法である。この加速度パターン合成法は,任意の加速度パターンを固有周期の整数倍ずらし,符号を変えて合成する,あるいは,任意の加速度パターンを固有周期の1/2の奇数倍ずらして同符合で合成すると残留振動が零になることを利用する方法である(例えば,非特許文献7を参照)。後者は第4の方法とほぼ同じであるが,第4の方法は速度,第9の方法が加速度であることが異なる。
第9の方法は入力整形法である。入力整形法とは残留振動が零となるインパルス列によって制御入力を整形する方法であり,整形とは任意の制御入力とインパルス列の畳み込み積分を意味する(例えば,非特許文献8を参照).インパルス列は制御対象の減衰固有周期の1/2の間隔で複数回繰り返され,各インパルスの大きさは繰り返しの回数と減衰比によって定まる。異なる振動数に対応するインパルス列を用いて整形を複数回繰り返すことで,多自由度系の複数の振動数を持つ振動を低減することができる。減衰比が零の場合のインパルス列を基準とし,各インパルスの大きさを規則的に増減するなどして,残留振幅が許容レベルを下回る振動数範囲を増やす方法(例えば,非特許文献9を参照)もある。さらに,負のインパルスを含めたインパルス列を数値計算によって最適化し,より短い移動時間の実現を目指した方法(例えば,非特許文献10を参照),移動時と停止時の二つのステージに分け,なるべく早く最終目標位置に近づけておいてから残留振動を低減するようなインパルス列を数値計算によって求める方法(例えば,非特許文献11を参照)もある。
上述した従来技術のほかに、オブザーバを用いて制御対象の状態の予測値を基にフィードバック制御する方法も考えられるが、この方法も制御対象の特性変化に敏感である点と、制御装置自体が高コストになるという点から実現は難しかった。
その結果、これらを集約すると、高速に位置決め制御を行うにあたり、制御対象の特性変化に対する適応性が乏しい点、精密な数学モデルが必要な点、パターン設計に手間がかかる点、指令速度パターンの制度が必要な点などの不都合があった。
また、上述した個々の方法では個別の概念が示されているものの、具体的な遅延時間の選択方法や加速度パターンを決定する手段については何ら開示されていないという不都合があった。
そこで、本発明は、簡単な方法で制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に基づいて加速度パターンを構成することにより、残留振動を低減することができる駆動装置の位置決め制御方法及び装置を提供することを目的とするものである。
その結果、これらを集約すると、高速に位置決め制御を行うにあたり、制御対象の特性変化に対する適応性が乏しい点、精密な数学モデルが必要な点、パターン設計に手間がかかる点、指令速度パターンの制度が必要な点などの不都合があった。
また、上述した個々の方法では個別の概念が示されているものの、具体的な遅延時間の選択方法や加速度パターンを決定する手段については何ら開示されていないという不都合があった。
そこで、本発明は、簡単な方法で制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に基づいて加速度パターンを構成することにより、残留振動を低減することができる駆動装置の位置決め制御方法及び装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の駆動装置の位置決め制御方法は、少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御方法において、上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を測定するステップと、上記制御対象を位置決め制御する任意の加速度パターンを求めるステップと、上記加速度パターンをフーリエ変換するステップと、上記フーリエ変換された加速度パターンのうち、上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に対応する成分が零となるように上記加速度パターンのパラメータを算出して上記加速度パターンを決定するステップとを備えたものである。
また、本発明の駆動装置の位置決め制御装置は、少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御装置において、上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を予め測定して記憶する記憶手段と、上記制御対象を位置決め制御する任意の加速度パターン及びパラメータを記憶する記憶手段と、上記加速度パターンをフーリエ変換する変換手段と、上記フーリエ変換された加速度パターンのうち、上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に対応する成分が零となるように上記加速度パターンのパラメータを算出して上記加速度パターンを決定する決定手段とを備えたものである。
本発明においては、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に着目すると共に、加速度パターンのフーリエ変換の減衰固有振動数成分が零となるとき、制御対象の残留振動が発生しないという原理に基づいて、加速度パターンのパラメータを算出して決定する。この加速度パターンのパラメータとして、加速時の加速度パターンと同じパターンで減速する際の加速と減速とのタイミング、加速及び減速時のパターン形状を決定するパラメータ、加速及び減速全体のパターン形状を決定するパラメータがある。また、加速及び減速時の基本加速度パターンをそれぞれ複数回繰り返し、その際の繰り返し周期と回数を設定すること、あるいは、加減速全体で基本加速度パターンを複数回繰り返し、その際の繰り返し周期と回数を設定することにより、パラメータを求めることなく,簡単な構成で加速度パターンをすることもできる。さらに、これらを併用することにより、効率的に制御対象の残留振動を抑制することができる。
また、加速及び減速時におけるそれぞれの基本加速度パターンに窓関数を掛け合わせることにより、加速度パターンを決定する。また、加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、任意の基本加速度パターンに窓関数を時間に関して微分した関数を掛けたものを用いる。また、加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、加減速を含む任意の基本加速度パターンに窓関数を掛けたものを用いる。また、加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、窓関数から類推される定義域内で符号の変化する関数をパラメータを含む形で定義し、そのフーリエ変換の高次周波数成分が小さくなるパラメータを求め、パラメータを含む関数を基本加速度パターンに掛けたものを用いる。また、窓関数及び上記窓関数に基づく他の関数を用いた加速度パターンを決定する方法と、その他の加速度パターンを決定する方法を併用する。
本発明によれば、従来の方法では得られなかった高速な加速度パターンが可能となるため、高速移動を可能にすることができ、加速度パターンの指令値をアクチュエータに入力するだけでよく、フィードバック制御に必要なセンサや制御装置が不要となるため、コストを低減することができる。
また、各加速度パターン構成方法を併用するという単純な操作により、制御対象の特性変化に強くなるため、精度を著しく向上させることができる。また、上述した併用法を用いて、複数の振動数成分を同時に押さえることができるため、制御対象が多自由度系の場合の高次振動モードにも適用することができ、高次モードの振動も同時に抑えることができる。
さらに、任意のパターンを繰り返す方法では、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数さえ分かれば、非常に簡単に加速度パターンを構成することができるため、複雑な計算が必要なくなり、構成及び処理を簡略化することができ、任意の加速度形状を用いて加速度パターンを構成できるので、例えば、矩形波などの単純な形状を用いれば、指令する制御信号に高い精度を要求されず、簡易な制御をすることができる。
また,比較的高い精度が要求されるが,窓関数を用いた方法を用いることによって以下の効果がある。まず、制御対象の変動に対するロバスト性がきわめて高いものとなる。具体的には、窓関数と定数の積を用いると、残留振幅が低減される範囲がある周波数以上のすべての範囲となるため、制御対象の変動の広い範囲にわたって残留振動振幅を低減できる。
また、高次モードの振動をすべて抑えることができる。具体的には、窓関数の性質により,特定の周波数以外の振動数をもつ自由振動成分をすべて低減することが可能である。さらに、制振効果および高速性の要請に応じた窓関数の選択肢が多いものとなる。具体的には、窓関数には多数の種類があり、制振効果と高速性のどちらを重視するかによって、最適な窓関数を選択することができる。
さらに,窓関数による方法とその他の方法を併用することにより、高速性とロバスト性の同時実現が可能である。具体的には、窓関数を用いた方法と、その他の方法を併用することにより、高次残留振動成分を抑えるとともに高速性とロバスト性を兼ね備えた加速度パターンを構成することが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態に適用される柔軟構造物の振幅位置決め制御方法及び装置について説明する。
[本制御方法及び装置の適用対象]
この制御方法は、柔軟構造物を駆動装置により位置決め制御する際に発生する構造物の振動を抑制するための方法である。このような系の例として、工業用ロボットアーム、クレーンや建築機械、人工衛星のアンテナや太陽電池パネルなどの宇宙構造物、液体運搬用の容器とその内容物などさまざまなものが挙げられる。これらの系を高速に移動させて精度良く位置を定めるには、目標位置における残留振動を極力小さくしなければならない。通常、振動を抑えるためには、何らかのセンサで振動を検知し、それを抑えるような力を加えるフィードバック制御が行われるが、そのためには、センサ、アクチュエータなどを付加する必要があり、コストの高騰や装置の重量化、複雑化を招く。そこで、本制御方法は、フィードバック制御及び付加装置を用いること無く、駆動装置に最適な加速度パターンを与えることによって制御対象の残留振動を低減するようにするものである。
[本制御方法及び装置の適用対象]
この制御方法は、柔軟構造物を駆動装置により位置決め制御する際に発生する構造物の振動を抑制するための方法である。このような系の例として、工業用ロボットアーム、クレーンや建築機械、人工衛星のアンテナや太陽電池パネルなどの宇宙構造物、液体運搬用の容器とその内容物などさまざまなものが挙げられる。これらの系を高速に移動させて精度良く位置を定めるには、目標位置における残留振動を極力小さくしなければならない。通常、振動を抑えるためには、何らかのセンサで振動を検知し、それを抑えるような力を加えるフィードバック制御が行われるが、そのためには、センサ、アクチュエータなどを付加する必要があり、コストの高騰や装置の重量化、複雑化を招く。そこで、本制御方法は、フィードバック制御及び付加装置を用いること無く、駆動装置に最適な加速度パターンを与えることによって制御対象の残留振動を低減するようにするものである。
図1に、適用対象の例と解析モデルを示す。図1(a)に示すように、本発明の制御方法及び装置の適用対象の一例であるロボットアームは、弾性アーム2の先端に質量3をつけ、他端をその長手方向に対して垂直な方向に移動距離x0だけ移動させる系にモデル化することができる。このような系の運動は、モード解析によって各振動モードに分解し、独立な1自由度系の重ね合わせとして扱うことができ、図1(b) に示すような比較的簡単なモデルの運動に帰着することができる。本発明の実施の形態では、解析モデルとして図1(b) に示す台車11に乗せられたばね・質量系15を用い、台車11の加速度パターンとそれにばね13及びダンパー14を介して乗せられた質量12の物体の応答を数値シミュレーションによって調べ、以下に、本制御方法の詳細を説明する。本発明の実施の形態では、図1(b) に示す台車11を駆動部分と呼び、その上のばね・質量系15を制御対象と呼ぶ。
[本制御方法及び装置の概要]
まず、フーリエ変換を計算してパラメータを求める場合について説明する。
図2は、制御装置の構成を示すブロック図である。図2において、この制御装置21は、上述した駆動部分を駆動するための駆動装置に加速度パターンの指令信号を供給して、制御対象を移動させて目標位置に位置決めするものである。この制御装置21は、例えば、記憶部として機能するメモリ22及び演算及び設定部として機能するCPU(Central Processing Unit)26から構成される。
まず、フーリエ変換を計算してパラメータを求める場合について説明する。
図2は、制御装置の構成を示すブロック図である。図2において、この制御装置21は、上述した駆動部分を駆動するための駆動装置に加速度パターンの指令信号を供給して、制御対象を移動させて目標位置に位置決めするものである。この制御装置21は、例えば、記憶部として機能するメモリ22及び演算及び設定部として機能するCPU(Central Processing Unit)26から構成される。
メモリ22は、予め測定された制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数(ωobj) (以下、単に減衰固有角振動数(ωobj)とする。)を記憶する制御対象減衰固有角振動数(ωobj)記憶部23と、任意の加速度パターンを記憶する加速度パターン記憶部24と、加速度パターンのパラメータを記憶するパラメータ記憶部25とを備えている。
CPU26は、加速度パターン(a(t))をフーリエ変換してA(ω)を算出する加速度パターン(a(t))フーリエ変換A(ω)部27と、フーリエ変換後のA(ω)のうち制御対象の減衰固有角振動数(ωobj)に対応する成分が零となるパラメータ数値を算出するA(ωobj)=0パラメータ数値算出部28と、算出されたパラメータにより加速度パターン及び速度パターンを決定して設定する加速度パターン決定及び速度パターン決定部29とを備えている。
図3は、制御方法を示すフローチャートである。図3に示す制御方法は、図2に示した制御装置の動作を示すものである。図3において、まず、制御対象の減衰固有角振動数(ωobj)を測定する(ステップS1)。予め測定された制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数(ωobj)は図2に示した制御対象減衰固有角振動数(ωobj)記憶部23に記憶される。
次に、加速度パターン(a(t))の仮決定を行う(ステップS2)。ここでは、図2に示した加速度パターン記憶部24に記憶された任意の加速度パターンを加速度パターン(a(t))フーリエ変換A(ω)部27が読み出して仮決定する。
そして、仮決定された加速度パターン(a(t))に対してデフォルト設定されたパラメータの選択を行う(ステップS3)。図2に示したパラメータ記憶部25に記憶された加速度パターンのパラメータを加速度パターン(a(t))フーリエ変換A(ω)部27が読み出して選択する。
ここで、加速度パターン(a(t)) をフーリエ変換し、A(ωobj)=0となるパラメータ数値を算出する(ステップS4)。図2に示した加速度パターン(a(t))フーリエ変換A(ω)部27は、加速度パターン(a(t)) をフーリエ変換してA(ω)を算出し、A(ωobj)=0パラメータ数値算出部28は、A(ωobj)=0となるパラメータ数値を算出する。
このとき、A(ωobj)=0となるパラメータ数値の解の有無を判断する(ステップS5)。図2に示したA(ωobj)=0パラメータ数値算出部28は、A(ωobj)=0となるパラメータ数値の解の有無を判断する。A(ωobj)=0となるパラメータ数値の解が有りのときは、このパラメータ数値に基づいて加速度パターンを決定する(ステップS6)。すなわち、図2に示した加速度パターン決定及び速度パターン決定部29が算出されたパラメータにより加速度パターン及び速度パターンを決定して設定する。A(ωobj)=0となるパラメータ数値の解が無しのときは、ステップS3へ戻って、再び加速度パターンのパラメータを選択する処理を行う。
これにより、加速度パターンをフーリエ変換して、制御条件を求めることにより、自動的に残留振動を低減する加速度パターンを実現できることができる。
これにより、加速度パターンをフーリエ変換して、制御条件を求めることにより、自動的に残留振動を低減する加速度パターンを実現できることができる。
次に、フーリエ変換を求めることなく,単に信号を遅延させて重ね合わせるだけでよい場合について説明する。
図4は、他の制御装置の構成を示すブロック図である。図4において、この制御装置41は、上述した駆動部分を駆動するための駆動装置に加速度パターンの指令信号を供給して、制御対象を移動させて目標位置に位置決めするものである。この制御装置41は、例えば、記憶部として機能するメモリ42及び演算及び設定部として機能するCPU46から構成される。
図4は、他の制御装置の構成を示すブロック図である。図4において、この制御装置41は、上述した駆動部分を駆動するための駆動装置に加速度パターンの指令信号を供給して、制御対象を移動させて目標位置に位置決めするものである。この制御装置41は、例えば、記憶部として機能するメモリ42及び演算及び設定部として機能するCPU46から構成される。
メモリ42は、予め測定された制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期 (Tobj)を記憶する制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部43と、基本となる任意の加速度パターンを記憶する基本加速度パターン記憶部44と、基本加速度パターンの遅延時間及び加速度パターンの遅延時間に対応する繰り返し回数を記憶する遅延時間及び繰り返し回数記憶部45とを備えている。
CPU46は、基本加速度パターン(a(t)) の制御対象の減衰固有周期(Tobj)に対応する遅延時間を設定する基本加速度パターン(a(t))遅延時間(n/m)Tobj設定部47と、基本加速度パターン(a(t))の遅延時間(n/m)Tobjに対応する繰り返し回数mを設定する基本加速度パターン(a(t)) 繰り返し回数m設定部48と、設定された遅延時間(n/m)Tobj及び繰り返し回数mにより加速度パターン及び速度パターンを決定して設定する加速度パターン決定及び速度パターン決定部49とを備えている。
図5は、他の制御方法を示すフローチャートである。図5に示す他の制御方法は、図4に示した他の制御装置の動作を示すものである。図5において、まず、制御対象の減衰固有周期(Tobj)を測定する(ステップS11)。予め測定された減衰固有周期(Tobj)は図4に示した制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部43に記憶される。
次に、基本加速度パターン(a(t))の決定を行う(ステップS12)。ここでは、図4に示した加速度パターン記憶部44に記憶された任意の加速度パターンを加速度パターン(a(t))遅延時間(n/m)Tobj設定部47が読み出して決定する。
そして、決定された基本加速度パターン(a(t))に対して記憶された減衰固有周期 (Tobj)を用いて遅延時間(n/m)Tobjの設定を行う(ステップS13)。図4に示した遅延時間及び繰り返し回数記憶部45に記憶された遅延時間(n/m)Tobjを基本加速度パターン(a(t))遅延時間(n/m)Tobj設定部47が読み出して設定する。
次に、基本加速度パターン(a(t))の遅延時間(n/m)Tobjに対応する繰り返し回数mを設定する(ステップS14)。図4に示した遅延時間及び繰り返し回数記憶部45に記憶された繰り返し回数mを基本加速度パターン(a(t)) 繰り返し回数m設定部48が読み出して設定する。
設定された遅延時間(n/m)Tobj及び繰り返し回数mに基づいて加速度パターンを決定する(ステップS15)。図4に示した加速度パターン決定及び速度パターン決定部49が設定された遅延時間(n/m)Tobj及び繰り返し回数mに基づいて加速度パターンを決定する。
これにより、もっと簡単な構成で,パラメータを求めることなく,基本加速度パターンを単に固有周期のn/m倍の時間ずらしてm回繰り返すだけで、フーリエ変換して求めることなく、簡単に所望の加速度パターンを実現することができる。
これにより、もっと簡単な構成で,パラメータを求めることなく,基本加速度パターンを単に固有周期のn/m倍の時間ずらしてm回繰り返すだけで、フーリエ変換して求めることなく、簡単に所望の加速度パターンを実現することができる。
次に、加速と減速のタイミングを決定する方法について説明する。
図6は、他の制御装置の構成を示すブロック図である。図6において、この制御装置61は、上述した駆動部分を駆動するための駆動装置に加速度パターンの指令信号を供給して、制御対象を移動させて目標位置に位置決めするものである。この制御装置61は、例えば、記憶部として機能するメモリ62及び演算及び設定部として機能するCPU66から構成される。
図6は、他の制御装置の構成を示すブロック図である。図6において、この制御装置61は、上述した駆動部分を駆動するための駆動装置に加速度パターンの指令信号を供給して、制御対象を移動させて目標位置に位置決めするものである。この制御装置61は、例えば、記憶部として機能するメモリ62及び演算及び設定部として機能するCPU66から構成される。
メモリ62は、予め測定された制御対象の減衰固有周期 (Tobj)を記憶する制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部63と、基本となる任意の加速度パターンを記憶する基本加速度パターン記憶部64と、基本加速度パターンの遅延時間及び符号を記憶する遅延時間及び符号記憶部65とを備えている。
CPU66は、加速と減速のタイミングを決定する加速と減速のタイミング決定部70と、決定された加速と減速のタイミングにより加速度パターン及び速度パターンを決定して設定する加速度パターン決定及び速度パターン決定部69とを備えている。ここで、加速と減速のタイミング決定部70は、基本加速度パターン(a(t)) の制御対象の減衰固有周期(Tobj)の整数 (n) 倍だけ遅延させる減衰固有周期の整数 (n) 倍遅延部67と、遅延後の加速度パターン(a(t))を一度だけ符号を反転させて合成する1回符号反転合成部68とを備えている。
図7は、他の制御方法を示すフローチャートである。図7に示す他の制御方法は、図6に示した他の制御装置の動作を示すものである。図7において、まず、制御対象の減衰固有周期(Tobj)を測定する(ステップS21)。予め測定された制御対象の減衰固有周期(Tobj)は図6に示した制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部63に記憶される。
次に、基本加速度パターン(a(t))の決定を行う(ステップS22)。ここでは、図6に示した基本加速度パターン記憶部64に記憶された任意の加速度パターンを減衰固有周期の整数 (n) 倍遅延部67が読み出して決定する。
そして、決定された基本加速度パターン(a(t))に対して記憶された制御対象の減衰固有周期(Tobj)の整数 (n) 倍だけ遅延させる処理を行う(ステップS23)。図6に示した遅延時間及び符号記憶部65に記憶された整数 (n) 倍の遅延量を減衰固有周期の整数 (n) 倍遅延部67が読み出して遅延処理をする。
次に、遅延後の基本加速度パターン(a(t))を一度だけ符号を反転させて合成して加速と減速のタイミングを決定する(ステップS24)。図6に示した遅延時間及び符号記憶部65に記憶された1回反転符号を1回符号反転合成部68が読み出して反転合成の処理をする。
決定された加速と減速のタイミングに基づいて加速度パターンを決定する(ステップS25)。図6に示した加速度パターン決定及び速度パターン決定部69が決定された加速と減速のタイミングに基づいて加速度パターンを決定する。
これにより、加速と減速のタイミングの決定を簡単に実現できることができる。
これにより、加速と減速のタイミングの決定を簡単に実現できることができる。
また、これまでの加速度パターン決定法において、いずれも減衰固有周期(Tobj)もしくは、これによって決まる減衰固有角振動数(ωobj=2π/Tobj)が残留振動を抑えるために重要な定数であることは明らかであるが、この計測には必ず誤差が生じる。そこで、以下に、減衰固有周期を予め計測した値に固定するのではなく、加速度パターン決定に用いる減衰固有周期を逐次変化させるとともに、残留振動を計測する装置を組み入れ、その大きさを評価することにより減衰固有周期の誤差の影響を少なくする機構を組み入れた制御方法について説明する。
図8は、他の制御方法を示すフローチャートである。図8に示す他の制御方法は、図2,4、6に示した各制御装置内に残留振動を計測する装置を組み入れた場合の動作を示すものである。図8に示す他の制御方法は、図2,4、6に示した各制御装置の動作中に行うようにしてもよいし、また、一度決定した加速度パターンについてその後、減衰固有周期を逐次変化させることにより最適なパターンの決定を行うようにしてもよい。ここでは、説明を簡単にするために、後者についてのみ説明することにする。
図8において、まず、制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期(Tobj)を測定し、仮決定する(ステップS31)。制御対象の仮決定された減衰固有周期(Tobj)は図2,4、6に示した制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部23,43、63に記憶される。
そして、仮決定された制御対象の減衰固有周期(Tobj)に基づいた加速度パターンの仮決定の処理を行う(ステップS32)。図2に示したパラメータ記憶部25、図4、6に示した遅延時間及び繰り返し回数(符号)記憶部45、65に記憶された整数 (n) 倍の遅延量を加速度パターン決定及び速度パターン決定部29、49、69が読み出して遅延時間の仮決定処理及び加速度パターンの決定をする。
ここで、実際に制御対象の駆動部を動作させ、図2、4、6に示した各制御装置内に組み入れられた残留振動を計測する装置により試行時の残留振動の計測の処理をする(ステップS33)。
次に、仮決定された加速度パターンに用いる減衰固有周期を仮決定された減衰固有周期から少し変化させて加速度パターンを決定しなおして再試行する(ステップS34)。図2、4、6に示した加速度パターン決定及び速度パターン決定部29、49、69は仮決定された減衰固有周期から少し変化させた減衰固有周期に基づく加速度パターンの決定をしなおして制御対象の駆動部の動作の再試行をする。
試行時の残留振動の計測(ステップS33)及び加速度パターンを決定しなおして再試行(ステップS34)の処理を繰り返して、最適な加速度パターンを求める(ステップS35)。図2、4、6に示した加速度パターン決定及び速度パターン決定部29、49、69は試行時の残留振動が最も少なくなる減衰固有周期に基づく加速度パターンを判断する。
これにより、最適な加速度パターンを決定する。図2,4、6に示した加速度パターン決定及び速度パターン決定部29,49、69は上述した繰り返し処理により残留振動が最も少なくなる最適な加速度パターンを決定する。
[制振位置決め制御方法の概要]
上述した従来の位置決め制御では、静止した制御対象を目的位置まで移動させるために、まず一定加速度で加速し、その後一定時間の定速度運動を経て目的位置の手前で一定加速度で減速して停止させる場合が多い。これに対して、本発明の実施の形態では、まず、任意の加速と減速とのタイミングで加速度パターンを決定し、次に、加速及び減速のパターン形状を決定している。以下は、まずこの方法について説明し、その後、定速度運動区間のない位置決め制御方法として、加減速全体で加速度パターンを構成する方法について説明する。さらに、複数の方法を併用することにより残留振動を低減する方法、その他フィルターを併用する方法及び制御装置の特性を考慮する方法について説明する。
上述した従来の位置決め制御では、静止した制御対象を目的位置まで移動させるために、まず一定加速度で加速し、その後一定時間の定速度運動を経て目的位置の手前で一定加速度で減速して停止させる場合が多い。これに対して、本発明の実施の形態では、まず、任意の加速と減速とのタイミングで加速度パターンを決定し、次に、加速及び減速のパターン形状を決定している。以下は、まずこの方法について説明し、その後、定速度運動区間のない位置決め制御方法として、加減速全体で加速度パターンを構成する方法について説明する。さらに、複数の方法を併用することにより残留振動を低減する方法、その他フィルターを併用する方法及び制御装置の特性を考慮する方法について説明する。
[加速と減速のタイミングの決定方法]
図9は、加速と減速とのタイミングを示す図である。ここで加速度パターンのパラメータは、加速度パターンと同じパターンで減速する加速と減速とのタイミングである。図9(a)に示すように、加減速の区間が重ならない場合であって加速時と減速時の加速度パターンの形状が同一で符号のみが異なるときは、加速と減速の開始時刻の時間差Tintが、制御対象の減衰固有周期Tobj(=2π/ωobj)の整数倍すなわちnTobj(n=1,2,3,・・・)に等しくなり制御条件を満たす。図中のTaccは加速及び減速に要する時間を表す。この加速度パターンf(t)は任意である。図4(b)に示すように、加減速の区間が重なる場合は、加速が終了する前に減速が開始することになり、この場合の加速と減速が同時になされる区間の加速度は、それぞれの加速度の重ね合わせ(代数和)となる。これらのパターンが制御条件を満たす理由は後述する。
図9は、加速と減速とのタイミングを示す図である。ここで加速度パターンのパラメータは、加速度パターンと同じパターンで減速する加速と減速とのタイミングである。図9(a)に示すように、加減速の区間が重ならない場合であって加速時と減速時の加速度パターンの形状が同一で符号のみが異なるときは、加速と減速の開始時刻の時間差Tintが、制御対象の減衰固有周期Tobj(=2π/ωobj)の整数倍すなわちnTobj(n=1,2,3,・・・)に等しくなり制御条件を満たす。図中のTaccは加速及び減速に要する時間を表す。この加速度パターンf(t)は任意である。図4(b)に示すように、加減速の区間が重なる場合は、加速が終了する前に減速が開始することになり、この場合の加速と減速が同時になされる区間の加速度は、それぞれの加速度の重ね合わせ(代数和)となる。これらのパターンが制御条件を満たす理由は後述する。
上記の制御条件を満たす任意の加速度パターンを解析モデルに適用したときのシミュレーション結果を図10に示す。パターン形状は一例として図10(a)に示すような二次曲線と直線からなるものとした。図10(b)は移動開始から停止までの加速度パターン変化、図10(c)は速度パターン変化、図10(d)はこのような加速度パターンによって制御された駆動部分の変位(破線)及び制御対象の変位(実線)を表す。図10(b)〜図10(d)は加速と減速の時間差Tintをちょうど制御対象の減衰固有周期Tobjと等しくした場合、すなわち、n=1の場合を示す。横軸は固有周期で正規化した時間を表している。制御対象の変位は後述の運動方程式を数値的に積分することによって求めることができる。図10(b)〜図10(d)は系に減衰が無い場合を示していて、移動距離がちょうど100となるように加速度の大きさを与えている。制御条件が満たされれば、移動後の制御対象と駆動部の変位は完全に一致し、残留振動がまったく発生していないことが図10(d)から分かる。
次に、加速と減速の時間差Tintの残留振動に対する影響を図8に示す。図11(a)はTintをTobj から5%ずらし、Tint=1.05Tobjとした場合の制御対象及び駆動部の変位を示す。図10(d)に比べて大きく残留振動が発生していることが分かる。そこで、移動終了後の残留振幅の大きさを図11(a)内に示すように定義し、加速と減速の時間差の固有周期に対する比Tint/ Tobjと移動後の残留振幅の関係を図11(b)に示した。ここでは、移動距離がちょうど100となるように加速度を与えているため、残留振幅の値はちょうど移動距離に対するパーセンテージとなる。このうち実線が系に減衰がない場合、すなわち減衰比ζ=0の場合を示している。
この結果より、減衰の無いとき、Tint= nTobj(n=1,2,3・・・)の条件を満たせば残留振幅が零になることが確認できる。ただし、図11(b)から分かるように、時間差が固有周期から少しでもずれた場合、非常に大きな残留振動が発生する点に注意を要する。図11(b)では制御対象に減衰が存在する場合の減衰の影響を調べるため、減衰比ζ=0.02、0.05、0.1の場合が併せて示してある。これらの結果から、減衰が存在するとTint/ Tobjがどのような値であっても残留振幅が零にならないことが分かる。しかし、残留振幅が極小となるのは、上記と同じ条件Tint= nTobjを満たす場合であり、その極小値は減衰比ζが大きいほど大きくなることが分かる。
この方法の利点は、加速及び減速時の加速度パターンが、形が同じで符号が異なりさえすれば任意であることである。すなわち、実際の装置において、所望の加速パターンを実現することが困難な場合でも、上記の条件Tint= nTobjさえ満足すれば、タイミングを変化させるだけで残留振動を抑えることができる。また、制御対象の減衰固有周期が正確にわからなくても、図8に示した方法によりその付近でタイミングを変化させ、トライアンドエラーで最適な時間差を探すことができるという利点もある。
[加速及び減速のパターン形状決定方法]
図9で示した加速時、及び減速時の加速度のパターン形状f(t)がある条件を満たすとき、残留振動が抑制される。このパターンを決定する方法の例として以下に述べる2つの方法を考案した。このうち前者は図2、3に示した方法、後者は図4、5に示した方法に対応する。以下にそれらについて例を示して述べる。
図9で示した加速時、及び減速時の加速度のパターン形状f(t)がある条件を満たすとき、残留振動が抑制される。このパターンを決定する方法の例として以下に述べる2つの方法を考案した。このうち前者は図2、3に示した方法、後者は図4、5に示した方法に対応する。以下にそれらについて例を示して述べる。
[パラメータとして加速時間を用いる決定方法]
ここで加速度パターンのパラメータは、加速及び減速時のパターン形状の加速時間である。ωobjを制御対象の減衰固有角振動数とすると、形状に関する何らかのパラメータαをもつ加速度パターンa(t、α)に対して、数1に示す関係になるようなαが存在するとき、制御条件が満たされる。これは本制御方法の基本方針となる条件をパラメータを用いて決定する方法である。
ここで加速度パターンのパラメータは、加速及び減速時のパターン形状の加速時間である。ωobjを制御対象の減衰固有角振動数とすると、形状に関する何らかのパラメータαをもつ加速度パターンa(t、α)に対して、数1に示す関係になるようなαが存在するとき、制御条件が満たされる。これは本制御方法の基本方針となる条件をパラメータを用いて決定する方法である。
特に、加速度パターン形状が加速時間Taccの中央で左右対称であるとき、パラメータαを加速時間Taccとすると、数1式を満たすようなパラメータα(=Tacc)が必ず存在する。例えば、図12(a)に示すように加速度パターンが半周期正弦波の場合、その幅Taccを制御対象の減衰固有周期Tobjの(2n+1)/2(n=1,2,3,・・・)倍とするとき数1式の条件を満たす。また、図12(b) に示すように加速度が一定すなわち矩形波の場合、加速時間Taccを制御対象の減衰固有周期Tobjのm(m=1,2,3,・・・)倍とするとき数1式の条件を満たす。
これらのパターンを用いて、加速時間Taccと残留振幅の関係を数値シミュレーションで求めた結果を図13に示す。ここではTint= nTobjの条件が満たされるのを避けるため、加速と減速の時間差Tint=1.5Tobjとした。減衰比ζ=0で加速時間Taccが数1式の条件を満たすとき、残留振幅が零になることが数値シミュレーションによっても確かめられた。
[同じパターンを複数回繰り返す方法]
ここで加速度パターンのパラメータは、加速及び減速時のパターン形状をそれぞれ複数回繰り返す際の繰り返し周期である。図14に示すように任意の加速度パターンを制御対象の減衰固有周期Tobjのn/m倍すなわち(n/m)Tobj時間ずらしながらm回繰り返して構成したパターンは制御条件を満たす。ただし、n,mは互いに素である自然数で、mは2以上である必要がある。なお、加速パターンの幅は(n/m)Tobj以下である必要はなく、これより大きいときは、図9(b)と同様に重なる部分を加速度の代数和とすればよい。このパターンが制御条件を満たす理由は後述する。
ここで加速度パターンのパラメータは、加速及び減速時のパターン形状をそれぞれ複数回繰り返す際の繰り返し周期である。図14に示すように任意の加速度パターンを制御対象の減衰固有周期Tobjのn/m倍すなわち(n/m)Tobj時間ずらしながらm回繰り返して構成したパターンは制御条件を満たす。ただし、n,mは互いに素である自然数で、mは2以上である必要がある。なお、加速パターンの幅は(n/m)Tobj以下である必要はなく、これより大きいときは、図9(b)と同様に重なる部分を加速度の代数和とすればよい。このパターンが制御条件を満たす理由は後述する。
図15(a)、(b)、(c)に、例として矩形波を(1/3) Tobjの時間差で3回繰り返すパターンを用いたときの加速度、速度、変位を示す。上述と同様に加速と減速の時間差Tint=1.5Tobjとした。上記の条件を満たすとき残留振動が発生していないことがわかる。図15(d)は、パターン生成に用いる減衰固有周期Tobjに誤差があった場合、残留振動がどのように変化するかを示したものである。これまでと同様に、条件から少しずれると、すなわち減衰固有周期の誤差が少しでもあると、残留振幅が大きくなることがわかる。また、加減速のタイミングの決定方法と同様に、減衰が存在すると固有周期に誤差が無くても残留振幅は零にならない。このとき、減衰固有周期に誤差がない場合に最小振幅となるが、この最小振幅は減衰比ζが大きいほど大きくなる。
[加減速全体で加速度パターンを構成する方法]
次に、移動時に定速度運動を経ることなく加減速するパターンを構成する方法について説明する。これまでの方法では、加速と減速の時間差Tintは、最短でも制御対象の減衰固有周期Tobjと等しいため、移動時間は必ず減衰固有周期より長い。しかし、この方法の場合、移動時間を減衰固有周期と等しいか、あるいはそれより短い時間にすることができる。このパターン決定方法の例として以下に2種類の方法を示す。
次に、移動時に定速度運動を経ることなく加減速するパターンを構成する方法について説明する。これまでの方法では、加速と減速の時間差Tintは、最短でも制御対象の減衰固有周期Tobjと等しいため、移動時間は必ず減衰固有周期より長い。しかし、この方法の場合、移動時間を減衰固有周期と等しいか、あるいはそれより短い時間にすることができる。このパターン決定方法の例として以下に2種類の方法を示す。
[パラメータとして移動時間を用いる決定方法]
この方法における加速度パターンのパラメータは、加速及び減速全体のパターン形状による制御対象の移動時間である。数1式の条件を、加減速全体にわたって適用することにより、加減速パターンを決定することができる。特に、図16に示すように、加減速パターンがその中央を原点としたときに原点対称、すなわち奇関数である場合、制御対象の移動時間である加減速時間をパラメータTmovとして変化させることにより、数1式を満たす加減速時間が存在する。パラメータTmovを制御対象の減衰固有周期Tobjのn(n=2,3,4・・・)倍とするとき条件を満たす。
この方法における加速度パターンのパラメータは、加速及び減速全体のパターン形状による制御対象の移動時間である。数1式の条件を、加減速全体にわたって適用することにより、加減速パターンを決定することができる。特に、図16に示すように、加減速パターンがその中央を原点としたときに原点対称、すなわち奇関数である場合、制御対象の移動時間である加減速時間をパラメータTmovとして変化させることにより、数1式を満たす加減速時間が存在する。パラメータTmovを制御対象の減衰固有周期Tobjのn(n=2,3,4・・・)倍とするとき条件を満たす。
[同じパターンを複数回繰り返す方法]
ここで加速度パターンのパラメータは、加速及び減速全体のパターン形状を複数回繰り返す際の繰り返し周期である。図17に示すように、加減速全体にわたる加速度パターンを制御対象の減衰固有周期Tobjのn/m倍すなわち(n/m)Tobj時間ずらしながらm回繰り返して構成したパターンは制御条件を満たす。ただし、n,mは互いに素である自然数で、nは2以上である必要がある。これにより、繰り返しによる方法の加速度パターンに負の値を含め、その積分値を零にすることによって、一つのパターンで移動後に静止させることができる。このパターンを用いると、減衰固有周期以下の時間で移動が可能となる。
ここで加速度パターンのパラメータは、加速及び減速全体のパターン形状を複数回繰り返す際の繰り返し周期である。図17に示すように、加減速全体にわたる加速度パターンを制御対象の減衰固有周期Tobjのn/m倍すなわち(n/m)Tobj時間ずらしながらm回繰り返して構成したパターンは制御条件を満たす。ただし、n,mは互いに素である自然数で、nは2以上である必要がある。これにより、繰り返しによる方法の加速度パターンに負の値を含め、その積分値を零にすることによって、一つのパターンで移動後に静止させることができる。このパターンを用いると、減衰固有周期以下の時間で移動が可能となる。
図18(a)に、繰り返し法で1固有周期内で5回繰り返しがある場合の加速度パターンを示す(n=1、m=5)。図18(c)はこの加速度パターンに対応する変位を示すものであるが、図18(c)を見ると、移動後、すなわちt/Tobj>1において、移動距離の変動がなく、残留振幅が零になることがわかる。しかし、図18(d)に示す減衰固有周期の誤差と残留振動の振幅の変化における減衰比ζ=0の場合を見ると、残留振幅は誤差が零の付近で急激に変化しており、さらに、その他の加速度パターンと同様に減衰が存在すると最小残留振幅が零とならず、その影響も他に比べて大きいことがわかる。
[複数の条件を組み合わせることによる振動低減効果の向上]
以上、残留振動が零となる加速度パターンの例を説明したが、いずれも制御対象の減衰固有周期とパターン設計に用いた減衰固有周期に誤差がある場合や、制御対象に働く減衰力が大きい場合に残留振動が大きくなることがわかった。しかし、上述したパターン決定方法のうち、複数の決定方法の条件を同時に満たすような加速度パターンを構成することにより、減衰固有周期の誤差や減衰の影響をさらに小さくすることができる。
以上、残留振動が零となる加速度パターンの例を説明したが、いずれも制御対象の減衰固有周期とパターン設計に用いた減衰固有周期に誤差がある場合や、制御対象に働く減衰力が大きい場合に残留振動が大きくなることがわかった。しかし、上述したパターン決定方法のうち、複数の決定方法の条件を同時に満たすような加速度パターンを構成することにより、減衰固有周期の誤差や減衰の影響をさらに小さくすることができる。
パターンを組み合わせる際、上述した図9に示した加速と減速のタイミングの決定方法と、加速時間パラメータを用いる図12(a) に示したパターン形状決定方法及び移動時間パラメータを用いる図16に示した加減速全体で加速度パターンを構成する方法は、一つの加減速パターンについて1回ずつしか適用することができないが、図14に示したパターン形状決定方法及び図17に示した加減速全体で加速度パターンを構成する方法における複数回繰り返し方法は、重ね合わせたパターンを一つのパターンと考え、全体をさらにずらして重ね合わせることによって任意の回数組み合わせることができる。その分移動時間が長くなるが、残留振幅を抑えることができる。
また、残留振幅に、ある程度の許容範囲がある場合、上述した加速と減速のタイミングの決定方法に使用する遅延時間の基準となる減衰固有周期を実際より少し短く、加速パラメータを用いるパターン形状決定方法及び加減速全体で加速度パターンを構成する方法に使用する遅延時間の基準となる減衰固有周期を実際より少し長くすることなどによって、故意に振幅が零になる点をずらし、許容振幅を満たす幅を広げることもできる。
以下に、これらの組み合わせの具体例を示して説明する。
[タイミングの決定方法と半周期正弦波の組み合わせ]
図19に、図9に示した加速と減速のタイミングの決定方法と図12(a) に示した半周期正弦波によるパターン形状決定方法を組み合わせた例を示す。図19(a)は加速度、図19(b)は速度の変化である。減衰固有周期の1.5倍の幅を持つ半周期正弦波と、その符号を変えた波形を1固有周期分ずらして重ね合わせているため、加速時間と減速時間が図19(a)の横軸t/Tobj=1.0〜1.5の範囲で重なり、代数和をとることで直線に近くなっている。図19(d)は制御に用いた減衰固有周期Tobjに誤差が存在する場合、移動後の残留振幅を示したものである。制御対象に減衰が存在する場合を考え、減衰比ζ=0.0,0.02、0.05、0.1の場合が併せて示してある。いずれの場合も減衰固有周期の誤差が零のとき、残留振幅はほとんど零である。さらに詳しく調べると、減衰固有周期の誤差が10%以内であれば、いずれも残留振動は2%以下に収まっている。図13(a)の該当する部分(Tacc/Tobj=1.5付近)と比べると、広い範囲で振幅が抑えられ、かつ減衰の影響も少ないことから、2つの条件の組み合わせの効果が確認できる。
[タイミングの決定方法と半周期正弦波の組み合わせ]
図19に、図9に示した加速と減速のタイミングの決定方法と図12(a) に示した半周期正弦波によるパターン形状決定方法を組み合わせた例を示す。図19(a)は加速度、図19(b)は速度の変化である。減衰固有周期の1.5倍の幅を持つ半周期正弦波と、その符号を変えた波形を1固有周期分ずらして重ね合わせているため、加速時間と減速時間が図19(a)の横軸t/Tobj=1.0〜1.5の範囲で重なり、代数和をとることで直線に近くなっている。図19(d)は制御に用いた減衰固有周期Tobjに誤差が存在する場合、移動後の残留振幅を示したものである。制御対象に減衰が存在する場合を考え、減衰比ζ=0.0,0.02、0.05、0.1の場合が併せて示してある。いずれの場合も減衰固有周期の誤差が零のとき、残留振幅はほとんど零である。さらに詳しく調べると、減衰固有周期の誤差が10%以内であれば、いずれも残留振動は2%以下に収まっている。図13(a)の該当する部分(Tacc/Tobj=1.5付近)と比べると、広い範囲で振幅が抑えられ、かつ減衰の影響も少ないことから、2つの条件の組み合わせの効果が確認できる。
[タイミングの決定方法と繰り返し波形の組み合わせ]
図20(a)に、図9に示した加速と減速のタイミングの決定法と図14に示したパターン形状決定方法における複数回繰り返し波形を組み合わせた例を示す。1減衰固有周期中に3回のパターン繰り返しがあり、1減衰固有周期後に符号を変えて繰り返している。図20(c)は図18(c)と同様に、移動後の残留振幅は零となっている。図20(a)と同じ加速パターンであるがタイミング決定方法を併用していない図15(a)と比べると、減衰固有周期の誤差が広い範囲で残留振幅が小さくなり、減衰の影響も少ないことから、2つの方法を併用した効果が現れていることがわかる(図20(d)と図15(d)を参照)。
図20(a)に、図9に示した加速と減速のタイミングの決定法と図14に示したパターン形状決定方法における複数回繰り返し波形を組み合わせた例を示す。1減衰固有周期中に3回のパターン繰り返しがあり、1減衰固有周期後に符号を変えて繰り返している。図20(c)は図18(c)と同様に、移動後の残留振幅は零となっている。図20(a)と同じ加速パターンであるがタイミング決定方法を併用していない図15(a)と比べると、減衰固有周期の誤差が広い範囲で残留振幅が小さくなり、減衰の影響も少ないことから、2つの方法を併用した効果が現れていることがわかる(図20(d)と図15(d)を参照)。
[多重繰り返し法]
図21(a)〜図21(f)は、加減速パターンの繰り返し法を用い、さらに得られた波形全体を繰り返すということを2回行って得た加速度パターンと、それぞれに対応する減衰固有周期の誤差と残留振幅の関係を示したものである。
元となるパターンは図21(a)に示すように、幅がTobj/6の矩形波をTobj/3ずらして3回繰り返したパターンである。そして、その波形全体を同様に図21(c) に示すようにTobj/3ずらして3回繰り返した2重繰り返しパターンと、さらにその結果得られた波形全体を同様に図21(e) に示すようにTobj/3ずらして3回繰り返した3重繰り返しパターンが用いられている。
図21(a)〜図21(f)は、加減速パターンの繰り返し法を用い、さらに得られた波形全体を繰り返すということを2回行って得た加速度パターンと、それぞれに対応する減衰固有周期の誤差と残留振幅の関係を示したものである。
元となるパターンは図21(a)に示すように、幅がTobj/6の矩形波をTobj/3ずらして3回繰り返したパターンである。そして、その波形全体を同様に図21(c) に示すようにTobj/3ずらして3回繰り返した2重繰り返しパターンと、さらにその結果得られた波形全体を同様に図21(e) に示すようにTobj/3ずらして3回繰り返した3重繰り返しパターンが用いられている。
図21(a)に示す1回繰り返し加速度パターン、図21(c) に示す2重繰り返し加速度パターン、及び図21(e) に示した3重繰り返し加速度パターンのそれぞれに対応する残留振幅変化を図21(b)、図21(d)及び図21(f) に示している。この図21(b)(d)(f)に示される残留振幅変化を見ると、これら繰り返し法の多重化を多くすることにより、より効果的に残留振動を低減できることがわかる。特に、図21(e) に示すように繰り返しを3重化した結果を見ると、減衰による影響がほとんどなくなり、どのような減衰であっても固有振動数の誤差が±10%の範囲であれば、残留振幅を1よりはるかに小さく抑えることができる。また、参考のため、図22(a)に3重繰り返しパターンの速度パターンを、図22(b)にそれぞれの加減速パターンを適用した際の変位を示す。
この結果は、加減速全体で加速度パターンを構成する場合の減衰固有周期の誤差に対する敏感性を、多重化することによって効率的に回避できることを示している。また、このパターンの移動時間は減衰固有周期の約2倍程度と比較的短く、その高速性、及び減衰固有周期の誤差への影響を考慮に入れると非常に優れた加減速パターンであるといえる。
[離調による適用範囲の拡大]
図23に、図9に示した加速と減速のタイミングの決定方法と図12(a) に示した半周期正弦波によるパターン形状決定方法を組み合わせにおいて、タイミング決定とパターン決定で使用する遅延時間の基準となる減衰固有周期を、それぞれ+2.5%、-2.5%増減し(これを離調と呼ぶことにする)、発生する残留振幅を減衰固有周期の誤差が零付近で拡大した図を示す。許容残留振幅を移動距離の0.08%とした場合、離調が無い場合は固有周期の誤差が±2.5%の範囲内である必要があるが、離調のある場合は約±3.5%となり、わずかではあるが、減衰固有周期の誤差の許容範囲が広がっている。この性質は、多重繰り返し法にも適用可能であり、適用範囲をより大きく広げるのに有効である。
図23に、図9に示した加速と減速のタイミングの決定方法と図12(a) に示した半周期正弦波によるパターン形状決定方法を組み合わせにおいて、タイミング決定とパターン決定で使用する遅延時間の基準となる減衰固有周期を、それぞれ+2.5%、-2.5%増減し(これを離調と呼ぶことにする)、発生する残留振幅を減衰固有周期の誤差が零付近で拡大した図を示す。許容残留振幅を移動距離の0.08%とした場合、離調が無い場合は固有周期の誤差が±2.5%の範囲内である必要があるが、離調のある場合は約±3.5%となり、わずかではあるが、減衰固有周期の誤差の許容範囲が広がっている。この性質は、多重繰り返し法にも適用可能であり、適用範囲をより大きく広げるのに有効である。
[フィルターを併用する方法]
加速度信号を特定の振動数成分を減衰させるノッチフィルターに通し、加速度振動に含まれる減衰固有振動数成分を物理的にカットすることによって、制御条件を満たす加速度パターンを作り出し、残留振動の発生を抑えることができる。したがって、これまで説明した加速度パターンに加えてフィルターを併用して、制御対象の減衰固有振動数付近の成分を抑えることにより、さらに減衰固有振動数の変動に強いシステムにすることができる。またその際、上述した離調による適用範囲の拡大の考え方を用いて、フィルターの周波数を選定することによって、より大きな効果を上げることができる。
加速度信号を特定の振動数成分を減衰させるノッチフィルターに通し、加速度振動に含まれる減衰固有振動数成分を物理的にカットすることによって、制御条件を満たす加速度パターンを作り出し、残留振動の発生を抑えることができる。したがって、これまで説明した加速度パターンに加えてフィルターを併用して、制御対象の減衰固有振動数付近の成分を抑えることにより、さらに減衰固有振動数の変動に強いシステムにすることができる。またその際、上述した離調による適用範囲の拡大の考え方を用いて、フィルターの周波数を選定することによって、より大きな効果を上げることができる。
[制御対象の特性を考慮する方法]
以上説明してきた制御方法においては、全て駆動部分の加速度が任意に与えられるとしてきたが、実際には、駆動装置の遅れなどの要因から、所望の加速度が現れないことも考えられる。しかし、制御装置の状態方程式が明らかであれば、状態方程式の解である駆動部分の変位を与えて、状態方程式を逆に解くことにより所望の加速度を得るための指令値を計算することができる。
以上説明してきた制御方法においては、全て駆動部分の加速度が任意に与えられるとしてきたが、実際には、駆動装置の遅れなどの要因から、所望の加速度が現れないことも考えられる。しかし、制御装置の状態方程式が明らかであれば、状態方程式の解である駆動部分の変位を与えて、状態方程式を逆に解くことにより所望の加速度を得るための指令値を計算することができる。
[原理]
簡単に本制御方法の制御条件が有効な理由及び提案した加速度パターンが制御条件を満たすことを説明する。
まず、制御条件が有効である理由について述べる。制御対象をモード解析することにより1次の固有振動モードのみを抽出すると、そのモードを支配する運動方程式は、数2式となる。
簡単に本制御方法の制御条件が有効な理由及び提案した加速度パターンが制御条件を満たすことを説明する。
まず、制御条件が有効である理由について述べる。制御対象をモード解析することにより1次の固有振動モードのみを抽出すると、そのモードを支配する運動方程式は、数2式となる。
ここで、q1は制御対象の駆動部に対する相対変位の1次モード座標、m1、c1、k1はそれぞれ1次のモード質量、モード減衰、モード剛性である。また、a1(t)は駆動部の変位をモード解析を用いて各モード方程式に変換したときの1次モード成分の加速度を表している。これらは、ばね・質量モデルに相当し、1自由度系として取り扱うことができる。この系の減衰比はζ=c1/√(k1m1) であり、減衰を考慮した固有振動数はωobj=√((1−ζ2)k1/m1)、減衰固有周期はTobj=2π/ωobj、となる。本発明の実施の形態の対象となる駆動部によって長手方向に対して垂直な方向に移動するはりに関しては、その外力がはり全体に加わる一様加速度の慣性力となるため、モード外力は1次モードを励起させる成分が優勢となり、他の高次モードは発生し難いと考えられる。以下では1次モードのみについて考察するが、上記の理由からこの考察は実際の対象の振動挙動とよく一致すると予測される。
数2式の運動方程式のq1は駆動部を基準とした相対変位を表しているので、駆動部が移動を完了した後の振動振幅は絶対変位も相対変位も同じものとなる。したがって、数2式の運動方程式の系が移動完了後に振動しない条件を求めればよい。数2式の右辺より、系に働く外力は加速度に比例することがわかる。左辺は1自由度振動系を表しているが、この系にその減衰固有振動数成分を少しでも含む外力が加わると、共振現象によって振動が大きく発生する。したがって、外力に減衰固有振動数成分をまったく含まないように加速度パターンを設定すれば、アーム先端の残留振動を低減することができる。この考え方を適用して数値シミュレーションを行ったところ、これまでに示したような良好な結果を得ることができた。
次に、上述した方法によって生成された加速度パターンのいくつかを例にして、それらの加速度パターンが制御対象の減衰固有振動数と同じ振動数成分をまったく含まないことを証明する。
[加速と減速のタイミングの決定方法の証明]
図9(a)に示すように、0≦t≦Taccで値をもち、それ以外の時間では零である関数をf(t)とすると、加速度a(t)は、数3式で示すものとすることができる。
図9(a)に示すように、0≦t≦Taccで値をもち、それ以外の時間では零である関数をf(t)とすると、加速度a(t)は、数3式で示すものとすることができる。
この数3式のフーリエ変換は数4式で示すものとなる。
ここで、右辺第2項のt−nTobj =t’と置いて変数変換すると、右辺第2項は数5式で示すようになる。
ここで、ω=ωobj=2π/Tobjを代入すると、数5式のeの指数部分の-jω(t’+nTobj)=-j (ωt’+2nπ)=-jωt’となり、数4式の右辺第1項の符号を変えたものと等しい。したがって数6式の関係を得る。
よって、加速度a(t)のフーリエ変換A(ω)のうち減衰固有振動数成分A(ωobj)は零となる。加速と減速の時間が重なるときも、これらの演算は線形であることから結果は同じである。
[同じパターンを複数回繰り返す方法の証明]
簡単のため、図14に示したように、繰り返すパターンの幅が(n/m)Tobjより小さい場合を考える。任意パターンを全て含む0≦t≦nTobjの時間波形を取り出すと、この中で同じパターンがm回繰り返されているので、その基本周期はnTobj/m、基本振動数は2πm/nTobj=mωobj/nとなる。この範囲内で加速度a(t)は同じパターンの繰り返しであるため、フーリエ級数展開することができ、以下の数7式となる。
簡単のため、図14に示したように、繰り返すパターンの幅が(n/m)Tobjより小さい場合を考える。任意パターンを全て含む0≦t≦nTobjの時間波形を取り出すと、この中で同じパターンがm回繰り返されているので、その基本周期はnTobj/m、基本振動数は2πm/nTobj=mωobj/nとなる。この範囲内で加速度a(t)は同じパターンの繰り返しであるため、フーリエ級数展開することができ、以下の数7式となる。
この関数のフーリエ変換は数8式となる。
ここで、ω=ωobjと置くと数9式を得る。
n,mは互いに素であるため、km-nが零になることはない。また、Tobj=2π/ωobjであるため、この積分の中身はkm-n周期の正弦関数となり、その積分は零となる。すなわち、数10式が成り立つ。
よって、加速度a(t)のフーリエ変換A(ω)のうち減衰を考慮した減衰固有振動数成分A(ωobj)は零となることが証明された。
以上、柔軟構造物の位置決め制御を行う際、基本加速度パターンを合成する方法を用いて残留振動を低減する加速度パターンの構成方法について説明した。以下、これら以外の種々の加速度パターンの例を説明する。
以上、柔軟構造物の位置決め制御を行う際、基本加速度パターンを合成する方法を用いて残留振動を低減する加速度パターンの構成方法について説明した。以下、これら以外の種々の加速度パターンの例を説明する。
[加速度パターンA]
なるべく加速時間を短くする左右対称のパターンとして、図24(a)に示すようなパターン形状の例が考えられる。このパターンによる数1式の条件を満たすパラメータの値を解析的に求めることは難しいが、例えばコンピュータを用いてパラメータを変化させながら残留振幅を繰り返し計算するか、あるいは実機を用いて加速度パターンのパラメータを変化させて実験を行うことによって容易に決定することができる。この加速度パターンを用いて、加速と減速の時間差Tint=0.5Tobjとした場合の、数値シミュレーションによる加速時間Taccに対する残留振幅の変化を図24(b)に示す。Tint<Taccの場合は加速と減速の区間が重なるが、この区間では図9(b)と同様な加速度の重ね合わせを行っている。
なるべく加速時間を短くする左右対称のパターンとして、図24(a)に示すようなパターン形状の例が考えられる。このパターンによる数1式の条件を満たすパラメータの値を解析的に求めることは難しいが、例えばコンピュータを用いてパラメータを変化させながら残留振幅を繰り返し計算するか、あるいは実機を用いて加速度パターンのパラメータを変化させて実験を行うことによって容易に決定することができる。この加速度パターンを用いて、加速と減速の時間差Tint=0.5Tobjとした場合の、数値シミュレーションによる加速時間Taccに対する残留振幅の変化を図24(b)に示す。Tint<Taccの場合は加速と減速の区間が重なるが、この区間では図9(b)と同様な加速度の重ね合わせを行っている。
この図から、加速時間Taccの最小値min(Tacc)=0.460 Tobjが求める条件であり、図12(b)で示した矩形波の最短時間Tobjよりさらに短い時間で加速を終えることができることがわかる。しかし、図12(b)からわかるように、加速時間Taccが完全に条件を満たす場合は残留振幅が零になっているが、時間差が減衰固有周期から少しでもずれた場合には、非常に大きな残留振動が発生することがわかる。また、減衰の影響があるのも同様である。このパターンはあくまで一例であり、加速度形状を検討し、複数のパラメータを導入するなどして、さらに時間を短縮することができる。
以下に、加速度パターンにパラメータを用いる方法を適用して得られたパターンを示す。
以下に、加速度パターンにパラメータを用いる方法を適用して得られたパターンを示す。
[加速度パターンB]
図25(a)に示す加速度パターンは、減衰固有周期の1/2で移動が可能となるようにしたものである。このとき加速度a(t)は以下の数11式で与えられる。
図25(a)に示す加速度パターンは、減衰固有周期の1/2で移動が可能となるようにしたものである。このとき加速度a(t)は以下の数11式で与えられる。
ここで、Aは定数であり、図25に示す例では、これまでと同様に移動距離が100になるように定めている。この場合、図25(c)に示すように、駆動部分はその時間内に初期位置と最終位置の間を1往復半することになり、移動距離が大きいと、それに伴って制御対象は大きな変形をする。なお、加速時と減速時で加速度の大きさを変え、それに応じて切り替え時刻を多少変化させることが可能である。
[加速度パターンC]
図26(a)に示す加速度パターンは、減衰固有周期の1/4で移動が可能となるようにしたものである。このとき加速度a(t)は以下の数12式で与えられる。
図26(a)に示す加速度パターンは、減衰固有周期の1/4で移動が可能となるようにしたものである。このとき加速度a(t)は以下の数12式で与えられる。
Aの値についてはパターンBと同様である。
この場合、図26(c)に示すように、駆動部分はその時間内に一端最終位置を大きく超えたのち初期位置より逆の方向に移動して、再び最終位置に戻る。これに対し、制御対象の移動は単調増加である。したがって、固有周期の1/2で移動する場合に比較して、制御対象はさらに大きな変形をすることになる。なお、この場合も、加速時と減速時で加速度の大きさを変え、それに応じて切り替え時刻を多少変化させることが可能である。
この場合、図26(c)に示すように、駆動部分はその時間内に一端最終位置を大きく超えたのち初期位置より逆の方向に移動して、再び最終位置に戻る。これに対し、制御対象の移動は単調増加である。したがって、固有周期の1/2で移動する場合に比較して、制御対象はさらに大きな変形をすることになる。なお、この場合も、加速時と減速時で加速度の大きさを変え、それに応じて切り替え時刻を多少変化させることが可能である。
[窓関数等を用いた制御]
次に、窓関数及び窓関数に基づく他の関数(以下,窓関数等と表記する)を用いた制御方法を説明する。
図27は、制御装置の構成を示すブロック図である。
図27は、他の制御装置の構成を示すブロック図である。図27において、この制御装置71は、上述した駆動部分を駆動するための駆動装置に加速度パターンの指令信号を供給して、制御対象を移動させて目標位置に位置決めするものである。この制御装置71は、例えば、記憶部として機能するメモリ72及び演算及び設定部として機能するCPU76から構成される。
次に、窓関数及び窓関数に基づく他の関数(以下,窓関数等と表記する)を用いた制御方法を説明する。
図27は、制御装置の構成を示すブロック図である。
図27は、他の制御装置の構成を示すブロック図である。図27において、この制御装置71は、上述した駆動部分を駆動するための駆動装置に加速度パターンの指令信号を供給して、制御対象を移動させて目標位置に位置決めするものである。この制御装置71は、例えば、記憶部として機能するメモリ72及び演算及び設定部として機能するCPU76から構成される。
メモリ72は、基本となる任意の加速度パターンを記憶する基本加速度パターン記憶部73と、窓関数等を記憶する窓関数等記憶部74、と予め測定された制御対象の減衰固有周期 (Tobj)を記憶する制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部75とを備えている。
CPU76は、基本加速度パターン記憶部73に記憶された基本加速度パターンと窓関数等記憶部74に記憶された窓関数等を掛け合わせる処理をする加速度パターン(基本加速度パターン×窓関数等)決定部77と、制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部75に記憶された制御対象の減衰固有周期 (Tobj)の変動幅及び窓関数等の特性を考慮して、適切な加速時間(Tacc)を決定する加速時間(Tacc)決定部78と、適切な加速時間(Tacc)となるように加速度パターン及び速度パターンを決定して設定する加速度パターン決定及び速度パターン決定部79とを備えている。
ここで、加速度パターン(基本加速度パターン×窓関数等)決定部77は、基本加速度パターン記憶部73から制御対象を位置決め制御する基本加速度パターンを決定する仮決定手段と、窓関数等記憶部74から制御対象の位置決め制御に要求される精度及び高速性に応じた窓関数等を選択する選択手段と、基本加速度パターンと窓関数等を掛け合わせる処理手段とを構成する。
また、制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部75には、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を測定する測定手段が設けられているものとする。
また、加速時間(Tacc)決定部78及び加速度パターン決定及び速度パターン決定部79は、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数の変動幅及び窓関数等の特性を考慮して、適切な加速時間を決定し、基本加速度パターンを適切な加速時間となるように加速度パターンを決定する最終決定手段を構成する。
また、加速時間(Tacc)決定部78及び加速度パターン決定及び速度パターン決定部79は、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数の変動幅及び窓関数等の特性を考慮して、適切な加速時間を決定し、基本加速度パターンを適切な加速時間となるように加速度パターンを決定する最終決定手段を構成する。
図28は、制御方法を示すフローチャートである。
図28は、他の制御方法を示すフローチャートである。図28に示す他の制御方法は、図27に示した制御装置の動作を示すものである。
図28において、まず、制御対象を位置決め制御する基本加速度パターンを決定する(ステップS41)。具体的には、図27に示した加速度パターン(基本加速度パターン×窓関数等)決定部77は、基本加速度パターン記憶部73から制御対象を位置決め制御する基本加速度パターンを決定する。次に、制御対象の位置決め制御に要求される精度及び高速性に応じた窓関数等を選択する(ステップS42)。具体的には、図27に示した加速度パターン(基本加速度パターン×窓関数等)決定部77は、窓関数等記憶部74から制御対象の位置決め制御に要求される精度及び高速性に応じた窓関数等を選択する。
図28は、他の制御方法を示すフローチャートである。図28に示す他の制御方法は、図27に示した制御装置の動作を示すものである。
図28において、まず、制御対象を位置決め制御する基本加速度パターンを決定する(ステップS41)。具体的には、図27に示した加速度パターン(基本加速度パターン×窓関数等)決定部77は、基本加速度パターン記憶部73から制御対象を位置決め制御する基本加速度パターンを決定する。次に、制御対象の位置決め制御に要求される精度及び高速性に応じた窓関数等を選択する(ステップS42)。具体的には、図27に示した加速度パターン(基本加速度パターン×窓関数等)決定部77は、窓関数等記憶部74から制御対象の位置決め制御に要求される精度及び高速性に応じた窓関数等を選択する。
そして、基本加速度パターンと窓関数等を掛け合わせる処理を行う(ステップS43)。具体的には、図27に示した加速度パターン(基本加速度パターン×窓関数等)決定部77は、基本加速度パターンと窓関数等を掛け合わせる処理を行う。測定手段により制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期(Tobj)を測定する(ステップS44)。具体的には、図27に示した制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部75に、測定手段により測定された制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を記憶する(ステップS45)。
図27に示した制御対象減衰固有周期 (Tobj)記憶部75に記憶された制御対象の減衰固有周期(Tobj)を加速時間(Tacc)決定部78が読み出して、制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数の変動幅及び窓関数等の特性を考慮して、適切な加速時間を決定し、加速度パターン決定及び速度パターン決定部79が基本加速度パターンを適切な加速時間となるように加速度パターンを決定する(ステップS46)。
図29は、加速及び減速のパターン形状決定法(3)を示す図である。
図29に示すように、加速及び減速時におけるそれぞれの基本加速度パターンに信号処理を用いて窓関数を掛け合わせることにより、加速及び減速のパターン形状を決定する。
図29に示すように、加速及び減速時におけるそれぞれの基本加速度パターンに信号処理を用いて窓関数を掛け合わせることにより、加速及び減速のパターン形状を決定する。
図30は、加減速全体で加速度パターンを構成する方法(3)を示す図である。
図30に示すように加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、任意の基本加速度パターンに窓関数を時間に関して微分した関数を掛けたものを用いることにより、加減速全体のパターン形状を決定する。
図30に示すように加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、任意の基本加速度パターンに窓関数を時間に関して微分した関数を掛けたものを用いることにより、加減速全体のパターン形状を決定する。
また、加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、加減速を含む任意の基本加速度パターンに窓関数を掛けたものを用いることにより、加減速全体のパターン形状を決定する。
また、加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、窓関数から類推される定義域内で符号の変化する関数をパラメータを含む形で定義し、そのフーリエ変換の高次周波数成分が小さくなるパラメータを求め、パラメータを含む関数を基本加速度パターンに掛けたものを用いることにより、加減速全体のパターン形状を決定する。
さらに、窓関数等を用いた加速度パターン決定する方法と、上述した実施の形態で説明したその他の加速度パターン決定する方法を併用することにより、加速及び減速のパターン形状、加減速全体のパターン形状を決定する。
以下に,具体的実施例として窓関数等による方法の効果を示す数値シミュレーションによる計算結果を示す。
前述した実施の形態で説明した加速度パターン構成法のほかに、信号処理で用いられる窓関数、およびそれから派生する関数を適用し、ロバスト性が高く多自由度系の高次の自由振動成分のうち特定の振動数以外のものをすべて抑制することが可能な加速度パターン構成法について以下に、概要を説明する。
前述した実施の形態で説明した加速度パターン構成法のほかに、信号処理で用いられる窓関数、およびそれから派生する関数を適用し、ロバスト性が高く多自由度系の高次の自由振動成分のうち特定の振動数以外のものをすべて抑制することが可能な加速度パターン構成法について以下に、概要を説明する。
[窓関数を用いた制御法の概要]
[窓関数の性質]
実験で得られた音声などの有限な時刻歴波形の周波数特性を高速フーリエ変換(FFT) によって調べる際、有限な波形データをその繰り返しとして変換することによりリーケージ(周波数の漏れ) と呼ばれる現象が発生することがある。窓関数とは、リーケージを低減するために使用される時間に関する重み関数であり、波形データの両端の大きさを零に近づけることによって繰り返し波形のつなぎ目の不連続性を緩和するものである。
[窓関数の性質]
実験で得られた音声などの有限な時刻歴波形の周波数特性を高速フーリエ変換(FFT) によって調べる際、有限な波形データをその繰り返しとして変換することによりリーケージ(周波数の漏れ) と呼ばれる現象が発生することがある。窓関数とは、リーケージを低減するために使用される時間に関する重み関数であり、波形データの両端の大きさを零に近づけることによって繰り返し波形のつなぎ目の不連続性を緩和するものである。
窓関数には、その目的に応じてさまざまな種類があるが、基本的には、図31に示す窓関数の例(Blackman 窓関数)の図31 (a) に示すような形状をしており、その周波数特性は図31 (b) のようである。この例はBlackman 窓関数であり、その定義は数13式となる。
図31 (b) の横軸の正規化周波数は,窓関数の幅T を一周期とする正弦波の周波数をω0とし、これを正規化の基準にした周波数である。図31 (b) において,影つきで示した部分をメインローブ、それ以外の部分をサイドローブと呼ぶ。多くの窓関数は、メインローブの幅を狭く、サイドローブの高さを低くするよう設計されており、高い周波数成分ができるだけ含まないような性質を持っている。
図32 (a-1) に示すある時刻歴波形に窓関数を掛けると、その周波数特性は元の時刻歴波形の周波数特性と窓関数の周波数特性の周波数軸上での畳み込み積分となり、図32 (b-1)のように窓関数の周波数特性が元の信号波形に含まれる成分の周波数を中心として対称となるように現れる(図32の窓関数の性質)。したがって、図32(a-2)に示す窓関数を掛けた図32 (a-3) に示す信号波形は、図32(b-1) に示す元の信号波形に含まれる成分の周波数近傍の成分(メインローブに相当する)は大きいが、それ以外の成分(サイドローブに相当する)は小さいという特徴を持つ(図32 (b-3))。そのため窓関数を用いることによって、ある特定の周波数以外の成分をほとんど含まない有限時間幅の関数を作ることができる。なお、定数に窓関数を掛けた場合の周波数特性は窓関数の周波数特性そのものとなり、ある周波数以上の成分がすべて小さいという特性を持つ(図2 (b-2) に相当する)。
[窓関数を位置決め制御に適用する利点]
前述の実施の形態で、加速度パターンが制御対象の減衰固有振動数をもつ成分を含まないことが残留振動を発生させない条件であると述べた。本実施の形態の窓関数の性質で述べたように、何らかの関数と窓関数との積は、特定の周波数以外の成分を小さくすることができるため、これを適切に加速度パターンに採用すると、多自由度系のすべての高次振動数成分を抑制することができる。
前述の実施の形態で、加速度パターンが制御対象の減衰固有振動数をもつ成分を含まないことが残留振動を発生させない条件であると述べた。本実施の形態の窓関数の性質で述べたように、何らかの関数と窓関数との積は、特定の周波数以外の成分を小さくすることができるため、これを適切に加速度パターンに採用すると、多自由度系のすべての高次振動数成分を抑制することができる。
窓関数を掛ける関数のうち最も簡単なものは定数関数である。前述のように、定数関数と窓関数の積の周波数特性は窓関数そのものの周波数特性となり、ある周波数以上の成分がすべて小さいという特性を持つ。したがって、得られる関数を加速度パターンとして採用した場合、ある周波数以上のすべての高次振動数成分を抑制できることがわかる。抑制効果のある周波数の下限は窓関数のメインローブの幅に対応し、抑制される残留振動の大きさはサイドローブの高さに対応するが、メインローブの幅とサイドローブの高さはトレードオフの関係にあり、窓関数の種類によりさまざまである。しかし、これまで提案されている窓関数は非常に多くの種類があるため、その中から要求する特性を満たすものを選択することができる。また、窓関数を用いる方法と、前述の実施の形態で提案した手法を併用することにより、高次の残留振動は窓関数による手法により抑制し、低次の残留振動は前述の実施の形態の手法によって抑制することで、より高速な位置決め制御を実現することができる。
なお、一般の窓関数はその定義域にわたって正の値をとるため、定数もしくは符号の変化のない関数に窓関数を掛けた場合、加速と減速を含めたパターンが作成できない。したがって、得られる加速度パターンは加速時および減速時それぞれ別に用いることになる。しかし、定義域内で符号の変化する関数に窓関数を掛ける、もしくは符号の変化のない関数に窓関数の時間に対する微分を掛けることによって、加速と減速を含むパターンを作ることができ、これを用いて加減速全体を構成する加速度パターンを容易に得ることができる。このほか、窓関数の定義式から類推される定義域内で符号の変化する関数をパラメータを含む形で定義し、高次周波数成分が小さくなるようなパラメータを求めて、加減速を含む任意の加速度パターンの形状を定めることも可能である。
[数値計算例]
[加速と減速それぞれのパターンに窓関数を掛けた場合]
加速と減速それぞれのパターンに窓関数を掛けたときの例として、定数関数f (t) = a0 と窓関数の積を用いた場合の残留振動の変化を、前述の実施の形態と同様な一自由度系の数値シミュレーションによって調べた。図33 (a) に加速度パターン、図33 (b) に制御対象および駆動部の変位の例を示す。図の横軸は制御対象の固有周期Tobj で正規化した時間を表す。この例では、加速度パターンをBlackman 窓関数と定数の積とし、窓関数の時間幅T を加速時間Tacc に一致させている。前述の実施の形態の加減速タイミング決定法の条件が満たされる場合(加速と減速の開始時刻の時間差Tint= nTobj (n = 1, 2, ・ ・ ・))には、残留振幅は常に零になり、窓関数の効果を検討できない。したがって、この条件が満たされない場合として、Tint= 0.5Tobj の条件を選んだ。図33 (a) において、実線が与えた加速度パターンであるが、この例では窓関数の幅すなわち加速時間Tacc= 3Tobj となっており、時間差Tint (= 0.5Tobj) より長く、加速区間と減速区間が重なっている。そのため、重複する範囲(0.5 ≦ t/Tobj ≦ 3) の加速度は加速および減速パターン(図33 (a) 中の破線)の代数和となっている。図33 (b) において実線が制御対象、破線が駆動部の変位を表しており、停止後に残留振動が発生していないことがわかる。なお、前述の実施の形態と同様に、移動距離が100 となるように定数の大きさa0 を決定している。
[加速と減速それぞれのパターンに窓関数を掛けた場合]
加速と減速それぞれのパターンに窓関数を掛けたときの例として、定数関数f (t) = a0 と窓関数の積を用いた場合の残留振動の変化を、前述の実施の形態と同様な一自由度系の数値シミュレーションによって調べた。図33 (a) に加速度パターン、図33 (b) に制御対象および駆動部の変位の例を示す。図の横軸は制御対象の固有周期Tobj で正規化した時間を表す。この例では、加速度パターンをBlackman 窓関数と定数の積とし、窓関数の時間幅T を加速時間Tacc に一致させている。前述の実施の形態の加減速タイミング決定法の条件が満たされる場合(加速と減速の開始時刻の時間差Tint= nTobj (n = 1, 2, ・ ・ ・))には、残留振幅は常に零になり、窓関数の効果を検討できない。したがって、この条件が満たされない場合として、Tint= 0.5Tobj の条件を選んだ。図33 (a) において、実線が与えた加速度パターンであるが、この例では窓関数の幅すなわち加速時間Tacc= 3Tobj となっており、時間差Tint (= 0.5Tobj) より長く、加速区間と減速区間が重なっている。そのため、重複する範囲(0.5 ≦ t/Tobj ≦ 3) の加速度は加速および減速パターン(図33 (a) 中の破線)の代数和となっている。図33 (b) において実線が制御対象、破線が駆動部の変位を表しており、停止後に残留振動が発生していないことがわかる。なお、前述の実施の形態と同様に、移動距離が100 となるように定数の大きさa0 を決定している。
図34 (a), (b) に加速時間Tacc に対する残留振幅の変化を示す。図34(a) は前述の実施の形態と同程度のスケールで描いたもの、図34(b) は縦軸方向を拡大したものである。Tacc を増加させたとき、残留振幅が初めて極小になる値をTacc0とすると、Tacc0/Tobj = 3 (図34 (a), (b) 中に矢印で示す)であり、Tacc> Tacc0 (= 3Tobj) の範囲では,残留振幅は移動距離100 に対して高々0.16 程度という微小な範囲内に収まることが分かる。この値は、前述の実施の形態までに示したすべての加速度パターンの場合と比べて極端に小さい。減衰がある場合(減衰比ζ ≠ 0)にも同様な結果であり、非常に優れた加速度パターンであるといえる。以下では,Tacc0 を加速時間の下限と呼ぶことにする。
以上の結果から次の効果が期待できることになる。
第1に、 制御対象が1 自由度系の場合、加速時間をその下限Tacc0より大きくする,すなわちTacc > Tacc0 とすると、制御対象の減衰固有周期Tobj がその0〜Tacc/Tacc0倍の範囲で大きく変動しても、残留振幅はある微小な範囲内に抑えられる。すなわち、高いロバスト性が実現可能である。
第1に、 制御対象が1 自由度系の場合、加速時間をその下限Tacc0より大きくする,すなわちTacc > Tacc0 とすると、制御対象の減衰固有周期Tobj がその0〜Tacc/Tacc0倍の範囲で大きく変動しても、残留振幅はある微小な範囲内に抑えられる。すなわち、高いロバスト性が実現可能である。
この理由を以下に説明する。変化した制御対象の減衰固有周期をT’objで表す。これに対応する系の加速時間の下限T’acc0 は、加速時間の下限が制御対象の減衰固有周期に比例することから数14式となる。
ここで,設定した加速時間Tacc が残留振幅が微小となる条件を満たすには、数15式の関係である必要があるが、上の2 式から、数16式の関係となることがわかる.
これをT’obj について解くと、数17式の関係となり、T’objが条件を満たすには上式が成立する必要がある。よって、T’objがTobj のTacc/Tacc0倍以下であれば、残留振動を微小に抑えられる。したがって、Taccを適切に決定することによって、制御対象の変動に対する分布に対応するいわゆるロバスト性を極めて高くすることができる。
第2に、制御対象が多自由度系の場合、最低次の減衰固有周期のみを考慮して加速時間を決定すると、それより高次の自由振動をある微小な範囲内に抑えることができる。
この理由を以下に説明する。多自由度系をモード解析し、独立な一自由度系の重ねあわせと考える。このうち最低次のモードに対する減衰固有周期をTobj 1 とすると、そのほかのモードの減衰固有周期Tobj n (n = 2, 3, ・ ・ ・) は数18式の関係となる。
ここで、Tobjm に対する加速時間の下限をTacc0m(m = 1, 2, ・ ・ ・) とすると、Tacc0m はTobjm に比例するため、数19式の関係となり、Tacc> Tacc0 1 の条件が成立していれば、必ず次の数20式の関係が成り立つ。
したがって、すべての振動モードに対して設定した加速時間Taccがその下限Tacc m (m =1, 2, ・ ・ ・) より大きいことになり、第2の効果が成立する。
つぎに、窓関数の種類による残留振動低減効果の違いを図35 (a) に示す。ここで用いている窓関数は、前述のBlackman 窓関数を含めた以下の数21式、数22式、数23式に示すものである。
いずれも窓関数の幅T = 加速時間Tacc としており、減衰比ζ = 0 の場合を示している。これらの3つの窓関数を用いた位置決め制御時の残留振動を比較すると、Hamming 窓関
数、Blackman 窓関数、Blackman-Harris 窓関数の順に残留振幅が小さくなる。また、前述のBlackman 窓関数では、加速時間の下限Tacc0 = 3Tobj であるのに対し、Hamming 窓関数、Blackman-Harris 窓関数では、それぞれTacc0 = 2Tobj, 4Tobj となっている。これらは、それぞれの窓関数の周波数特性におけるメインローブの幅に対応しており、メインローブが広くなるHamming 窓関数、Blackman 窓関数、Blackman-Harris 窓関数の順で高速性が損なわれていることを示している。各窓関数の残留振動抑制効果をより詳しく比較するため、残留振幅を対数表示した図を図35(b) に示す。この図より、それぞれの窓関数の加速時間の下限Tacc0 より大きい加速時間Tacc では、移動距離100 に対する残留振幅の大きさが、Hamming 窓関数では100 (= 1) のオーダー、Blackman 窓関数では10-1〜10-2 のオーダー、Blackman-Harris 窓関数では10-3 のオーダーに収まっていることが分かる。ただし、Blackman-Harris 窓関数の定義式を見るとわかるように、残留振幅を10-3のオーダーまで小さくするためには定義式中の係数の有効桁が多くなり、高精度な加速度パターンを与える必要がある。
数、Blackman 窓関数、Blackman-Harris 窓関数の順に残留振幅が小さくなる。また、前述のBlackman 窓関数では、加速時間の下限Tacc0 = 3Tobj であるのに対し、Hamming 窓関数、Blackman-Harris 窓関数では、それぞれTacc0 = 2Tobj, 4Tobj となっている。これらは、それぞれの窓関数の周波数特性におけるメインローブの幅に対応しており、メインローブが広くなるHamming 窓関数、Blackman 窓関数、Blackman-Harris 窓関数の順で高速性が損なわれていることを示している。各窓関数の残留振動抑制効果をより詳しく比較するため、残留振幅を対数表示した図を図35(b) に示す。この図より、それぞれの窓関数の加速時間の下限Tacc0 より大きい加速時間Tacc では、移動距離100 に対する残留振幅の大きさが、Hamming 窓関数では100 (= 1) のオーダー、Blackman 窓関数では10-1〜10-2 のオーダー、Blackman-Harris 窓関数では10-3 のオーダーに収まっていることが分かる。ただし、Blackman-Harris 窓関数の定義式を見るとわかるように、残留振幅を10-3のオーダーまで小さくするためには定義式中の係数の有効桁が多くなり、高精度な加速度パターンを与える必要がある。
なお、上述の例では、余弦関数の重ねあわせで与えられる比較的簡単な窓関数を用いたが、この他にも、Kaiser-Bessel 窓関数、Dolph-Chebyshef 窓関数などを用いることができる。この二つの窓関数は、定義式中のパラメータを変えることによってサイドローブの高さを変えることができる。サイドローブの高さを低くするとその分メインローブが広くなるが、窓関数のパラメータを変えることによって、残留振幅の低下と移動の高速性を任意に調整することができる。
このように、高速性と残留振動抑制効果のどちらを優先するかにより、選択する窓関数の種類を変えて対処することができる。
このように、高速性と残留振動抑制効果のどちらを優先するかにより、選択する窓関数の種類を変えて対処することができる。
[加減速全体のパターンに窓関数の微分を適用した場合]
つぎに、加減速全体のパターンを構成する例として、定数関数にBlackman 窓関数を時間に対して微分した関数を掛けた場合の加速度パターンと変位を図36 (a), (b) に示す。さらに、Blackman 窓関数、及び、Blackman-Harris 窓関数の微分を定数関数に掛けた関数を加速度パターンとして採用した場合の残留振幅の移動時間Tmovに対する変化を図37 (a), (b)に示す。図37 の(a) は縦軸をリニア表示、図37 の(b) は対数表示したものである。この場合にも前述の実施の形態と同様な結果が得られており、これらの関数が有用であることが分かる。なお、Hamming窓関数はその両端で不連続点をもち、その点において微分が不可能であるため同様な結果を示すことができなかった。
つぎに、加減速全体のパターンを構成する例として、定数関数にBlackman 窓関数を時間に対して微分した関数を掛けた場合の加速度パターンと変位を図36 (a), (b) に示す。さらに、Blackman 窓関数、及び、Blackman-Harris 窓関数の微分を定数関数に掛けた関数を加速度パターンとして採用した場合の残留振幅の移動時間Tmovに対する変化を図37 (a), (b)に示す。図37 の(a) は縦軸をリニア表示、図37 の(b) は対数表示したものである。この場合にも前述の実施の形態と同様な結果が得られており、これらの関数が有用であることが分かる。なお、Hamming窓関数はその両端で不連続点をもち、その点において微分が不可能であるため同様な結果を示すことができなかった。
この他、加減速全体のパターンを構成する方法として、窓関数に中央で符号が逆転し対称となる関数を掛けたものを用いる方法(例えば、Hamming 窓関数と正弦関数の積、すなわち、a(t) = a0{0.54 − 0.46 cos(2πt/Tacc)} sin(2πt/Tacc) など)があるが、上記と同様な結果となるので省略する。
その他の方法として、何らかのパラメータを含み、窓関数から類推される定義域内で符号の変化する関数で加減速全体のパターンを表し、周波数の高い成分が小さくなるようにパラメータを求める方法(例えば,Blackman-Harris 窓関数からの類推より、a(t) =a1 sin(2πt/Tacc) + a2 sin(4πt/Tacc) + a3 sin(6πt/Tacc) とし、望む周波数特性となるように係数an を決定するなど)もある。
[前述の実施の形態の方法との併用による高速性の向上]
以上、窓関数等を用いて、ロバスト性が高く多自由度系に有効に適用可能な加速度パターンの構成法について述べてきたが、いずれの場合も最低次の固有周期Tobj1 の数倍以上の加速時間Tacc もしくは移動時間Tmov が必要となり、それほどの高速性は認められない。しかし、前述の実施の形態の方法との併用によって高速性とロバスト性の両方に対して優れたパターンを構築することが可能である。
以上、窓関数等を用いて、ロバスト性が高く多自由度系に有効に適用可能な加速度パターンの構成法について述べてきたが、いずれの場合も最低次の固有周期Tobj1 の数倍以上の加速時間Tacc もしくは移動時間Tmov が必要となり、それほどの高速性は認められない。しかし、前述の実施の形態の方法との併用によって高速性とロバスト性の両方に対して優れたパターンを構築することが可能である。
その方法とは、高次振動成分には窓関数等を用いた方法を適用し、低次振動成分には前述の実施の形態の方法を用いることである。例えば、2次固有周期Tobj2 に対して、Tacc0 2 < Tacc となる窓関数等を加速度のパターンとして用い、加速と減速の時刻差Tint= Tobj1 とすれば、2次以上の成分と、1次の成分が同時に抑えられ、1次と2次の固有周期の差が十分大きければ、Tacc0 1 < Tacc とするより高速に位置決めすることができる。さらに、繰り返し法も併用することで1次振動モードに対してロバスト性を向上させることもできる。
また、加減速を全体のパターンを構成する方法ではタイミング決定法は適用できないが、Tacc0 2 < Tmov とし、1次固有振動については多重繰り返し法を用いれば、同様に高速位置決め制御を実現することができる。なお、多重繰り返し法は複数の振動数に対して適用できるため、適当な次数n (n ≧ 2)を決め、n次の固有振動については窓関数等を適用して、nより小さい次数の振動については多重繰り返し法を適用するという方法を用いてもよい。
上述した窓関数等を用いた制振位置決め制御法により,多自由度系への適用及びロバスト性の向上を図ることができる。
上述した窓関数等を用いた制振位置決め制御法により,多自由度系への適用及びロバスト性の向上を図ることができる。
1,1’…ロボットアーム、2,2’…弾性アーム、3,3’…質量、11,11’…台車、12,12’…質量、13,13’…バネ、14,14’…ダンパー、15,15’…バネ・質量系、21…制御装置、22…メモリ、23…制御対象固有角振動数(ωobj)記憶部、24…任意の加速度パターンを記憶する加速度パターン記憶部、25…加速度パターンのパラメータを記憶するパラメータ記憶部、26…CPU、27…加速度パターン(a(t))フーリエ変換A(ω)部、28…A(ωobj)=0パラメータ数値算出部、29…加速度パターン決定及び速度パターン決定部
Claims (21)
- 少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を測定するステップと、
上記制御対象を位置決め制御する任意の加速度パターンを仮決定するステップと、
上記加速度パターンをフーリエ変換するステップと、
上記フーリエ変換された加速度パターンのうち、上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に対応する成分が零となるように上記加速度パターンのパラメータを算出して上記加速度パターンを決定するステップと
を備えたことを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項1に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記加速度パターンのパラメータは、任意の加速度パターンで加速し、加速開始時から固有周期の整数倍の時間を経た後に、上記加速度パターンと同じパターンで減速する加速と減速とのタイミングであることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項1に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記加速度パターンのパラメータは、加速及び減速時におけるそれぞれの加速度パターンの一部を可変として決定される加速及び減速時のパターン形状を決定するパラメータであることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項1に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記加速度パターンのパラメータは、加速及び減速全体における加速度パターンの一部を可変として決定される加速及び減速全体のパターン形状を決定するパラメータであることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期を測定するステップと、
上記制御対象を位置決め制御する任意の基本加速度パターンを定めるステップと、
上記基本加速度パターンの上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期に対応する遅延時間を設定するステップと、
上記基本加速度パターンの上記遅延時間に対応する繰り返し回数を設定して加速度パターンを決定するステップと
を備えたことを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項5に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記加速度パターンの上記遅延時間は、上記制御対象の減衰固有周期に関連して決定される加速及び減速時の基本加速度パターンをそれぞれ複数回繰り返す際の繰り返し周期であることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項5に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記加速度パターンの上記遅延時間は、上記制御対象の減衰固有周期に関連して決定される加速及び減速全体の基本加速度パターンを複数回繰り返す際の繰り返し周期であることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項2〜4、6、7に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
決定された上記各加速度パターンをそれぞれ一つの基本加速度パターンとして扱うことにより、複数の位置決め制御方法を任意の回数併用することを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項2〜4、6、7のいずれかに記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記各加速度パターンのうちのいずれかを併用する際に、一方は上記制御対象の減衰固有周期より微小時間だけ短い時間に基づいて設定し、他方は上記制御対象の減衰固有周期より微小時間だけ長い時間に基づいて設定することを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項2〜4、6、7のいずれかに記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記各加速度パターンのうちのいずれかを併用する際に、上記制御対象が多自由度を有する場合に、一方は上記制御対象の一減衰固有周期に基づいて設定し、他方は上記制御対象の他減衰固有周期に基づいて設定することを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御装置において、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を予め測定して記憶する記憶手段と、
上記制御対象を位置決め制御する任意の加速度パターン及びパラメータを記憶する記憶手段と、
上記加速度パターンをフーリエ変換する変換手段と、
上記フーリエ変換された加速度パターンのうち、上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数に対応する成分が零となるように上記加速度パターンのパラメータを算出して上記加速度パターンを決定する決定手段と
を備えたことを特徴とする駆動装置の位置決め制御装置。 - 少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御装置において、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期を測定して記憶する記憶手段と、
上記制御対象を位置決め制御する任意の基本加速度パターン、上記基本加速度パターンの遅延時間及び上記基本加速度パターンの上記遅延時間に対応する繰り返し回数を記憶する記憶手段と、
上記基本加速度パターンの上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期に対応する遅延時間及び上記基本加速度パターンの上記遅延時間に対応する繰り返し回数を設定する設定手段と、
設定された上記遅延時間及び上記繰り返し回数による加速度パターンを決定する決定手段と
を備えたことを特徴とする駆動装置の位置決め制御装置。 - 少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御装置において、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期を測定して記憶する記憶手段と、
上記制御対象を位置決め制御する任意の基本加速度パターン、上記基本加速度パターンの遅延時間及びその符号を記憶する記憶手段と、
上記基本加速度パターンの上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有周期の整数倍の遅延時間及び加速度の符号を設定する設定手段と、
設定された上記遅延時間及び符号により加速度パターンを合成し決定する決定手段と
を備えたことを特徴とする駆動装置の位置決め制御装置。 - 請求項11〜13のいずれかに記載の駆動装置の位置決め制御装置において、
上記制御対象の減衰固有周期あるいは角振動数を測定し、仮決定して記憶する記憶手段と、
上記減衰固有周期に基づいて加速度パターンを仮決定する仮決定手段と、
上記加速度パターンを試行し、上記制御対象に発生する残留振動を計測する計測手段と、
上記仮決定した減衰固有周期を微小に変化させ加速度パターンの再決定を行い、再試行して残留振動を計測し、その大きさを評価する評価手段と、
上記試行を繰り返して残留振動が最小となる減衰固有周期を決定し、それに基づいた加速度パターンを決定する最終決定手段と
を備えたことを特徴とする駆動装置の位置決め制御装置。 - 少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記制御対象を位置決め制御する基本加速度パターンを決定するステップと、
上記制御対象の位置決め制御に要求される精度及び高速性に応じた窓関数及び窓関数に基づく他の関数を選択するステップと、
上記基本加速度パターンと上記窓関数及び窓関数に基づく他の関数を掛け合わせるステップと、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を測定するステップと、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数の変動幅及び上記窓関数及び窓関数に基づく他の関数の特性を考慮して、適切な加速時間を決定し、上記基本加速度パターンを上記適切な加速時間となるように加速度パターンを決定するステップと
を備えたことを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項15に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
加速及び減速時におけるそれぞれの上記基本加速度パターンに上記窓関数を掛け合わせることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項15に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、任意の上記基本加速度パターンに窓関数を時間に関して微分した関数を掛けたものを用いることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項15に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、加減速を含む任意の上記基本加速度パターンに窓関数を掛けたものを用いることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項15に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
加速及び減速全体における加速度パターンの形状として、上記窓関数から類推される定義域内で符号の変化する関数をパラメータを含む形で定義し、そのフーリエ変換の高次周波数成分が小さくなるパラメータを求め、上記パラメータを含む関数を上記基本加速度パターンに掛けたものを用いることを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 請求項9、15、16、17、18、19に記載の駆動装置の位置決め制御方法において、
上記窓関数及び窓関数に基づく他の関数を用いた加速度パターン決定する方法と、その他の加速度パターン決定する方法を併用することを特徴とする駆動装置の位置決め制御方法。 - 少なくとも質量及び柔軟な構造もしくは液体容器を有する制御対象を駆動装置により移動する際の駆動装置の位置決め制御装置において、
上記制御対象を位置決め制御する基本加速度パターンを決定する仮決定手段と、
上記制御対象の位置決め制御に要求される精度及び高速性に応じた窓関数及びそれに類似する関数を選択する選択手段と、
上記基本加速度パターンと上記窓関数及び窓関数に基づく他の関数を掛け合わせる処理手段と、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数を測定する測定手段と、
上記制御対象の減衰を考慮した減衰固有角振動数の変動幅及び上記窓関数及び窓関数に基づく他の関数の特性を考慮して、適切な加速時間を決定し、上記基本加速度パターンを上記適切な加速時間となるように加速度パターンを決定する最終決定手段と
を備えたことを特徴とする駆動装置の位置決め制御装置。
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- 2005-02-03 JP JP2005028047A patent/JP2005339503A/ja active Pending
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