JP7142359B2 - 可動部制御装置、可動部制御方法及びプログラム - Google Patents

可動部制御装置、可動部制御方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、搬送装置の可動部の動作を制御する可動部制御装置、可動部制御方法及びプログラムに関する。
(1)搬送装置の可動部(スライダヘッド、ロボットのマニピュレータ等)が位置決めされる際には、可動部の加減速に伴って可動部(広義の可動部)を構成する機械系の柔軟モードが励起されてしまうため、可動部の主たる部分が目標の位置(終端位置)まで到着したとしても、可動部の柔軟部分に残留振動が生じることが知られている。この残留振動は、可動部の整定時間を長引かせる一因となっている。整定時間が長引くことは、搬送装置のタクトタイムの短縮を阻害することにも繋がる。
例えば搬送対象物(ワーク)のピックアップを想定する。可動部の本体が目標の位置に到着したとしても、可動部に装着されているチャック部分の残留振動が生じ整定時間が長引くと、その間、当該チャックはワークのピックアップを開始することができない。また例えば、画像取り込みによるワーク検査を想定すると、上記と同様に残留振動が生じ整定時間が長引くと、その間、チャックが把持しているワークの画像取り込み(例えばカメラによるワークの画像キャプチャ)を開始することができない。このように、残留振動は搬送装置のタクトタイムの短縮を阻害することに繋がっている。
上記した例では、所望の終端位置まで移動した後に生じる残留振動について述べたが、これに限らず、ある状態から加速又は減速して所望の終端速度まで到達した後に生じる残留振動についても同様に課題となっている。いずれにしても、上記した残留振動を抑制することは産業界における重要な検討課題となっている。
(2)残留振動を抑制できる可動部制御装置を提供するため、従来より種々の取り組みがなされてきた。制御アルゴリズムの観点からは、本件発明の発明者らにより周波数整形法(SST:Spectrum Shaping Technique。周波数整形の手法。以下、単に「従来のSST法」ということがある)が提案され、シミュレーション及び実験によりその有用性が示されてきた(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
(3)搬送装置の可動部
ここでまず、制御対象である搬送装置の可動部について説明する。搬送装置の可動部は、実際には様々な態様を採りうるものであるが、可動部の制御を検討するにあたり、ここでは搬送装置の可動部を単純化しモデル化した上で以降の議論を進めるものとする。
図10は、搬送装置100及び搬送装置100の可動部110を説明するために示す模式図である。図10(a)は平面図であり、図10(b)は正面図である。ここでは1軸(1自由度)の直動位置決め機構を一例として採り上げて説明を続ける。
搬送装置100は、図10(a)及び図10(b)に示すように、可動部110を備えている。可動部110は、例えばスライダヘッド110aで構成することができる。
また、搬送装置100は、基台120上に配置されたサーボモータ42、ボールねじ43、ガイドレール45等を有している。サーボモータ42のシャフト(符号なし)にはボールねじ43が接続され、このボールねじ43にはナット46が係合されている。また、ナット46には可動部110(スライダヘッド110a)が固定されている。この可動部110は、サーボモータ42が回転することにより、ボールねじ43及びナット46を介して1軸方向(ガイドレール45が延伸する方向)に沿って水平移動するようになっている。
可動部110の上面には、一端がポスト112を介して可動部110に固定支持された柔軟梁113と、当該柔軟梁113の他端に取り付けられた錘114とが配置されている《図10(a)及び図10(b)参照》。可動部110がサーボモータ42によって起動/制動されると、これに伴って錘114が振動するようになっている。
なお、本明細書における「可動部の柔軟部分FP」とは、このモデルで言うならば柔軟梁113及び錘114からなる梁-錘系を指すものとする。
(4)可動部のモデル及び系の運動方程式
(4-1)
図10(c)は、1自由度による可動部110のモデルを模式的に表した図である。上記した直動位置決め機構による可動部110及び可動部の柔軟部分FP(梁-錘系)は、図10(c)に示すようなモデルとして表現することができる。なお、図において、M1は可動部110の質量、M2は錘114の質量、kは柔軟梁113の等価弾性係数(ばね定数)、 は可動部110の位置、 は可動部110に対する錘114の変位である梁-錘系変位、Fは可動部110を駆動するための可動部駆動力、をそれぞれ示す。なお、「x 」、「x 」は、それぞれ、「x (t)」、「x (t)」を省略して表したものである。
図10(c)に示したモデルに関する運動方程式は次のようになる。式(23)は可動部の運動方程式であり、式(24)は錘の運動方程式である。なお、式(23)、(24)におけるm1,m2,fにおけるM1,M2,Fにそれぞれ対応している(以降の式においても同様。)なお、式(23)の「f」は駆動力を示す。
Figure 0007142359000001

錘の運動方程式(24)を整理すると、
Figure 0007142359000002
と書けることから、梁-錘系の振動は, 可動部110の加速度( )で励起される固有角振動数ω (固有振動数 )の強制振動であることがわかる。
従来のSST法及び本発明は、この点に着目して可動部110の加速度軌道の設計に工夫を凝らすことにより梁-錘系の振動を抑制することを検討したものである。
(4-2)
また、梁-錘系の残留振動の抑制を検討するにあたり、本明細書の全体を通じ制約条件及び境界条件(終端条件)を次のように定めるものとする。
可動部110の加速度に関する制約を、次式(26)とする(a max :最大加速度)。
Figure 0007142359000003
可動部110の速度に関する制約を、次式(27)とする(v max :最大速度)。
Figure 0007142359000004
可動部110の終端速度を指定する場合は、終端時刻をT(具体的な値として図ではTTと表示している)として、境界条件を、
’(0)=0,x ’(T)=v ・・・(28)’
(終端条件は、 ’(T)=v
とする。
ここで、以下の実施形態では、終端時刻Tの具体的な値としてTTを用いていることから、終端時刻TTを用いて書き直すと、境界条件は、
Figure 0007142359000005
(終端条件は、x ’(TT)=v
となる。
その上で、梁-錘系変位 (t)(残留振動)を抑制し、かつ、TTが小さくなるような制振加速度軌道{ ”(t)、0≦t<TT}を検討するものとする。
可動部110の終端位置を指定する場合は、同様に、終端時刻をT(具体的な値として図ではTTと表示している)として、境界条件を、
(0)=0,x ’(0)=0,x (T)=x ,x ’(T)=0・・(29)’
とする。
ここで、以下の実施形態では、終端時刻Tの具体的な値としてTTを用いていることから、終端速度を指定する場合と同様に、終端時刻TTを用いて書き直すと、境界条件は、
Figure 0007142359000006
(終端条件は、x (TT)=x 、x ’(TT)=0)
となる。
そして、同様に加速度軌道を検討するものとする。
また、便宜上、本明細書の全体を通じてパラメータの値を統一し、「数値例」として、終端速度 を0.332[m/s]と設定(指定)し、終端位置 を10[mm]と設定(指定)する。また、可動部の柔軟部分FP(梁-錘系)の固有振動数 1v を78.3Hzω 2πf 1v =156.6π[rad/s])とし、可動部110に対して印加可能な最大の加速度である最大加速度amaxを10[m/s2]とする(なお、一般的な意味の固有振動数をf 、特定の固有振動数をf 1v とする)。また、可動部110が移動可能な最大の速度である最大速度vmaxを、0.332[m/s]とする。
(5)従来のSST法
従来のSST法は、可動部の柔軟部分の固有振動の成分(可動部の柔軟部分の共振周波数に対応する周波数成分)を実質的に0(ゼロ)とするように所定の条件を満たすパラメータを求め、当該パラメータの値を用いて所定の式に基づき可動部の加速度軌道を生成するという方法である。
例えば可動部の終端速度を指定する場合、取り除くべき振動の振動数、つまり成分を実質的に0とすべき振動の振動数(可動部の柔軟部分の固有振動数。すなわち梁-錘系の固有振動数)を 1v とする。従来のSST法は、Tを、加減速を行う時間(単に「加速時間」ということがある)として、加速度軌道の角振動数である
ω 1v =2πf 1v ・・・(30)
の振幅スペクトルが、
Figure 0007142359000007
を満たすように ”(t)(加速度軌道)を生成するものである(つまり、cos成分もsin成分もないから、全体として可動部の柔軟部分の固有振動数の成分がない)
なお、式(31)は固有振動数の成分が生じず実質的に0となるような条件を表しており、以下では「振幅スペクトル条件」ということもある。また、上記したパラメータ、所定の式等の詳細は特許文献1及び非特許文献1を参照されたい。
図11は、従来のSST法を用いて終端速度指定の位置決めシミュレーションを行った場合の一例を示すグラフである。
図11(a)は、従来のSST法によって生成された可動部110に印加すべき加速度軌道(単に「加速度軌道」ということがある)を示す。横軸は時刻を示し縦軸は加速度を示す。(加速度はx の上にドットを2つ付けた記号としている。他の図でも同様。)図11(b)は可動部110の速度(単に「速度」ということがある)の推移を示す。(速度はx の上にドットを1つ付けた記号としている。他の図でも同様。)横軸は時刻を示し縦軸は速度を示す。図11(c)は梁-錘系変位 の推移を示す。横軸は時刻を示し縦軸は梁-錘系変位 を示す。図11(a)~図11(c)の横軸のスケールは同じであり、可動部110が終端条件(終端速度)に到達する時刻である終端時刻は時刻TTとして示している。図11(d)は、加速度の振幅スペクトルを示す。横軸は周波数(振動数)を示し、縦軸は当該周波数に対応した強度(Amplitude)を示す。
従来のSST法によって可動部110の加速度軌道を生成すると、例えば図11(a)に示すような加速度軌道を得ることができる。このとき、図11(d)に示す加速度の振幅スペクトルをみると、梁-錘系の固有振動数f1vにおいてスペクトル強度は0(ゼロ)
となっている。換言すると、当該固有振動数 1v の実質的な成分が結果的に0(ゼロ)となるような形で加速度軌道が生成されている。
この加速度軌道に基づいて可動部110に加速度を印加すると、可動部110は図11(b)に示すグラフの速度に沿って動くこととなる。可動部110は時刻TTになると指定された終端速度 に到達する。このとき、梁-錘系変位 をみると、図11(c)に示すように、可動部110が加速している間(時刻0~時刻TT)は変位しているものの、一旦、時刻TTにおいて可動部110が終端速度 に到達すると、それ以降における の値は0に貼り付き、梁-錘系には振動が生じていない。
以上のことから、従来のSST法によれば、制御目標値に到達するまでの所要時間である「加速時間」を最短時間で加速した場合の加速時間と同じ時間としながらも、可動部の柔軟部分FP(梁-錘系)の残留振動を抑制することができる。これは、固有振動数(可動部の柔軟部分FPの振動モードを励起する原因となる成分である)の実質的な成分を0(ゼロ)とするような加速度軌道を生成し、そのような加速度軌道に基づいて可動部を駆動しているからである。
なお、「最短時間で加速した場合」とは、後述する「最短時間位置決め方式」により最大加速度amaxフラットで制御目標値まで加速し続けた場合をいう。ちなみにこの場合においては残留振動が生じる(後述)。
したがって、従来のSST法を用いた可動部制御装置(従来の可動部制御装置)によれば、「加速時間」の劣化を可能な限り抑えながらも、残留振動の発生を未然に抑制することができる。
特開2012-234332号公報
星野,布川、周波数整形軌道を用いた柔軟構造物の2自由度制振位置決め制御、第12回「運動と振動の制御」シンポジウム、2011年
しかしながら、従来の可動部制御装置によって生成する加速度軌道は、場合によっては、最大加速度amaxの制約を超えた軌道となることがある。例えば、図11(a)において、矢印Aで示した部分は最大加速度amaxを超えた軌道となっている。折角、従来のSST法により残留振動を生じさせない加速度軌道を生成したとしても、このように生成された加速度軌道が最大加速度amaxの制約を超えていると、当該加速度軌道を実機に実装することができない。つまり、従来の可動部制御装置は、実機における実現可能性実装性)を担保できない場合がある。
参考までに、最大加速度amax,及び最大速度 max は、位置決め機構(搬送装置及び可動部制御装置を併せて位置決め機構という)が有している素質・能力の限界とも関係し、制御を行う上での「制約」として位置付けられるものである。
そこで本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、残留振動を抑制することが可能で、且つ、実機における実現可能性を担保しながら、可能な限り短時間で可動部を制御目標値に到達させることが可能な可動部制御装置、可動部制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
[1]本発明の可動部制御装置は、柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、初速度0、終端時刻TTとしたとき、前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v を取得する場合、最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加され、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v を満たすような加速度軌道を生成し、当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御することを特徴とする。
[2]本発明の可動部制御装置において、前記第1フェーズの時間及び前記第3フェーズの時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定されていることが好ましい
[3]本発明の可動部制御装置において、
前記加速度軌道生成部は、
前記可動部の位置をx (t)、速度をx ’(t)、加速度をx ”(t)(tは加減速開始後の時間)としたとき、
P=T として、
前記加速度軌道が、
時間である前記第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて加速度0が印加され、続く(T-T )時間の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるような、次式
Figure 0007142359000008
ここで、T :最大加速度a max が連続して印加される時間
△T:加速度0の時間
を満たす加速度軌道を生成する
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度の前記終端条件
Figure 0007142359000009
及び前記加速度の振幅スペクトル条件
Figure 0007142359000010
を満たすものとし、
前記条件を満たす前記T、T 、△Tとして
Figure 0007142359000011
m:
Figure 0007142359000012
1v :取り除くべき振動の周波数
を用いる
ことが好ましい。
[4]本発明の可動部制御装置は、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
前記加速度軌道生成部は、
時刻を時間分解能△t単位で離散化して扱い、
前記可動部の位置をx (t)、速度をx ’(t)、加速度をx ”(t)(tは加減速開始後の時間)、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端速度v を取得する場合、
最初のT/2時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さな加速度a が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて0ではない加速度a が印加され、続く(T-T/2)時間の第3フェーズにおいて前記加速度a が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度を満たすような、次式
Figure 0007142359000013
ここで、a 1、 :加速度、a <a max 、a はゼロ以外の値
T/2:加速度a が連続して印加される時間
△T:加速度a が連続して印加される時間、△t単位で離散化
を満たす加速度軌道を生成し、
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度の前記終端条件
Figure 0007142359000014
及び前記加速度の振幅スペクトル条件
Figure 0007142359000015
を満たすものとし、
前記条件を満たす前記T、△T、a 、a として
Figure 0007142359000016
m:
Figure 0007142359000017
1v :取り除くべき振動の周波数
を用いる
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御することを特徴とする。
[5]本発明の可動部制御装置は、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加され、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて負の前記最大加速度a max が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする。
[6]本発明の可動部制御装置において、前記第1フェーズの時間及び前記第3フェーズの時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定されている、ことが好ましい
[7]本発明の可動部制御装置において、
前記加速度軌道生成部は、
前記可動部の位置をx (t)、速度をx ’(t)、加速度をx ”(t)(tは加減速開始後の時間)としたとき、
p=T として、
前記加速度軌道が、
時間である前記第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて加速度0が印加され、続く(T-T )時間の第3フェーズにおいて負の前記最大加速度a max が印加されるような、次式
Figure 0007142359000018
ここで、T :最大加速度a max が連続して印加される時間
△T:加速度0の時間
を満たす加速度軌道を生成する
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度及び前記終端位置の前記終端条件
Figure 0007142359000019
並びに前記加速度の振幅スペクトル条件
Figure 0007142359000020
を満たすものとし、
前記条件を満たす前記T、T 、△Tとして
Figure 0007142359000021
n:
Figure 0007142359000022
1v :取り除くべき振動の周波数
を用いる
ことが好ましい。
[8]本発明の可動部制御装置は、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
前記加速度軌道生成部は、
時刻を時間分解能△t単位で離散化して扱い、
前記可動部の位置をx (t)、速度をx ’(t)、加速度をx ”(t)(tは加減速開始後の時間)、初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端速度0及び前記終端位置x を取得する場合、
最初のT/2時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さな加速度a が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔT時間の第2フェーズをΔT/2時間ずつ分けた第1サブフェーズ及び第2サブフェーズとし、前記第1サブフェーズにおいて0ではない加速度a が印加され、前記第2サブフェーズにおいて負の前記加速度a が印加され、続くT/2時間の第3フェーズにおいて負の前記加速度a が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端位置を満たすような、次式
Figure 0007142359000023
ここで、a 1、 、-a 1、 -a :加速度、a <a max
:ゼロ以外の値、|a |<|a
T/2:加速度a が連続して印加される時間
△T/2:加速度a が連続して印加される時間、△t単位で離散化
を満たす加速度軌道を生成し、
但し、前記加速度軌道は、
前記終端位置の前記終端条件
Figure 0007142359000024
及び前記加速度の振幅スペクトル条件
Figure 0007142359000025
を満たすものとし、
前記条件を満たす前記T、△T、a 1、 として
Figure 0007142359000026
n:
Figure 0007142359000027
1v :取り除くべき振動の周波数
定数c 、c
Figure 0007142359000028
を満たす実数
を用いる
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする。
[9]本発明の可動部制方法は、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御方法であって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする。
[10]本発明の可動部制御方法は、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御方法であって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて逆方向の前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする。
[11]本発明の可動部制御方法においては、
前記可動部の前記柔軟部における固有振動数測定して当該固有振動数f 1v を取得し前記加速度軌道生成ステップにフィードバックする固有振動数取得ステップを更に含み、
前記加速度軌道生成ステップでは、フィードバックされた前記固有振動数 1v を含まないように前記加速度軌道を生成する、
ことが好ましい。
[12]本発明のプログラムは、
コンピュータに、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御処理を行わせるプログラムであって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ように可動部制御処理を行わせるプログラムである
[13]本発明のプログラムは、
コンピュータに、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御処理を行わせるプログラムであって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて逆方向の前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ように可動部制御処理を行わせるプログラムである。
本発明によれば、残留振動を抑制することが可能で、且つ、実機における実現可能性(実装性)を担保しながら、可能な限り短時間で可動部を制御目標値(v,x)に到達させることが可能な可動部制御装置、可動部制御方法及びプログラムを提供することができる。
実施形態1に係る可動部制御装置1のブロック図である。 「最短位置決め方式」による加速度軌道及び当該加速度軌道に基づく位置決めを説明するために示すグラフである。 実施形態1に係る可動部制御装置1による終端速度指定の位置決めを説明するために示すグラフである。 実施形態1に係る可動部制御装置1による終端位置指定の位置決めを説明するために示すグラフである。 実施形態1に係る可動部制御方法を説明するためのフローチャートである。 実施形態2に係る可動部制御装置2による終端速度指定の位置決めを説明するために示すグラフである。 実施形態2に係る可動部制御装置2による終端位置指定の位置決めを説明するために示すグラフである。 実施形態3に係る可動部制御方法を説明するためのフローチャートである。 変形例1及び変形例2に係る可動部制御装置4,5の加速度軌道を示すグラフである。 搬送装置100及び搬送装置100の可動部110を説明するために示す模式図である。 従来のSST法を用いて終端速度指定の位置決めシミュレーションを行った場合の一例を示すグラフである。
以下、本発明の可動部制御装置、可動部制御方法及びプログラムについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。なお、各図面は一例を示した模式図であり、必ずしも実際の寸法、時間、振幅等を厳密に反映したものではない。また本明細書において、変数の1階微分を(変数)’と表現し、変数の2階微分を(変数)”と表現することがある。
[実施形態1]
1.実施形態1に係る可動部制御装置1の構成
(1)可動部制御装置1の基本構成
実施形態1に係る可動部制御装置1は、搬送装置100の可動部110の動作を制御するための装置である。
ここでの「搬送装置100」の中には、ワークを実際に搬送する装置は勿論のこと、ワーク自体を搬送しない装置、例えばハンドの先端に工具が装着された加工用ロボット、ハンドの先端にセンサ(カメラ等)が装着された検査用ロボット等もここでいう「搬送装置100」に含まれる。制御対象たる「可動部110」についても、種々の可動部を適用できる可能性があるが、実施形態1においては、例えば図10(a)及び図10(b)に示すような1軸のスライダヘッド110aを用いるものとする。
図1は、実施形態1に係る可動部制御装置1のブロック図である(搬送装置100のブロックも一部含む)。
図1に示すように、可動部制御装置1は、少なくとも終端条件取得部10と加速度軌道生成部20とを備える。
詳細は後述するが、終端条件取得部10は、可動部110の動作の終端条件(終端速度 終端位置 等)を取得する。加速度軌道生成部20は、取得した(与えられた)終端条件、所定のパラメータ(振動数f 1v 最大加速度amax等)に基づいて可動部110に印加すべき加速度軌道を生成する。可動部制御装置1は、更に記憶装置40を備えていてもよい。記憶装置40は、終端条件に対応したデータ、加速度軌道に対応したデータ等を記憶する。以下、終端条件に対応したデータ(終端条件データ)を単に「終端条件」といい、加速度軌道に対応したデータを単に「加速度軌道」ということがある。
一方、搬送装置100は、少なくとも可動部駆動部30、マニピュレータMNP及び可動部110を備える。
可動部駆動部30は、例えば、その機能の一部についてはプロセッサで実現され、トルク指令の出力段及びマニピュレータMNPからのフィードバック信号の入力段についてはD/A変換回路,A/D変換回路等で実現されている。
可動部駆動部30は、記憶装置40に記憶された加速度軌道に基づき、可動部110に印加すべき加速度に対応したトルク指令をマニピュレータMNPのサーボアンプ41に出力する。マニピュレータMNPは、例えばサーボアンプ41、サーボアンプ41に接続されたサーボモータ42、サーボモータ42のシャフト(図示を省略)に接続されたボールねじ43、及び、ボールねじ43に係合された可動部110を有している。
可動部駆動部30からトルク指令を受けたマニピュレータMNPは、指令されたトルクの大きさに応じた可動部駆動力F《図10(c)参照》を可動部110に付与し、それによって可動部110に対し加速度を印加する。
なお、図1においては可動部制御装置1及び搬送装置100を同一のブロック図の上に記載しており、終端条件取得部10、加速度軌道生成部20及び可動部駆動部30(その一部の機能。なお図においては枠で囲っていない。)を同一のプロセッサ(コンピュータC等)によって構成することを想定したものとなっている。
しかし、実施形態1はこれに限定されるものではない。例えば、終端条件取得部10及び加速度軌道生成部20については、所定の記憶装置40を用いながら所定のプロセッサ(コンピュータC等)の上で実現し、別途の記憶装置(図示を省略)に加速度軌道のデータを記憶させながら、ターゲット(搬送装置100の実機)を実際に動作させるための可動部駆動部30については、一部の機能を別途のプロセッサ(ターゲット用プロセッサ)の上で実現するように構成してもよい。
(2)終端条件取得部10
終端条件取得部10は、可動部110の動作の終端条件を取得する。
「可動部110の動作の終端条件」とは、可動部110の被制御量(速度、位置等)の制御目標値である。具体的には可動部110の終端速度 終端位置 等の値をいう。
また、「終端条件を取得する」の「取得」には、記憶装置に予め記憶されている終端条件データを当該記憶装置から読み出すことによる取得、所定のヒューマン・インターフェース(入力装置)によって終端条件を入力することによる取得、ネットワーク回線等により送信されてきた終端条件データを受信することによる取得など、どのような態様によるものであってもよいが、実施形態1においては、予め記憶装置40に記憶されている終端条件データを当該記憶装置40から読み出すことによるものとする。
なお本明細書において「終端条件を指定される」というときがあるが、これは「終端条件を取得する」と同じ意味内容を表す。
(3)加速度軌道生成部20
加速度軌道生成部20は、終端条件取得部10によって取得された終端条件、可動部の柔軟部FP(図10参照)に励起される振動の固有振動数、及び、可動部110に印加可能な最大加速度amaxに基づき、制御シーケンスに係る加速度軌道を生成する。なお、ここで生成する加速度軌道は、最大加速度amaxを超えない加速度によって規定される。
またその際、可動部110が動作開始してから終端条件に到達するまでの間(時刻0から時刻TTまでの間)の制御シーケンスの全時間を通してみたときに固有振動数 1v の成分が生じないようにしながら、制御シーケンスに係る加速度軌道を生成する。
「加速度軌道」とは、横軸に経過時間をとり縦軸に加速度をとったときに、可動部(ここではM1)に印加する加速度を描いたグラフの軌道をいうものとする。「加速度軌道」の具体例としては、後述する図3(a)、図4(a)、図6(a)、図7(a)及び図9を参照されたい。またこのような軌道を生じるような各種制御データも、ここでいう「加速度軌道」の概念に含まれるものとする。
取り除くべき固有振動数f 1v は、予め何らかの方法によって求められた値とする。例えば、可動部に変位センサ、速度センサ、加速度センサ等の適宜のセンサを取り付け、振動解析を行うことによって得られた固有振動数の値を、ここでいう「固有振動数 1v 」の値としてもよい。
「全時間を通してみたときに固有振動数(取り除くべき固有振動数)の成分が生じない」の「全時間を通してみたときに」というのは、制御シーケンスを開始してから終端条件に到達するまでの間の全体の時間を通して積分をしたときに、という意味である。仮に、制御シーケンスを開始してから終端条件に到達するまでの間のうち、一部の時間をみたときに固有振動数 1v の成分を生じていたとしても、その他の時間も含め全体として延べてみたときには相殺され、その結果、全体として固有振動数 1v の成分が生じないということであってもよい。
「固有振動数の成分が生じない」というのは、加速度の振幅スペクトラムにおいて当該固有振動数 1v における振幅が0(ゼロ)となるような状態をいう。ただし、当該固有振動数 1v における振幅が他の周波数における振幅に対して十分小さければ、当該固有振動数 1v における振幅完全に0(ゼロ)でなくても構わない。このような場合においても実用上本発明の効果を享受することができるからである。
(4)「最短位置決め方式」による加速度軌道
実施形態1の加速度軌道生成の詳しい説明に先立ち、本発明の比較例である「最短位置決め方式」による加速度軌道について説明する。
図2は、「最短位置決め方式」による加速度軌道及び当該加速度軌道に基づく位置決めを説明するために示すグラフである。図2(a)及び図2(b)は終端速度 を指定されたときのグラフである。図2(a)は「最短位置決め方式」により生成された加速度軌道を示し、図2(b)は速度の推移を示す。図2(c)及び図2(d)は終端位置 を指定されたときのグラフである。図2(c)は「最短位置決め方式」により生成された加速度軌道を示し、図2(d)は位置の推移を示す。
なお、以降の図2~図4、図6~図7及び図9における加速度軌道、速度の推移、可動部の位置(単に「位置」ということがある)の推移、梁-錘系変位 の推移及び加速度の振幅スペクトルの各グラフに描かれている横軸及び縦軸の説明は、上記した図11における説明をそれぞれ援用する。
(4-1)終端速度vが指定されたときの加速度軌道
終端速度vと最大加速度amaxが指定された場合、可動部110の移動時間を最短にする加速度軌道は、最短時間問題の解として知られている。
終端速度vが指定された場合の終端時刻Tは、上記したパラメータの制約条件の下で、次式(32)となる《図2(a)及び図2(b)も併せて参照》。
Figure 0007142359000029
「最短位置決め方式」による加速度軌道は、次式(33)で与えられる《軌道の形は図2(a)を参照》。
Figure 0007142359000030
このとき、数値例では、T=33.2[ms]となり, これがこの場合の最短加速時間Tminである。しかしながら、「最短時間位置決め方式」による加速度軌道は振動の抑制を考慮していないため、一般には加速終了後(時刻T以降)に梁-錘系に残留振動を生じる(図示を省略)。発明者が行ったシミュレーションによれば、可動部の加速度の振幅スペクトルをみると系の固有振動数 1v の成分が0(ゼロ)とはなっておらず、固有振動数 1v の成分が生じているため、かかる成分が起因となって残留振動を励起していることが分かっている(図示を省略)。
(4-2)終端位置 が指定されたときの加速度軌道
終端位置と最大速度及び最大加速度とが指定された場合、移動時間を最短にする加速度軌道は終端位置によって異なる。
(i)終端位置が x > vmax /amax の場合、
加速時間Ta及び終端時刻Tを
Figure 0007142359000031
とすると、「最短時間位置決め方式」による加速度軌道は、
Figure 0007142359000032
で与えられ(図示を省略)、時刻tがTa ≦ t < T-Taの間は可動部が等速運動する。
(ii)一方、終端位置が x ≦ vmax /amax の場合、
終端時刻Tは、
Figure 0007142359000033
である。このとき、「最短時間位置決め方式」による加速度軌道は、
Figure 0007142359000034
で与えられる《軌道の形は図2(c)を参照》。
このような加速度軌道によると、可動部110は、最大加速度amaxで加減速され、終端時刻Tになると終端位置 に到達して停止することとなる《図2(d)参照》。
本明細書におけるパラメータの数値例は、後者(ii)の場合に該当し, 終端時刻TはT=63.2[ms]となっており最短の時間となっている。しかしながら、発明者が行ったシミュレーションによれば、上記(i)と同様に、可動部の加速度の振幅スペクトルをみると系の固有振動数 1v の成分が0(ゼロ)とはなっておらず、固有振動数 1v の成分が生じているため、かかる成分が起因となって残留振動を励起していることが分かっている(図示を省略)。
(5)実施形態1の加速度軌道生成部20による加速度軌道の生成
次に、実施形態1の加速度軌道生成部20による加速度軌道の生成について説明する。
(5-A)終端速度 を指定されたときの加速度軌道の生成
(a)検討
従来のSST法による加速度軌道、「最短位置決め方式」による加速度軌道等の課題を改善するため、実施形態1では最大加速度amaxを使いながらも上記課題を克服可能な加速度軌道の生成を検討する。但し、加減速を行う時間のすべてにおいて最大加速度amaxを用いた加速度軌道とすると、上記した「最短位置決め方式」による加速度軌道と等価な軌道になってしまい《図2(a)及び図2(b)参照》、一般には残留振動が生じてしまう。
そこで、 加減速を行う時間の一部においては最大加速度amaxより小さい値の加速度をとるような加速度軌道を検討する。
終端速度vを指定されたときの加速度軌道の一例として、次式(38)
Figure 0007142359000035
を考え、終端速度v及び振幅スペクトル条件である式(31) を満たすように{T,ΔT,T}を決定する。
ここで、振幅スペクトル条件式(31)は次のように書くことができる。
Figure 0007142359000036
式(1)を満たすT,T,ΔTとして、以下の解がある。
Figure 0007142359000037
(定理6.1)パラメータを式(2),式(3),式(4)で表されるものとしたときの加速度軌道(38)は、境界条件(28)(終端条件)及び振幅スペクトル条件(1)を満たす。但し、mは次式(5)で表される値(つまり整数)である。
Figure 0007142359000038
数値例の場合、上記内容に基づきT,T,ΔTを算出すると、
1v =f ・・・(39)
としたときT=33.2[ms]、T=16.6[ms]、ΔT≒ 2.6[ms]となる。この算出結果に基づいて生成された加速度軌道によるシミュレーションを図3に示す。
図3は、実施形態1に係る可動部制御装置1による終端速度指定の位置決めを説明するために示すグラフである。図3(a)は準最短の周波数整形法(準最短SST法)により生成された加速度軌道を示し、図3(b)は速度の推移を示し、図3(c)は梁-錘系変位 の推移を示し、図3(d)は加速度の振幅スペクトルを示す。
図3(a)及び図3(b)に示すように、加速度軌道生成部20が生成した当該加速度軌道によれば、第1フェーズPS1である時刻0~時刻Tの間(T=T/2=16.6ms)は最大加速度amaxで加速し、続く第2フェーズPS2ではΔTの間(ΔT≒2.6ms)を加速度を0として等速運動し、続く第3フェーズPS3では(T/2=16.6ms)の間、再度、最大加速度amaxで加速し、時刻TTにおいて終端速度vに到達する。
加速度軌道生成部20が生成した当該加速度軌道は、最大加速度amaxを超えることはない。
一方、図3(d)に示すように、固有振動数 1v におけるスペクトル強度は0(ゼロ)となっており、当該加速度軌道は固有振動数 1v の成分が生じていない。また、図3(c)に示すように、制御シーケンスを終えて(加速時間を経過し)時刻TTとなった以降においては、残留振動が抑制されていることが確認できる。
なお、実施形態1による加速時間は約35.8[ms]で、最短時間位置決め方式による加速時間Tminに比べて2.6[ms]余分に時間を要しており、(Tmin+2.6[ms])となっている。しかしながら、この実施形態1による加速時間は、発明者が別の比較例として残留振動を生じない方式で生成した加速度軌道(図示及び説明を省略)による加速時間(Tmin+5.1[ms])に比べると、最短時間位置決め方式を基準とする加速時間の劣化は50%まで圧縮され、大きく改善している。
(b)実施形態1に係る可動部制御装置1による加速度軌道(終端速度v指定)
以上のことから、実施形態1に係る可動部制御装置1は次の構成を具備している。
可動部制御装置1の加速度軌道生成部20は、第1フェーズPS1においては、第1絶対値(|a|)を有する加速度をもってp(但し、0<p=T <T)の時間をかけて可動部が動作し、続く第2フェーズにおいては、第1絶対値よりも小さい第2絶対値(|a|)を有する加速度をもって所定時間ΔTをかけて可動部が動作し、続く第3フェーズにおいては、第1絶対値(|a|)を有する加速度をもって(T-p=T-T )の時間をかけて可動部が動作するように加速度軌道を生成するものとなっている《図3(a)並びに後述する図6(a)及び図9参照》。
なお、終端速度vが指定される場合では、制御量は「速度」であり、制御目標量は「終端速度v」であるものの、便宜上、制御を開始してから可動部の速度が終端速度vが到達するまでの時間についても「移動時間」の語(概念)の中に含まれるものとし、また、このような制御も「位置決め」の語(概念)の中に含まれるものとする。
また、実施形態1に係る可動部制御装置1において、終端条件取得部10は、終端条件として終端速度vを取得するものとなっており、さらに、加速度軌道生成部20は、第1フェーズPS1においては、第1加速度(a)をもって可動部が加速し、第2フェーズPS2においては、該第1加速度よりも小さい第2加速度(a)をもって可動部110が加速し、第3フェーズPS3においては、再び、該第1加速度(a)をもって可動部110が加速するように加速度軌道を生成するものとなっている《図3(a)並びに後述する図6(a)及び図9参照》。
また、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定されている。つまり、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間はそれぞれT/2に設定されている《図3(a)及び後述する図6(a)参照》。
さらに、上記した実施形態1に係る可動部制御装置1においては、第1加速度(a)の値として、最大加速度amaxが適用され、第2加速度(a)の値として、0(ゼロ)が適用され、第2フェーズPS2の所定時間ΔTの値として、下記式(1),(4)に従って算出された値が適用されるものとなっている。
Figure 0007142359000039
Figure 0007142359000040
但し、ω ω =2π 1v によって求められた値を示し、Tは当該制御シーケンスの開始時刻を0としたときにT/2経過した時点の時刻を示し、mは下記式(5)に従って求められた値を示す。
Figure 0007142359000041
(5-B)終端位置xを指定されたときの加速度軌道の生成
(a)検討
終端位置xを指定されたときの加速度軌道の生成についても、上記(5-A)節で行った検討と同様の検討を行う。
終端位置指定の場合にも、加減速を行う時間のすべてにおいて最大加速度amaxを用いた加速度軌道とすると、上記した「最短位置決め方式」による加速度軌道と等価な軌道になってしまい《図2(c)及び図2(d)参照》、一般には残留振動が生じてしまう。
そこで、上記(5-A)節と同様に、加減速を行う時間の一部においては最大加速度amaxより小さい値の加速度をとるような加速度軌道を検討する。
終端位置xを指定されたときの加速度軌道の一例として、次式(40)
Figure 0007142359000042
を考え、終端位置xの境界条件(終端条件)と振幅スペクトル条件である式(31) を満たすように{T,ΔT,T} を決定する。
ここで、振幅スペクトル条件式(31)は次のように書くことができる。
Figure 0007142359000043
この境界条件(終端条件)を満たす式(11)の解は、次のように得ることができる。
(定理6.2)パラメータを、
Figure 0007142359000044
とした加速度軌道(40)は、境界条件(29)(終端条件)及び振幅スペクトル条件(11)を満たす。但し、nは次式(15)で表される値(つまり整数)である。
Figure 0007142359000045
数値例の場合、上記内容に基づきT,T,ΔTを算出すると、
1v =f ・・・(39)
としたときに、n=3であり、T=52.2[ms]、T=26.1[ms]、ΔT≒12.2[ms]となる。この算出結果に基づいて生成された加速度軌道によるシミュレーションを図4に示す。
図4は、実施形態1に係る可動部制御装置1による終端位置指定の位置決めを説明するために示すグラフである。図4(a)は準最短SST法により生成された加速度軌道を示し、図4(b)は位置の推移を示し、図4(c)は梁-錘系変位 の推移を示し、図4(d)は加速度の振幅スペクトルを示す。
図4(a)及び図4(b)に示すように、加速度軌道生成部20が生成した当該加速度軌道によれば、第1フェーズPS1である時刻0~時刻Tの間(T=T/2=26.1ms)は最大加速度amaxで加速し、続く第2フェーズPS2ではΔTの間(ΔT≒12.2ms)を加速度を0として等速運動し、続く第3フェーズPS3では(T/2=26.1ms)の間、負の最大加速度amaxで加速(全体としては減速)し、時刻TTにおいて終端位置xに到着する。
加速度軌道生成部20が生成した当該加速度軌道は、最大加速度amaxを超えることはない。
一方、図4(d)に示すように、固有振動数 1v におけるスペクトル強度は0(ゼロ)となっており、当該加速度軌道は固有振動数 1v の成分が生じていない。また、図4(c)に示すように、制御シーケンスを終えて(加減速を行う時間を経過し)時刻TTとなった以降においては、残留振動が抑制されていることが確認できる。
なお、実施形態1による加速時間は約64.4[ms]で、最短時間位置決め方式による加速時間Tminに比べて1.2[ms]余分に時間を要しており、(Tmin+1.2[ms])となっている。しかしながら、この実施形態1による加速時間は、発明者が別の比較例として残留振動を生じない方式で生成した加速度軌道(図示及び説明を省略)による加速時間(Tmin+12.2[ms])に比べると、最短時間位置決め方式を基準とする加速時間の劣化は10%まで圧縮され、大きく改善している。
(b)実施形態1に係る可動部制御装置1による加速度軌道(終端位置x指定)
以上のことから、実施形態1に係る可動部制御装置1は次の構成を具備している。
可動部制御装置1の加速度軌道生成部20は、第1フェーズPS1においては、第1絶対値(|a|)を有する加速度をもってp(但し、0<p<T)の時間をかけて可動部が動作し、続く第2フェーズPS2においては、第1絶対値よりも小さい第2絶対値(|a|)を有する加速度をもって所定時間ΔTをかけて可動部が動作し、続く第3フェーズPS3においては、第1絶対値(|a|)を有する加速度をもって(T-p)の時間
をかけて可動部が動作するように加速度軌道を生成するものとなっている《図4(a)及び後述する図7(a)参照》。
ところで、終端位置x指定の場合、厳密な最短時間位置決め方式による場合には、Tは上記した式(36)で定義される。
一方、式(12)及び後述する式(18)は、式(15)で定義されるnを含んでいるものの、これらの式は振動抑制の制約の下で式(36)に準じたものとなっている。したがって『「最短時間位置決め方式」によって前記可動部の位置決めを行った場合の所要時間』の中には、振動抑制の制約の下で式(36)に準ずる場合も含まれるものとする。
また、実施形態1に係る可動部制御装置1において、終端条件取得部10は、終端条件として終端位置xを取得するものとなっており、さらに、加速度軌道生成部20は、第1フェーズPS1においては、正の第1加速度(+a)をもって可動部110が加速し、第2フェーズPS2の第1サブフェーズSPS1においては、正の第2加速度(+a)をもって所定時間ΔTの1/2の時間をかけて可動部110が動作し、第2フェーズPS2の第2サブフェーズSPS2においては、負の第2加速度(-a)をもって所定時間ΔTの1/2の時間をかけて可動部110が動作し(但し、第2加速度の絶対値|a|は第1加速度の絶対値|a|よりも小さい)、第3フェーズPS3においては、負の第1加速度(-a)をもって可動部110が減速するように加速度軌道を生成するものとなっている《図4(a)及び後述する図7(a)》。
また、可動部制御装置1において、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定されている。つまり、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間はそれぞれT/2に設定されている《図4(a)及び後述する図7(a)参照》。
さらに、上記した実施形態1に係る可動部制御装置1においては、第1加速度(a)の値として、最大加速度amaxが適用され、第2加速度(a)の値として、0(ゼロ)が適用され、第2フェーズPS2の所定時間ΔTの値として、下記式(11),(14)に従って算出された値が適用されるものとなっている。
Figure 0007142359000046
Figure 0007142359000047
但し、ω ω =2π 1v によって求められた値を示し、Tは当該制御シーケンスの開始時刻を0としたときにT/2経過した時点の時刻を示し、nは下記式(15)に従って求められた値を示す。
Figure 0007142359000048
2.実施形態1に係る可動部制御装置1の効果
上記からも理解されるように、実施形態1に係る可動部制御装置1によれば、制御目標として終端速度vを指定された場合であっても、終端位置xを指定された場合であっても、次の効果を奏する。
(1)加速度軌道生成部20が、終端条件、可動部110に印加される加速度により可動部の柔軟部FPに励起される振動の固有振動数 1v 、及び、可動部110に印加可能な最大加速度amaxに基づき、可動部が動作開始してから終端条件に到達するまでの間の制御シーケンスの全時間を通してみたときに固有振動数 1v の成分が生じないようにしながら制御シーケンスに係る加速度軌道を生成する。このため、可動部110の残留振動を抑制することができる。
また、加速度軌道生成部20が生成する加速度軌道は最大加速度amaxを超えない加速度によって規定されるものである。すなわち加速度軌道生成部20は、可動部110に印加可能な最大加速度amaxを加味し、かかる最大加速度amaxを超えない加速度軌道を生成するものとなっている。最大加速度amaxの制約を超えない加速度軌道は実機への実装に好適である。このため、実施形態1に係る可動部制御装置1によれば、実機における実現可能性(実装性)を担保することができる。
さらに、上記したように実施形態1に係る可動部制御装置1による加速時間は、発明者が別の比較例として残留振動を生じない方式で生成した加速度軌道による加速時間に比べると、最短時間位置決め方式を基準とする加速時間の劣化は大幅に圧縮され、大きく改善している。このため、実施形態1に係る可動部制御装置1によれば、可動部110を相当程度の短時間で制御目標値(v,x)に到達させることが可能となる。
したがって、実施形態1に係る可動部制御装置1によれば、残留振動を抑制することが可能で、且つ、実機における実現可能性(実装性)を担保しながら、可能な限り短時間で可動部110を制御目標値(v,x)に到達させることが可能となる。
別言すると、実施形態1に係る可動部制御装置1によれば、残留振動の抑制は1次的な目標として必達させながらも、実装性の向上及び移動時間の短縮についてもバランスよく獲得することができる。
(2)可動部110及び可動部の柔軟部FPにおいて、高い減衰性を有している系の場合には、仮に残留振動が生じたとしても受動的な意味で振動の減衰を期待することができる。しかし、高い減衰性を有していない系の場合の場合には、特に本発明による加速度軌道を用いて加速度を印加することにより能動的な意味で積極的に予防的に残留振動を抑制することができる。
(3)第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定される。このように、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間を互いに同等のT/2に設定することにより設計が容易となる。
つまり、加速度軌道の設計(生成)に当たっては、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間の比率については固定しておきつつ、第2フェーズPS2の時間であるΔTについて、固有振動数 1v の成分を除去できる適切な値を求める設計(生成)を行えばよいため、設計がシンプルとなり実装性をより高めることができる。
なお、実施形態1の技術によって生成された加速度軌道を実装する際には、時刻T,時刻T+ΔT,T+ΔT(つまりTT)で加速度の値を変更する必要がある。実施形態1においては、かかる加速度の値変更を行える時刻(横軸のポイント)としては任意の時刻を取り得るという前提の下で説明をしてきた。しかし、実際には組み込みコンピュータなどに加速度軌道を実装する場合などは、時刻の離散化単位等の制約により、取り得る時刻が離散化されるため、このような離散化による誤差(離散化誤差)を生じることが予想される。しかしながら、実機において必要とされる終端時刻・加速時間の精度、必要とされる残留振動抑制の程度等に対して、時刻の離散化単位・制御周期・加速度の更新更周期等(本明細書において、単に「時刻の離散化単位」ということがある)が十分に小さく(換言すると「時間分解能」が十分に高く)、実用の上で要求レベルを充足するのであれば、実施形態1の技術をそのまま実機に適用することができる。
3.実施形態1に係る可動部制御方法
次に、図5を用いて実施形態1に係る可動部制御方法について説明する。
図5は、実施形態1に係る可動部制御方法を説明するためのフローチャートである。
実施形態1に係る可動部制御方法は、搬送装置の可動部の動作を制御する制御方法であって、図5に示すように、終端条件取得ステップS10と加速度軌道生成ステップS20とを含む。
終端条件取得ステップS10は、可動部の動作の終端条件を取得する。
加速度軌道生成ステップS20は、終端条件取得ステップS10によって取得された終端条件、可動部110に印加される加速度により可動部の柔軟部FPに励起される振動の固有振動数 1v 、及び、可動部110に印加可能な最大加速度amaxに基づき、可動部110が動作開始して(時刻0)から終端条件に到達するまで(時刻TT)の間の制御シーケンスの全時間を通してみたときに固有振動数 1v の成分が生じないようにしながら、制御シーケンスに係る加速度軌道を生成する。このとき生成される加速度軌道は最大加速度amaxを超えない加速度によって規定される《図3、図4、並びに後述する図6、図7及び図9も併せて参照》。
上記制御シーケンスは第1フェーズPS1、第2フェーズ及び第3フェーズをこの順番で含んでいる。このとき、加速度軌道生成ステップS20において、第1フェーズPS1では、第1絶対値(|a|)を有する加速度をもってp(但し、0<p<T)の時間をかけて可動部110が動作し、第2フェーズPS2では、第1絶対値(|a|)よりも小さい第2絶対値(|a|)を有する加速度をもって所定時間ΔTをかけて可動部110が動作し、第3フェーズPS3では、第1絶対値(|a|)を有する加速度をもって(T-p)の時間をかけて可動部が動作するように加速度軌道を生成する《図3、図4、並びに後述する図6、図7及び図9も併せて参照》。
(削除)
また、実施形態1に係る可動部制御方法は、加速度軌道生成ステップS20の後に、可動部駆動ステップS30を含んでいてもよい(図5参照)。
可動部駆動ステップS30は、加速度軌道生成ステップS20によって生成された加速度軌道に基づき、可動部110に加速度を印加して可動部110を駆動する。
なお、実施形態1に係る可動部制御方法の骨子は、上記した実施形態1に係る可動部制御装置1の骨子に対応し、その技術的特徴において共通している。このため、可動部制御装置1と共通する可動部制御方法の技術的特徴の説明は、可動部制御装置1の技術的特徴の説明を援用し説明を省略した。なお、上記した実施形態1に係る可動部制御装置1の様々な特徴は、そのまま実施形態1に係る可動部制御方法の構成要件として取り込んで構成することができる。
4.実施形態1に係るプログラム
次に、図1及び図5を参照しながら、実施形態1に係るプログラムについて説明する。
上記した終端条件取得部10及び加速度軌道生成部20における処理、並びに、終端条件取得ステップS10及び加速度軌道生成ステップS20(これらを「一連の処理」とする)は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。
かかる一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、終端条件取得部10及び加速度軌道生成部20の一部として構成しているプロセッサ(図1ではコンピュータC)に対し、メインメモリ(図示を省略)を介して当該ソフトウエアを構成するプログラムを読み込ませ、当該プロセッサに当該プログラムを実行させることで、これを実現することができる(図1参照)。
実施形態1に係るプログラムPRGは、搬送装置100の可動部110の動作を制御するコンピュータに、終端条件取得ステップと加速度軌道生成ステップと、をこの順序で含む処理を行わせるプログラムであって、加速度軌道生成ステップにおいて所定の加速度軌道を生成するよう実行するプログラムである(図1及び図5参照)。
すなわち、このプログラムPRGは、可動部110の動作の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、終端条件取得ステップによって取得された終端条件、可動部110に印加される加速度により可動部の柔軟部FPに励起される振動の固有振動数 1v 、及び、可動部110に印加可能な最大加速度amaxに基づき、可動部110が動作開始して(時刻0)から終端条件に到達するまで(時刻TT)の間の制御シーケンスの全時間を通してみたときに固有振動数 1v の成分が生じないようにしながら、制御シーケンスに係る加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、をこの順序で含む処理をプロセッサ(コンピュータC)に実行させる《図3、図4、並びに後述する図6、図7及び図9も併せて参照》。
また、このプログラムPRGは、加速度軌道生成ステップにおいて、最大加速度amaxを超えない加速度によって規定される加速度軌道であって、第1フェーズPS1では、第1絶対値(|a|)を有する加速度をもってp(但し、0<p<T)の時間をかけて可動部110が動作し、第2フェーズPS2では、第1絶対値(|a|)よりも小さい第2絶対値(|a|)を有する加速度をもって所定時間ΔTをかけて可動部110が動作し、第3フェーズPS3では、第1絶対値(|a|)を有する加速度をもって(T-p)の時間をかけて可動部110が動作するように加速度軌道を生成する、処理をプロセ
ッサ(コンピュータC)に行わせる《図3、図4、並びに後述する図6、図7及び図9も併せて参照》。
上記において、制御シーケンスは第1フェーズ、第2フェーズ及び第3フェーズをこの順番で含むものとする。
実施形態1に係るプログラムの骨子は、上記した実施形態1に係る可動部制御装置1及び可動部制御方法の骨子に対応し、その技術的特徴において共通している。このため、可動部制御装置1及び可動部制御方法と共通するプログラムの技術的特徴の説明は、可動部制御装置1及び可動部制御方法の技術的特徴の説明を援用し説明を省略した。なお、上記した実施形態1に係る可動部制御装置1及び可動部制御方法の様々な特徴は、そのまま実施形態1に係るプログラムの構成要件として取り込んで構成することができる。
[実施形態2]
ところで「離散化誤差」については[実施形態1]2.実施形態1に係る可動部制御装置1の効果の欄で触れたが、ここで若干の補足をする。
実施形態1の加速度軌道生成部20又は加速度軌道生成ステップS20によると、例えば数値例に基づいて加速度軌道を画定すると、図3(a)において計算上はT=16.6[ms],T+ΔT=19.2[ms],TT=35.8[ms]となる。実機における時間分解能の程度にもよるが、例えば時間分解能Δt=0.5[ms]としたときには、実施形態1の計算上の時刻を丁度とることができない場合もあるため、計算上の時刻を経過した直後の離散時刻を採用することとなる(但し、経過する直前の離散時刻を採用する方法もある)。こうした場合、T’=17.0[ms],T’+ΔT=19.5[ms],TT’=36.0[ms]ということになる。この場合、離散化誤差により終端時刻が0.2[ms]程度の差が生じることになり、図示は省略するが、シミュレーションを行うと終端速度vも実施形態1における計算上の終端速度vに対し若干の差が生じ、また、残留振動も若干残ることが確認できる。
そこで、発明者は、可動部制御装置における時刻の離散化単位等の制約から加速度軌道の横軸(時間軸)の値が離散的にしか取れない状況を想定し、実施形態1の技術を踏まえながらも、この状況により適切に対応できる加速度軌道の生成技術を確立したので、以下に実施形態2として説明する。
1.実施形態2に係る可動部制御装置2の構成
実施形態2に係る可動部制御装置2(装置の図示を省略)は、基本的には実施形態1に係る可動部制御装置1と同様の構成を有するが、主に加速度軌道の第2フェーズPS2における加速度の値として非0(ゼロ)の値を適用している点において実施形態1に係る可動部制御装置1とは異なる。そこで、実施形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施形態1と共通する他の部分については、符号を付しての図示及びそれらの説明は省略する。
(1)実施形態1に係る可動部制御装置1との基本的な差異点
図6は、実施形態2に係る可動部制御装置2による終端速度指定の位置決めを説明するために示すグラフである。図6(a)は、準最短SST法に離散時刻への対応を加えた方法(準最短SST法の離散時刻対応)により生成された加速度軌道を示し、図6(b)は速度の推移を示し、図6(c)は梁-錘系変位 の推移を示し、図6(d)は加速度の振幅スペクトルを示す。図7は、実施形態2に係る可動部制御装置2による終端位置指定の位置決めを説明するために示すグラフである。図7(a)は、準最短SST法の離散時刻対応により生成された加速度軌道を示し、図7(b)は位置の推移を示し、図7(c)は梁-錘系変位 の推移を示し、図7(d)は加速度の振幅スペクトルを示す。
図6(a)及び図7(a)に示すように、実施形態2に係る可動部制御装置2(図示を省略)は、加速度軌道の切り替えポイントである、時刻T(第1フェーズPS1から第2フェーズPS2への切り替え時刻)、時刻T+ΔT(第2フェーズPS2から第3フェーズPS3への切り替え時刻)、時刻TT(第3フェーズPS3の終了時刻)及び第1サブフェーズSPS1から第2サブフェーズSPS2への切り替え時刻が、時刻の離散化単位等の制約の下で取り得る時刻(時間分解能Δtの整数倍)で設定された加速度軌道を生成する。
その上で、可動部制御装置2(図示を省略)は、第2フェーズPS2における加速度の値として非0(ゼロ)の値を適用した加速度軌道を生成する。
(2)実施形態2の加速度軌道生成部20’による加速度の生成
実施形態2の加速度軌道生成部20’(装置の図示は省略)は、上記したように、実施形態1による加速度軌道とは異なる加速度軌道を生成するため、ここでは加速度軌道生成部20’による加速度軌道の生成を中心に説明を続ける。
(2-A)終端速度vを指定されたときの加速度軌道の生成
(a)検討
終端速度vを指定されたときの加速度軌道の一例として、次式(41)
Figure 0007142359000049
を考える。ただし, △Tは△tの単位で離散化され、Tは2△tの単位で離散化されているものとする。
加速度軌道(41)に対する境界条件(終端条件)と振幅スペクトル条件はそれぞれ次のように書くことができる。
Figure 0007142359000050
Figure 0007142359000051
そして、これら式(42),式(6)の条件を満たす加速度軌道は次のように求めることができる。
Figure 0007142359000052
但し、mは式(5)で表される値(つまり整数)である。
数値例の場合、上記内容に基づきT,T,ΔTを算出すると
1v =f ・・・(39)
とし、時刻の離散化単位をΔt=1[ms]として、加速度軌道(41)を求めると、T=34[ms]、T/2=T=17[ms]、ΔT=3[ms]であり、いずれもΔtの整数倍となっている。加速度は、a≒9.33[m/ ]、a≒4.92[m/ ]となる。
この算出結果に基づいて生成された加速度軌道によるシミュレーションを図6に示す。
図6(a)及び図6(b)に示すように、加速度軌道生成部20’が生成した当該加速度軌道によれば、第1フェーズPS1である時刻0~時刻Tの間はa=9.33[m/ ]で加速し、続く第2フェーズPS2ではΔTの間を加速度a=4.92[m/ ]で加速し、続く第3フェーズPS3では、再度、a=9.33[m/ ]で加速し、時刻TTにおいて終端速度vに到達する。
加速度軌道生成部20’が生成した当該加速度軌道は、最大加速度amaxを超えることはない。
一方、図6(d)に示すように、固有振動数 1v (取り除くべき振動の振動数)におけるスペクトル強度は0(ゼロ)となっており、当該加速度軌道は固有振動数 1v の成分が生じていない。また、図6(c)に示すように、制御シーケンスを終えて(加速時間を経過し)時刻TTとなった以降においては、残留振動が抑制されていることが確認できる。
なお、ここでの加速時間はT+ΔT=37[ms]となり、実施形態1による加速時間(35.8[ms])に対して最小限の劣化に収まっている。
(b)実施形態2に係る可動部制御装置2による加速度軌道(終端速度v指定)
以上のことから、実施形態2に係る可動部制御装置2は次の構成を具備している。
なお、可動部制御装置2による加速度軌道(終端速度v指定)の基本的な骨子は、実施形態1に係る可動部制御装置1(終端速度v指定)と同様であるため実施形態1における説明《(b)実施形態1に係る可動部制御装置1による加速度軌道(終端速度v指定)》を援用する。
(削除)
実施形態2に係る可動部制御装置2においては、第1加速度aの値として、最大加速度amaxよりも小さい値であって、下記式(6),(9)に従って算出された値が適用され、第2加速度aの値として、非0(ゼロ)の値であって、下記式(6),(10)に従って算出された値が適用され、第2フェーズPS2の所定時間ΔTの値として、下記式(6),(8)に従って算出された値が適用されるものとなっている。
Figure 0007142359000053
Figure 0007142359000054
但し、ω ω =2π 1v によって求められた値を示し、mは下記式(5)に従って求められた値を示し、Δtは時刻の離散化単位を示す。
Figure 0007142359000055
(2-B)終端位置xを指定されたときの加速度軌道の生成
(a)検討
終端位置xを指定されたときの加速度軌道の生成についても、上記(2-A)節で行った検討と同様の検討を行う。
加速度軌道を次式(43)の形とする。但し、T及びΔTは2Δtで離散化されているものとする。
Figure 0007142359000056
加速度軌道(43)に対する境界条件(終端条件)と振幅スペクトル条件はそれぞれ次のように書くことができる。
Figure 0007142359000057
Figure 0007142359000058
そして、これら式(16),式(17)の条件を満たす加速度軌道は次のように求めることができる。
(定理7.2)パラメータを、
Figure 0007142359000059
としたときの、加速度軌道(43)は、境界条件(16)(終端条件)及び振幅スペクトル条件(17)を満たす。但し、nは式(15)で表される値であり、 、c が以下の式(22)
による実数である。
Figure 0007142359000060
数値例の場合、
1v =f ・・・(39)
として、上記内容に基づき加速度軌道(43)を求めると、T=54[ms]、ΔT=12[ms]であり、いずれも2Δtの整数倍となっている。加速度は、a≒9.48[m/ ]、a≒0.56[m/ ]となる。
この算出結果に基づいて生成された加速度軌道によるシミュレーションを図7に示す。
図7(a)及び図7(b)に示すように、加速度軌道生成部20’が生成した当該加速度軌道によれば、可動部は、第1フェーズPS1では加速度a=9.48[m/ ]でT/2=27[ms]加速した後、第2フェーズPS2の第1サブフェーズSPS1では加速度a=0.56[m/ ]でΔT/2=6[ms]加速する。その後、第2フェーズPS2の第2サブフェーズSPS2では加速度-a=-0.56[m/ ]でΔT/2=6[ms]加速し(つまり減速し)、最後に第3フェーズPS3では加速度-a=-9.48[m/ ]でT/2=27[ms]加速して(つまり減速して)終端位置xに到着する。
加速度軌道生成部20’が生成した当該加速度軌道は、最大加速度amaxを超えることはない。
一方、図7(d)に示すように、固有振動数 1v (取り除くべき振動の振動数)におけるスペクトル強度は0(ゼロ)となっており、当該加速度軌道は固有振動数 1v の成分が生じていない。また、図7(c)に示すように、制御シーケンスを終えて(加速時間を経過し)時刻TTとなった以降においては、残留振動が抑制されていることが確認できる。
なお、ここでの加速時間はT+ΔT=66[ms]となり、実施形態1による加速時間(64.4[ms])に対して最小限の劣化に収まっている。
(b)実施形態2に係る可動部制御装置2による加速度軌道(終端位置 指定)
以上のことから、実施形態2に係る可動部制御装置2は次の構成を具備している。
なお、可動部制御装置2による加速度軌道(終端位置x指定)の基本的な骨子は、実施形態1に係る可動部制御装置1(終端位置x指定)と同様であるため実施形態1における説明《(b)実施形態1に係る可動部制御装置1による加速度軌道(終端位置x指定)》を援用する。
実施形態2に係る可動部制御装置2においては、第1加速度aの値として、最大加速度amaxよりも小さい値であって、下記式(16),(20)に従って算出された値が適用され、第2加速度aの値として、非0(ゼロ)の値であって、下記式(16),(21)に従って算出された値が適用され、第2フェーズPS2の所定時間ΔTの値として、下記式(16),(17),(19)に従って算出された値が適用されるものとなっている。
Figure 0007142359000061
Figure 0007142359000062
Figure 0007142359000063
但し、ω ω =2π 1v によって求められた値を示し、nは下記式(15)に従って求められた値を示し、 、c は下記式(22)による実数を示し、Δtは時刻の離散化単位を示す。
Figure 0007142359000064
Figure 0007142359000065
また、実施形態2に係る可動部制御装置2においては、次のように構成されている。
すなわち、可動部制御装置2は、可動部の動作の終端条件として終端位置xを取得する終端条件取得部10を備える。
ここで、可動部110が動作を開始してから終端位置xに到達するまでの期間を制御期間としたときに、制御期間は第1フェーズPS1、第2フェーズPS2及び第3フェーズPS3をこの順番で含むものとする。
このとき、可動部制御装置2は、第1フェーズPS1において、正の第1加速度(+a)をもって可動部110が加速し、第2フェーズPS2の第1サブフェーズSPS1において、正の第2加速度(+a)をもって所定時間ΔTの1/2の時間をかけて可動部110が加速し(但し、第2加速度の絶対値は第1加速度の絶対値よりも小さいものとする)、続く第2フェーズPS2の第2サブフェーズSPS2において、負の第2加速度(-a)をもって所定時間ΔTの1/2の時間をかけて可動部110が減速し、第3フェーズPS3において、負の第1加速度(-a)をもって可動部110が減速するよう構成されている。
2.実施形態2に係る可動部制御装置2の効果
実施形態2に係る可動部制御装置2においては、上記したように、第2フェーズPS2の値は0(ゼロ)であるという制約を外しつつ、時刻の離散化単位等の制約となる離散時刻の要素(時間分解能Δt)を加味して加速度軌道を生成している。
このように可動部制御装置2は時刻の離散化単位等の制約からくる離散化誤差を予め織り込んで加速度軌道を生成しているので、時刻の離散化単位等の制約から加速度軌道の横軸(時間軸)の値が離散的にしか取れない状況においても、制御目標値(v,x)の到達ズレ込みや残留振動の発生を予め抑制することができる。
また、可動部制御装置2の加速度軌道生成部20’は、加速度軌道の切り替えポイントとして設定する時刻が時刻の離散化単位(制御周期)の整数倍となるような加速度軌道を生成する。このため、可動部制御装置2は、実施形態1に係る可動部制御装置1よりも実機における実装性が一層高いものとなる。
なお、実施形態2に係る可動部制御装置2は、主に加速度軌道の第2フェーズPS2における加速度の値として非0(ゼロ)の値を適用している点以外においては、実施形態1に係る可動部制御装置1と基本的に同様の構成を有する。そのため、実施形態1に係る可動部制御装置1が有する効果のうち該当する効果を同様に有する。
また、上記においては可動部制御装置2の構成について説明したが、実施形態1に係る可動部制御方法及びプログラムに対しても、この実施形態2に係る可動部制御装置2で説明した技術的特徴を取り込むことができ、上記において説明した可動部制御装置2が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
[実施形態3]
実施形態3に係る可動部制御方法は、基本的には実施形態1に係る可動部制御方法及びこれを援用した実施形態2に係る可動部制御方法と同様の構成を有するが、固有振動数の変動をフィードバックして適応制御する点において実施形態1及び実施形態2に係る可動部制御方法とは異なる。
図8は実施形態3に係る可動部制御方法を説明するためのフローチャートである。
実施形態3に係る可動部制御方法は、図8に示すように、固有振動数取得ステップS50を更に含んでいる。
固有振動数取得ステップS50は、可動部110の柔軟部FPにおける固有振動数を測定して、当該固有振動数を最新固有振動数(最新の固有振動数)として取得する。
その上で、加速度軌道生成ステップS20では、固有振動数取得ステップS50によって取得した最新固有振動数取り除くべき固有振動数f 1v として加速度軌道を生成するものとなっている。
このように構成することにより、例えば経年変化等により可動部110の固有振動数が変動して搬送装置100の系が変動したとしても、固有振動数の変動を踏まえた適応制御を行うことができる。このため、系のパラメータ変動に強い制御を行うことができる。
なお、実施形態3に係る可動部制御方法は、固有振動数の変動をフィードバックして適応制御する点以外においては、実施形態1及び実施形態2に係る可動部制御方法と基本的に同様の構成を有する。そのため、実施形態1及び実施形態2に係る可動部制御方法が有する効果のうち該当する効果を同様に有する。
また、上記においては可動部制御方法の構成について説明したが、実施形態1及び実施形態2に係るプログラムに対しても、ここで説明した技術的特徴を取り込むことができ実施形態3に係る可動部制御方法が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
[変形例]
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)各実施形態の説明においては、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間が共にT/2である場合を例に説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9(a)で示す変形例1及び図9(b)で示す変形例2のように、pの値をT/2の値とせずに、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間の比率を変えた加速度軌道としてもよい。
なお、図9は、変形例1及び変形例2に係る可動部制御装置4,5(図には符号4,5は付していない)の加速度軌道を示すグラフである。
(2)本発明は、様々な搬送装置で生じる残留振動の抑制に有用であり、特に、高速搬送、高速位置決め、振動を伴う搬送等を必要とする精密機械、生産設備等に有用である。
本明細書においては制御対象となる搬送装置/可動部の一例として1軸のスライダヘッドを取り上げて説明したが、これに限定されるものではない。1自由度に限らず複数自由度の座標系、例えば、xyz直交座標系の動きを実現する各種搬送装置に対しても、ここで説明した加速度軌道生成の技術を組み合わせることにより本発明を適用することができる。また、極座標系、円筒座標系等の動きを実現する各種搬送装置や、垂直多関節型、水平多関節型(スカラ型)、パラレルリンク型等の各種ロボット等に対しても本発明を適用できる可能性がある。
1,2,4,5…可動部制御装置、10…終端条件取得部、20,20'…加速度軌道生成部、30…可動部駆動部、40…記憶装置、41…サーボアンプ、42…サーボモータ、43…ボールねじ、45…ガイドレール、46…ナット、100…搬送装置、110…可動部、110a…スライダヘッド、112…ポスト、113…柔軟梁、114…錘、120…基台、C…コンピュータ、FP…可動部の柔軟部、MNP…マニピュレータ、PRG…プログラム

Claims (13)

  1. 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
    前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
    初速度0、終端時刻TTとしたとき、
    前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v を取得する場合、
    最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加され、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v を満たすような加速度軌道を生成し、
    当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
    ことを特徴とする可動部制御装置。
  2. 請求項1に記載の可動部制御装置において、
    前記第1フェーズの時間及び前記第3フェーズの時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定されている
    ことを特徴とする可動部制御装置。
  3. 請求項1に記載の可動部制御装置において、
    前記加速度軌道生成部は、
    前記可動部の位置をx (t)、速度をx ’(t)、加速度をx ”(t)(tは加減速開始後の時間)としたとき、
    P=T として、
    前記加速度軌道が、
    時間である前記第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて加速度0が印加され、続く(T-T )時間の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるような、次式
    Figure 0007142359000066
    ここで、T :最大加速度a max が連続して印加される時間
    △T:加速度0の時間
    を満たす加速度軌道を生成する
    但し、前記加速度軌道は、
    前記終端速度の前記終端条件
    Figure 0007142359000067
    及び前記加速度の振幅スペクトル条件
    Figure 0007142359000068
    を満たすものとし、
    前記条件を満たす前記T、T 、△Tとして
    Figure 0007142359000069
    m:
    Figure 0007142359000070
    1v :取り除くべき振動の周波数
    を用いる
    ことを特徴とする可動部制御装置。
  4. 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
    前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
    前記加速度軌道生成部は、
    時刻を時間分解能△t単位で離散化して扱い、
    前記可動部の位置をx (t)、速度をx ’(t)、加速度をx ”(t)(tは加減速開始後の時間)、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
    前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端速度v を取得する場合、
    最初のT/2時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さな加速度a が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて0ではない加速度a が印加され、続く(T-T/2)時間の第3フェーズにおいて前記加速度a が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度を満たすような、次式
    Figure 0007142359000071
    ここで、a 1、 :加速度、a <a max 、a はゼロ以外の値
    T/2:加速度a が連続して印加される時間
    △T:加速度a が連続して印加される時間、△t単位で離散化
    を満たす加速度軌道を生成し、
    但し、前記加速度軌道は、
    前記終端速度の前記終端条件
    Figure 0007142359000072
    及び前記加速度の振幅スペクトル条件
    Figure 0007142359000073
    を満たすものとし、
    前記条件を満たす前記T、△T、a 、a として
    Figure 0007142359000074
    m:
    Figure 0007142359000075
    1v :取り除くべき振動の周波数
    を用いる
    当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
    ことを特徴とする可動部制御装置
  5. 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
    前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
    初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
    前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x を取得する場合、
    最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加され、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて負の前記最大加速度a max が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x を満たすような加速度軌道を生成し、
    当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
    ことを特徴とする可動部制御装置
  6. 請求項5に記載の可動部制御装置において、
    前記第1フェーズの時間及び前記第3フェーズの時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定されている
    ことを特徴とする可動部制御装置。
  7. 請求項5に記載の可動部制御装置において、
    前記加速度軌道生成部は、
    前記可動部の位置をx (t)、速度をx ’(t)、加速度をx ”(t)(tは加減速開始後の時間)としたとき、
    p=T として、
    前記加速度軌道が、
    時間である前記第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて加速度0が印加され、続く(T-T )時間の第3フェーズにおいて負の前記最大加速度a max が印加されるような、次式
    Figure 0007142359000076
    ここで、T :最大加速度a max が連続して印加される時間
    △T:加速度0の時間
    を満たす加速度軌道を生成する
    但し、前記加速度軌道は、
    前記終端速度及び前記終端位置の前記終端条件
    Figure 0007142359000077
    並びに前記加速度の振幅スペクトル条件
    Figure 0007142359000078
    を満たすものとし、
    前記条件を満たす前記T、T 、△Tとして
    Figure 0007142359000079
    n:
    Figure 0007142359000080
    1v :取り除くべき振動の周波数
    を用いる
    ことを特徴とする可動部制御装置。
  8. 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
    前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
    前記加速度軌道生成部は、
    時刻を時間分解能△t単位で離散化して扱い、
    前記可動部の位置をx (t)、速度をx ’(t)、加速度をx ”(t)(tは加減速開始後の時間)、初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
    前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端速度0及び前記終端位置x を取得する場合、
    最初のT/2時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さな加速度a が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔT時間の第2フェーズをΔT/2時間ずつ分けた第1サブフェーズ及び第2サブフェーズとし、前記第1サブフェーズにおいて0ではない加速度a が印加され、前記第2サブフェーズにおいて負の前記加速度a が印加され、続くT/2時間の第3フェーズにおいて負の前記加速度a が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端位置を満たすような、次式
    Figure 0007142359000081
    ここで、a 1、 、-a 1、 -a :加速度、a <a max
    :ゼロ以外の値、|a |<|a
    T/2:加速度a が連続して印加される時間
    △T/2:加速度a が連続して印加される時間、△t単位で離散化
    を満たす加速度軌道を生成し、
    但し、前記加速度軌道は、
    前記終端位置の前記終端条件
    Figure 0007142359000082
    及び前記加速度の振幅スペクトル条件
    Figure 0007142359000083
    を満たすものとし、
    前記条件を満たす前記T、△T、a 1、 として
    Figure 0007142359000084
    n:
    Figure 0007142359000085
    1v :取り除くべき振動の周波数
    定数c 、c
    Figure 0007142359000086
    を満たす実数
    を用いる
    当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
    ことを特徴とする可動部制御装置。
  9. 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御方法であって、
    前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
    初速度0、終端時刻TTとしたとき、
    前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v を取得する場合、
    最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v を満たすような加速度軌道を生成し、
    当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
    ことを特徴とする可動部制御方法
  10. 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御方法であって、
    前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
    初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
    前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x を取得する場合、
    最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて逆方向の前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x を満たすような加速度軌道を生成し、
    当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
    ことを特徴とする可動部制御方法
  11. 請求項9又は10に記載の可動部制御方法であって、
    前記可動部の前記柔軟部における固有振動数測定して当該固有振動数f 1v を取得し前記加速度軌道生成ステップにフィードバックする固有振動数取得ステップを更に含み、
    前記加速度軌道生成ステップでは、フィードバックされた前記固有振動数 1v を含まないように前記加速度軌道を生成する、
    ことを特徴とする可動部制御方法。
  12. コンピュータに、
    柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御処理を行わせるプログラムであって、
    前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
    初速度0、終端時刻TTとしたとき、
    前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v を取得する場合、
    最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v を満たすような加速度軌道を生成し、
    当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
    ように可動部制御処理を行わせるプログラム
  13. コンピュータに、
    柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御処理を行わせるプログラムであって、
    前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
    初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
    前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x を取得する場合、
    最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて逆方向の前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x を満たすような加速度軌道を生成し、
    当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
    ように可動部制御処理を行わせるプログラム。
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