JP7142359B2 - 可動部制御装置、可動部制御方法及びプログラム - Google Patents
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Description
例えば搬送対象物(ワーク)のピックアップを想定する。可動部の本体が目標の位置に到着したとしても、可動部に装着されているチャック部分の残留振動が生じ整定時間が長引くと、その間、当該チャックはワークのピックアップを開始することができない。また例えば、画像取り込みによるワーク検査を想定すると、上記と同様に残留振動が生じ整定時間が長引くと、その間、チャックが把持しているワークの画像取り込み(例えばカメラによるワークの画像キャプチャ)を開始することができない。このように、残留振動は搬送装置のタクトタイムの短縮を阻害することに繋がっている。
ここでまず、制御対象である搬送装置の可動部について説明する。搬送装置の可動部は、実際には様々な態様を採りうるものであるが、可動部の制御を検討するにあたり、ここでは搬送装置の可動部を単純化しモデル化した上で以降の議論を進めるものとする。
搬送装置100は、図10(a)及び図10(b)に示すように、可動部110を備えている。可動部110は、例えばスライダヘッド110aで構成することができる。
また、搬送装置100は、基台120上に配置されたサーボモータ42、ボールねじ43、ガイドレール45等を有している。サーボモータ42のシャフト(符号なし)にはボールねじ43が接続され、このボールねじ43にはナット46が係合されている。また、ナット46には可動部110(スライダヘッド110a)が固定されている。この可動部110は、サーボモータ42が回転することにより、ボールねじ43及びナット46を介して1軸方向(ガイドレール45が延伸する方向)に沿って水平移動するようになっている。
可動部110の上面には、一端がポスト112を介して可動部110に固定支持された柔軟梁113と、当該柔軟梁113の他端に取り付けられた錘114とが配置されている《図10(a)及び図10(b)参照》。可動部110がサーボモータ42によって起動/制動されると、これに伴って錘114が振動するようになっている。
なお、本明細書における「可動部の柔軟部分FP」とは、このモデルで言うならば柔軟梁113及び錘114からなる梁-錘系を指すものとする。
(4-1)
図10(c)は、1自由度による可動部110のモデルを模式的に表した図である。上記した直動位置決め機構による可動部110及び可動部の柔軟部分FP(梁-錘系)は、図10(c)に示すようなモデルとして表現することができる。なお、図において、M1は可動部110の質量、M2は錘114の質量、kは柔軟梁113の等価弾性係数(ばね定数)、x 1 は可動部110の位置、x 2 は可動部110に対する錘114の変位である梁-錘系変位、Fは可動部110を駆動するための可動部駆動力、をそれぞれ示す。なお、「x 1 」、「x 2 」は、それぞれ、「x 1 (t)」、「x 2 (t)」を省略して表したものである。
錘の運動方程式(24)を整理すると、
従来のSST法及び本発明は、この点に着目して可動部110の加速度軌道の設計に工夫を凝らすことにより梁-錘系の振動を抑制することを検討したものである。
また、梁-錘系の残留振動の抑制を検討するにあたり、本明細書の全体を通じ制約条件及び境界条件(終端条件)を次のように定めるものとする。
x 1 ’(0)=0,x 1 ’(T)=v T ・・・(28)’
(終端条件は、x 1 ’(T)=v T )
とする。
ここで、以下の実施形態では、終端時刻Tの具体的な値としてTTを用いていることから、終端時刻TTを用いて書き直すと、境界条件は、
となる。
その上で、梁-錘系変位x 2 (t)(残留振動)を抑制し、かつ、TTが小さくなるような制振加速度軌道{x 1 ”(t)、0≦t<TT}を検討するものとする。
x 1 (0)=0,x 1 ’(0)=0,x 1 (T)=x T ,x 1 ’(T)=0・・(29)’
とする。
ここで、以下の実施形態では、終端時刻Tの具体的な値としてTTを用いていることから、終端速度を指定する場合と同様に、終端時刻TTを用いて書き直すと、境界条件は、
となる。
そして、同様に加速度軌道を検討するものとする。
従来のSST法は、可動部の柔軟部分の固有振動の成分(可動部の柔軟部分の共振周波数に対応する周波数成分)を実質的に0(ゼロ)とするように所定の条件を満たすパラメータを求め、当該パラメータの値を用いて所定の式に基づき可動部の加速度軌道を生成するという方法である。
例えば可動部の終端速度を指定する場合、取り除くべき振動の振動数、つまり成分を実質的に0とすべき振動の振動数(可動部の柔軟部分の固有振動数。すなわち梁-錘系の固有振動数)をf 1v とする。従来のSST法は、Tを、加減速を行う時間(単に「加速時間」ということがある)として、加速度軌道の角振動数である
ω 1v =2πf 1v ・・・(30)
の振幅スペクトルが、
なお、式(31)は固有振動数の成分が生じず実質的に0となるような条件を表しており、以下では「振幅スペクトル条件」ということもある。また、上記したパラメータ、所定の式等の詳細は特許文献1及び非特許文献1を参照されたい。
図11(a)は、従来のSST法によって生成された可動部110に印加すべき加速度軌道(単に「加速度軌道」ということがある)を示す。横軸は時刻を示し縦軸は加速度を示す。(加速度はx 1 の上にドットを2つ付けた記号としている。他の図でも同様。)図11(b)は可動部110の速度(単に「速度」ということがある)の推移を示す。(速度はx 1 の上にドットを1つ付けた記号としている。他の図でも同様。)横軸は時刻を示し縦軸は速度を示す。図11(c)は梁-錘系変位x 2 の推移を示す。横軸は時刻を示し縦軸は梁-錘系変位x 2 を示す。図11(a)~図11(c)の横軸のスケールは同じであり、可動部110が終端条件(終端速度)に到達する時刻である終端時刻は時刻TTとして示している。図11(d)は、加速度の振幅スペクトルを示す。横軸は周波数(振動数)を示し、縦軸は当該周波数に対応した強度(Amplitude)を示す。
となっている。換言すると、当該固有振動数f 1v の実質的な成分が結果的に0(ゼロ)となるような形で加速度軌道が生成されている。
この加速度軌道に基づいて可動部110に加速度を印加すると、可動部110は図11(b)に示すグラフの速度に沿って動くこととなる。可動部110は時刻TTになると指定された終端速度v T に到達する。このとき、梁-錘系変位x 2 をみると、図11(c)に示すように、可動部110が加速している間(時刻0~時刻TT)は変位しているものの、一旦、時刻TTにおいて可動部110が終端速度v T に到達すると、それ以降におけるx 2 の値は0に貼り付き、梁-錘系には振動が生じていない。
なお、「最短時間で加速した場合」とは、後述する「最短時間位置決め方式」により最大加速度amaxフラットで制御目標値まで加速し続けた場合をいう。ちなみにこの場合においては残留振動が生じる(後述)。
参考までに、最大加速度amax,及び最大速度v max は、位置決め機構(搬送装置及び可動部制御装置を併せて位置決め機構という)が有している素質・能力の限界とも関係し、制御を行う上での「制約」として位置付けられるものである。
前記加速度軌道生成部は、
前記可動部の位置をx 1 (t)、速度をx 1 ’(t)、加速度をx 1 ”(t)(tは加減速開始後の時間)としたとき、
P=T 1 として、
前記加速度軌道が、
T 1 時間である前記第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて加速度0が印加され、続く(T-T 1 )時間の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるような、次式
△T:加速度0の時間
を満たす加速度軌道を生成する
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度の前記終端条件
前記条件を満たす前記T、T 1 、△Tとして
を用いる
ことが好ましい。
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v T の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
前記加速度軌道生成部は、
時刻を時間分解能△t単位で離散化して扱い、
前記可動部の位置をx 1 (t)、速度をx 1 ’(t)、加速度をx 1 ”(t)(tは加減速開始後の時間)、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端速度v T を取得する場合、
最初のT/2時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さな加速度a 1 が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて0ではない加速度a 2 が印加され、続く(T-T/2)時間の第3フェーズにおいて前記加速度a 1 が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度を満たすような、次式
T/2:加速度a 1 が連続して印加される時間
△T:加速度a 2 が連続して印加される時間、△t単位で離散化
を満たす加速度軌道を生成し、
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度の前記終端条件
前記条件を満たす前記T、△T、a 1 、a 2 として
を用いる
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御することを特徴とする。
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x T の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加され、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて負の前記最大加速度a max が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする。
前記加速度軌道生成部は、
前記可動部の位置をx 1 (t)、速度をx 1 ’(t)、加速度をx 1 ”(t)(tは加減速開始後の時間)としたとき、
p=T 1 として、
前記加速度軌道が、
T 1 時間である前記第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて加速度0が印加され、続く(T-T 1 )時間の第3フェーズにおいて負の前記最大加速度a max が印加されるような、次式
△T:加速度0の時間
を満たす加速度軌道を生成する
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度及び前記終端位置の前記終端条件
前記条件を満たす前記T、T 1 、△Tとして
を用いる
ことが好ましい。
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x T の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
前記加速度軌道生成部は、
時刻を時間分解能△t単位で離散化して扱い、
前記可動部の位置をx 1 (t)、速度をx 1 ’(t)、加速度をx 1 ”(t)(tは加減速開始後の時間)、初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端速度0及び前記終端位置x T を取得する場合、
最初のT/2時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さな加速度a 1 が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔT時間の第2フェーズをΔT/2時間ずつ分けた第1サブフェーズ及び第2サブフェーズとし、前記第1サブフェーズにおいて0ではない加速度a 2 が印加され、前記第2サブフェーズにおいて負の前記加速度a 2 が印加され、続くT/2時間の第3フェーズにおいて負の前記加速度a 1 が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端位置を満たすような、次式
a 2 :ゼロ以外の値、|a 2 |<|a 1 |
T/2:加速度a 1 が連続して印加される時間
△T/2:加速度a 2 が連続して印加される時間、△t単位で離散化
を満たす加速度軌道を生成し、
但し、前記加速度軌道は、
前記終端位置の前記終端条件
前記条件を満たす前記T、△T、a 1、 a 2 として
定数c 1 、c 2 :
を用いる
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする。
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v T の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御方法であって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする。
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x T の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御方法であって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて逆方向の前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする。
前記可動部の前記柔軟部における固有振動数を測定して当該固有振動数f 1v を取得し前記加速度軌道生成ステップにフィードバックする固有振動数取得ステップを更に含み、
前記加速度軌道生成ステップでは、フィードバックされた前記固有振動数f 1v を含まないように前記加速度軌道を生成する、
ことが好ましい。
コンピュータに、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v T の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御処理を行わせるプログラムであって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ように可動部制御処理を行わせるプログラムである。
コンピュータに、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x T の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御処理を行わせるプログラムであって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて逆方向の前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ように可動部制御処理を行わせるプログラムである。
1.実施形態1に係る可動部制御装置1の構成
(1)可動部制御装置1の基本構成
実施形態1に係る可動部制御装置1は、搬送装置100の可動部110の動作を制御するための装置である。
ここでの「搬送装置100」の中には、ワークを実際に搬送する装置は勿論のこと、ワーク自体を搬送しない装置、例えばハンドの先端に工具が装着された加工用ロボット、ハンドの先端にセンサ(カメラ等)が装着された検査用ロボット等もここでいう「搬送装置100」に含まれる。制御対象たる「可動部110」についても、種々の可動部を適用できる可能性があるが、実施形態1においては、例えば図10(a)及び図10(b)に示すような1軸のスライダヘッド110aを用いるものとする。
図1に示すように、可動部制御装置1は、少なくとも終端条件取得部10と加速度軌道生成部20とを備える。
詳細は後述するが、終端条件取得部10は、可動部110の動作の終端条件(終端速度v T 、終端位置x T 等)を取得する。加速度軌道生成部20は、取得した(与えられた)終端条件、所定のパラメータ(振動数f 1v 、最大加速度amax等)に基づいて可動部110に印加すべき加速度軌道を生成する。可動部制御装置1は、更に記憶装置40を備えていてもよい。記憶装置40は、終端条件に対応したデータ、加速度軌道に対応したデータ等を記憶する。以下、終端条件に対応したデータ(終端条件データ)を単に「終端条件」といい、加速度軌道に対応したデータを単に「加速度軌道」ということがある。
可動部駆動部30は、例えば、その機能の一部についてはプロセッサで実現され、トルク指令の出力段及びマニピュレータMNPからのフィードバック信号の入力段についてはD/A変換回路,A/D変換回路等で実現されている。
可動部駆動部30は、記憶装置40に記憶された加速度軌道に基づき、可動部110に印加すべき加速度に対応したトルク指令をマニピュレータMNPのサーボアンプ41に出力する。マニピュレータMNPは、例えばサーボアンプ41、サーボアンプ41に接続されたサーボモータ42、サーボモータ42のシャフト(図示を省略)に接続されたボールねじ43、及び、ボールねじ43に係合された可動部110を有している。
可動部駆動部30からトルク指令を受けたマニピュレータMNPは、指令されたトルクの大きさに応じた可動部駆動力F《図10(c)参照》を可動部110に付与し、それによって可動部110に対し加速度を印加する。
しかし、実施形態1はこれに限定されるものではない。例えば、終端条件取得部10及び加速度軌道生成部20については、所定の記憶装置40を用いながら所定のプロセッサ(コンピュータC等)の上で実現し、別途の記憶装置(図示を省略)に加速度軌道のデータを記憶させながら、ターゲット(搬送装置100の実機)を実際に動作させるための可動部駆動部30については、一部の機能を別途のプロセッサ(ターゲット用プロセッサ)の上で実現するように構成してもよい。
終端条件取得部10は、可動部110の動作の終端条件を取得する。
「可動部110の動作の終端条件」とは、可動部110の被制御量(速度、位置等)の制御目標値である。具体的には可動部110の終端速度v T 、終端位置x T 等の値をいう。
また、「終端条件を取得する」の「取得」には、記憶装置に予め記憶されている終端条件データを当該記憶装置から読み出すことによる取得、所定のヒューマン・インターフェース(入力装置)によって終端条件を入力することによる取得、ネットワーク回線等により送信されてきた終端条件データを受信することによる取得など、どのような態様によるものであってもよいが、実施形態1においては、予め記憶装置40に記憶されている終端条件データを当該記憶装置40から読み出すことによるものとする。
なお本明細書において「終端条件を指定される」というときがあるが、これは「終端条件を取得する」と同じ意味内容を表す。
加速度軌道生成部20は、終端条件取得部10によって取得された終端条件、可動部の柔軟部FP(図10参照)に励起される振動の固有振動数、及び、可動部110に印加可能な最大加速度amaxに基づき、制御シーケンスに係る加速度軌道を生成する。なお、ここで生成する加速度軌道は、最大加速度amaxを超えない加速度によって規定される。
またその際、可動部110が動作開始してから終端条件に到達するまでの間(時刻0から時刻TTまでの間)の制御シーケンスの全時間を通してみたときに固有振動数f 1v の成分が生じないようにしながら、制御シーケンスに係る加速度軌道を生成する。
実施形態1の加速度軌道生成の詳しい説明に先立ち、本発明の比較例である「最短位置決め方式」による加速度軌道について説明する。
なお、以降の図2~図4、図6~図7及び図9における加速度軌道、速度の推移、可動部の位置(単に「位置」ということがある)の推移、梁-錘系変位x 2 の推移及び加速度の振幅スペクトルの各グラフに描かれている横軸及び縦軸の説明は、上記した図11における説明をそれぞれ援用する。
終端速度vTと最大加速度amaxが指定された場合、可動部110の移動時間を最短にする加速度軌道は、最短時間問題の解として知られている。
終端速度vTが指定された場合の終端時刻Tは、上記したパラメータの制約条件の下で、次式(32)となる《図2(a)及び図2(b)も併せて参照》。
終端位置と最大速度及び最大加速度とが指定された場合、移動時間を最短にする加速度軌道は終端位置によって異なる。
加速時間Ta及び終端時刻Tを
本明細書におけるパラメータの数値例は、後者(ii)の場合に該当し, 終端時刻TはT=63.2[ms]となっており最短の時間となっている。しかしながら、発明者が行ったシミュレーションによれば、上記(i)と同様に、可動部の加速度の振幅スペクトルをみると系の固有振動数f 1v の成分が0(ゼロ)とはなっておらず、固有振動数f 1v の成分が生じているため、かかる成分が起因となって残留振動を励起していることが分かっている(図示を省略)。
次に、実施形態1の加速度軌道生成部20による加速度軌道の生成について説明する。
(a)検討
従来のSST法による加速度軌道、「最短位置決め方式」による加速度軌道等の課題を改善するため、実施形態1では最大加速度amaxを使いながらも上記課題を克服可能な加速度軌道の生成を検討する。但し、加減速を行う時間のすべてにおいて最大加速度amaxを用いた加速度軌道とすると、上記した「最短位置決め方式」による加速度軌道と等価な軌道になってしまい《図2(a)及び図2(b)参照》、一般には残留振動が生じてしまう。
終端速度vTを指定されたときの加速度軌道の一例として、次式(38)
f 1v =f n ・・・(39)
としたときT=33.2[ms]、T1=16.6[ms]、ΔT≒ 2.6[ms]となる。この算出結果に基づいて生成された加速度軌道によるシミュレーションを図3に示す。
加速度軌道生成部20が生成した当該加速度軌道は、最大加速度amaxを超えることはない。
なお、実施形態1による加速時間は約35.8[ms]で、最短時間位置決め方式による加速時間Tminに比べて2.6[ms]余分に時間を要しており、(Tmin+2.6[ms])となっている。しかしながら、この実施形態1による加速時間は、発明者が別の比較例として残留振動を生じない方式で生成した加速度軌道(図示及び説明を省略)による加速時間(Tmin+5.1[ms])に比べると、最短時間位置決め方式を基準とする加速時間の劣化は50%まで圧縮され、大きく改善している。
以上のことから、実施形態1に係る可動部制御装置1は次の構成を具備している。
可動部制御装置1の加速度軌道生成部20は、第1フェーズPS1においては、第1絶対値(|a1|)を有する加速度をもってp(但し、0<p=T 1 <T)の時間をかけて可動部が動作し、続く第2フェーズにおいては、第1絶対値よりも小さい第2絶対値(|a2|)を有する加速度をもって所定時間ΔTをかけて可動部が動作し、続く第3フェーズにおいては、第1絶対値(|a1|)を有する加速度をもって(T-p=T-T 1 )の時間をかけて可動部が動作するように加速度軌道を生成するものとなっている《図3(a)並びに後述する図6(a)及び図9参照》。
(a)検討
終端位置xTを指定されたときの加速度軌道の生成についても、上記(5-A)節で行った検討と同様の検討を行う。
終端位置指定の場合にも、加減速を行う時間のすべてにおいて最大加速度amaxを用いた加速度軌道とすると、上記した「最短位置決め方式」による加速度軌道と等価な軌道になってしまい《図2(c)及び図2(d)参照》、一般には残留振動が生じてしまう。
終端位置xTを指定されたときの加速度軌道の一例として、次式(40)
(定理6.2)パラメータを、
f 1v =f n ・・・(39)
としたときに、n=3であり、T=52.2[ms]、T1=26.1[ms]、ΔT≒12.2[ms]となる。この算出結果に基づいて生成された加速度軌道によるシミュレーションを図4に示す。
加速度軌道生成部20が生成した当該加速度軌道は、最大加速度amaxを超えることはない。
なお、実施形態1による加速時間は約64.4[ms]で、最短時間位置決め方式による加速時間Tminに比べて1.2[ms]余分に時間を要しており、(Tmin+1.2[ms])となっている。しかしながら、この実施形態1による加速時間は、発明者が別の比較例として残留振動を生じない方式で生成した加速度軌道(図示及び説明を省略)による加速時間(Tmin+12.2[ms])に比べると、最短時間位置決め方式を基準とする加速時間の劣化は10%まで圧縮され、大きく改善している。
以上のことから、実施形態1に係る可動部制御装置1は次の構成を具備している。
可動部制御装置1の加速度軌道生成部20は、第1フェーズPS1においては、第1絶対値(|a1|)を有する加速度をもってp(但し、0<p<T)の時間をかけて可動部が動作し、続く第2フェーズPS2においては、第1絶対値よりも小さい第2絶対値(|a2|)を有する加速度をもって所定時間ΔTをかけて可動部が動作し、続く第3フェーズPS3においては、第1絶対値(|a1|)を有する加速度をもって(T-p)の時間
をかけて可動部が動作するように加速度軌道を生成するものとなっている《図4(a)及び後述する図7(a)参照》。
一方、式(12)及び後述する式(18)は、式(15)で定義されるnを含んでいるものの、これらの式は振動抑制の制約の下で式(36)に準じたものとなっている。したがって『「最短時間位置決め方式」によって前記可動部の位置決めを行った場合の所要時間』の中には、振動抑制の制約の下で式(36)に準ずる場合も含まれるものとする。
上記からも理解されるように、実施形態1に係る可動部制御装置1によれば、制御目標として終端速度vTを指定された場合であっても、終端位置xTを指定された場合であっても、次の効果を奏する。
別言すると、実施形態1に係る可動部制御装置1によれば、残留振動の抑制は1次的な目標として必達させながらも、実装性の向上及び移動時間の短縮についてもバランスよく獲得することができる。
つまり、加速度軌道の設計(生成)に当たっては、第1フェーズPS1の時間及び第3フェーズPS3の時間の比率については固定しておきつつ、第2フェーズPS2の時間であるΔTについて、固有振動数f 1v の成分を除去できる適切な値を求める設計(生成)を行えばよいため、設計がシンプルとなり実装性をより高めることができる。
次に、図5を用いて実施形態1に係る可動部制御方法について説明する。
図5は、実施形態1に係る可動部制御方法を説明するためのフローチャートである。
加速度軌道生成ステップS20は、終端条件取得ステップS10によって取得された終端条件、可動部110に印加される加速度により可動部の柔軟部FPに励起される振動の固有振動数f 1v 、及び、可動部110に印加可能な最大加速度amaxに基づき、可動部110が動作開始して(時刻0)から終端条件に到達するまで(時刻TT)の間の制御シーケンスの全時間を通してみたときに固有振動数f 1v の成分が生じないようにしながら、制御シーケンスに係る加速度軌道を生成する。このとき生成される加速度軌道は最大加速度amaxを超えない加速度によって規定される《図3、図4、並びに後述する図6、図7及び図9も併せて参照》。
可動部駆動ステップS30は、加速度軌道生成ステップS20によって生成された加速度軌道に基づき、可動部110に加速度を印加して可動部110を駆動する。
次に、図1及び図5を参照しながら、実施形態1に係るプログラムについて説明する。
上記した終端条件取得部10及び加速度軌道生成部20における処理、並びに、終端条件取得ステップS10及び加速度軌道生成ステップS20(これらを「一連の処理」とする)は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。
かかる一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、終端条件取得部10及び加速度軌道生成部20の一部として構成しているプロセッサ(図1ではコンピュータC)に対し、メインメモリ(図示を省略)を介して当該ソフトウエアを構成するプログラムを読み込ませ、当該プロセッサに当該プログラムを実行させることで、これを実現することができる(図1参照)。
ッサ(コンピュータC)に行わせる《図3、図4、並びに後述する図6、図7及び図9も併せて参照》。
ところで「離散化誤差」については[実施形態1]2.実施形態1に係る可動部制御装置1の効果の欄で触れたが、ここで若干の補足をする。
実施形態1の加速度軌道生成部20又は加速度軌道生成ステップS20によると、例えば数値例に基づいて加速度軌道を画定すると、図3(a)において計算上はT1=16.6[ms],T1+ΔT=19.2[ms],TT=35.8[ms]となる。実機における時間分解能の程度にもよるが、例えば時間分解能Δt=0.5[ms]としたときには、実施形態1の計算上の時刻を丁度とることができない場合もあるため、計算上の時刻を経過した直後の離散時刻を採用することとなる(但し、経過する直前の離散時刻を採用する方法もある)。こうした場合、T1’=17.0[ms],T1’+ΔT=19.5[ms],TT’=36.0[ms]ということになる。この場合、離散化誤差により終端時刻が0.2[ms]程度の差が生じることになり、図示は省略するが、シミュレーションを行うと終端速度vTも実施形態1における計算上の終端速度vTに対し若干の差が生じ、また、残留振動も若干残ることが確認できる。
実施形態2に係る可動部制御装置2(装置の図示を省略)は、基本的には実施形態1に係る可動部制御装置1と同様の構成を有するが、主に加速度軌道の第2フェーズPS2における加速度の値として非0(ゼロ)の値を適用している点において実施形態1に係る可動部制御装置1とは異なる。そこで、実施形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施形態1と共通する他の部分については、符号を付しての図示及びそれらの説明は省略する。
図6は、実施形態2に係る可動部制御装置2による終端速度指定の位置決めを説明するために示すグラフである。図6(a)は、準最短SST法に離散時刻への対応を加えた方法(準最短SST法の離散時刻対応)により生成された加速度軌道を示し、図6(b)は速度の推移を示し、図6(c)は梁-錘系変位x 2 の推移を示し、図6(d)は加速度の振幅スペクトルを示す。図7は、実施形態2に係る可動部制御装置2による終端位置指定の位置決めを説明するために示すグラフである。図7(a)は、準最短SST法の離散時刻対応により生成された加速度軌道を示し、図7(b)は位置の推移を示し、図7(c)は梁-錘系変位x 2 の推移を示し、図7(d)は加速度の振幅スペクトルを示す。
その上で、可動部制御装置2(図示を省略)は、第2フェーズPS2における加速度の値として非0(ゼロ)の値を適用した加速度軌道を生成する。
実施形態2の加速度軌道生成部20’(装置の図示は省略)は、上記したように、実施形態1による加速度軌道とは異なる加速度軌道を生成するため、ここでは加速度軌道生成部20’による加速度軌道の生成を中心に説明を続ける。
(a)検討
終端速度vTを指定されたときの加速度軌道の一例として、次式(41)
加速度軌道(41)に対する境界条件(終端条件)と振幅スペクトル条件はそれぞれ次のように書くことができる。
f 1v =f n ・・・(39)
とし、時刻の離散化単位をΔt=1[ms]として、加速度軌道(41)を求めると、T=34[ms]、T/2=T1=17[ms]、ΔT=3[ms]であり、いずれもΔtの整数倍となっている。加速度は、a1≒9.33[m/s 2 ]、a2≒4.92[m/s 2 ]となる。
この算出結果に基づいて生成された加速度軌道によるシミュレーションを図6に示す。
加速度軌道生成部20’が生成した当該加速度軌道は、最大加速度amaxを超えることはない。
なお、ここでの加速時間はT+ΔT=37[ms]となり、実施形態1による加速時間(35.8[ms])に対して最小限の劣化に収まっている。
以上のことから、実施形態2に係る可動部制御装置2は次の構成を具備している。
なお、可動部制御装置2による加速度軌道(終端速度vT指定)の基本的な骨子は、実施形態1に係る可動部制御装置1(終端速度vT指定)と同様であるため実施形態1における説明《(b)実施形態1に係る可動部制御装置1による加速度軌道(終端速度vT指定)》を援用する。
(a)検討
終端位置xTを指定されたときの加速度軌道の生成についても、上記(2-A)節で行った検討と同様の検討を行う。
加速度軌道を次式(43)の形とする。但し、T及びΔTは2Δtで離散化されているものとする。
(定理7.2)パラメータを、
による実数である。
f 1v =f n ・・・(39)
として、上記内容に基づき加速度軌道(43)を求めると、T=54[ms]、ΔT=12[ms]であり、いずれも2Δtの整数倍となっている。加速度は、a1≒9.48[m/s 2 ]、a2≒0.56[m/s 2 ]となる。
この算出結果に基づいて生成された加速度軌道によるシミュレーションを図7に示す。
加速度軌道生成部20’が生成した当該加速度軌道は、最大加速度amaxを超えることはない。
なお、ここでの加速時間はT+ΔT=66[ms]となり、実施形態1による加速時間(64.4[ms])に対して最小限の劣化に収まっている。
以上のことから、実施形態2に係る可動部制御装置2は次の構成を具備している。
なお、可動部制御装置2による加速度軌道(終端位置xT指定)の基本的な骨子は、実施形態1に係る可動部制御装置1(終端位置xT指定)と同様であるため実施形態1における説明《(b)実施形態1に係る可動部制御装置1による加速度軌道(終端位置xT指定)》を援用する。
すなわち、可動部制御装置2は、可動部の動作の終端条件として終端位置xTを取得する終端条件取得部10を備える。
ここで、可動部110が動作を開始してから終端位置xTに到達するまでの期間を制御期間としたときに、制御期間は第1フェーズPS1、第2フェーズPS2及び第3フェーズPS3をこの順番で含むものとする。
このとき、可動部制御装置2は、第1フェーズPS1において、正の第1加速度(+a1)をもって可動部110が加速し、第2フェーズPS2の第1サブフェーズSPS1において、正の第2加速度(+a2)をもって所定時間ΔTの1/2の時間をかけて可動部110が加速し(但し、第2加速度の絶対値は第1加速度の絶対値よりも小さいものとする)、続く第2フェーズPS2の第2サブフェーズSPS2において、負の第2加速度(-a2)をもって所定時間ΔTの1/2の時間をかけて可動部110が減速し、第3フェーズPS3において、負の第1加速度(-a1)をもって可動部110が減速するよう構成されている。
実施形態2に係る可動部制御装置2においては、上記したように、第2フェーズPS2の値は0(ゼロ)であるという制約を外しつつ、時刻の離散化単位等の制約となる離散時刻の要素(時間分解能Δt)を加味して加速度軌道を生成している。
このように可動部制御装置2は時刻の離散化単位等の制約からくる離散化誤差を予め織り込んで加速度軌道を生成しているので、時刻の離散化単位等の制約から加速度軌道の横軸(時間軸)の値が離散的にしか取れない状況においても、制御目標値(vT,xT)の到達ズレ込みや残留振動の発生を予め抑制することができる。
また、上記においては可動部制御装置2の構成について説明したが、実施形態1に係る可動部制御方法及びプログラムに対しても、この実施形態2に係る可動部制御装置2で説明した技術的特徴を取り込むことができ、上記において説明した可動部制御装置2が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
実施形態3に係る可動部制御方法は、基本的には実施形態1に係る可動部制御方法及びこれを援用した実施形態2に係る可動部制御方法と同様の構成を有するが、固有振動数の変動をフィードバックして適応制御する点において実施形態1及び実施形態2に係る可動部制御方法とは異なる。
実施形態3に係る可動部制御方法は、図8に示すように、固有振動数取得ステップS50を更に含んでいる。
固有振動数取得ステップS50は、可動部110の柔軟部FPにおける固有振動数を測定して、当該固有振動数を最新固有振動数(最新の固有振動数)として取得する。
その上で、加速度軌道生成ステップS20では、固有振動数取得ステップS50によって取得した最新固有振動数を取り除くべき固有振動数f 1v として加速度軌道を生成するものとなっている。
また、上記においては可動部制御方法の構成について説明したが、実施形態1及び実施形態2に係るプログラムに対しても、ここで説明した技術的特徴を取り込むことができ、実施形態3に係る可動部制御方法が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
なお、図9は、変形例1及び変形例2に係る可動部制御装置4,5(図には符号4,5は付していない)の加速度軌道を示すグラフである。
本明細書においては制御対象となる搬送装置/可動部の一例として1軸のスライダヘッドを取り上げて説明したが、これに限定されるものではない。1自由度に限らず複数自由度の座標系、例えば、xyz直交座標系の動きを実現する各種搬送装置に対しても、ここで説明した加速度軌道生成の技術を組み合わせることにより本発明を適用することができる。また、極座標系、円筒座標系等の動きを実現する各種搬送装置や、垂直多関節型、水平多関節型(スカラ型)、パラレルリンク型等の各種ロボット等に対しても本発明を適用できる可能性がある。
Claims (13)
- 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v T の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加され、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする可動部制御装置。 - 請求項1に記載の可動部制御装置において、
前記第1フェーズの時間及び前記第3フェーズの時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定されている
ことを特徴とする可動部制御装置。 - 請求項1に記載の可動部制御装置において、
前記加速度軌道生成部は、
前記可動部の位置をx 1 (t)、速度をx 1 ’(t)、加速度をx 1 ”(t)(tは加減速開始後の時間)としたとき、
P=T 1 として、
前記加速度軌道が、
T 1 時間である前記第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて加速度0が印加され、続く(T-T 1 )時間の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるような、次式
△T:加速度0の時間
を満たす加速度軌道を生成する
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度の前記終端条件
前記条件を満たす前記T、T 1 、△Tとして
を用いる
ことを特徴とする可動部制御装置。 - 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v T の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
前記加速度軌道生成部は、
時刻を時間分解能△t単位で離散化して扱い、
前記可動部の位置をx 1 (t)、速度をx 1 ’(t)、加速度をx 1 ”(t)(tは加減速開始後の時間)、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端速度v T を取得する場合、
最初のT/2時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さな加速度a 1 が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて0ではない加速度a 2 が印加され、続く(T-T/2)時間の第3フェーズにおいて前記加速度a 1 が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度を満たすような、次式
T/2:加速度a 1 が連続して印加される時間
△T:加速度a 2 が連続して印加される時間、△t単位で離散化
を満たす加速度軌道を生成し、
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度の前記終端条件
前記条件を満たす前記T、△T、a 1 、a 2 として
を用いる
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする可動部制御装置。 - 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x T の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加され、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて負の前記最大加速度a max が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする可動部制御装置。 - 請求項5に記載の可動部制御装置において、
前記第1フェーズの時間及び前記第3フェーズの時間は、p=T/2の関係を満たすようにしてそれぞれ設定されている
ことを特徴とする可動部制御装置。 - 請求項5に記載の可動部制御装置において、
前記加速度軌道生成部は、
前記可動部の位置をx 1 (t)、速度をx 1 ’(t)、加速度をx 1 ”(t)(tは加減速開始後の時間)としたとき、
p=T 1 として、
前記加速度軌道が、
T 1 時間である前記第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて加速度0が印加され、続く(T-T 1 )時間の第3フェーズにおいて負の前記最大加速度a max が印加されるような、次式
△T:加速度0の時間
を満たす加速度軌道を生成する
但し、前記加速度軌道は、
前記終端速度及び前記終端位置の前記終端条件
前記条件を満たす前記T、T 1 、△Tとして
を用いる
ことを特徴とする可動部制御装置。 - 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x T の終端条件を取得する終端条件取得部と、前記終端条件取得部によって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成部と、を備え、前記加速度軌道生成部が、周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御装置であって、
前記加速度軌道生成部は、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
前記加速度軌道生成部は、
時刻を時間分解能△t単位で離散化して扱い、
前記可動部の位置をx 1 (t)、速度をx 1 ’(t)、加速度をx 1 ”(t)(tは加減速開始後の時間)、初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得部が、前記終端条件として前記終端速度0及び前記終端位置x T を取得する場合、
最初のT/2時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さな加速度a 1 が前記可動部に印加され、続く所定時間ΔT時間の第2フェーズをΔT/2時間ずつ分けた第1サブフェーズ及び第2サブフェーズとし、前記第1サブフェーズにおいて0ではない加速度a 2 が印加され、前記第2サブフェーズにおいて負の前記加速度a 2 が印加され、続くT/2時間の第3フェーズにおいて負の前記加速度a 1 が印加されるようにするとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端位置を満たすような、次式
a 2 :ゼロ以外の値、|a 2 |<|a 1 |
T/2:加速度a 1 が連続して印加される時間
△T/2:加速度a 2 が連続して印加される時間、△t単位で離散化
を満たす加速度軌道を生成し、
但し、前記加速度軌道は、
前記終端位置の前記終端条件
前記条件を満たす前記T、△T、a 1、 a 2 として
定数c 1 、c 2 :
を用いる
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする可動部制御装置。 - 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v T の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御方法であって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする可動部制御方法。 - 柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x T の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御方法であって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて逆方向の前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ことを特徴とする可動部制御方法。 - 請求項9又は10に記載の可動部制御方法であって、
前記可動部の前記柔軟部における固有振動数を測定して当該固有振動数f 1v を取得し前記加速度軌道生成ステップにフィードバックする固有振動数取得ステップを更に含み、
前記加速度軌道生成ステップでは、フィードバックされた前記固有振動数f 1v を含まないように前記加速度軌道を生成する、
ことを特徴とする可動部制御方法。 - コンピュータに、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度v T の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御処理を行わせるプログラムであって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度v T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度v T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ように可動部制御処理を行わせるプログラム。 - コンピュータに、
柔軟部が固定支持された可動部の制御目標値である終端速度0及び終端位置x T の終端条件を取得する終端条件取得ステップと、前記終端条件取得ステップによって取得された前記終端条件を満たすように前記可動部の加速度軌道を生成する加速度軌道生成ステップと、を含み、前記加速度軌道生成ステップで周波数整形の手法によって前記可動部の柔軟部分の固有振動数f 1v を含まないような加速度軌道を生成して前記可動部の動作を制御する可動部制御処理を行わせるプログラムであって、
前記加速度軌道生成ステップは、前記加速度軌道が前記可動部に印加可能な最大加速度a max を超えない加速度によって規制され、
初期位置0、初速度0、終端時刻TTとしたとき、
前記終端条件取得ステップで前記終端条件として前記終端時刻TTにおける前記終端速度0及び前記終端位置x T を取得する場合、
最初のp時間の第1フェーズにおいて前記最大加速度a max が前記可動部に印加されるステップと、続く所定時間ΔTの第2フェーズにおいて前記最大加速度a max より小さい加速度が印加されるステップと、続く(T-p)時間(Tは、前記可動部に前記最大加速度a max が印加される時間の合計時間)の第3フェーズにおいて逆方向の前記最大加速度a max が印加されるステップを含むとともに、前記第3フェーズ終了時である前記終端時刻TTに前記終端条件としての前記終端速度0及び前記終端位置x T を満たすような加速度軌道を生成し、
当該加速度軌道により、前記第3フェーズ終了後、前記柔軟部の残留振動が抑制されるように前記可動部の動作を制御する
ように可動部制御処理を行わせるプログラム。
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