JP5168482B2 - 制振位置決め制御方法および装置 - Google Patents
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Description
この移動体は、荷物1が弾性アーム2を介して移動台車3に固定された1自由度のばね−質点系モデルである。かかるモデルは、ロボットアーム、クレーン等に適用することができる。
前記移動体の振動を1自由度のばね−質点系でモデル化し、前記モデルの固有周期を求め、加速・減速時の加速度パターンをジャーク一定の増速及び減速を含む台形パターンとし、各ジャーク一定時間を固有周期の整数倍として、加速度パターンを設定し、
前記加速度パターンで移動体の移動を制御し、
前記移動中の移動体の状態変数を検出し、前記加速度パターンによる状態変数の目標値と検出した状態変数の現在値との偏差に基づき移動体をフィードバック制御し、
同一条件下で、加速終了時および減速終了時の残留振れを複数計測し、
前記複数の残留振れの平均値を算出し、
前記残留振れの平均値が所定の閾値以上である場合、残留振れが小さくなるように固有周期の補正値を増減させる、ことを特徴とする制振位置決め制御方法が提供される。
加速度をジャーク一定で減少させ、次いで加速度を一定に保持し、次いで加速度をジャーク一定で0まで増加させる減速パターンと、
前記増速パターンと減速パターンの間に位置し加速度を0に保持する等速パターンとを有する。
加速開始時、加速終了時、減速開始時、及び減速終了時における固有周期を質点の位置に基づきそれぞれ導出し、
加速開始時、加速終了時、減速開始時、及び減速終了時における各ジャーク一定時間を、前記導出したそれぞれの固有周期の整数倍とする。
前記移動体の振動を1自由度のばね−質点系でモデル化し、前記モデルの固有周期を求め、加速・減速時の加速度パターンをジャーク一定の増速及び減速を含む台形パターンとし、各ジャーク一定時間を固有周期の整数倍として、加速度パターンを設定する加速度パターン設定装置と、
前記加速度パターンで移動体の移動を制御する移動制御装置と、
前記移動中の移動体の状態変数を検出する状態変数検出装置と、
前記加速度パターンによる状態変数の目標値と検出した状態変数の現在値との偏差に基づき移動体をフィードバック制御するフィードバック制御装置とを備え、
同一条件下で、加速終了時および減速終了時の残留振れを複数計測し、
前記複数の残留振れの平均値を算出し、
前記残留振れの平均値が所定の閾値以上である場合、残留振れが小さくなるように固有周期の補正値を増減させる、ことを特徴とする制振位置決め制御装置が提供される。
さらに、加速度パターンが容易に設定可能であり、強度設計に必要以上の余裕度をもうける必要が無くなる。
さらに、等加速度の時間を任意としても振止効果に違いが無いため、最大速度を可変とした場合の速度パターンの設定が容易となる。
ここで、kはばね定数、θは角度、Mは台車質量、fは駆動力、gは重力加速度である。
また、移動台車3は、本発明の制振位置決め制御装置10により、荷物1の状態変数(後述する)をリアルタイムで計測し、クローズループでフィードバック制御するようになっている。
さらに、式(1)と式(2)から、ラグランジェ運動方程式は、式(3)(4)で表される。ここで、θは微小であり、cosθ=1、sinθ=θとする。
また、自由な走行状態における振動の固有周期Tは、式(4)から式(5)で表される。
ここで、式(6)の右辺をF(t)とおき、角速度ω=2π/T・・・(6a)の関係を用いると式(6)は式(7)となる。
式(7)は、非同次二階微分方程式であり、その解は、式(8)で与えられる。
式(9)において、sinω(t−tr)=sinωt・cosωtr−cosωt・sinωtr=sinωt・cos2nπ−cosωt・sin2nπ=sinωt・・・(6c)が成り立つ。
従って、式(9)は、式(10)で表すことができる。
θ=1/(ω2L)・・・(10)
この図から、1自由度のばね−質点系でモデル化できる振動要素をもつ制御対象において、一定の傾きで加速度を変化させとき(以下、「ジャーク一定」と呼ぶ)の加速度変化時間(「ジャーク一定時間」)が固有周期の整数倍のときに、その振れが、加速度によって生じる振れ(静的なたわみ)のみとなることがわかる。
以下、本出願において、ジャーク一定時間を固有周期の整数倍に設定する制御を「ジャーク一定制御」と呼ぶ。
また、ジャーク一定制御では等加速度の時間を任意としても振止効果に違いが無いため、最大速度を可変とした場合の速度パターン算出が容易となる。
この図に示すように、本発明の制振位置決め制御装置10は、加速度パターン設定装置12、移動制御装置14、状態変数検出装置16およびフィードバック制御装置18からなる。
この例において、弾性アーム2の根元に歪み計4(例えば歪ゲージ)、荷物1と移動台車3に加速度計5,6を設置し、外部に荷物1と移動台車3の位置を計測するレーザ距離計7,8を設置し、それぞれの歪み、加速度及び位置を制振位置決め制御装置10に入力するようになっている。
オブザーバに用いる計測値には、位置、速度、振れ角度、振れ角速度以外に弾性アームの先端位置、先端加速度、たわみ、移動台車のモータ駆動トルク、モータ電流などが適用できる。制御出力には、速度指令以外にモータ駆動トルク、モータ電流などが適用できる。
この図においてX(t)は状態変数ベクトル、U(t)は入力変数ベクトル、A(t)とB(t)は行列関数、Fはフィードバック係数行列である。X(t)、U(t)及びZを、数4の式(11)(12)(13)で定義する。なお、状態変数ベクトルX(t)の状態変数は、移動台車の位置と速度、弾性アームの振れ角度と振れ角速度である。
なお、式(15)におけるk1,k2,k3,k4はフィードバックゲインであり、予め設定する。また、式(16)におけるQ,Rは重み行列である。
なお、本発明は最適レギュレータを用いたフィードバック制御に限定されず、多入力制御である限りで、その他の周知フィードバック制御を適用することができる。
従来例との比較のため、この図において、加速に要する時間を図6(A)と同じ固有周期の4倍となるように調整し、さらに加速後の最大速度が図6(A)と一致するような最大加速度を設定した。このとき、この図の最大加速度は図6(A)に比べて大きなものとなるが、最大振れ(たわみ量)はこの図のほうが小さくなることがわかる。
また、図6(A)では短い間に4回アームが振動するのに対し、図6(B)では1回の振動(たわみ)となるため、本発明の例ではアームの疲労も少なくなる。
この図において、横軸は経過時間、縦軸は加速度である。この図は、図2に示したアームを制振位置決め制御を行う場合の加速度パターンであり、最大加速度A[m/s2]、最大速度V[m/s]で設計された駆動系とし、X[m]離れた位置に水平移動するための加速度パターンである。
増速パターンでは、加速度をジャーク一定で増加させ、次いで加速度を一定に保持し、次いで加速度をジャーク一定で0まで減少させる。
減速パターンでは、加速度をジャーク一定で減少させ、次いで加速度を一定に保持し、次いで加速度をジャーク一定で0まで増加させる。
等速パターンでは、前記加速パターンと減速パターンの間に位置し加速度を0に保持する。
なお、アームの固有周期をT[sec]とし、動作中に固有周期は変化しないものとする。
この図において、まず、S11において、オペレーションやセンサなどから目標位置、現在位置、搬送物の有無、アーム寸法などの運転条件を入力する。
すなわち、運転開始前に、運転条件から最適な運転パターン(=運転開始からの時系列加速度パターン)を計画する。具体的には、制御対象モデルの固有周期を導出し、ジャーク一定時間が固有周期の倍数となる加速および減速パターンと、走行移動量に応じた等速時間を導出する。
すなわち、S13において、加速度パターンを制御サイクルの時間間隔でトレースし、加速度を数値積分した値を、速度指令として、制御サイクル毎にインバータモータなどの駆動装置に出力する。
次に、S14において、制御サイクル毎に加速度パターンのトレースが終了したかどうかをチェックする。
S14において、加速度パターンのトレースが終了(YES)の場合には、S15において、動作完了となる。この場合、加速度パターンで計画した動作時間だけ制御出力を行い、速度指令が0となっている。
しかし、この特性を実際の装置に適用する場合、モデルと実際の挙動に乖離があるため、実際の挙動を計測して、フィードバック制御を行う必要がある。
図7のS14において、加速度パターンのトレースが終了していない(NO)の場合には、S21において、状態変数検出装置16からセンサ情報を入力し、S22で状態変数の現在値を計算する。この状態変数の現在値は、式(11)に示す状態変数ベクトルX(t)の状態変数(移動台車の位置と速度、弾性アームの振れ角度と振れ角速度)である。
なお状態変数の現在値は、ノイズカットなどのフィルタリング処理や、オブザーバを用いて直接センサで計測できない値をモデル推定する。
なお、制御サイクル毎の状態変数目標値は、式(14)を制御サイクル時間dTで離散化した数6の式(17)を用いて算出する。
具体的には、運転パターンの加速度を制御対象モデルに与えたときの状態変数目標値と、機器に接続されたセンサ情報から導出される状態変数現在値との偏差を求め、これらの偏差を0とするフィードバック操作値(=加速度指令値)を数値積分して速度指令値とする。
なお、制御出力として、速度指令値以外にモータ駆動トルク、モータ電流などを適用してもよい。
オープンループ制御では駆動系のマイナーループで速度現在値が速度指令値になるべく一致するように制御されるが、真に必要なのは応答ずれに加えて外乱やモデル化誤差によって生じる振れ幅過大や残留振動を軽減させることなので、これらを総合的に目標値に近づけるフィードバック制御(S21〜S25)を行うことで、ロバスト性を高めることができる。
また、本発明の方法及び装置による動作によって生じるたわみ(振幅)の大きさが、加速度によって生じる静的なたわみ以下とすることができるため、機器にかかる応力を最小にできる。
さらに、加速度パターンが容易に設定可能であり、強度設計に必要以上の余裕度をもうける必要が無くなる。
さらに、等加速度の時間を任意としても振止効果に違いが無いため、最大速度を可変とした場合の速度パターンの設定が容易となる。
4 歪み計(歪ゲージ)、5,6 加速度計、7,8 レーザ距離計、
10 制振位置決め制御装置、12 加速度パターン設定装置、
14 移動制御装置、16 状態変数検出装置、
18 フィードバック制御装置
Claims (6)
- 加速・減速時に振れや弾性変形を生じる移動体の振動を抑制して位置決めする制振位置決め制御方法であって、
前記移動体の振動を1自由度のばね−質点系でモデル化し、前記モデルの固有周期を求め、加速・減速時の加速度パターンをジャーク一定の増速及び減速を含む台形パターンとし、各ジャーク一定時間を固有周期の整数倍として、加速度パターンを設定し、
前記加速度パターンで移動体の移動を制御し、
前記移動中の移動体の状態変数を検出し、前記加速度パターンによる状態変数の目標値と検出した状態変数の現在値との偏差に基づき移動体をフィードバック制御し、
同一条件下で、加速終了時および減速終了時の残留振れを複数計測し、
前記複数の残留振れの平均値を算出し、
前記残留振れの平均値が所定の閾値以上である場合、残留振れが小さくなるように固有周期の補正値を増減させる、ことを特徴とする制振位置決め制御方法。 - 前記加速度パターンは、加速度をジャーク一定で増加させ、次いで加速度を一定に保持し、次いで加速度をジャーク一定で0まで減少させる増速パターンと、
加速度をジャーク一定で減少させ、次いで加速度を一定に保持し、次いで加速度をジャーク一定で0まで増加させる減速パターンと、
前記増速パターンと減速パターンの間に位置し加速度を0に保持する等速パターンとを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の制振位置決め制御方法。 - 固有周期が質点の位置変化によって変化する場合において、
加速開始時、加速終了時、減速開始時、及び減速終了時における固有周期を質点の位置に基づきそれぞれ導出し、
加速開始時、加速終了時、減速開始時、及び減速終了時における各ジャーク一定時間を、前記導出したそれぞれの固有周期の整数倍とする、ことを特徴とする請求項1に記載の制振位置決め制御方法。 - 加速・減速時に振れや弾性変形を生じる移動体の振動を抑制して位置決めする制振位置決め制御装置であって、
前記移動体の振動を1自由度のばね−質点系でモデル化し、前記モデルの固有周期を求め、加速・減速時の加速度パターンをジャーク一定の増速及び減速を含む台形パターンとし、各ジャーク一定時間を固有周期の整数倍として、加速度パターンを設定する加速度パターン設定装置と、
前記加速度パターンで移動体の移動を制御する移動制御装置と、
前記移動中の移動体の状態変数を検出する状態変数検出装置と、
前記加速度パターンによる状態変数の目標値と検出した状態変数の現在値との偏差に基づき移動体をフィードバック制御するフィードバック制御装置とを備え、
同一条件下で、加速終了時および減速終了時の残留振れを複数計測し、
前記複数の残留振れの平均値を算出し、
前記残留振れの平均値が所定の閾値以上である場合、残留振れが小さくなるように固有周期の補正値を増減させる、ことを特徴とする制振位置決め制御装置。 - 前記状態変数検出装置は、移動台車の位置と速度、弾性アームの振れ角度と振れ角速度を検出するために歪み計、加速度計、レーザ距離計のうち少なくとも1つを有する、ことを特徴とする請求項4に記載の制振位置決め制御装置。
- 前記状態変数検出装置は、弾性アームの先端位置、先端加速度又はたわみ、又は移動台車のモータ駆動トルク又はモータ電流から移動台車の位置と速度、弾性アームの振れ角度と振れ角速度のうち少なくとも1つを検出するオブザーバ(状態観測器)を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の制振位置決め制御装置。
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