JP2003341681A - 折り畳み可能な持ち手を有するプラスチック容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 プラスチック容器は、容器本体と、容器
本体の上面部に設けられた持ち手とを備え、持ち手は、
容器本体の上面部と一体成形により形成され、持ち手と
容器本体の上面部との接合部には、持ち手を折り畳み可
能とするヒンジ部分が形成されている。 【効果】 容器本体の上面部や底面部に深い凹部や複雑
な形状の凹部を形成する必要がなくなり、容器の成形性
を向上させることができ、成形品の重量も下げることが
できる。また、持ち手を格納するための深い凹部をなく
することができるので、容器の容量の有効率が向上し、
容器の保管占有率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック容器
に関するものであり、特に、段積み保管に適したプラス
チック容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】各種の化学薬品類、油、洗剤等の液体、
粒状体を収納して在庫保管したり、運搬したり、現場で
使用したりするためのプラスチック容器が従来から種々
開発され利用されてきている。これらプラスチック容器
の中には、内容物を収納した状態にて数段積み上げ在庫
保管したりトラック輸送したりするのに適したものとし
たものがある。

【０００３】このように段積みする型のプラスチック容
器でも、個々に持ち運び使用する場合のために上面部に
持ち手を設けるのが普通である。従来、段積みする際に
それらの持ち手が邪魔にならないようにするための種々
な工夫がなされている。

【０００４】従来のプラスチック容器の持ち手として
は、容器本体の上面部と一体成形してなる固定タイプの
ものと、容器本体の上面部とは別体なものとして形成し
ておきその上面部に取り付けるタイプのものと、が主流
である。

【０００５】添付図面の図６は、従来の一体成形固定タ
イプの持ち手を有したプラスチック容器を段積みしたと
ころを示す部分断面図である。この図６に示されるよう
に、この従来例のプラスチック容器２０は、その上面部
に一体成形した固定タイプの持ち手２１が段積みの際に
邪魔とならないように、上面部に相当大きな凹み部２２
を形成して持ち手２１をその凹み部２２の底部から立設
することにより、その持ち手２１が上面からあまり突き
出さないような設計とすると同時に、容器２０の底面に
も、段積みの際に、下部の容器のズレ止め座２４と係合
し易くすると同時に下部の容器の上面から突き出した持
ち手２１の部分を逃がすための凹み部２３を設ける設計
としている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述したように段積み
の際に固定タイプの持ち手が邪魔にならないように、容
器の上面部および底面部に大きな凹み部を設ける従来の
プラスチック容器では、成形上無理な形状となる場合が
多く、成形品のバラ付きが多くなり、成形重量も必要以
上に増大してしまっていた。

【０００７】容器の底面部に大きな凹み部を形成しない
ような設計としたものもあったが、この設計の場合に
は、容器の上面部に形成する凹み部をより深くして持ち
手がその凹み部内に完全に納まり上面から全く突出しな
いようにしなければならなかった。このような設計で
は、成形上さらに無理な形状となることが多く、それだ
け成形品のバラ付きが多くなり、成形重量も増大してし
まう。

【０００８】その上、持ち手が干渉しないように、容器
に大きな凹み部を形成するのでは、容器の保管占有率が
悪くなり、コストアップの一要因ともなっていた。

【０００９】また、容器本体とは別に形成した持ち手を
取り付けるタイプの従来のものでは、別部材としての持
ち手の単価がどうしても高くなってしまい、その上、持
ち手の容器本体への取り付け費用等も掛かるので、製品
全体としての価格が高いものとなってしまっていた。

【００１０】本発明の目的は、前述したような従来の問
題点を解消しうるプラスチック容器を提供することであ
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、プラス
チック容器本体と、該プラスチック容器本体の上面部に
設けられた持ち手とを備えており、前記持ち手は、前記
プラスチック容器本体の上面部と一体成形により形成さ
れ、前記持ち手と前記プラスチック容器本体の上面部と
の接合部には、該持ち手を折り畳み可能とするヒンジ部
分が形成されていることを特徴とするプラスチック容器
が提供される。

【００１２】本発明の一つの実施の形態によれば、前記
ヒンジ部分は、薄肉成形によって与えられている。本発
明の別の実施の形態によれば、前記薄肉成形されたヒン
ジ部分には、抜き穴が設けられている。

【００１３】本発明のさらに別の実施の形態によれば、
前記プラスチック容器本体の上面部には、前記持ち手を
折り畳み状態に維持するための持ち手係止部が設けられ
ている。本発明のさらに別の実施の形態によれば、前記
持ち手係止部は、外側面の上部に突起を有した持ち手係
止座からなり、前記持ち手には、折り畳み時に前記持ち
手係止座の突起と係合する係止リブが設けられている。

【００１４】

【発明の実施の形態】次に、添付図面の図１から図５を
特に参照して、本発明の実施の形態および実施例につい
て、本発明をより詳細に説明する。

【００１５】図１は、本発明の一実施例としてのプラス
チック容器の全体を示す斜視図である。この図１に示さ
れるように、この実施例のプラスチック容器は、収納す
べき内容物に対して適した合成樹脂材料にて角型に成形
された容器本体１を有している。このプラスチック容器
本体１の上面部９の端部には、内容物のための給排出口
７が設けられている。容器本体１の上面部９の中央部分
は、若干凹まされた形状とされており、この部分に、本
発明により折り畳み可能な持ち手２が上面部９と一体成
形することにより設けられている。この実施例では、持
ち手２は、給排出口７が設けられている端部コーナーと
対角にある端部コーナーとを結ぶ対角線にそって延在す
るようなものとされている。

【００１６】さらに、容器本体１の上面部９には、持ち
手２が設けられた中央部分の凹みを囲む周辺部にズレ止
め６が形成されている。ズレ止め６は、給排出口７が設
けられた端部コーナーを除く他の端部コーナーの近くに
それぞれ設けられていて、容器同士を段積みした際にお
いて、容器底面に設けた若干の凹みと係合して、段積み
された容器が互いに対して横方向にずれないようにする
作用を果たす。

【００１７】次に、図２および図３を、特に、参照し
て、本発明によって設けられる折り畳み可能な持ち手２
の詳細構造および機能について説明する。図２は、図１
のプラスチック容器の上面部を、給排出口７を含む対角
線に対して直交する対角線にそって一部破断して示す図
であり、図３は、図１のプラスチック容器本体１の上面
部の中央部分の凹み内に設けられた持ち手係止座４と持
ち手２の折り畳み係止状態を説明するための部分断面図
である。

【００１８】図２によく示されるように、持ち手２は、
プラスチック容器本体１の上面部の中央部分の凹み部底
壁に対して薄肉のヒンジ部分３を介して接合される構造
として、プラスチック容器本体１と一体成形されてい
る。この場合において、薄肉のヒンジ部分３の厚みは、
プラスチック容器本体１内に内容物を満杯に充填した状
態で持ち手２を把持してプラスチック容器を持ち上げる
ことができる引張り強度以上の引張り強度が得られるも
のであって、且つ容器の段積みの際に持ち手２をヒンジ
部分３にて折り畳むことができる程度の曲げ性能が得ら
れるものとすることが必要である。

【００１９】ここで、ヒンジ部分３を起点（基線）とし
て折り曲げられた持ち手２は、このヒンジ部分３が薄肉
であるとはいっても、多少の反発力があるため、その持
ち手２の折り畳み状態を確実に維持させるためには、そ
の折り畳み状態を積極的に係止しておく手段を設けてお
くのが好ましい。そこで、この実施例では、図１および
図２によく示されるように、容器本体１の上面部の中央
部分の凹み内において、持ち手２の各側に持ち手係止座
４を設けている。一方、持ち手２の両サイドの内側に、
係止リブ８を設けている。図３によく示されるように、
持ち手係止座４の外側面の上部には、外方に突出する突
起５が形成されている。これら持ち手係止座４と持ち手
２との位置関係は、容器の段積みの際等において、図２
において矢印にて示すように、持ち手２をヒンジ部分３
にて容器本体１の上面部の中央部分の凹み部の方へ折り
畳むとき、持ち手２の両サイドの内側に形成した係止リ
ブ８が各対応する持ち手係止座４の突起５をその弾性に
より乗り越えて、図３に示すように、突起５の下側面に
係合できるようなものとされている。図３に示されるよ
うに、持ち手２の係止リブ８が各対応する持ち手係止座
４の突起５の下側面に係合している状態では、ヒンジ部
分３の反発力だけでは係止リブ８が突起５を乗り越え
て、持ち手２の折り畳み状態が解かれてしまうようなこ
とはない。

【００２０】図２において鎖線にて示されたように折り
畳まれた持ち手２を、実線で示すような使用時位置へと
戻すには、持ち手２に対して矢印とは逆の方向への回転
力を加えればよい。このとき、持ち手２の係止リブ８が
持ち手係止座４の突起５を弾性により乗り越えることに
より、持ち手２は、持ち手係止座４による折り畳み維持
状態から解放されて、自由に使用しうる状態となる。

【００２１】図４は、持ち手２を前述したように折り畳
み状態に持ち手係止座４にて固定維持した容器本体１の
上に、もう一つ別の容器本体１を段積みしたところを示
す部分断面図である。この図４に示されるように、折り
畳み状態の持ち手２は、容器本体１の上面部の中央部分
の凹みと、その上に段積みされた容器本体１の底面部と
の小さな空間内に納まっており、段積みの際に邪魔とな
るようなことはない。段積みされた容器本体１は、その
下の容器本体１の上面部の周辺に設けられたズレ止め６
に対して底面の凸部が係合していることにより、横方向
にはずれないように保持されている。

【００２２】図５は、本発明によってプラスチック容器
本体の上面部に設けられる折り畳み可能な持ち手の別の
構造例を示している。この実施例の持ち手２は、前述し
たような持ち手のヒンジ部分３の曲げ性能と引張り強度
との調和を取り易くするため、薄肉のヒンジ部分３の任
意個所に抜き穴１０を形成している。

【００２３】

【発明の効果】プラスチック容器本体と一体成形した持
ち手を折り畳み可能としたので、容器本体の上面部や底
面部に深い凹部や複雑な形状の凹部を形成する必要がな
くなり、容器の成形性を向上させることができ、成形品
の重量も下げることができる。

【００２４】また、持ち手を格納するための深い凹部を
なくすることができるので、容器の容量の有効率が向上
し、容器の保管占有率が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としてのプラスチック容器の
全体を示す斜視図である。

【図２】図１のプラスチック容器の上面部を、給排出口
を含む対角線に対して直交する対角線にそって一部破断
して示す図である。

【図３】図１のプラスチック容器本体の上面部の中央部
分の凹み内に設けられた持ち手係止座と持ち手の折り畳
み係止状態を説明するための部分断面図である。

【図４】持ち手を折り畳み状態に持ち手係止座にて固定
維持した容器本体の上に、もう一つ別の容器本体を段積
みしたところを示す部分断面図である。

【図５】本発明によってプラスチック容器本体の上面部
に設けられる折り畳み可能な持ち手の別の構造例を示す
図である。

【図６】従来の一体成形固定タイプの持ち手を有したプ
ラスチック容器を段積みしたところを示す部分断面図で
ある。

【符号の説明】

１ プラスチック容器本体 ２ 持ち手 ３ ヒンジ部分 ４ 持ち手係止座 ５ 突起 ６ ズレ止め ７ 給排出口 ８ 係止リブ ９ 容器本体の上面部 １０ 抜き穴

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチック容器本体と、該プラスチッ
   ク容器本体の上面部に設けられた持ち手とを備えてお
   り、前記持ち手は、前記プラスチック容器本体の上面部
   と一体成形により形成され、前記持ち手と前記プラスチ
   ック容器本体の上面部との接合部には、該持ち手を折り
   畳み可能とするヒンジ部分が形成されていることを特徴
   とするプラスチック容器。
2. 【請求項２】 前記ヒンジ部分は、薄肉成形によって与
   えられている請求項１に記載のプラスチック容器。
3. 【請求項３】 前記薄肉成形されたヒンジ部分には、抜
   き穴が設けられている請求項２に記載のプラスチック容
   器。
4. 【請求項４】 前記プラスチック容器本体の上面部に
   は、前記持ち手を折り畳み状態に維持するための持ち手
   係止部が設けられている請求項１または２または３に記
   載のプラスチック容器。
5. 【請求項５】 前記持ち手係止部は、外側面の上部に突
   起を有した持ち手係止座からなり、前記持ち手には、折
   り畳み時に前記持ち手係止座の突起と係合する係止リブ
   が設けられている請求項４に記載のプラスチック容器。