JP2003335788A - SiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法 - Google Patents
SiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法Info
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Abstract
物を製造できる手段を提供すること。 【解決手段】SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重
結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化
合物(A)とSiH基を1分子中に少なくとも2個含有
する化合物(B)を金属原子を有するヒドロシリル化触
媒(C)の存在下で反応させる際に、酸素(D)の存在
した状態でヒドロシリル化反応を行ない、(A)成分中
のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合が残存
した状態で反応を終了する。
Description
る含窒素有機系化合物の製造方法に関する。
iH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する
有機化合物に対する相溶性が一般に良好であるため、S
iH基を含有するシリコーン系化合物では対応しきれな
い種々の物性を有する硬化物を得ることができる。この
ようなSiH基を含有する有機系化合物の製造法が、特
開昭50−100号公報、特開平3−95266号公
報、特開平5−320173号公報、特開平8―143
778号公報などに開示されている。またSiH基を含
有する含窒素有機系化合物の製造法が、特開昭50−1
00号公報、特開平3−95266号公報、特開平5−
320173号公報に開示されている。
を含有するイソシアヌル酸系の含窒素有機系化合物の製
造法が実施例3に開示されているが、小スケールでの製
造例であるとともに、気相部の雰囲気および反応終了時
のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の残存
量に関しては明細書および実施例中に開示されていな
い。また該公報の明細書中では、SiH基やSiH基と
反応性を有する炭素−炭素二重結合等の活性な基が多数
存在すると空気中の水分、酸素と反応し、劣化を起こす
恐れのあることが開示されている。特開平3−9526
6号公報では、SiH基を含有する有機系化合物を製造
する際に用いることのできるSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物として含窒素
有機系化合物が例示されているが、気相部の雰囲気およ
び反応終了時のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二
重結合の残存量に関する開示はない。実施例にはSiH
基を含有する含窒素有機系化合物の製造例はなく、また
SiH基を含有する含窒素有機系化合物ではない有機系
化合物の製造例は全て窒素雰囲気下で行われている。特
開平5−320173号公報では、SiH基を含有する
イミド系の含窒素有機系化合物の製造法が開示されてい
るが、気相部の雰囲気および反応終了時のSiH基と反
応性を有する炭素−炭素二重結合の残存量に関する開示
はない。また実施例も小スケールの製造例である。
対する酸素の溶液濃度を制御することにより行なう方法
が特開平5−213972号公報に開示されているが、
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を反応終
了時に残存させる重要性に関する開示はない。窒素原子
を含有する化合物は金属原子に対する配位能力が高いた
めに、金属原子を有するヒドロシリル化触媒を用いてS
iH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する
化合物とSiH基を含有する化合物を反応させる際に
は、窒素原子を含有する化合物の存在がヒドロシリル化
触媒の活性を低下させることが良く知られている。この
性質を利用して、特定の窒素原子を含有する化合物を少
量添加することにより金属原子を有するヒドロシリル化
触媒の触媒活性を制御する方法が特開平8−14377
8号公報に、ヒドロシリル化反応により得られたSiH
基を含有する有機系化合物の貯蔵安定性を改善する方法
が特開平8−157604号公報に開示されている。
する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含
有する有機化合物が含窒素有機化合物である場合、その
反応系中の存在量が前述の場合と比較して非常に多いた
め、目的とするSiH基を含有する含窒素有機系化合物
を製造するには、金属原子を有するヒドロシリル化触媒
を多く用いる必要がある。金属原子を有するヒドロシリ
ル化触媒を多く用いることは、コスト上および製造中あ
るいは製品貯蔵中の安定性上好ましくない。また小スケ
ールでの検討で見出された製造条件を単純にスケールア
ップするだけでは、製造途中に反応が停止するなど、目
的とするSiH基を含有する含窒素有機系化合物が安定
的に得られないという問題がある。
に鑑み鋭意研究した結果、SiH基と反応性を有する炭
素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する
含窒素有機化合物(A)とSiH基を1分子中に少なく
とも2個含有する化合物(B)を金属原子を有するヒド
ロシリル化触媒(C)の存在下で反応させる際に、酸素
(D)の存在した状態でヒドロシリル化反応を行ない、
(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二
重結合が残存した状態で反応を終了することにより、安
定的にSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製造で
きることを見出し、本発明に到達した。
する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含
有する含窒素有機化合物(A)とSiH基を1分子中に
少なくとも2個含有する化合物(B)を金属原子を含有
するヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させてS
iH基を含有する含窒素有機系化合物を製造する際に、
酸素(D)の存在した状態でヒドロシリル化反応を行な
い、(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭
素二重結合が残存した状態で反応を終了することを特徴
とする、SiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造
方法(請求項1)、SiH基と反応性を有する炭素−炭
素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素
有機化合物(A)が、下記一般式(1)
れぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、こ
れらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるイ
ソシアヌル酸系化合物、下記一般式(2)
れぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、こ
れらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるシ
アヌル酸系化合物、下記一般式(3)
はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有す
る炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR
3は異なっていても同一であってもよい。)で表される
イミド系化合物、からなる群より選ばれる少なくとも一
の成分である、請求項1ないし2に記載のSiH基を含
有する含窒素有機系化合物の製造方法(請求項2)、S
iH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中
に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)が、
下記一般式(4)
結合を含有する炭素数1〜50の一価の有機基を表
す。)で表されるSiH基と反応性を有する炭素−炭素
二重結合を有する基を、1分子中に少なくとも2個含有
する含窒素有機化合物である、請求項1ないし2に記載
のSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法
(請求項3)、SiH基を1分子中に少なくとも2個含
有する化合物(B)が、常圧における沸点が200℃以
下である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のS
iH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法(請求
項4)、SiH基を1分子中に少なくとも2個含有する
化合物(B)が、1,3,5−トリメチルシクロトリシ
ロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラ
シロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロ
ペンタシロキサンからなる群より選ばれる少なくとも一
の成分である、請求項4に記載のSiH基を含有する含
窒素有機系化合物の製造方法(請求項5)、である。
性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも
2個含有する含窒素有機化合物について説明する。
結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化
合物は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合
を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物
であれば特に制限がなく種々の化合物を用いることがで
きる。
を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2
個含有する含窒素有機化合物としては、下記一般式
(1)
れぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、こ
れらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を含有する基である。)で表される
イソシアヌル酸系化合物、下記一般式(2)
れぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、こ
れらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を含有する基である。)で表される
シアヌル酸系化合物、下記一般式(3)
はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有
する炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれの
R3は異なっていても同一であってもよい。)で表され
るイミド系化合物などが例示できる。
ては、入手性の点からは、炭素数1〜20の一価の有機
基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機
基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有
機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいR
1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニ
ル基、アリル基、グリシジル基、
H基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基
である。
結合を含有する基は、炭素数1〜20の一価の有機基で
あることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基で
あることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基
であることがさらに好ましい。これらの好ましいSiH
基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基の
例としては、ビニル基、アリル基、
炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有す
る含窒素有機化合物(A)は、下記一般式(4)
結合を含有する炭素数1〜50の一価の有機基を表
す。)で表されるSiH基と反応性を有する炭素−炭素
二重結合を有する基を、1分子中に少なくとも2個含有
する含窒素有機化合物が好ましく、これら少なくとも2
個のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有
する基は異なっていても同一であってもよい。
有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個
含有する含窒素有機化合物(A)は、下記一般式(1)
れぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、こ
れらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるイ
ソシアヌル酸系化合物であることがより好ましい。
シアヌル酸系化合物の好ましい具体例としては、トリア
リルイソシアヌレート、
アヌレート、
を混合して用いることが可能である。
子中に少なくとも2個含有する化合物について説明す
る。
する化合物は、特に制限がなく種々の化合物を用いるこ
とができる。
2個含有する化合物としては、下記一般式(5)
換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又は
アリール基であり、nは2以上の整数、mは0以上の整
数で、n+mは3以上の整数である。)で表される環状
ポリオルガノシロキサン、下記一般式(6)
置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又
はアリール基であり、Xは水素原子、置換もしくは非置
換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であ
り、Xが水素原子のときpは0以上の整数、Xが水素原
子でないときpは2以上の整数であり、qは0以上の整
数である。)で表される鎖状ポリオルガノシロキサンが
例示できる。具体的には、1,3,5−トリメチルシク
ロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシク
ロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチ
ルシクロペンタシロキサン、1,3,5−トリフェニル
シクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラフェニ
ルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペン
タフェニルシクロペンタシロキサン、1,1,3,3−
テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−
ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,
5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,
1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサ
ン、末端トリメチルシリル基封止メチル水素シロキサン
重合体(Hオイル)、ジメチルシロキサン/メチル水素
シロキサン共重合体などが挙げられる。
2個含有する化合物うち、反応後に脱揮回収が困難でな
いため、常圧における沸点が200℃以下である化合物
がより好ましい。具体的には1,3,5−トリメチルシ
クロトリシロキサン(沸点135℃未満)、1,3,
5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(沸点1
35℃)、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペ
ンタシロキサン(沸点170℃)、1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサン(沸点70℃)、1,1,3,
3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(沸点128
℃)、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチル
テトラシロキサン(沸点170℃)などが挙げられる。
5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7
−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,
7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンか好まし
く、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキ
サンが特に好ましい。
を混合して用いることが可能である。
シラン、トリエチルシランなどのトリアルキルシラン
類、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,
5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,
3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンなどSi
H基を1分子中1個含有する化合物類を(B)成分に添
加あるいは(B)成分の副生成物として含有させてもよ
い。
を有する炭素−炭素二重結合のモル数と(B)成分中の
SiH基のモル数の比は、SiH基が過剰であれば特に
限定されないが、1:1.1〜1:100であることが
好ましい。SiH基が小過剰であると得られるSiH基
を含有する含窒素有機系化合物の粘度が高く、また反応
の制御が困難であるため好ましい下限は1:2、より好
ましい下限は1:4、さらにより好ましい下限は1:6
である。SiH基が大過剰であるとSiH基を含有する
含窒素有機系化合物の収量が低下したり、副反応が起こ
りやすくなるため、好ましい上限は1:50であり、よ
り好ましい上限は1:25、さらにより好ましい上限は
1:15である。好ましい範囲は(A)成分の含窒素有
機化合物1分子中のSiH基と反応性を有する炭素−炭
素二重結合の数と、(B)成分の化合物1分子中のSi
H基の数により異なる。
するヒドロシリル化触媒について説明する。
ドロシリル化触媒としては特に制限されず、白金の単
体、アルミナ、シリカ、活性炭等の担体に固体白金を担
持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、
アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体
(例えば、Pt(CH2=CH2)2(PPh3)2、Pt
(CH2=CH2)2Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯
体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2V
i)n、Pt[(MeViSiO)4]m)、白金−ホス
フィン錯体(例えば、Pt(PPh3)4、Pt(PBu
3)4)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P
(OPh)3]4、Pt[P(OBu)3]4)(式中、M
eはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Ph
はフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカ
ルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karste
dt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特
許第3159601号及び3159662号明細書中に
記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー
(Lamoreaux)の米国特許第3220972号
明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられ
る。更に、モディック(Modic)の米国特許第35
16946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィ
ン複合体も本発明において有用である。
hCl(PPh)3、RhCl3、RhAl2O3、RuC
l3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・
2H2O、NiCl2、TiCl4などが挙げられる。
金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン
錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用し
てもよく、2種以上併用してもよい。
添加量は特に限定されないが、十分な反応性と、製造さ
れたSiH基を含有する含窒素有機系化合物の貯蔵安定
性の確保の点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭
素二重結合1モルに対して10-8モルから10-2が好ま
しく、より好ましい下限は10-6モルであり、より好ま
しい添加量の上限は10-3モル、さらに好ましい添加量
の上限は10-4モルである。
ロシリル化触媒の添加方法としては、(C)成分と
(B)成分を予め混合しておき、ここへ(A)成分を添
加してもよく、(C)成分と(A)成分を予め混合して
おき、これを(B)成分に添加してもよい。また、
(C)成分と(A)成分を同時ではない方法で独立して
(B)成分に添加してもよい。
明する。(D)成分である酸素の供給形態としては特に
制限されないが、空気、除湿空気、窒素ガスに一定割合
の酸素ガスを混合した酸素含有窒素として供給すること
が好ましい。水分の混入による副反応を抑制するため、
除湿空気あるいは酸素含有窒素が好ましい。気相部を爆
発雰囲気にならないようにするため、また酸素の過剰供
給による副反応抑制のため、窒素ガスに一定割合の酸素
ガスを混合した酸素含有窒素がより好ましい。酸素含有
窒素中の酸素含有量は0.1体積%から10体積%が好
ましく、より好ましい下限は1体積%、さらに好ましい
下限は2体積%であり、より好ましい上限は6体積%、
さらに好ましい上限は4体積%である。
気、除湿空気あるいは酸素含有窒素を、原料あるいは反
応液に対するバブリング、反応容器気相部の置換などに
より行なうことができる。また両者を併用することも可
能である。大気下に開放された反応容器に原料を仕込む
ことによっても反応系への酸素の供給は可能である。反
応系への酸素の供給は1回のみでも良く、複数回行なっ
ても良い。また連続でも良く、断続的でもよい。また加
圧により酸素供給量を増加させてもよい。
により酸素の存在した状態でヒドロシリル化反応を行な
うことができる。前記(A)成分と前記(B)成分を前
記(C)成分の存在下、窒素雰囲気で反応を行ない、ヒ
ドロシリル化の反応速度が低下した場合に、上述の方法
で反応系へ酸素を供給することにより反応を継続させ、
目的とするSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製
造することもできる。また上述の方法で予め反応系に酸
素を供給しておいた状態で反応を開始し、反応速度が低
下した場合あるいは反応速度を低下させないように酸素
を供給することによっても目的とするSiH基を含有す
る含窒素有機系化合物を製造することができる。
(B)成分を前記(C)成分である金属原子を含有する
ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させてSiH基を含
有する含窒素有機系化合物を製造する際に、酸素(D)
の存在した状態で反応を行なうが、前記(A)成分中の
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合が残存し
た状態で反応を終了させることが重要である。(C)成
分である金属原子を含有するヒドロシリル化触媒の存在
下、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合が存
在しない状態で酸素が供給され続けると、酸素とSiH
基含有化合物が関与した副反応により高分子量体が生成
して高粘度化したり、製品の貯蔵安定性を低下させる原
因となることがある。従って、本反応により得られるS
iH基を含有する含窒素有機系化合物中のSiH基と反
応性を有する炭素−炭素二重結合の反応率は100%未
満であることが好ましく、99%以下がより好ましい。
本反応により得られるSiH基を含有する含窒素有機系
化合物はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合
を1分子中に少なくとも2個含有する化合物と反応させ
ることにより硬化物を得ることができる。この場合は、
SiH基を含有する含窒素有機系化合物中のSiH基と
反応性を有する炭素−炭素二重結合の反応率は80%以
上であることが好ましく、90%以上がより好ましく、
95%以上がさらにより好ましい。SiH基と反応性を
有する炭素−炭素二重結合の反応率が30〜80%のも
のは加熱することによりそれ自身で硬化可能である。反
応液中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合
の存在量をモニターしながら、酸素供給量を制御するこ
とが好ましい。反応液中のSiH基と反応性を有する炭
素−炭素二重結合の存在量は、1H−NMR、ガスクロ
マトグラフィー、赤外スペクトルなどによりモニターす
ることができる。
℃の温度範囲で行われるが、期待されない副反応が起こ
らないように制御し易くするために、60〜120℃で
行われるのが好ましい。反応温度の調節、反応系の粘度
の調節、副反応の抑制など必要に応じて、n−ペンタ
ン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの溶剤又はプロセスオイルなどの可塑
剤を用いてもよい。ヒドロシリル化反応を実施するため
の装置としては、特に制限はないが、各種原料及び溶媒
の沸点近傍以上の温度で反応を行う場合や、酸素供給の
ために加圧が必要な場合にはオートクレーブなどの耐圧
容器が好ましい。さらに、均一に反応を進行させるため
に、十分な攪拌能力を持った装置が好ましい。
含有する含窒素有機系化合物を用いた硬化物は、電子材
料、光学材料、封止材、コーティング材などに用いるこ
とができる。
が、本発明は以下によって限定されるものではない。 (実施例1)5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下
漏斗、冷却管をセットした。窒素雰囲気下でこのフラス
コにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチ
ルシクロテトラシロキサン1440g(6.0mol)
を入れ、攪拌しながら反応液温を100℃に加熱した。
トリアリルイソシアヌレート200g(0.80mo
l)、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体
のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44m
lの混合液を35分かけて一定速度で滴下した。約4割
を滴下した時に最高温度106℃を記録したが、その後
反応液温は低下し、滴下終了時は99℃であった。反応
時間40分(滴下開始を反応時間0とした)に少量サン
プリングし、1H−NMRで求めたアリル基反応率は6
0%であった。反応時間70分のアリル基反応率は62
%であり、反応はほとんど停止していた。反応時間80
分から135分まで反応液直上部へ3%酸素含有窒素を
20ml/minでフローした。反応時間100分およ
び130分のアリル基反応率はそれぞれ67%、71%
であった。酸素添加により反応の進行が確認された。反
応時間135分から225分まで反応液中へ3%酸素含
有窒素を20ml/minでバブリングした。反応時間
160分、190分、220分後のアリル基反応率はそ
れぞれ77%、83%、84%であった。反応速度が低
下したので反応時間225分から330分まで反応液中
へ3%酸素含有窒素を50ml/minでバブリングし
た。反応時間250分、310分後のアリル基反応率は
それぞれ88%、94%であった。330分で反応を終
了し、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテ
トラシロキサンとトルエンを減圧留去し、微黄色の液体
を得た。反応時間とアリル基反応率の関係を図1に示し
た。1H−NMR、GPCにより、このものは1,3,
5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH
基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応した下記
構造を主成分とするSiH基を含有する含窒素有機系化
合物であることがわかった。
ンを内部標準に用いて 1H−NMRによりSiH基の含
有量を求めたところ、8.2mmol/gのSiH基を
含有していることがわかった。室温2ヵ月の保存でもほ
とんど増粘はなかった。 (実施例2)5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下
漏斗、冷却管をセットした。空気中でこのフラスコにト
ルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシク
ロテトラシロキサン1440g(6.0mol)を入
れ、攪拌しながら反応液温を110℃に加熱した。トリ
アリルイソシアヌレート200g(0.80mol)、
トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシ
レン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混
合液を50分かけて発熱状態を維持しながら連続的に滴
下した。滴下終了1時間後より約1時間間隔で6回、内
容積約500mlのバルーンに入れた空気を反応液中に
数分かけて送り込んだ。滴下終了から6時間反応を行な
い1H−NMRで反応率アリル基反応率95%以上10
0%未満を確認した後、未反応の1,3,5,7−テト
ラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留
去し、淡黄色の液体が得られた。最終のアリル基反応率
は96%、粘度は2.2Pa・s、1,2−ジブロモメ
タンを内部標準に用いて1H−NMRによりSiH基の
含有量を求めたところ、8.5mmol/gのSiH基
を含有していることがわかった。本生成物のGPC測定
をすると多峰性のクロマトグラムが得られたことから、
本生成物は混合物であることが示唆された。GPCの主
ピークを分取、1H−NMRおよび質量スペクトルを測
定すると、下記の構造を有することが確認された。ま
た、GPCのポリスチレン換算分子量4000以上の高
分子量成分は全面積の10%以下であった。
はなかった。 (実施例3)2Lのオートクレーブに窒素下でトルエン
720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラ
シロキサン576g(2.4mol)を入れ、気相部を
6%酸素含有窒素で置換した。置換終了時の気相部の酸
素濃度は5.3%、内圧は1atmであった。攪拌しな
がら反応液温を110℃に加熱した。トリアリルイソシ
アヌレート80g(0.32mol)、トルエン80g
及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金と
して3wt%含有)580μlの混合液を調製した。ト
リアリルイソシアヌレート混合液の1/8を滴下管から
オートクレーブ中に投入すると、約1分で内温が上昇し
た。内温が平衡になった5分後に、6%酸素含有窒素で
2atmまで加圧しても内温変化はなかった。混合液投
入30分後に反応液のサンプリングを行ない、1H−N
MRで測定したアリル基の反応率は100%であった
(サンプリング1)。この時の気相部の酸素濃度は1.
6%であった。酸素濃度1.6%、内圧1atmでさら
にトリアリルイソシアヌレート混合液の1/8を滴下管
からオートクレーブ中に投入すると、投入後5分経過し
ても内温の上昇は観測されなかった。6%酸素含有窒素
を加えて2atmにするとすぐに発熱が観測された。混
合液投入30分後に反応液のサンプリングを行ない、1
H−NMRで測定したアリル基の反応率は100%であ
った(サンプリング2)。この時の気相部の酸素濃度は
1.2%であった。酸素濃度1.2%、内圧1atmで
さらにトリアリルイソシアヌレート混合液の1/4を滴
下管からオートクレーブ中に投入すると、投入後2分経
過しても内温の上昇は観測されなかった。6%酸素含有
窒素を加えて4atmにするとすぐに発熱が観測され
た。混合液投入40分後に反応液のサンプリングを行な
い、1H−NMRで測定したアリル基の反応率は100
%であった(サンプリング3)。この時の気相部の酸素
濃度は0.8%であった。酸素濃度0.8%、内圧1a
tmでさらにトリアリルイソシアヌレート混合液の1/
4を滴下管からオートクレーブ中に投入すると、投入後
5分経過しても内温の上昇は観測されなかった。6%酸
素含有窒素を加えて2atmにするとすぐに発熱が観測
された。混合液投入40分後に反応液のサンプリングを
行ない、1H−NMRで測定した投入したアリル基の反
応率は88%であった(サンプリング4)。この時の気
相部の酸素濃度は1.7%であった。酸素濃度1.7
%、内圧1atmでさらにトリアリルイソシアヌレート
混合液の1/4を滴下管からオートクレーブ中に投入す
ると、投入後2分経過しても内温の上昇は観測されなか
った。6%酸素含有窒素を加えて2atmにするとすぐ
に発熱が観測された。混合液投入40分後に反応液のサ
ンプリングを行ない、 1H−NMRで測定した全投入量
に対するアリル基の反応率は77%であった(サンプリ
ング5)。内圧1atmにした後に6%酸素含有窒素を
加えて2atmにし、60分反応を行なった。サンプリ
ングを行ない、1H−NMRで測定した全投入量に対す
るアリル基の反応率は89%であった(サンプリング
6)。反応液を冷却したところ、ゲルが生成していた。
サンプリング1のGPCを測定すると、この時すでにポ
リスチレン換算分子量4000以上の高分子量成分が、
全面積の25%以上生成していた。 (実施例4)5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下
漏斗、冷却管をセットした。窒素雰囲気でこのフラスコ
にトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチル
シクロテトラシロキサン1440g(6.0mol)を
入れた。気相部を3%酸素含有窒素で置換し、攪拌しな
がら反応液温を110℃に加熱した。トリアリルイソシ
アヌレート200g(0.80mol)、トルエン20
0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白
金として3wt%含有)1.44mlの混合液を30分
かけて発熱状態を維持しながら連続的に滴下した。滴下
終了30分後より約20分間隔で、内容積1Lのバルー
ンに入れた3%酸素含有窒素を気相部に送り込んで気体
の置換を行なった。滴下終了から5時間反応を行ない1
H−NMRで反応率アリル基反応率95%以上100%
未満を確認した後、未反応の1,3,5,7−テトラメ
チルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し
た。微黄色の液体が得られ、最終のアリル基反応率は9
6%、粘度は2.2Pa・sであった。本生成物は冷蔵
庫で3ヵ月以上保存してもほとんど増粘はなかった。 (比較例1)200mlの四つ口フラスコに、攪拌装
置、滴下漏斗、冷却管をセットした。窒素雰囲気下でこ
のフラスコにトルエン45g、1,3,5,7−テトラ
メチルシクロテトラシロキサン36g(0.15mo
l)を入れ、攪拌しながら反応液温を80℃に加熱し
た。トリアリルイソシアヌレート5.0g(0.021
mol)、トルエン5.0g及び白金ビニルシロキサン
錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)45.
2μlの混合液を5分かけて連続的に滴下した。滴下終
了後100℃で2時間反応させた。1H−NMRで反応
率アリル基反応率95%以上100%未満を確認した
後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテト
ラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。微黄色の液
体が得られ、最終のアリル基反応率は96%、SiH当
量は8.5mmol/gであった。小スケールであれ
ば、窒素雰囲気下でもSiH基を含有する含窒素有機系
化合物は製造可能な例である。 (実施例5)5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下
漏斗、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン1
380g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラ
シロキサン1360g(5.6mol)を入れた。気相
部を3%酸素含有窒素で置換し、105℃のオイルバス
中で加熱、攪拌した。ジアリルモノグリシジルイソシア
ヌレート300g(1.1mol)、トルエン300g
及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金と
して3wt%含有)1.36mlの混合液を30分かけ
て連続的に滴下した。得られた溶液をそのまま1時間加
温、攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチ
ルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し
た。1H−NMRによりこのものは1,3,5,7−テ
トラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部が
ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと反応したも
のであることがわかった。最終のアリル基反応率は98
%であった。また、1,2−ジブロモメタンを内部標準
に用いて1H−NMRによりSiH基の含有量を求めた
ところ、8.73mmol/gのSiH基を含有してい
ることがわかった。生成物は混合物であるが、下記のも
のを主成分として含有している。
はなかった。 (実施例6)5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下
漏斗、冷却管をセットした。窒素雰囲気でこのフラスコ
にトルエン1800g、SiH基含有化合物(1,3,
5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン90重量
%、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシ
ロキサン7重量%、1,3,5,7,9−ペンタメチル
シクロペンタシロキサン3重量%の混合物)1440g
を入れた。気相部を3%酸素含有窒素で置換し、攪拌し
ながら反応液温を100℃に加熱した。トリアリルイソ
シアヌレート200g(0.80mol)、トルエン2
00g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液
(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を2
0分かけて発熱状態を維持しながら連続的に滴下した。
滴下終了30分後より約20分間隔で、内容積1Lのバ
ルーンに入れた3%酸素含有窒素を気相部に送り込んで
気体の置換を行なった。滴下終了から12.5時間反応
を行ない1H−NMRで反応率アリル基反応率95%以
上100%未満を確認した後、未反応のSiH基含有化
合物及びトルエンを減圧留去した。微黄色の液体が得ら
れ、最終のアリル基反応率は97%であった。本生成物
は冷蔵庫で3ヵ月以上保存してもほとんど増粘はなかっ
た。
iH基を有する含窒素有機系化合物を製造できる。
係を示す曲線を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重
結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化
合物(A)とSiH基を1分子中に少なくとも2個含有
する化合物(B)を金属原子を含有するヒドロシリル化
触媒(C)の存在下で反応させてSiH基を含有する含
窒素有機系化合物を製造する際に、酸素(D)の存在し
た状態でヒドロシリル化反応を行ない、(A)成分中の
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合が残存し
た状態で反応を終了することを特徴とする、SiH基を
含有する含窒素有機系化合物の製造方法。 - 【請求項2】SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重
結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化
合物(A)が、下記一般式(1) 【化1】 (式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、そ
れぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、こ
れらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるイ
ソシアヌル酸系化合物、下記一般式(2) 【化2】 (式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、そ
れぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、こ
れらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する
炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるシ
アヌル酸系化合物、下記一般式(3) 【化3】 (式中R2は炭素数4〜30の4価の有機基を表し、R3
はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有す
る炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR
3は異なっていても同一であってもよい。)で表される
イミド系化合物、からなる群より選ばれる少なくとも一
の成分である、請求項1に記載のSiH基を含有する含
窒素有機系化合物の製造方法。 - 【請求項3】SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重
結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化
合物(A)が、下記一般式(4) 【化4】 (式中R3はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重
結合を含有する炭素数1〜50の一価の有機基を表
す。)で表されるSiH基と反応性を有する炭素−炭素
二重結合を有する基を、1分子中に少なくとも2個含有
する含窒素有機化合物である、請求項1に記載のSiH
基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法。 - 【請求項4】SiH基を1分子中に少なくとも2個含有
する化合物(B)が、常圧における沸点が200℃以下
である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のSi
H基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法。 - 【請求項5】SiH基を1分子中に少なくとも2個含有
する化合物(B)が、1,3,5−トリメチルシクロト
リシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテ
トラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシ
クロペンタシロキサンからなる群より選ばれる少なくと
も一の成分である、請求項4に記載のSiH基を含有す
る含窒素有機系化合物の製造方法。
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