JP4499342B2 - SiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法 - Google Patents

SiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
SiH基を含有する有機系化合物は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物に対する相溶性が一般に良好であるため、SiH基を含有するシリコーン系化合物では対応しきれない種々の物性を有する硬化物を得ることができる。このようなSiH基を含有する有機系化合物の製造法が、特開昭50−100号公報、特開平3−95266号公報、特開平5−320173号公報、特開平8―143778号公報などに開示されている。またSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造法が、特開昭50−100号公報、特開平3−95266号公報、特開平5−320173号公報に開示されている。
【0003】
特開昭50−100号公報では、SiH基を含有するイソシアヌル酸系の含窒素有機系化合物の製造法が実施例3に開示されているが、小スケールでの製造例であるとともに、気相部の雰囲気および反応終了時のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の残存量に関しては明細書および実施例中に開示されていない。また該公報の明細書中では、SiH基やSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合等の活性な基が多数存在すると空気中の水分、酸素と反応し、劣化を起こす恐れのあることが開示されている。特開平3−95266号公報では、SiH基を含有する有機系化合物を製造する際に用いることのできるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物として含窒素有機系化合物が例示されているが、気相部の雰囲気および反応終了時のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の残存量に関する開示はない。実施例にはSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造例はなく、またSiH基を含有する含窒素有機系化合物ではない有機系化合物の製造例は全て窒素雰囲気下で行われている。特開平5−320173号公報では、SiH基を含有するイミド系の含窒素有機系化合物の製造法が開示されているが、気相部の雰囲気および反応終了時のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の残存量に関する開示はない。また実施例も小スケールの製造例である。
【0004】
ヒドロシリル化反応の制御を、白金触媒に対する酸素の溶液濃度を制御することにより行なう方法が特開平5−213972号公報に開示されているが、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を反応終了時に残存させる重要性に関する開示はない。
窒素原子を含有する化合物は金属原子に対する配位能力が高いために、金属原子を有するヒドロシリル化触媒を用いてSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する化合物とSiH基を含有する化合物を反応させる際には、窒素原子を含有する化合物の存在がヒドロシリル化触媒の活性を低下させることが良く知られている。
この性質を利用して、特定の窒素原子を含有する化合物を少量添加することにより金属原子を有するヒドロシリル化触媒の触媒活性を制御する方法が特開平8−143778号公報に、ヒドロシリル化反応により得られたSiH基を含有する有機系化合物の貯蔵安定性を改善する方法が特開平8−157604号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物が含窒素有機化合物である場合、その反応系中の存在量が前述の場合と比較して非常に多いため、目的とするSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製造するには、金属原子を有するヒドロシリル化触媒を多く用いる必要がある。金属原子を有するヒドロシリル化触媒を多く用いることは、コスト上および製造中あるいは製品貯蔵中の安定性上好ましくない。また小スケールでの検討で見出された製造条件を単純にスケールアップするだけでは、製造途中に反応が停止するなど、目的とするSiH基を含有する含窒素有機系化合物が安定的に得られないという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる実情に鑑み鋭意研究した結果、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)とSiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)を金属原子を有するヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させる際に、酸素(D)の存在した状態でヒドロシリル化反応を行ない、(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合が残存した状態で反応を終了することにより、安定的にSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製造できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)とSiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)を金属原子を含有するヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させてSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製造する際に、(i)酸素(D)の存在した状態でヒドロシリル化反応を行ない、(ii)前記(i)のヒドロシリル化反応の終了時まで(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を残存させる、ことを特徴とする、SiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法であり、前記SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)が、下記一般式(1)
【0008】
【化8】
Figure 0004499342
(式中R1 は一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、これらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるイソシアヌル酸系化合物、および下記一般式(2)
【0009】
【化23】
Figure 0004499342
(式中R1 は一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、これらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるシアヌル酸系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一の成分であり、
前記一般式(1)および一般式(2)における一価の有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0010】
【化24】
Figure 0004499342
から選択され、
前記SiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)が、下記一般式(5)
【0011】
【化25】
Figure 0004499342
(但し、式中R 4 〜R 6 はそれぞれ同一もしくは異種の置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、nは2以上の整数、mは0以上の整数で、n+mは3以上の整数である。)で表される環状ポリオルガノシロキサン、および/または、下記一般式(6)
【0012】
【化26】
Figure 0004499342
(但し、式中R 7 〜R 13 はそれぞれ同一もしくは異種の置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、Xは水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、Xが水素原子のときpは0以上の整数、Xが水素原子でないときpは2以上の整数であり、qは0以上の整数である。)で表される鎖状ポリオルガノシロキサンである(請求項1)。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)が、下記一般式(4)
【0013】
【化27】
Figure 0004499342
(式中R 3 はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する一価の有機基を表す。)で表されるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基を、1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物である、請求項1に記載のSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法であり、前記一般式(4)における、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する一価の有機基は、ビニル基、アリル基、
【0014】
【化28】
Figure 0004499342
から選択される(請求項2)。
SiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)が、常圧における沸点が200℃以下である、請求項1または2に記載のSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法(請求項3)であり、SiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)が、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンからなる群より選ばれる少なくとも一の成分である、請求項3に記載のSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法(請求項4)である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の(A)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物について説明する。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物であれば特に制限がなく種々の化合物を用いることができる。
入手性の点から好ましいSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物としては、下記一般式(1)
【0016】
【化9】
Figure 0004499342
(式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、これらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基である。)で表されるイソシアヌル酸系化合物、下記一般式(2)
【0017】
【化10】
Figure 0004499342
(式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、これらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基である。)で表されるシアヌル酸系化合物、下記一般式(3)
【0018】
【化11】
Figure 0004499342
(式中R2は炭素数4〜30の4価の有機基を表し、R3はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR3は異なっていても同一であってもよい。)で表されるイミド系化合物などが例示できる。
【0019】
上記一般式(1)および(2)のR1としては、入手性の点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0020】
【化12】
Figure 0004499342
等が挙げられるが、これらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基である。
【0021】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基は、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基の例としては、ビニル基、アリル基、
【0022】
【化13】
Figure 0004499342
等が挙げられる。
【0023】
反応性の点からSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)は、下記一般式(4)
【0024】
【化14】
Figure 0004499342
(式中R3はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する炭素数1〜50の一価の有機基を表す。)で表されるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基を、1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物が好ましく、これら少なくとも2個のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基は異なっていても同一であってもよい。
【0025】
反応性と粘度の点からSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)は、下記一般式(1)
【0026】
【化15】
Figure 0004499342
(式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、これらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるイソシアヌル酸系化合物であることがより好ましい。
【0027】
以上のような一般式(1)で表されるイソシアヌル酸系化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
【0028】
【化16】
Figure 0004499342
等が挙げられ、より好ましい具体例はトリアリルイソシアヌレート、
【0029】
【化17】
Figure 0004499342
である。
【0030】
(A)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0031】
本発明の(B)成分であるSiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物について説明する。
【0032】
SiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物は、特に制限がなく種々の化合物を用いることができる。
【0033】
好ましいSiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物としては、下記一般式(5)
【0034】
【化18】
Figure 0004499342
(但し、式中R4〜R6はそれぞれ同一もしくは異種の置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、nは2以上の整数、mは0以上の整数で、n+mは3以上の整数である。)
で表される環状ポリオルガノシロキサン、下記一般式(6)
【0035】
【化19】
Figure 0004499342
(但し、式中R7〜R13はそれぞれ同一もしくは異種の置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、Xは水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、Xが水素原子のときpは0以上の整数、Xが水素原子でないときpは2以上の整数であり、qは0以上の整数である。)
で表される鎖状ポリオルガノシロキサンが例示できる。具体的には、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、末端トリメチルシリル基封止メチル水素シロキサン重合体(Hオイル)、ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン共重合体などが挙げられる。
【0036】
これらのSiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物うち、反応後に脱揮回収が困難でないため、常圧における沸点が200℃以下である化合物がより好ましい。具体的には1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン(沸点135℃未満)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(沸点135℃)、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン(沸点170℃)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(沸点70℃)、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(沸点128℃)、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(沸点170℃)などが挙げられる。
【0037】
中でも入手性と相溶性の点から、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンか好ましく、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが特に好ましい。
【0038】
(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0039】
また30重量%以下の範囲内でトリメチルシラン、トリエチルシランなどのトリアルキルシラン類、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンなどSiH基を1分子中1個含有する化合物類を(B)成分に添加あるいは(B)成分の副生成物として含有させてもよい。
【0040】
上述した(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合のモル数と(B)成分中のSiH基のモル数の比は、SiH基が過剰であれば特に限定されないが、1:1.1〜1:100であることが好ましい。SiH基が小過剰であると得られるSiH基を含有する含窒素有機系化合物の粘度が高く、また反応の制御が困難であるため好ましい下限は1:2、より好ましい下限は1:4、さらにより好ましい下限は1:6である。SiH基が大過剰であるとSiH基を含有する含窒素有機系化合物の収量が低下したり、副反応が起こりやすくなるため、好ましい上限は1:50であり、より好ましい上限は1:25、さらにより好ましい上限は1:15である。好ましい範囲は(A)成分の含窒素有機化合物1分子中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数と、(B)成分の化合物1分子中のSiH基の数により異なる。
【0041】
本発明の(C)成分である金属原子を含有するヒドロシリル化触媒について説明する。
【0042】
用いることのできる金属原子を含有するヒドロシリル化触媒としては特に制限されず、白金の単体、アルミナ、シリカ、活性炭等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0043】
また、白金化合物以外の触媒としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4などが挙げられる。
【0044】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0045】
金属原子を含有するヒドロシリル化触媒の添加量は特に限定されないが、十分な反応性と、製造されたSiH基を含有する含窒素有機系化合物の貯蔵安定性の確保の点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合1モルに対して10-8モルから10-2が好ましく、より好ましい下限は10-6モルであり、より好ましい添加量の上限は10-3モル、さらに好ましい添加量の上限は10-4モルである。
【0046】
(C)成分である金属原子を含有するヒドロシリル化触媒の添加方法としては、(C)成分と(B)成分を予め混合しておき、ここへ(A)成分を添加してもよく、(C)成分と(A)成分を予め混合しておき、これを(B)成分に添加してもよい。また、(C)成分と(A)成分を同時ではない方法で独立して(B)成分に添加してもよい。
【0047】
本発明の(D)成分である酸素について説明する。
(D)成分である酸素の供給形態としては特に制限されないが、空気、除湿空気、窒素ガスに一定割合の酸素ガスを混合した酸素含有窒素として供給することが好ましい。水分の混入による副反応を抑制するため、除湿空気あるいは酸素含有窒素が好ましい。気相部を爆発雰囲気にならないようにするため、また酸素の過剰供給による副反応抑制のため、窒素ガスに一定割合の酸素ガスを混合した酸素含有窒素がより好ましい。酸素含有窒素中の酸素含有量は0.1体積%から10体積%が好ましく、より好ましい下限は1体積%、さらに好ましい下限は2体積%であり、より好ましい上限は6体積%、さらに好ましい上限は4体積%である。
【0048】
(D)成分の反応系への供給方法は、空気、除湿空気あるいは酸素含有窒素を、原料あるいは反応液に対するバブリング、反応容器気相部の置換などにより行なうことができる。また両者を併用することも可能である。大気下に開放された反応容器に原料を仕込むことによっても反応系への酸素の供給は可能である。反応系への酸素の供給は1回のみでも良く、複数回行なっても良い。また連続でも良く、断続的でもよい。また加圧により酸素供給量を増加させてもよい。
【0049】
上述の方法で反応系へ酸素を供給することにより酸素の存在した状態でヒドロシリル化反応を行なうことができる。前記(A)成分と前記(B)成分を前記(C)成分の存在下、窒素雰囲気で反応を行ない、ヒドロシリル化の反応速度が低下した場合に、上述の方法で反応系へ酸素を供給することにより反応を継続させ、目的とするSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製造することもできる。また上述の方法で予め反応系に酸素を供給しておいた状態で反応を開始し、反応速度が低下した場合あるいは反応速度を低下させないように酸素を供給することによっても目的とするSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製造することができる。
【0050】
本発明においては、前記(A)成分と前記(B)成分を前記(C)成分である金属原子を含有するヒドロシリル化触媒の存在下で反応させてSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製造する際に、酸素(D)の存在した状態で反応を行なうが、前記(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合が残存した状態で反応を終了させることが重要である。(C)成分である金属原子を含有するヒドロシリル化触媒の存在下、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合が存在しない状態で酸素が供給され続けると、酸素とSiH基含有化合物が関与した副反応により高分子量体が生成して高粘度化したり、製品の貯蔵安定性を低下させる原因となることがある。従って、本反応により得られるSiH基を含有する含窒素有機系化合物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の反応率は100%未満であることが好ましく、99%以下がより好ましい。本反応により得られるSiH基を含有する含窒素有機系化合物はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物と反応させることにより硬化物を得ることができる。この場合は、SiH基を含有する含窒素有機系化合物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の反応率は80%以上であることが好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらにより好ましい。SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の反応率が30〜80%のものは加熱することによりそれ自身で硬化可能である。反応液中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の存在量をモニターしながら、酸素供給量を制御することが好ましい。反応液中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の存在量は、1H−NMR、ガスクロマトグラフィー、赤外スペクトルなどによりモニターすることができる。
【0051】
ヒドロシリル化反応は、一般に0〜150℃の温度範囲で行われるが、期待されない副反応が起こらないように制御し易くするために、60〜120℃で行われるのが好ましい。反応温度の調節、反応系の粘度の調節、副反応の抑制など必要に応じて、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶剤又はプロセスオイルなどの可塑剤を用いてもよい。ヒドロシリル化反応を実施するための装置としては、特に制限はないが、各種原料及び溶媒の沸点近傍以上の温度で反応を行う場合や、酸素供給のために加圧が必要な場合にはオートクレーブなどの耐圧容器が好ましい。さらに、均一に反応を進行させるために、十分な攪拌能力を持った装置が好ましい。
【0052】
本発明の製造法により得られたSiH基を含有する含窒素有機系化合物を用いた硬化物は、電子材料、光学材料、封止材、コーティング材などに用いることができる。
【0053】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(実施例1)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。窒素雰囲気下でこのフラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440g(6.0mol)を入れ、攪拌しながら反応液温を100℃に加熱した。トリアリルイソシアヌレート200g(0.80mol)、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を35分かけて一定速度で滴下した。約4割を滴下した時に最高温度106℃を記録したが、その後反応液温は低下し、滴下終了時は99℃であった。反応時間40分(滴下開始を反応時間0とした)に少量サンプリングし、1H−NMRで求めたアリル基反応率は60%であった。反応時間70分のアリル基反応率は62%であり、反応はほとんど停止していた。反応時間80分から135分まで反応液直上部へ3%酸素含有窒素を20ml/minでフローした。反応時間100分および130分のアリル基反応率はそれぞれ67%、71%であった。酸素添加により反応の進行が確認された。反応時間135分から225分まで反応液中へ3%酸素含有窒素を20ml/minでバブリングした。反応時間160分、190分、220分後のアリル基反応率はそれぞれ77%、83%、84%であった。反応速度が低下したので反応時間225分から330分まで反応液中へ3%酸素含有窒素を50ml/minでバブリングした。反応時間250分、310分後のアリル基反応率はそれぞれ88%、94%であった。330分で反応を終了し、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンを減圧留去し、微黄色の液体を得た。反応時間とアリル基反応率の関係を図1に示した。1H−NMR、GPCにより、このものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応した下記構造を主成分とするSiH基を含有する含窒素有機系化合物であることがわかった。
【0054】
【化20】
Figure 0004499342
最終のアリル基反応率は96%、1,2−ジブロモメタンを内部標準に用いて1H−NMRによりSiH基の含有量を求めたところ、8.2mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。室温2ヵ月の保存でもほとんど増粘はなかった。
(実施例2)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。空気中でこのフラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440g(6.0mol)を入れ、攪拌しながら反応液温を110℃に加熱した。トリアリルイソシアヌレート200g(0.80mol)、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を50分かけて発熱状態を維持しながら連続的に滴下した。滴下終了1時間後より約1時間間隔で6回、内容積約500mlのバルーンに入れた空気を反応液中に数分かけて送り込んだ。滴下終了から6時間反応を行ない1H−NMRで反応率アリル基反応率95%以上100%未満を確認した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、淡黄色の液体が得られた。最終のアリル基反応率は96%、粘度は2.2Pa・s、1,2−ジブロモメタンを内部標準に用いて1H−NMRによりSiH基の含有量を求めたところ、8.5mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。本生成物のGPC測定をすると多峰性のクロマトグラムが得られたことから、本生成物は混合物であることが示唆された。GPCの主ピークを分取、1H−NMRおよび質量スペクトルを測定すると、下記の構造を有することが確認された。また、GPCのポリスチレン換算分子量4000以上の高分子量成分は全面積の10%以下であった。
【0055】
【化21】
Figure 0004499342
本生成物は冷蔵庫で3ヵ月以上保存してもほとんど増粘はなかった。
比較例1
2Lのオートクレーブに窒素下でトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン576g(2.4mol)を入れ、気相部を6%酸素含有窒素で置換した。置換終了時の気相部の酸素濃度は5.3%、内圧は1atmであった。攪拌しながら反応液温を110℃に加熱した。トリアリルイソシアヌレート80g(0.32mol)、トルエン80g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)580μlの混合液を調製した。トリアリルイソシアヌレート混合液の1/8を滴下管からオートクレーブ中に投入すると、約1分で内温が上昇した。内温が平衡になった5分後に、6%酸素含有窒素で2atmまで加圧しても内温変化はなかった。混合液投入30分後に反応液のサンプリングを行ない、1H−NMRで測定したアリル基の反応率は100%であった(サンプリング1)。この時の気相部の酸素濃度は1.6%であった。酸素濃度1.6%、内圧1atmでさらにトリアリルイソシアヌレート混合液の1/8を滴下管からオートクレーブ中に投入すると、投入後5分経過しても内温の上昇は観測されなかった。6%酸素含有窒素を加えて2atmにするとすぐに発熱が観測された。混合液投入30分後に反応液のサンプリングを行ない、1H−NMRで測定したアリル基の反応率は100%であった(サンプリング2)。この時の気相部の酸素濃度は1.2%であった。酸素濃度1.2%、内圧1atmでさらにトリアリルイソシアヌレート混合液の1/4を滴下管からオートクレーブ中に投入すると、投入後2分経過しても内温の上昇は観測されなかった。6%酸素含有窒素を加えて4atmにするとすぐに発熱が観測された。混合液投入40分後に反応液のサンプリングを行ない、1H−NMRで測定したアリル基の反応率は100%であった(サンプリング3)。この時の気相部の酸素濃度は0.8%であった。酸素濃度0.8%、内圧1atmでさらにトリアリルイソシアヌレート混合液の1/4を滴下管からオートクレーブ中に投入すると、投入後5分経過しても内温の上昇は観測されなかった。6%酸素含有窒素を加えて2atmにするとすぐに発熱が観測された。混合液投入40分後に反応液のサンプリングを行ない、1H−NMRで測定した投入したアリル基の反応率は88%であった(サンプリング4)。この時の気相部の酸素濃度は1.7%であった。酸素濃度1.7%、内圧1atmでさらにトリアリルイソシアヌレート混合液の1/4を滴下管からオートクレーブ中に投入すると、投入後2分経過しても内温の上昇は観測されなかった。6%酸素含有窒素を加えて2atmにするとすぐに発熱が観測された。混合液投入40分後に反応液のサンプリングを行ない、1H−NMRで測定した全投入量に対するアリル基の反応率は77%であった(サンプリング5)。内圧1atmにした後に6%酸素含有窒素を加えて2atmにし、60分反応を行なった。サンプリングを行ない、1H−NMRで測定した全投入量に対するアリル基の反応率は89%であった(サンプリング6)。反応液を冷却したところ、ゲルが生成していた。サンプリング1のGPCを測定すると、この時すでにポリスチレン換算分子量4000以上の高分子量成分が、全面積の25%以上生成していた。
(実施例
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。窒素雰囲気でこのフラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440g(6.0mol)を入れた。気相部を3%酸素含有窒素で置換し、攪拌しながら反応液温を110℃に加熱した。トリアリルイソシアヌレート200g(0.80mol)、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を30分かけて発熱状態を維持しながら連続的に滴下した。滴下終了30分後より約20分間隔で、内容積1Lのバルーンに入れた3%酸素含有窒素を気相部に送り込んで気体の置換を行なった。滴下終了から5時間反応を行ない1H−NMRで反応率アリル基反応率95%以上100%未満を確認した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。微黄色の液体が得られ、最終のアリル基反応率は96%、粘度は2.2Pa・sであった。本生成物は冷蔵庫で3ヵ月以上保存してもほとんど増粘はなかった。
参考例1
200mlの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。窒素雰囲気下でこのフラスコにトルエン45g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン36g(0.15mol)を入れ、攪拌しながら反応液温を80℃に加熱した。トリアリルイソシアヌレート5.0g(0.021mol)、トルエン5.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)45.2μlの混合液を5分かけて連続的に滴下した。滴下終了後100℃で2時間反応させた。1H−NMRで反応率アリル基反応率95%以上100%未満を確認した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。微黄色の液体が得られ、最終のアリル基反応率は96%、SiH当量は8.5mmol/gであった。小スケールであれば、窒素雰囲気下でもSiH基を含有する含窒素有機系化合物は製造可能な例である。
(実施例
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン1380g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1360g(5.6mol)を入れた。気相部を3%酸素含有窒素で置換し、105℃のオイルバス中で加熱、攪拌した。ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート300g(1.1mol)、トルエン300g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.36mlの混合液を30分かけて連続的に滴下した。得られた溶液をそのまま1時間加温、攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。1H−NMRによりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと反応したものであることがわかった。最終のアリル基反応率は98%であった。また、1,2−ジブロモメタンを内部標準に用いて1H−NMRによりSiH基の含有量を求めたところ、8.73mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。生成物は混合物であるが、下記のものを主成分として含有している。
【0056】
【化22】
Figure 0004499342
本生成物は冷蔵庫で3ヵ月以上保存してもほとんど増粘はなかった。
(実施例
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。窒素雰囲気でこのフラスコにトルエン1800g、SiH基含有化合物(1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン90重量%、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン7重量%、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン3重量%の混合物)1440gを入れた。気相部を3%酸素含有窒素で置換し、攪拌しながら反応液温を100℃に加熱した。トリアリルイソシアヌレート200g(0.80mol)、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を20分かけて発熱状態を維持しながら連続的に滴下した。滴下終了30分後より約20分間隔で、内容積1Lのバルーンに入れた3%酸素含有窒素を気相部に送り込んで気体の置換を行なった。滴下終了から12.5時間反応を行ない1H−NMRで反応率アリル基反応率95%以上100%未満を確認した後、未反応のSiH基含有化合物及びトルエンを減圧留去した。微黄色の液体が得られ、最終のアリル基反応率は97%であった。本生成物は冷蔵庫で3ヵ月以上保存してもほとんど増粘はなかった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、安定的にSiH基を有する含窒素有機系化合物を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における反応時間とアリル基反応率の関係を示す曲線を示す。

Claims (4)

  1. SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)とSiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)とを金属原子を含有するヒドロシリル化触媒(C)の存在下で反応させてSiH基を含有する含窒素有機系化合物を製造する際に、
    (i)酸素(D)の存在した状態でヒドロシリル化反応を行ない、
    (ii)前記(i)のヒドロシリル化反応の終了時まで(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を残存させる、
    ことを特徴とする、SiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法。
    前記SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)が、下記一般式(1)
    Figure 0004499342
    (式中R1 は一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、これらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるイソシアヌル酸系化合物、および下記一般式(2)
    Figure 0004499342
    (式中R1 は一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよく、これらR1の少なくとも2個はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表されるシアヌル酸系化合
    らなる群より選ばれる少なくとも一の成分であり、
    前記一般式(1)および一般式(2)における一価の有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
    Figure 0004499342
    から選択される。
    前記SiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)が、
    下記一般式(5)
    Figure 0004499342
    (但し、式中R4〜R6はそれぞれ同一もしくは異種の置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、nは2以上の整数、mは0以上の整数で、n+mは3以上の整数である。)で表される環状ポリオルガノシロキサン、および/または、
    下記一般式(6)
    Figure 0004499342
    (但し、式中R7〜R13はそれぞれ同一もしくは異種の置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、Xは水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、Xが水素原子のときpは0以上の整数、Xが水素原子でないときpは2以上の整数であり、qは0以上の整数である。)で表される鎖状ポリオルガノシロキサンである。
  2. SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物(A)が、下記一般式(4)
    Figure 0004499342
    (式中R3はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する一価の有機基を表す。)で表されるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基を、1分子中に少なくとも2個含有する含窒素有機化合物である、請求項1に記載のSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法。
    前記一般式(4)における、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する一価の有機基は、ビニル基、アリル基、
    Figure 0004499342
    から選択される。
  3. SiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)が、常圧における沸点が200℃以下である、請求項1または2に記載のSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法。
  4. SiH基を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(B)が、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンからなる群より選ばれる少なくとも一の成分である、請求項3に記載のSiH基を含有する含窒素有機系化合物の製造方法。
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