JP2003330119A - スクリーンおよびその製造方法ならびに投影システムならびに表示装置 - Google Patents

スクリーンおよびその製造方法ならびに投影システムならびに表示装置

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JP2003330119A
JP2003330119A JP2002141871A JP2002141871A JP2003330119A JP 2003330119 A JP2003330119 A JP 2003330119A JP 2002141871 A JP2002141871 A JP 2002141871A JP 2002141871 A JP2002141871 A JP 2002141871A JP 2003330119 A JP2003330119 A JP 2003330119A
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誠一 渡辺
Yoshihiko Kuroki
義彦 黒木
Atsushi Toda
淳 戸田
Hikari Ishimoto
光 石本
Akira Ishibashi
晃 石橋
Takehiro Nakaeda
武弘 中枝
Tomohiro Nishi
智裕 西
Michihiro Onishi
通博 大西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外光ノイズが小さく、映像のコントラストが
高く、黒が沈んだ映像を得ることができるスクリーンを
実現する。 【解決手段】 基板1上に、赤色反射用、緑色反射用お
よび青色反射用の微粒子層2、3、4を縦方向に積層ま
たは横方向に配置した反射面を離散的に配置してスクリ
ーンを構成する。赤色反射用、緑色反射用および青色反
射用の微粒子の直径はそれぞれ約280nm、約235
nm、約212nmとする。基板1は、赤、緑、青の三
原色以外の波長の光を吸収可能なものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スクリーンおよ
びその製造方法ならびに投影システムならびに表示装置
に関し、各種の映像(画像)の投影あるいは表示に用い
て好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来のスクリーンは、可視波長領域のほ
とんどの光を散乱または反射することができる白地のス
クリーンが基本である。この場合、映像に関係のない外
部の光がスクリーンに入射したときにも同様に散乱また
は反射されてしまうので、映像のコントラストが劣化し
てしまう。このため、暗室で投影する方法が一般的であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、暗室で
投影しても、環境光(外部からの漏れ光や暗室内部での
映像と無関係な光など)やスクリーンの照り返しなどの
外光ノイズがあると、映像のコントラストが劣化すると
ともに、黒が沈まないことになる。ここで、映像におい
て黒が沈むと、人間の目は、高いコントラストによって
奥行き感を感じたり、低輝度域の弁別能力が高いことな
どから、暗い部分の表現がリアリティを増すという利点
があるところ、黒が沈まないとこのような利点を得るこ
とができない。
【0004】したがって、この発明が解決しようとする
課題は、外光ノイズが小さく、映像のコントラストが高
く、黒が沈んだ映像を得ることができるスクリーンおよ
びその製造方法ならびにこのスクリーンを用いた投影シ
ステムを提供することにある。
【0005】この発明が解決しようとする他の課題は、
外光ノイズが小さく、映像のコントラストが高く、黒が
沈んだ映像を得ることができる表示装置を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明の第1の発明は、標準的なシアター環境と
同等の、スクリーン面上における映像の最大輝度を確保
しつつ、スクリーン面の全面平均の反射率を少なくとも
白地のスクリーンの反射率より低い値に設定することに
より外光ノイズの反射を低減させたことを特徴とするス
クリーンである。
【0007】この発明の第2の発明は、第1の反射率を
有する下地面上に第1の反射率より高い第2の反射率を
有する反射面を離散的に配置したことを特徴とするスク
リーンである。
【0008】ここで、典型的には、反射面の間の部分の
下地面を黒の吸収面とし、反射面を白の反射面とする。
典型的には、反射面は二次元的に周期的に配置される。
反射面の形状は基本的には任意であるが、典型的には正
方形または長方形である。反射面の大きさおよび間隔
は、好適には、想定される視距離に対して視角がたとえ
ば約1分以下となるように選ばれ、かつ、間隔は反射面
の大きさの20〜50%程度に選ばれる。
【0009】この発明の第3の発明は、複数の投影光源
のそれぞれの発光スペクトルの中心波長に合わせた反射
特性を有する反射面を下地面上に離散的に配置したこと
を特徴とするスクリーンである。
【0010】ここで、典型的には、反射面の間の部分の
下地面を黒の吸収面とする。典型的には、反射面は二次
元的に周期的に配置される。反射面の形状は基本的には
任意であるが、典型的には正方形または長方形である。
反射面の大きさおよび間隔は、好適には、想定される視
距離に対して視角がたとえば約1分以下となるように選
ばれ、かつ、間隔は反射面の大きさの20〜50%程度
に選ばれる。また、反射面による反射スペクトルの半値
幅は、色純度を良好とする観点より、好適には30nm
±20nmとする。一般的には、反射面をn原色のそれ
ぞれに対応した波長の光を反射し、他の光は透過するよ
うにそれぞれ構成し、これらの反射面を積層する。たと
えば、3原色の場合は、反射面を青、緑および赤のそれ
ぞれに対応した波長の光を反射し、他の光は透過するよ
うにそれぞれ構成し、これらの反射面を積層する。反射
面の積層順序は基本的には任意であり、たとえば、スク
リーン表面から見て長波長のものから短波長のものへ順
に積層しても良いし、スクリーン表面から見て短波長の
ものから長波長のものへ順に積層しても良い。前者の場
合には、視覚的な解像力が光の短波長化に伴って低下す
る性質によって、短波長側の反射が多少散乱されても、
映像の見えの劣化を防止することができる利点がある。
【0011】反射面は、具体的には、たとえば、大きさ
が1μm以下の微粒子を規則的に配列した構造とした
り、大きさが1μm以下の微粒子が規則的に配列された
微粒子クラスターを配列した構造としたり、フォトニッ
ク結晶を用いて特定の波長の光を反射するように構成し
たり、誘電体多層膜を用いて特定の波長の光を反射する
ように構成したりする。
【0012】ここで、フォトニック結晶とは、屈折率
(誘電率)が互いに大きく異なる透明な媒質(たとえ
ば、二種類の透明媒質)を光の波長程度の周期、たとえ
ば数百〜1000数百nmの周期で規則正しく配置した
人工結晶であり、周期構造を持つ次元数に応じて、一次
元フォトニック結晶、二次元フォトニック結晶、三次元
フォトニック結晶と呼ばれる。このフォトニック結晶
は、周期構造を有し、光を反射する機能を有する点で、
上記の微粒子の規則配列構造と同等である。言い換えれ
ば、微粒子の規則配列構造はフォトニック結晶の一種と
考えることができる。また、誘電体多層膜は、一次元フ
ォトニック結晶と考えることができる。
【0013】反射面に用いる微粒子の大きさを1μm以
下としたのは、微粒子の大きさとこの微粒子により反射
される光の波長とはほぼ比例関係にあるところ、映像形
成に寄与する可視光を反射するためには、微粒子の大き
さを少なくとも1μm以下とする必要があるためであ
る。特に、微粒子が最密構造で配列している場合、三原
色の光を反射するためには、この微粒子の大きさは、典
型的には約150nm以上約320nm以下である。
【0014】反射面に用いる微粒子は、規則配列構造を
形成することができれば、基本的にはどのような方法に
より堆積させても良いが、典型的には、自己組織化技術
を用いて容易に堆積させることができる。この微粒子
は、典型的には、最密構造に配列される。ここで、最密
構造とは、微粒子が面心立方格子を形成するように配列
した立方最密構造または微粒子が六方最密格子を形成す
るように配列した六方最密構造である。
【0015】典型的には、赤、緑および青の三原色に対
応した波長の光を同時に反射することができるようにす
るために、微粒子の直径またはフォトニック結晶または
誘電体多層膜の周期は3種類存在する構造とする。微粒
子としては種々のものを用いることが可能であり、必要
に応じて選ぶことができるが、好適には、シリカまたは
シリカと同じ屈折率を持つ微粒子が用いられる。ここ
で、シリカの屈折率は、形成時の条件などにもよるが、
一般には1.36〜1.47の範囲にある。この場合、
典型的には、微粒子の材料によらず、微粒子の屈折率を
nとすると、赤色反射用として269×(1.36/
n)nm以上314×(1.36/n)nm以下の直径
の微粒子、緑色反射用として224×(1.36/n)
nm以上251×(1.36/n)nm以下の直径の微
粒子、青色反射用として202×(1.36/n)nm
以上224×(1.36/n)nm以下の直径の微粒子
が用いられ、より典型的には、赤色反射用として278
×(1.36/n)nm以上305×(1.36/n)
nm以下の直径の微粒子、緑色反射用として224×
(1.36/n)nm以上237×(1.36/n)n
m以下の直径の微粒子、青色反射用として208×
(1.36/n)nm以上217×(1.36/n)n
m以下の直径の微粒子が用いられる。ただし、これらの
赤色反射用の微粒子、緑色反射用の微粒子および青色反
射用の微粒子は、必要に応じて、互いに異なる材料のも
のを用いても良い。赤、緑および青の三原色に対応した
波長の光を同時に反射することができるようにするため
には、基板上に、縦方向に赤色反射用、緑色反射用およ
び青色反射用のフォトニック結晶または微粒子層を積層
する。これらのフォトニック結晶または微粒子層の積層
順序は基本的には任意であるが、たとえば、基板上に赤
色反射用、緑色反射用および青色反射用のフォトニック
結晶または微粒子層を順番に積層したり、これと積層順
序を逆にしたりすることができる。前者の場合にはレイ
リー散乱による影響を最小限に抑えることができる点で
有利であり、後者の場合は特に微粒子層の結晶性を良好
にすることができる点で有利である。この場合、各色用
のフォトニック結晶または微粒子層の積層周期は、波長
の選択性を高めるために、好適には8以上15以下とす
る。
【0016】赤色反射用、緑色反射用および青色反射用
のフォトニック結晶または微粒子層は基板上に横方向に
配列しても良く、この場合も、各色用のフォトニック結
晶または微粒子層の積層周期は波長の選択性を高めるた
めに好適には8以上15以下とする。これらの赤色反射
用、緑色反射用および青色反射用のフォトニック結晶ま
たは微粒子層の配列順序は、基本的には任意である。
【0017】フォトニック結晶または微粒子層または誘
電体多層膜を通って抜け出る、赤、緑および青の三原色
以外の波長の可視光を吸収するために、スクリーンは、
好適にはその可視光の吸収が可能な層またはバルク基板
を有する。最も好適には、この層またはバルク基板は、
すべての波長域の可視光を吸収するものである。この可
視光を吸収する層またはバルク基板は、好適には、フォ
トニック結晶または微粒子または誘電体多層膜の下(ス
クリーンの観察方向から見てそれらの裏側)に設けられ
る。基板として、透明基板の裏面に可視光を吸収する層
を設けたものを用いても良い。基板の材料としては、種
々のものを用いることができ、具体的には、たとえば、
カーボンその他の無機材料や、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)その他の高分子材料あるいは樹脂材料の
ような有機材料、更には無機材料と有機材料との複合材
料を用いることができる。基板上に液相で微粒子層また
はフォトニック結晶を形成する場合、基板の種類によっ
ては必ずしも濡れ性が十分でない場合もあるので、その
ような場合には、好適には、微粒子層またはフォトニッ
ク結晶を形成する前に、基板表面の濡れ性を向上させる
処理が施される。具体的には、たとえば、基板表面に粗
面化処理を施して凹凸を形成したり、SiO 2 膜その他
の膜で表面をコーティングしたり、薬液で表面を処理し
たりする。更に、特に基板上に微粒子層を液相で堆積さ
せる場合には、濡れ性を向上させるために、好適には、
基板上にあらかじめ微粒子からなるバッファ層を形成す
る。このバッファ層としての微粒子層の微粒子の直径
は、上記の青色反射用の微粒子の直径、すなわち208
×(1.36/n)nm以上217×(1.36/n)
nm以下の直径より小さく選ばれ、具体的には、208
×(1.36/n)nmより小さく選ばれる。基板の厚
さは、基板材料にもよるが、一般的には20μm以上あ
ればスクリーンの強度として十分なものが得られ、破れ
にくいという利点が得られ、一方、500μm以下であ
るとスクリーンのフレキシビリティーが高くなり、巻き
取りや運搬時などの取り扱いが便利になるという利点が
ある。スクリーンに誘電体多層膜を用いる場合、その周
期構造は、波長選択性を高めるために、好適には10周
期以上とする。
【0018】回折効果により反射光を広げるためには、
好適には、フォトニック結晶または微粒子の集合体の横
方向の大きさを22周期より小さくする。あるいは、斜
めの面とそれとは異なる角度を持つ面とを併せ持つフォ
トニック結晶または微粒子の集合体または誘電体多層膜
を用いる。この場合、好適には、斜めの面の角度θは7
0°≦θ≦90°の範囲とする。あるいは、フォトニッ
ク結晶または微粒子の集合体または誘電体多層膜に曲面
を持たせる。更には、フォトニック結晶または微粒子の
集合体または誘電体多層膜の結晶軸を光の入射方向に対
して77.4°≦α≦90°の範囲の角度α傾けるよう
にしても良い。また、スクリーンで反射される光の指向
性を緩和する観点より、フォトニック結晶または微粒子
の集合体または誘電体多層膜にうねりを持たせても良
い。更に、上記の基板表面への凹凸の形成は、この光の
指向性の緩和にも資するものである。
【0019】フォトニック結晶または微粒子層または誘
電体多層膜上には、スクリーンで反射される光の指向性
を緩和するとともに、スクリーン全体に均一な輝度を持
たせる観点より、好適には、光拡散媒体がコーティング
その他の手法により設けられる。光拡散媒体は、具体的
には、高分子物質などにより形成された拡散フィルム、
マイクロレンズフィルム、マイクロプリズムフィルムな
どである。スクリーンの機械的強度の向上の観点から
は、微粒子の間の隙間が高分子物質などからなる結合剤
(バインダー)により埋められる。この場合、微粒子を
空洞としても良い。
【0020】この発明の第4の発明は、複数の投影光源
のそれぞれの発光スペクトルの中心波長に合わせた反射
特性を有する反射面を基板上に離散的に配置し、反射面
は、大きさが1μm以下の微粒子を規則的に配列した構
造を有するスクリーンの製造方法であって、微粒子を自
己組織化により配列するようにしたことを特徴とするも
のである。
【0021】ここで、自己組織化とは、一般的には、外
界の情報構造に合わせて自律的に自己を組織化すること
を言うが、ここでは、微粒子を堆積させる系(たとえ
ば、液相)において、その系を特徴付けるパラメータに
応じて自律的に微粒子が堆積して規則的に配列すること
を言う。この自己組織化による微粒子の堆積は、典型的
には、次のようにして行われる。
【0022】すなわち、この発明の第5の発明は、複数
の投影光源のそれぞれの発光スペクトルの中心波長に合
わせた反射特性を有する反射面を基板上に離散的に配置
し、反射面は、大きさが1μm以下の微粒子を規則的に
配列した構造を有するスクリーンの製造方法であって、
2重量%以上の微粒子溶液中に基板を浸漬する第1の工
程と、基板を気相中に30μm/s以上の速度で引き上
げることによりその表面を微粒子溶液で濡らす第2の工
程と、微粒子溶液で濡れた基板を気相中で乾燥させる第
3の工程とを有することを特徴とするものである。
【0023】ここで、反射面を形成する部分にのみ微粒
子層を堆積させるためには、たとえば、反射面を形成す
る部分以外の部分の基板表面をあらかじめマスクで覆っ
ておけば良い。最も好適には、微粒子の規則配列構造、
すなわち微粒子層について、必要な光学特性が得られる
まで、あるいは必要な厚さが得られるまで、第1の工程
から第3の工程を繰り返す。また、第1の工程から第3
の工程を1回だけ行っただけでは、基板面内で微粒子層
の厚さの均一性を得ることができないことが多いことか
ら、好適には、基板の浸漬前、浸漬中(引き上げ前)ま
たは引き上げ直後のいずれかの時に基板をその面内で回
転させることにより基板の向きを変える。この場合、基
板の乾燥後に基板面内の微粒子層の厚さを調べ、それに
合わせて基板の向きを制御しても良い。また、微粒子溶
液の濃度は、通常は2重量%以上であれば微粒子層の形
成を支障なく行うことができるが、微粒子層を効率的に
堆積させる観点からはより高くするのが好ましく、一
方、微粒子の材料にもよるが、50重量%より高くなる
と良好な微粒子層の形成に支障が生じるため、50重量
%以下とするのが好ましい。更に、基板の引き上げ速度
は、通常は30μm/s以上であれば微粒子層の付着を
支障なく行うことができるが、引き上げ速度が速いと付
着する微粒子層の厚さが増加する傾向があるため、微粒
子層を効率的に堆積させる観点からはより速くするのが
好ましく、これには基本的には上限が存在しないと考え
られるが、実用的な観点からは、一般的にはたとえば3
m/s以下である。
【0024】この発明の第6の発明は、投影光源と、第
1の反射率を有する下地面上に第1の反射率より高い第
2の反射率を有する反射面を離散的に配置したスクリー
ンとを有することを特徴とする投影システムである。
【0025】この発明の第7の発明は、複数の投影光源
と、複数の投影光源のそれぞれの発光スペクトルの中心
波長に合わせた反射特性を有する反射面を下地面上に離
散的に配置したスクリーンとを有することを特徴とする
投影システムである。
【0026】ここで、投影光源としては、典型的にはレ
ーザ、好適には半導体レーザが用いられる。また、高効
率で高コントラストを実現する観点からは、好適には、
投影する映像をスクリーンの離散的に配置されたそれぞ
れの反射面に集中して投影するようにする。この場合、
効率およびコントラストの向上の観点からは、最も好適
には、投影する映像の画素がそれぞれの反射面を完全に
含むようにするのが良いが、最低限、投影する画素と反
射面とが重なっていれば良い。
【0027】この発明の第8の発明は、互いに発光波長
が異なる複数の発光ダイオードと、複数の発光ダイオー
ドのそれぞれの近傍に設けられた、複数の発光ダイオー
ドのそれぞれの発光スペクトルの中心波長に合わせた反
射特性を有する反射面とを有することを特徴とする表示
装置である。
【0028】上述のように構成されたこの発明によれ
ば、第1の反射率を有する下地面上に第1の反射率より
高い第2の反射率を有する反射面を離散的に配置してい
ることにより、等価的に全面平均の反射率を低下させる
ことができ、外光ノイズの反射を低減させ、高いコント
ラストを実現することができる。特に、反射面の間の部
分を黒の吸収面とすることにより、外光ノイズの反射を
より低減させ、より高いコントラストを実現することが
できる。
【0029】また、複数の投影光源のそれぞれの発光ス
ペクトルの中心波長に合わせた反射特性を有する反射面
を下地面上に離散的に配置していることにより、これら
の反射面により、複数の投影光源のそれぞれの発光スペ
クトルの中心波長の光だけを選択的に反射することがで
き、外光ノイズの反射を低減させ、高いコントラストを
実現することができる。特に、反射面の間の部分を黒の
吸収面とすることにより、外光ノイズの反射をより低減
させ、より高いコントラストを実現することができる。
また、自己組織化により微粒子を規則的に配置すること
により、所望の微粒子層を容易に形成することができ
る。
【0030】更に、互いに発光波長が異なる複数の発光
ダイオードのそれぞれの近傍に、これらの発光ダイオー
ドのそれぞれの発光スペクトルの中心波長に合わせた反
射特性を有する反射面が設けられていることにより、こ
れらの反射面により、複数の発光ダイオードのそれぞれ
の発光スペクトルの中心波長の光だけを選択的に反射す
ることができ、外光ノイズの反射を低減させ、高いコン
トラストを実現することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施形態について
説明する。なお、実施形態の全図において、同一または
対応する部分には同一の符号を付す。図1はこの発明の
第1の実施形態によるスクリーンを示す。図1に示すよ
うに、このスクリーンにおいては、黒の吸収面からなる
フラットな下地面P上に白の反射面Qが二次元マトリク
ス状に離散的に等間隔で配置されている。反射面Qはた
とえば正方形である。反射面Qの大きさ(面積)および
間隔は、スクリーン面の全面平均の反射率が等価的に、
従来の白地のスクリーンの反射率に比べて十分に低くな
るように選ばれ、具体的には、たとえば、大きさは
(1.6〜2.0)mm×(1.6〜2.0)mm、間
隔(黒幅に相当)は1.2〜1.6mmである。スクリ
ーン全体の面積は用途に応じて適宜選ばれる。
【0032】図2はこの発明の第2の実施形態によるス
クリーンを示す。図2に示すように、このスクリーンに
おいては、黒の吸収面からなるフラットな下地面P上
に、赤色の光を選択的に反射する反射面Q1 、緑色の光
を選択的に反射する反射面Q2 および青色の光を選択的
に反射する反射面Q3 が二次元マトリクス状に離散的に
等間隔で配置されている。一組の反射面Q1 、Q2 、Q
3 が一画素を構成する。反射面Q1 、Q2 、Q3 は、具
体的には、スクリーンに投影を行う時に使用する赤、緑
および青用の投影光源のそれぞれの発光スペクトルの中
心波長に合わせた反射特性を有する。各反射面Q1 、Q
2 、Q3 はたとえば長方形である。各反射面Q1
2 、Q3 の大きさはたとえば(1.2〜1.6)mm
×(5.5〜7.5)mm、間隔(黒幅に相当)はたと
えば1.0〜1.4mmである。スクリーン全体の面積
は用途に応じて適宜選ばれる。
【0033】上述の第1および第2の実施形態によるス
クリーンと従来の白地のフラットスクリーンとについて
黒の沈みの比較実験を行った結果について説明する。図
3に実験方法を示す。図3において、白フラットスクリ
ーンが従来のスクリーン、白離散反射スクリーンが第1
の実施形態によるスクリーン(ただし、白幅は1.8m
m、黒幅は1.4mm)、RGB離散反射スクリーンが
第2の実施形態によるスクリーン(ただし、RGB幅は
2.0mm、黒幅は1.2mm)である。図3には、各
スクリーンの一部を拡大した図も併せて載せてある。P
jはプロジェクターを示す。実験は各スクリーンの一部
にプロジェクターPjにより投影を行い、明部(光照射
部)と暗部(光非照射部)との輝度を測定することによ
り行った。暗部の輝度の測定は外光がある場合とない場
合とについて行った。
【0034】図4に実験結果を示す。図4には、光源、
色温度補正フィルター、ND(Neutral Density)フィル
ター、明部色温度も示す。図4より、外光がある場合
(そのうち室内灯によるものは60%)、白フラットス
クリーンでは、明部輝度が9.75cdm-2、暗部輝度
が0.0472cdm-2でコントラスト(明部輝度/暗
部輝度)は9.75/0.0472≒206.6である
のに対し、白離散反射スクリーンでは、明部輝度が1
0.9cdm-2、暗部輝度が0.0173cdm-2でコ
ントラストは10.9/0.0173≒630.1、R
GB離散反射スクリーンでは、明部輝度が9.92cd
-2、暗部輝度が0.00960cdm-2でコントラス
トは9.92/0.00960≒1033.3と高い。
また、外光がない場合、白フラットスクリーンでは、明
部輝度が9.75cdm-2、暗部輝度が0.0126c
dm-2でコントラストは9.75/0.0126≒77
3.8であるのに対し、白離散反射スクリーンでは、明
部輝度が10.9cdm-2、暗部輝度が0.00826
cdm-2でコントラストは10.9/0.00826≒
1319.6、RGB離散反射スクリーンでは、明部輝
度が9.92cdm-2、暗部輝度が0.00680cd
-2でコントラストは9.92/0.00680≒14
58.8と高い。
【0035】この結果から、白離散反射スクリーン、R
GB離散反射スクリーンとも、白フラットスクリーンに
比べて、高いコントラストが得られ、黒の沈んだ映像を
得ることができることが分かる。
【0036】次に、この発明の第3の実施形態によるス
クリーンについて説明する。第2の実施形態によるスク
リーンにおいては、赤色用、緑色用および青色用の反射
面Q1 、Q2 、Q3 を横方向に互いに隣接して配列して
いるのに対し、この第3の実施形態によるスクリーンに
おいては、これらの反射面Q1 、Q2 、Q3を積層す
る。ここで、これらの反射面Q1 、Q2 、Q3 の積層順
序は、スクリーン表面から見て反射面Q1 、Q2 、Q3
の順序でも良いし、その逆の順序でも良い。この場合、
これらの反射面Q1 、Q2 、Q3 の大きさはたとえば
(0.5〜1.0)mm×(0.5〜1.0)mm、間
隔(黒幅に相当)はたとえば0.1〜0.5mmであ
る。ここで、この反射面の大きさおよび間隔は、想定さ
れる視距離に対して、概ね1分以下の視角となるように
選ばれる。この角度は、視力1の人の視覚限界であり、
映像が連続的に見える条件を与える。ちなみに0.5m
mは、およそ1.72mの視距離にて1分の視角となる
大きさである。また、上記の間隔は、反射面すなわち画
素の大きさに対して、投影の誤差を20〜50%程度と
考慮したものである。更に、スクリーン全体の面積は用
途に応じて適宜選ばれる。
【0037】次に、第2および第3の実施形態によるス
クリーンにおける反射面Q1 、Q2、Q3 の具体的な構
造の詳細について説明する。図5に示すように、反射板
と光吸収層との組み合わせにより特定の波長の光だけを
反射して他の波長の光を吸収することで、黒を沈ませる
スクリーンを実現することができる。ここで、図5Aに
示すものは波長の選択性が高いという特徴があり、図5
Bに示すものは構造が簡単であるという特徴がある。
【0038】特定の波長の光だけを反射するための構造
の具体例を図6Aおよび図6Bに示す。図6Aに示す構
造は、基板上に、大きさがあらかじめ最適化された微粒
子を規則的に配列したもので、ブラッグ条件(λ=2n
Λ/m、λ:入射光の波長、n:モード屈折率、Λ:構
造の周期、m:次数)を満たす波長の光のみが選択的に
反射される。図6Bに示す構造は、基板上に、屈折率が
1 の膜とn2 (≠n 1 )の膜とを交互に積層して多層
膜を形成したもので、干渉効果により特定の波長の光の
みが選択的に反射される。
【0039】まず、多層膜の反射スペクトルを有効フレ
ネル係数法で見積もった結果を説明する。この多層膜
は、互いに屈折率が異なる二種類の誘電体膜をそれらの
屈折率nに対してmλ0 /4nの厚さで交互に積層した
ものである。ただし、mは一般には1以上の整数である
がここでは1とし、λ0 は特定の光の波長である。結果
を図7に示す。ここでは、一方の誘電体膜の屈折率をn
=1.2、他方の誘電体膜の屈折率をn=1.8とし、
λ0 =520nmとして計算を行っている。この結果か
ら、多層膜の周期を1から5まで増加させることで、反
射率が増加し、5周期で90%以上の反射率が得られる
のが判る。一方で、そのピークの半値幅が〜200nm
と広いことも判る。
【0040】次に、5周期の条件で3原色の波長λ0
490nm(青色)、λ0 =520nm(緑色)、λ0
=650nm(赤色)について計算した結果を図8に示
す。この結果から、3原色のいずれの波長の場合でもピ
ークの半値幅が広いためにピーク同士が重なり合うが、
ある程度特定の波長の光だけを反射することができるこ
とが判る。
【0041】一方、形成方法は後に詳細に説明するが、
自己組織化により最密構造で規則的に配列されたシリカ
微粒子(直径D=280nm)について反射スペクトル
を測定した結果を図9に示す。ただし、この測定では、
白色光を微粒子層に垂直に入射して垂直に反射した光を
測定している。走査型電子顕微鏡(SEM)による観察
から、微粒子は自己組織化により、図10に示されるよ
うな面心立方格子か、あるいは最密六方格子の最密構造
になっていると考えられる。図9より、波長625nm
付近にピークが見られるのが判る。更に、その最大反射
率は〜54%と比較的高く、ピークの半値幅は〜30n
mと狭いことが判る。この反射は規則的に配列した微粒
子によるブラッグ反射である。このように可視光の波長
オーダーと同じ大きさ(<1μm)の周期構造体によ
り、このようなブラッグ反射が生じる。
【0042】上述のブラッグ反射についてより詳細に説
明する。最密構造には、図10Aに示すように、A、
B、Cの三つの配列パターンが存在するが、面心立方格
子の場合には、図10Bに示すように、ABCABC・
・・の順番に積み上がることになる。このとき微粒子の
直径をD=280nmとすると、その周期はΛ=72
7.5nmとなる。これに対して、六方最密格子の場合
には、図10Cに示すように、ABAB・・・の順番に
積み上がるので、その周期はΛ=485.0nmとな
る。これらのことからブラッグ条件(λ=2nΛ/m)
を満たす波長を計算で見積もると、表1に示すようにな
る。ただし、モード屈折率nは〜1.3とした。
【0043】 表1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− m 面心立方格子 六方最密格子 λ(nm) λ(nm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 1891 1261 2 946 630 3 630 420 4 473 315 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0044】これらの計算結果から、625nmに近い
値として、二つ候補が挙げられる。すなわち、反射スペ
クトルにおいて観察された強いピークは、面心立方格子
の3次のブラッグ反射か、あるいは六方最密格子の2次
のブラッグ反射であることが示される。以上により、自
己組織化によって堆積された微粒子の規則配列によりブ
ラッグ反射が確認されたことになる。
【0045】次に、上述の微粒子層による散乱光のスペ
クトルを測定するためにサンプル表面を20°傾けて散
乱光を測定した結果を図11に示す。この場合、625
nm付近の波長の光が、ほとんど反射しなくなるような
逆パターン(ディップ構造)となるのが判る。これは、
強いブラッグ反射のために散乱光が抑えられていること
を意味する。この現象は次のように説明される。すなわ
ち、図12に示すように、波長625nm付近の光は微
粒子層の表面近くで強いブラッグ反射を受けるため、そ
れよりも奥側に光が進まない。そのために散乱が弱く、
ブラッグ反射だけを強く受けることになる。一方、62
5nm以外の波長の光はブラッグ反射を受けないために
それより奥側に進むので、結果として散乱される。
【0046】更に、上述の最密構造で配列した微粒子に
ついて、光の反射が強くなるような波長域をマスクウェ
ル方程式による光場計算によって見積もった。ただし、
実際の微粒子は図13Aに示すように○形状であるが、
図13Bに示すようにそれをほぼ正方形の□形状に近似
して計算を行った。ここでは、□形状粒子の横方向
(x)および縦方向(y)の粒子間隔を○形状粒子のそ
れらと同じ間隔にして計算している(x=242nm、
y=280nm)。また、充填率も0.74と、両者と
も同じにして計算している。微粒子の屈折率をn=1.
36とし、またサンプルの厚さを考慮して積層周期を3
0周期(図14)として計算を行った。その結果を図1
5〜図23に示す。ここでは、図中左側から微粒子層に
光を入射して進行方向(図中左から右、「FORWAR
D」とも表す)に進む光と逆方向(図中右から左、「B
ACKWARD」とも表す)に進む光とに分けて光密度
分布が計算されている。ただし、これらの光密度分布図
は、カラープリンタで印刷されたカラー図面を複写機で
白黒コピーして作成したものであり、濃さは必ずしも光
密度に対応していない(以下同様)。また、紙面の都合
上、横方向を縮めて示されている。これらの結果から、
波長が470nm、500nm、525nm、540n
m、580nm、600nm、645nm、675nm
の光では、進行方向のみが強く存在して微粒子層の右端
まで光が到達し、その表面から右側に光が出射している
のが判る。それに比べて逆方向の光はバルク内部のみで
しか存在せず、微粒子層の左端まで到達していてもほと
んどその表面から左側に光が出射していないのが判る。
ところが、図21に示すように、625nmの波長の光
では、逆方向に進む光が表面近くで強く生じており、そ
の表面から左側へ光が強く出射しているのが判る。ま
た、逆方向に進む光が強いため、進行方向の光は表面か
ら8〜15周期分までしか進入していないことも判る。
特に11周期あたりがその境界と見られる。これらの結
果は、実験において625nm付近の波長の光で強い反
射が起こっていることと一致している。更に、この62
5nmの前後の波長で詳細に調べた結果を図24〜図3
5に示す。これらの結果から、波長605〜632nm
の範囲で反射が起きていることが判る。これらの結果
は、実験において反射率のピークの半値幅が〜30nm
(図9)と狭いことと良く一致する。このように多層膜
に比べて微粒子で反射率のピークの半値幅が狭くなる理
由としては、微粒子では横方向にもブラッグ反射が起き
ているために強い閉じ込め効果が起こることが関係して
いると考えられる。また、ブラッグ反射が起きている波
長625nmでは、表面からわずか8〜15周期だけし
か光が進入しておらず、これは散乱光が抑制されている
ことと合致する。
【0047】次に、緑色および青色の光を反射させるこ
とについて述べる。微粒子の直径Dとこの微粒子により
反射される光の波長λとはほぼ比例関係にあるので、反
射させたい光の波長をλ0 とすると、D=280nmに
対してλ0 =625nmの関係から、緑色(λ0 =52
5nm)や青色(λ0 =475nm)ではそれぞれD=
235nm、D=212nmとなる。それぞれの場合に
ついて同様に光場の計算を行った。緑色反射のモデルを
図36に、計算結果を図37〜図43に示す。また、青
色反射のモデルを図44に、計算結果を図45〜図51
に示す。これらの結果から、緑色反射と青色反射とで
は、それぞれ525nmと475nmの波長のときだけ
に強い反射が生じていて、赤色反射と同様にほぼ8〜1
5周期まで光が進行しているのが判る。
【0048】以上のように、微粒子の直径Dと波長λと
はほぼ比例関係にあることから、図52に示すような関
係になる。この図から、青色反射ではD=202〜22
4nm、緑色反射ではD=224〜251nm、赤色反
射ではD=269〜314nmとなる。とりわけ色度図
上で純粋な三原色として、青色反射ではλ0 =475±
10nmでD=208〜217nmとなり、緑色反射で
はλ0 =515±15nmでD=224〜237nmと
なり、赤色反射ではλ0 =650±30nmでD=27
8〜305nmとなる。
【0049】以上の結果から、たとえば、基板上に赤色
反射用の微粒子層11周期を積層し、その上に緑色反射
用の微粒子層11周期を積層し、更にその上に青色反射
用の微粒子層11周期を積層すれば、三原色の光だけを
反射させてその他の波長の光は透過すると考えられる。
これらについて同様に光場の計算で見積もった。このと
きのモデルを図53に、計算結果を図54〜図58に示
す。これらの結果から、波長が475nm、525n
m、623nmのときにそれぞれの青色反射用、緑色反
射用、赤色反射用微粒子層のところで強い反射が生じて
おり、それ以上奥に進まないのが判る。それに対して、
590nmや555nmなど三原色以外の波長では、反
射がほとんど起こっていないので赤色反射用微粒子層の
右端まで光が到達し、そこから更に右側に光が出射して
いるのが判る。したがって、これより奥側に光を吸収す
る材料を置くことで、たとえば基板として光を吸収する
材料を置くことで、三原色以外の光を効率良くカットす
ることができる。
【0050】そこで、この発明の第4の実施形態による
スクリーンにおいては、第3の実施形態によるスクリー
ンにおける反射面Q1 、Q2 、Q3 の部分を図59に示
すような断面構造を有するように構成する。すなわち、
基板1上に赤色反射用のD=280nmの微粒子層2を
11周期積層し、その上に緑色反射用のD=234.5
nmの微粒子層3を11周期積層し、更にその上に青色
反射用のD=212nmの微粒子層4を11周期積層し
てスクリーンを構成する。微粒子層2〜4のいずれにお
いても、微粒子5が最密構造で配列している。これらの
微粒子層2〜4の微粒子5としては、たとえばシリカ微
粒子が用いられる。また、基板1としては、三原色以外
の波長の光を吸収することができるものが用いられ、具
体的にはたとえばカーボン製の黒い基板が用いられる。
この基板1の厚さは、20μm以上500μm以下に選
ばれ、具体的にはたとえば50μm程度に選ばれる。基
板1の厚さがこのように50μm程度であると、スクリ
ーンが破れにくく、しかもフレキシビリティーが高いた
めスクリーンの巻き取りもしやすい。また、スクリーン
の面積は用途に応じて適宜選ばれる。
【0051】図59に示すような構造のスクリーンは、
たとえば、自己組織化技術を用いることにより容易に製
造することができる。すなわち、たとえば、図60に示
すように、微粒子5が分散された水溶液6を用い、この
水溶液6中で微粒子5をゆっくり堆積させることによ
り、微粒子5が自己組織化により規則的に配列する。そ
こで、この自己組織化技術を用いて、反射面を形成すべ
き部分以外の部分の表面がマスク(図示せず)で覆われ
た基板1上に微粒子層2〜4を順次、規則配列で積層す
ることができ、これによってスクリーンを製造すること
ができる。
【0052】このスクリーンの製造方法についてより詳
細に説明する。一般に、この種のスクリーンの製造方法
としては、自然沈降法(たとえば、増田ほか(200
1)マテリアルインテグレーション14、37−44)
および浸漬引き上げ単粒子膜作製法(単粒子膜引き上げ
法)(たとえば、永山(1995)粉体工学32、47
6−485)が考えられる。自然沈降法では、低濃度の
微粒子溶液を基板上に滴下するか、低濃度の微粒子溶液
中に基板を立てる。このとき、基板上に沈降した微粒子
が溶媒の蒸発によって基板上に自己組織的に結晶化す
る。自然沈降法はこの工程を通して基板上に微粒子の三
次元結晶の薄膜を得る方法である。この方法の問題点
は、溶媒の蒸発に数時間以上必要であるため、基板の乾
燥に長時間を要すること、基板上から溶媒が面内に均等
に蒸発しないため、数cm2 以上の大面積の結晶の薄膜
を作製する際には、その薄膜が面内に厚さむらを生じる
ことである。一方、単粒子膜引き上げ法は、低濃度の微
粒子溶液中に浸漬した基板を気相中に引き上げることに
より微粒子単層の二次元結晶の薄膜を得る工程を利用し
た方法である。この工程を繰り返すことにより、微粒子
単層の薄膜を積層し、任意の厚さの三次元結晶の薄膜を
得る。この方法の問題点は、単粒子膜の積層によるた
め、工程が複雑であり、作製に長時間を要すること、面
内で均一な二次元結晶化を行わせるために、引き上げ速
度を低速に制御する必要があることである。数cm2
上の大面積の薄膜作製では長時間にわたって気液界面の
メニスカスが乱れないように制御する必要があり、容易
ではない。
【0053】そこで、自然沈降法による三次元結晶の作
製と単粒子膜引き上げ法による面内の厚さむらの軽減と
を両立させ、更に、作製時間を大幅に短縮させる方法と
して、引き上げ回転法を用いる。単粒子膜引き上げ法で
は、一度の浸漬と引き上げの工程で単層の二次元結晶薄
膜しか得られないのに対して、引き上げ回転法では高濃
度の微粒子溶液を用いることによって、単粒子膜引き上
げ法と同様の一度の浸漬と引き上げの工程で三次元結晶
薄膜を得ることができる。これにより、自然沈降法と同
様に三次元結晶を得ることができる。そして、基板の回
転により、単粒子膜引き上げ法のように、面内の厚さむ
らを軽減することができる。また、作製工程に要する時
間を大幅に減らすことができる。
【0054】この引き上げ回転法では、高濃度の微粒子
溶液中に基板を浸漬し、気相中へ引き上げを行うと、乾
燥が遅く溶液の濡れ量が多い部分に微粒子が集積するこ
とによって厚さむらが生じる。この厚さむらは、基板の
鉛直方向下方および水平方向左右端から生じる。そこ
で、浸漬前、浸漬中、引き上げ直後のいずれかの時に基
板を面内で回転させることにより濡れ量を制御したとこ
ろ、面内の厚さむらが減少し、厚さが面内で均一な薄膜
が得られた。
【0055】図61〜図64を参照してこの引き上げ回
転法を具体的に説明する。図61Aに示すように、溶液
槽7中に高濃度(たとえば、2重量%以上50重量%以
下)の微粒子溶液8を入れたものを用意する。次に、図
61Bに示すように、溶液槽7の上方から基板1を下降
させて微粒子溶液8中に浸漬する。次に、図61Cに示
すように、基板1を高速(たとえば、30μm/s以上
3m/s以下)で引き上げた後、図61Dに示すよう
に、気相中にて自然乾燥させる。
【0056】これらの工程において、基板1に付着して
くる微粒子溶液8は、乾燥すると同時に重力によって下
方に移動するため、微粒子の分布は基板1の下方に偏
り、乾燥後には鉛直方向に関して下方が厚く、上方が薄
いという、面内分布を持った薄膜が得られる。この鉛直
方向に関しては、下記の通りに工程を行うことによっ
て、面内の厚さむらを抑えることができる。
【0057】すなわち、図62Aに示すように、図61
Dに示す工程で乾燥を行った基板1をその面内で180
°回転させて上下を逆にする。次に、図62Bに示すよ
うに、溶液槽7の上方から基板1を下降させて微粒子溶
液8中に浸漬する。この後、上述と同様に、基板1の高
速引き上げ(図62C)および気相中自然乾燥(図62
D)を行う。この結果、微粒子層の厚さは基板1の下方
が厚く、上方が薄いという面内分布を持つが、先に積層
した微粒子層の厚さの面内分布とは逆になるため、鉛直
方向に関して、基板1全体での面内分布は均一となる。
なお、この基板1の上下の回転は、浸漬前ではなく、浸
漬中や引き上げ直後に行っても同様な効果を得ることが
できる。
【0058】水平方向に関しても基板1全体での微粒子
層の厚さの面内分布を均一とするために、図61および
図62と同様な工程を行う。すなわち、図63Aに示す
ように、図62Dに示す工程で乾燥を行った基板1をそ
の面内で時計方向に90°回転させる。次に、上述と同
様に、基板1の微粒子溶液8中への浸漬(図63B)、
基板1の高速引き上げ(図63C)および気相中自然乾
燥(図63D)を行う。
【0059】次に、図64Aに示すように、図63Dに
示す工程で乾燥を行った基板1をその面内で180°回
転させて上下を逆にする。この後、上述と同様に、基板
1の微粒子溶液8中への浸漬(図64B)、基板1の高
速引き上げ(図64C)および気相中自然乾燥(図64
D)を行う。以上の方法により、短時間で、面内むらが
観測されない結晶化した大面積の微粒子薄膜を得ること
ができる。
【0060】なお、基板1を水平にし、基板1の濡れ量
を面内に均一にし、乾燥させることにより面内の厚さむ
らを減少させる手法を考えることはできるが、実際にや
って見た範囲内では、濡れ量を均一に保つことはでき
ず、面内に厚さむらを生じた。
【0061】ここで、自然沈降法により作製した微粒子
薄膜と上述の引き上げ回転法により作製した微粒子薄膜
との間の厚さむらの比較結果について説明する。ここで
は、微粒子として直径280nmのシリカ微粒子(品名
KE−P30、(株)日本触媒製)、溶媒として純水、
基板として市販のアルミ(アルミニウム)箔(大きさ:
短辺26mm、長辺76mmの長方形)をプラズマ洗浄
したものを用いた。
【0062】まず、自然沈降法によるサンプルの作製に
おいては、基板上に20重量%シリカ水溶液を20μl
滴下し、基板表面に広げた。そして、基板を水平に保
ち、樹脂製の試料ケース内で3日間乾燥させた。一方、
引き上げ回転法によるサンプルの作製においては、20
重量%シリカ水溶液中に基板をその長辺方向が鉛直方向
となるようにして浸漬し、そのまま速度10mm/sで
垂直に引き上げ、乾燥させた。乾燥後、基板の上下を逆
にし、同様に浸漬、引き上げ、乾燥を行った。次に、基
板をその面内で90°回転させてその短辺方向が鉛直方
向となるようにして浸漬し、そのまま速度10mm/s
で垂直に引き上げ、乾燥させた。乾燥後、基板の上下を
逆にし、同様に浸漬、引き上げ、乾燥を行った。このよ
うにして、計4回の浸漬、引き上げ工程を実施した。
【0063】両サンプルについて目視での比較を行った
結果、自然沈降法に比べて引き上げ回転法では厚さむら
が小さかった。また、両者ともブラッグ反射を示し、シ
リカの微粒子が三次元結晶を形成していることが確認さ
れた。
【0064】基板の両短辺の中心を結ぶ線上の5点(中
心点、中心点から両方向に10mmおよび20mm離れ
た点)で、作製した薄膜の膜厚を測定した。膜厚は基板
のアルミ箔の表面と作製した薄膜の表面との鉛直距離と
して光計測により測定した。結果は次のとおりであっ
た。 自然沈降法:平均値14.8μm、標準偏差3.1μm 引き上げ回転法:平均値9.9μm、標準偏差0.6μ
m これらの標準偏差の違いから、自然沈降法に比べて、引
き上げ回転法での膜厚のばらつきが格段に小さいことが
確認された。引き上げ回転法の4回の工程により、厚さ
むらの小さい35層程度の三次元結晶のシリカ薄膜を作
製することができた。
【0065】以上のように、第4の実施形態によるスク
リーンによれば、特定の三原色の光だけを反射して残り
の波長の光を基板1側で吸収させることが可能となるこ
とにより、黒を沈ませるスクリーンを得ることができ
る。この場合、映像に関係ない外部の光がスクリーンに
入射した場合にも、波長が異なるためにカットされるた
め、コントラストが劣化するのが防止される。特に、半
導体レーザや発光ダイオードなどの発光ピークの半値幅
が狭くて色純度の良い光で映像を形成している場合に
は、効率良く選択的に映像の光だけを反射して他の波長
の光をカットすることで、高コントラストを維持するこ
とができるとともに、黒を沈ませることができる。した
がって、暗室でなくとも映像の劣化が起こらない。ま
た、液晶プロジェクターなどスペクトル半値幅が広い光
を投影しても、波長を選択的に狭くするので、色度図上
の色再現範囲が広くなり、色純度も良くなる。
【0066】次に、回折効果により反射光の遠視野像
(FFP;Far Field Pattern)を広げる方法について説
明する。図65に示すように、一般に、光の入射方向に
垂直な方向の物体のサイズを十分に小さくすることによ
り、その物体により光は回折されて広がる。そこで、こ
の第4の実施形態のようにスクリーンを微粒子の集合体
により形成することで、微粒子による回折効果で反射光
のFFPに広がりを持たせることができると考えられ
る。これは逆格子空間上で格子点を横方向に伸ばすこと
に対応する。そこで、横方向のサイズを22周期、16
周期、11周期とした場合の反射波を広い面積(100
μm×30μm)で計算した。その結果を図66〜図6
9に示す。この結果から、横方向の周期数が小さくなる
ほど、FFPが広くなることが判る。より詳細には、2
2周期ではFFP〜8°と狭いが、周期をより小さくし
ていくほどFFPは広がり、16周期でFFP〜11
°、11周期ではFFP〜17°まで広がることが判っ
た。
【0067】映画館などの大きな会場でスクリーンに映
像を表示する場合には比較的視野角が狭くても良く、む
しろ明るさが求められる。この場合には、FFPが10
〜17°程度と比較的狭くして指向性を持たせ、それに
よって光密度を高く、すなわち明るくすることが可能で
ある。
【0068】次に、屈折で反射光のFFPを広げる方法
について説明する。屈折で反射光のFFPに広がりを持
たせるためには、図70に示すように、微粒子の集合体
を水平面と斜面とを持つ構造とするか、図71に示すよ
うに、微粒子の集合体の表面を曲面構造とすることが考
えられる。図70に示す例では特定の方向だけに斜めに
反射光が出射されるが、図71に示す例では曲面に対応
して任意の方向に反射光が出射される。
【0069】図72に示すように、微粒子の集合体につ
いて垂直方向(結晶軸の方向)に対する斜面の角度θを
変えて計算を行った。ただし、入射光の波長は625n
mで、微粒子の直径は280nmとした(ここでは水平
面(図72中左側の端面)に垂直入射する場合にはブラ
ッグ反射が起こる条件である)。その結果を図73〜図
77に示す。この結果より、θ=14.4°、58.2
°の斜面に光が入射してもブラッグ反射がほとんど起き
ておらず、光が透過しているのが判る。それに対して、
θ=70.2°、75.7°、78.9°の斜面では反
射が生じているのが判る。
【0070】更に、広い反射側においてBACKWAR
Dの結果を図78および図79に示す。この結果より、
θ=14.4°、58.2°では斜めの反射が生じてい
ないが、θ=70.2°、75.7°、78.9°では
斜めの反射が生じていることが判る。その結果をFFP
として示したグラフが図80である。この結果より、3
5°付近にピークが出現しているのが判る。これらの結
果から、屈折の方法ではθ=90〜70°の範囲に斜面
を形成すれば、FFPに70°まで広がりを持たせるこ
とができることが判る。
【0071】次に、図81に示すように、光の入射方向
に対して結晶軸を傾けた場合について説明する。この場
合、ブラッグ条件を満たす波長がずれることになる。そ
の波長は、垂直入射(入射方向が結晶軸と平行)のとき
の波長をλ0 とすると、λ(θ)=λ0 sinθとな
る。これは、図82に示すように、光の入射方向がずれ
てくるために逆格子空間において格子点が原点を中心に
回転することにより、同じエワルド球(1/λを半径と
した球)の面上にその格子点が乗らなくなることを意味
する。この効果を考慮して計算した結果を図83に示
す。この結果より、スペクトルの半値幅が30nmであ
る場合、θ=77.4〜90°の範囲内であればブラッ
グ反射が生じることになる。θ=77.4°の場合に
は、垂直方向から2θ=25.6°の角度で反射される
ことになるが、反対方向、すなわちθ=−77.4°に
も軸を傾斜させると合計でFFP=51.6°となる。
【0072】以上のように、屈折を用いる方法や結晶軸
を傾ける方法は、家庭などの狭い空間でスクリーンに投
影する場合に適する。この場合、指向性が強いと、見る
場所によって映像が見えなくなるからである。この指向
性を緩やかにするためには、図84に示すように、微粒
子の集合体9にうねりを持たせるようにしても良い。
【0073】次に、スクリーンの波長の選択性について
説明する。波長の選択性も逆格子空間を用いて説明する
ことができる。すなわち、図85に示すように、光の入
射方向のサイズが小さい場合、逆格子空間での格子点は
その方向に伸びる。その結果、格子点と交差するエワル
ド球が多数存在することとなり、結果としてブラッグ条
件を満たす波長λの範囲が広がることになる。ここで、
5層と10層の場合の誘電体多層膜の反射スペクトルに
ついて、有効フレネル係数法で計算を行った。その結果
を図86および図87に示す。この結果から、5層では
半値幅が200nm程度あるのに対して10層構造では
半値幅が50nmと狭くなっているのが判る。ただし、
波長の選択性を良くしようとして、単純に層数を増やす
だけでは不十分であり、光にとっての実効的なサイズを
大きくする必要がある。数層のみでは100%反射され
るものを100層ほど積層しても、実効的なサイズは数
層のみで波長の選択性は悪いままである。したがって、
微粒子による個々の回折格子の反射効率をなるべく下げ
て、多層にわたって回折が生じるような構造にするのが
望ましい。
【0074】上述のように、第4の実施形態によるスク
リーンを使用することで各三原色のスペクトルの半値幅
が狭くなるが、これによって色純度が良くなり、色度図
上の再現範囲が広がることを以下に説明する。
【0075】図88〜図91および図92〜図95はそ
れぞれ液晶(LCD;Liquid Crystal Display)プロジ
ェクターおよびDLP(Digital Light Processing)プ
ロジェクターから出射した光のスペクトルを測定した結
果である。ここで、図88、図92は白色を、図89、
図93は青色を、図90、図94は緑色を、図91、図
95は赤色を表示したときのスペクトルである。色フィ
ルターを用いて波長の選択を行っているため、LCDプ
ロジェクター、DLPプロジェクターともに各三原色の
スペクトル半値幅が60〜100nmと広いことが判
る。このとき通常のスクリーンを用いると光が反射され
ても半値幅に変化がないために、このスペクトルの半値
幅で色再現性が決定されることになる。これに対し、図
59に示すような構造のスクリーンを用いた場合、プロ
ジェクターから出射した光の各三原色のスペクトル半値
幅が広くても、スクリーンで反射されるときに波長が選
択されて半値幅が30nmまで狭くなる。このとき、色
度図上の色再現範囲が広がるとともに色再現性が良くな
る。図96は色度図上でそのことを表している。DLP
やLCDでは色再現範囲が狭いのに対し、図59に示す
ような構造のスクリーンを用いた場合、その範囲が広が
るとともに色の再現性が良くなるのが判る。
【0076】次に、この発明の第5の実施形態によるス
クリーンについて説明する。図97にこのスクリーンを
示す。図97に示すように、この第5の実施形態による
スクリーンにおいては、微粒子層4の最上面に拡散フィ
ルム10が配置されている。この拡散フィルム10は、
光の拡散およびスクリーン表面の保護のためのものであ
る。すなわち、スクリーンから反射される光をこの拡散
フィルム10により拡散させることで、指向性を緩和す
るとともに、スクリーン全体に均一な輝度を持たせるこ
とができる。言い換えれば、いわゆるホットスポットを
なくすことができる。また、この拡散フィルム10によ
り、機械的なダメージで微粒子が剥がれるのを防止する
ことができる。
【0077】この拡散フィルム10としては、可視光領
域において透明な材料で、かつ光を拡散させるものが望
ましい。光を拡散させるためには、フィルム面内で異な
る屈折率分布を持たせても、またはフィルム表面に凹凸
を設けても良い。この拡散フィルム10としては、具体
的には、たとえば、光拡散性のあるポリエチレンフィル
ム(作製上、面内に屈折率分布を持つ)や、光を拡散す
ることができるように表面を凹凸加工したポリカーボネ
ートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムや
ポリ塩化ビニルフィルムなどが挙げられる。この拡散フ
ィルム10の厚さは、通常は5mm以下、望ましくは1
mm以下とする。
【0078】拡散フィルム10を配置するには、たとえ
ば、基板1上に微粒子層2〜4を積層した後に、張力
(テンション)を加えながらこの拡散フィルム10を微
粒子層4の表面に貼って接着しても良いし、この拡散フ
ィルム10の裏側に予め接着剤を塗布して接着しても良
い。更には、光学特性を良くするために、この拡散フィ
ルム10の表面に、反射防止のための1/4波長コーテ
ィングを行っても良い。この場合、フィルム材の屈折率
より低い屈折率の材料でコーティングする必要がある。
具体的には、たとえば〜100nmの厚さのSiO2
ラス膜を塗布や蒸着法でコーティングする。上記以外の
ことは、第4の実施形態によるスクリーンと同様である
ので、説明を省略する。
【0079】次に、この発明の第6の実施形態によるス
クリーンについて説明する。このスクリーンを図98に
示す。図98に示すように、この第6の実施形態による
スクリーンにおいては、微粒子層4の最上面に、二次元
マイクロレンズアレイが形成されたマイクロレンズフィ
ルム11が配置されている。このマイクロレンズフィル
ム11のマイクロレンズは凸レンズでも、凹レンズで
も、両者の複合でも良い。スクリーンから反射される光
をこのマイクロレンズフィルム11により拡散させるこ
とで、指向性を緩和するとともに、スクリーン全体に均
一な輝度を持たせることができ、ホットスポットをなく
すことができる。また、このマイクロレンズフィルム1
1により、機械的なダメージで微粒子が剥がれるのを防
止することができる。
【0080】このマイクロレンズフィルム11の材質
は、可視光領域で透明なものであれば、基本的にはどの
ようなものであっても良い。たとえば、ポリカーボネー
トやポリエチレンテレフタレートやポリ塩化ビニルでも
良い。このマイクロレンズフィルム11のマイクロレン
ズは画素サイズと同程度かそれより小さければ良く、た
とえば、面内に0.1mm程度の直径のレンズを密に配
置すれば良い。更に特性を良くするために、この表面に
は反射防止のための1/4波長コーティングを行っても
良い。この場合、マイクロレンズフィルム11のレンズ
の屈折率より低い屈折率の材料でコーティングする必要
がある。たとえば〜100nmの厚さのSiO2 ガラス
膜を塗布や蒸着法でコーティングしても良い。マイクロ
レンズフィルム11の配置方法は第2の実施形態と同様
である。上記以外のことは、第4の実施形態によるスク
リーンと同様であるので、説明を省略する。
【0081】次に、この発明の第7の実施形態によるス
クリーンについて説明する。このスクリーンを図99に
示す。図99に示すように、この第7の実施形態による
スクリーンにおいては、微粒子層4の最上面に、二次元
マイクロプリズムアレイが形成されたマイクロプリズム
フィルム12が配置されている。スクリーンから反射さ
れる光をこのマイクロプリズムフィルム12により拡散
させることで、指向性を緩和するとともに、スクリーン
全体に均一な輝度を持たせることができ、ホットスポッ
トをなくすことができる。また、このマイクロプリズム
フィルム12により、機械的なダメージで微粒子が剥が
れるのを防止することができる。
【0082】このマイクロプリズムフィルム12の材質
は、可視光領域で透明なものであれば、基本的にはどの
ようなものであっても良い。たとえば、ポリカーボネー
トやポリエチレンテレフタレートやポリ塩化ビニルでも
良い。このマイクロプリズムフィルム12のマイクロプ
リズムは画素サイズと同程度かそれより小さければ良
く、たとえば、面内に0.1mm程度の直径のプリズム
を密に配置すれば良い。更に特性を良くするために、こ
の表面には反射防止のための1/4波長コーティングを
行っても良い。この場合、マイクロプリズムフィルム1
2のプリズムの屈折率より低い屈折率の材料でコーティ
ングする必要がある。たとえば〜100nmの厚さのS
iO2 ガラス膜を塗布や蒸着法でコーティングしても良
い。マイクロプリズムフィルム12の配置方法は第2の
実施形態と同様である。上記以外のことは、第4の実施
形態によるスクリーンと同様であるので、説明を省略す
る。
【0083】次に、この発明の第8の実施形態によるス
クリーンについて説明する。このスクリーンを図100
に示す。このスクリーンは、第2の実施形態によるスク
リーンに対応するものである。上述の第4ないし第7の
実施形態においては、基板1上に赤色反射用の微粒子層
2、緑色反射用の微粒子層3および青色反射用の微粒子
層4を縦方向(基板に垂直な方向)に積層しているが、
この第8の実施形態においては、これらの微粒子層2〜
4を基板1上に横方向(基板に平行な方向)に配置す
る。
【0084】すなわち、図100に示すように、この第
8の実施形態によるスクリーンにおいては、基板1上
に、赤色反射用の微粒子層2、緑色反射用の微粒子層3
および青色反射用の微粒子層4が横方向に配置されてい
る。
【0085】基板1上に微粒子層2〜4を形成するため
には、たとえば、インクジェット方式で各色用の微粒子
を基板1上に塗り分けても良いし、スクリーン印刷やグ
ラビア印刷を用いて塗り分けても良い。あるいは、各微
粒子層2〜4のパターンに対応した開口を有するマスク
を用意し、これらのマスクを用いて各色用の微粒子を三
回塗布しても良い。上記以外のことは、第4の実施形態
によるスクリーンと同様であるので、説明を省略する。
【0086】この第8の実施形態によれば、三原色用の
微粒子層2〜4が基板1上に横方向に配置されているの
で、三原色の微粒子層2〜4を基板1上に縦方向に積層
した場合に比べて、トータルな微粒子層の縦方向の厚さ
が小さくなり、それによって光の散乱などによる損失が
減ることから、光の吸収を効率的に行うことができる。
【0087】次に、この発明の第9の実施形態によるス
クリーンについて説明する。このスクリーンを図101
に示す。図101に示すように、この第9の実施形態に
よるスクリーンにおいては、微粒子層2〜4において、
微粒子5の間の隙間がバインダー13により埋められて
いる。ここで重要なことは、このバインダー13の材料
としては、微粒子の屈折率と異なる屈折率を持つ材料を
用いることである。具体的には、たとえば、微粒子がシ
リカ微粒子である場合には、バインダー13として、ポ
リプロピレンやポリエチレンやポリイソブチレンやポリ
酢酸ビニルなどのポリオレフィン系材料を用いることが
できる。
【0088】このスクリーンを製造するには、たとえ
ば、基板1上に微粒子層2〜4を形成した後にこれらの
微粒子層2〜4にバインダー材料を溶かした溶液を染み
込ませて固化させる方法や、予め微粒子(たとえば、シ
リカ微粒子)のコロイド溶液にこのバインダー材料を溶
かした溶液を入れて微粒子の堆積とともに微粒子5の隙
間を埋める方法などがある。上記以外のことは、第4の
実施形態によるスクリーンと同様であるので、説明を省
略する。
【0089】この第9の実施形態によれば、第4の実施
形態と同様な利点に加えて、微粒子5の間の隙間がバイ
ンダー13により埋められていることにより、スクリー
ンの機械的な強度の向上を図ることができるとともに、
微粒子5の材料に対してバインダー13の屈折率を制御
して反射スペクトルの半値幅を狭くすることができるな
ど光学特性の向上を図ることができるという利点を得る
ことができる。
【0090】次に、この発明の第10の実施形態による
スクリーンについて説明する。このスクリーンを図10
2に示す。図102に示すように、この第10の実施形
態によるスクリーンにおいては、図101に示すスクリ
ーンの微粒子層2〜4における微粒子5に相当する部分
が空洞14になっており、いわゆるインバースオパール
構造となっている。このスクリーンを製造するために
は、たとえば、基板1上に微粒子層2〜4を形成し、更
にこれらの微粒子層2〜4にバインダー材料を溶かした
溶液を染み込ませて固化させることにより微粒子5の隙
間をバインダー13で埋めた後、所定のエッチング液、
たとえばフッ酸溶液に入れて微粒子(たとえば、シリカ
微粒子)を溶かせば良い。上記以外のことは、第4の実
施形態によるスクリーンと同様であるので、説明を省略
する。
【0091】この第10の実施形態によれば、第4の実
施形態と同様な利点に加えて、微粒子に相当する空洞1
4とバインダー13との屈折率差は空気とバインダー1
3との屈折率差となるので、微粒子5がシリカ微粒子な
どである場合に比べて、大きい屈折率差を得ることがで
きる。このため、必要な反射を起こさせるために必要な
微粒子層の周期をより少なくすることができ、ひいては
スクリーンをより薄型化することができる。
【0092】次に、この発明の第11の実施形態による
スクリーンについて説明する。このスクリーンを図10
3に示す。図103に示すように、この第11の実施形
態によるスクリーンにおいては、基板として、透明基板
15の裏面に光吸収層16を設けたものが用いられてい
る。この光吸収層16としては、三原色以外の波長の光
を吸収することができるものが用いられ、たとえばカー
ボン膜が用いられる。より具体的には、透明基板15は
たとえば透明なガラス基板やポリカーボネート基板であ
り、光吸収層16はそれらの裏面にコーティングしたカ
ーボン膜である。
【0093】ここで、光吸収層16の厚さはその材料に
応じて三原色以外の波長の光を十分に吸収することがで
きるように選ばれるが、光吸収層16としてカーボン膜
を用いる場合の厚さについて説明すると、次のとおりで
ある。すなわち、カーボンの吸収係数αは、その作製方
法に依存するが、一般に103 〜105 cm-1である。
光強度Pは、光が光吸収層16を進んだ距離をxとする
とP(x)/P(0)=exp(−αx)と表されるか
ら、α=105 cm-1の場合、十分な吸収として1/e
(e:自然対数の底)まで光強度を弱めるためにはカー
ボン膜の厚さdを0.1μmとすれば良い。したがっ
て、最低d=0.1μmが必要となる。更に、α=10
3 cm-1でも1/eまで光強度を弱めるためにはカーボ
ン膜の厚さをd=10μmとすることが必要となる。こ
れらのことから、カーボン膜の厚さを0.1μm以上、
好適には10μm以上にする必要がある。
【0094】上記以外のことは、第4の実施形態による
スクリーンと同様であるので、説明を省略する。この第
11の実施形態によれば、第4の実施形態と同様な利点
に加えて、基板自体が光吸収を起こすものでなくても良
いので、基板の材料の選択の自由度が高くなるという利
点を得ることができる。
【0095】次に、この発明の第12の実施形態による
スクリーンについて説明する。このスクリーンを図10
4に示す。図104に示すように、この第12の実施形
態によるスクリーンにおいては、基板として、表面がサ
ンド加工により粗面化処理された黒い(三原色以外の波
長の光を吸収することができる)PETフィルム17が
用いられている。ここで、サンド加工とは、やすりなど
で擦って表面を荒らす加工のことである。このPETフ
ィルム17の表面の凹凸の高さはたとえば0.8〜4μ
mである。この場合、サンド加工により粗面化処理され
たPETフィルム17の表面は濡れ性が良好であるた
め、シリカ微粒子などの微粒子5が分散された水溶液6
が塗布されやすくなる。更に、PETフィルム17の表
面の凹凸により光の指向性が緩和されるため、ホットス
ポットが発生しにくくなる。上記以外のことは、第4の
実施形態によるスクリーンと同様であるので、説明を省
略する。
【0096】この第12の実施形態によれば、第4の実
施形態と同様な利点に加えて、基板として、安価なPE
Tフィルム17を用いているので、スクリーンを安価に
製造することができるという利点を得ることができる。
【0097】次に、この発明の第13の実施形態による
スクリーンについて説明する。このスクリーンを図10
5に示す。上述の第4の実施形態においては、基板1上
に赤色反射用の微粒子層2、緑色反射用の微粒子層3お
よび青色反射用の微粒子層4を縦方向に順次積層してい
るが、これらの微粒子層2〜4の積層順序は必ずしもこ
のようにする必要はなく、微粒子5の配列性(結晶性)
の観点からは、むしろ積層順序を逆にするのが望まし
い。そこで、この第13の実施形態においては、微粒子
層2〜4の積層順序を逆にした場合について説明する。
【0098】すなわち、図105に示すように、この第
13の実施形態によるスクリーンにおいては、基板1上
に、青色反射用の微粒子層4、緑色反射用の微粒子層3
および赤色反射用の微粒子層2が順次積層されている。
この場合、青色反射用の微粒子層4の微粒子5は最も小
さいため、この微粒子5を基板1上に配列させると、微
粒子層4の表面の凹凸が最も小さいことになる。このよ
うに凹凸が小さい下地表面に、次に大きい、緑色反射用
の微粒子層3の微粒子5を配列させた場合、その配列性
が乱れにくくなり、結晶性が良くなる。同様に、この微
粒子層3上に、次に大きい、赤色反射用の微粒子層2の
微粒子5を配列させた場合にも、その配列性が乱れにく
く、結晶性が良くなる。このようにして、微粒子層2〜
4のいずれの結晶性も良くすることができる。上記以外
のことは、第4の実施形態によるスクリーンと同様であ
るので、説明を省略する。
【0099】この第13の実施形態によれば、第4の実
施形態と同様な利点に加えて、微粒子層2〜4のいずれ
の結晶性も良好であることから、反射スペクトルの半値
幅が狭く、効率的に三原色を反射させることができると
ともに、それ以外の光は基板1で吸収することができる
という利点を得ることができる。
【0100】次に、この発明の第14の実施形態による
スクリーンについて説明する。このスクリーンを図10
6に示す。図106に示すように、この第14の実施形
態によるスクリーンにおいては、基板1上に、バッファ
層18を介して、赤色反射用の微粒子層2、緑色反射用
の微粒子層3および青色反射用の微粒子層4が順次積層
されている。ここで、バッファ層18は、青色反射用の
微粒子層4の微粒子より小さい直径、具体的にはたとえ
ばD=120nmの微粒子による微粒子層からなる。こ
のスクリーンを製造するには、基板1上にまずバッファ
層18としての微粒子層を堆積させた後、その上に微粒
子層2〜4を堆積させる。上記以外のことは、第4の実
施形態によるスクリーンと同様であるので、説明を省略
する。
【0101】この第14の実施形態によれば、第4の実
施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得るこ
とができる。すなわち、基板1上に微粒子層からなるバ
ッファ層18を堆積させ、その上に微粒子層2〜4を堆
積させているため、基板1上に微粒子層2〜4を直接堆
積させる場合に比べて、微粒子層2〜4を形成する下地
の濡れ性が向上する。このため、結晶性の良好な微粒子
層2〜4を得ることができる。また、バッファ層18と
しての微粒子層の微粒子の直径は、青色反射用の微粒子
層4より小さいD=120nmであるため、スクリーン
に光を投影したときのこのバッファ層18からのブラッ
グ反射の波長は可視光の波長より短く、スクリーン特性
に影響を及ぼさない。
【0102】次に、この発明の第15の実施形態による
投影システムについて説明する。この投影システムの構
成を図107に示す。図108にこの投影システムの斜
視図を示す。
【0103】図107および図108に示すように、こ
の第15の実施形態による投影システムは、第2〜第1
1の実施形態のいずれかによるスクリーン19とこのス
クリーン19に映像を投影するためのプロジェクター2
0とからなる。プロジェクター20は、赤色、緑色およ
び青色の光を発光可能な光源21と集光および投影用の
レンズ22、23とを備えている。光源21は、赤色、
緑色および青色の光を発光可能な半導体発光素子、すな
わち半導体レーザまたは発光ダイオードからなる。より
具体的には、光源21として半導体レーザを用いる場合
を考えると、赤色用の半導体レーザとしてはたとえばA
lGaInP系半導体レーザが、緑色用の半導体レーザ
としてはたとえばZnSe系半導体レーザが、青色用の
半導体レーザとしてはたとえばGaN系半導体レーザが
用いられる。
【0104】次に、この発明の第16の実施形態による
投影システムについて説明する。図109にこの投影シ
ステムの斜視図を示す。また、図110にこの投影シス
テムにおけるスクリーンの一部の拡大図を示す。
【0105】この第16の実施形態による投影システム
は、図109に示すように、たとえば第3の実施形態に
よるスクリーンと同様な、画素を構成する反射面Q´が
黒の下地面P上に離散的に配置されたスクリーン19に
プロジェクター20により映像を投影する点は第15の
実施形態による投影システムと同様であるが、この場合
には、投影する映像をそれぞれの反射面Q´に集中して
投影することが特徴である。
【0106】図110はこの集中投影の一例を示し、反
射面Q´が投影する画素内に完全に含まれるように映像
の投影を行う場合である。図110において、x、yは
反射面Q´の大きさ、X、Yは投影する画素の大きさ、
Δx、Δyは投影する画素内にある黒の下地面P´、す
なわち吸収面の幅で、投影の誤差許容範囲である。
【0107】図110に示すような状態を実現するに
は、たとえば次のようにすれば良い。すなわち、プロジ
ェクター20がたとえばLCDプロジェクターである場
合を例にとると、投影を行ったときスクリーン19上に
画素のパターンが映るので、LCDプロジェクターのズ
ーミングによりこのパターンの拡大、縮小を行い、この
パターン内に反射面Q´が含まれるようにすれば良い。
【0108】この第16の実施形態によれば、投影する
映像をそれぞれの反射面Q´に集中して投影するように
していることにより、高効率、高コントラストを実現す
ることができる。
【0109】次に、この発明の第17の実施形態による
スクリーンについて説明する。このスクリーンを図11
1に示す。図111に示すように、この第17の実施形
態によるスクリーンにおいては、第3の実施形態による
スクリーンにおける赤色用、緑色用および青色用の反射
面Q1 、Q2 、Q3 がそれぞれ球状の微粒子クラスター
1 、C2 、C3 により構成され、これらの反射面
1 、Q2 、Q3 が積層されて、黒の下地面を構成する
吸収層である基板1上に離散的に配置されている。ここ
で、赤色用の微粒子クラスターC1 はたとえばD=28
0nmの微粒子層を最密構造で11周期積層したもの、
緑色用の微粒子クラスターC2 はたとえばD=234.
5nmの微粒子層を最密構造で11周期積層したもの、
青色用の微粒子クラスターC3 はたとえばD=212n
mの微粒子層を最密構造で11周期積層したものであ
る。これらの微粒子クラスターC1 、C2 、C3 の構造
を図112に示す。これらの微粒子クラスターC1 、C
2 、C3 の直径はたとえば5μm程度である。ここで重
要なことは、基板1上におけるこれらの微粒子クラスタ
ーC1 、C2 、C3 はそれらの配列面内で微粒子層の方
位がそろっておらず、ばらついていることである。
【0110】図112に示すように、微粒子クラスター
1 、C2 、C3 に入射した光はブラッグ反射(ブラッ
グ角をθB とする)されるが、上述のようにこれらの微
粒子クラスターC1 、C2 、C3 の微粒子層の方位がそ
れらの配列面内でばらついているため、このブラッグ反
射が生じる方向にもばらつきが存在する。このため、ス
クリーンで反射される光の指向性を緩和することができ
る。このスクリーンを製造するには、たとえば、すでに
述べた自己組織化技術を用いて基板1上に微粒子クラス
ターC1 、C2 、C3 を順次堆積させれば良い。
【0111】この第17の実施形態によれば、反射面の
離散配置により高いコントラストを得ることができると
ともに、反射される光の指向性を緩和することができ
る。
【0112】次に、この発明の第18の実施形態による
ディスプレイについて説明する。このディスプレイは、
RGB離散発光・離散拡散反射型である。このディスプ
レイの一画素分の断面図(ディスプレイ面に垂直な断面
図)を図113に示す。
【0113】図113に示すように、このディスプレイ
においては、それぞれ凹面形状(たとえば、球面形状、
回転楕円面形状、回転放物面形状など)を有する赤色反
射用の微粒子層2、緑色反射用の微粒子層3および青色
反射用の微粒子層4がディスプレイ面内に互いに隣接し
て配列されており、これらにより一画素が形成されてい
る。これらの微粒子層2、3、4の裏面には光吸収層1
6が形成されている。図示は省略するが、これらの微粒
子層2、3、4および光吸収層16は通常は支持基板上
に形成される。
【0114】各微粒子層2、3、4の凹面の奥の中心に
はそれぞれ赤色発光の発光ダイオード24、緑色発光の
発光ダイオード25および青色発光の発光ダイオード2
6がそれらの発光面が前方に向くように配置されてい
る。この場合、微粒子層2は赤色発光の発光ダイオード
24の発光スペクトルの中心波長に合わせた反射特性を
有し、微粒子層3は緑色発光の発光ダイオード25の発
光スペクトルの中心波長に合わせた反射特性を有し、微
粒子層4は青色発光の発光ダイオード26の発光スペク
トルの中心波長に合った反射特性を有する。ここで重要
なことは、発光ダイオード24、25、26のそれぞれ
から発する光の放射角内に各微粒子層2、3、4が含ま
れ、これらの微粒子層2、3、4に発光ダイオード2
4、25、26のそれぞれからの赤色、緑色および青色
の光が入射し、そこで拡散反射されてディスプレイの前
方に到達するように、各微粒子層2、3、4の凹面の曲
率や大きさなどが決められていることである。これらの
発光ダイオード24、25、26は、微小なものが好ま
しく、たとえばマイクロクリスタル発光ダイオードが用
いられる。なお、図示は省略するが、各画素の発光ダイ
オード24、25、26を個別に駆動するための配線が
縦横に形成されている。
【0115】この第18の実施形態によれば、発光ダイ
オード24、25、26のそれぞれからの赤色、緑色お
よび青色の光がそれぞれ微粒子層2、3、4に入射して
それぞれの発光スペクトルの中心波長の色純度の高い光
のみが選択的に拡散反射されることから、ディスプレイ
に表示される映像コンテンツの見えを滑らかにすること
ができるとともに、外光ノイズの反射を低減させ、高い
コントラストを実現することができる。
【0116】次に、この発明の第19の実施形態による
ディスプレイについて説明する。このディスプレイは、
RGB離散発光・積層拡散反射型である。このディスプ
レイの一画素分の断面図(ディスプレイ面に垂直な断面
図)を図114に示す。
【0117】図114に示すように、このディスプレイ
においては、ディスプレイ面内に、それぞれ凹面形状
(たとえば、球面形状、回転楕円面形状、回転放物面形
状など)を有する赤色反射用の微粒子層2、緑色反射用
の微粒子層3および青色反射用の微粒子層4が順次積層
されており、これらにより一画素が形成されている。こ
れらの微粒子層2、3、4の裏面には光吸収層16が形
成されている。図示は省略するが、これらの微粒子層
2、3、4および光吸収層16は通常は支持基板上に形
成される。
【0118】微粒子層4の凹面の奥の中心にはそれぞれ
赤色発光の発光ダイオード24、緑色発光の発光ダイオ
ード25および青色発光の発光ダイオード26がディス
プレイ面内において互いに近接して、かつ、それらの発
光面が前方に向くように配置されている。この場合、微
粒子層2は赤色発光の発光ダイオード24の発光スペク
トルの中心波長に合わせた反射特性を有し、微粒子層3
は緑色発光の発光ダイオード25の発光スペクトルの中
心波長に合わせた反射特性を有し、微粒子層4は青色発
光の発光ダイオード26の発光スペクトルの中心波長に
合わせた反射特性を有する。ここで重要なことは、発光
ダイオード24、25、26のそれぞれから発する光の
放射角内に微粒子層2、3、4が含まれ、これらの微粒
子層2、3、4に発光ダイオード24、25、26のそ
れぞれからの赤色、緑色および青色の光が入射し、そこ
で拡散反射されてディスプレイの前方に到達するよう
に、微粒子層2、3、4の凹面の曲率や大きさなどが決
められていることである。これらの発光ダイオード2
4、25、26は、微小なものが好ましく、たとえばマ
イクロクリスタル発光ダイオードが用いられる。なお、
図示は省略するが、各画素の発光ダイオード24、2
5、26を個別に駆動するための配線が縦横に形成され
ている。この第19の実施形態によれば、第18の実施
形態と同様な利点を得ることができる。
【0119】以上、この発明の実施形態につき具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定される
ものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変
形が可能である。
【0120】たとえば、上述の実施形態において挙げた
数値、配置、構造、形状、材料、微粒子の堆積方法など
はあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異な
る数値、配置、構造、形状、材料、微粒子の堆積方法な
どを用いても良い。
【0121】また、上述の第6の実施形態においては微
粒子層4の最上面にマイクロレンズフィルム11を配置
し、上述の第7の実施形態においては微粒子層4の最上
面にマイクロプリズムフィルム12を配置しているが、
マイクロレンズとマイクロプリズムとが混在したフィル
ムを微粒子層4の最上面に配置するようにしても良い。
【0122】更に、上述の第17の実施形態において
は、赤色用、緑色用および青色用の反射面Q1 、Q2
3 を基板1上に順次積層しているが、これらの反射面
1 、Q2 、Q3 の積層順序を逆にしても良いし、これ
らの反射面Q1 、Q2 、Q3 を横方向に配置しても良
い。
【0123】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、外光ノイズが小さく、映像のコントラストが高く、
黒が沈んだ映像を得ることができるスクリーンおよび投
影システムを実現することができる。また、外光ノイズ
が小さく、映像のコントラストが高く、黒が沈んだ映像
を得ることができる表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態によるスクリーンを
示す平面図である。
【図2】この発明の第2の実施形態によるスクリーンを
示す平面図である。
【図3】この発明の第2および第3の実施形態によるス
クリーンを従来の白フラットスクリーンと比較するため
の略線図である。
【図4】この発明の第2および第3の実施形態によるス
クリーンを従来の白フラットスクリーンと比較するため
に行った実験の結果を示す略線図である。
【図5】この発明によるスクリーンの原理を説明するた
めの略線図である。
【図6】この発明によるスクリーンの原理を説明するた
めの略線図である。
【図7】多層膜の反射スペクトルを示す略線図である。
【図8】多層膜の反射スペクトルを示す略線図である。
【図9】規則的に配列された微粒子の反射スペクトルを
示す略線図である。
【図10】最密構造を説明するための略線図である。
【図11】規則的に配列された微粒子の反射スペクトル
を示す略線図である。
【図12】特定の波長の光が反射される理由を説明する
ための略線図である。
【図13】微粒子の光場の計算に用いたモデルを示す略
線図である。
【図14】微粒子の光場の計算に用いたモデルを示す略
線図である。
【図15】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図16】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図17】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図18】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図19】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図20】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図21】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図22】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図23】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図24】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図25】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図26】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図27】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図28】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図29】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図30】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図31】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図32】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図33】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図34】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図35】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図36】緑色反射に対する微粒子の光場の計算に用い
たモデルを示す略線図である。
【図37】緑色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図38】緑色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図39】緑色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図40】緑色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図41】緑色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図42】緑色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図43】緑色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図44】青色反射に対する微粒子の光場の計算に用い
たモデルを示す略線図である。
【図45】青色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図46】青色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図47】青色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図48】青色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図49】青色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図50】青色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図51】青色反射に対する微粒子の光場の計算結果を
示す略線図である。
【図52】シリカ微粒子の直径とブラッグ反射が起こる
波長との関係を示す略線図である。
【図53】三原色反射に対する微粒子の光場の計算に用
いたモデルを示す略線図である。
【図54】三原色反射に対する微粒子の光場の計算結果
を示す略線図である。
【図55】三原色反射に対する微粒子の光場の計算結果
を示す略線図である。
【図56】三原色反射に対する微粒子の光場の計算結果
を示す略線図である。
【図57】三原色反射に対する微粒子の光場の計算結果
を示す略線図である。
【図58】三原色反射に対する微粒子の光場の計算結果
を示す略線図である。
【図59】この発明の第4の実施形態によるスクリーン
を示す断面図である。
【図60】この発明の第4の実施形態によるスクリーン
の製造方法を説明するための略線図である。
【図61】この発明の第4の実施形態によるスクリーン
の製造方法を説明するための略線図である。
【図62】この発明の第4の実施形態によるスクリーン
の製造方法を説明するための略線図である。
【図63】この発明の第4の実施形態によるスクリーン
の製造方法を説明するための略線図である。
【図64】この発明の第4の実施形態によるスクリーン
の製造方法を説明するための略線図である。
【図65】回折により光が広がる様子を示す略線図であ
る。
【図66】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図67】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図68】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図69】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図70】屈折により光が広がる様子を示す略線図であ
る。
【図71】屈折により光が広がる様子を示す略線図であ
る。
【図72】微粒子の光場の計算に用いたモデルを示す略
線図である。
【図73】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図74】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図75】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図76】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図77】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図78】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図79】微粒子の光場の計算結果を示す略線図であ
る。
【図80】反射光の広がりを遠視野像の広がりとして示
す略線図である。
【図81】結晶軸を傾けた効果を説明するための略線図
である。
【図82】逆格子空間を示す略線図である。
【図83】結晶軸の傾きとブラッグ条件を満たす波長と
の関係を示す略線図である。
【図84】指向性を緩和する構造の一例を示す略線図で
ある。
【図85】逆格子空間を示す略線図である。
【図86】誘電体多層膜の反射スペクトルを示す略線図
である。
【図87】誘電体多層膜の反射スペクトルを示す略線図
である。
【図88】LCDプロジェクターから出射した光のスペ
クトルの測定結果を示す略線図である。
【図89】LCDプロジェクターから出射した光のスペ
クトルの測定結果を示す略線図である。
【図90】LCDプロジェクターから出射した光のスペ
クトルの測定結果を示す略線図である。
【図91】LCDプロジェクターから出射した光のスペ
クトルの測定結果を示す略線図である。
【図92】DLPプロジェクターから出射した光のスペ
クトルの測定結果を示す略線図である。
【図93】DLPプロジェクターから出射した光のスペ
クトルの測定結果を示す略線図である。
【図94】DLPプロジェクターから出射した光のスペ
クトルの測定結果を示す略線図である。
【図95】DLPプロジェクターから出射した光のスペ
クトルの測定結果を示す略線図である。
【図96】色度図を示す略線図である。
【図97】この発明の第6の実施形態によるスクリーン
を示す断面図である。
【図98】この発明の第7の実施形態によるスクリーン
を示す断面図である。
【図99】この発明の第8の実施形態によるスクリーン
を示す断面図である。
【図100】この発明の第9の実施形態によるスクリー
ンを示す断面図である。
【図101】この発明の第10の実施形態によるスクリ
ーンを示す断面図である。
【図102】この発明の第11の実施形態によるスクリ
ーンを示す断面図である。
【図103】この発明の第12の実施形態によるスクリ
ーンを示す断面図である。
【図104】この発明の第13の実施形態によるスクリ
ーンを示す断面図である。
【図105】この発明の第14の実施形態によるスクリ
ーンを示す断面図である。
【図106】この発明の第15の実施形態によるスクリ
ーンを示す断面図である。
【図107】この発明の第15の実施形態による投影シ
ステムを示す側面図である。
【図108】この発明の第15の実施形態による投影シ
ステムを示す略線図である。
【図109】この発明の第16の実施形態による投影シ
ステムを示す略線図である。
【図110】この発明の第16の実施形態による投影シ
ステムにおけるスクリーンの一部の拡大図である。
【図111】この発明の第17の実施形態によるスクリ
ーンを示す断面図である。
【図112】この発明の第17の実施形態によるスクリ
ーンに用いる微粒子クラスターを示す略線図である。
【図113】この発明の第18の実施形態によるディス
プレイを示す断面図である。
【図114】この発明の第19の実施形態によるディス
プレイを示す断面図である。
【符号の説明】
P・・・黒の下地面、Q・・・白の反射面、Q1
2 、Q3 ・・・反射面、1・・・基板、2、3、4・
・・微粒子、5・・・微粒子、10・・・拡散フィル
ム、11・・・マイクロレンズフィルム、12・・・マ
イクロプリズムフィルム、13・・・バインダー、14
・・・空洞、15・・・透明基板、16・・・光吸収
層、17・・・PETフィルム、18・・・バッファ
層、19・・・スクリーン、20・・・プロジェクタ
ー、21・・・光源、C1 、C2 、C3 ・・・微粒子ク
ラスター、24、25、26・・・発光ダイオード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸田 淳 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 石本 光 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 石橋 晃 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 中枝 武弘 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 西 智裕 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 大西 通博 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 2H021 BA02 BA09 BA10

Claims (66)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標準的なシアター環境と同等の、スクリ
    ーン面上における映像の最大輝度を確保しつつ、スクリ
    ーン面の全面平均の反射率を少なくとも白地のスクリー
    ンの反射率より低く設定することにより外光ノイズの反
    射を低減させたことを特徴とするスクリーン。
  2. 【請求項2】 第1の反射率を有する下地面上に上記第
    1の反射率より高い第2の反射率を有する反射面を離散
    的に配置したことを特徴とするスクリーン。
  3. 【請求項3】 上記反射面の間の部分の上記下地面を黒
    の吸収面としたことを特徴とする請求項2記載のスクリ
    ーン。
  4. 【請求項4】 上記反射面を白の反射面としたことを特
    徴とする請求項2記載のスクリーン。
  5. 【請求項5】 上記反射面は二次元的に周期的に配置さ
    れていることを特徴とする請求項2記載のスクリーン。
  6. 【請求項6】 上記反射面は正方形または長方形である
    ことを特徴とする請求項2記載のスクリーン。
  7. 【請求項7】 複数の投影光源のそれぞれの発光スペク
    トルの中心波長に合わせた反射特性を有する反射面を下
    地面上に離散的に配置したことを特徴とするスクリー
    ン。
  8. 【請求項8】 上記反射面の間の部分の上記下地面を黒
    の吸収面としたことを特徴とする請求項7記載のスクリ
    ーン。
  9. 【請求項9】 上記反射面による反射スペクトルの半値
    幅を30nm±20nmとしたことを特徴とする請求項
    7記載のスクリーン。
  10. 【請求項10】 上記反射面をn原色のそれぞれに対応
    した波長の光を反射し、他の光は透過するようにそれぞ
    れ構成し、これらの反射面を積層したことを特徴とする
    請求項7記載のスクリーン。
  11. 【請求項11】 上記反射面を青、緑および赤のそれぞ
    れに対応した波長の光を反射し、他の光は透過するよう
    にそれぞれ構成し、これらの反射面を積層したことを特
    徴とする請求項7記載のスクリーン。
  12. 【請求項12】 上記反射面をスクリーン表面から見て
    長波長のものから短波長のものへ順に積層したことを特
    徴とする請求項10または11記載のスクリーン。
  13. 【請求項13】 上記反射面をスクリーン表面から見て
    短波長のものから長波長のものへ順に積層したことを特
    徴とする請求項10または11記載のスクリーン。
  14. 【請求項14】 上記反射面は、大きさが1μm以下の
    微粒子を規則的に配列した構造を有することを特徴とす
    る請求項7記載のスクリーン。
  15. 【請求項15】 上記反射面は、n原色のそれぞれに対
    応した波長の光を同時に反射することができるように、
    上記微粒子の直径がn種類存在する構造を有することを
    特徴とする請求項14記載のスクリーン。
  16. 【請求項16】 上記反射面は、自己組織化により上記
    微粒子を規則的に配列した構造を有することを特徴とす
    る請求項14記載のスクリーン。
  17. 【請求項17】 上記反射面は、上記微粒子を最密構造
    に配列した構造を有することを特徴とする請求項14記
    載のスクリーン。
  18. 【請求項18】 上記反射面は、赤、緑および青の三原
    色に対応した波長の光を同時に反射することができるよ
    うに、上記微粒子の直径が3種類存在する構造を有する
    ことを特徴とする請求項14記載のスクリーン。
  19. 【請求項19】 上記微粒子としてシリカまたはシリカ
    と同じ屈折率を持つ微粒子を用いたことを特徴とする請
    求項14記載のスクリーン。
  20. 【請求項20】 赤色反射用として269×(1.36
    /n)nm以上314×(1.36/n)nm以下の直
    径の微粒子、緑色反射用として224×(1.36/
    n)nm以上251×(1.36/n)nm以下の直径
    の微粒子、青色反射用として202×(1.36/n)
    nm以上224×(1.36/n)nm以下の直径の微
    粒子(ただし、nは微粒子の屈折率)を用いたことを特
    徴とする請求項19記載のスクリーン。
  21. 【請求項21】 赤色反射用として278×(1.36
    /n)nm以上305×(1.36/n)nm以下の直
    径の微粒子、緑色反射用として224×(1.36/
    n)nm以上237×(1.36/n)nm以下の直径
    の微粒子、青色反射用として208×(1.36/n)
    nm以上217×(1.36/n)nm以下の直径の微
    粒子(ただし、nは微粒子の屈折率)を用いたことを特
    徴とする請求項19記載のスクリーン。
  22. 【請求項22】 基板上に縦方向に赤色反射用の微粒子
    層、緑色反射用の微粒子層および青色反射用の微粒子層
    が積層されていることを特徴とする請求項14記載のス
    クリーン。
  23. 【請求項23】 基板上に縦方向に赤色反射用の微粒子
    層、緑色反射用の微粒子層および青色反射用の微粒子層
    が順次積層されていることを特徴とする請求項14記載
    のスクリーン。
  24. 【請求項24】 基板上に縦方向に青色反射用の微粒子
    層、緑色反射用の微粒子層および赤色反射用の微粒子層
    が順次積層されていることを特徴とする請求項14記載
    のスクリーン。
  25. 【請求項25】 積層周期が8以上15以下であること
    を特徴とする請求項22記載のスクリーン。
  26. 【請求項26】 基板上に横方向に赤色反射用の微粒子
    層、緑色反射用の微粒子層および青色反射用の微粒子層
    が配列されていることを特徴とする請求項14記載のス
    クリーン。
  27. 【請求項27】 積層周期が8以上15以下であること
    を特徴とする請求項26記載のスクリーン。
  28. 【請求項28】 可視光を吸収する層またはバルク基板
    を有することを特徴とする請求項14記載のスクリー
    ン。
  29. 【請求項29】 上記可視光を吸収する層またはバルク
    基板はすべての波長域の可視光を吸収することを特徴と
    する請求項28記載のスクリーン。
  30. 【請求項30】 上記可視光を吸収する層またはバルク
    基板が上記微粒子の下にあることを特徴とする請求項2
    8記載のスクリーン。
  31. 【請求項31】 上記基板が透明基板の裏面に可視光を
    吸収する層が設けられたものであることを特徴とする請
    求項22または26記載のスクリーン。
  32. 【請求項32】 上記基板がPETフィルムであること
    を特徴とする請求項22または26記載のスクリーン。
  33. 【請求項33】 上記基板の表面に濡れ性を向上させる
    ための凹凸または膜が設けられていることを特徴とする
    請求項22または26記載のスクリーン。
  34. 【請求項34】 上記微粒子層上に光拡散媒体が設けら
    れていることを特徴とする請求項22または26記載の
    スクリーン。
  35. 【請求項35】 上記光拡散媒体が拡散フィルムである
    ことを特徴とする請求項34記載のスクリーン。
  36. 【請求項36】 上記光拡散媒体がマイクロレンズフィ
    ルムであることを特徴とする請求項34記載のスクリー
    ン。
  37. 【請求項37】 上記光拡散媒体がマイクロプリズムフ
    ィルムであることを特徴とする請求項34記載のスクリ
    ーン。
  38. 【請求項38】 上記微粒子の間の隙間が結合剤により
    埋められていることを特徴とする請求項14記載のスク
    リーン。
  39. 【請求項39】 上記微粒子が空洞からなることを特徴
    とする請求項38記載のスクリーン。
  40. 【請求項40】 上記微粒子の集合体を有することを特
    徴とする請求項14記載のスクリーン。
  41. 【請求項41】 上記微粒子の集合体の横方向の大きさ
    が22周期より小さいことを特徴とする請求項40記載
    のスクリーン。
  42. 【請求項42】 上記微粒子の集合体はその結晶軸に対
    して斜めの面とそれとは異なる角度を持つ面とを併せ持
    つことを特徴とする請求項40記載のスクリーン。
  43. 【請求項43】 上記斜めの面の角度θが70°≦θ≦
    90°の範囲であることを特徴とする請求項42記載の
    スクリーン。
  44. 【請求項44】 上記微粒子の集合体が曲面を持つこと
    を特徴とする請求項40記載のスクリーン。
  45. 【請求項45】 上記微粒子の集合体の結晶軸が光の入
    射方向に対して77.4°≦α≦90°の範囲の角度α
    傾いていることを特徴とする請求項40記載のスクリー
    ン。
  46. 【請求項46】 上記微粒子の集合体にうねりを持たせ
    たことを特徴とする請求項40記載のスクリーン。
  47. 【請求項47】 上記反射面は、大きさが1μm以下の
    微粒子が規則的に配列された微粒子クラスターを配列し
    た構造を有することを特徴とする請求項7記載のスクリ
    ーン。
  48. 【請求項48】 上記基板上に、バッファ層を介して、
    赤色反射用の微粒子層、緑色反射用の微粒子層および青
    色反射用の微粒子層が設けられていることを特徴とする
    請求項22または26記載のスクリーン。
  49. 【請求項49】 上記バッファ層は、208×(1.3
    6/n)nm以下の直径の微粒子(ただし、nは微粒子
    の屈折率)の層からなることを特徴とする請求項48記
    載のスクリーン。
  50. 【請求項50】 上記反射面は、フォトニック結晶を用
    いて特定の波長の光を反射するように構成されているこ
    とを特徴とする請求項7記載のスクリーン。
  51. 【請求項51】 上記フォトニック結晶の横方向の大き
    さが22周期より小さいことを特徴とする請求項50記
    載のスクリーン。
  52. 【請求項52】 上記反射面は、誘電体多層膜を用いて
    特定の波長の光を反射するように構成されていることを
    特徴とする請求項7記載のスクリーン。
  53. 【請求項53】 上記誘電体多層膜の周期構造が10周
    期以上であることを特徴とする請求項52記載のスクリ
    ーン。
  54. 【請求項54】 複数の投影光源のそれぞれの発光スペ
    クトルの中心波長に合わせた反射特性を有する反射面を
    基板上に離散的に配置し、上記反射面は、大きさが1μ
    m以下の微粒子を規則的に配列した構造を有するスクリ
    ーンの製造方法であって、 上記微粒子を自己組織化により配列するようにしたこと
    を特徴とするスクリーンの製造方法。
  55. 【請求項55】 複数の投影光源のそれぞれの発光スペ
    クトルの中心波長に合わせた反射特性を有する反射面を
    基板上に離散的に配置し、上記反射面は、大きさが1μ
    m以下の微粒子を規則的に配列した構造を有するスクリ
    ーンの製造方法であって、 2重量%以上の微粒子溶液中に基板を浸漬する第1の工
    程と、 上記基板を気相中に30μm/s以上の速度で引き上げ
    ることによりその表面を上記微粒子溶液で濡らす第2の
    工程と、 上記微粒子溶液で濡れた上記基板を気相中で乾燥させる
    第3の工程とを有することを特徴とするスクリーンの製
    造方法。
  56. 【請求項56】 上記第1の工程から上記第3の工程を
    必要な光学特性または厚さを有する微粒子層が形成され
    るまで繰り返すようにしたことを特徴とする請求項55
    記載のスクリーンの製造方法。
  57. 【請求項57】 上記基板の浸漬前、浸漬中または引き
    上げ直後のいずれかの時に、上記基板をその面内で回転
    させることにより上記基板の向きを変えるようにしたこ
    とを特徴とする請求項55記載のスクリーンの製造方
    法。
  58. 【請求項58】 上記基板の浸漬前に上記基板の表面に
    濡れ性を向上させる処理を施すようにしたことを特徴と
    する請求項55記載のスクリーンの製造方法。
  59. 【請求項59】 投影光源と、 第1の反射率を有する下地面上に上記第1の反射率より
    高い第2の反射率を有する反射面を離散的に配置したス
    クリーンとを有することを特徴とする投影システム。
  60. 【請求項60】 投影する映像を上記スクリーンの離散
    的に配置されたそれぞれの上記反射面に集中して投影す
    るようにしたことを特徴とする請求項59記載の投影シ
    ステム。
  61. 【請求項61】 複数の投影光源と、 上記複数の投影光源のそれぞれの発光スペクトルの中心
    波長に合わせた反射特性を有する反射面を下地面上に離
    散的に配置したスクリーンとを有することを特徴とする
    投影システム。
  62. 【請求項62】 上記投影光源はレーザであることを特
    徴とする請求項61記載の投影システム。
  63. 【請求項63】 上記投影光源は半導体レーザであるこ
    とを特徴とする請求項61記載の投影システム。
  64. 【請求項64】 投影する映像を上記スクリーンの離散
    的に配置されたそれぞれの上記反射面に集中して投影す
    るようにしたことを特徴とする請求項61記載の投影シ
    ステム。
  65. 【請求項65】 互いに発光波長が異なる複数の発光ダ
    イオードと、 上記複数の発光ダイオードのそれぞれの近傍に設けられ
    た、上記複数の発光ダイオードのそれぞれの発光スペク
    トルの中心波長に合わせた反射特性を有する反射面とを
    有することを特徴とする表示装置。
  66. 【請求項66】 上記発光ダイオードから発する光が上
    記反射面により拡散反射されることを特徴とする請求項
    65記載の表示装置。
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