JP2003328937A - 真空ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】特殊な手段を用いることなく容易にシール性を
大幅に向上することが可能な真空ポンプを提供する。 【解決手段】本発明の真空ポンプは、シリンダ４０と、
シリンダ４０内において往復動するように構成されたピ
ストン５０と、シリンダ４０の内面とピストン５０との
隙間に配置されたカップパッキン５４とを有する。この
カップパッキン５４は、シリンダ４０に装着されるよう
に構成され、シリンダ４０とピストン５０とによって形
成される吸排気室４９に対して遠ざかる方向に延びる補
助シール部５４ａが設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ドライ真空ポンプ
に関し、特に、揺動ピストン型ドライ真空ポンプの圧縮
室の技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の真空ポンプとしては、例
えば、図６及び図７に示すようなものが知られている。

【０００３】この真空ポンプ１０１は、シリンダ１０２
と、このシリンダ１０２に対応するピストン１０３を有
している。さらに、シリンダ１０２は、ピストン１０３
が挿入されるシリンダ部１０４と、このシリンダ部１０
４の一方の端部に設けられるヘッドプレート１０５を有
し、このヘッドプレート１０５にはヘッドカバー１０６
が取り付けられている。

【０００４】ヘッドプレート１０５には、排気孔１０５
ａ及び吸気孔１０５ｂが設けられている。そして、ヘッ
ドプレート１０５の表面の排気孔１０５ａの部位に排気
弁１０８が設けられるとともに、ヘッドプレート１０５
の裏面の吸気孔１０５ｂの部位には吸気弁１０７が設け
られている。

【０００５】ピストン１０３は、ピストンロッド１０３
ａの先端部に設けられた支持部１０３ｂにカップパッキ
ン１０９を装着し、このカップパッキン１０９を押え板
１１０によって押さえるように構成されている。

【０００６】そして、図示しないモータの動力によって
ピストンロッド１０３ａを往復動させ、吸気弁１０８及
び排気弁１０７の動作により、吸気管１１１を介してシ
リンダ１０２内に大気を取り込むとともに、シリンダ１
０２内の大気を排気管１１２から排出するようになって
いる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来の真空ポンプ１０１にあっては、種々の要因からシ
ール性を大幅に向上させることが困難であるという問題
がある。

【０００８】例えば、ピストンロッド１０３ａを長時間
を駆動させるとシリンダ部１０４とカップパッキン１０
９との摩擦によってこれらの間に隙間が生じ、リーク量
が増大してしまう。

【０００９】また、シリンダ部１０４の形状が円筒形状
であることに加え、肉薄の構造となっているため、加工
の際に歪みが生じやすく、これによりシール性を大幅に
向上させることが困難である。

【００１０】この問題を解決するには、加工の際に特殊
な冶具を用いることも考えられるが、その場合には、作
業効率が悪化するとともにコストアップを招くという問
題が生ずる。

【００１１】本発明は、このような従来の技術の課題を
解決するためになされたもので、特殊な手段を用いるこ
となく容易にシール性を大幅に向上することが可能な真
空ポンプを提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた請求項１記載の発明は、シリンダと、前記シ
リンダ内において往復動するように構成されたピストン
と、前記シリンダの内面と前記ピストンとの隙間に配置
されたパッキンとを有し、前記パッキンに、前記シリン
ダと前記ピストンとによって形成される吸排気室に対し
て遠ざかる方向に延びる補助シール部が設けられている
真空ポンプである。請求項２記載の発明は、請求項１記
載の発明において、前記パッキンが、前記シリンダに装
着されるように構成されているカップ状のパッキンであ
ることを特徴とする。請求項３記載の発明は、請求項１
又は２のいずれか１項記載の発明において、前記シリン
ダと、前記シリンダ内の吸気又は排気を行う弁を有する
ヘッドプレートとが一体的に構成されているものであ
る。

【００１３】本発明にあっては、シリンダの内面とピス
トンとの隙間に配置されたパッキンに、シリンダとピス
トンとによって形成される吸排気室に対して遠ざかる方
向に延びる補助シール部が設けられていることから、ピ
ストンの動作によってパッキンの縁部が吸排気室側に引
き寄せられた場合であっても、補助シール部がシリンダ
の内面に密着し、隙間が生ずることはない。

【００１４】その結果、本発明によれば、ピストンの傾
斜角度を大きくした場合であっても、リーク量が増大す
ることないので、シール性を大幅に向上させた小型の真
空ポンプを提供することができる。

【００１５】また、本発明においては、パッキンとし
て、シリンダに装着されるように構成されたカップ状の
パッキンを用いれば、特殊なパッキンを用いる必要がな
く容易にシール性を向上させることができる。

【００１６】さらに、本発明の場合、シリンダと、シリ
ンダ内の吸気又は排気を行う弁を有するヘッドプレート
とを一体的に構成すれば、肉厚の構造とすることができ
るので、加工の際の歪みを減少させることができ、シー
ル性を向上させることができる。

【００１７】また、特殊な冶具を用いる必要がないの
で、作業効率を向上させてコストダウンを図ることがで
きる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る真空ポンプの
実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。

【００１９】図１（ａ）（ｂ）は、本実施の形態の真空
ポンプの全体構成を示す断面図である。また、図２
（ａ）は、本実施の形態における排気ユニットの要部構
成を示す断面図、図２（ｂ）は、同排気ユニットのシリ
ンダの構成を示す断面図である。

【００２０】図１（ａ）（ｂ）に示すように、本実施の
形態の真空ポンプ１は、揺動ピストン型ドライ真空ポン
プであり、ハウジング２内に設けられたモータ３と、こ
のモータ３によって二台一組で同位相で駆動される第１
及び第２の排気ユニット４（４Ａ、４Ｂ）を有してい
る。

【００２１】第１及び第２の排気ユニット４Ａ、４Ｂ
は、同一の構成となるように組み立てられ、図２に示す
ように、それぞれ、後述するシリンダ４０と、ピストン
５０と、結合ロッド６０とを有している。

【００２２】各排気ユニット４Ａ、４Ｂのピストン５０
は、結合ロッド６０先端部分にそれぞれ取り付けられて
おり、その状態で、ピストン５０は、シリンダ４０内に
挿入されている。

【００２３】そして、第１及び第２の排気ユニット４
Ａ、４Ｂは、各結合ロッド６０をモータ３の駆動軸３０
に偏芯軸（図示せず）を介して取り付けることによって
互いに逆位相でピストン運動するように構成されてい
る。

【００２４】また、第１及び第２の排気ユニット４Ａ、
４Ｂのシリンダ４０には、それぞれヘッドカバー７０を
介して吸気管７１と排気管７２とがそれぞれ１本ずつ接
続されている（図１では吸気管７１又は排気管７２の一
方のみが示されている）。

【００２５】そして、ピストン５０がモータ３の駆動軸
３０から遠ざかる方向に移動するとき、即ち、ピストン
５０が下死点から上死点に向かうときには、シリンダ４
０に設けられた後述する排気弁が開き、吸気弁が閉じ
て、シリンダ４０内の気体がヘッドカバー７０を介して
排気管７２から大気中に放出される。

【００２６】逆に、ピストン５０がモータ３の駆動軸３
０に近づく方向、即ち、ピストン５０が上死点から下死
点に向かって移動するときには、排気弁が閉じ、吸気弁
が空いて、シリンダ５０内に、吸気管７１の先端からヘ
ッドカバー７０を通って気体がシリンダ５０内に吸い込
まれる。

【００２７】図３（ａ）は、本実施の形態の排気ユニッ
トのシリンダの断面図、図３（ｂ）は、同シリンダの裏
面側から見た平面図、図３（ｃ）は、同シリンダの表面
側から見た平面図である。

【００２８】図２（ａ）及び図３（ａ）〜（ｃ）に示す
ように、本実施の形態の排気ユニット４のシリンダ４０
は、ヘッドプレート部４１とシリンダ部４２とが一体的
に構成されたものである。

【００２９】すなわち、本実施の形態のシリンダ４０
は、円板形状のヘッドプレート部４１の一方の面（裏
面）側に、円筒フランジ状のシリンダ部４２が一体形成
されている。

【００３０】この場合、シリンダ部４２は、ヘッドプレ
ート部４１に対して同心状に設けられている。

【００３１】図３（ｂ）（ｃ）に示すように、シリンダ
４０のヘッドプレート部４１には、排気孔４３及び吸気
孔４４が設けられている。

【００３２】ここで、シリンダ４０のヘッドプレート部
４１の裏面には、吸気孔４４上に吸気弁４６が設けら
れ、また、シリンダ４０のヘッドプレート部４１の表面
には、排気孔４３上に排気弁４５が設けられている。

【００３３】吸気弁４６は、長方形形状に形成され、そ
の端部がボルト４８によってシリンダ４０のヘッドプレ
ート部４１の裏面にねじ止めされている。

【００３４】この場合、吸気弁４６用のボルト４８は、
シリンダ４０のヘッドプレート部４１及びシリンダ部４
２の回転中心の位置に設けられている。

【００３５】一方、排気弁４５も、長方形形状に形成さ
れている。そして、排気弁４５は、シリンダ４０のヘッ
ドプレート部４１の表面に設けられた凹部４１ａ内にお
いて、その端部がボルト４７によってねじ止めされてい
る。

【００３６】図４（ａ）は、同排気ユニットのカップパ
ッキンの平面図、図４（ｂ）は、ピストンに装着された
状態のカップパッキンを示す断面図である。

【００３７】図２（ａ）（ｂ）に示すように、本実施の
形態のピストン５０は、上述した結合ロッド６０の端部
の支持部６０ａに取り付けられるもので、結合ロッド６
０の支持部６０ａと押え板５３との間に後述するカップ
パッキン５４を挟むように構成されている。

【００３８】これら結合ロッド６０の支持部６０ａ、カ
ップパッキン５４及び押え板５３は、それぞれ所定の大
きさの真円形状に形成されている。

【００３９】押え板５３の回転中心軸の位置には、上記
吸気弁４６を固定するためのボルト４８の頭部４８ａと
嵌まり合う穴部５３ａが設けられている。

【００４０】本実施の形態のカップパッキン５４は、そ
の縁部にフランジ状の補助シール部５４ａが一体形成さ
れている。

【００４１】そして、カップパッキン５４の補助シール
部５４ａが、結合ロッド６０の支持部６０ａの周囲に装
着され、これによりフランジ状の補助シール部５４ａ
が、吸排気室４９に対して遠ざかる方向、即ち大気側に
延びるようになっている。

【００４２】また、カップパッキン５４の中心部には、
押え板５３の穴部５３ａと同様の真円形状の孔部５４ｂ
が形成されている。

【００４３】そして、図２（ａ）（ｂ）に示すように、
結合ロッド６０の支持部６０ａ上にカップパッキン５４
及び押え板５３を重ねることによりピストン部５０の回
転中心軸の位置に、上記ボルト４８の頭部４８ａと嵌ま
り合う凹部５０ａが形成されるようになっている。

【００４４】図５（ａ）は、ピストンに装着された状態
のカップパッキンを示す断面図、図５（ｂ）（ｃ）は、
図５（ａ）の部分Ｐの拡大図で、同カップパッキンの挙
動を示す説明図である。

【００４５】このような構成を有する本実施の形態にお
いてピストン５０を動作させると、吸排気４９室内の圧
力が下がり、カップパッキン５４の縁部が吸排気室４９
側に引き寄せられる。

【００４６】しかし、図５（ａ）（ｂ）に示すように、
本実施の形態においては、カップパッキン５４の縁部
に、吸排気４９室に対して遠ざかる方向に延びる補助シ
ール部５４ａが設けられていることから、補助シール部
５４ａがシリンダ部４２の内面に密着し、シリンダ部４
２内面との間に隙間が生ずることはない。

【００４７】その結果、本実施の形態によれば、ピスト
ン５０の傾斜角度を大きくした場合であっても、リーク
量が増大することないので、シール性を大幅に向上させ
た小型の真空ポンプを提供することができる。

【００４８】特に、本実施の形態の場合は、ピストン５
０の支持部６０ａの周囲に装着されるように構成された
カップパッキン５４を用いているので、特殊なパッキン
を用いる必要がなく容易にシール性を向上させることが
できる。

【００４９】さらに、本実施の形態のシリンダ４０は、
シリンダ部４２とヘッドプレート部４１とが一体的に構
成されているので、シリンダ部４２を肉厚の構造とする
ことができ、その結果、加工の際の歪みを減少させてシ
ール性を向上させることができる。

【００５０】また、特殊な冶具を用いる必要がないの
で、作業効率を向上させてコストダウンを図ることも可
能になる。

【００５１】なお、本発明は上述の実施の形態に限られ
ることなく、種々の変更を行うことができる。例えば、
カップパッキンの補助シール部の厚さや長さについて
は、ピストンの寸法や傾斜角度に応じて適宜変更するこ
とができる。

【００５２】さらに、本発明は、揺動ピストン型のドラ
イ真空ポンプのみならず、ダイヤフラム型のドライ真空
ポンプに適用することもできるものである。

【００５３】

【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、特殊
な手段を用いることなく容易にシール性を大幅に向上し
うる真空ポンプを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）（ｂ）：本発明に係る真空ポンプの実施
の形態の全体構成を示す断面図

【図２】（ａ）：同実施の形態における排気ユニットの
要部構成を示す断面図 （ｂ）：同排気ユニットのピストンの構成を示す断面図

【図３】（ａ）：同実施の形態の排気ユニットのシリン
ダの断面図 （ｂ）：同シリンダの裏面側から見た平面図 （ｃ）：同シリンダの表面側から見た平面図

【図４】（ａ）：同実施の形態のカップパッキンの平面
図 （ｂ）：ピストンに装着された状態のカップパッキンを
示す断面図

【図５】（ａ）：ピストンの構成を示す断面図 （ｂ）：図５（ａ）の部分Ｐの拡大図で、同カップパッ
キンの挙動を示す説明図 （ｃ）：図５（ａ）の部分Ｐの拡大図で、同カップパッ
キンの挙動を示す説明図

【図６】従来の真空ポンプの要部構成を示す断面図

【図７】（ａ）：従来のシリンダのヘッドプレートの平
面図 （ｂ）：従来のシリンダの平面図

【符号の説明】

１…真空ポンプ ４０…シリンダ ４１…ヘッドプレー
ト部 ４２…シリンダ部 ５０…ピストン ５４…カップパッキン ５４ａ…補助
シール部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダと、前記シリンダ内において往復
   動するように構成されたピストンと、前記シリンダの内
   面と前記ピストンとの隙間に配置されたパッキンとを有
   し、 前記パッキンに、前記シリンダと前記ピストンとによっ
   て形成される吸排気室に対して遠ざかる方向に延びる補
   助シール部が設けられている真空ポンプ。
2. 【請求項２】前記パッキンが、前記シリンダに装着され
   るように構成されているカップ状のパッキンである請求
   項１記載の真空ポンプ。
3. 【請求項３】前記シリンダと、前記シリンダ内の吸気又
   は排気を行う弁を有するヘッドプレートとが一体的に構
   成されている請求項１又は２のいずれか１項記載の真空
   ポンプ。