JP2003328122A - マグネトロンスパッタリング装置 - Google Patents

マグネトロンスパッタリング装置

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JP2003328122A
JP2003328122A JP2002136189A JP2002136189A JP2003328122A JP 2003328122 A JP2003328122 A JP 2003328122A JP 2002136189 A JP2002136189 A JP 2002136189A JP 2002136189 A JP2002136189 A JP 2002136189A JP 2003328122 A JP2003328122 A JP 2003328122A
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JP
Japan
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magnet
substrate
magnetron sputtering
target
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JP2002136189A
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English (en)
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Tetsuya Endo
徹哉 遠藤
Naoki Watanabe
直樹 渡辺
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Canon Anelva Corp
Original Assignee
Anelva Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一つの真空成膜室に一個以上のカソードが備
えらるマルチカソードシステムのマグネトロンスパッタ
リング装置において、安定した放電を可能にする漏洩磁
場を増強できる一方で、T/S距離を調整することなし
に、基板表面上に到達する磁場強度を低減させて、成膜
基板上の磁場を極力少なくし、また、基板上における各
カソードからの磁場の干渉を少なくする。 【解決手段】 成膜処理される基板を保持する基板ホル
ダーに対向するターゲットと、ターゲット面に垂直な方
向で相対する磁極を有する複数個の磁石からなり、ター
ゲット面に垂直な方向に延びる回転中心軸を中心にして
回動自在に当該ターゲットの裏側に配置されるカソード
マグネットとを備えているカソードが一つの真空成膜室
内に一個以上配備されるマグネトロンスパッタリング装
置において、前記カソードマグネットの中で最外周に配
置される最外周側磁石の着磁方向と逆方向に着磁してい
る環状磁石が当該最外周側磁石の外側に配置されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネトロンスパ
ッタリング装置に関し、特に、一つの真空成膜室に一個
以上のカソードが配備されていて、MRAM(magnetic
random access memory )や、GMR(巨大磁気抵
抗)、TMR(トンネリング磁気抵抗)といった磁気抵
抗素子等を構成する磁性多層薄膜の作製に適した装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、マグネトロンスパッタリング装置
による成膜において、一つの真空成膜室に複数のカソー
ドを持つマルチカソードシステム、ならびに、成膜中に
複数の基板が自転と同時に公転する基板自公転成膜方式
が積極的に採用されている。
【0003】このような成膜方式を採用する理由は、薄
膜を堆積させる基板上に均一性を高めた状態での極薄膜
(数nm程度)の成膜が可能になると同時に、複数のカ
ソードが同一の真空成膜室にあることで、各カソードに
より真空中で連続的に処理されるため、各積層された薄
膜間の界面が汚れずに成膜できるためである。
【0004】このような特徴を持つマルチカソードシス
テムのマグネトロンスパッタリング装置は、特にDRA
M並みの集積密度でSRAM並みの高速性を持ち、かつ
無制限に書き換え可能なメモリとして注目されている集
積化磁気メモリであるMRAM(magnetic random acce
ss memory )や、主に数nm程度の非磁性又は磁性膜の
積層で構成されるTMR(tunneling magnetoresistiv
e)膜の磁気ヘッド等の生産方式として注目されてい
る。
【0005】しかし、このようなマルチカソードシステ
ムは、カソードマグネットが複数個近接して配置されて
いるため、相互のカソードマグネットから生じる磁場強
度が大きくなり、基板上に堆積する薄膜の膜質、特に磁
性薄膜の膜質に影響を与えることがある。
【0006】例えば、基板上に軟磁性材料を堆積する場
合、複数のカソードマグネットから漏れて基板上までお
互いに干渉し合いながら到達する磁場によって、基板上
の望ましくない特定の方向に配向してしまい、デバイス
の特性に大きな影響を与えてしまうことがある。
【0007】図1は、一つの真空成膜室に一個以上のカ
ソードが備えられているマルチカソードシステムのマグ
ネトロンスパッタリング装置における真空成膜室内部の
構造物の配置関係の一例を表すものである。
【0008】図1図示のようにガス導入口及び排気口が
備えられている不図示の真空成膜室に、例えば、4個の
カソード4a、4b、4c、4dが配備されており、こ
れに対向して複数の基板1a〜1hが基板ホルダー2上
に配置されている。基板ホルダー2上に配置されている
基板1a〜1hは全体として矢示3方向に回転する。各
カソード4a〜4dの基板ホルダー2に対向する側には
不図示のターゲットが装着されている。
【0009】図2(a)は、例えば、図1図示のマルチ
カソードシステムのマグネトロンスパッタリング装置に
配備されている一つのカソードにおける従来の構造を説
明するものである。
【0010】各カソードは、図2(a)図示のように、
成膜処理される複数枚の基板を保持する基板ホルダー2
に対向するターゲット12と、カソードマグネット5と
を備えている各カソード(図1では符号4a〜4dで示
されている)に備えられているカソードマグネット5
は、ターゲット面に垂直な方向で相対する磁極を有する
複数個の磁石からなり、ターゲット面に垂直な方向に延
びる回転中心軸を中心にして回動自在に、例えば、不図
示の回転機構により、図2(a)に矢印9で示す方向あ
るいはこの逆方向に回動自在に、ターゲット12の裏側
に配置されている。
【0011】図2(a)図示の形態では、カソードマグ
ネット5は、各カソード(図1では符号4a〜4dで示
されている各カソード)の中心側に配備されていてター
ゲット面に垂直な方向で相対する磁極を有する中心磁石
7と、例えば、図4(a)に図示されているように、径
方向に所定の間隔をあけて中心磁石7の周囲に配置さ
れ、ターゲット面に垂直な方向で相対する磁極を有する
外周側磁石6とを備えている。図2(a)図示の形態で
は、この外周側磁石6がカソードマグネット中で最外周
に配置されている最外周側磁石となる。
【0012】なお、図2(a)図示の形態では、中心磁
石7、外周側磁石6がそれぞれターゲット面に垂直な方
向で備えている相対する磁極は、図2(a)中に矢印で
示した方向であり、中心磁石7と外周側磁石6とで、タ
ーゲット面に垂直な方向で備えている相対する磁極が互
いに逆になっている。
【0013】図2(a)図示の形態の場合、中心磁石7
と外周側磁石6との径方向の所定の間隔は、図2(a)
に符号14、15等で示される磁力線の方向、磁場の大
きさ等を考慮して適宜定められる。
【0014】このように、ターゲット面に垂直な方向で
相対する磁極を有する複数個の磁石がヨークに固定され
てカソードマグネットが構成される。図2(a)図示の
形態の場合、径方向に隣接する磁石ごとにターゲット面
に垂直な方向に備えられている相対する磁極が互いに逆
になっている磁石(中心磁石7と外周側磁石6)が、ヨ
ーク8に固定されてカソードマグネット5が構成されて
いる。
【0015】ターゲット12は裏板11に固定されてお
り、これがカソードボディ10に取り付けられている。
裏板11には水冷機構のような不図示の冷却機構が備え
られており、これによってターゲット12が冷却され
る。
【0016】各カソード4a〜4dは、不図示の絶縁体
を介して真空成膜室の壁に取り付けられている。
【0017】裏板11は不図示の直流又は高周波電源に
接続されていて、ターゲット12の周囲にはシールド1
3が設けられている。
【0018】図2(a)中、符号14乃至符号21で表
されているのがカソードマグネット5から生じる磁力線
である。これによって、例えば、ターゲット12が磁性
材料である場合、対向する基板1a上に形成される薄膜
においては、図2(b)に複数の矢印で示すように、様
々な方向に磁化容易軸が向くことになる。
【0019】従来のマルチカソードシステムのマグネト
ロンスパッタリング装置においては、図2(a)を用い
て説明した前記の構造のカソードが、図1図示のように
近接して複数個配置されているので、複数のカソードに
内蔵されている各カソードマグネットから生じる磁場に
よる干渉の影響が大きくなり、これが基板上に堆積する
薄膜の膜質に悪影響を及ぼしてしまう。
【0020】また、上述のようなMRAMやTMR膜の
磁気ヘッド等を構成するCoFeやNiFe等の強磁性
薄膜を形成するための強磁性材ターゲットをスパッタリ
ングするためには、カソード内部のカソードマグネット
として、NdFeB合金等の強力な磁石が使用される。
そのため、主に、強磁性材料をターゲットとするマルチ
カソードシステムのマグネトロンスパッタリング装置に
おいて、カソードマグネットから強磁性材料のターゲッ
ト等を透過して基板に到達する磁場の強度は、特に著し
く大きくなる。
【0021】一方、MRAMやTMR膜の磁気ヘッド等
の用途に使用される強磁性薄膜は、デバイスとしての特
性上、堆積する基板表面上での磁場が極力ない状態の下
で成膜されることが要求されている。
【0022】このように、マルチカソードシステムにお
いて、一つのカソードに注目した場合、安定したプラズ
マの生成を可能にする強力な磁場がターゲット等を透過
できることが望まれる一方で、基板に到達する磁場の強
度を所定の値以下に制限できる機構を設け、かつ、複数
のカソードに注目した場合、それぞれのカソードから漏
れてくる磁場の干渉等による影響を低減させることが求
められている。
【0023】近年、さらに、産業上、基板サイズの広面
積化と生産効率の増大(主に、スパッタリング装置の性
能として、成膜速度と膜厚分布に関係)の要求に対し
て、直径300mm以上の大型カソードを複数個搭載す
るマルチカソードシステムが採用されてきている。
【0024】前述した、主に、強磁性材料をターゲット
とするマルチカソードシステムのマグネトロンスパッタ
リング装置の問題点、つまり、基板に到達する磁場の影
響に対して、従来は、カソードに内蔵するカソードマグ
ネットそのものの磁場強度を弱くしたり、基板上のカソ
ードマグネットからの磁場強度を弱めるため、カソード
マグネットと基板の距離を遠ざけることにより対処して
きた。
【0025】しかし、カソードマグネットの磁場強度を
弱めることは、真空成膜室内に形成するプラズマの生成
を不安定にすることになり、上述の産業上の要求に充分
に応えているとは言い難い。
【0026】また、強磁性材料のマルチカソードシステ
ムによるマグネトロンスパッタリング装置を鋭意研究し
てきた本発明の出願人は、このような大型化するカソー
ドについて、基板から遠ざけることによる基板表面上の
磁場強度の低減は期待できなくなってきていることを明
らかにした(図7)。
【0027】図7は、カソードマグネットを内蔵したカ
ソードの直径が、それぞれφ162とφ308であるカ
ソードが図1図示のように4基配置された2つのシステ
ム(それぞれ、φ162×4システム、φ308×4シ
ステムと呼ぶ)を用い、ターゲットと基板間の距離(以
下、本明細書及び図面において「T/S距離」と表す)
と、カソードに対向配置される被処理基板上の磁場強度
との関係を表すものである。カソードマグネットはター
ゲットの裏面に配置されているので、T/S距離の大き
さは、カソードマグネットと基板との間の距離の大きさ
に対応している。図7中、縦軸は基板表面上の磁場強
度、横軸はT/S距離である。
【0028】図7から、マルチカソードシステムにおい
て、個々のカソードが大きくなると、T/S距離を大き
くしても、つまり、カソードマグネットを基板から遠ざ
けても、基板表面上に達する磁場強度は減少し難くなっ
ていることが理解できる。
【0029】つまり、主にマルチカソードシステムのマ
グネトロンスパッタリング装置において、プラズマの生
成を不安定にさせることなく、また、T/S距離を調整
することなしに、基板表面上に到達する磁場強度を低減
させ、基板上で各カソードからの磁場の干渉が少なく、
基板表面上の磁場を極力なくすることのできる装置が求
められてきた。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、主に、強磁
性材料をターゲットとするマルチカソードシステムのマ
グネトロンスパッタリング装置における前述した問題点
を解決し、安定した放電を可能にし、かつT/S距離を
調整することなしに、基板表面上に到達する磁場強度を
低減させて、成膜基板上の磁場を極力少なくすることが
でき、基板上における各カソードからの磁場の干渉を少
なくできるマグネトロンスパッタリング装置を提案する
ことを目的としている。
【0031】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明が提案するマグネトロンスパッタリング装
置は、成膜処理される基板を保持する基板ホルダーに対
向するターゲットと、ターゲット面に垂直な方向で相対
する磁極を有する複数個の磁石からなり、ターゲット面
に垂直な方向に延びる回転中心軸を中心にして回動自在
に当該ターゲットの裏側に配置されるカソードマグネッ
トとを備えているカソードが一つの真空成膜室内に一個
以上配備される装置、いわゆる、マルチカソードシステ
ムのマグネトロンスパッタリング装置において、前記カ
ソードマグネットの中で最外周に配置される最外周側磁
石の着磁方向と逆方向に着磁している環状磁石が当該最
外周側磁石の外側に配置されていることを特徴とするも
のである。
【0032】本発明のマグネトロンスパッタリング装置
は、マルチカソードシステムにおける各カソードが前述
した構成になっていて、前記環状磁石を有することによ
り、前記カソードマグネット中の最外周側磁石と、環状
磁石との間に閉じた磁気回路が形成される。これによっ
て、近接配備されている複数のカソードに内蔵されてい
る各カソードマグネットからの磁場が互いに干渉しあっ
て、基板上に形成される薄膜の膜質に悪影響を与えるお
それを減少させ、更に、カソードから対向する基板上に
到達する磁場を弱めて、基板上に到達する強い磁場によ
る膜質への悪影響を低減させることができる。
【0033】前記本発明のマグネトロンスパッタリング
装置において、環状磁石は、カソードマグネットの中の
最外周側磁石に対してターゲット面に垂直な方向に移動
可能に配置されている構成にできる。
【0034】このようにすれば、環状磁石をターゲット
面に垂直な方向に移動させることにより、カソードマグ
ネット中の最外周側磁石と、環状磁石との間に閉じた磁
気回路を形成しつつ、成膜処理される基板上への漏れ磁
場を最も効果的に減少させることのできる位置に環状磁
石を移動させることができる。
【0035】ここで、環状磁石とは、カソードの外周を
一個の磁石が囲む形態、すなわち、閉じた環になってい
る形態の磁石の他、円周方向で一部閉じていない形態の
磁石をも含むものである。円周方向で一部閉じていない
形態の環状磁石には、環がその円周方向の一部で閉じて
いない形態の磁石及び、複数個の磁石が所定の間隔をあ
けて環状に配置されている形態の磁石、例えば、複数個
の磁石が所定の間隔をあけて環状の保持体上に配置され
ている形態の磁石が含まれる。
【0036】つまり、前述した本発明のマグネトロンス
パッタリング装置において、環状磁石は、図4(a)図
示のように円周方向に連続している構造にすることもで
きるし、図4(b)、(c)図示のように、円周方向で
一部閉じていない構造にすることもできる。図4(b)
図示の環状磁石24は、一部分のみが閉じていず、他は
連続しているものである。図4(c)図示の構造は、閉
じていない部分26を所定の間隔で介在させて、複数の
磁石25a、25b、25c、25d、25e、25f
が環状に配置され、全体として環状磁石を形成している
ものである。
【0037】円周方向で一部閉じていない構造にする
と、当該閉じていない部分において磁気回路が解放さ
れ、放電が立つ可能性がなくなるので有利である。
【0038】なお、図4(a)〜(c)図示の本発明の
実施形態においては、カソードマグネット中の最外周側
磁石は符号6で示されている環状の外周側磁石であり、
カソードマグネットを構成する磁石の中で、符号6で示
されている最外周側磁石以外の磁石を符号7で示される
中心磁石で代表させている。しかし、カソードマグネッ
トの構造はこれに限られず、ターゲット面に垂直な方向
で相対する磁極を有する複数個の磁石からなるものであ
ればよい。
【0039】また、図4(a)〜(c)図示の本発明の
実施形態において符号6で示されている最外周側磁石
は、閉じた一個の環状の磁石になっているが、前述した
カソードマグネット中の最外周側磁石の外側に配置さ
れ、当該最外周側磁石の着磁方向と逆方向に着磁してい
る環状磁石の場合と同じく、円周方向で一部閉じていな
い構造にすることもできる。
【0040】更に、前記のカソードマグネット中の最外
周側磁石は、カソードの径方向で最外周に位置している
磁石であれば、前述したいずれかの形態の環状の磁石で
ある必要も特にない。
【0041】なお、本願出願人は、低圧力での安定した
大電流の放電を目的とした低圧力放電スパッタ装置を提
案している(特開平9−272973号公報)。この低
圧力放電スパッタ装置において、カソードボディ内に、
ターゲットに平行な半径方向の内周側と外周側とで相対
する磁極を有する内部磁石を配置し、カソードボディの
外側に、ターゲットに平行な半径方向の内周側と外周側
とで相対する磁極を有し、かつ、内周側の磁極が前記内
部磁石の外周側の磁極に相対している外部磁石が配置さ
れている構成が提案されている。この低圧力放電スパッ
タ装置は、内部磁石によって形成される閉ループ状の磁
力線(閉塞磁力線)に、外部磁石によって形成される閉
ループ状の磁力線(閉塞磁力線)を重畳することによっ
て、内部磁石によって形成される閉ループ状の磁力線
(閉塞磁力線)をターゲットの中心方向に圧縮し、更
に、発散しようとしていた内部磁石によって形成される
磁力線の一部をも、外部磁石の働きによってターゲット
の中心方向へ閉じ込めることにより、低圧力での安定し
た大電流の放電を可能にしたものであり、前述した本発
明とは、その目的を異にし、構成、作用、効果が異なる
ものであった。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の好ましい実施形態を説明する。
【0043】図3は本発明のマグネトロンスパッタリン
グ装置において、図2(a)を用いて説明した従来の装
置における構造部分に対応する部分を表すものである。
【0044】本発明のマグネトロンスパッタリング装置
においては、図2(a)図示の従来の構造に対して、カ
ソードマグネット5中、最外周に配置されている最外周
側磁石(図3図示の場合は、外周側磁石6)と逆方向に
着磁している環状磁石22が最外周側磁石(図3図示の
実施形態の場合は外周側磁石6)の外側に配置されてい
る。
【0045】これ以外の基本的な構造は、図2(a)を
用いて説明した従来のマグネトロンスパッタリング装置
における構造と同一であり、基本的な動作も同一である
ので、共通する構造部分には同一の参照符号をつけその
説明を省略する。
【0046】図3図示のカソードによれば、外周側磁石
6と環状磁石22との間で、矢印31、32で示すよう
に閉じた磁気回路が形成される。
【0047】そこで、図1図示のように複数のカソード
4a〜4dが近接されて配置されていても、各カソード
に内蔵されているカソードマグネット5からの磁場が互
いに干渉しあうことが少なくなる。
【0048】同時に、外周側磁石6と環状磁石22との
間で、矢印31、32で示すように閉じた磁気回路が形
成されることによって、カソードから成膜対象の基板1
a上に到達する磁場が、図2(a)図示の従来の構造の
場合に比較して図3図示のように弱くなり、被処理基板
1a上に成膜される薄膜の膜質に対する悪影響が減少す
る。
【0049】真空成膜室に配備されている複数のカソー
ドが図2(a)図示の従来の構造のものである従来のマ
ルチカソードシステムのマグネトロンスパッタリング装
置と、図3図示の構造のものである本発明のマルチカソ
ードシステムのマグネトロンスパッタリング装置とにつ
いて、ターゲットとして強磁性体(CoFe)を用い、
それぞれ同一の条件で成膜処理を行って、成膜処理後の
成膜基板上の磁場及び、ターゲット上の漏洩磁場につい
てそれぞれ測定して比較したところ、図6(a)、
(b)図示の結果を得た。磁場の測定は、成膜基板面、
ターゲット面において、任意のラインをガウスプローブ
でスィープし、X軸、Y軸、Z軸方向の磁場(BX
Y、BZ)を測定し、(BX +BY +BZ 1/2
を求めたものである。
【0050】図6(a)は、成膜基板上の磁場について
比較したものであるが、本発明のマグネトロンスパッタ
リング装置を用いて成膜処理を行った場合の方が、成膜
基板上では磁場が減少していた。
【0051】一方、図6(b)は、ターゲット上の漏洩
磁場について比較したものであるが、本発明のマグネト
ロンスパッタリング装置を用いてターゲット上の磁場強
度を増加させても、成膜基板上では磁場が減少している
ことに示されるように、すなわち、本発明のマグネトロ
ンスパッタリング装置によれば、ターゲットが強磁性体
であっても、ターゲット上に強力な磁場を生成させて安
定した放電を可能にし、かつ基板上に到達する漏洩磁場
を減少させて基板上に達した磁場による膜質への悪影響
を低減させることができる。
【0052】本発明のマグネトロンスパッタリング装置
において、環状磁石22は、カソードマグネット中の最
外周側磁石(図3図示の実施形態の場合は外周側磁石
6)との間で、矢印31、32で示すように閉じた磁気
回路が形成されるように配置されていることが必須であ
る。このような配置形態としては、例えば、図3中、環
状磁石22の上下の水平面の高さが、カソードマグネッ
ト中の最外周側磁石の上下の水平面の高さと同等になる
配置形態を採用することができる。
【0053】また、環状磁石22とカソードマグネット
中の最外周側磁石(図3図示の実施形態の場合は外周側
磁石6)との間で、矢印31、32で示すように閉じた
磁気回路が形成されるように配置されていさえすれば、
環状磁石22を、カソードマグネット中の最外周側磁石
に対して、ターゲット12の面に垂直な方向(図3図示
の実施形態の場合は両方向矢印23で示す上下方向)に
移動可能に配置されている構成にすることもできる。
【0054】このようにして、例えば、成膜処理される
基板上1aに到達する磁場を最も効果的に減少させるこ
とのできる位置に環状磁石22を移動させることができ
る。なお、環状磁石22が移動できる範囲は、最大で、
例えば、ターゲット12の水平面(図3中、ターゲット
12の下側の水平面)と、図3中、ヨーク8の下側の水
平面(カソードマグネットを構成している磁石の上側水
平面)との間を移動できるものであればよい。
【0055】図5(a)は、環状磁石22を両方向矢印
23で示す上下方向に移動可能にする機構を説明するも
のである。カソード側の大気側30に配備されている不
図示の駆動機構によって上下動する駆動ピンの先端に環
状磁石22を支持する支持部材27が取り付けられてい
る。図5(a)中、符号28で示されているものはベロ
ーズである。
【0056】図5(b)では、環状磁石22が4つの支
持部材27で支持されている。ただし、支持部材27の
箇所等はこの限りではない。
【0057】中心磁石7、最外周側磁石に該当する外周
側磁石6は大気側30に配置されるものであるため、N
dFeB材などで形成しておくことができるが、環状磁
石22は、真空側29に配置されるものであるため、耐
熱性の高い部材で形成されていることが望ましく、例え
ば、SmCo材からなる磁石とすることができる。
【0058】以上、添付図面を参照して本発明の好まし
い実施形態を説明したが、添付図面における各構成、形
状及び配置関係は、本発明が理解できる程度に概略的に
示したものに過ぎない。また、前記で示した構成部材の
材質は例示に過ぎない。したがって、本発明は、前述し
た実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載から把
握される技術的範囲において、種々の形態に変更可能で
ある。
【0059】例えば、図3、図4(a)〜(c)図示の
本発明のマグネトロンスパッタリング装置のカソードマ
グネット5は、中心磁石7と、最外周側磁石に該当する
外周側磁石6との構成で説明されているが、ターゲット
面に垂直な方向(図3図示の実施形態の場合は図中上下
方向)で相対する磁極を有する複数個の磁石から構成さ
れていて、カソードの径方向で最外周側に配置される最
外周側磁石が、当該最外周側磁石の外側に配置され最外
周側磁石の着磁方向と逆方向に着磁している環状磁石と
の間で閉じた磁気回路を形成するようになるものであれ
ば、種々の形態のカソードマグネットを採用することが
できる。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、一つの真空成膜室に一
個以上のカソードを備えることができるマルチカソード
システムのマグネトロンスパッタリング装置、特に、強
磁性材料をターゲットとするマルチカソードシステムの
マグネトロンスパッタリング装置において、安定した放
電を可能にするターゲット上での磁場強度の増強を図る
ことができる一方で、T/S距離を調整することなし
に、基板表面上に到達する磁場強度を低減させて、成膜
基板上の磁場を極力少なくすることができ、基板上にお
ける各カソードからの磁場の干渉を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマグネトロンスパッタリング装置に
おける真空成膜室内部の構造物の配置関係の一例を表す
斜視図。
【図2】 (a)はマグネトロンスパッタリング装置に
複数備えられている従来のカソードの構造を説明する縦
断面図、(b)は図2(a)図示のカソードに対向配置
される被処理基板上における磁化方向を説明する平面
図。
【図3】 本発明のマグネトロンスパッタリング装置に
採用されるカソードの構造を説明する縦断面図。
【図4】 (a)は、本発明のマグネトロンスパッタリ
ング装置に採用されるカソードの構造を説明する横断面
図、(b)は他のカソードの構造を説明する横断面図、
(c)は更に他のカソードの構造を説明する横断面図。
【図5】 (a)は、本発明のマグネトロンスパッタリ
ング装置に採用されるカソードにおいて環状磁石が移動
する機構の一例を説明する側面図、(b)は図5(a)
の横断面図。
【図6】(a)は、マグネトロンスパッタリング装置を
用いて成膜処理を行った場合における成膜基板上の磁場
について、従来の装置の場合と本発明の装置の場合との
比較実験結果を表すグラフ。(b)は、マグネトロンス
パッタリング装置を用いて成膜処理を行った場合におけ
るターゲット上の漏洩磁場について、従来の装置の場合
と本発明の装置の場合との比較実験結果を表すグラフ。
【図7】 マルチカソードシステムのマグネトロンスパ
ッタリング装置において、カソードの直径を変化させた
時のT/S距離と、カソードに対向配置される被処理基
板上の磁場強度との関係についての実験結果を表すグラ
フ。
【符号の説明】
1a〜1h 基板 4a、4b、4c、4d カソード 5 カソードマグネット 6 外周側磁石 7 中心磁石 8 ヨーク 10 カソードボディ 11 裏板 12 ターゲット 13 シールド 14〜21 磁力線 22、24 環状磁石 25a〜25f 環状磁石

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成膜処理される基板を保持する基板ホル
    ダーに対向するターゲットと、ターゲット面に垂直な方
    向で相対する磁極を有する複数個の磁石からなり、ター
    ゲット面に垂直な方向に延びる回転中心軸を中心にして
    回動自在に当該ターゲットの裏側に配置されるカソード
    マグネットとを備えているカソードが一つの真空成膜室
    内に一個以上配備されるマグネトロンスパッタリング装
    置において、 前記カソードマグネットの中で最外周に配置される最外
    周側磁石の着磁方向と逆方向に着磁している環状磁石が
    当該最外周側磁石の外側に配置されていることを特徴と
    するマグネトロンスパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記環状磁石は、前記カソードマグネッ
    ト中の最外周側磁石に対してターゲット面に垂直な方向
    に移動可能に配置されていることを特徴とする請求項1
    記載のマグネトロンスパッタリング装置。
  3. 【請求項3】 前記環状磁石は、円周方向に連続してい
    ることを特徴とする請求項1又は2記載のマグネトロン
    スパッタリング装置。
  4. 【請求項4】 前記環状磁石は、円周方向で一部閉じて
    いないことを特徴とする請求項1又は2記載のマグネト
    ロンスパッタリング装置。
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