JP5118599B2 - 荷電粒子流収束機構、荷電粒子流収束機構の使用方法および真空成膜装置 - Google Patents

荷電粒子流収束機構、荷電粒子流収束機構の使用方法および真空成膜装置 Download PDF

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本発明は、荷電粒子流収束機構、荷電粒子流収束機構の使用方法および真空成膜装置に関する。
磁石の磁力線により、プラズマ流(荷電粒子流)をハース(蒸発源)に入れた原料に入射および収束させ、これにより、原料の加熱および蒸発を行い、原料薄膜を基板に形成できる真空成膜装置(例えば、イオンプレーティングシステム)が様々な用途に使用されている。この場合、プラズマ流の収束状態を原料に適合するように調整できる方が便利である。例えば、原料の蒸発温度に合わせて最適な収束面積(エネルギー密度)にプラズマ流を調整できると都合がよい。
そこで、蒸発源直下に置かれた磁石を水平方向(蒸発源との上下距離を一定に保つ方向)に移動できる機構(特許文献1)、当該磁石を垂直方向(蒸発源との上下距離を変える方向)に移動できる機構(特許文献2)、および、当該磁石を水平方向および垂直方向の両方に移動できる機構(特許文献3)がすでに提案されている。これにより、プラズマ流の収束状態(例えば、原料表面上でのプラズマ流の収束面積)を適切に制御できるとされている。
特公平7−68609号公報 特開平6−340967号公報 特開平9−170074号公報
しかし、水平方向(蒸発源との上下距離を一定に保つ方向)に磁石を動かす従来例でも垂直方向(蒸発源との上下距離を変える方向)に磁石を動かす従来例でも、以下の問題がある。
前者の場合、プラズマ流の収束中心位置を一定にしてプラズマ流の収束面積だけを変更するには、特許文献1記載の如く磁石を複数個に分割して、個々の磁石を独立に駆動できるように複数の駆動装置を配置する必要がある。よって、この方法では、磁石の周辺構造が複雑化する。
後者の場合、磁石の種類によっては、高温の蒸発源に磁石を不用意に近づけると、蒸発源の熱により磁石の減磁が起こる。例えば、ネオジム系の磁石の耐熱温度(最高使用温度)は、80℃程度であり、磁石がこの温度を超えると減磁して磁力が回復しなくなる。よって、この方法では、最大エネルギー積が極めて高いネオジム磁石を使い難く、仮にネオジム磁石を用いる場合、磁石の熱減磁進行を適切に防止できる特別の冷却系の配設が必要となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、原料蒸発に用いる荷電粒子流の収束状態を適切かつ簡易に調整できる荷電粒子流収束機構を提供することを目的とする。また、このような荷電粒子流収束機構の使用方法を提供することも目的とする。更に、このような荷電粒子流収束機構を備えた真空成膜装置を提供することも目的とする。
本件発明者等は、荷電粒子流の収束状態の調整において、磁石を動かす代わりに、蒸発源と磁石との間の磁気作用空間において、磁石よりも耐熱温度が高い磁性部材を移送(例えば、磁気作用空間において磁性部材の進退移動や上下移動)させると、上述の従来例の問題を適切に解決できることに気がついた。
よって、本発明は、このような知見に基づいてはじめて案出できたものであり、原料の蒸発源と、前記原料を加熱および蒸発できる荷電粒子流を放出する荷電粒子流放出手段と、前記蒸発源と対応して配されて、前記荷電粒子流の収束用の磁力線を作る磁石と、前記蒸発源と前記磁石との間の空間において磁性部材を移送できる磁性部材移送手段と、を備えた荷電粒子流収束機構を提供する。
また、本発明は、前記磁性部材の移送により、前記磁力線の分布が異なる複数の使用形態を含み、第1使用形態における前記荷電粒子流の前記原料上での収束面積が、第2使用形態における前記荷電粒子流の前記原料上での収束面積よりも小さい上述の荷電粒子流収束機構の使用方法も提供する。
前記第1使用形態は、前記空間から前記磁性部材を退避させた形態であってもよく、前記第2使用形態は、前記空間に前記磁性部材を進入させた形態であってもよい。
また、前記第1使用形態は、前記空間に配された前記磁性部材を前記磁石側に移動させた形態であってもよく、前記第2使用形態は、前記空間に配された前記磁性部材を前記蒸発源側に移動させた形態であってもよい。
更に、本発明は、上述の荷電粒子収束機構によって蒸発された原料を用いて真空成膜が行われる真空成膜装置も提供する。
このような蒸発源と磁石との間の空間における磁性部材の移送により、荷電粒子流の収束面積を原料に適合するように簡易かつ適切に調整できる。
特に、本発明では、磁性部材を磁石(例えば、ネオジム系磁石)よりも耐熱性に優れた材料で構成できて好都合である。
本発明によれば、原料蒸発に用いる荷電粒子流の収束状態を適切かつ簡易に調整できる荷電粒子流収束機構が得られる。また、このような荷電粒子流収束機構の使用方法も得られる。更に、このような荷電粒子流収束機構を備えた真空成膜装置も得られる。
以下、本発明の好ましい第1および第2実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による真空成膜装置の内部の一構成例を示した図である。
図1では、基板11の搬入出用の扉(図示せず)を開き、基板11を基板ホルダ12にセットし、基板11に堆積する薄膜の原料13をハース15(蒸発源)にセットした状態の真空成膜装置100(例えば、イオンプレーティングシステム)の内部の様子が模式的に示されている。
真空成膜装置100は、図1に示すように、接地状態の真空槽20を有する。この真空槽20内は、真空槽20の下方かつ右側壁に形成された排気口20aに連通する真空ポンプ(図示せず)により減圧可能に構成されている。
真空槽20の上方には、基板11をその裏面から保持できる基板ホルダ12が配設されている。また、基板ホルダ12は、直流(DC)電圧を印加可能なバイアスDC電源V1のマイナス電圧側端子に接続されている。なお、バイアスDC電源V1のプラス電圧端子側は接地されている。
このようなマイナスDC電圧により、後述のプラズマ作用によりプラスに帯電(イオン化)されたハース15からの蒸発粒子が、基板11に向けて加速される。
一方、真空槽20の下方には、原料13が格納されたハース15、プラズマ流(荷電粒子流)放出手段110、ネオジム系やサマリウム・コバルト系の円柱状の永久磁石19(以下、「磁石19」と略す)、および、磁性部材移送手段120が配されており、これらがプラズマ流(荷電粒子流)収束機構の一例を構成している。
図1に示すように、プラズマ流放出手段110は、圧力勾配型のプラズマガン17と、プラズマガン17に適宜の電力を供給できるガン電源V2と、真空槽20の左側壁に形成されたプラズマ流通路20bを介してプラズマガン17中のプラズマを真空槽20内に引き出せる電磁コイル21と、備える。
プラズマガン17は、Arガスを導く減圧可能な放電空間(図示せず)を有する。そして、この放電空間内の適所には、電子およびAr+(荷電粒子)からなる高密度のプラズマを形成できるカソードユニットや中間電極(何れも図示せず)が配設されている。
ガン電源V2の一方の端子は、プラズマガン17のカソードユニットに接続され、ガン電源V2の他方の端子は、ハース15に接続されている。
このようなプラズマガン17では、ガン電源V2の供給電力による低電圧かつ大電流の直流アーク放電が起こり、これにより、プラズマガン17のカソードユニットからハース15に直流アーク放電によるプラズマ流(以下、「荷電粒子流E」という)が誘導される。
また、磁石19の軸端面のそれぞれはS極またはN極となっており、磁石19は、図1に示すように、そのS極がハース15の裏面と対向するように、ハース15の直下に適宜の間隔をあけて配されている。
このような磁石19が作る磁力線により、後述のとおり、原料13の表面上の荷電粒子流Eの収束が行われる。
なお、荷電粒子流Eが原料13に入射すると、ハース15中の原料13が、荷電粒子流Eの入射エネルギーにより加熱および蒸発される。そして、この蒸発粒子は、基板11に向けて飛散する途中においてハース15近傍のプラズマ作用により電子を剥ぎ取られプラスにイオン化される。これにより、当該粒子は、その運動エネルギーを増すように、上述のマイナスDC電圧が印加された基板11に向かって加速される。その結果、基板11には、このような蒸発粒子からなる緻密な薄膜を堆積できる。なお、ここでは、図示を省略するが、基板11へのマイナスDC電圧の印加に代えて、基板11に高周波電力を印加してもよい。これにより、イオン化された粒子は、高周波電力のセルフバイアスにより基板11に向かって加速され、同様の効果が得られる。
次に、本実施形態の特徴部である磁性部材移送手段120の構成について図面を参照しながら詳しく説明する。
図1に示すように、磁性部材移送手段120は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などの強磁性材料を含む合金からなり、少なくとも磁石19よりも耐熱温度が高い円盤状の磁性部材31を備える。また、磁性部材移送手段120は、ハース15と磁石19との間の磁気作用空間(以下、「磁界領域」と略す)での磁性部材31の進退移動用駆動力を発生できる駆動装置30も備える。
本実施形態では、駆動装置30の駆動部から上下方向に延びる回転軸30Aと、円盤状の磁性部材31の端部から左右方向に延びる軸31Aと、が直角に接続されており、これにより、駆動装置30の回転軸30Aを回すと、磁性部材31が回転軸30A周りに360°回転できる。そして、磁性部材31の回転軸30A周りの回転により、磁界領域に磁性部材31が進入した場合、磁性部材31と磁石19とがほぼ同軸状に上下方向において並んで配され、磁石19の軸端面(S極の面)の全域が磁性部材31に覆われるようになっている。
以上の構成により、磁性部材31が磁界領域に進入すると、荷電粒子流Eの収束は、図1の実線の如く拡大する。一方、この状態から磁性部材31が回転軸30A周りに約180°回転して、磁性部材31が磁界領域から退避すると、荷電粒子流Eの収束は、図1の点線の如く縮小する。なお、このような磁性部材31の進退移動によって荷電粒子流Eの収束状態が変わる理由については、以下の荷電粒子流収束機構の動作説明において述べる。
図2は、本発明の第1実施形態による荷電粒子流収束機構の動作の説明に用いる概念図である。図2(a)では、磁界領域に磁性部材31が進入した場合の荷電粒子流収束機構の様子が示されている。また、図2(b)では、磁界領域から磁性部材31が退避した場合の荷電粒子流収束機構の様子が示されている。
プラズマ中の荷電粒子(ここでは、電子)は、磁力線の回りを旋回しながら磁力線に沿って進むので、荷電粒子流Eの収束状態は、ハース15の直下に置かれた磁石19が作る磁力線の分布に支配される。
よって、図2(a)に示すように、磁性部材31が磁界領域に進入した場合、磁力線200Aは、磁性部材31に歪められ、この内部に引き込まれるので、原料13の表面上での磁力線200Aの密度(磁束密度)が低めになる。これに対して、図2(b)に示すように、磁性部材31が磁界領域から退避した場合、磁力線200Bは磁性部材31の影響を受けないので、原料13の表面上での磁力線200Bの密度(磁束密度)が高めになる。
すると、図2に示すように、磁力線200Bによる原料13の表面上での荷電粒子流Eの収束面積S2は、磁力線200Aによる原料13の表面上での荷電粒子流Eの収束面積S1よりも小さくなる。換言すると、磁力線200Bによる荷電粒子流Eの収束力は、磁力線200Aによる荷電粒子流Eの収束力よりも高い。
ここで、本件発明者等は、以上の磁力線200A、200Bの密度の変化について磁界解析技術(静磁界シミュレーション技術)による検証確認を行った。
このような静磁界シミュレーションを行うに当たっては、図2に示したハース15、磁性部材31および磁石19の形状と略同一形の解析モデルが、数値計算用の分割単位解析領域(メッシュ領域)によってコンピュータ上に生成され、このメッシュ領域に適宜の材料物性データや境界条件データが入力されている。
但し、本磁界シミュレーションについては、あくまで、磁性部材31の磁界領域への進退移動による磁力線200A、200Bの密度の変化を検証することに主眼が置かれている。よって、解析モデルは、このような検証に影響を及ぼさない範囲内で形状の簡略化ないし部材の省略がなされている。例えば、解析モデルにおいて、原料13のモデル化は省略されている。
また、今回の磁界シミュレーションでは、汎用の磁界解析ソフト(INFOLYTICA社製の「MagNet」)が使用されている。
図5および図6は、荷電粒子流収束機構の磁界シミュレーション結果の一例を示した図である。図5では、磁性部材31が磁界領域から退避した場合の磁界シミュレーション結果(磁力線200Bの分布)が図示され、図6では、磁性部材31が磁界領域に進入した場合の磁界シミュレーション結果(磁力線200Aの分布)が図示されている。
図5および図6中のハース15に入る磁力線200A、200Bの間の間隔が広いほど(磁力線200A、200Bの本数が少ないほど)、原料13の表面での磁界が弱く、磁束密度は低い。
よって、図5および図6に示した磁力線200A、200Bの分布の比較から容易に理解できるとおり、磁性部材31の磁界領域への進入時のハース15に入る磁力線200Aの密度が、退避時の磁力線200Bの密度に比べて低くなることが、静磁界シミュレーションにより可視化(検証)された。
以上のとおり、本実施形態の荷電粒子流収束機構は、原料13が格納されたハース15と、原料13を加熱および蒸発できる荷電粒子流Eを放出するプラズマ流放出手段110と、ハース15の直下に適宜の間隔をあけてハース15と対向配置され、荷電粒子流Eの収束用の磁力線200A、200Bを作る磁石19と、磁界領域において磁性部材31を進退移動できる磁性部材移送手段120と、を備える。
そして、この荷電粒子流収束機構では、磁界領域から磁性部材31を退避させた第1使用形態を取る場合がある。この第1使用形態においては、後述の第2使用形態と比べて、磁性部材31がハース15から遠ざかる。また、磁界領域に磁性部材31を進入させた第2使用形態を取る場合もある。この第2使用形態においては、上述の第1使用形態と比べて、磁性部材31がハース15に近づく。
このような磁性部材31の磁界領域への進退移動により、荷電粒子流Eの収束面積を原料13に適合するように簡易かつ適切に調整できる。
特に、本実施形態では、磁性部材31を磁石(例えば、ネオジム系磁石)によりも耐熱性に優れた材料で構成できて好都合である。よって、本実施形態の荷電粒子流収束機構は、磁石を蒸発源に近接させる従来の機構(例えば、特許文献2)に比較して、最大エネルギー積が極めて高いネオジム系磁石などを使用し易いという有利な効果を奏する。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態による真空成膜装置の内部の一構成例を示した図である。
なお、図3では、第1実施形態の真空成膜装置100の構成要素と同一の本実施形態の真空成膜装置150の構成要素については同じ符号を付している。よって、ここでは、両者に共通の構成要素の説明を省略する場合がある。
図3に示すように、磁性部材移送手段120Aは、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などの強磁性材料を含む合金からなり、少なくとも磁石19よりも耐熱温度が高い円盤状の磁性部材31を備える。また、磁性部材移送手段120Aは、ハース15と磁石19との間の磁気作用空間(以下、「磁界領域」と略す)での磁性部材31の上下移動用駆動力を発生できる駆動装置130も備える。
本実施形態では、駆動装置130の駆動部から上下方向に伸縮するピストンロッド130Aと、円盤状の磁性部材31の端部から左右方向に延びる軸31Aと、が直角に接続されており、これにより、駆動装置130のピストンロッド130Aが伸縮すると、磁性部材31が上下方向に移動できる。なお、この場合、磁性部材31と磁石19とがほぼ同軸状に上下方向において並んで配され、磁石19の軸端面(S極の面)の全域が磁性部材31に覆われるようになっている。
以上の構成により、ピストンロッド130Aのストロークが伸びて、磁界領域に配された磁性部材31が上方に移動すると(磁性部材31がハース15側に移動すると)、荷電粒子流Eの収束は、図3の実線の如く拡大する。一方、ピストンロッド130Aのストロークが縮んで、磁界領域に配された磁性部材31が下方に移動すると(磁性部材31が磁石19側に移動すると)、荷電粒子流Eの収束は、図3の点線の如く縮小する。なお、このような磁性部材31の上下移動によって荷電粒子流Eの収束状態が変わる理由については、以下の荷電粒子流収束機構の動作説明において述べる。
図4は、本発明の第2実施形態による荷電粒子流収束機構の動作の説明に用いる概念図である。
図4(a)に示すように、磁性部材31が上方に移動した場合、ハース15の近傍に存在する磁力線200Cへの磁性部材31の影響が強まるので、原料13の表面上での磁力線200Cの密度(磁束密度)が低めになる。これに対して、図4(b)に示すように、磁性部材31が下方に移動した場合、ハース15の近傍に存在する磁力線200Dへの磁性部材31の影響が弱まるので、原料13の表面上での磁力線200Dの密度(磁束密度)が高めになる。
すると、図4に示すように、磁力線200Dによる原料13の表面上での荷電粒子流Eの収束面積S4は、磁力線200Cによる原料13の表面上での荷電粒子流Eの収束面積S3よりも小さくなる。換言すると、磁力線200Dによる荷電粒子流Eの収束力は、磁力線200Cによる荷電粒子流Eの収束力よりも高い。
ここで、本件発明者等は、以上の磁力線200C、200Dの密度の変化については、第1実施形態で述べた静磁界解析技術を用いて検証確認を行った。
図6および図7は、荷電粒子流収束機構の磁界シミュレーション結果の一例を示した図である。図6では、磁性部材31が上方に移動した場合の磁界シミュレーション結果(磁力線200Cの分布)が図示され、図7では、磁性部材31が下方に移動した場合の磁界シミュレーション結果(磁力線200Dの分布)が図示されている。
なお、ここでは、便宜上、第1実施形態で述べた磁性部材31が磁界領域に進入した場合の磁界シミュレーションの結果(磁力線200Aの分布)を、磁性部材31が上方に移動した場合の磁界シミュレーションの結果(磁力線200Cの分布)として使用している。
図6および図7中のハース15に入る磁力線200C、200Dの間の間隔が広いほど(磁力線200C、200Dの本数が少ないほど)、原料13の表面での磁界が弱く、磁束密度は低い。
よって、図6および図7に示した磁力線200C、200Dの分布の比較から容易に理解できるとおり、磁性部材31の上方移動時のハース15に入る磁力線200Cの密度が、下方移動時の磁力線200Dの密度に比べて低くなることが、静磁界シミュレーションにより可視化(検証)された。
以上のとおり、本実施形態の荷電粒子流収束機構は、原料13が格納されたハース15と、原料13を加熱および蒸発できる荷電粒子流Eを放出するプラズマ流放出手段110と、ハース15の直下に適宜の間隔をあけてハース15と対向配置され、荷電粒子流Eの収束用の磁力線200C、200Dを作る磁石19と、磁界領域において磁性部材31を上下移動できる磁性部材移送手段120Aと、を備える。
そして、この荷電粒子流収束機構では、磁界領域に配された磁性部材31を下方に(磁石19側に)移動させた第1使用形態を取る場合がある。この第1使用形態においては、後述の第2使用形態と比べて、磁性部材31がハース15から遠ざかる。また、磁界領域に配された磁性部材31を上方に(ハース15側に)移動させた第2使用形態を取る場合がある。この第2使用形態においては、上述の第1使用形態と比べて、磁性部材31がハース15に近づく。
このような磁性部材31の上下移動により、荷電粒子流Eの収束面積を原料13に適合するように簡易かつ適切に調整できる。
特に、本実施形態では、磁性部材31を磁石(例えば、ネオジム系磁石)によりも耐熱性に優れた材料で構成できて好都合である。よって、本実施形態の荷電粒子流収束機構は、磁石を蒸発源に近接させる従来の機構(例えば、特許文献2)に比較して、最大エネルギー積が極めて高いネオジム系磁石などを使用し易いという有利な効果を奏する。
なお、ここまで、磁界領域において1個の磁性部材31を進退移動させる例(第1実施形態)や上下移動をさせる例(第2実施形態)を述べたが、磁性部材31の個数を1個に限る必要はない。例えば、形状や材質が異なる複数の磁性部材が磁界領域を進退移動してもよい。これにより、第1実施形態において、磁石19が作る磁力線の形状を3以上の多段階に変更できる。
本発明によれば、蒸発源において原料蒸発に用いる荷電粒子流の収束状態を適切かつ簡易に調整できる荷電粒子流収束機構が得られる。よって、本発明は、例えば、荷電粒子収束機構によって蒸発された原料を用いて真空成膜が行われる真空成膜装置に利用できる。
本発明の第1実施形態による真空成膜装置の内部の一構成例を示した図である。 本発明の第1実施形態による荷電粒子流収束機構の動作の説明に用いる概念図である。 本発明の第2実施形態による真空成膜装置の内部の一構成例を示した図である。 本発明の第2実施形態による荷電粒子流収束機構の動作の説明に用いる概念図である。 荷電粒子流収束機構の磁界シミュレーション結果の一例を示した図である。 荷電粒子流収束機構の磁界シミュレーション結果の一例を示した図である。 荷電粒子流収束機構の磁界シミュレーション結果の一例を示した図である。
符号の説明
11 基板
12 基板ホルダ
13 原料
15 ハース(蒸発源)
17 プラズマガン
19 磁石
20 真空槽
20a 排気口
20b プラズマ流通路
31 磁性部材
100、150 真空成膜装置
110 プラズマ流放出手段
120、120A 磁性部材移送手段
V1 バイアスDC電源
V2 ガン電源

Claims (5)

  1. 原料を入れた蒸発源と、
    前記原料を加熱および蒸発できる荷電粒子流を放出する荷電粒子流放出手段と、
    前記蒸発源と対向して配されて、前記荷電粒子流の収束用の磁力線を作る磁石と、
    前記蒸発源と前記磁石との間の空間において磁性部材を移送できる磁性部材移送手段と、を備えた荷電粒子流収束機構。
  2. 原料を入れた蒸発源と、
    前記原料を加熱および蒸発できる荷電粒子流を放出する荷電粒子流放出手段と、
    前記蒸発源と対向して配されて、前記荷電粒子流の収束用の磁力線を作る磁石と、
    前記蒸発源と前記磁石との間の空間において磁性部材を移送できる磁性部材移送手段と、を備えた荷電粒子流収束機構の使用方法であって、
    前記磁性部材の移送により、前記磁力線の分布が異なる複数の使用形態を含み、
    第1使用形態における前記荷電粒子流の前記原料上での収束面積が、第2使用形態における前記荷電粒子流の前記原料上での収束面積よりも小さい荷電粒子流収束機構の使用方法。
  3. 前記第1使用形態は、前記空間から前記磁性部材を退避させた形態であり、前記第2使用形態は、前記空間に前記磁性部材を進入させた形態である、請求項2に記載の荷電粒子流収束機構の使用方法。
  4. 前記第1使用形態は、前記空間に配された前記磁性部材を前記磁石側に移動させた形態であり、前記第2使用形態は、前記空間に配された前記磁性部材を前記蒸発源側に移動させた形態である、請求項2に記載の荷電粒子流収束機構の使用方法。
  5. 請求項1に記載の荷電粒子収束機構によって蒸発された原料を用いて真空成膜が行われる真空成膜装置。
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