JP2003325188A - サイトカイン遺伝子組換えカイコおよびそのタンパク質の製造方法 - Google Patents
サイトカイン遺伝子組換えカイコおよびそのタンパク質の製造方法Info
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Abstract
において、活性のあるサイトカインを絹糸腺または繭糸
に産生させることで、高純度のネコインターフェロンな
どのサイトカインを簡便に製造できるようにする。 【解決手段】 絹糸腺で機能するプロモーターに連結し
たサイトカイン遺伝子とトランスポゾン由来配列などカ
イコへの遺伝子導入に必要な配列と連結した遺伝子配列
を含む遺伝子組換えベクターを用いて、サイトカイン遺
伝子をカイコ染色体へ導入し、遺伝子組換えカイコを得
る。このカイコまたはその子孫の絹糸腺または繭からサ
イトカインを抽出し精製する。
Description
子が染色体に組み込まれたカイコを利用した組換え型サ
イトカインの製造方法に関する。また、絹糸腺または繭
糸に組換え型サイトカインを産生する性質を持つ遺伝子
組換えカイコ、ならびに、その組換えカイコを作製する
ためのカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクターに関
する。
え型タンパク質の製造に関する検討が、精力的に行わ
れ、得られた組換え型タンパク質は、医薬、診断薬、食
品、化成品製造など幅広い分野で活用されている。従来
の方法では、遺伝子組換えタンパク質は、多くの場合、
そのアミノ酸配列をコードする遺伝子を、細菌、酵母、
またはCOS細胞のようなほ乳類由来の細胞などに導入
し、次に培地中でその細胞を増殖させた後、合成された
タンパク質を回収することで生産されている。細菌また
は酵母の系では、翻訳後修飾に問題があり、タンパク質
を十分機能する形で合成できないことがある。また、ほ
乳類細胞は、タンパク質を機能する形で合成できること
が多いが、一般的に増殖させるのが困難で産生量も低く
経済的ではない。
組み換えタンパク質の生産では、酵素や生理活性を持つ
有用タンパク質等が、比較的安価に量産でき、ほ乳類に
近いタンパク質の翻訳後修飾が得られることが知られて
いる。具体的には、外来タンパク質遺伝子を組み込んだ
バキュロウイルスを、昆虫または昆虫細胞に感染させる
方法で、組換え型タンパク質が比較的安価に量産が可能
であり、医薬品として製品化された生理活性タンパク質
も知られている(特開昭61-9288号公報、特開昭61-9297
号公報)。
薬用途で注目されているサイトカイン類の生産について
挙げるならば、特開平3-139276号公報、特開平9-234085
号公報においてそれぞれネコインターフェロン−ω遺伝
子、イヌインターフェロン−γ遺伝子を組み込んだBmNP
Vを、カイコに接種する方法が開示されている。また、
インターフェロン以外のタンパク質の昆虫における生産
の例としては、バキュロウイルスを感染させた昆虫細胞
によるヒトコラーゲンの生産方法も知られている(特開
平8-23979号公報)。
た組換えタンパク質の生産技術では、外来遺伝子の導入
にウイルスを用いることから、その不活性化や封じ込め
が必要であり、また、ウイルス接種が煩雑であるなどの
問題がある。また、組換えタンパク質が体液中に産生さ
れるため、目的の組換えタンパク質を、カイコ体液由来
の大量の夾雑タンパク質から精製することが必要であ
り、このため高純度な組換えタンパク質を得ることが困
難である。
組換えが試みられ、核多核体病ウイルスの一種であるAu
tographa californica nuclear polyhedrosis virus (A
cNPV)のDNAを用いて、カイコフィブロインL鎖遺伝子に
クラゲ緑色蛍光タンパク質遺伝子を付加した融合遺伝子
を、相同組み換えにより、カイコ染色体上に導入し、発
現させる方法が開発され(Genes Dev.,13,511-516,199
9)、その技術を用いたヒト・コラーゲン遺伝子を導入
したカイコおよびその製造方法が開示されている(特開
2001-161214号公報)。
のトランスポゾンであるpiggyBacを用いてカイコ染色体
へ安定に導入し、その外来遺伝子がコードするタンパク
質を発現させる方法が、クラゲ緑色蛍光タンパク質をモ
デルとして研究され、交配により子孫へと遺伝子が安定
に伝わることも確認された(Nature Biotechnology 18,
81-84,2000)。
ンパク質は、フィブロインL鎖ポリペプチドと融合して
いるため、発現させた組換え型緑色蛍光タンパク質だけ
を回収することが困難であるという問題点がある。ま
た、この手法でフィブロインL鎖ポリペプチドとサイト
カインなどを融合タンパクとして産生させた場合は、生
理活性が低下するなどの問題点がある。次に、トランス
ポゾンpiggyBacを用いた例では、緑色蛍光タンパク質
は、産生量が十分ではなく、かつ、カイコ全身に産生さ
れるため、発現させた組換え型緑色蛍光タンパク質を高
純度な形で回収するためには、高度な精製技術を必要と
することから、経済的に問題があった。
活性を有するタンパク質をコードする遺伝子をカイコ染
色体に導入し、目的タンパク質を発現させた例は知られ
ていない。また、カイコ体液以外の部位である絹糸腺や
カイコの分泌物である絹糸から、組換え型のサイトカイ
ンを回収し、得られたサイトカインの生理活性を確認し
た例はない。また、こうした性質を、遺伝することので
きるカイコについても前例はない。
遺伝子の組換え技術においては、生産された組換え型タ
ンパク質の生産量はまだ十分ではなく、さらに、得られ
た組換え型タンパク質を生理活性を保持した形で回収す
る点において大きな課題がある。
タンパク質の生産技術は、精力的に研究されているが、
外来遺伝子を組み込んだ組換えバキュロウイルスの封じ
込めの必要があり、また、組換えウイルスの接種が煩雑
であるなどの課題がある。従って、ウイルスを用いない
カイコにおけるサイトカインの生産が望まれる。また、
ウイルスを用いたカイコにおける組換えタンパク質の生
産では、大量の夾雑物を含む体液より目的タンパク質を
抽出、精製することが困難である点に大きな課題があっ
た。カイコ染色体に外来遺伝子を導入する組換えタンパ
ク質の製造技術の検討が行われているが、組換え型タン
パク質の生産量は低く、さらに、目的の組換え型タンパ
ク質を活性のある形で回収できないという課題があっ
た。
結果、目的とするタンパク質をコードする遺伝子がカイ
コ絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に結合し
た構造を持つDNA配列を、トランスポゾン由来のDN
Aを利用してカイコ染色体に導入することで、目的タン
パク質が、絹糸腺または繭糸中に生理活性を保持した形
で大量に生産されることを見いだし本発明に至った。本
発明では、組換えタンパク質は、大量の夾雑物を含まな
い絹糸腺または絹糸から回収することが可能なため、目
的タンパク質の精製が容易であるという利点がある。さ
らに、バキュロウイルスのようなウイルスを使用しない
ことから、ウイルスの不活化が不要であり、簡便かつ安
全に組換えタンパク質の生産を実施することが可能とな
る。
ン遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコを作製し、そ
の絹糸腺または繭糸からサイトカインを回収することを
特徴とする組換え型サイトカインの製造方法に関するも
のである。さらには、サイトカイン遺伝子が組み込まれ
た遺伝子組換えカイコ、および、カイコへのサイトカイ
ン遺伝子導入に用いられる遺伝子組み換えベクターに関
するものである。
り産生され、造血細胞や免疫細胞に対し免疫調節作用、
抗ウイルス作用、血球細胞増殖作用を持つタンパク質で
ある。その作用は的確な高次構造を形成し細胞膜上の特
異的な受容体に結合することにより発揮される。現在ま
でにその作用の特徴からヒトをはじめとする動物に対す
る臨床応用がなされている。
されないが、カイコ体内で発現したときにその生理活性
が保持されるサイトカイン類であればよく、免疫調節作
用、抗ウイルス作用、血球細胞増殖作用などを持つ生理
活性物質であり、医薬・医療用途で注目されているタン
パク質、例えばヒトインターフェロン−α、β、γ(J.I
nterferon Res.5,521-526,1985 ,Nucleic Acids Res.1
0,2487-2501,1982)、ヒトインターロイキン−12(J.Im
munol.146,3074-3081,1991)、ヒト顆粒球コロニー刺激
因子(Nature,319,415-418,1986)、ヒトエリスロポイエ
チン(Nature,313,806-810,1985)、ヒトトロンボポエチ
ン(Cell.77,1117-1124,1994)、ネコインターフェロン−
ω(Biosci.Biotech.Biochem.,56,211-214,1992、GenBan
k データベース登録番号E04599)、
ース登録番号 FDU00685)、ネコ顆粒球コロニー刺激因子
(Gene,274,263-269,2001)、イヌインターフェロン−
γ(GenBankデータベース登録番号 S41201)、イヌインタ
ーロイキン−12(特開平10−36397号公報)、イヌ顆
粒球コロニー刺激因子(米国特許第5606024号)などが
挙げられる。サイトカイン類として好ましくは、インタ
ーフェロン類またはコロニー刺激因子類であり、これら
にはインターフェロン−α、β、γ、ω、τや顆粒球コ
ロニー刺激因子、顆粒球・単球コロニー刺激因子、単球
コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、トロンボポイ
エチンなどが含まれる。さらに好ましくは、ネコインタ
ーフェロン−ω、ネコ顆粒球コロニー刺激因子、ヒトイ
ンターフェロン−βである。
ばE.Coli(pFeIFN1)(微工研条寄第1633号)から抽出し
たプラスミドから切り出すことで得ることができる。ま
たは、切り出したネコインターフェロン-ω遺伝子を、
カイコのクローニングベクター(T.Horiuchiら、Agric.
Biol.Chem.,51,1573-1580,1987)に連結して作製した組
換えプラスミドとカイコ多核体病ウイルスDNAとを、
カイコ樹立細胞にコ・トランスフェクションして作製し
たrBNV100から得ることも可能である。
腎臓由来の培養細胞であるCRFK細胞をLPSで刺激した
後、その細胞よりmRNAを回収し、さらに逆転写により得
られたcDNAを鋳型に、GenBank データベース登録番号AB
042552を参考に設定したプライマーを用いてPCRにより
得ることができる。ヒトインターフェロン−β遺伝子
は、そのcDNAをコードするプラスミドpORF-hIFN-β(In
vivogen社)から切り出すことで取得できる。
入方法については、遺伝子が安定に染色体に組み込ま
れ、発現し、交配により子孫にも安定に遺伝子が伝わる
ような遺伝子導入方法であればよく、カイコ卵にマイク
ロインジェクションする方法、遺伝子銃を用いる方法な
どを用いることができるが、好ましくは、トランスポザ
ーゼ遺伝子を含むヘルパープラスミド(Nature Biotech
nology 18, 81-84, 2000)と同時に目的遺伝子を含むカ
イコ染色体への外来遺伝子導入用ベクターをカイコ卵に
マイクロインジェクションする方法が採用される。
されたカイコ卵から孵化し成長した組換えカイコにおい
て生殖細胞へ導入される。こうして得られた組換えカイ
コの子孫は、その染色体上に目的遺伝子を安定に保持す
ることが可能である。本発明で得られる遺伝子組換えカ
イコは、通常のカイコと同様な方法で、継代維持可能で
ある。すなわち、卵を通常の条件で催青し、孵化した蟻
蚕を人工飼料等へ掃立てし、通常のカイコと同様な条件
で飼育することで5令カイコまで飼育できる。
通常のカイコと同様に蛹化し、繭を作ることができる。
蛹の段階で雌雄を区別し、発蛾したのち雌雄を交尾さ
せ、翌日採卵する。卵は通常のカイコ卵と同様に保存す
ることが可能である。本発明の遺伝子組換えカイコは、
こうした飼育を繰り返すことで継代することが可能であ
り、また、大量に増やすことが可能である。用いるカイ
コ染色体への外来遺伝子導入ベクターについては、ウイ
ルスベクター、トランスポゾン由来DNA配列を含んだ
ベクター、または染色体には組み込まれないプラスミド
ベクターなどが利用できる。好ましくはトランスポゾン
由来DNA配列を含んだベクターが用いられる。
ウジョウバエ由来のトランスポゾンmariner(Third Int
ernational workshop on transgenesis of invertebrat
e organisms,p37-38,1999), Minos(Insect Mol.Biol.
9,277-281,2000)や鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンで
あるpiggyBac(Nature Biotechnology 18,81-84,2000)
などを用いることが可能であるが、鱗翅目昆虫由来のト
ランスポゾンであるpiggyBac由来のDNA配列を持った
トランスポゾンが好適に使用される。
TAA配列を含む1対の末端逆位配列が必須であり、そのD
NA配列の間にサイトカイン遺伝子など外来遺伝子が挿入
された構造を有するものである。トランスポゾン由来の
DNA配列を利用して外来遺伝子をカイコ染色体へ導入す
るためには、さらにtransposaseを利用することが好ま
しい。例えば、piggyBac由来のtransposaseを発現する
ことが可能なDNAを同時に導入することで、カイコ細胞
内において転写・翻訳されたtransposaseがその2対の
末端逆位配列を認識してその間の遺伝子断片を切り出
し、カイコ染色体へと転移させることにより、カイコ染
色体へ遺伝子が導入される頻度を著しく向上させること
ができる。
をカイコ染色体に導入する目的で使用される外来遺伝子
導入ベクターは、サイトカインの発現を的確に制御する
ように設計されるならば特に限定されないが、通常は、
サイトカイン遺伝子に対して絹糸腺特異的に発現するプ
ロモーターを上流に、任意のポリA配列を下流に連結し
た構造を持ち、これら遺伝子配列の外側に、1対のトラ
ンスポゾン由来のDNA配列を有する。さらにはプロモ
ーターとの間に任意の遺伝子由来のシグナル配列などを
連結してもよく、ポリAとの間にも任意の遺伝子配列を
連結してもよい。また人工的に設計、合成された遺伝子
配列を連結することもできる。
製するための配列、抗生物質耐性遺伝子、蛍光タンパク
遺伝子、LacZ遺伝子などを連結することもできる。例え
ば、適切なプロモーター下流に結合された緑色蛍光タン
パク質GFPの遺伝子を、1対のトランスポゾン由来D
NA配列の間の適切な部位に導入することができる。こ
のことによって、遺伝子組換えカイコのスクリーニング
を容易にすることが可能である。また、本ベクターは、
pUC9、19など、大腸菌由来プラスミドの一部または全て
を含むこともできる。
限定されず、どのような生物由来のプロモーターであっ
てもカイコ細胞内で有効に働くプロモーターであればよ
いが、カイコ絹糸腺で特異的にタンパク質の発現を誘導
するように工夫されたプロモーターが好ましい。例え
ば、フィブロインH鎖プロモーター、フィブロインL鎖
プロモーター、p25プロモーター、セリシンプロモータ
ーなどのカイコ絹糸腺タンパク質のプロモーターが挙げ
られる。
伝子配列については、シグナル配列、ポリA配列や、そ
の他遺伝子の発現を制御する配列などが挙げられる。こ
れらは特定のものに限定されず、目的タンパク質の発現
に適したものを選択することができる。例えば、ネコイ
ンターフェロン−ωなどサイトカインのシグナル配列や
ポリA配列など目的タンパク質由来のもの、宿主となる
カイコなど昆虫タンパク質のシグナル配列、ポリA配列
が挙げられる。または、SV40ポリAやウシ成長ホルモン
ポリAなどの一般的にタンパク質の発現に実績のあるも
のなどが挙げられる。上記のプロモーターやその他サイ
トカイン類遺伝子と連結する遺伝子配列を変えることに
より、その発現する部位や発現量を操作することが可能
である。
は、サイトカイン遺伝子がカイコ染色体に導入されたカ
イコのことであり、そのカイコ染色体DNAを常法に従
って制限酵素処理したのち、常法に従って標識したサイ
トカイン遺伝子をプローブとしてサザンブロッティング
を行う時、ポジティブなシグナルを与えるカイコのこと
である。サイトカイン遺伝子が導入される染色体上の遺
伝子座位は、カイコの発生、分化、成長を阻害しない部
位であればに特に制限はない。
率よく取得するために、導入するサイトカイン遺伝子と
ともにマーカー遺伝子を導入することができる。例え
ば、1対のトランスポゾン配列の間に、適切なプロモー
タ下流に結合した蛍光緑色タンパク遺伝子をサイトカイ
ン遺伝子とタンデムに配置した遺伝子導入用ベクターを
使用し、transposase をコードする遺伝子を持つプラス
ミドと同時にカイコ卵にインジェクションする。通常の
条件で催青し、孵化した幼虫を5令まで飼育し成虫を得
る(G0世代)。得られたG0成虫の雌雄を交配し卵を得、
これらの卵を催青し孵化させる。得られた幼虫、好まし
くは1〜2令のカイコのうち緑色蛍光を示すカイコをス
クリーニングすることで、目的とする遺伝子組換えカイ
コを簡便にかつ高確率で得ることができる。
イコの絹糸腺または繭糸より、適当な抽出操作によっ
て、サイトカイン類タンパク質を活性を保った状態で得
ることができる。絹糸腺または繭糸からのサイトカイン
の抽出に使用する溶媒については特に制限はないが、サ
イトカインを活性を保持した状態で回収するためには水
溶媒系が好ましい。抽出に使用する水溶液は、サイトカ
インの抽出を促進させるために適切な溶質を含むことが
可能である。例えば、リン酸などの無機酸、酢酸、クエ
ン酸、リンゴ酸などの有機酸や、食塩、尿素、塩酸グア
ニジン、塩化カルシウムなどの塩類、エタノール、メタ
ノール、アセトニトリル、アセトンなどの極性有機溶媒
などが挙げられる。また、抽出溶液のpHも特に限定は
なく、目的とするサイトカインを失活させないpHであ
れば、任意のpHを用いることができる。
るための方法に特に限定はなく、通常の蛋白質の精製方
法を用いることができる。例えば、目的とする有用蛋白
質が本来有する活性を指標としながら、シリカゲル担
体、イオン交換性担体、ゲル濾過担体、キレート性担
体、色素担持担体等を用いたクロマトグラフィーや、限
外濾過、ゲル濾過、透析、塩析等による脱塩、濃縮を組
み合わせることによって精製し単離することができる。
コインターフェロン-ωの遺伝子を導入したカイコの絹
糸腺または繭糸を、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)をホモ
ジナイズして得られる可能性画分に回収することができ
る。さらに、得られた抽出液を、例えばブルーセファロ
ース担体に吸着させ、洗浄後、塩類を含む緩衝液で溶出
することにより、ネコインターフェロン-ωの純度を上
げることができる。
従来の他の製造方法で製造されたサイトカインと同様
に、医薬用途や各種の測定、診断用途に用いることがで
きる。この場合、各種添加剤を加えた混合物として使用
してもよい。またサイトカイン類を発現したカイコの組
織、もしくは繭糸は、そのまま、もしくは加工して、医
療用または衣料用の繊維として用いることができる。
する。参考例. 染色体DNAの抽出法 サンプルを200μg/mlのProteinase Kの入った抽出バッ
ファー(50mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA、100mM NaC
l)(Nature Biotechnology 18,81-84,2000)中でホモジ
ナイズした後、1/9量の10%SDSを加え、50℃、2時間反
応させる。その一部を常法により、フェノール抽出した
後、エタノール沈殿し、その沈殿をTE(10mM Tris-HCl
(pH8.0)、1mM EDTA)に溶解することにより染色体DNAを
得た。
下の方法により行った。ウイルスとしてVesicular Stom
atitis Virus(VSV)を用い、感受性細胞としてはネコイ
ンターフェロン−ωの場合にはネコFc9細胞(J.K.Yamam
otoら;Vet.Immunol.and Immunopathol.,11,1-19,198
6)を、ヒトインターフェロン−βにはヒトFL細胞を
用いて、CPE法により測定した。すなわち、96穴マイク
ロプレート上にコンフルーエントとなるまで37℃で培養
された感受性細胞にサンプルの希釈液を上端の行に加
え、下端に向かって2倍ずつ段階希釈した。
さらに37℃で16〜20時間培養した。生存してマイクロプ
レート上に付着している感受性細胞を20%ホルマリンを
含むクリスタルバイオレット染色液で染色し、マイクロ
プレート上のクリスタルバイオレットの量を570nmにお
ける吸光度を測定することによって、スタンダードとの
比較により、抗ウイルス活性を求めた。スタンダードと
してはネコインターフェロン−ωにはインターキャット
(東レ(株)製)を細胞培養用培地で1000 Unit/mlに調
整したものを、ヒトインターフェロン−βにはフェロン
(東レ(株)製)を細胞培養用培地で1000 Unit/mlに調
整したものを用いた。またサンプルは細胞培養用培地で
15倍希釈した後、抗ウイルス活性測定に用いた。
プライマーを作製し、適当なDNAソースを鋳型にしてP
CRすることにより取得した。プライマーの端側には後
の遺伝子構築操作のために制限酵素部位を付加した。
k登録番号S62636の塩基番号9〜593番目)はネコインタ
ーフェロン−ω遺伝子をコードするバキュロウイルスrB
NV100を鋳型にプライマー3(配列番号3)とプライマ
ー4(配列番号4)の2種類のプライマーを用いてPCR
により取得した。rBNV100は、例えばE.Coli(pFeIFN1)
(微工研条寄第1633号)から抽出したプラスミドからFe
IFNの遺伝子を切り出して、カイコのクローニングベク
ター(T.Horiuchiら、Agric.Biol.Chem.,51,1573-1580,
1987)に連結して作製した組換えプラスミドとカイコ多
核体病ウイルスDNAとを、カイコ樹立細胞にコ・トラン
スフェクションして作製することができる。
ank登録番号AB007831の塩基番号599〜1656番目)はカイ
コ染色体DNAを鋳型にプライマー5(配列番号5)とプ
ライマー6(配列番号6)の2種類のプライマーを用い
てPCRにより取得した。フィブロインH鎖遺伝子のプロ
モーター(GenBank登録番号V00094の塩基番号255〜574
番目)はカイコ染色体DNAを鋳型にプライマー7(配列
番号7)とプライマー8(配列番号8)の2種類のプラ
イマーを用いてPCRにより取得した。ウシ成長ホルモン
遺伝子ポリA(pcDNA3.1(+)配列番号1011〜1253番目)
はプラスミドpcDNA3.1(+)ベクター(Invitrogen社製)
を鋳型にプライマー9(配列番号9)とプライマー10
(配列番号10)の2種類のプライマーを用いてPCRによ
り取得した。
添付のプロトコールに従って行った。すなわち、それぞ
れの鋳型を、プラスミドの場合には10ng、染色体DNAの
場合には100ng加え、各プライマーを30pmol、添付の10
×PCRバッファーを10μl、1mM MgCl2、0.2mM dNTPs、
2単位KODplusとなるように各試薬を加え、全量100μl
とする。DNAの変性条件を94℃、15秒、プライマーのア
ニーリング条件を55℃,30秒、伸長条件を68℃,30秒〜60
秒の条件でPerkin-Elmer社のDNAサーマルサイクラーを
用い、30サイクル反応させた。
にて電気泳動し、それぞれネコインターフェロン−ω遺
伝子では約580bp、セリシン-1プロモーターでは約1kb
p、フィブロインH鎖プロモーターでは約320bp、ウシ成
長ホルモンポリAでは約230bpのDNA断片を常法に従って
抽出、調製した。これらのDNA断片をポリヌクレオチド
キナーゼ(宝酒造(株)製)によりリン酸化した後、Hi
ncIIで切断後脱リン酸化処理したpUC19ベクターに宝酒
造(株)のDNA Ligation Kit Ver.2を用いて16℃、終夜
反応を行い、連結した。
換し、得られた形質転換体にPCR断片が挿入されている
ことを、得られたコロニーを前述と同じ条件でPCRす
ることによって確認し、PCR断片の挿入されたプラスミ
ドを常法によって調製した。これらのプラスミドをシー
クエンスすることにより、得られた断片がそれぞれの遺
伝子の塩基配列であることを確認した。
nology 18,81-84,2000)を利用した。すなわち、米国特
許第6218185号に開示されるプラスミドp3E1.2よりtrans
posaseをコードする領域を取り除き、その部分にA3プ
ロモーター(GenBank登録番号U49854の塩基番号1764〜2
595番目)およびpEGFP-N1ベクター(Clontech社製)由
来のGFPおよびSV40由来ポリA付加配列(GenBank登録番
号U55762の塩基番号659〜2578番目)を挿入したベクタ
ーがpigA3GFPであり、このベクターは独立行政法人農業
生物資源研究所から分与可能である。
部位にネコインターフェロン−ω遺伝子の発現単位を挿
入した。導入する遺伝子の発現単位としては、セリシン
−1遺伝子プロモーター−ネコインターフェロン−ω−
ウシ成長ホルモンポリA付加配列(配列番号1)、また
はフィブロインH鎖遺伝子プロモーター−ネコインター
フェロン−ω−ウシ成長ホルモンポリA付加配列(配列
番号2)を用いた。以下に具体的な方法を示す。
かじめプライマー内に設定しておいた制限酵素部位を利
用して遺伝子を切り出した。すなわち、セリシン−1遺
伝子プロモーターおよびフィブロインH鎖遺伝子プロモ
ーターではEcoRI,SalIを用いて、ネコインターフェロン
−ω遺伝子ではSalI,XbaIを用いて、ウシ成長ホルモン
ポリAではXbaI、BamHIを用いてインサート断片を切り
出し、1〜1.5%アガロースゲルにて電気泳動した後、常
法により断片を抽出、精製した。
g、ネコインターフェロン−ω遺伝子断片100ng、ウシ成
長ホルモンポリA50ngを混合し、等量の宝酒造(株)の
DNALigation Kit Ver.2を加えて16℃、終夜反応を行っ
た。反応液0.5μlをプライマー11(配列番号11)とプラ
イマー12(配列番号12)を用いて実施例1と同様の条件
で伸長条件2分でPCRを行う。これらの反応液を1%ア
ガロースゲルにて電気泳動し、増幅した約1.9kbのDNA断
片(SIB断片)を常法に従って抽出、調製した。
ー断片70ng、ネコインターフェロン−ω遺伝子断片100n
g、ウシ成長ホルモンポリA50ngを混合し、等量の宝酒
造(株)のDNA Ligation Kit Ver.2を加えて16℃、終夜
反応を行った。反応液0.5μlをプライマー13(配列番号
13)とプライマー12(配列番号12)を用いて実施例1と
同様の条件で伸長条件2分でPCRを行った。これらの反
応液を1%アガロースゲルにて電気泳動し、増幅した約
1.15kbのDNA断片(FIB断片)を常法に従って抽出、調製
した。
oIで切断後脱リン酸化処理したpigA3GFPに宝酒造(株)
のDNA Ligation Kit Ver.2を用いて16℃、終夜反応を行
い、連結した。SIB断片を挿入したプラスミドをpigSIB
(図1)、FIB断片を挿入したプラスミドをpigFIB(図
2)とし、塩化セシウム法により超遠心2回で精製し、
遺伝子導入実験に用いた。
ィブロインH鎖遺伝子プロモーター) pigFIBとヘルパープラスミドpHA3PIG(図3、Nature Bi
otechnology 18,81-84,2000、独立行政法人農業生物資
源研究所より分与可能)をそれぞれ200ng/mlの濃度で0.
5mMリン酸バッファー(pH7.0)、5mM KCl中で調整し、1
5〜20nlを産卵後4時間以内のカイコ卵に対してマイク
ロインジェクションした。
得られた成虫(G0)を群内で掛け合わせ得られた次世代
(G1)をネコインターフェロン−ω遺伝子と同時に導入
した緑色蛍光タンパク質の蛍光を観察することにより、
ネコインターフェロン−ω遺伝子が染色体への導入され
たカイコをスクリーニングした。遺伝子導入カイコの得
られた蛾区の割合を表1に示す。カイコ卵へのインジェ
クションを2回実施し、2回目において1蛾区から遺伝
子組換えカイコが得られた。
サザンブロッティングの結果を図4に示す。サザンブロ
ッティング法はG1世代の蛾より染色体DNAを抽出し、制
限酵素処理したサンプルを電気泳動後、DNAを転写させ
たメンブレンをネコインターフェロン−ω特異的な核酸
プローブを用いてAlkPhos Direct Labelling and Detec
tion System(アマシャムファルマシア)を用いた化学
発光により検出した。G1蛾11匹を調べたところ、10匹の
カイコにネコインターフェロン−ω遺伝子が導入されて
いることが確認できた。
認(フィブロインH鎖プロモーター) ネコインターフェロン−ωは抗ウイルス活性を持つこと
から、その力価よりネコインターフェロン−ωの存在を
知ることができる。実施例3で得られた陽性蛾区のカイ
コ(G1)を野生カイコと交配し得られた世代(G2)
のうち、ネコインターフェロン−ω遺伝子の導入が確認
されたカイコの5齢幼虫の中部絹糸腺および後部絹糸腺
を摘出した。
(pH7.0)をもちいてホモジナイズし、得られた抽出液を
ネコ細胞を用いた抗ウイルス活性測定の系により測定し
た。その結果、遺伝子導入カイコの絹糸腺抽出液から
は、中部絹糸腺、後部絹糸腺ともに抗ウイルス活性が検
出されたが、コントロールとなる野生カイコの絹糸腺抽
出液からは検出されなかった。その結果を図5に示す。
ネコインターフェロン−ωは主に後部絹糸腺に発現され
ていると考えられ、その後、フィブロインと同様に中
部、前部絹糸腺へと移動すると考えられ、生理活性の分
布もそれに一致しているものと考えられる。一方、遺伝
子を導入していないカイコからは抗ウイルス活性は全く
検出されなかった。このことからネコインターフェロン
−ω遺伝子導入カイコではネコインターフェロン−ωタ
ンパク質が、生理活性を保ったまま発現していることが
明らかとなった。
出液からネコインターフェロンの精製を行った。抽出液
1mlをHiTrap Bluesepharose カラム(Amersham pharma
cia社製)に通液し、その後10mlの20mMリン酸ナトリウ
ムバッファー(pH7.0)で洗浄した。続いて10mlの20mMリ
ン酸ナトリウムバッファー(pH8.0)-0.5M NaCl、さらに1
0mlの20mMリン酸ナトリウムバッファー(pH8.0)-1M NaC
lで溶出した。洗浄画分、0.5M溶出画分、および1M溶出
画分を分取し、脱塩・濃縮を行い約1mlとした。抽出液
および各精製フラクションの抗ウイルス活性およびタン
パク定量した結果を表2に示す。
ス活性すなわちネコインターフェロン−ωが回収でき、
その比活性は抽出液に比べて約10倍となった。
リシン1プロモーター) pigSIBとヘルパープラスミドをそれぞれ200ng/mlの濃度
で0.5mMリン酸バッファー(pH7.0)、5mM KCl中で調
整し、15〜20nlを産卵後4時間以内のカイコ卵に対して
マイクロインジェクションした。そのカイコ卵より孵化
した幼虫を飼育し、得られた成虫(G0)を群内で掛け合
わせ得られた次世代(G1)より緑色蛍光タンパク質の蛍
光を観察することにより、ネコインターフェロン−ω遺
伝子の染色体への導入を調べた。2回の実験において、
それぞれ1218、1375個の卵にセリシンプロモーターに連
結したネコインターフェロン−ω遺伝子を含む遺伝子組
換えベクターをマイクロインジェクションし、それぞ
れ、12蛾区ずつの陽性蛾区を得ることができた(表
3)。
3蛾区、2回目の実験の2蛾区からそれぞれ1頭ずつの
遺伝子の導入が確認されたカイコ(G1)を選び、その絹
糸腺よりゲノムDNAを抽出した。それらをEcoRIまた
はBglII処理したのち、ネコインターフェロン−ω遺伝
子をプローブにしてサザンブロッティング解析を行った
結果を図6に示す。その結果、すべてのカイコのゲノム
中にネコインターフェロン−ω遺伝子の導入が確認され
た。また検出位置の違いにより、蛾区によってゲノムへ
の遺伝子導入部位が異なっていることがわかった。
NA発現を調べた。サザンブロッティングでネコインター
フェロン-ω遺伝子の導入が確認されたG1世代カイコを
任意に7頭選び、そのmRNAを抽出し、RT-PCRによりネコ
インターフェロン−ω遺伝子mRNAの発現を調べた。
mRNAの抽出・精製にはISOGEN(ニッポンジーン)お
よびオリゴテックスdT-30(ロシュディアグノスティク
ス)を、cDNA合成にはReady-To-Go T-Primed First-Str
and Kit(アマシャムファルマシア)を用い、添付のプ
ロトコールに従い行った。PCRは実施例1のネコインタ
ーフェロン−ω遺伝子取得時の条件で行った結果、全頭
よりネコインターフェロン−ω遺伝子のmRNAの発現
が確認された(図7)。
インターフェロン産生の確認 実施例6で得られた遺伝子組換えカイコ3頭、野生カイ
コ1頭の中部絹糸腺を摘出し、20mMリン酸ナトリウムバ
ッファー(pH7.0)をもちいてホモジナイズし、遠心分離
して抽出液を調製した。また、遺伝子組換えカイコおよ
び野生カイコ由来の繭1個ずつについても同様に抽出し
た。これらの抽出液の抗ウイルス測定したところ、全頭
の遺伝子組換えカイコの中部絹糸腺より抗ウイルス活性
が検出され、野生カイコの絹糸腺からは検出されなかっ
た。さらに遺伝子組換えカイコの繭からも抗ウイルス活
性が検出された(図8)。
ネコインターフェロン−ωが生理活性を保ったまま発現
しており、その活性は糸として吐糸されてもなお残存し
ていることがわかった。
子導入用プラスミドの作製 ヒトインターフェロン−β遺伝子導入用プラスミドの作
製は、実施例1から3に示したネコインターフェロン−
ω遺伝子の場合と同様の方法により行った。すなわちヒ
トインターフェロン−β遺伝子をコードするプラスミド
pORF-hIFN-β(Invivogen社)を鋳型にプライマー14
(配列番号14)およびプライマー15(配列番号15)
を用いてPCRを行い、ヒトインターフェロン−β遺伝
子断片を得た。
た後、5’末端側ににフィブロインH鎖遺伝子プロモー
ターまたはセリシン遺伝子プロモーターを、3’末端側
にウシ成長ホルモン遺伝子由来のポリAシグナルを連結
した遺伝子発現用配列(フィブロインH鎖遺伝子プロモ
ーター−ヒトインターフェロン−β遺伝子−ウシ成長ホ
ルモン遺伝子ポリAシグナル(FhIB):配列番号16、セ
リシン遺伝子プロモーター−ヒトインターフェロン−β
−ウシ成長ホルモン遺伝子ポリAシグナル(ShIB):配
列番号17)を含むプラスミドを構築した。
用配列FhIBおよびShIBをそれぞれXhoI処理により切りだ
し、XhoIで切断後脱リン酸化処理したpigA3GFPに連結し
た。FhIB断片を挿入したプラスミドをpigFhIB、ShIB断
片を挿入したプラスミドをpigShIBとし、塩化セシウム
法により超遠心2回で精製し、遺伝子導入実験に用い
た。
子組換えカイコの作製 ヒトインターフェロン−β遺伝子組換えカイコの作製
は、実施例8において作製した遺伝子導入用プラスミド
を用いて、実施例3において示したネコインターフェロ
ン−ω遺伝子組換えカイコの作製と同様の方法により行
った。
れヘルパープラスミドpHA3PIGとともにカイコ卵に対し
てマイクロインジェクションし、得られた成虫をかけあ
わせた次世代をスクリーニングした。それぞれ600個ず
つの卵にインジェクションしたところ、pigFhIB導入カ
イコでは7蛾区、pigShIB導入カイコでは5蛾区より緑
色蛍光陽性のカイコが得られ、PCRにより染色体への遺
伝子導入が確認された。これらのカイコの絹糸腺および
絹糸を採取し、その抽出液を用いてヒトインタフェロン
−βの生理活性である抗ウイルス活性を測定した。値は
サンプル中の全タンパク質濃度で補正して表記した。
腺および中部絹糸腺より抗ウイルス活性が検出され、pi
gShIB導入カイコの中部絹糸腺および絹糸より抗ウイル
ス活性が検出されたことから、ヒトインターフェロン−
βのカイコ絹糸腺組織での産生が確認された。
遺伝子導入用プラスミドの作製 ネコ顆粒球コロニー刺激因子遺伝子導入用プラスミドの
作製は、実施例1から3に示したネコインターフェロン
−ω遺伝子の場合と同様の方法により行った。ネコ顆粒
球コロニー刺激因子遺伝子は、Yamamotoらの報告(Gen
e,274,263-269,2001)に従い、10μg/mlのLPSで24時間
刺激したCRFK細胞より得られたcDNAより、プライマー18
(配列番号18)およびプライマー19(配列番号19)を用
いてPCRを行い、ネコ顆粒球コロニー刺激因子遺伝子
断片を得た。
した後、5’末端側ににフィブロインH鎖遺伝子プロモ
ーターまたはセリシン遺伝子プロモーターを、3’末端
側にウシ成長ホルモン遺伝子由来のポリAシグナルを連
結した遺伝子発現用配列(フィブロインH鎖遺伝子プロ
モーター−ネコ顆粒球コロニー刺激因子遺伝子−ウシ成
長ホルモン遺伝子ポリAシグナル(FGB):配列番号2
0、セリシン遺伝子プロモーター−ネコ顆粒球コロニー
刺激因子−ウシ成長ホルモン遺伝子ポリAシグナル(SG
B):配列番号21)を含むプラスミドを構築した。
用配列FGBおよびSGBをそれぞれXhoI処理により切りだ
し、XhoIで切断後脱リン酸化処理したpigA3GFPに連結し
た。FGB断片を挿入したプラスミドをpigFGB、SGB断片を
挿入したプラスミドをpigSGBとし、塩化セシウム法によ
り超遠心2回で精製し、遺伝子導入実験に用いた。
遺伝子組換えカイコの作製 ネコ顆粒球コロニー刺激因子遺伝子組換えカイコの作製
は、実施例10において作製した遺伝子導入用プラスミ
ドを用いて、実施例3において示したネコインターフェ
ロン−ω遺伝子組換えカイコの作製と同様の方法により
行った。すなわち、pigFGBおよびpigSGBをそれぞれヘル
パープラスミドpHA3PIGとともにカイコ卵に対してマイ
クロインジェクションし、得られた成虫をかけあわせた
次世代をスクリーニングした。
ンしたところ、pigFGB導入カイコでは3蛾区、pigSGB導
入カイコでは7蛾区より緑色蛍光陽性のカイコが得ら
れ、PCRにより染色体への遺伝子導入が確認された。こ
れらのカイコの絹糸腺および絹糸を採取し、その抽出液
を用いてネコ顆粒球コロニー刺激因子の生理活性である
NFS-60細胞(ATCC)の増殖促進活性を測定した。
た。まずNFS-60細胞をM-CSF非存在下に96ウェルプレー
トに2×104個ずつまき、30分後にサンプルを10μl加
え、さらに培養を24時間行った後に、Cell Counting Ki
t-8(Dojindo)を用いて細胞増殖活性を測定した。増殖
促進最大効果の50%を与えるサンプル量(ED50)を1Un
it/mlとし、希釈倍数を乗じてサンプル中の生理活性を
算出した。値はサンプル中の全タンパク質濃度で補正し
て表記した。
および中部絹糸腺より増殖促進活性が検出され、pigSGB
導入カイコの中部絹糸腺および絹糸より増殖促進活性が
検出されたことから、ネコ顆粒球コロニー刺激因子のカ
イコ絹糸腺組織での産生が確認された。
能するプロモーターと連結したプラスミドベクターを作
製し、カイコ染色体へ遺伝子導入することにより得られ
た遺伝子組換えカイコの絹糸腺または繭糸から、サイト
カインを生理活性を保ったまま大量に回収することが可
能となった。また、得られたサイトカイン抽出液は、夾
雑タンパクが少なく、従来法と比較して精製が容易とな
る。
す図である。
す図である。
素地図を示す図である。
(G1)のゲノムDNAをEcoRV, XmnI処理した後、ネコイン
ターフェロン−ω遺伝子をプローブにしてサザンブロッ
ティング解析を行った結果を示す図である。
インターフェロン-ω遺伝子を導入した組換えカイコの
絹糸抽出液の抗ウイルス活性を示す図である。染色され
ているレーンのサンプルに活性があることを示す。
ら2蛾区)より得られたカイコ絹糸腺ゲノムDNAをEc
oRIまたはBglII処理したのち、ネコインターフェロン−
ω遺伝子をプローブにしてサザンブロッティング解析を
行った結果を示す図である。
ターフェロンmRNAの発現をRT−PCRによって検
出した図である。
フェロン-ω遺伝子を導入した組換えカイコの中部絹糸
腺抽出液および繭糸抽出液の抗ウイルス活性を示す図で
ある。染色されているレーンのサンプルに活性があるこ
とを示す。
Claims (20)
- 【請求項1】 染色体にサイトカイン遺伝子を組み込ん
だ遺伝子組換えカイコを作製し、得られた遺伝子組換え
カイコの絹糸腺または繭糸に組換えサイトカインタンパ
ク質を生産させた後、その絹糸腺または繭糸からサイト
カインを回収することを特徴とする組換え型サイトカイ
ンの製造方法。 - 【請求項2】 絹糸腺特異的に発現するプロモーターの
下流に結合されたサイトカイン遺伝子を、染色体に組み
込むことを特徴とする請求項1記載の組換え型サイトカ
インの製造方法。 - 【請求項3】 絹糸腺特異的に発現するプロモーター
が、セリシン遺伝子のプロモーターであることを特徴と
する請求項2記載の組換え型サイトカインの製造方法。 - 【請求項4】 絹糸腺特異的に発現するプロモーター
が、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであること
を特徴とする請求項2記載の組換え型サイトカインの製
造方法。 - 【請求項5】 サイトカイン遺伝子をトランスポゾン由
来のDNAを利用してカイコ染色体に組み込むことを特徴
とする請求項1から4に記載の組換え型サイトカインの
製造方法。 - 【請求項6】 サイトカイン遺伝子がトランスポゾン由
来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とす
る請求項5記載の組換え型サイトカインの製造方法。 - 【請求項7】 トランスポゾン由来のDNAが、昆虫由来
であることを特徴とする請求項5から6に記載の組換え
型サイトカインの製造方法。 - 【請求項8】 トランスポゾンが、鱗翅目昆虫由来のト
ランスポゾンpiggyBac由来であることを特徴とする請求
項7記載の組換え型サイトカインの製造方法。 - 【請求項9】 サイトカイン遺伝子が、インターフェロ
ン遺伝子またはコロニー刺激因子遺伝子であることを特
徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の組換え型
サイトカインの製造方法。 - 【請求項10】 インターフェロン遺伝子またはコロニ
ー刺激因子遺伝子が、ネコインターフェロン−ω遺伝
子、ヒトインターフェロン−β遺伝子またはネコ顆粒球
コロニー刺激因子遺伝子であることを特徴とする請求項
9記載の組換え型サイトカインの製造方法。 - 【請求項11】 繭糸から水溶性溶媒を用いてサイトカ
インを抽出することを特徴とする請求項1から3のいず
れか1項記載の組換え型サイトカインの製造方法。 - 【請求項12】 染色体中にサイトカイン遺伝子が導入
され、かつ、絹糸腺または繭糸にサイトカインを産生す
る性質を持つ遺伝子組換えカイコ。 - 【請求項13】 染色体に導入されたサイトカイン遺伝
子が、インターフェロン遺伝子またはコロニー刺激因子
遺伝子であることを特徴とする請求項12記載の遺伝子組
換えカイコ。 - 【請求項14】 染色体に導入されたインターフェロン
遺伝子またはコロニー刺激因子遺伝子が、ネコインター
フェロン−ω遺伝子、ヒトインターフェロン−β遺伝子
またはネコ顆粒球コロニー刺激因子遺伝子であることを
特徴とする請求項13記載の遺伝子組換えカイコ。 - 【請求項15】 サイトカイン遺伝子を、絹糸腺特異的
に発現するプロモーターの下流に連結することを特徴と
するカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。 - 【請求項16】 プロモーターが、セリシン遺伝子のプ
ロモーターであることを特徴とする請求項15記載のカイ
コ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。 - 【請求項17】 プロモーターが、フィブロインH鎖遺
伝子のプロモーターであることを特徴とする請求項15に
記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。 - 【請求項18】 サイトカイン遺伝子が、トランスポゾ
ン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴
とする請求項15から17のいずれか1項記載のカイコ染色
体への外来遺伝子導入用ベクター。 - 【請求項19】 サイトカイン遺伝子が、インターフェ
ロン遺伝子またはコロニー刺激因子遺伝子であることを
特徴とする請求項15から18記載のいずれか1項記載のカ
イコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。 - 【請求項20】 インターフェロン遺伝子またはコロニ
ー刺激因子遺伝子が、ネコインターフェロン−ω遺伝
子、ヒトインターフェロン−β遺伝子またはネコ顆粒球
コロニー刺激因子遺伝子であることを特徴とする請求項
19記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
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JP2003045918A JP2003325188A (ja) | 2002-03-06 | 2003-02-24 | サイトカイン遺伝子組換えカイコおよびそのタンパク質の製造方法 |
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