JP2005097229A - ワクチンおよび抗原タンパク質の製造方法 - Google Patents

ワクチンおよび抗原タンパク質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストが従来に比べて安価なワクチン、ワクチンの製造方法、抗原タンパク質の製造方法を提供する。
【解決手段】動物に対して抗原となるタンパク質を産生するカイコなどより得られた抗原タンパク質と絹糸を用いて、複雑な精製などの操作を経ることなく、調製することにより安価にペプチドワクチンを得る。染色体に抗原タンパク質遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコを作製し、得られた遺伝子組換えカイコの絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を生産させた後、その絹糸腺または絹糸から、複雑な精製などの操作を経ることなく、抗原タンパク質を得る。抗原タンパク質を産生するカイコはpiggyBacトランスポゾンを用いてカイコ染色体中に抗原タンパク質遺伝子を導入したカイコが好ましく使用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、動物に対して抗原となるタンパク質とカイコの絹糸を含むワクチンに関する。また、抗原タンパク質遺伝子が染色体に組み込まれたカイコを利用した組換え抗原タンパク質の製造方法に関する。さらに、絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を産生する性質を持つ遺伝子組換えカイコ、ならびに、その組換えカイコを作製するためのカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクターに関する。
動物を病原性微生物やウイルスによる疾病から予防するために、動物の免疫による抗原記憶を利用する治療法、いわゆるワクチンの利用が広く行われている。ワクチンの製造法としては、その病原体となるウイルス、または微生物を弱毒化したものや不活化したものを利用する方法が一般的であるが、その再強毒化やウイルス由来成分によるアナフィラキシーショックなど安全性のうえで問題が残るものも多い。
近年、遺伝子組換え技術を用いたワクチンの製造法の開発が盛んとなり、遺伝子組換えタンパク質を抗原とするもの、遺伝子そのものを発現ベクターに組み込みワクチンとするもの、および遺伝子組換え技術により改変したウイルスや微生物をワクチンとするものが開発されているが、後者2者は動物体内で組換えタンパク質を産生させようというもので、安全性の面でまだ実用化に遠い。
タンパク質を用いたワクチンは、抗原としてタンパク質を投与するものであり、安全性が高く、現在精力的に開発が続けられているが、実用化に至ったものは少ない。その原因としては、抗原タンパク質1種類だけでは効果的な免疫が誘導されないこと、タンパク質の精製にコストがかかるため、安価なワクチンを提供できないことが考えられる。
タンパク質の製造法としては、天然物から精製する方法以外に、遺伝子組換え技術による方法がある。遺伝子組換え技術においてはある特定の遺伝子を細菌、酵母、またはCHO細胞などのほ乳類細胞といった宿主細胞に導入し、次に培地中でその細胞を増殖させた後、合成されたタンパク質を回収し、精製する方法が行われる。一般にタンパク質の精製は、容易ではなく、工業的生産においてはコストが高くなる欠点を持っており、安価な価格が求められるワクチンの製造工程には不向きである。
昆虫または昆虫細胞を用いた遺伝子組み換えタンパク質の製造法も、比較的安価に量産でき、ほ乳類に近いタンパク質の翻訳後修飾が得られることから、さまざまな分野、特に医薬、診断薬分野などで利用されるようになっている。現在、昆虫または昆虫細胞におけるワクチンの生産方法として検討されているのは、外来タンパク質遺伝子を組み込んだバキュロウイルスを昆虫細胞の培地中に添加する方法であり、いくつかの検討例(例えば、特許文献1、特許文献2参照)があるが、上述したように十分な抗原性が得られない、精製が必要であり製造コストが高いなどの問題があり、実用化には至っていない。また外来遺伝子の導入にウイルスを用いることから、その封じ込め設備の設置やウイルス接種の手間などの問題もある。
一方、近年昆虫染色体への外来遺伝子の組み換えが試みられ、核多核体病ウイルスの一種であるAutographa californica Nuclear Polyhedrosis Virus (AcNPV)のDNAを用いてカイコフィブロイン重鎖遺伝子にクラゲ緑色蛍光タンパク質遺伝子を付加した融合遺伝子を、相同組み換えにより、カイコ染色体上に導入し、発現させる方法が開発され(非特許文献1参照)、その技術を用いたヒト・コラーゲン遺伝子を導入したカイコおよびその製造方法が開示されている(特許文献3参照)。
また最近、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンであるpiggyBacを用いることにより、外来遺伝子を昆虫の細胞へと導入できることが明らかとなり(特許文献4参照)、クラゲ緑色蛍光タンパク質遺伝子をカイコ染色体へと導入し、そのタンパク質をA3プロモーターにより発現させる方法が開発され、絹糸腺組織や繭中にそのタンパク質が確認された。また、交配により子孫へと遺伝子が安定に伝わることも確認された(非特許文献2参照)。さらにこの方法を改良することにより、サイトカインなどのタンパク質をカイコの絹糸腺または絹糸中に大量に産正させる技術も確立された(特許文献5参照)。
しかし、この方法で大量に組換えタンパク質が産生できたとしても、その実用化には依然タンパク質を精製する工程が必要となり、低コスト生産の実現には課題があった。この方法を用いて産生された組換えタンパク質が抗原性を失わずワクチンとして使用できるか、すなわち動物に投与したときにその体内に抗体産生などに代表される免疫増強効果を誘導できるかどうかを検討した例は未だ知られていない。
特開昭63−207397号公報 特開昭63−273478号公報 特開2001−161214号公報 米国特許第6218185号明細書 特願2002-60374号公報 ジーンズアンドデベロップメント(Genes and Development)1999年、第13巻、p.511−516 ネイチャーバイオテクノロジー(Nature Biotechnology)2000年、第18巻、p.81−84
遺伝子組換えタンパク質を抗原とするワクチンを実用化するためには、従来の遺伝子組換えタンパク質製造法では、困難な精製工程が必要となるため、コストが高く、他のワクチンに比べて利点を出すことができない。
そのため、安価で免疫増強を誘導できる組換え抗原タンパク質の製造方法およびそれを利用したワクチンが求められる。
本発明者らは鋭意検討の結果、遺伝子組換えカイコ(トランスジェニックカイコ)作製技術を用いることにより、得られたカイコにより産生された抗原タンパク質を複雑なタンパク質精製工程を経ることなく絹糸とともに回収し、動物に対する免疫源とすることができること、および抗原タンパク質を純度よく回収し、動物に投与したときに血中抗体価の上昇を誘導することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、動物に対して抗原となるタンパク質および絹糸由来成分を含むワクチン、遺伝子組換えカイコを用いて作製した抗原タンパク質の製造方法、絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を産生する性質を持つ遺伝子組換えカイコ、ならびに、その組換えカイコを作製するためのカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクターである。
すなわち、本発明は、
(1)抗原タンパク質および絹糸由来成分を含むことを特徴とするワクチン。
(2)動物に投与したときに、その血中に抗原タンパク質に対する抗体を誘導できることを特徴とする(1)記載のワクチン。
(3)免疫を賦活化する物質を含むことを特徴とする(1)または(2)記載のワクチン。
(4)抗原タンパク質を含んだ絹糸を、粉末化、粒子化、または可溶化することを特徴とする(1)から(3)いずれか1項記載のワクチン。
(5)抗原タンパク質が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする(1)から(4)いずれか1項記載のワクチン。
(6)染色体に抗原タンパク質遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコを作製し、得られた遺伝子組換えカイコの絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を生産させた後、その絹糸から調製することを特徴とする(1)から(4)のいずれか1項記載のワクチンの製造方法。
(7)絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に結合された抗原タンパク質遺伝子を、染色体に組み込むことを特徴とする(6)記載のワクチンの製造方法。
(8)絹糸腺特異的に発現するプロモーターが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであることを特徴とする(7)記載のワクチンの製造方法。
(9)抗原タンパク質遺伝子がトランスポゾン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とする(8)記載のワクチンの製造方法。
(10)トランスポゾン由来の末端逆位配列が、昆虫由来であることを特徴とする(9)に記載のワクチンの製造方法。
(11)トランスポゾンが、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンpiggyBac由来であることを特徴とする(10)記載のワクチンの製造方法。
(12)抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来の遺伝子であることを特徴とする(6)から(11)のいずれか1項記載のワクチンの製造方法。
(13)ウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする(12)記載のワクチンの製造方法。
(14)抗原タンパク質を含んだ絹糸を、粉末化、粒子化、または可溶化し、動物に投与したときに、その血中に抗原タンパク質に対する抗体を誘導できることを特徴とする絹組成物。
(15)さらに免疫を賦活化する物質を含むことを特徴とする(15)記載の絹組成物。
(16)抗原タンパク質が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする(14)または(15)記載の絹組成物。
(17)染色体に抗原タンパク質遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコを作製し、得られた遺伝子組換えカイコの絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を生産させた後、その絹糸から調製することを特徴とする(14)から(16)のいずれか1項記載の絹組成物の製造方法。
(18)絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に結合された抗原タンパク質遺伝子を、染色体に組み込むことを特徴とする(17)記載の絹組成物の製造方法。
(19)絹糸腺特異的に発現するプロモーターが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであることを特徴とする(18)記載の絹組成物の製造方法。
(20)抗原タンパク質遺伝子がトランスポゾン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とする(19)記載の絹組成物の製造方法。
(21)トランスポゾン由来の末端逆位配列が、昆虫由来であることを特徴とする(20)に記載の絹組成物の製造方法。
(22)トランスポゾンが、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンpiggyBac由来であることを特徴とする(21)記載の絹組成物の製造方法。
(23)抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来の遺伝子であることを特徴とする(17)から(22)のいずれか1項記載の絹組成物の製造方法。
(24)ウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする(23)記載の絹組成物の製造方法。
(25)染色体に抗原タンパク質遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコを作製し、得られた遺伝子組換えカイコの絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を生産させた後、その絹糸腺または絹糸から、抗原性を持った抗原タンパク質を回収することを特徴とする組換え抗原タンパク質の製造方法。
(26)絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に結合された抗原タンパク質遺伝子を、染色体に組み込むことを特徴とする(25)記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
(27)絹糸腺特異的に発現するプロモーターが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであることを特徴とする(26)記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
(28)抗原タンパク質遺伝子がトランスポゾン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とする(27)記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
(29)トランスポゾン由来の末端逆位配列が、昆虫由来であることを特徴とする(28)に記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
(30)トランスポゾンが、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンpiggyBac由来であることを特徴とする(29)記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
(31)抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来の遺伝子であることを特徴とする(25)から(30)のいずれか1項記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
(32)ウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする(31)記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
(33)染色体中に抗原タンパク質遺伝子が導入され、かつ、絹糸腺または絹糸に抗原タンパク質を産生する性質を持つ遺伝子組換えカイコ。
(34)染色体に導入された抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来であることを特徴とする(33)記載の遺伝子組換えカイコ。
(35)染色体に導入されたウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質をコードする遺伝子であることを特徴とする(34)記載の遺伝子組換えカイコ。
(36)抗原タンパク質遺伝子を、絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に連結することを特徴とするカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
(37)プロモーターが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであることを特徴とする(36)に記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
(38)抗原タンパク質遺伝子が、トランスポゾン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とする(36)または(37)に記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
(39)抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来であることを特徴とする(36)から(38)のいずれか1項記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
(40)ウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質をコードする遺伝子であることを特徴とする(39)記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
本発明によれば、以下に説明するとおり、抗原タンパク質を抗原性を失わずに、大量に遺伝子組換えカイコの絹糸腺または絹糸中に産生させ、絹糸とともに回収しワクチンとすること、または複雑なタンパク質精製工程を経ることなく純度よく抗原タンパク質を得ることができる。
本発明は、絹糸由来成分と動物に対して抗原となるタンパク質(抗原タンパク質)を含むワクチン、および抗原タンパク質の遺伝子をその染色体中に組み込まれたカイコを作製し、その絹糸腺または絹糸より回収することを特徴とする抗原タンパク質の製造方法、絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を産生する性質を持つ遺伝子組換えカイコ、ならびに、その組換えカイコを作製するためのカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクターに関する。
本発明におけるワクチンとは、動物に対して抗原となるタンパク質(抗原タンパク質)を含む組成物であり、動物に投与したときにその血中に抗原タンパク質に対する抗体や細胞性免疫を誘導できるものである。これらの誘導により、ワクチンを投与された動物を疾病から予防したり、治療する効果が期待できる。好ましくは、絹糸由来の成分を含有する。本発明における絹糸由来成分とは、絹糸を構成する主要構成成分であり、全体の10%以上を占める成分が望ましく、フィブロインやセリシンといったタンパク質が知られている。絹糸は生分解性、生体適合性に優れた素材であり、動物へ投与しても特に安全性に問題はない。絹糸由来成分に抗原を混合または結合させてともに投与することにより、徐放効果や免疫賦活効果、特にその形状を微粒子化するなどの工夫により細胞性免疫の誘導が期待される。
ワクチンとして用いるには、抗原タンパク質を含んだカイコ、絹糸または絹糸の由来物を動物に好適に投与できる形状にまで加工することが望ましい。絹糸の加工法としては、抗原タンパク質を含んだままの糸や繊維を動物に投与できる形状に仕上げることも可能であるが、投与する際の利便性を考慮すると粉末化することがより望ましいと考えられる。粉末化方法としては、物理的粉砕による方法や、アルカリ処理の後粉砕する方法が知られているが、より細かい微粒子とするためには、一旦絹糸を抗原タンパク質ごと可溶化し、再び適切な方法で固体化させる方法が望ましいと考えられる。その微粒子の粒径は、徐放性との兼ね合いや絹糸の生体への吸収の問題があるが、より小さいほうが好ましく、25μm以下、さらに好ましくは、10μm以下である。またその粒子を動物体内の抗原呈示細胞に貪食させることにより、細胞性免疫を惹起させることが期待される。その際には微粒子の粒径は細胞により貪食される大きさであることが望ましい。
ワクチンとして製剤化する際には、アジュバントとよばれる免疫賦活物質を同時に投与することもありうるし、また安定性を付与するために安定化剤を添加することも考えられる。これらは一般に用いられるものが好ましく使用できる。例えば、アジュバントとしては、結核死菌、百日咳死菌体、水酸化アルミニウムゲル、モノフォスフォリルリピドA(Monophosphoryl lipid A)、トレハロースジコリノミコレート(Treharose dicorynomycolate)、スクワレン(Squalene)、ポリマー化合物、非イオン性界面活性剤、流動パラフィンなどを含むものが知られている。
ワクチンの投与方法としては、いかなる経路による投与でも用いることができるが、口腔内、鼻腔内など粘膜、経口、吸入、皮下、皮内などへの投与法が好適に用いられる。さらに好ましくは皮下投与である。また粉末または微粒子をワクチンとする場合には、その性質から考えて静脈内など血管内への投与は不向きである。
本発明における抗原タンパク質とは、以下のような性質を持ったものである。
1.動物に対して抗原性を有するもの、すなわち、動物体内に投与されたときに、それに対する抗体の産生や細胞性免疫を誘導するもの。(免疫原となる)
2.ウイルス、微生物、寄生虫、腫瘍、その他動物由来のタンパク質であり、好ましくは、それに対する免疫を動物体内に惹起することにより、それに起因する疾病の予防または治癒が期待できるもの。
以上の条件を満たしていれば、アミノ酸組成、分子量、糖鎖などの修飾の有無は問題とはならず、どのようなタンパク質、ペプチドでも使用できる。
例をあげるならば、動物に対して病原性やアレルギー惹起活性を持つウイルス、バクテリア、真菌、寄生虫、植物など由来のタンパク質、あるいは、動物由来の腫瘍に特異的な抗原や自己免疫抗原などがあげられる。好ましくは、ウイルス由来のタンパク質であり、さらにこのましくは、イヌパルボウイルスVP2タンパク質である。
本ワクチンの製造方法としては、抗原タンパク質および絹糸をそれぞれ別に調製し用いてもよいが、遺伝子組換えカイコを用いることにより、組換え抗原タンパク質をカイコの絹糸タンパク質とともに大量に、高純度にカイコ絹糸腺、さらには絹糸中に産生させることが可能となり、複雑でコストのかかる精製工程を経ることなく抗原タンパク質を含むワクチンを製造することが可能となる。
この場合、使用するカイコはカイコガ(Bombyx mori)が好ましいが、その他の昆虫、特に絹糸を産生する鱗翅目昆虫、あるいはそれら由来の細胞を用いても同様の効果が期待できることは容易に想像できる。また以下に述べる方法により作製した遺伝子組換えカイコの5齢幼虫より摘出した後部絹糸腺を培養し抗原タンパク質を得ることもできる。
遺伝子組換えカイコの作製法としては、カイコ細胞へと導入した抗原タンパク質遺伝子が安定に存在し、抗原タンパク質が抗原性を保ったまま産生され、交配により子孫にも安定に遺伝子が伝わるような作製方法であればよく、導入操作としては、カイコ卵にマイクロインジェクションする方法、遺伝子銃を用いる方法、細胞融合を用いる方法、エレクトロポーレーション法、リポフェクション法、致死的ではないウイルスベクター(AcNPVなど)を投与する方法(Genes Dev.,13,511-516,1999)などを用いることができる。
また用いられる遺伝子組換えベクターについては、ウイルスベクター、トランスポゾン由来配列を含んだベクター、または染色体には組み込まれずに細胞質内に存在するプラスミドベクターなどが利用できる。好ましくはトランスポゾン由来配列を含んだベクターであり、ショウジョウバエ由来のトランスポゾンmariner(Third International workshop on transgenesis of invertebrate organisms,p37-38,1999)、Minos(Insect Mol.Biol.9,277-281,2000)や鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンであるpiggyBac(Nature Biotechnology 18,81-84,2000)などの由来配列を含んだベクターが用いられる。さらに好ましくは鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンであるpiggyBac由来の配列を含むプラスミドベクターをトランスポゼース(transposase)タンパク質、またはトランスポゼース(transposase)をコードするDNAを含んだヘルパープラスミドとともにカイコ卵にマイクロインジェクションし、発生、成長させ、外来遺伝子が生殖細胞に導入されたカイコより、次世代以降に遺伝子組換えカイコを得る方法である。
ここで卵にマイクロインジェクションを行う場合、卵中の細胞に直接マイクロインジェクションする必要はなく、卵中にマイクロインジェクションするだけで遺伝子を導入することが可能である。
この次世代において遺伝子組換えカイコは通常1〜2%の頻度で出現する。組換えカイコの選抜は、次世代カイコの組織の一部からDNAを取り出し、外来タンパク質遺伝子を基に設計したプライマーを用いてPCRによって行うことができる。または、予め「遺伝子導入用遺伝子カセット」内に、カイコ細胞で発現可能なプロモータ下流に連結した緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子を導入しておけば、次世代のカイコ、例えば1齢幼虫について紫外線下で緑色蛍光を発する個体を選抜することで組換えカイコの選抜が容易に行える。
導入する遺伝子の構造は、昆虫細胞に導入された場合その抗原タンパク質遺伝子がコードするタンパク質が発現されるために必要なDNAのセットを含んでいる。詳細には、抗原タンパク質遺伝子とその遺伝子の発現を促進するプロモーターを含む。通常はさらに、ポリA付加領域を含み、好ましくはプロモーター、抗原タンパク質構造遺伝子、ポリA付加領域の全てを含む。さらにプロモーターとの間に任意のタンパク質遺伝子に由来する分泌シグナル遺伝子を含んでいてもよいし、さらには絹糸タンパク質遺伝子を初めとする任意の遺伝子由来の配列を含んでもよい。この場合、挿入された遺伝子の3’側に抗原タンパク質遺伝子の5'側をアミノ酸フレームが一続きとなるように融合させることが必要となる。また必要に応じて、ポリA付加配列との間にも任意の遺伝子配列を連結しても良い。また人工的に設計、合成された遺伝子配列を連結することもできる。その場合、抗原タンパク質は異種のポリペプチドとの融合タンパク質となることもあるが、その性状、機能が目的にとって特に問題ないか、または異種のポリペプチドのみ化学的、または酵素的に除くことにより本来の性状、機能を回復できるならば、とくに問題なく利用できる。
ここで用いられるプロモーターとしては、特に限定されないが、外来タンパク質遺伝子の発現を促進する活性の高いものが好ましい。例えば、特開平6−261770や特開昭62−285787に記載されているショウジョウバエの熱ショックタンパク質遺伝子のプロモーターやカイコアクチン遺伝子のプロモーター(Nature Biotechnology 18,81-84,2000)などが挙げられるが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーター(EMBO J 9,489-496,1990)、フィブロインL鎖遺伝子のプロモーター(Gene, 110:151-158,1992)、セリシン遺伝子のプロモーター(J Biol Chem. 264,18707-18713,1989)などカイコ絹糸腺細胞中で高い促進活性を有するプロモーターが好適である。
ポリA領域についても特に制限はないが、フィブロインH鎖、フィブロインL鎖、セリシンなど絹糸腺で大量に発現しているタンパク質遺伝子のポリA領域が好適に使用できる。
また外来遺伝子には、形質転換体の選抜を容易にする目的で、抗生物質耐性遺伝子、クラゲ由来蛍光緑色タンパク質遺伝子などマーカー遺伝子を組み込んでおくこともできる。
これらのDNAセットを2種類同時にカイコ染色体に組み込むことにより、複数の抗原タンパク質をカイコに産生させることが可能となる。このことは、複数の抗原タンパク質がワクチンとしての効果に必要なときに特に重要である。
本発明において使用されるDNAを取得する方法に特に制限はない。既知の遺伝子情報に基づき、PCR(polymerase chain reaction)法を用いて必要な遺伝子領域を増幅取得する方法、既知の遺伝子情報に基づきゲノムライブラリーやcDNAライブラリーより相同性を指標としてスクリーニングする方法などが挙げられる。本発明においては、これらの遺伝子は遺伝的多型性や変異剤などを用いた人為的変異処理による変異型も含む。遺伝的多型性とは遺伝子上の自然突然変異により遺伝子の塩基配列が一部変化しているものをいう。
本発明で用いられる遺伝子組換えカイコとは、外来タンパク質遺伝子がカイコ染色体に導入されたカイコのことであり、そのカイコ染色体DNAを常法に従って制限酵素処理したのち、常法に従って標識した外来タンパク質遺伝子をプローブとしてサザンブロッティングを行う時、ポジティブなシグナルを与えるカイコのことである。抗原タンパク質遺伝子が導入される染色体上の遺伝子座位は、カイコの発生、分化、成長を阻害しない部位であれば特に制限はない。
このようにして確認された遺伝子組換えカイコは、その体内、特に絹糸腺細胞、絹糸腺内腔、および、絹糸中に外来タンパク質を産生する能力を有している。遺伝子組換えカイコは、通常のカイコと同様に飼育が可能であり、通常の条件で飼育することで外来タンパク質を産生させることが可能である。目的とする外来タンパク質に応じて、特に5齢時期の培養温度、湿度、給餌条件などを最適化することで、外来タンパク質の産生量を向上させることも可能である。
また、遺伝子組換えカイコは、正常に発育し、交配が可能であり、導入された外来タンパク質遺伝子を安定に保有し、かつ子孫に伝えることが可能である。従って、遺伝子組換えカイコを継代し頭数を増やすことで、外来タンパク質の生産量を容易にスケールアップすることが可能である。交配において、野生型のカイコと交配させることで、外来タンパク質の産生量を向上させることも可能である。この場合、目的の外来タンパク質遺伝子が導入されたカイコを適宜選抜しながら継代していく必要が生じる。その際には、組換えカイコ選抜に使用したマーカー遺伝子や外来タンパク質遺伝子の存在や構造を、蛍光顕微鏡観察、PCR、サザンブロッティング法などで解析することで、容易に組換えカイコの遺伝子を継承した子孫を判別することが可能である。
また異なった抗原タンパク質遺伝子が組み込まれたカイコ同士を交配させることにより、その子孫から複数の抗原タンパク質を産生できるカイコを選抜することも可能である。
このようにして得られた遺伝子組換えカイコより抗原タンパク質を回収する方法としては、絹糸とともに回収する方法以外にもさまざまな方法が考えられる。例えば、絹糸腺または絹糸は極めて均一な水難溶性成分(フィブロインおよびセリシンなどの絹糸タンパク質)により大部分が構成されているため、カイコ絹糸腺または絹糸より回収することにより夾雑物の種類を極めて少なく回収することができる。また抗原タンパク質のみ可溶化し回収することが困難な場合には絹糸タンパク質ごと高塩濃度水溶液やアルカリにより可溶化した後、水に難溶な絹糸タンパク質を透析処理や限外濾過により除く方法も用いることができる。高塩濃度の水溶液を作製する際の塩としては、リチウムチオシアネート、塩化カルシウム、グアニジンチオシアネート、尿素などがあげられる。溶解後、透析処理、硫酸アンモニウム処理、ゲル濾過、カラム担体による吸脱着などの精製操作により、純度の高い抗原タンパク質を得ることが可能となる。ワクチンとしての使用を考えた場合、抗原タンパク質は高い純度が要求され、好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。このためには1段階のカラム担体による吸脱着が有効である。このように本発明によれば、従来複雑な精製工程が必要であった高純度への抗原タンパク質の精製が容易に可能となる。
また精製の結果得られた抗原タンパク質の抗原性が失われていないことが必要である。このためには極めて生理条件に近い方法での精製操作が重要であり、仮に変性が起こった場合には、再び抗原性を回復するためのリフォールディング操作が必要となる。具体的には高塩濃度で変性が起こった場合には、塩濃度の段階的な下降操作によりふたたび抗原タンパク質が元の立体構造を回復し、抗原性を失わないようにする。
このようにして得られた抗原タンパク質は動物へと投与し免疫することが可能であり、適当な添加剤やアジュバントを加えることによりワクチンとして利用できる。
遺伝子組換えカイコ、特にその絹糸腺または絹糸より、適当な抽出操作によって、抗原タンパク質を得るために使用する溶媒については、抗原性(免疫原性)を失わないかぎりは、水系、有機溶媒系などいかなる溶媒でも使用できる。抽出に水系溶媒を使用する場合には、外来タンパク質の抽出を促進させるために適切な溶質を含むことが可能である。例えば、リン酸などの無機酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸や、食塩、尿素、塩酸グアニジン、塩化カルシウムなどの塩類、エタノール、メタノール、アセトニトリル、アセトンなどの極性有機溶媒、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などの界面活性剤などが挙げられる。また、抽出溶液のpHも特に限定はない。さらに加圧化高温の熱水により抽出することも可能であり、その場合、140〜180℃の熱水が好ましく使用できる。
ワクチンとして製剤化する際には、アジュバントとよばれる免疫賦活物質を同時に投与することもありうるし、また安定性を付与するために安定化剤を添加することも考えられる。これらは一般に用いられるものが好ましく使用できる。例えば、アジュバントとしては、結核死菌、百日咳死菌体、水酸化アルミニウムゲル、モノフォスフォリルリピドA(Monophosphoryl lipid A)、トレハロースジコリノミコレート(Treharose dicorynomycolate)、スクワレン(Squalene)、ポリマー化合物、非イオン性界面活性剤、流動パラフィンなどを含むものが知られている。
ワクチンの投与方法としては、いかなる経路による投与でも用いることができるが、口腔内、鼻腔内など粘膜、経口、吸入、皮下、皮内などへの投与法が好適に用いられる。さらに好ましくは皮下投与である。
このように製造された抗原タンパク質、抗原タンパク質を含んだ絹糸、その加工物は、従来の他の製造方法で製造された抗原タンパク質と同様に、ワクチン用途以外にも、各種の測定、診断用途に用いることができる。この場合、各種添加剤を加えた混合物としても使用できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1 カイコ genomic DNAの調製
5齢3日目のカイコを解剖し、後部絹糸腺組織を取り出した。1×SSCで洗浄した後、DNA 抽出バッファー(50mM Tris-HCl pH8.0,1mM EDTA pH8.0, 100mM NaCl)200μlを加えた。Proteinase K(final 200μg/ml)を加えて組織をグラインダーで充分すりつぶし、更にDNA抽出バッファーを350μl、10%SDS 60μlを加え混合後、50℃、2時間保温した。Tris-HCl飽和フェノール pH8.0、500μlを加え10分混合後、10,000rpm 5分 4℃にて遠心分離し上清を回収した。上清に等量のフェノール/クロロフォルム/イソアミルアルコール(25:24:1)を加え混合後、遠心分離した。再度フェノール/クロロフォルム/イソアミルアルコールを加え、遠心分離後上清を回収した。等量のクロロフォルム/イソアミルアルコール(24:1)を加え混合後、遠心分離した上清に再度クロロフォルム/イソアミルアルコールを加え、遠心分離後上清を回収した。得られた上清に1/10量の3M 酢酸ナトリウム(pH5.2)を加え混合し、更に2.5倍量の冷エタノールを加え-80℃にて30分静置後、15,000rpm 10分 4℃にて遠心分離しgenomic DNAを沈殿させた。70%エタノールでDNAの沈殿を洗浄した後、風乾させた。RNase入り滅菌水で100μg/mlとなるように溶解、希釈しgenomic DNA溶液を調製した。
実施例2 遺伝子の調製
用いた遺伝子は既知の配列を利用して、その両端配列のプライマーを作製し、適当なDNAソースを鋳型としてPCRを行うことにより取得した。プライマーの端には後の遺伝子操作のために制限酵素切断部位を付加した。
フィブロインH鎖プロモーター・フィブロインH鎖遺伝子第一エキソン・第一イントロン・第二エキソン領域(GeneBank登録番号AF226688の塩基番号62118〜63513番目:以下HP領域)は、Bombyx mori genomic DNAを鋳型に、プライマー1(配列番号1)とプライマー2(配列番号2)の2種類のプライマーを用いたPCRにより取得した。
イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子(GeneBank登録番号38245の塩基番号2787〜4538番目:以下VP領域)はイヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子をコードするプラスミドpAc6C2B23(ATCC寄託番号67682号)を鋳型にプライマー3(配列番号3)とプライマー4(配列番号4)の2種類のプライマーを用いてPCRにより取得した。
フィブロインH鎖C末端領域遺伝子・フィブロインH鎖ポリAシグナル領域(GeneBank登録番号AF226688の塩基番号79099〜79995番目:以下HA領域)は、Bombyx mori genomic DNAを鋳型に、プライマー5(配列番号5)とプライマー6(配列番号6)の2種類のプライマーを用いたPCRにより取得した。
PCRはKODplus(東洋紡(株)製)を用いて添付のプロトコールに従って行った。すなわち、それぞれの鋳型を10ng加え、各プライマーを50pmol、添付の10×PCRバッファーを10μl、1mM MgCl2、0.2mM dNTPs、2単位KODplusとなるように各試薬を加え、全量100μlとする。DNAの変性条件を94℃,15秒、プライマーのアニーリング条件を55℃,30秒、伸長条件を68℃,60秒〜300秒の条件でPerkin-Elmer社のDNAサーマルサイクラーを用い、30サイクル反応させた。
これらの反応液を1%アガロースゲルにて電気泳動し、それぞれHP領域では約1.4kbp.、VP領域では約1.75kbp.、HA領域では約0.9kbpのDNA断片を常法に従って抽出、調製した。これらのDNA断片をポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造(株)製)によりリン酸化した後、HincIIで切断後脱リン酸化処理したpUC19ベクターに宝酒造(株)のDNA Ligation Kit Ver.2を用いて16℃、終夜反応を行い、連結した。これらを用いて常法に従い大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体にPCR断片が挿入されていることを、得られたコロニーを前述と同じ条件でPCRすることによって確認し、PCR断片の挿入されたプラスミドを常法によって調整した。これらのプラスミドをシークエンスすることにより、得られた断片がそれぞれの遺伝子の塩基配列であることを確認した。
実施例3 遺伝子導入用プラスミドの作製
遺伝子導入用プラスミドには、トランスポゾンpiggyBacの一対の逆向き反復配列の間に、配列番号7に記するイヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子の発現カセットを挿入した遺伝子構造を含むプラスミドpigPARVOを用いた。
すなわち、米国特許第6218185号に開示されるプラスミドp3E1.2よりtransposaseをコードする領域を取り除き、そのBgl II部位およびHpa I部位を平滑化しイヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子の発現カセットを挿入し、pigPARVOを得た。
本実施例におけるイヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子発現カセットの構成は、フィブロインH鎖プロモーター・フィブロインH鎖遺伝子第一エキソン・第一イントロン・第二エキソン領域・イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子・フィブロインH鎖C末端領域・フィブロインH鎖ポリAシグナル領域(配列番号7)である。
フィブロインH鎖遺伝子の第一イントロンは遺伝子の発現量増大に重要であり、フィブロインH鎖タンパク質のC末端領域は発現した遺伝子産物の絹糸中への分泌に重要な機能を持つ(特願2002-268726号公報)。
以下に具体的な方法を示す。
HP・VP・HAコンストラクトの作製は以下の手法により行った。実施例2で調製したイヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子(VP領域)を持つプラスミドをSal IとHind IIIにより切断し、ここにフィブロインH鎖プロモーター・フィブロインH鎖遺伝子第一エキソン・第一イントロン・第二エキソン領域を持つプラスミドからSal IとHind IIIにより切り出した約1.4kbp.断片(HP領域)を挿入した。さらにこれをBamH Iにより切断し、ここにフィブロインH鎖C末端領域・フィブロインH鎖ポリAシグナル領域を持つプラスミドからBamH Iにより切り出した約0.9kbp.断片(HA領域)を挿入した。
このHP・VP・HAを持つプラスミドをAsc Iで切断し、切り出した約4kbp断片を宝酒造(株)T4 DNA Polymeraseにより平滑化したものと、Bgl II、Hpa Iで切断後平滑化、脱リン酸化処理したp3E1.2とを連結し、HP・VP・HA遺伝子カセットを含む遺伝子導入用コンストラクトpigPARVOを作製した。作製したpigPARVOをQIAGEN Plasmid Maxi Kitを用い、添付のプロトコールに従って精製した。
実施例4 ピギーバックトランスポゼースタンパク質およびイヌパルボウイルスVP2タンパク質の調製
(1)遺伝子のクローニングおよび発現ベクターの作製
ピギーバックトランスポゼース遺伝子のクローニングには、米国特許6218185号公報で開示されているピギーバックトランスポゼース遺伝子の塩基配列を、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子のクローニングには、GeneBank登録番号M38245の塩基番号2787〜4538番目の塩基配列を参考にオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。プライマーの端には後の遺伝子操作のために制限酵素切断部位を付加した。
ピギーバックトランスポゼースタンパク質遺伝子のクローニングには、プライマー8(配列番号8)とプライマー9(配列番号9)の2種類のプライマーを用い、米国特許6218185号公報により開示されるプラスミドp3E1.2をテンプレートとして用いたPCRにより、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子のクローニングには、プライマー10(配列番号10)とプライマー11(配列番号11)の2種類のプライマーを用い、プラスミドpAc6C2B23(ATCC寄託番号67682号)をテンプレートとして用いたPCRにより取得した。
PCRは0.2mlのミクロ遠心チューブを用い、鋳型DNAを10ng、各プライマーを50pmol、添付の10×PCRバッファーを10μl、1mM MgCl2、0.2mM dNTPs、2単位KODplusとなるように各試薬を加え、全量を100μlとした。DNAの変性条件を94℃、30秒、プライマーのアニーリング条件を60℃、30秒、DNAプライマーの伸長反応条件を72℃、3分の各条件でBioRad社のサーマルサイクラーを用い、30サイクル反応させた。これらの反応液を1%アガロースゲルにて電気泳動し、それぞれ約1.8kbpのDNA断片を常法に従って抽出、調整した。
これらのDNA断片をポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造(株)製)によりリン酸化した後、HincIIで切断後脱リン酸化処理したpUC19ベクターに宝酒造(株)のDNAライゲーションキットVer.2を用いて16℃、終夜反応を行い、連結した。これらを用いて常法に従い大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体にPCR断片が挿入されていることを、得られたコロニーを前述と同じ条件でPCRすることによって確認し、PCR断片の挿入されたプラスミドを常法によって調整した。これらのプラスミドをシークエンスすることにより、得られた断片がそれぞれの遺伝子の塩基配列であることを確認した。
このうち得られたイヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子については、GeneBank登録番号M38245の塩基番号で表されるところの597番目のアデノシン、621番目のアデノシン、699番目のシトシン残基をそれぞれQuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社)を用いて、チミジン残基へと変換した。
これらのプラスミドを、NcoI、およびBamHIで消化し、得られた1.8kbpのNcoI/BamHI断片を、予めNcoI、およびBamHIで消化しておいたpTV118N(宝酒造(株)製)のNcoI/BamHI間隙に常法に従ったライゲーション反応により挿入し、得られたプラスミドをpTV−piggyおよびpTV−PARVOと命名した(図1)。このプラスミドを導入した大腸菌を培養することで、ピギーバックトランスポゼースタンパク質およびイヌパルボウイルスVP2タンパク質のN末端アミノ酸配列に10個のヒスジチン残基が付加された分子量約70kDaの組換えピギーバックトランスポゼースタンパク質および組換えイヌパルボウイルスVP2タンパク質を生産することができる。
(2)組換えピギーバックトランスポゼースタンパク質および組換えイヌパルボウイルスVP2タンパク質の産生
pTV−piggyおよびpTV−PARVOでE.coli BL21株をアンピシリン耐性に形質転換し、得られた形質転換体をそれぞれBL21−piggy株、BL21−PARVO株と命名した。
次にBL21−piggy株およびBL21−PARVO株で、組換えピギーバックトランスポゼースタンパク質およびイヌパルボウイルスVP2タンパク質を産生させた。まず、BL21−piggy株、BL21−PARVO株をそれぞれ50μg/mlのアンピシリンナトリウムを含んだ滅菌LB培地(Sambrook, J. et al., 2001、Molecular Cloning 3rd. edition, Cold Spring Harbor Lab. Press)(LB-amp培地)5mlに1白金耳植菌し、37℃で24時間振とうして前培養を行った。
この前培養液をLB-amp培地50mlに全量植菌し、37℃、振幅30cmで、180rpmの条件下で3時間培養した後に1mM IPTG(isopropyl-1-thio-β-D-galactoside)添加し、更に4時間培養した。対照実験として、BL21をpTV118Nで形質転換した形質転換体を対照として用い同様の培養を行った。こうして得られた菌体を集め、5mlのTBS緩衝液(宝酒造製)に再懸濁後、超音波破砕および遠心分離により細胞破砕液を調製した。この細胞破砕液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で分画し、Penta-His Antibody抗体(QIAGEN社製)でウエスタンブロッティングを行った結果、BL21−piggy株由来の細胞破砕液から、分子量約70kDaの組み換えピギーバックトランスポゼースタンパク質を、BL21−PARVO株由来の細胞破砕液から、分子量約70kDaの組み換えイヌパルボウイルスVP2タンパク質を検出した。
(3)組み換えピギーバックトランスポゼースタンパク質および組換えイヌパルボウイルスVP2タンパク質の精製
これらの組み換えタンパク質は、N末端アミノ酸配列に10個のヒスチジン残基があることこから、ニッケルイオンとの相互作用を利用した精製を行った。
まず、10mlのキレーティング セファロース ファースト フロー(Chilating Sepharose Fast Flow)担体(アマシャム バイオサイエンス社製)を充填したカラムシステムを構築した。このカラムに50mlの50mM 硫酸ニッケル水溶液、50mlのTBS緩衝液の順で流した後、(2)と同様の方法で得られたBL21−piggy株の500ml培溶液由来の50ml細胞破砕液を流した。その後、100mlの5mM イミダゾールを含むTBS緩衝液、100mlの50mM イミダゾールを含むTBS緩衝液をこの順序で流した。更に50mlの600mM イミダゾールを含むTBS緩衝液を流した。カラムに流した各々の緩衝液を(2)と同様の方法でウエスタンブロッティングを行ったところ、600mM イミダゾールを含むTBS緩衝液に約70kDaタンパク質を検出した。また、カラムに流した各々の緩衝液をSDS-PAGEし、クマシーブリリアントブルーで染色したところ、600mM イミダゾールを含むTBS緩衝液から、約70kDaの単一バンドを検出し、この精製タンパク質は組換えピギーバックトランスポゼースタンパク質であることを確認した。透析によりイミダゾールを除去した後、ウシ血清アルブミンを標準タンパク質として、Pierce社 BCA試薬を用いてタンパク質濃度を定量した。
イヌパルボウイルスVP2タンパク質についても同様の方法により、約70kDaの単一バンドにまで精製を行った。
実施例5 遺伝子組換えカイコの作製
実施例3に記載の遺伝子導入用プラスミドpigPARVOとピギーバックトランスポゼースタンパク質を、DNA濃度を約200μg/ml、ピギーバックトランスポゼースタンパク質濃度を約2.7μg/ml(モル比1:10)となるよう含んだ0.5mMリン酸バッファー(pH7.0)、5mM KCl溶液を調整し、3〜20nlを産卵後4時間以内のカイコ卵500個に対してマイクロインジェクションした。
そのカイコ卵より孵化した幼虫を飼育し、得られた成虫(G0)を群内で掛け合わせ得られた次世代(G1)を4齢時にその体液を注射用針(21G)で採取し、PCRにより遺伝子の導入をスクリーニングした。PCRは配列番号3および配列番号4のプライマーを用いて宝酒造(株)製のPremix Taqにより行った。すなわち、Premix Taqを最終濃度2倍希釈、プライマーそれぞれ0.5μMとなるように調製した液を20μLずつ分注し、体液を0.5〜2μL加え、DNAの変性条件を94℃、30秒、プライマーのアニーリング条件を55℃、30秒、DNAプライマーの伸長反応条件を72℃、2分の各条件でBioRad社のサーマルサイクラーを用い、30サイクル反応させた。これらの反応液を1%アガロースゲルにて電気泳動し、約1.8kbpのDNA断片が確認されたものを、遺伝子導入陽性と判断した。その結果、染色体中にイヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子の発現カセットが導入された遺伝子組換えカイコが得られた。
実施例6 ポリアクリルアミドゲル電気泳動による絹糸腺組織中の組換えタンパク質の発現解析
非形質転換カイコ、HP・VP・HA形質転換カイコの後部絹糸腺組織、および絹糸を回収し、イヌパルボウイルスVP2タンパク質の発現をSDS-PAGEにより調べた。カイコ後部絹糸腺は100mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)中でホモジナイズし、遠心分離後上清を回収しサンプルとし、カイコ絹糸は10mgあたり4mlの60%LiSCNを加え攪拌後、終夜室温に静置し溶解したものを8M尿素・2%SDS・5%2-メルカプトエタノールで10培希釈したものをサンプルとした。タンパク質量を推定するための標準品であるウシ血清アルブミンタンパク質とともにサンプルをSDS-PAGE後、銀染色を行った。その結果非形質転換カイコからは分子量約65000のイヌパルボウイルスVP2タンパク質が検出されなかったのに対し、HP・VP・HAコンストラクト導入形質転換カイコの絹糸腺組織および絹糸からはイヌパルボウイルスVP2タンパク質が検出された。
その結果を目視により、濃度既知のイヌパルボウイルスVP2タンパク質のシグナル強度と比較しタンパク質含量を測定したところ、HP・VP・HA形質転換カイコでは絹糸重量の約6.0〜12.0%のイヌパルボウイルスVP2タンパク質が産生されており、これはカイコ一頭当たりの重量に換算すると5.0〜10.0mgであった。
実施例7 イヌパルボウイルスVP2タンパク質を含むカイコ絹糸粉末の作製
得られたイヌパルボウイルスVP2タンパク質を含んだ遺伝子組換えカイコの繭10個を細かく切り刻んだ後、すり鉢に移し、エタノール100ml中で粉砕した。固まりが見えなくなった時点で回収し、エバポレ−ターでエタノールをとり除き、粉末を回収した。このサンプル中のイヌパルボウイルスVP2タンパク質含量を実施例6と同様の方法で測定したところ0.1%であった。
実施例8 イヌパルボウイルスVP2タンパク質を含むカイコ絹糸粉末を投与したマウス血中の抗体価の測定
実施例7で作製したイヌパルボウイルスVP2タンパク質を含んだ絹糸粉末を以下の条件でマウスに免疫し、その血中におけるイヌパルボウイルスVP2タンパク質に対する抗体価を測定した。
9週齢のメスBalb/cマウス3匹の背部皮下に、1頭あたり上記の絹糸粉末0.3mgまたは1mgを生理食塩水に懸濁したものをフロイントの完全アジュバントと等量混合しエマルジョン化し注射した。さらに2週間置きにそれぞれ絹糸粉末0.3mg、1mgをフロイントの不完全アジュバントとともに4回追加免疫した。途中、各免疫の1週後に採血を行い、得られた血清をイヌパルボウイルスVP2タンパク質ELISAに用いることにより、その血中抗体価を求めた。
イヌパルボウイルスVP2タンパク質ELISAの方法は、以下のように行った。イヌパルボウイルスVP2タンパク質10μg/mlの水溶液を96ウエルプレートに加え一晩4℃に置きコートする。プレートを洗浄後、ブロッキングした後、洗浄しマウスから採取した血清を適当な倍数に希釈したサンプルを加え37℃で1時間反応させる。プレートを洗浄後、アルカリフォスファターゼ標識抗マウス2次抗体を加え37℃で1時間反応させ、さらに洗浄後、アルカリフォスファターゼ発色基質を加え、30分もしくは1時間反応後のOD値をプレートリーダーで読み取る。
Figure 2005097229
その結果、3回接種後のマウスのうち、0.3mg投与群で3匹中1匹、1mg投与群で3匹中2匹のマウスの血中抗体価の上昇が確認され、さらに4回接種以降は1mg投与群で全匹に血中抗体価の上昇が確認された。
このことから、イヌパルボウイルスVP2タンパク質を含んだ絹糸粉末が抗原となり、ワクチンの作用である抗体の産生を誘導できることがわかった。
実施例9 イヌパルボウイルスVP2タンパク質のカイコ絹糸からの調製
得られたイヌパルボウイルスVP2タンパク質を含んだ遺伝子組換えカイコの繭を細かく切り刻んだ後、12.5mgを秤量し10mlの60%リチウムチオシアネート(LiSCN、関東化学)を加え、一晩振とうすることにより溶解させた。その溶液中の純度はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により約10%であった。これをさらに500倍容量の2mM塩化カルシウム、150mM HEPES(pH7.2)を用いて6時間以上の透析を3回行い、不溶物を除いた後、さらに20%飽和の硫酸アンモニウム沈殿を行ったところ、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後の銀染色によりほぼ100%の純度のイヌパルボウイルスVP2タンパク質が得られた。またこれらの精製操作によるイヌパルボウイルスVP2タンパク質の回収率は約80%であった。
実施例10 カイコ絹糸より調製したイヌパルボウイルスVP2タンパク質を投与したマウス血中の抗体価の測定
実施例9で作製したイヌパルボウイルスVP2タンパク質を以下の条件でマウスに免疫し、その血中におけるイヌパルボウイルスVP2タンパク質に対する抗体価を測定した。
9週齢のメスBalb/cマウス3匹の背部皮下に、1頭あたり上記のサンプル1μgを生理食塩水またはフロイントの完全アジュバントと等量混合し、後者の場合エマルジョン化した後、それぞれ注射した。さらに2週間置きに同様のサンプルをアジュバント群の場合は、混合物をフロイントの不完全アジュバントとして2回追加免疫した。途中、各免疫の1週後に採血を行い、得られた血清をイヌパルボウイルスVP2タンパク質ELISAを用いることにより、その血中抗体価を求めた。
Figure 2005097229
その結果、抗原タンパク質のみの投与では有為な血中抗体価の上昇はみられなかったが、アジュバントとともに投与した群では2回投与以降、全匹に有為な血中抗体価の上昇が確認された。
このことから、カイコ絹糸より調製したイヌパルボウイルスVP2タンパク質が抗原となり、ワクチンの作用である抗体の産生を誘導できることがわかった。
本発明は、絹糸由来成分を含むワクチンおよびその製造方法、抗原タンパク質遺伝子が染色体に組み込まれたカイコを利用した組換え抗原タンパク質の製造方法に関するものであり、絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を産生する性質を持つ遺伝子組換えカイコ、ならびに、その組換えカイコを作製するためのカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクターを提供することが出来る。

Claims (40)

  1. 抗原タンパク質および絹糸由来成分を含むことを特徴とするワクチン。
  2. 動物に投与したときに、その血中に抗原タンパク質に対する抗体を誘導できることを特徴とする請求項1記載のワクチン。
  3. 免疫を賦活化する物質を含むことを特徴とする請求項1または2記載のワクチン。
  4. 抗原タンパク質を含んだ絹糸を、粉末化、粒子化、または可溶化することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のワクチン。
  5. 抗原タンパク質が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のワクチン。
  6. 染色体に抗原タンパク質遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコを作製し、得られた遺伝子組換えカイコの絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を生産させた後、その絹糸から調製することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のワクチンの製造方法。
  7. 絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に結合された抗原タンパク質遺伝子を、染色体に組み込むことを特徴とする請求項6記載のワクチンの製造方法。
  8. 絹糸腺特異的に発現するプロモーターが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであることを特徴とする請求項7記載のワクチンの製造方法。
  9. 抗原タンパク質遺伝子がトランスポゾン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とする請求項8記載のワクチンの製造方法。
  10. トランスポゾン由来の末端逆位配列が、昆虫由来であることを特徴とする請求項9に記載のワクチンの製造方法。
  11. トランスポゾンが、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンpiggyBac由来であることを特徴とする請求項10記載のワクチンの製造方法。
  12. 抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来の遺伝子であることを特徴とする請求項6から11のいずれか1項記載のワクチンの製造方法。
  13. ウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする請求項12記載のワクチンの製造方法。
  14. 抗原タンパク質を含んだ絹糸を、粉末化、粒子化、または可溶化し、動物に投与したときに、その血中に抗原タンパク質に対する抗体を誘導できることを特徴とする絹組成物。
  15. さらに免疫を賦活化する物質を含むことを特徴とする請求項14記載の絹組成物。
  16. 抗原タンパク質が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする請求項14または15記載の絹組成物。
  17. 染色体に抗原タンパク質遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコを作製し、得られた遺伝子組換えカイコの絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を生産させた後、その絹糸から調製することを特徴とする請求項14から16のいずれか1項記載の絹組成物の製造方法。
  18. 絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に結合された抗原タンパク質遺伝子を、染色体に組み込むことを特徴とする請求項17記載の絹組成物の製造方法。
  19. 絹糸腺特異的に発現するプロモーターが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであることを特徴とする請求項18記載の絹組成物の製造方法。
  20. 抗原タンパク質遺伝子がトランスポゾン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とする請求項19記載の絹組成物の製造方法。
  21. トランスポゾン由来の末端逆位配列が、昆虫由来であることを特徴とする請求項20に記載の絹組成物の製造方法。
  22. トランスポゾンが、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンpiggyBac由来であることを特徴とする請求項21記載の絹組成物の製造方法。
  23. 抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来の遺伝子であることを特徴とする請求項17から22のいずれか1項記載の絹組成物の製造方法。
  24. ウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする請求項23記載の絹組成物の製造方法。
  25. 染色体に抗原タンパク質遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコを作製し、得られた遺伝子組換えカイコの絹糸腺または絹糸に組換え抗原タンパク質を生産させた後、その絹糸腺または絹糸から、抗原性を持った抗原タンパク質を回収することを特徴とする組換え抗原タンパク質の製造方法。
  26. 絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に結合された抗原タンパク質遺伝子を、染色体に組み込むことを特徴とする請求項25記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
  27. 絹糸腺特異的に発現するプロモーターが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであることを特徴とする請求項26記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
  28. 抗原タンパク質遺伝子がトランスポゾン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とする請求項27記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
  29. トランスポゾン由来の末端逆位配列が、昆虫由来であることを特徴とする請求項28に記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
  30. トランスポゾンが、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンpiggyBac由来であることを特徴とする請求項29記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
  31. 抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来の遺伝子であることを特徴とする請求項25から29のいずれか1項記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
  32. ウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質遺伝子であることを特徴とする請求項31記載の組換え抗原タンパク質の製造方法。
  33. 染色体中に抗原タンパク質遺伝子が導入され、かつ、絹糸腺または絹糸に抗原タンパク質を産生する性質を持つ遺伝子組換えカイコ。
  34. 染色体に導入された抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来であることを特徴とする請求項33記載の遺伝子組換えカイコ。
  35. 染色体に導入されたウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質をコードする遺伝子であることを特徴とする請求項34記載の遺伝子組換えカイコ。
  36. 抗原タンパク質遺伝子を、絹糸腺特異的に発現するプロモーターの下流に連結することを特徴とするカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
  37. プロモーターが、フィブロインH鎖遺伝子のプロモーターであることを特徴とする請求項36に記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
  38. 抗原タンパク質遺伝子が、トランスポゾン由来の2対の末端逆位配列の間に位置することを特徴とする請求項36または37に記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
  39. 抗原タンパク質遺伝子が、ウイルス由来であることを特徴とする請求項36から38のいずれか1項記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
  40. ウイルス由来の遺伝子が、イヌパルボウイルスVP2タンパク質をコードする遺伝子であることを特徴とする請求項39記載のカイコ染色体への外来遺伝子導入用ベクター。
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