JP2003321762A - 窒化物を有するAl−Nb系合金薄板及びその製造方法並びに電解コンデンサ - Google Patents

窒化物を有するAl−Nb系合金薄板及びその製造方法並びに電解コンデンサ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 漏れ電流を顕著に低減することができて小型
でかつ大容量の電解コンデンサの提供を可能ならしめる
Al−Nb系合金薄板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 Al−Nb系合金からなる薄板の表層部
に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子6の表面の少
なくとも一部を窒化してAl−Nb−N系窒化層4を形
成した構成とする。本構成の薄板は、溶融Al−Nb系
合金を、窒素ガス含有率が20 vol%以上である不活性
雰囲気下においてロールに吹き付けて急冷凝固させてる
ことによって製造できる。この薄板をエッチング、化成
処理すれば、核部Al−Nbの周囲に窒化層を介して酸
化皮膜が形成された3層構造となり、該窒化層の存在に
より漏れ電流の発生が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電解コンデンサ
用電極材料として好適に用いられる窒化物を有するAl
−Nb系合金薄板及びその製造方法並びに該薄板を用い
た電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器のデジタル化が進むのに
伴い、例えば携帯電話やパーソナルコンピューター等の
電子機器に使用されるコンデンサとしては小型で大容量
のものが望まれている。このようなコンデンサの中でア
ルミニウム型電解コンデンサの電極箔としては、従来の
アルミニウム材料からAl−Zr系合金、Al−Nb系
合金等に代替することが特開平1−124212号公報
で提案されている。具体的には、例えばAl−Nb系合
金は、Al−Nb固溶相の中にAl−Nb金属間化合物
微粒子が析出した構成であり、これがエッチング処理・
化成処理されるとこのAl−Nb金属間化合物(3)の
表面に酸化皮膜層(Al−Nb−O系)(5)が形成さ
れたものとなる(図6参照)。これらZrやNbの酸化
皮膜の誘電率は、アルミニウムの酸化皮膜の誘電率より
も相当に大きく、これによりコンデンサとして大きな静
電容量を確保できるものとなることが期待される。中で
も、Nbの酸化皮膜の誘電率は特に大きいことから、A
l−Nb系合金からなる電極箔は、小型でかつ大容量
(静電容量)のコンデンサを構成できるものとして、か
なり注目されていた時期があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記A
l−Nb系合金からなる電極箔を用いて構成された電解
コンデンサは、漏れ電流が大きく生じるという致命的な
問題を抱えていた。従って、業界においても従来のアル
ミニウム型電解コンデンサ、Al−Zr系合金型電解コ
ンデンサと比較しても性能的に相当に劣るという評価が
一般的となっていた。このような背景から、これまでに
Al−Nb系合金からなる電極箔を用いた小型で大容量
の電解コンデンサは実用化されるに至っていないのが現
状であった。
【0004】この発明は、かかる技術的背景に鑑みてな
されたものであって、漏れ電流を顕著に低減することが
できて小型でかつ大容量の電解コンデンサの提供を可能
ならしめるAl−Nb系合金薄板及びその製造方法を提
供すると共に、漏れ電流が少なく小型で大容量の電解コ
ンデンサを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は鋭意研究の結果、Al−Nb系合金薄板
の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子の表
面の少なくとも一部を窒化した構成とすることにより、
漏れ電流を顕著に低減できることを見出すに至り、この
発明を完成したものである。
【0006】この発明に係る窒化物を有するAl−Nb
系合金薄板は、Al−Nb系合金からなる薄板であっ
て、薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微
粒子の表面の少なくとも一部が窒化されていることを特
徴とするものである。この薄板を化成処理して形成され
る酸化皮膜(Al−Nb−O系)は誘電率が非常に大き
いので、大きな静電容量を確保できる。また、薄板の表
層部に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子の表面の
少なくとも一部が窒化されているので、漏れ電流の発生
を効果的に防止することができる。これにより小型でか
つ大容量の電解コンデンサの提供が可能となる。
【0007】上記表層部に存在するAl−Nb金属間化
合物微粒子の表面の全体が窒化されているのが好まし
く、これにより漏れ電流量をさらに低減できる。従っ
て、より大容量の電解コンデンサの提供が可能となる。
【0008】また、この発明の別の窒化物を有するAl
−Nb系合金薄板は、Al−Nb系合金からなる薄板で
あって、薄板のエッチング対象領域に存在するAl−N
b金属間化合物微粒子の表面の少なくとも一部が窒化さ
れていることを特徴とするものである。この薄板を化成
処理して形成される酸化皮膜(Al−Nb−O系)は誘
電率が非常に大きいので、大きな静電容量を確保でき
る。また、薄板のエッチング対象領域に存在するAl−
Nb金属間化合物微粒子の表面の少なくとも一部が窒化
されているので、漏れ電流の発生を効果的に防止するこ
とができる。更に、薄板の表層部のみならず、薄板のエ
ッチング対象領域においてもAl−Nb金属間化合物微
粒子の表面の少なくとも一部が窒化されているので、漏
れ電流の発生が確実に防止され得る。これにより小型で
かつ大容量の電解コンデンサの提供が可能となる。
【0009】上記薄板のエッチング対象領域に存在する
Al−Nb金属間化合物微粒子の表面の全体が窒化され
ているのが好ましく、これにより漏れ電流量をさらに低
減できる。従って、より大容量の電解コンデンサの提供
が可能となる。
【0010】上記いずれの構成においても、Nbの含有
率は、薄板全体に対して3質量%以上であるのが好まし
く、この場合には静電容量をさらに大きくすることがで
きる利点がある。
【0011】また、N(窒素)の含有率は、前記窒化さ
れたAl−Nb金属間化合物微粒子全体に対して20〜
100000質量ppmとするのが好ましい。このよう
な範囲とすることで、漏れ電流量を一層低減できるの
で、一層大容量の電解コンデンサの提供が可能となる。
【0012】また、薄板の厚さは20〜500μmとす
るのが好ましく、これにより小型で大容量の電解コンデ
ンサとしてより軽量化されたものを提供できる。
【0013】また、この発明の別の窒化物を有するAl
−Nb系合金薄板は、上記いずれかの構成に係る窒化物
を有するAl−Nb系合金薄板がエッチングされてなる
ことを特徴とするものである。エッチングにより表面積
が大きく拡大されるので、漏れ電流の発生が効果的に防
止された小型大容量の電解コンデンサの提供が可能とな
る。
【0014】上記エッチング倍率は10〜200倍であ
るのが好ましく、この場合には静電容量をさらに一層大
きくすることができる利点がある。
【0015】また、この発明の別の窒化物を有するAl
−Nb系合金薄板は、上記エッチングされたAl−Nb
系合金薄板を化成処理して得られたものである。化成処
理によって誘電率の大きい酸化皮膜が形成されるので、
漏れ電流の発生が効果的に防止された小型大容量の電解
コンデンサの提供が可能となる。
【0016】また、この発明の別の窒化物を有するAl
−Nb系合金薄板は、Al−Nb系合金からなる薄板で
あって、薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合
物微粒子が、内核部Al−Nb金属間化合物の周囲にA
l−Nb−N系窒化層を介してAl−Nb−O系酸化皮
膜層が形成された3層構造であることを特徴とする。A
l−Nb金属間化合物微粒子において、内核部Al−N
bとAl−Nb−O系酸化皮膜層との間にAl−Nb−
N系窒化層が介在された構成であり、この窒化層の存在
によって漏れ電流の発生が効果的に防止されるものとな
る。これにより、小型でかつ大容量の電解コンデンサの
提供が可能となる。
【0017】この発明に係る電解コンデンサは、上記い
ずれかの窒化物を有するAl−Nb系合金薄板を、陽極
及び/又は陰極に用いて構成されたことを特徴とするも
のである。これにより、漏れ電流の発生が効果的に防止
された小型でかつ大容量の電解コンデンサとなる。
【0018】上記電解コンデンサにおいて、化成処理で
形成された酸化皮膜の主成分は、Al2 3 及びNb2
5 からなる群より選ばれる1種または2種の化合物で
あるのが好ましい。これにより酸化皮膜の誘電率が一層
大きくなるので、電解コンデンサの静電容量をさらに向
上させることができる。なお、「主成分」の語は、上記
特定化合物(2種の場合は併せて)が50質量%以上を
占める状態を意味するものとする。
【0019】また、上記電解コンデンサにおいて、陰極
としては、電解液、有機半導体及び無機半導体からなる
群より選ばれる1種または2種以上の物質が用いられて
いるのが好ましい。
【0020】この発明に係る窒化物を有するAl−Nb
系合金薄板の製造方法(第1製造方法)は、溶融金属を
回転しているロールに吹き付けて急冷凝固させることに
よって金属の薄板を得る製造方法において、前記溶融金
属として溶融Al−Nb系合金を用いるものとし、かつ
少なくとも溶融金属を急冷凝固させる雰囲気を、窒素ガ
ス含有率が20 vol%以上である不活性雰囲気とするこ
とを特徴とする。少なくとも溶融金属を急冷凝固させる
雰囲気を、窒素ガス含有率が20 vol%以上である不活
性雰囲気としているので、得られる薄板の表層部に存在
するAl−Nb金属間化合物微粒子の表面の少なくとも
一部を窒化することができる。従って、得られた薄板を
用いれば漏れ電流の発生を効果的に防止することができ
るので、小型でかつ大容量の電解コンデンサの提供が可
能となる。また、薄板の製造と窒化処理を同時に行うこ
とができるので、生産性に非常に優れている。
【0021】上記製造方法において、不活性雰囲気にお
ける窒素ガス含有率は40 vol%(体積%)以上である
のが好ましい。この場合には、得られる薄板において窒
化物の生成量を増大できるので、漏れ電流量が一層低減
され、ひいては一層大容量の電解コンデンサの提供が可
能となる。
【0022】上記製造方法において、不活性雰囲気にお
ける窒素ガス以外のガスとしてアルゴン、ヘリウム等の
不活性ガスを用いる場合には、酸化等の反応を生じさせ
ることなく窒化反応を確実に行わしめることができる。
【0023】さらに、上記いずれかの製造方法で得られ
た窒化物を有するAl−Nb系合金薄板を、窒素ガス含
有率が20 vol%以上である不活性雰囲気中で高温加熱
するのが好ましい。これによって、窒化物の生成量をさ
らに増やすことができ、漏れ電流の発生が一層効果的に
防止される薄板を製造できる。
【0024】この発明に係る別の窒化物を有するAl−
Nb系合金薄板の製造方法(第2製造方法)は、Al−
Nb系合金薄板を製造する工程と、得られたAl−Nb
系合金薄板を、窒素ガス含有率が20 vol%以上である
不活性雰囲気中で高温加熱することにより、前記薄板の
表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子の表面
の少なくとも一部を窒化する工程とを包含することを特
徴とする。上記窒化工程において、薄板の表層部に存在
するAl−Nb金属間化合物微粒子の表面の少なくとも
一部を窒化することができる。従って、得られた薄板を
用いれば漏れ電流の発生を効果的に防止することができ
るので、小型でかつ大容量の電解コンデンサの提供が可
能となる。
【0025】また、この発明に係る別の窒化物を有する
Al−Nb系合金薄板の製造方法(第3製造方法)は、
Al−Nb系合金薄板を製造する工程と、得られたAl
−Nb系合金薄板をエッチングする工程と、前記エッチ
ング後のAl−Nb系合金薄板を、窒素ガス含有率が2
0 vol%以上である不活性雰囲気中で高温加熱すること
により、前記薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間
化合物微粒子の表面の少なくとも一部を窒化する工程と
を包含することを特徴とする。上記窒化工程において、
薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子
の表面の少なくとも一部を窒化することができる。従っ
て、得られた薄板を用いれば漏れ電流の発生を効果的に
防止することができるので、小型でかつ大容量の電解コ
ンデンサの提供が可能となる。また、この第3製造方法
では、薄板のエッチングを行ってから窒化処理を行うも
のである。エッチングの際にはアルミのマトリックスの
方がAl−Nb金属間化合物よりも溶解されやすいの
で、エッチング後に窒化処理を行った方が、外に露出し
たAl−Nb−N系窒化物が多くなり、これにより漏れ
電流の発生を一層効果的に防止できる利点がある。な
お、前記高温加熱の温度は500〜600℃の範囲に設
定するのが好ましい。
【0026】また、この発明の別の窒化物を有するAl
−Nb系合金薄板は、上記いずれかの製造方法で製造さ
れた窒化物を有するAl−Nb系合金薄板であって、薄
板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子の
表面の少なくとも一部が窒化されていることを特徴とす
るものであり、窒化物の存在により漏れ電流の発生が効
果的に防止されるので、小型でかつ大容量の電解コンデ
ンサの提供が可能となる。本構成の薄板において、Nb
の含有率が薄板全体に対して3質量%以上である場合に
は、静電容量をさらに大きくできる利点がある。また、
Nの含有率が、窒化されたAl−Nb金属間化合物微粒
子全体に対して20〜100000質量ppmである場
合には、漏れ電流量が一層低減されるので一層の大容量
化を図ることができる。更に、薄板の厚さが20〜50
0μmである場合には、さらなる軽量化を図ることがで
きる利点がある。
【0027】
【発明の実施の形態】この発明の窒化物を有するAl−
Nb系合金薄板の一実施形態を図1、2に示す。このA
l−Nb系合金薄板(1)は、該薄板の表層部(20)
に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子(析出物、デ
ンドライト)(6)の表面の少なくとも一部が窒化され
た構成を備えている。即ち、図2に示すように、薄板の
表層部(20)に存在するAl−Nb金属間化合物微粒
子(6)は、Al−Nb金属間化合物(3)を核部とし
て、その周囲の少なくとも一部にAl−Nb−N系窒化
物(4)が形成された構成であり、特に本実施形態で
は、Al−Nb金属間化合物(3)からなる核部の周囲
全体にAl−Nb−N系窒化層(4)が形成されてい
る。
【0028】このように表層部(20)に存在するAl
−Nb金属間化合物微粒子(6)の表面の少なくとも一
部が窒化されることによって、漏れ電流の発生が効果的
に防止されるものとなる。中でも、本実施形態のよう
に、表層部(20)に存在するAl−Nb金属間化合物
微粒子(6)の表面の全体が窒化されている場合には、
漏れ電流量をさらに低減できるので、より大容量(静電
容量)の電解コンデンサを提供できる。
【0029】前記Al−Nb金属間化合物微粒子(6)
は、Al−Nb固溶相の中に析出(晶出)して形成され
たものである。
【0030】なお、Al−Nb金属間化合物微粒子
(6)は、通常は薄板(1)の全体に分散して存在して
おり、そのうち少なくとも表層部(20)に存在するA
l−Nb金属間化合物微粒子(6)の表面の少なくとも
一部が窒化されていれば、漏れ電流発生防止効果が得ら
れるものとなる。
【0031】上記実施形態では、薄板(1)の表層部に
存在するAl−Nb金属間化合物微粒子(6)に対して
のみ、その表面の少なくとも一部が窒化された構成が採
用されているが、特に好ましいのは、更に厚さ方向に深
く入った領域、即ち薄板(1)のエッチング対象領域に
存在するAl−Nb金属間化合物微粒子(6)に対し
て、その表面の少なくとも一部が窒化された構成を採用
するのが好ましい。この場合には、図3、4に示すよう
に、エッチング処理及び化成処理を経ることによって表
面に露出したAl−Nb金属間化合物微粒子(7)は、
Al−Nb金属間化合物(3)とAl−Nb−O系酸化
皮膜層(5)との間に、Al−Nb−N系窒化物または
窒化層(4)が介在した構成を備えたものとなるので、
漏れ電流の発生を確実に防止することができる。勿論、
薄板(1)の全体にわたってAl−Nb金属間化合物微
粒子(6)の表面の少なくとも一部が窒化された構成を
採用しても良い。
【0032】この発明において、Nbの含有率は薄板
(1)全体に対して3質量%以上とするのが好ましい。
3質量%未満では、Al−Nb金属間化合物の含有量
(生成量)が十分でなく、十分に大きい静電容量を確保
するのが困難となるので、好ましくない。3質量%以上
であれば、どのような組成比率であっても、NbA
3 、Nb2 Al、Nb3 Alのいずれかの金属間化合
物を生成し得て、十分に大きい静電容量を確保できる。
中でも、5〜90質量%に設定されるのが好ましく、特
に好ましいのは7〜85質量%の範囲である。
【0033】また、Nの含有率は、窒化されたAl−N
b金属間化合物微粒子全体に対して20〜100000
質量ppmであるのが好ましい。20質量ppm未満で
は、漏れ電流発生の防止効果が十分に得られなくなるの
で好ましくないし、一方100000質量ppmを超え
るような窒化物の形成は困難である。中でも、50〜5
0000質量ppmに設定されるのが好ましく、特に好
ましいのは500〜20000質量ppmである。Nの
含有率は、LECO社製の酸素窒素分析器にて窒素を分
析して求めることができる。
【0034】また、薄板(1)の厚さは20〜500μ
mの範囲とするのが好ましい。20μm未満では、得ら
れた薄板において所々に孔が発生することが多いので、
好ましくない。一方、500μmを超えると、重量が増
大して電解コンデンサとして十分な軽量性を確保できな
くなるので、好ましくない。中でも、薄板(1)の厚さ
は50〜200μmの範囲とするのがより好ましい。
【0035】この発明に係る窒化物を有するAl−Nb
系合金薄板(1)を、電解コンデンサ用の電極箔として
用いる場合には、通常、該Al−Nb系合金薄板(1)
をエッチング処理して、望ましくは更に化成処理を施し
て用いる。
【0036】このようなエッチング処理、化成処理を経
たAl−Nb系合金薄板(2)を図3、図4に示す。こ
のAl−Nb系合金薄板(2)では、薄板(2)のエッ
チング対象領域(21)に存在するAl−Nb金属間化
合物微粒子(7)が、内核部Al−Nb金属間化合物
(3)の周囲にAl−Nb−N系窒化層(4)を介して
Al−Nb−O系酸化皮膜層(5)が形成された3層構
造を有している。このようなAl−Nb−N系窒化層
(4)が介在されているので、漏れ電流の発生を確実に
防止することができる。なお、本実施形態では、窒化物
の層(4)が形成されているが、特にこのような層状の
ものに限定されるものではなく、内核部Al−Nb金属
間化合物(3)とAl−Nb−O系酸化皮膜層(5)の
間の一部に窒化物が存在する態様であっても、漏れ電流
発生防止効果は得られる。
【0037】上記エッチング処理の際のエッチング倍率
は10〜200倍とするのが好ましい。10倍未満では
十分な静電容量が得られなくなるので好ましくない。ま
た、200倍を超えるエッチング倍率でのエッチングを
施すのは困難である。中でも、エッチング処理の際のエ
ッチング倍率は50〜150倍とするのが一層好まし
い。なお、エッチング処理の条件は特に限定されない。
エッチング倍率は、N2を吸着させてその吸着量により
表面積を算出する方法(ベット法)で求める。
【0038】上記化成処理としては、特に限定されるも
のではないが、例えばホウ酸浴あるいはアジピン酸浴中
での化成処理等が挙げられる。この化成処理の条件も特
に限定されない。
【0039】この発明に係る電解コンデンサは、上記窒
化物を有するAl−Nb系合金薄板(1)(2)を、陽
極及び/又は陰極に用いて構成されたものである。この
発明の窒化物を有するAl−Nb系合金薄板を電極に用
いているので、漏れ電流の発生が効果的に防止されて、
小型でかつ大容量の電解コンデンサとなる。
【0040】上記電解コンデンサにおいて、酸化皮膜
(5)の主成分は、Al2 3 及びNb2 5 からなる
群より選ばれる1種または2種の化合物であるのが好ま
しい。これにより、酸化皮膜(5)の誘電率が一層大き
くなるので、電解コンデンサとしての静電容量をさらに
向上させることができる。
【0041】上記電解コンデンサにおいて、陰極として
は、電解液、有機半導体及び無機半導体からなる群より
選ばれる1種または2種以上の物質が用いられているの
が好ましい。
【0042】この発明に係る窒化物を有するAl−Nb
系合金薄板(1)は、例えば次のような製造方法で製造
できる。
【0043】まず、第1の製造方法について説明する。
図5に示すように、チャンバー(30)内において、る
つぼ容器(31)内の溶融Al−Nb系合金(34)
を、ノズル(32)を介して、回転しているロール(3
3)に吹き付けて、合金(34)を急冷凝固させること
によって薄板(1)を得る。この際、少なくとも溶融金
属を急冷凝固させる雰囲気(35)を、窒素ガス含有率
が20 vol%以上である不活性雰囲気とすることが必要
であり、このような条件下で急冷凝固させることで、得
られる薄板(1)の表層部(20)に存在するAl−N
b金属間化合物微粒子(6)の表面の少なくとも一部を
窒化することができる、即ちこの発明の窒化物を有する
Al−Nb系合金薄板(1)を製造することができる。
また、本第1製造方法によれば、薄板の製造と窒化処理
を同時に行うことができるので、生産性に非常に優れる
という利点がある。前記窒素ガス含有率が20 vol%未
満の場合には、窒化物の生成量が少なくなり、漏れ電流
発生防止効果が十分に得られなくなる。
【0044】前記ロール(33)としては、水冷式等の
冷却ロールを用いるのが好ましい。
【0045】なお、本実施形態では、チャンバー(3
0)内の全体の雰囲気を、窒素ガス含有率が20 vol%
以上である不活性雰囲気としている。
【0046】上記第1製造方法において、少なくとも溶
融金属を急冷凝固させる雰囲気(35)を、窒素ガス含
有率が40 vol%以上である不活性雰囲気とするのが、
好ましい。このような条件で製造する場合には、得られ
る薄板(1)において窒化物の生成量を増大できるの
で、漏れ電流量を一層低減することができ、ひいては一
層大容量の電解コンデンサの提供が可能となる。
【0047】前記不活性雰囲気として、窒素ガス以外の
ガスを用いる場合には、アルゴン、ヘリウム等の不活性
ガスを用いるのが好ましく、これにより酸化等の反応を
生じさせることなく目的とする窒化反応を確実に行わし
めることができる。
【0048】上記第1製造方法で得られた窒化物を有す
るAl−Nb系合金薄板(1)は、更に窒素ガス含有率
が20 vol%以上である不活性雰囲気中で高温加熱する
のが好ましい。このような追加処理を行うことで、窒化
物の生成量をさらに増やすことができるので、漏れ電流
の発生を一層効果的に防止できる薄板(1)を製造でき
る。なお、前記高温加熱の温度は500〜600℃の範
囲に設定するのが好ましい。
【0049】次に、第2の製造方法について説明する。
まず、Al−Nb系合金薄板を製造する。この製造方法
は、特に限定されず、例えば圧延により薄板を製造して
も良いし、或いはアルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰
囲気中において、溶融Al−Nb系合金(34)を、回
転しているロール(33)に吹き付けて、合金(34)
を急冷凝固させることによって薄板(窒化物の形成な
し)を製造しても良い。
【0050】次いで、得られたAl−Nb系合金薄板
を、窒素ガス含有率が20 vol%以上である不活性雰囲
気中で高温加熱することにより、薄板(1)の表層部
(20)に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子
(6)の表面の少なくとも一部を窒化する。これによ
り、この発明の窒化物を有するAl−Nb系合金薄板
(1)を製造できる。なお、前記高温加熱の温度は50
0〜600℃の範囲に設定するのが好ましい。
【0051】
【実施例】次に、この発明の具体的実施例について説明
する。
【0052】<実施例1>Nb含有率が95質量%のA
l−Nb系合金(Al:5質量%、Nb:95質量%)
をるつぼ容器(31)内で溶かし、チャンバー(30)
内の雰囲気をアルゴン40 vol%/窒素60 vol%の雰
囲気に設定した状態で、このAl−Nb系合金溶湯(3
4)を、ロール周速20m/秒で回転する銅製水冷式単
ロール(33)の周面に吹き付けて急冷凝固させること
によって、窒素含有率10000質量ppm、厚さ10
0μmの薄板(6)を作成した。この薄板(6)を5%
塩酸溶液で直流30クーロン/cm2 でエッチング(エ
ッチング倍率100倍)した後、アジピン酸アンモニウ
ム水溶液によって25Vの化成を行って、電極用箔を作
製した。この箔を用いて後述する構成の電解コンデンサ
を作製した。
【0053】<実施例2〜6、23>Al−Nb系合金
としてNb含有率が表1に示す割合であるものを用いた
以外は、実施例1と同様にして、薄板を経て電極用箔を
作製し、前記と同様にして電解コンデンサを作製した。
【0054】<実施例7〜12、24>Nb含有率が1
2質量%のAl−Nb系合金(Al:88質量%、N
b:12質量%)をるつぼ容器(31)内で溶かし、チ
ャンバー(30)内の雰囲気をアルゴン40 vol%/窒
素60 vol%の雰囲気に設定した状態で、このAl−N
b系合金溶湯(34)を、回転する銅製水冷式単ロール
(33)の周面に吹き付けて急冷凝固させることによっ
て、厚さ100μmの薄板(6)を作成した。この時、
溶湯温度、ロール周速を調整することによって、表1に
示す窒素含有率(質量ppm)を備えた薄板を得た。こ
の薄板(6)を5%塩酸溶液で直流30クーロン/cm
2 でエッチング(エッチング倍率100倍)した後、ア
ジピン酸アンモニウム水溶液によって25Vの化成を行
って、電極用箔を作製した。この箔を用いて後述する構
成の電解コンデンサを作製した。
【0055】<実施例13〜16、25>Nb含有率が
12質量%のAl−Nb系合金をるつぼ容器(31)内
で溶かし、チャンバー(30)内の雰囲気をアルゴン4
0 vol%/窒素60 vol%の雰囲気に設定した状態で、
このAl−Nb系合金溶湯(34)を、ロール周速20
m/秒で回転する銅製水冷式単ロール(33)の周面に
吹き付けて急冷凝固させることによって、窒素含有率1
0000質量ppmの薄板(6)を作成した。この時、
ノズル(32)から滴下する溶湯量及びノズルとロール
の間隔を調整することによって、表1に示す厚さの薄板
を得た。この薄板(6)を5%塩酸溶液で直流30クー
ロン/cm2 でエッチング(エッチング倍率100倍)
した後、アジピン酸アンモニウム水溶液によって25V
の化成を行って、電極用箔を作製した。この箔を用いて
後述する構成で電解コンデンサを作製した。
【0056】<実施例17〜20、26>Nb含有率が
12質量%のAl−Nb系合金をるつぼ容器(31)内
で溶かし、チャンバー(30)内の雰囲気をアルゴン4
0 vol%/窒素60 vol%の雰囲気に設定した状態で、
このAl−Nb系合金溶湯(34)を、ロール周速20
m/秒で回転する銅製水冷式単ロール(33)の周面に
吹き付けて急冷凝固させることによって、窒素含有率1
0000質量ppm、厚さ100μmの薄板(6)を作
成した。次に、この薄板(6)を5%塩酸溶液によって
表1に示す各エッチング倍率でエッチングした後、アジ
ピン酸アンモニウム水溶液によって25Vの化成を行っ
て、電極用箔を作製した。この箔を用いて後述する構成
の電解コンデンサを作製した。
【0057】<実施例21、22、比較例1>Nb含有
率が12質量%のAl−Nb系合金をるつぼ容器(3
1)内で溶かし、チャンバー(30)内の雰囲気を表1
に示す雰囲気(窒素ガス含有率が所定比率)に設定した
状態で、このAl−Nb系合金溶湯(34)を、ロール
周速20m/秒で回転する銅製水冷式単ロール(33)
の周面に吹き付けて急冷凝固させることによって、窒素
含有率10000質量ppm、厚さ100μmの薄板
(6)を作成した。この薄板(6)を5%塩酸溶液で直
流30クーロン/cm2 でエッチング(エッチング倍率
100倍)した後、アジピン酸アンモニウム水溶液によ
って25Vの化成を行って、電極用箔を作製した。この
箔を用いて後述する構成の電解コンデンサを作製した。
【0058】<実施例27>Nb含有率が12質量%の
Al−Nb系合金をるつぼ容器(31)内で溶かし、チ
ャンバー(30)内の雰囲気をアルゴン95 vol%以上
の雰囲気に設定した状態で、このAl−Nb系合金溶湯
(34)を、ロール周速20m/秒で回転する銅製水冷
式単ロール(33)の周面に吹き付けて急冷凝固させる
ことによって、厚さ100μmの薄板を作成した。次
に、この薄板を5%塩酸溶液によってエッチング倍率が
100倍になるようにエッチングした。次に、このエッ
チング後の薄板をアルゴン40 vol%/窒素60 vol%
の雰囲気中で550℃に加熱した。その後、アジピン酸
アンモニウム水溶液によって25Vの化成を行って、電
極用箔を作製した。この箔を用いて後述する構成の電解
コンデンサを作製した。
【0059】<コンデンサの作製方法(コンデンサの構
成)>エッチング・化成処理後の電極用箔から5×3.
5mmの小片を切り出し、この小片における長さ方向の
端部位置から1mm中に入り込んだ位置から2mm中に
入り込んだ位置にかけて幅1mm×長さ3.5mmで、
その表裏面のいずれにもポリメチルメタクリレート樹脂
で分割部を作製した。この分割部で区画された2つの区
画のうち大きい面積の区画部(3mm×3.5mm)を
再度アジピン酸アンモニウム水溶液によって化成した
後、ポリピロール(酸化剤を過硫酸アンモニウム、ドー
パントをアンソラキノンスルフォン酸ナトリウムとし、
ドーパントの存在下、ピロールと酸化剤との反応を繰り
返した)を陰極としてエッチング細孔に充填すると共
に、その表面にも析出させた。更に、カーボンペース
ト、銀ペーストを順に積層した後、別途準備したリード
フレームの所定箇所に接続し、エポキシ樹脂で封止する
ことによって、作動電圧10Vのチップ状電解コンデン
サを作製した。
【0060】上記のようにして得られた各電解コンデン
サに対して下記評価を行った。
【0061】<評価>各コンデンサのCV積(μFV/
cm2 )およびLC値(漏れ電流量)を測定した。これ
らの結果を表1に示す。なお、測定値は、いずれもコン
デンサ30個の測定値の平均値である。
【0062】
【表1】
【0063】<結果>表1から明らかなように、この発
明に係る実施例1〜27の電解コンデンサは、漏れ電流
が非常に少なく、小型で大容量のものとなることを確認
した。これに対して、比較例1の電解コンデンサは漏れ
電流が大きいものであった。
【0064】なお、Nbの含有率が好適範囲(3質量%
以上)にある実施例1〜6の電解コンデンサは、該好適
範囲を逸脱する実施例23の電解コンデンサよりも一段
と大きい容量を有していた。
【0065】また、Nの含有率が好適範囲(20〜10
0000質量ppm)にある実施例3、7〜12の電解
コンデンサは、該好適範囲を逸脱する実施例24の電解
コンデンサよりも漏れ電流が一層小さいものとなってい
た。
【0066】また、薄板厚さが好適範囲(20〜500
μm)にある実施例3、13〜16の電解コンデンサ
は、該好適範囲を逸脱する実施例25の電解コンデンサ
よりも軽量性に優れていた。
【0067】また、エッチング倍率が好適範囲(10〜
200倍)にある実施例3、17〜20の電解コンデン
サは、該好適範囲を逸脱する実施例26の電解コンデン
サよりも一段と大きい容量を有していた。
【0068】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、漏れ電流
の発生を効果的に防止できるので、この薄板を用いて電
解コンデンサを構成すれば、小型でかつ大容量のものを
提供できる。
【0069】請求項2に係る発明によれば、漏れ電流を
さらに低減できて、これにより一層大容量の電解コンデ
ンサの提供が可能となる。
【0070】請求項3に係る発明によれば、漏れ電流の
発生を一層効果的に防止できるので、この薄板を用いて
電解コンデンサを構成すれば、小型でかつより大容量の
ものを提供できる。
【0071】請求項4に係る発明によれば、漏れ電流を
さらに低減できて、これにより一層大容量の電解コンデ
ンサの提供が可能となる。
【0072】請求項5、6、7に係る発明によれば、静
電容量をさらに大きくすることができる利点がある。
【0073】請求項8、9、10に係る発明によれば、
漏れ電流をさらに一層低減することができる。
【0074】請求項11、12に係る発明によれば、こ
れを用いて電解コンデンサを構成すれば、小型大容量で
あり、しかもより軽量化されたものの提供が可能とな
る。
【0075】請求項13に係る発明によれば、エッチン
グにより表面積が大きく拡大されるので、漏れ電流の発
生が効果的に防止された小型大容量の電解コンデンサの
提供が可能となる。
【0076】請求項14、15に係る発明によれば、静
電容量をさらに一層大きくできる利点がある。
【0077】請求項16に係る発明によれば、化成処理
によって誘電率の大きい酸化皮膜が形成されるので、漏
れ電流の発生が効果的に防止された小型大容量の電解コ
ンデンサの提供が可能となる。
【0078】請求項17に係る発明によれば、核部Al
−Nb金属間化合物と酸化皮膜層との間に窒化層が介在
されているので、漏れ電流の発生が効果的に防止された
小型大容量の電解コンデンサの提供が可能となる。
【0079】請求項18に係る発明によれば、漏れ電流
の発生が効果的に防止された小型大容量の電解コンデン
サとなる。
【0080】請求項19に係る発明によれば、電解コン
デンサとしてその静電容量をさらに向上させることがで
きる。
【0081】請求項20に係る発明によれば、漏れ電流
の発生が効果的に防止された小型大容量の電解コンデン
サとなる。
【0082】請求項21に係る製造方法によれば、得ら
れる薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微
粒子の表面の少なくとも一部を窒化することができる。
従って、得られた薄板を用いれば漏れ電流の発生を効果
的に防止することができるので、小型でかつ大容量の電
解コンデンサの提供が可能となる。また、この製造方法
は、薄板の製造と窒化処理を同時に行うことができるの
で、生産性に非常に優れている。
【0083】請求項22に係る製造方法によれば、得ら
れる薄板において窒化物の生成量を増大できる。従っ
て、漏れ電流量が一層低減されるので、一層大容量の電
解コンデンサの提供が可能となる。
【0084】請求項23に係る製造方法によれば、酸化
等の反応を生じさせることなく窒化反応を確実に行わし
めることができる。
【0085】請求項24に係る製造方法によれば、窒化
物の生成量をさらに増やすことができ、漏れ電流の発生
が一層効果的に防止される薄板を製造できる。
【0086】請求項25に係る製造方法によれば、得ら
れる薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微
粒子の表面の少なくとも一部を窒化することができる。
従って、得られた薄板を用いれば漏れ電流の発生を効果
的に防止することができるので、小型でかつ大容量の電
解コンデンサの提供が可能となる。
【0087】請求項26に係る発明によれば、得られる
薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微粒子
の表面の少なくとも一部を窒化することができる。従っ
て、得られた薄板を用いれば漏れ電流の発生を効果的に
防止することができるので、小型でかつ大容量の電解コ
ンデンサの提供が可能となる。また、エッチング後に窒
化処理を行うので、露出したAl−Nb−N系窒化物が
多くなり、これにより漏れ電流の発生を一層効果的に防
止できる。
【0088】請求項27に係る発明によれば、窒化物の
存在により漏れ電流の発生が効果的に防止されるので、
小型でかつ大容量の電解コンデンサの提供が可能とな
る。
【0089】請求項28に係る発明によれば、静電容量
をさらに大きくすることができる利点がある。
【0090】請求項29に係る発明によれば、漏れ電流
をさらに一層低減することができる。
【0091】請求項30に係る発明によれば、これを用
いて電解コンデンサを構成すれば、小型大容量でありつ
つ、より軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る窒化物を有するA
l−Nb系合金薄板を示す拡大側面図である。
【図2】図1におけるAl−Nb金属間化合物微粒子の
模式的断面図である。
【図3】エッチング処理、化成処理を経たAl−Nb系
合金薄板を示す拡大側面図である。
【図4】図3におけるAl−Nb金属間化合物微粒子の
模式的断面図である。
【図5】この発明の製造方法の概略説明図である。
【図6】比較例1におけるAl−Nb金属間化合物微粒
子を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1…窒化物を有するAl−Nb系合金薄板 2…酸化皮膜が形成された、窒化物を有するAl−Nb
系合金薄板 3…Al−Nb金属間化合物 4…Al−Nb−N系窒化層 5…Al−Nb−O系酸化皮膜層 6…Al−Nb金属間化合物微粒子(エッチング・化成
処理前) 7…Al−Nb金属間化合物微粒子(エッチング・化成
処理後) 20…表層部 21…エッチング対象領域 33…冷却ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 27/02 102 C22C 27/02 102Z C22F 1/04 C22F 1/04 K C23C 28/04 C23C 28/04 C23F 1/00 C23F 1/00 Z C25D 11/04 C25D 11/04 E H01G 9/028 H01G 9/04 301 9/04 301 304 304 C22F 1/00 A 9/042 601 9/055 622 // C22F 1/00 661Z 601 680 622 681 661 684Z 680 691B 681 H01G 9/04 331 684 346 691 9/02 331 Fターム(参考) 4E004 DB02 NC08 TA06 TB04 4K028 AA02 AB02 AC08 4K044 AA06 AB02 BA12 BA18 BB03 BC14 CA04 CA12 CA17 4K057 WA05 WB05 WE08 WG10 WK10 WN01

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al−Nb系合金からなる薄板であっ
    て、薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微
    粒子の表面の少なくとも一部が窒化されていることを特
    徴とする窒化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  2. 【請求項2】 前記表層部に存在するAl−Nb金属間
    化合物微粒子の表面の全体が窒化されている請求項1に
    記載の窒化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  3. 【請求項3】 Al−Nb系合金からなる薄板であっ
    て、薄板のエッチング対象領域に存在するAl−Nb金
    属間化合物微粒子の表面の少なくとも一部が窒化されて
    いることを特徴とする窒化物を有するAl−Nb系合金
    薄板。
  4. 【請求項4】 前記薄板のエッチング対象領域に存在す
    るAl−Nb金属間化合物微粒子の表面の全体が窒化さ
    れている請求項3に記載の窒化物を有するAl−Nb系
    合金薄板。
  5. 【請求項5】 Nbの含有率が薄板全体に対して3質量
    %以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化
    物を有するAl−Nb系合金薄板。
  6. 【請求項6】 Nbの含有率が薄板全体に対して5〜9
    0質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒
    化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  7. 【請求項7】 Nbの含有率が薄板全体に対して7〜8
    5質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒
    化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  8. 【請求項8】 Nの含有率が、前記窒化されたAl−N
    b金属間化合物微粒子全体に対して20〜100000
    質量ppmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    窒化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  9. 【請求項9】 Nの含有率が、前記窒化されたAl−N
    b金属間化合物微粒子全体に対して50〜50000質
    量ppmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒
    化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  10. 【請求項10】 Nの含有率が、前記窒化されたAl−
    Nb金属間化合物微粒子全体に対して500〜2000
    0質量ppmである請求項1〜7のいずれか1項に記載
    の窒化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  11. 【請求項11】 薄板の厚さが20〜500μmである
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の窒化物を有する
    Al−Nb系合金薄板。
  12. 【請求項12】 薄板の厚さが50〜200μmである
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の窒化物を有する
    Al−Nb系合金薄板。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12に記載の窒化物を有す
    るAl−Nb系合金薄板がエッチングされてなることを
    特徴とする窒化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  14. 【請求項14】 エッチング倍率が10〜200倍であ
    る請求項13に記載の窒化物を有するAl−Nb系合金
    薄板。
  15. 【請求項15】 エッチング倍率が50〜150倍であ
    る請求項13に記載の窒化物を有するAl−Nb系合金
    薄板。
  16. 【請求項16】 請求項13〜15のいずれか1項に記
    載の窒化物を有するAl−Nb系合金薄板を化成処理し
    て得られた窒化物を有するAl−Nb系合金薄板。
  17. 【請求項17】 Al−Nb系合金からなる薄板であっ
    て、薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間化合物微
    粒子が、内核部Al−Nb金属間化合物の周囲にAl−
    Nb−N系窒化層を介してAl−Nb−O系酸化皮膜層
    が形成された3層構造であることを特徴とする窒化物を
    有するAl−Nb系合金薄板。
  18. 【請求項18】 請求項13〜17に記載の窒化物を有
    するAl−Nb系合金薄板を、陽極及び/又は陰極に用
    いて構成されたことを特徴とする電解コンデンサ。
  19. 【請求項19】 前記化成処理で形成された酸化皮膜の
    主成分が、Al2 3 及びNb2 5 からなる群より選
    ばれる1種または2種の化合物である請求項18に記載
    の電解コンデンサ。
  20. 【請求項20】 前記陰極として、電解液、有機半導体
    及び無機半導体からなる群より選ばれる1種または2種
    以上の物質が用いられている請求項18または19に記
    載の電解コンデンサ。
  21. 【請求項21】 溶融金属を回転しているロールに吹き
    付けて急冷凝固させることによって金属の薄板を得る製
    造方法において、 前記溶融金属として溶融Al−Nb系合金を用いるもの
    とし、かつ少なくとも溶融金属を急冷凝固させる雰囲気
    を、窒素ガス含有率が20 vol%以上である不活性雰囲
    気とすることを特徴とする窒化物を有するAl−Nb系
    合金薄板の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記不活性雰囲気における窒素ガス含
    有率が40 vol%以上である請求項21に記載の窒化物
    を有するAl−Nb系合金薄板の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記不活性雰囲気における窒素ガス以
    外のガスとしてアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用
    いる請求項21または22に記載の窒化物を有するAl
    −Nb系合金薄板の製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項21〜23のいずれか1項に記
    載の製造方法で得られた窒化物を有するAl−Nb系合
    金薄板を、窒素ガス含有率が20 vol%以上である不活
    性雰囲気中で高温加熱することを特徴とする窒化物を有
    するAl−Nb系合金薄板の製造方法。
  25. 【請求項25】 Al−Nb系合金薄板を製造する工程
    と、 得られたAl−Nb系合金薄板を、窒素ガス含有率が2
    0 vol%以上である不活性雰囲気中で高温加熱すること
    により、前記薄板の表層部に存在するAl−Nb金属間
    化合物微粒子の表面の少なくとも一部を窒化する工程と
    を包含することを特徴とする窒化物を有するAl−Nb
    系合金薄板の製造方法。
  26. 【請求項26】 Al−Nb系合金薄板を製造する工程
    と、 得られたAl−Nb系合金薄板をエッチングする工程
    と、 前記エッチング後のAl−Nb系合金薄板を、窒素ガス
    含有率が20 vol%以上である不活性雰囲気中で高温加
    熱することにより、前記薄板の表層部に存在するAl−
    Nb金属間化合物微粒子の表面の少なくとも一部を窒化
    する工程とを包含することを特徴とする窒化物を有する
    Al−Nb系合金薄板の製造方法。
  27. 【請求項27】 請求項21〜26のいずれか1項に記
    載の製造方法で製造された窒化物を有するAl−Nb系
    合金薄板であって、薄板の表層部に存在するAl−Nb
    金属間化合物微粒子の表面の少なくとも一部が窒化され
    ていることを特徴とする窒化物を有するAl−Nb系合
    金薄板。
  28. 【請求項28】 Nbの含有率が薄板全体に対して3質
    量%以上である請求項27に記載の窒化物を有するAl
    −Nb系合金薄板。
  29. 【請求項29】 Nの含有率が、前記窒化されたAl−
    Nb金属間化合物微粒子全体に対して20〜10000
    0質量ppmである請求項27または28に記載の窒化
    物を有するAl−Nb系合金薄板。
  30. 【請求項30】 薄板の厚さが20〜500μmである
    請求項27〜29のいずれか1項に記載の窒化物を有す
    るAl−Nb系合金薄板。
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