JP2003321716A - カルシウム及び重金属含有物の処理方法 - Google Patents

カルシウム及び重金属含有物の処理方法

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JP2003321716A
JP2003321716A JP2002128218A JP2002128218A JP2003321716A JP 2003321716 A JP2003321716 A JP 2003321716A JP 2002128218 A JP2002128218 A JP 2002128218A JP 2002128218 A JP2002128218 A JP 2002128218A JP 2003321716 A JP2003321716 A JP 2003321716A
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JP2002128218A
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Tsutomu Suzuki
務 鈴木
Takeaki Ogami
剛章 大神
Takayuki Suzuki
崇幸 鈴木
Masaya Ida
雅也 井田
Keiichi Miura
啓一 三浦
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Taiheiyo Cement Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルシウム及び重金属含有物から、カルシウ
ムを水酸化物として回収し、かつ、銅と、亜鉛及び鉛と
を分別して回収し得る処理方法を提供する。 【解決手段】 本発明の方法は、(A)飛灰等のカルシ
ウム及び重金属含有物と、硫酸を混合して、pH4以下
のスラリーとした後、濾過して、硫酸カルシウム及び硫
酸鉛を含む固形分と、銅及び亜鉛を含む液分を得る工程
と、(B)工程(A)で得られた固形分と、アルカリ化
剤を混合して、pH13.5以上のスラリーを得た後、
濾過して、水酸化カルシウムと、鉛を含む液分を得る工
程と、(C)工程(A)で得られた液分に、亜鉛または
鉄の粉末を添加した後、濾過して、銅と、亜鉛を含む液
分を得る工程と、(D)工程(B)で得られた液分と、
工程(C)で得られた液分とを混合した後、この混合液
のpHを9〜12に調整し、その後、濾過して、硫酸鉛
及び水酸化亜鉛を含む固形分と、液分を得る工程を含
む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルシウム及び重
金属含有物(例えば、焼却灰、焼却炉から発生する飛
灰、焼却灰溶融炉から発生する飛灰、セメント製造工程
から抽気される塩素バイパスダスト、エコセメント製造
におけるバグフィルターダスト等)から、カルシウム及
び重金属(具体的には、銅、亜鉛、鉛)を回収して、セ
メント原料及び非鉄精錬原料として再資源化するための
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、焼却灰、飛灰等の廃棄物を埋め立
て処分することによる環境汚染を回避するために、これ
ら廃棄物からカルシウム及び重金属を回収し、カルシウ
ムについてはセメント原料として利用し、重金属につい
ては非鉄精錬原料として利用する技術が開発されてい
る。例えば、特開2001−179215号公報には、
廃棄物を硫酸スラリーとして該廃棄物に含まれる銅およ
び亜鉛を液中に溶出させる硫酸浸出工程、この硫酸浸出
スラリーの固形分を分離してアルカリ浸出することによ
り固形分中の鉛を液中に溶出させるアルカリ浸出工程、
このアルカリ浸出スラリーを固液分離した濾液と上記硫
酸浸出スラリーの濾液とを混合し、濾液のpHを銅、亜
鉛および鉛の共沈領域に調整することによりこれらの金
属を共沈させて固液分離する混合沈澱工程からなる処理
系を有することを特徴とする廃棄物の処理方法が、記載
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載の技術
では、廃棄物に含まれている銅、亜鉛、鉛の各重金属を
分別させずに共沈させている。しかし、これらの重金属
は、非鉄精錬原料として用い得るものであるため、例え
ば、銅からなる固形分と、亜鉛及び鉛を含む固形分と
を、簡易な手段によって分別して回収することができれ
ば、好都合である。したがって、本発明は、焼却灰、飛
灰等のカルシウム及び重金属含有物から、カルシウム及
び重金属(具体的には、銅、亜鉛、鉛)を回収するに際
し、重金属から分離した状態でカルシウムを回収すると
ともに、銅からなる固形分と、亜鉛及び鉛を含む固形分
とを分別して回収することのできる処理方法を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、カルシウム及び重金
属含有物(例えば、カルシウム、銅、亜鉛、鉛の各成分
を含む飛灰)を硫酸で処理して、銅及び亜鉛を含む液分
を得た後、この液分に、銅よりもイオン化傾向の大きな
金属(例えば、亜鉛、鉄等)を添加すれば、当該金属粉
末を液中に金属イオンとして溶解させ、かつ、液中の銅
イオンを固体の銅として析出させることができること、
及び、当該金属粉末に由来する液中の金属イオン(例え
ば、亜鉛、鉄等)を、後工程である鉛及び亜鉛回収工程
において、カルシウム及び重金属含有物に由来する鉛及
び亜鉛と共に回収することができること、そして、これ
らの工程を含むことによって、容易かつ効率的に、カル
シウム、銅、及び他の重金属(鉛、亜鉛)を分別して回
収することができることを見出し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明(請求項1)のカルシウ
ム及び重金属含有物の処理方法は、(A)カルシウム及
び重金属含有物(例えば、飛灰等のカルシウム及び重金
属を含むダスト)と水とを硫酸の存在下で混合してスラ
リーとした後、該スラリーを濾過等によって固液分離し
て、鉛(具体的には、硫酸鉛)及びカルシウム(具体的
には、硫酸カルシウム)を含む固形分と、上記カルシウ
ム及び重金属含有物から溶出した銅及び亜鉛を含む液分
とを得る硫酸処理工程と、(B)上記硫酸処理工程
(A)で得られた固形分と、水と、アルカリ化剤(例え
ば、水酸化ナトリウム)とを混合して、アルカリ性のス
ラリーを得た後、該スラリーを濾過等によって固液分離
して、カルシウム(具体的には、水酸化カルシウム)を
含む固形分と、鉛(具体的には、硫酸鉛が再溶解して金
属イオンとなったもの)を含む液分とを得るカルシウム
回収工程と、(C)上記硫酸処理工程(A)で得られた
液分に、銅よりもイオン化傾向の大きな金属(例えば、
亜鉛、鉄等の金属粉末)を添加して、銅からなる固形分
(すなわち、液中の銅イオンが金属単体として析出した
もの)と、亜鉛を含む液分とを得る銅回収工程と、
(D)上記カルシウム回収工程(B)で得られた液分
と、上記銅回収工程(C)で得られた液分とを混合した
後、得られた混合液のpHを鉛及び亜鉛の共沈領域に調
整し、その後、該混合液を濾過等によって固液分離し
て、鉛及び亜鉛を含む固形分と、液分とを得る鉛及び亜
鉛回収工程とを含むことを特徴とする。このように構成
すれば、カルシウム及び重金属含有物から、容易かつ効
率的に、カルシウム、銅、及び他の重金属(鉛、亜鉛)
を分別して回収することができる。
【0006】上記カルシウム及び重金属含有物の処理方
法の好適な実施形態として、(A)カルシウム及び重金
属含有物と水とを硫酸の存在下で混合して、pHが4.
0以下であるスラリーとした後、固液分離して、鉛及び
カルシウムを含む固形分と、上記カルシウム及び重金属
含有物から溶出した銅及び亜鉛を含む液分とを得る硫酸
処理工程と、(B)上記硫酸処理工程(A)で得られた
固形分と、水と、アルカリ化剤とを混合して、pHが1
3.5以上であるスラリーを得た後、該スラリーを固液
分離して、カルシウムを含む固形分と、鉛を含む液分と
を得るカルシウム回収工程と、(C)上記硫酸処理工程
(A)で得られた液分に、銅よりもイオン化傾向の大き
な金属を添加して、銅からなる固形分と、亜鉛を含む液
分とを得る銅回収工程と、(D)上記カルシウム回収工
程(B)で得られた液分と、上記銅回収工程(C)で得
られた液分とを混合した後、得られた混合液のpHを
9.0〜12.0に調整し、その後、該混合液を固液分
離して、鉛及び亜鉛を含む固形分と、液分とを得る鉛及
び亜鉛回収工程とを含むものを挙げることができる(請
求項2)。このように各工程のスラリー(または混合
液)のpHを特定の数値範囲内に調整することによっ
て、本発明の目的をより確実に達成することができる。
【0007】上記銅回収工程(C)において、銅よりも
イオン化傾向の大きな上記金属として、例えば、液中の
銅イオンの0.8〜1.1倍当量の亜鉛または鉄を用い
ることができる(請求項3)。このように特定の量の亜
鉛または鉄を用いることによって、液中の銅イオンを固
体の銅として円滑に析出させることができ、かつ、後工
程である鉛及び亜鉛回収工程(D)において、金属粉末
に由来する金属イオン(亜鉛イオンまたは鉄イオン)
を、カルシウム及び重金属含有物に由来する鉛及び亜鉛
と共に、固形分として回収することができる。本発明の
方法は、上記硫酸処理工程(A)の前に、上記カルシウ
ム及び重金属含有物と水とを混合した後に固液分離し、
水溶性塩素分を除去した固形分であるカルシウム及び重
金属含有物を得る水洗工程を含むことができる(請求項
4)。このように水洗工程を含むことによって、カルシ
ウム及び重金属含有物に含まれる水溶性塩素分(塩化物
イオン)、ナトリウム、カリウム等を予め除去すること
ができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のカルシウム及び重
金属含有物の処理方法を詳細に説明する。図1は、本発
明のカルシウム及び重金属含有物の処理方法の一例を示
すフロー図である。図1に示すように、本発明のカルシ
ウム及び重金属含有物の処理方法は、(A)水洗処理に
よって水溶性塩素分を除去したカルシウム及び重金属含
有物と、水とを硫酸の存在下で混合してスラリーとした
後、固液分離して、硫酸鉛及び硫酸カルシウムを含む固
形分と、溶出成分である銅及び亜鉛を含む液分とを得る
硫酸処理工程と、(B)工程(A)で得られた固形分
と、水と、アルカリ化剤(例えば、水酸化ナトリウム)
とを混合して、アルカリ性(例えば、pH13.5以
上)のスラリーを得た後、該スラリーを固液分離して、
水酸化カルシウムを含む固形分と、溶出成分である鉛を
含む液分とを得るカルシウム回収工程と、(C)工程
(A)で得られた液分に、銅よりもイオン化傾向の大き
な金属(本明細書中において、置換金属ともいう。)を
添加して、析出金属である銅からなる固形分と、亜鉛を
含む液分とを得る銅回収工程と、(D)工程(B)で得
られた液分と、工程(C)で得られた液分とを混合した
後、得られた混合液のpHを鉛及び亜鉛の共沈領域(例
えば、pH9〜12)に調整し、その後、該混合液を固
液分離して、硫酸鉛及び水酸化亜鉛を含む固形分と、鉛
等の重金属が除去された液分とを得る鉛及び亜鉛回収工
程とからなるものである。
【0009】以下、各工程毎に詳しく説明する。 [前処理工程]本発明の方法においては、予め、カルシ
ウム及び重金属含有物を水洗し、当該カルシウム及び重
金属含有物に含まれている水溶性塩素分等を除去するこ
とが望ましい。ここで、本発明で処理の対象となるカル
シウム及び重金属含有物は、カルシウム、及び鉛、銅、
亜鉛等の重金属を含むものであり、例えば、焼却施設等
の燃焼排ガス中に含まれる煤塵や、焼却施設の炉底から
焼却残渣として得られる焼却灰等を挙げることができ
る。特に、煤塵は、鉛等の重金属の含有率が高いため、
本発明の処理対象物として好適である。なお、煤塵の具
体例としては、焼却炉から発生する焼却飛灰や、焼却灰
溶融炉から発生する溶融飛灰や、セメント製造工程から
抽気される塩素バイパスダストや、エコセメント製造に
おけるバグフィルターダスト等を挙げることができる。
【0010】カルシウム及び重金属含有物の水洗処理
は、例えば、カルシウム及び重金属含有物と水を固液比
(スラリー1リットル中のカルシウム及び重金属含有物
の質量)で600g/リットル以下になるように混合し
てスラリーとした後、このスラリーを濾過して、固形分
(カルシウム及び重金属含有物からなる脱水ケーキ)
と、液分(カルシウム及び重金属含有物に含まれていた
塩化物が溶出した水)を得ることによって行なうことが
できる。この際、本発明の方法における回収対象物であ
る鉛、銅及び亜鉛の液中への溶出を抑制し、水溶性の塩
素分、ナトリウム、カリウム等の成分のみを液中に溶出
させるには、スラリーのpHを8.5〜13.0、好ま
しくは9.0〜12.0に調整することが望ましい。濾
別して得られた固形分(脱水ケーキ)を、固形分100
重量部当たり50重量部以上の量の水で洗浄すること
は、当該固形分に残留する塩素分の量を低減させること
ができるので、好ましい。固形分(脱水ケーキ)は、粉
砕された後、次工程の硫酸処理工程(A)に送られる。
【0011】一方、濾別して得られた液分に、硫酸第一
鉄等の第一鉄化合物を添加すると、液中に含まれる微量
のクロムやセレンが還元され、これら還元されたクロム
及びセレンが、水酸化鉄と共に沈澱する。この沈澱物を
含む液分を濾過等によって固液分離することによって、
クロム及びセレンが除去された液分を得ることができ
る。なお、第一鉄化合物と共に高分子凝集剤を添加すれ
ば、沈澱が凝集し、固液分離の際の濾過性を高めること
ができる。クロム及びセレンが除去された液分は、CO
D(化学的酸素要求量)が高い場合には、次亜塩素酸ソ
ーダ等を添加して、CODを低減した後に系外に排出す
ればよい。
【0012】[(A)硫酸処理工程]本工程は、上述の
前処理工程で水溶性塩素分等を除去したカルシウム及び
重金属含有物(脱水ケーキの粉砕物)と、水とを混合し
て、スラリーとし、このスラリーに硫酸を添加した後、
濾過等によって固液分離して、硫酸鉛及び硫酸カルシウ
ムを含む固形分と、溶出成分である銅及び亜鉛を含む液
分とを得る工程である。なお、カルシウム及び重金属含
有物と水を混合した後に硫酸を混合する方法の代わり
に、カルシウム及び重金属含有物と希硫酸を混合する方
法や、カルシウム及び重金属含有物と希硫酸を混合した
後に更に硫酸を加えてpHを調整する方法等を採用して
も差し支えない。カルシウム及び重金属含有物に含まれ
る銅化合物及び亜鉛化合物は、硫酸によって分解し、銅
イオン及び亜鉛イオンとなって、液中に溶出する。一
方、カルシウム及び重金属含有物に含まれるカルシウム
化合物及び鉛化合物は、その大部分が不溶性の硫酸塩
(すなわち、硫酸カルシウム及び硫酸鉛)を生成し、固
形分として残る。
【0013】なお、硫酸の代わりに塩酸を用いた場合に
は、カルシウム及び重金属含有物に含まれているカルシ
ウムが液中に溶出してしまい、固形分中にカルシウムを
残存させることができなくなる。カルシウム及び重金属
含有物と水を混合する際の固液比は、好ましくは400
g/リットル以下である。該固液比が400g/リット
ルを超えると、ダストに含まれる銅及び亜鉛の液中への
溶出が不十分になるおそれがあり、好ましくない。スラ
リーに硫酸を添加する際、スラリーのpHは、4.0以
下になるように調整することが好ましい。該pHが4.
0を超えると、カルシウム及び重金属含有物に含まれる
銅及び亜鉛の液中への溶出が不十分になるおそれがあ
り、また、硫酸鉛等の固形分を形成するために必要な硫
酸イオンが十分に供給されず、鉛やカルシウムの回収率
が低くなるおそれがあるので、好ましくない。
【0014】[(B)カルシウム回収工程]本工程は、
硫酸処理工程(A)で得られた固形分と、水と、アルカ
リ化剤とを混合して、アルカリ性のスラリーを得た後、
該スラリーを固液分離して、水酸化カルシウムを含む固
形分と、溶出成分である鉛を含む液分とを得る工程であ
る。本工程において、固形分に含まれる硫酸鉛は、アル
カリ化剤によって分解して、液中に鉛イオン等として溶
出する。また、固形分に含まれる硫酸カルシウム(石
膏)は、アルカリ化剤によって、固形分である水酸化カ
ルシウムに変化する。硫酸処理工程(A)で得られた固
形分と、水を混合する際の固液比は、好ましくは200
g/リットル以下、より好ましくは100g/リットル
以下である。該固液比が200g/リットルを超える
と、カルシウム及び重金属含有物に含まれる鉛の液中へ
の溶出が不十分になるおそれがあり、好ましくない。ア
ルカリ化剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等を挙げることができる。なお、固形分と水
とアルカリ化剤とを混合する方法としては、例えば、固
形分と水とを混合した後に、固体の形態のアルカリ化剤
を添加する方法や、固形分と、アルカリ化剤を含む水溶
液を混合する方法等を挙げることができる。
【0015】アルカリ化剤を添加したスラリーのpH
は、好ましくは、13.5以上になるように調整され
る。該pHが13.5未満では、固形分中の硫酸鉛が分
解して液中に溶出する割合が小さくなり、かつ、固形分
中の硫酸カルシウムが水酸化カルシウムに変化する割合
が小さくなるので、カルシウムと鉛の分離が不十分にな
るとともに、目的とする水酸化カルシウムを十分に得る
ことができなくなる。なお、固形分中の硫酸鉛は、スラ
リーのpHが12.5である場合、液中への溶出率が2
0%程度に留まり、スラリーのpHが13.5の場合、
液中への溶出率が70%程度以上になる。
【0016】次に、アルカリ性のスラリーを濾過等によ
って固液分離すると、水酸化カルシウムからなる固形分
と、溶出成分である鉛を含む液分とを得ることができ
る。このうち、固形分は、銅、亜鉛及び鉛をほとんど含
まない水酸化カルシウムからなるものである。水酸化カ
ルシウムは、硫酸カルシウム(石膏)と異なり、硫酸根
を含まないので、セメント原料として好適に用いること
ができる。一方、鉛を含む液分は、鉛及び亜鉛回収工程
(D)に送られ、処理される。
【0017】[(C)銅回収工程]本工程は、硫酸処理
工程(A)で得られた液分に、銅よりもイオン化傾向の
大きな金属粉末(置換金属)を添加して、銅からなる固
形分と、亜鉛を含む液分とを得る工程である。置換金属
は、液中に溶解している銅を析出させることのできるよ
うに、銅よりもイオン化傾向の大きな金属であることが
必要であり、かつ、後述の鉛及び亜鉛の共沈領域(例え
ば、pH9.0〜12.0)において沈澱物を形成し得
るものであることが必要である。置換金属の具体例とし
ては、例えば、亜鉛、鉄等を挙げることができる。中で
も、亜鉛は、鉄よりもイオン化傾向が大きく、かつ、後
工程である鉛及び亜鉛回収工程において、カルシウム及
び重金属含有物に由来する亜鉛と共に回収することがで
きるので、好ましく用いられる。なお、置換金属として
鉄を用いた場合、銅が析出した後の液分中には、鉄イオ
ンが含まれることになる。置換金属の形態の一例とし
て、例えば、金属粉末を挙げることができる。置換金属
として金属粉末を用いることによって、置換金属の液中
への溶解と、該溶解と同時に起きる液中の銅イオンの析
出を迅速に進行させることができる。また、置換金属の
形態の他の例として、液中に浸漬される平板状の金属板
を挙げることができる。この場合、平板状の金属板の表
面から、当該金属板を構成する金属(置換金属)が液中
に溶出するとともに、液中の銅イオンが平板状の金属板
の表面に銅(固体)として析出する。銅が析出した後、
平板状の金属板を液中から引き上げれば、銅イオンが除
去された液分を得ることができる。
【0018】[(D)鉛及び亜鉛回収工程]本工程は、
カルシウム回収工程(B)で得られた液分(すなわち、
鉛イオンを含む液分)と、銅回収工程(C)で得られた
液分(すなわち、亜鉛イオンと硫酸イオンを含む液分)
とを混合した後、得られた混合液のpHを鉛及び亜鉛の
共沈領域に調整し、その後、この混合液を濾過等によっ
て固液分離して、硫酸鉛及び水酸化亜鉛を含む固形分
と、鉛等の重金属が除去された液分とを得る工程であ
る。工程(B)で得られた液分と、工程(C)で得られ
た液分の混合液のpHは、工程(B)の液分と工程
(C)の液分の混合比率を調整するなどの方法によっ
て、好ましくは9.0〜12.0、より好ましくは9.
5〜11.5に調整される。該pHが9.0未満では、
液中の亜鉛イオン(Zn2+)、鉄イオン(Fe2+)、鉛イオ
ン(Pb2+)、銅イオン(Cu2+)の残存濃度が高くなるの
で、好ましくない。該pHが12.0を超えると、液中
の亜鉛イオン(Zn2+)及び鉛イオン(Pb2+)の残存濃度
が高くなるので、好ましくない。
【0019】なお、工程(C)における置換金属として
鉄を用いた場合には、混合液中の鉄イオンの濃度が高く
なる。この場合、鉄イオンは、鉛及び亜鉛の共沈領域
(pH9.0〜12.0)と重複するpH領域におい
て、水酸化鉄として沈澱するので、鉛や亜鉛と共に固形
分として回収することができる。また、工程(B)の液
分と工程(C)の液分の混合液中に、工程(C)で回収
されずに液中に残った銅イオンが含まれている場合に
は、この銅イオンは、鉛及び亜鉛の共沈領域(pH9.
0〜12.0)と重複するpH領域において、水酸化銅
として沈澱する。さらに、混合液中にセレンが存在する
場合、セレンは、鉛及び亜鉛の共沈領域(pH9.0〜
12.0)と重複するpH領域において、水酸化亜鉛等
と共に沈澱する。このように、本工程では、水硫化ソー
ダ等の薬剤を用いることなく、pHの調整によって、混
合液中の亜鉛、鉛等の重金属を効率良く同時に回収する
ことができる。本工程で固液分離して得られた液分は、
亜鉛、鉛等の重金属を含まないので、硫酸処理工程の前
工程であるダストの水洗処理工程における洗浄水とし
て、繰り返し循環させて用いることができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。 [実施例1]処理対象物である溶融飛灰100重量部
と、水250重量部を混合してスラリーを得た後、この
スラリーに硫酸を添加して、スラリーのpHを3.2に
調整した。その後、スラリーを濾過して、硫酸鉛及び硫
酸カルシウムを含む固形分と、銅及び亜鉛を含む液分を
得た。このうち、硫酸鉛及び硫酸カルシウムを含む固形
分については、該固形分100重量部当たり150重量
部の水を加えて、スラリーとした後、該スラリーに水酸
化ナトリウムを添加して、スラリーのpHを13.6に
調整した。次いで、このスラリーを濾過して、水酸化カ
ルシウムからなる固形分と、鉛を含む液分を得た。
【0021】一方、銅及び亜鉛を含む液分については、
液中の銅イオンの1.0倍当量の亜鉛の粉末を添加し
て、撹拌し、亜鉛の粉末を液中に溶出させ、かつ、銅を
析出させた後、濾過して、銅からなる固形分と、亜鉛を
含む液分を得た。次に、この亜鉛を含む液分と、上述の
鉛を含む液分とを混合して、pHが10.5である混合
液を得た。この混合液を濾過して、硫酸鉛及び水酸化亜
鉛を含む固形分と、液分を得た。
【0022】[実施例2]亜鉛の粉末を用いる代わり
に、鉄の粉末を用いた他は、実施例1と同様にして実験
したところ、最終工程において、硫酸鉛、水酸化亜鉛及
び水酸化鉄を含む固形分と、液分が得られた。
【0023】
【発明の効果】本発明のカルシウム及び重金属含有物の
処理方法によれば、飛灰等のカルシウム及び重金属含有
物から、カルシウム及び銅、亜鉛、鉛の各重金属を回収
するに際し、カルシウムを、セメント原料として好適に
利用し得る水酸化カルシウムとして回収することができ
るとともに、銅からなる固形分と、亜鉛及び鉛を含む固
形分とを分別して回収し、これらの重金属を精錬原料と
して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカルシウム及び重金属含有物の処理方
法の一例を示すフロー図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 7/00 C22B 26/20 3/00 ZABA 7/02 B09B 3/00 304G 13/00 C22B 13/04 15/00 15/08 19/00 19/22 26/20 3/00 U (72)発明者 鈴木 崇幸 千葉県佐倉市大作2−4−2 太平洋セメ ント株式会社中央研究所内 (72)発明者 井田 雅也 千葉県佐倉市大作2−4−2 太平洋セメ ント株式会社中央研究所内 (72)発明者 三浦 啓一 千葉県佐倉市大作2−4−2 太平洋セメ ント株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4D004 AA36 AB03 BA02 BA06 CA13 CA34 CA35 CA40 CA41 CC03 CC11 CC12 DA03 DA20 4D056 AB03 AB04 AB07 AB08 AC21 AC22 CA14 CA17 CA18 CA27 CA39 DA10 4K001 AA09 AA20 AA30 AA36 BA14 DB03 DB08 DB18 DB23 DB26 EA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)カルシウム及び重金属含有物と水と
    を硫酸の存在下で混合してスラリーとした後、該スラリ
    ーを固液分離して、鉛及びカルシウムを含む固形分と、
    上記カルシウム及び重金属含有物から溶出した銅及び亜
    鉛を含む液分とを得る硫酸処理工程と、(B)上記硫酸
    処理工程(A)で得られた固形分と、水と、アルカリ化
    剤とを混合して、アルカリ性のスラリーを得た後、該ス
    ラリーを固液分離して、カルシウムを含む固形分と、鉛
    を含む液分とを得るカルシウム回収工程と、(C)上記
    硫酸処理工程(A)で得られた液分に、銅よりもイオン
    化傾向の大きな金属を添加して、銅からなる固形分と、
    亜鉛を含む液分とを得る銅回収工程と、(D)上記カル
    シウム回収工程(B)で得られた液分と、上記銅回収工
    程(C)で得られた液分とを混合した後、得られた混合
    液のpHを鉛及び亜鉛の共沈領域に調整し、その後、該
    混合液を固液分離して、鉛及び亜鉛を含む固形分と、液
    分とを得る鉛及び亜鉛回収工程とを含むことを特徴とす
    るカルシウム及び重金属含有物の処理方法。
  2. 【請求項2】(A)カルシウム及び重金属含有物と水と
    を硫酸の存在下で混合して、pHが4.0以下であるス
    ラリーとした後、該スラリーを固液分離して、鉛及びカ
    ルシウムを含む固形分と、上記カルシウム及び重金属含
    有物から溶出した銅及び亜鉛を含む液分とを得る硫酸処
    理工程と、(B)上記硫酸処理工程(A)で得られた固
    形分と、水と、アルカリ化剤とを混合して、pHが1
    3.5以上であるスラリーを得た後、該スラリーを固液
    分離して、カルシウムを含む固形分と、鉛を含む液分と
    を得るカルシウム回収工程と、(C)上記硫酸処理工程
    (A)で得られた液分に、銅よりもイオン化傾向の大き
    な金属を添加して、銅からなる固形分と、亜鉛を含む液
    分とを得る銅回収工程と、(D)上記カルシウム回収工
    程(B)で得られた液分と、上記銅回収工程(C)で得
    られた液分とを混合した後、得られた混合液のpHを
    9.0〜12.0に調整し、その後、該混合液を固液分
    離して、鉛及び亜鉛を含む固形分と、液分とを得る鉛及
    び亜鉛回収工程とを含むことを特徴とするカルシウム及
    び重金属含有物の処理方法。
  3. 【請求項3】 上記銅回収工程(C)において、銅より
    もイオン化傾向の大きな上記金属として、液中の銅イオ
    ンの0.8〜1.1倍当量の亜鉛または鉄を用いる請求
    項1又は2に記載のカルシウム及び重金属含有物の処理
    方法。
  4. 【請求項4】 上記硫酸処理工程(A)の前に、上記カ
    ルシウム及び重金属含有物と水とを混合した後に固液分
    離し、水溶性塩素分を除去した固形分であるカルシウム
    及び重金属含有物を得る水洗工程を含む請求項1〜3の
    いずれか1項に記載のカルシウム及び重金属含有物の処
    理方法。
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CN102641776A (zh) * 2012-04-26 2012-08-22 大恩(天津)环境技术研发有限公司 铁浆回收二次飞灰中铅的方法
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GB2586582A (en) * 2019-08-12 2021-03-03 Aeg Holdings Ltd Desulfurisation of lead-containing waste

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