JP2972524B2 - 焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方法 - Google Patents

焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方法

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JP2972524B2 JP17828994A JP17828994A JP2972524B2 JP 2972524 B2 JP2972524 B2 JP 2972524B2 JP 17828994 A JP17828994 A JP 17828994A JP 17828994 A JP17828994 A JP 17828994A JP 2972524 B2 JP2972524 B2 JP 2972524B2
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  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼却灰からの鉛及び亜
鉛の分別回収方法に関し、詳細には、都市ゴミ焼却灰及
び/又は産業廃棄物焼却灰から鉛及び亜鉛を分別して回
収する方法に関し、特には、焼却灰から鉛及び亜鉛を非
鉄精錬原料として使用可能な純度の鉛含有化合物(硫化
物)及び亜鉛含有化合物(硫化物)として分別回収する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ゴミや産業廃棄物を焼却すると、
鉛、亜鉛、カドミウム、銅等の有害重金属を含有するボ
トムアッシュ(残渣)とフライアッシュ(飛灰)とが発
生する。前者のボトムアッシュは、そのまま或いはセメ
ント固化等をした後、埋立て処理されている。後者のフ
ライアッシュは、有害重金属の含有量が多いこと等から
特別管理一般廃棄物に指定され、廃掃法により無公害化
処理することが義務付けられているため、セメント固
化、キレート固化、溶融固化等の処理をした後、一部に
ついては有効利用されているが、その殆どは未だ充分に
満足のいく処理技術とはなりえていない。
【0003】かかる処理技術に関し、特に、最近では埋
立地の確保が困難となっていることから、焼却灰の減量
化を図るためにボトムアッシュやフライアッシュを溶融
してスラグ化する技術のさらなる向上が望まれている。
この技術において、スラグ化した固体内には重金属が固
定されるが、焼却灰を溶融スラグ化する際に揮散灰と呼
ばれる飛灰が発生し、この揮散灰には沸点の低い重金属
(鉛、亜鉛、カドミウム、銅等)が濃縮されて多量に含
まれており、従って、依然として課題が残されている。
【0004】一方、フライアッシュ(飛灰)の処理方法
として、飛灰をペレット状に造粒した後、それを高温で
焼成して重金属を固定し、骨材等に利用する方法も開発
されている。しかし、この場合も焼成時に揮散灰が発生
し、この揮散灰には重金属が濃縮されて含まれているの
で、依然として課題が残されている。
【0005】このように従来の灰処理技術では、灰の溶
融や焼成等の高温処理時に発生する揮散灰を含む全ての
焼却灰から確実に重金属を回収処理する方法は確立され
ていない。
【0006】ところで、都市ゴミや産業廃棄物の焼却灰
から重金属を回収あるいは処理する方法として種々の提
案がなされている(例えば、特開昭49-113703 号公報、
特開昭53-25081号公報、特開昭58-46353号公報、特公昭
58-53594号公報、特公昭60-7948 号公報、特開平4-2651
89号公報)。これらには、焼却灰中の重金属を含有する
重金属溶解水溶液に硫化ソーダ又は水酸化ナトリウム等
のアルカリ源を添加することによって重金属の硫化物又
は水酸化物を得られることが示されている。しかしなが
ら、これらの方法においては、焼却灰中の有害重金属を
無害化して有価重金属を回収し、有効利用する技術とし
ては未だ不充分である。何故なら、これらの方法では重
金属を含有する水溶液から重金属の硫化物又は水酸化物
を一括して沈澱生成させ、分離しているため、得られる
硫化物又は水酸化物中の有価重金属の含有量が低く、非
鉄精錬原料として要求される純度(例えば、鉛含有量:
40wt%以上、亜鉛含有量:50wt%以上)の品位を満足す
るものでないことから重金属のリサイクルはならず、最
終的には何らかの方法で処理した後に投棄せざるを得な
いからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、前記従来
の焼却灰処理技術、特に焼却灰からの重金属の回収方法
においては、解決すべき課題がある。即ち、都市ゴミや
産業廃棄物の焼却灰から重金属を実用的に回収するに際
しては、重金属回収の際に発生する排水の無害化を図る
と共に、得られる重金属の品位(純度)を高くし、非鉄
精錬原料としてリサイクル利用可能な水準にすることが
必要であり、かかる要件を満たす必要があるが、従来の
焼却灰からの重金属の回収方法においては、このような
要件を満たし得ないという問題点がある。
【0008】より詳細には、従来法では重金属の回収率
及び品位を向上させるための分別回収法について殆ど検
討されておらず、分別沈澱させるための適正pH領域につ
いては何ら示されていないし、又、非鉄精錬原料性状面
からみた塩素含有量についても考慮されておらず、従っ
て、非鉄精錬原料として使用可能な品位の重金属を回収
する技術を確立するに至ってなく、都市ゴミや産業廃棄
物の焼却灰から鉛や亜鉛等の有価重金属を実用的に回収
することができないという問題点がある。
【0009】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたものであって、その目的は、都市ゴミや産業廃棄物
の焼却灰(灰の溶融や焼成等の高温処理時に発生する揮
散灰を含む)から鉛及び亜鉛を実用的に回収し得る方
法、即ち、焼却灰から鉛及び亜鉛を非鉄精錬原料として
使用可能な純度の鉛含有物質及び亜鉛含有物質として効
率良く分別回収し得ると共に、この回収の際に発生する
排水を無害化し得る焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収
方法を提供しようとするものである。ここで、分別回収
物質の品位(純度)の目標値は、鉛含有物質については
鉛含有量:40wt%以上、亜鉛含有物質については亜鉛含
有量:50wt%以上の値に設定した。尚、これら分別回収
物質中の塩素量は、非鉄精錬関連設備保全の観点から1
wt%以下にすることが望まれる。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方
法は次のような構成としている。即ち、請求項1記載の
焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方法は、焼却灰中の
重金属を溶出させて含有する重金属溶解溶液に硫化ソー
ダ又は硫化水素ガスを供給すると共に、この溶液のpHを
0.4〜1.2 にすることにより、鉛を硫化物として沈澱さ
せ分離し、しかる後、この沈澱物分離後の溶液に硫化ソ
ーダ又は硫化水素ガスを供給すると共に、この溶液のpH
を2以上にすることにより、亜鉛を硫化物として沈澱さ
せ分離することを特徴とする焼却灰からの鉛及び亜鉛の
分別回収方法である。
【0011】請求項2記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の
分別回収方法は、前記鉛を硫化物として沈澱させ分離し
て得られる沈澱物中の硫化物での鉛含有量が40wt%以上
であり、前記亜鉛を硫化物として沈澱させ分離して得ら
れる沈澱物中の硫化物での亜鉛含有量が50wt%以上であ
る請求項1記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方
法である。
【0012】請求項3記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の
分別回収方法は、前記鉛を硫化物として沈澱させ分離し
た後、この沈澱物を乾燥して非鉄精錬原料用鉛含有化合
物を得、前記亜鉛を硫化物として沈澱させ分離した後、
この沈澱物を乾燥して非鉄精錬原料用亜鉛含有化合物を
得る請求項1又は2記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の分
別回収方法である。
【0013】請求項4記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の
分別回収方法は、前記鉛を硫化物として沈澱させ分離し
た後、この沈澱物を水で洗浄して該沈澱物中の塩素を1
wt%以下にし、前記亜鉛を硫化物として沈澱させ分離し
た後、この沈澱物を水で洗浄して該沈澱物中の塩素を1
wt%以下にする請求項1、2又は3記載の焼却灰からの
鉛及び亜鉛の分別回収方法である。
【0014】請求項5記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の
分別回収方法は、前記鉛を硫化物として沈澱させる際の
溶液のpHを 0.9〜1.2 とし、前記亜鉛を硫化物として沈
澱させる際の溶液のpHを2〜3とする請求項1、2、3
又は4記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方法で
ある。
【0015】
【作用】本発明は、前記目的を達成すべく、焼却灰中の
重金属を溶出させて含有する重金属溶解溶液に対し、種
々の条件で重金属の沈澱分離試験を行うと共に、その試
験の際に発生する排水についての成分分析を行い、その
結果得られた知見に基づき完成されたものである。
【0016】即ち、焼却灰中の重金属を溶出させて該重
金属が溶解して含まれる溶液(重金属溶解溶液)に対
し、沈澱剤として硫化ソーダ又は硫化水素ガスを供給す
ると共に、この溶液のpHを 0.4〜1.2 にすると、該溶液
中の鉛と銅とが各々90%以上の回収率で優先的に硫化物
として沈澱し、この沈澱物中の鉛含有量は該沈澱物中の
全硫化物に対して40wt%以上となること、そして、この
沈澱物を分離した後の溶液に沈澱剤として硫化ソーダ又
は硫化水素ガスを供給すると共に、この溶液のpHを2以
上にすると、主に該溶液中の亜鉛とカドミウムとが各々
99%以上の回収率で硫化物として沈澱し、この沈澱物中
の亜鉛含有量は該沈澱物中の全硫化物に対して50wt%以
上となることがわかった。又、この沈澱分離プロセスに
おいて発生する排水は有害物質濃度が規制排水基準濃度
(表3に示した公共用水域への全国一律基準値)以下で
あり、無害化されていることが判った。
【0017】そこで、本発明に係る焼却灰からの鉛及び
亜鉛の分別回収方法は、焼却灰中の重金属を溶出させて
含有する重金属溶解溶液に硫化ソーダ又は硫化水素ガス
を供給すると共に、この溶液のpHを 0.4〜1.2 にするこ
とにより、鉛を硫化物として沈澱させ分離し、しかる
後、この沈澱物分離後の溶液に硫化ソーダ又は硫化水素
ガスを供給すると共に、この溶液のpHを2以上にするこ
とにより、亜鉛を硫化物として沈澱させ分離するように
した。従って、焼却灰から鉛及び亜鉛を非鉄精錬原料と
して使用可能な純度の鉛含有物質(鉛含有量:40wt%以
上)及び亜鉛含有物質(亜鉛含有量:50wt%以上)とし
て効率良く分別回収し得ると共に、この回収の際に発生
する排水を無害化し得、そのため焼却灰から鉛及び亜鉛
を実用的に回収し得るようになる。
【0018】ここで、鉛を硫化物として沈澱させる際の
溶液のpHを 0.4〜1.2 としているのは、 0.4未満にする
と、鉛の沈澱量が低下して鉛の回収率が低下し(90%未
満となり)、鉛含有化合物の純度が下がると共に、後に
pH2以上で亜鉛含有化合物を回収した際に溶液中に残っ
ていた鉛が沈澱して不純物として混ざり、亜鉛含有化合
物の純度も下がり、1.2 超にすると、亜鉛の硫化物沈澱
量が増えて鉛含有化合物の純度が下がると共に、後にpH
2以上で亜鉛含有化合物を回収した際に亜鉛の収率が悪
くなるからである。
【0019】亜鉛を硫化物として沈澱させる際の溶液の
pHを2以上としているのは、pHを2未満にすると、亜鉛
の沈澱回収率が低下し、亜鉛含有化合物の純度が下がる
と共に、排水中の亜鉛濃度やカドミウム濃度が排水基準
値を上回ってしまうからである。
【0020】前記鉛を硫化物として沈澱させ分離した
後、この沈澱物を乾燥すると非鉄精錬原料用鉛含有化合
物が得られる。前記亜鉛を硫化物として沈澱させ分離し
た後、この沈澱物を乾燥すると非鉄精錬原料用亜鉛含有
化合物が得られる(請求項3記載の方法)。
【0021】前記鉛を硫化物として沈澱させ分離した
後、この沈澱物を水で洗浄して該沈澱物中の塩素を1wt
%以下にし、又、前記亜鉛を硫化物として沈澱させ分離
した後、この沈澱物を水で洗浄して該沈澱物中の塩素を
1wt%以下にすることが望ましい(請求項4記載の方
法)。これらを非鉄精錬原料として用いる場合に、非鉄
精錬関連設備保全の観点から、1wt%以下にすることが
望まれているからである。
【0022】前記鉛を硫化物として沈澱させる際の溶液
のpHを 0.9〜1.2 とし、又、前記亜鉛を硫化物として沈
澱させる際の溶液のpHを2〜3とすることが望ましい
(請求項5記載の方法)。より確実に、鉛の沈澱量が増
大して鉛の回収率が向上し、又、亜鉛の沈澱量が増大し
て亜鉛の回収率が向上し、鉄やアルミ等がこれよりも高
いpH域で沈澱し始め純度が下がるのを避けることができ
るからである。
【0023】前記焼却灰中の重金属を溶出させて含有す
る重金属溶解溶液を得るには、焼却灰と溶液とを混合し
て焼却灰を溶解し重金属を溶出させればよい。このと
き、重金属溶出のための溶液としては、水や酸を使用す
ることができるが、重金属の溶出量の増大及び後工程の
pH調整の簡便化の点から酸を使用することが望ましい。
【0024】前記重金属溶解溶液への硫化ソーダ又は硫
化水素ガスの供給の際、更にはこの溶液のpH調整の際、
溶液を攪拌すると、溶液pHを均一にし易く、沈澱物が生
成し易くなる。この沈澱物分離後の溶液への硫化ソーダ
又は硫化水素ガスの供給の際、更にはこの溶液のpH調整
の際も、上記と同様の意味で溶液を攪拌するとよい。
【0025】前記重金属溶解溶液に硫化ソーダを供給す
ると、溶液のpHは大きくなる。そのため、前記重金属溶
解溶液(沈澱剤供給前の溶液)のpHが大きいと、沈澱剤
供給後の溶液のpHは更に大きくなり、1.2 超になる場合
もあり、この場合には酸を添加してpHを 0.4〜1.2 に調
整する必要がある。或いは、予め沈澱剤供給前の溶液に
酸を添加してpHを小さくしておく必要がある。これに対
し、沈澱剤供給前の溶液のpHが小さいと、かかる酸添加
の必要がないので、それだけ工程が少なくてよい。かか
る点からしても、重金属溶出用溶液としては酸を使用す
ることが望ましい。
【0026】上記沈澱剤供給及び溶液pH調整による沈
澱、沈澱物分離後の溶液のpHは 0.4〜1.2 である。該溶
液に沈澱剤を供給し溶液のpHを2以上にするには、沈澱
剤として硫化ソーダを供給する場合は、この硫化ソーダ
の供給量によりpH2以上にし得るが、その供給量が少な
くてそれだけではpH2以上にできないときはアルカリを
添加すればよく、又、沈澱剤として硫化水素ガスを供給
する場合は、アルカリを添加すればよい。
【0027】
【実施例】
(実施例1)都市ゴミ焼却飛灰と3Nの塩酸とを該灰濃
度:20wt/vol%にして混合し、該灰中の重金属を溶解時
間:60min、溶解温度:室温で溶出させた後、これを固液
分離して重金属溶解溶液(鉛:1472mg/l、亜鉛:1644mg
/l、カドミウム:81.9mg/l、銅:344.2mg/l )を得た。
【0028】上記重金属溶解溶液:100mlを攪拌しながら
硫化ソーダを添加すると共に、溶液のpHを所定値に調整
し、重金属を硫化物として沈澱させ分離回収し、各重金
属の回収率を求め、溶液のpHとの関係を調べた。ここ
で、溶液のpHをパラメータとして変化させた。各重金属
の回収率は、上記沈澱後分離前の溶液中の各重金属含有
量と沈澱分離後の溶液(濾過液)中の各重金属含有量と
の差から求めた。
【0029】各溶液pHで得られた各重金属の回収率を表
1に示す。溶液pH:0.4 以上では鉛の回収率は90%以上
である。99.9%以上の回収率を得るための溶液pHは、鉛
では0.9 以上、亜鉛及びカドミウムでは2以上、銅では
0.1 以上である。又、鉛の回収率:99.9%以上が得られ
ているpH領域:0.9 〜1.2 における亜鉛の回収率は7〜
15%であり、亜鉛は殆ど沈澱していないことから、溶液
のpHを0.9 〜1.2 として沈澱させると、特に、鉛が多く
て亜鉛の少ない硫化物(鉛を主成分とする硫化物)を分
別回収し得てよいことがわかる。更に、かかる硫化物の
分別回収後(沈澱分離後)の溶液から亜鉛を主成分とす
る硫化物を沈澱させるには、その際の溶液のpHは2以上
にするとよいことが示唆される。
【0030】(実施例2)実施例1と同様の重金属溶解
溶液3.0 リットル(l)に同様の方法により硫化ソーダを
添加すると共に、溶液のpHを 1.0に調整して、鉛を主成
分とする硫化物を沈澱させ分離し、しかる後、この沈澱
物分離後の溶液に硫化ソーダを添加し攪拌すると共に、
この溶液のpHを2又は3にし、亜鉛を主成分とする硫化
物を沈澱させ、これを濾過して固液分離した後、得られ
た濾液中の有害物質濃度について分析し、排水基準濃度
と比較検討した。その結果を表2に示す。表2からわか
る如く、濾液は全ての有害物質について公共用水域への
全国一律排水基準以下であり、排水として無害化されて
いる。又、濾液中の亜鉛及び銅は各々 0.1〜0.8mg/l、
0.05〜1mg/lであり、その他の有害物質以外のものに係
る排水基準についても全て規制値を満たしていることが
確認された。
【0031】(実施例3)実施例1と同様の重金属溶解
溶液3.0 リットルに同様の方法により硫化ソーダを添加
すると共に、溶液のpHを 0.9に調整して、鉛を主成分と
する硫化物を沈澱させ分離し、しかる後、この沈澱物分
離後の溶液に硫化ソーダを添加し攪拌すると共に、この
溶液のpHを3にし、亜鉛を主成分とする硫化物を沈澱さ
せ分離し、得られた硫化物についてX線回折及び重金属
含有量分析を行った。一方、比較のため、実施例1と同
様の重金属溶解溶液3.0 リットルに硫化ソーダを添加す
ると共に、溶液のpHを3にし、重金属を硫化物として一
括沈澱させ分離し、得られた硫化物についてX線回折及
び重金属含有量分析を行った。
【0032】その結果、得られた硫化物中の重金属含有
量を表3に示し、硫化物のX線回折結果を図2に示す。
これらの結果から明らかな如く、上記pH0.9 で沈澱分離
して得られた鉛を主成分とする硫化物は、鉛含有量:5
4.7%の硫化物であり、pH3で沈澱分離して得られた亜
鉛を主成分とする硫化物は、亜鉛含有量:53.2%の硫化
物である。尚、これら硫化物中の塩素含有量は約8%で
あった。一方、比較例に係る一括沈澱法により沈澱させ
分離して得られた硫化物は、鉛含有量:25.7%、亜鉛含
有量:30.2%の硫化物であり、品位に劣っていた。 (実施例4)
【0033】前記実施例3で得られた鉛を主成分とする
硫化物(沈澱物)、及び、亜鉛を主成分とする硫化物
(沈澱物)について、塩素含有量を低減させるため、各
沈澱物に水道水5.0リットルを加えて10分間攪拌し、各
沈澱物を洗浄した。その結果、塩素含有量は約8%から
0.6〜0.7 %の水準に低減した。又、この水道水に代え
て、pH8のアルカリ水或いは80℃の温水を用いて洗浄し
たところ、洗浄効果は少し向上することが確認された。
【0034】尚、本発明に係る焼却灰からの鉛及び亜鉛
の分別回収方法は、例えば図1に示す如き装置及びプロ
セスフローによって行われる。この図1において、1は
塩酸タンク、2は硫化ソーダタンク、3は揮散灰ホッパ
ー、4は溶解槽(灰からの重金属溶出槽)、5は溶解残
渣濾過器、6はコンプレッサー、7は溶解液タンク、8
はPb沈澱槽、9はPb沈澱後濾液タンク、10はZn沈澱槽、
11は硫化物濾過器、12はZn沈澱後濾液タンク、13は硫化
水素ガス除去塔、14は消石灰ホッパー、15は中和槽を示
すものである。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】本発明に係る焼却灰からの鉛及び亜鉛の
分別回収方法によれば、焼却灰から鉛及び亜鉛を非鉄精
錬原料として使用可能な純度の鉛含有物質(鉛含有量:
40wt%以上)及び亜鉛含有物質(亜鉛含有量:50wt%以
上)として効率良く分別回収し得ると共に、この回収の
際に発生する排水を無害化し得、そのため焼却灰から鉛
及び亜鉛を実用的に回収し、有効利用し得るようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回
収方法のプロセスフローの一例を説明する図である。
【図2】実施例3に係る沈澱法により得られた硫化物の
X線回折結果を示す図であり、図2の(A) は二段沈澱法
により得られた鉛を主成分とする硫化物についてのX線
回折結果、(B) は二段沈澱法により得られた亜鉛を主成
分とする硫化物についてのX線回折結果、(C) は一括沈
澱法により得られた硫化物についてのX線回折結果であ
る。
【符号の説明】
1--塩酸タンク、2--硫化ソーダタンク、3--灰ホッパ
ー、4--溶解槽、5--溶解残渣濾過器、6--コンプレッ
サー、7--溶解液タンク、8--Pb沈澱槽、9--Pb沈澱後
濾液タンク、10--Zn沈澱槽、11--硫化物濾過器、12--Zn
沈澱後濾液タンク、13--硫化水素ガス除去塔、14--消石
灰ホッパー、15--中和槽。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀岡 義文 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 伊藤 正 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内 (72)発明者 河端 博昭 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内 (56)参考文献 特開 昭47−18705(JP,A) 特開 昭49−113703(JP,A) 特開 昭59−126729(JP,A) 特開 昭61−136639(JP,A) 特開 平4−265189(JP,A) 特開 平7−109533(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22B 13/00 B09B 3/00 B09B 3/00 ZAB C22B 19/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却灰中の重金属を溶出させて含有する
    重金属溶解溶液に硫化ソーダ又は硫化水素ガスを供給す
    ると共に、この溶液のpHを 0.4〜1.2 にすることによ
    り、鉛を硫化物として沈澱させ分離し、しかる後、この
    沈澱物分離後の溶液に硫化ソーダ又は硫化水素ガスを供
    給すると共に、この溶液のpHを2以上にすることによ
    り、亜鉛を硫化物として沈澱させ分離することを特徴と
    する焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方法。
  2. 【請求項2】 前記鉛を硫化物として沈澱させ分離して
    得られる沈澱物中の硫化物での鉛含有量が40wt%以上で
    あり、前記亜鉛を硫化物として沈澱させ分離して得られ
    る沈澱物中の硫化物での亜鉛含有量が50wt%以上である
    請求項1記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方
    法。
  3. 【請求項3】 前記鉛を硫化物として沈澱させ分離した
    後、この沈澱物を乾燥して非鉄精錬原料用鉛含有化合物
    を得、前記亜鉛を硫化物として沈澱させ分離した後、こ
    の沈澱物を乾燥して非鉄精錬原料用亜鉛含有化合物を得
    る請求項1又は2記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別
    回収方法。
  4. 【請求項4】 前記鉛を硫化物として沈澱させ分離した
    後、この沈澱物を水で洗浄して該沈澱物中の塩素を1wt
    %以下にし、前記亜鉛を硫化物として沈澱させ分離した
    後、この沈澱物を水で洗浄して該沈澱物中の塩素を1wt
    %以下にする請求項1、2又は3記載の焼却灰からの鉛
    及び亜鉛の分別回収方法。
  5. 【請求項5】 前記鉛を硫化物として沈澱させる際の溶
    液のpHを 0.9〜1.2とし、前記亜鉛を硫化物として沈澱
    させる際の溶液のpHを2〜3とする請求項1、2、3又
    は4記載の焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方法。
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