JP2944466B2 - 焼却灰からの重金属の分別回収方法 - Google Patents

焼却灰からの重金属の分別回収方法

Info

Publication number
JP2944466B2
JP2944466B2 JP15343395A JP15343395A JP2944466B2 JP 2944466 B2 JP2944466 B2 JP 2944466B2 JP 15343395 A JP15343395 A JP 15343395A JP 15343395 A JP15343395 A JP 15343395A JP 2944466 B2 JP2944466 B2 JP 2944466B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separation
solution
heavy metal
amount
sulfide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP15343395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH093558A (ja
Inventor
俊一 水上
寿秀 木成
義文 亀岡
博昭 河端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP15343395A priority Critical patent/JP2944466B2/ja
Publication of JPH093558A publication Critical patent/JPH093558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2944466B2 publication Critical patent/JP2944466B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼却灰からの重金属の
分別回収方法に関し、詳細には、都市ゴミ焼却灰及び/
又は産業廃棄物焼却灰から銅、鉛、亜鉛等の重金属を非
鉄製錬原料として使用可能な純度の銅含有化合物(硫化
物)、鉛硫化物、亜鉛硫化物等の重金属含有化合物(硫
化物)として分別回収する方法に関し、特には、含有さ
れる重金属の種類や量が種々異なる焼却灰からの重金属
の分別回収に用いて好適な焼却灰からの重金属の分別回
収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ゴミや産業廃棄物を焼却すると、
鉛、亜鉛、カドミウム、銅等の有害重金属を含有するボ
トムアッシュ(残渣)とフライアッシュ(飛灰)とが発
生する。前者の残渣はそのまま又はセメント固化等をし
た後、埋立て処理されている。飛灰は、有害重金属の含
有量が多いこと等から特別管理一般廃棄物に指定され、
廃掃法により無公害化処理することが義務付けられてい
るため、セメント固化、キレート固化、溶融固化等の処
理をした後、一部については有効利用されているが、そ
の殆どは未だ充分に満足のいく処理技術とはなりえてい
ない。
【0003】最近では埋立地の確保が困難となっている
ことから、焼却灰(残渣、飛灰)の減量化を図るために
残渣や飛灰を溶融してスラグ化する技術が開発されてい
る。かかる技術によれば、スラグ化した固体内には重金
属が固定されるが、焼却灰を溶融スラグ化する際に揮散
灰と呼ばれる飛灰が発生し、この揮散灰には沸点の低い
重金属(鉛、亜鉛、カドミウム、銅等)が濃縮されて多
量に含まれている。また、飛灰をペレット状に造粒した
後、高温で焼成して重金属を固定し、骨材等に利用する
方法も開発されているが、この場合も焼成時に揮散灰が
発生し、この揮散灰には重金属が濃縮されて含まれてい
る。このように、いずれの技術にも重金属を回収処理で
きない問題点が残されている。
【0004】かかる焼却灰から重金属を回収処理する方
法として、特開昭49-113703 号、特開昭53-25081号、特
開昭58-46353号、特公昭58-53594号、特公昭60-7948
号、特開平4-265189号公報に記載された方法がある。こ
れらの方法は、焼却灰中の重金属を溶出させて重金属溶
解溶液を得、該溶液に硫化ソーダ又は水酸化ナトリウム
等のアルカリ源を添加することによって重金属の硫化物
又は水酸化物を得る方法であるが、焼却灰中の有害重金
属を無害化して有価重金属を回収し、有効利用する技術
としては未だ不充分である。何故なら、重金属溶解溶液
から重金属の硫化物又は水酸化物を一括して沈澱生成さ
せ、分離しているため、得られる硫化物又は水酸化物中
の有価重金属の含有割合が低く、非鉄製錬原料として要
求される純度(例えば、銅含有量:30wt%以上、鉛含有
量:40wt%以上、亜鉛含有量:50wt%以上)の品位を満
足するものでないことから重金属のリサイクルはなら
ず、最終的には何らかの方法で処理した後に投棄せざる
を得ないからである。
【0005】このような方法を改善したものとして、特
開平6-170354号公報に記載された方法がある。この方法
は、飛灰から重金属を非鉄精錬原料として回収すること
を目的として、pH3以下の塩酸水溶液に飛灰を添加(溶
解)してpH3以下で鉛以外の重金属を溶出せしめ、鉛を
含む残渣と濾液とに分離した後、この濾液をpH7以上に
中和して亜鉛を主とする重金属の水酸化物を沈澱分離す
るものである。しかし、飛灰中の鉛化合物(主に塩化
鉛)は、一部が水及び塩酸に可溶であるため、pH3以下
で鉛を残渣側に高純度に分離することは実用的には困難
である。例えば、本発明者らが入手した都市ゴミ焼却灰
2種類(灰I、灰II)を100cc の塩酸水溶液中に20g溶
かして溶解実験を行い、溶液のpHと溶解した鉛濃度との
関係を求めた結果を図1に示すが、この図1から焼却・
溶融飛灰に含まれる鉛の溶解度は化合物の形態や共存す
る物質との相互関係により様々な値を示すことが理解で
き、灰Iの場合はpH3付近ですでに1000mg/l程度の鉛が
溶出しており、この溶出量は実験に供した灰中の鉛の約
50%に相当しており、そのため、種々の飛灰を一括して
処理する際に鉛のみを残渣側に高純度に分別分離するこ
とはできない。
【0006】そこで、更に改善された方法として、焼却
灰に酸を添加して鉛を含む全ての重金属を溶出せしめた
後、pH 0.4〜1.2 で鉛を硫化物として沈澱分離し、しか
る後、pH2以上で亜鉛を主とする重金属を硫化物として
沈澱分離する方法が開発されている(特願平6-178289
号)。この方法は、焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収
方法であり、鉛と亜鉛とを硫化物として高純度に分別回
収し得、前記特開平6-170354号公報記載の方法よりも確
実で優れた分別回収方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記焼却灰からの鉛及
び亜鉛の分別回収方法は、特定の焼却場から出る焼却灰
の如く、分別回収処理対象の焼却灰中の重金属の種類や
量が比較的一定している場合には好適に用いることがで
きる。しかしながら、広域にわたる焼却場から出る焼却
灰を一括して処理(広域処理)する場合の如く、分別回
収処理対象の焼却灰中の重金属の種類や量が日々に種々
異なる場合には、重金属を硫化物として沈澱させるため
に添加する硫化ソーダ等の沈澱剤の量が適切でなくなる
ことがあり、その場合に次のような問題が生じる。即
ち、沈澱剤の量が過少の場合には分離分別回収目的の重
金属の回収率が低下し、沈澱剤の量が過多の場合には回
収率は高いものの、その沈澱剤により沈澱させたくない
他の重金属まで沈澱し、分別回収目的の重金属の純度が
低下してしまう。更に、沈澱剤の量が過多の場合には、
分別回収処理で出てくる排水(以下、処理排水という)
中の未反応の硫黄成分が多くなり、COD(化学的酸素
要求量)等を高めて環境汚染源となり、又、経済性の低
下を招くという問題点がある。
【0008】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたものであって、その目的は、広域処理する場合の如
く分別回収処理対象の焼却灰中の重金属の種類や量が日
々に種々異なる場合であっても、分離分別回収目的の重
金属の回収率の低下、純度の低下、及び、処理排水中の
硫黄成分含有量の増加を招くことなく、特定の焼却場か
ら出る焼却灰の如く分別回収処理対象の焼却灰中の重金
属の種類や量が一定している場合と同様に、分離分別回
収目的の重金属を硫化物として高純度且つ高回収率で分
別回収し得ると共に、処理排水中の硫黄成分含有量を低
減し得る焼却灰からの重金属の分別回収方法を提供しよ
うとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る焼却灰からの重金属の分別回収方法
は、次のような構成の焼却灰からの重金属の分別回収方
法(第1〜6発明)としている。即ち、第1発明は請求
項1記載の方法であり、それは、重金属溶解槽で焼却灰
中の重金属を溶出させて含有する重金属溶解溶液を得る
重金属溶解工程と、該溶液を第1分別回収槽に送給し、
この槽で該溶液に硫化ソーダ又は水硫化ソーダを供給す
ると共に該溶液のpHを調整することにより、該溶液中の
重金属の一部を硫化物として沈澱させ分離する第1分別
回収工程と、この沈澱物分離後の溶液を第2分別回収槽
に送給し、この槽で該溶液に硫化ソーダ又は水硫化ソー
ダを供給すると共に該溶液のpHを調整することにより、
該溶液中の重金属の一部又は全てを硫化物として沈澱さ
せ分離する第2分別回収工程とを有する焼却灰からの重
金属の分別回収方法であって、前記重金属溶解溶液中の
重金属含有量を重金属の種類別に定量分析により求め、
この分析値より前記第1分別回収工程で沈澱させる重金
属の量と第2分別回収工程で沈澱させる重金属の量とを
算出しておき、前記第1分別回収工程で供給する硫化ソ
ーダ又は水硫化ソーダの量を、硫黄量として、前記算出
した第1分別回収工程で沈澱させる重金属の量に化学的
に当量な量を基準として設定し、前記第2分別回収工程
で供給する硫化ソーダ又は水硫化ソーダの量を、硫黄量
として、前記算出した第2分別回収工程で沈澱させる重
金属の量に化学的に当量な量を基準として設定すること
を特徴とする焼却灰からの重金属の分別回収方法であ
る。
【0010】第2発明は請求項2記載の方法であり、そ
れは、前記第2分別回収工程で溶液中の重金属の一部を
硫化物として沈澱させ分離した後、この沈澱物分離後の
溶液を第3分別回収槽に送給し、この槽で該溶液に硫化
ソーダ又は水硫化ソーダを供給すると共に該溶液のpHを
調整することにより、該溶液中の重金属の一部又は全て
を硫化物として沈澱させ分離する第3分別回収工程を有
し、該第3分別回収工程で供給する硫化ソーダ又は水硫
化ソーダの量を、硫黄量として、前記分析値より算出さ
れる第3分別回収工程で沈澱させる重金属の量に化学的
に当量な量を基準として設定することを特徴とする請求
項1記載の方法である。第3発明は請求項3記載の方
法、第4発明は請求項4記載の方法、第5発明は請求項
5記載の方法、そして第6発明は請求項6記載の方法で
ある。
【0011】
【作用】本発明に係る焼却灰からの重金属の分別回収方
法は、前記の如き重金属溶解工程、第1分別回収工程、
第2分別回収工程を有する焼却灰からの重金属の分別回
収方法であって、前記重金属溶解工程で得られた重金属
溶解溶液中の重金属含有量を重金属の種類別に定量分析
により求め、この分析値より前記第1分別回収工程で沈
澱させる重金属の量と第2分別回収工程で沈澱させる重
金属の量とを算出しておき、前記第1分別回収工程で供
給する硫化ソーダ又は水硫化ソーダの量を、硫黄量とし
て、前記算出した第1分別回収工程で沈澱させる重金属
の量に化学的に当量な量を基準として設定し、前記第2
分別回収工程で供給する硫化ソーダ又は水硫化ソーダの
量を、硫黄量として、前記算出した第2分別回収工程で
沈澱させる重金属の量に化学的に当量な量を基準として
設定するようにしている。
【0012】そのため、前記第1分別回収工程及び第2
分別回収工程での硫化ソーダ又は水硫化ソーダの供給量
を過不足のない適切な量に制御することができる。即
ち、前記第1分別回収工程及び第2分別回収工程におい
て各々硫化物として沈澱させようとする重金属の量に応
じて、適切な量の硫化ソーダ又は水硫化ソーダを供給す
ることができ、硫化ソーダ又は水硫化ソーダの添加量が
過少及び過多になることを防止できる。
【0013】従って、広域処理する場合の如く分別回収
処理対象の焼却灰中の重金属の種類や量が日々に種々異
なり、重金属溶解工程で得られる重金属溶解溶液中の重
金属の種類や含有量が変動する場合であっても、常に、
分離分別回収目的の重金属の回収率の低下、純度の低
下、及び、処理排水中の硫黄成分含有量の増加を招くこ
となく、特定の焼却場から出る焼却灰の如く分別回収処
理対象の焼却灰中の重金属の種類や量が一定している場
合と同様に、分離分別回収目的の重金属を硫化物として
高純度且つ高回収率で分別回収し得ると共に、処理排水
中の硫黄成分含有量を低減し得る。
【0014】前記第2分別回収工程で溶液中の重金属の
全てではなく一部を硫化物として沈澱させ分離する場合
には、この沈澱物分離後の溶液からさらに重金属を分別
回収することもできる。かかる重金属の分別回収は、こ
の沈澱物分離後の溶液を第3分別回収槽に送給し、この
槽で該溶液に硫化ソーダ又は水硫化ソーダを供給すると
共に該溶液のpHを調整することにより該溶液中の重金属
の一部又は全てを硫化物として沈澱させ分離する第3分
別回収工程を遂行することにより、行うことができる。
このとき、前記重金属含有量の分析値より第3分別回収
工程で沈澱させる重金属の量を算出しておき、該第3分
別回収工程で供給する硫化ソーダ又は水硫化ソーダの量
を、硫黄量として、前記算出した重金属の量に化学的に
当量な量を基準として設定するようにするとよい(請求
項2記載の方法)。このようにすると、第3分別回収工
程での硫化ソーダ又は水硫化ソーダの供給量を過不足の
ない適切な量に制御することができ、ひいては広域処理
する場合の如く分別回収処理対象の焼却灰中の重金属の
種類や量が日々に種々異なる場合であっても、常に、分
離分別回収目的の重金属を硫化物として高純度且つ高回
収率で分別回収し得ると共に、処理排水中の硫黄成分含
有量を低減し得る。
【0015】前記溶液のpHの調整は、該溶液へのアルカ
リ又は酸の添加により行うことができ、該溶液のpHの確
認は、pH測定器によるpH測定により行うことができる
(請求項3記載の方法)。
【0016】
【実施例】実施例に係るプロセスフローを図2に示し、
この図にそって説明する。各地から搬入された焼却灰を
重金属溶解槽(A,B,C)に供給し溶解して重金属溶
解溶液を得る。このとき、わずかに残存する残渣は回収
されて再度溶融処理に供される場合が多い。次いで、こ
れら重金属溶解溶液を ICP(高周波プラズマ発光分析装
置)に代表される液中元素量測定装置で数分以内に分析
し、重金属の元素ごとに定量し、分析値を求め、この分
析値より各分別回収工程(各分別回収槽)で沈澱させる
重金属の量を算出する。
【0017】次に、上記重金属溶解溶液の上澄液を第1
分別回収槽に送り、この槽で分別回収する重金属(例え
ばCu)の沈澱分離に適当なpHであることを確認する(適
当なpHでなければ苛性ソーダや塩酸を添加してpH調整す
る)。次いで、該重金属に該pHで硫化物として沈澱する
他の共存重金属を加えた量に、硫黄量として化学的に当
量な量の硫化ソーダ又は水硫化ソーダを CPU(中央演算
装置=演算装置+制御装置)で演算して求める。そし
て、この求めた量ないしは僅か多い量の硫化ソーダ又は
水硫化ソーダを上記槽の溶液に添加し、一定時間攪拌し
た後、凝集沈澱した硫化物(例えば CuS及びその他の硫
化物)を槽の下部から抜き取って分離する。そして、こ
れを脱水・洗浄し、非鉄製錬原料(例えば銅原料)とな
す。
【0018】次に、この硫化物沈澱分離後の溶液(第1
分別回収槽の上澄液)を第2分別回収槽に送給し、この
槽で分別回収する重金属(例えばPb及びZn)の沈澱分離
に適当なpHに調整した後、該pHで硫化物として沈澱する
重金属の総量に硫黄量として化学的に当量な量の硫化ソ
ーダ又は水硫化ソーダを CPUで演算して求める。そし
て、この求めた量ないしは僅か多い量の硫化ソーダ又は
水硫化ソーダを上記槽の溶液に添加し、一定時間攪拌し
た後、凝集沈澱した硫化物(例えばPbS 及びZnS並びにC
dS 等)を槽の下部から抜き取って分離する。そして、
これを脱水・洗浄し、非鉄製錬原料(例えば鉛、亜鉛原
料)となす。
【0019】この硫化物沈澱分離後の溶液(第2分別回
収槽の上澄液)はpH調整槽で中和され、必要な場合は脱
塩処理もされ、そして放流される。この中和時に若干の
水酸化物が沈澱するが、この沈澱物は殆ど重金属が含ま
れておらず、溶融炉で再溶融してもスラグ側へ移行する
ものであるため溶融処理される。尚、非鉄製錬原料とし
ての不純物が少ない場合には第2分別回収槽で硫化物を
沈澱分離する際にpHを6〜7に上げて重金属回収と同時
に中和処理をしてしまうことも可能である。
【0020】このようなプロセスにより都市ゴミ焼却灰
2種類(灰I、灰IIと称する)について重金属の分別回
収処理をした場合の分別回収物(沈澱分離された硫化
物)の主な成分の分析値を表1に示す。灰Iについては
Cuが多く含まれていたため、Cu原料とPb+Zn原料として
回収した。その結果、Cu原料として52.9%、Pb+Zn原料
として58.4%(17.1%+41.3%)の分別回収物を得、前
者は銅滓、後者はISP 法(溶鉱炉による亜鉛製錬法)向
けの亜鉛原料として利用可能な品質であった。灰IIにつ
いてはCuが比較的少なかったため、Cuを分別せず、Pb原
料とZn原料として回収した。その結果、Pb原料としてPb
43.6%、Zn原料としてZn63.8%という高純度の分別回収
物を得た。
【0021】第2分別回収槽の上澄液を中和処理した排
水の分析値を、水質汚濁防止法に基づく排水規制値と比
較して表3に示す。いずれの成分も排水規制値以下であ
り、排水として問題がないことがわかる。
【0022】比較のため、重金属溶解溶液の重金属量の
分析、各分別回収槽で沈澱させる重金属の量の算出、そ
れによる硫化ソーダ又は水硫化ソーダの添加量の制御を
行わず、結果として第1分別回収槽で硫化ソーダ又は水
硫化ソーダを過剰に加えた場合の分別回収物の分析値を
表2に示す。灰I、灰IIのいずれの場合も、実施例1で
の結果(表1)と比較して劣り、Cu、Pb、Znの純度が低
いことがわかる。
【0023】尚、第2分別回収槽での硫化物の沈澱分離
の段階において、この槽内の溶液中の重金属を全て回収
しても非鉄製錬原料として使用可能な硫化物が得られる
のであれば、沈澱物と上澄液とに分別せず、若干過剰に
硫化ソーダ又は水硫化ソーダを添加して一括して沈澱分
離し回収すればよい。その場合、図2に示す如く第2分
別回収槽を1槽とし、各々の第1分別回収槽から順次連
続処理することが可能である。但し、各々の第1分別回
収槽の上澄液に存在する重金属量は異なるため、第2分
別回収槽での処理液が変わる毎に硫化ソーダ又は水硫化
ソーダの連続添加量を切り換えて操作していくような制
御システムとするとよい。
【0024】上記実施例(図2)においては重金属溶解
槽と第1分別回収槽を3系列組んでいるが、処理規模に
より1以上のいくつかの系列を並行に組んでもよい。
又、図2では第1分別回収槽と第2分別回収槽で2種類
の硫化物群に分別しているが、3種類以上の硫化物群に
分別する場合には分別する群数に合わせて直列に分別回
収槽をつなげればよい。その際、最終分別回収槽を除い
てそれより前段にある分別回収槽は回分(バッチ)処理
方式とするとよい。例えば、3種類の硫化物群に分別す
る場合には、図3に示す如く、第1〜3分別回収槽を直
列につなぎ、第1及び第2分別回収槽はバッチ処理方式
とし、第3分別回収槽のみを連続処理方式とすればよ
い。かかる図3に示す方式によれば、3種類の重金属の
分別が可能となるが、2種類の重金属の分別の場合に比
較して設備コスト及び処理コストが高くなるので、必要
に応じて採用すべきである。
【0025】又、図2ではpH調整槽を有するが、図4に
示す如くpH調整槽を除いた方式にしてもよい。この方式
では、第2分別回収槽前の混合槽で放流可能なpH6 〜7
にまで調整してしまい、その後に必要があれば脱塩処
理、必要がなければ放流する。本方式の場合は第2分別
回収槽の沈澱物の中にpH調整による新たな沈澱物が混合
すると考えられるが、焼却灰として灰IIを供して本方式
を模擬して実験を行ったところ、表4に示す如く、Cu,
Pb,Znの純度において図2の方式で処理した場合と大差
なく、非鉄製錬原料として使用可能な純度のものが得ら
れることがわかった。
【0026】この図4に示す方式によれば、排水処理工
程が簡略化できる利点がある。又、少量であってもpH調
整を単独工程で行う場合にはそこに発生する沈澱物の処
理が必要であるが、最終分別回収槽で中和処理を同時に
行う場合には回収重金属と共に非鉄製錬原料として処理
されてしまうので、中和沈澱物の処理コストの低減に寄
与できる利点がある。但し、中和処理時に混入する沈澱
物が非鉄製錬原料の品質に大きな悪影響を及ぼす場合に
は本方式は採用すべきではなく、そのため方式決定の段
階で処理対象の灰の含有物について事前の検討を要す
る。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【発明の効果】本発明に係る焼却灰からの重金属の分別
回収方法によれば、広域処理する場合の如く分別回収処
理対象の焼却灰中の重金属の種類や量が日々に種々異な
る場合であっても、分離分別回収目的の重金属の回収率
の低下、純度の低下、及び、処理排水中の硫黄成分含有
量の増加を招くことなく、特定の焼却場から出る焼却灰
の如く分別回収処理対象の焼却灰中の重金属の種類や量
が一定している場合と同様に、分離分別回収目的の重金
属を硫化物として高純度且つ高回収率で分別回収し得る
と共に、処理排水中の硫黄成分含有量を低減し、処理排
水を無害化し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶液のpHと溶液中の鉛濃度との関係を示す図
である。
【図2】 実施例に係る焼却灰からの重金属の分別回収
プロセスフローを説明する図である。
【図3】 本発明に係る焼却灰からの重金属の分別回収
プロセスフローの一例を説明する図である。
【図4】 本発明に係る焼却灰からの重金属の分別回収
プロセスフローの一例を説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22B 15/00 102 C22B 3/00 Q 19/20 13/04 (72)発明者 亀岡 義文 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 河端 博昭 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内 (56)参考文献 特開 昭56−87634(JP,A) 特公 昭27−5003(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22B 7/02 B09B 3/00 B09B 3/00 ZAB C22B 3/44 C22B 13/00 C22B 15/00 102 C22B 19/20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重金属溶解槽で焼却灰中の重金属を溶出
    させて含有する重金属溶解溶液を得る重金属溶解工程
    と、該溶液を第1分別回収槽に送給し、この槽で該溶液
    に硫化ソーダ又は水硫化ソーダを供給すると共に該溶液
    のpHを調整することにより、該溶液中の重金属の一部を
    硫化物として沈澱させ分離する第1分別回収工程と、こ
    の沈澱物分離後の溶液を第2分別回収槽に送給し、この
    槽で該溶液に硫化ソーダ又は水硫化ソーダを供給すると
    共に該溶液のpHを調整することにより、該溶液中の重金
    属の一部又は全てを硫化物として沈澱させ分離する第2
    分別回収工程とを有する焼却灰からの重金属の分別回収
    方法であって、前記重金属溶解溶液中の重金属含有量を
    重金属の種類別に定量分析により求め、この分析値より
    前記第1分別回収工程で沈澱させる重金属の量と第2分
    別回収工程で沈澱させる重金属の量とを算出しておき、
    前記第1分別回収工程で供給する硫化ソーダ又は水硫化
    ソーダの量を、硫黄量として、前記算出した第1分別回
    収工程で沈澱させる重金属の量に化学的に当量な量を基
    準として設定し、前記第2分別回収工程で供給する硫化
    ソーダ又は水硫化ソーダの量を、硫黄量として、前記算
    出した第2分別回収工程で沈澱させる重金属の量に化学
    的に当量な量を基準として設定することを特徴とする焼
    却灰からの重金属の分別回収方法。
  2. 【請求項2】 前記第2分別回収工程で溶液中の重金属
    の一部を硫化物として沈澱させ分離した後、この沈澱物
    分離後の溶液を第3分別回収槽に送給し、この槽で該溶
    液に硫化ソーダ又は水硫化ソーダを供給すると共に該溶
    液のpHを調整することにより、該溶液中の重金属の一部
    又は全てを硫化物として沈澱させ分離する第3分別回収
    工程を有し、該第3分別回収工程で供給する硫化ソーダ
    又は水硫化ソーダの量を、硫黄量として、前記分析値よ
    り算出される第3分別回収工程で沈澱させる重金属の量
    に化学的に当量な量を基準として設定することを特徴と
    する請求項1記載の焼却灰からの重金属の分別回収方
    法。
  3. 【請求項3】 前記溶液のpHの調整を該溶液へのアルカ
    リ又は酸の添加により行い、該溶液のpHをpH測定器によ
    るpH測定により確認する請求項1又は2記載の焼却灰か
    らの重金属の分別回収方法。
  4. 【請求項4】 前記第1分別回収工程で硫化物として沈
    澱させる重金属が銅であり、前記第2分別回収工程で硫
    化物として沈澱させる重金属が鉛及び亜鉛である請求項
    1又は3記載の焼却灰からの重金属の分別回収方法。
  5. 【請求項5】 前記第1分別回収工程で硫化物として沈
    澱させる重金属が鉛であり、前記第2分別回収工程で硫
    化物として沈澱させる重金属が亜鉛である請求項1又は
    3記載の焼却灰からの重金属の分別回収方法。
  6. 【請求項6】 前記第1分別回収工程で硫化物として沈
    澱させる重金属が銅であり、前記第2分別回収工程で硫
    化物として沈澱させる重金属が鉛であり、前記第3分別
    回収工程で硫化物として沈澱させる重金属が亜鉛である
    請求項2又は3記載の焼却灰からの重金属の分別回収方
    法。
JP15343395A 1995-06-20 1995-06-20 焼却灰からの重金属の分別回収方法 Expired - Lifetime JP2944466B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15343395A JP2944466B2 (ja) 1995-06-20 1995-06-20 焼却灰からの重金属の分別回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15343395A JP2944466B2 (ja) 1995-06-20 1995-06-20 焼却灰からの重金属の分別回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH093558A JPH093558A (ja) 1997-01-07
JP2944466B2 true JP2944466B2 (ja) 1999-09-06

Family

ID=15562419

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15343395A Expired - Lifetime JP2944466B2 (ja) 1995-06-20 1995-06-20 焼却灰からの重金属の分別回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2944466B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3975456B2 (ja) * 1998-06-17 2007-09-12 月島機械株式会社 重金属成分回収方法
JP5651978B2 (ja) * 2010-03-30 2015-01-14 Jfeスチール株式会社 硫化脱銅スラグからのナトリウム・硫黄成分の回収方法
JP7261100B2 (ja) * 2019-06-20 2023-04-19 三菱重工業株式会社 添加剤供給量決定装置及びこれを備えた燃焼設備並びに燃焼設備の運転方法
CN114620869B (zh) * 2022-05-16 2022-11-08 深圳市盘古环保科技有限公司 一种紫外催化氧化废水处理系统及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH093558A (ja) 1997-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6274045B1 (en) Method for recovering and separating metals from waste streams
US5753125A (en) Method for recovering and separating metals from waste streams
US6254782B1 (en) Method for recovering and separating metals from waste streams
US6270679B1 (en) Method for recovering and separating metals from waste streams
JP3625270B2 (ja) 廃棄物の処理方法
JP3737459B2 (ja) 廃棄物の再資源化処理方法
JP2001348627A (ja) 飛灰からの重金属回収方法
JP2944466B2 (ja) 焼却灰からの重金属の分別回収方法
US4904358A (en) Gold and silver recovery processes by electrolytic generation of active bromine
JP2003236503A (ja) 鉛分を含む廃棄物の処理方法
JP2972524B2 (ja) 焼却灰からの鉛及び亜鉛の分別回収方法
JP3766908B2 (ja) 廃棄物の処理方法
JPH08309313A (ja) 高温処理炉からの重金属含有飛灰の湿式処理方法
JP2894477B2 (ja) 亜鉛、鉛、水銀及び塩素を含有する物質の処理方法
JPH07214029A (ja) 焼却灰または飛灰の無害化処理による重金属のリサイクル方法
JP2005177757A (ja) カルシウム及び重金属含有物の処理方法
US6797195B1 (en) Method for recovering and separating metals from waste streams
JP3851206B2 (ja) 飛灰の処理方法
JP3733452B2 (ja) 廃棄物の処理方法
JP4044068B2 (ja) 重金属類を含有する物質の処理方法
JP3524601B2 (ja) 焼却炉および溶融炉からの飛灰の処理方法
JP2000212654A (ja) 重金属と塩素を含有する物質からの重金属の回収方法
JP2003201524A (ja) 廃棄物の処理方法
JP4505840B2 (ja) 溶融飛灰からの有価物回収方法
JP3914814B2 (ja) カルシウムを含む飛灰の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990601

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080625

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090625

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090625

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090625

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110625

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110625

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120625

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120625

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 14

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term