JP2003320452A - 金属−セラミックス複合材料同士の接合方法 - Google Patents
金属−セラミックス複合材料同士の接合方法Info
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Abstract
した接合面付近の複合材料中に鬆の発生がなく、接合強
度が従来より大きく向上する、セラミックス粉末または
セラミックス繊維を強化材とし、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金をマトリックスとする金属−セラミック
ス複合材料同士の接合方法を提供すること。 【解決手段】 接合する複合材料の接合面間に、Mgを
5〜10質量%含有するアルミニウム合金からなるろう
材を1〜3mmの厚さの板にして装填し、そのろう材の
板面に10〜20g/cm2の圧力がかかるようにそれ
らを加圧しながら、窒素雰囲気中で600〜650℃の
温度で3〜6時間熱処理することにより接合する。
Description
ス複合材料の接合方法に関し、特にアルミニウムまたは
アルミニウム合金をマトリックスとする金属−セラミッ
クス複合材料同士の接合方法に関する。 【0002】 【従来の技術】セラミックス粉末またはセラミックス繊
維を強化材とし、アルミニウムまたはアルミニウム合金
をマトリックスとする金属−セラミックス複合材料同士
の接合方法としては、従来、接合する複合材料の接合面
間に、アルミニウムに亜鉛や錫などの低融点元素を配合
したろう材を、板にして装填し、あるいはそれらの粉末
にバインダーを加えてシートにして装填し、それらを複
合材料中のマトリックスの融点より低い温度で、かつ、
ろう材が軟化・溶融する温度で熱処理することにより、
複合材料同士を接合していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ろ
う材で接合する接合方法では、複合材料中のマトリック
スが複合材料の表面に染み出ることを抑えることができ
るものの、ろう材に接しているマトリックスが低融点化
するため、その低融点となったマトリックスがろう材に
吸収されて、接合した接合面付近の複合材料中に鬆
(す)が発生し、接合強度が低くなるという問題があっ
た。また、配合した亜鉛や錫などの低融点元素が低強度
元素でもあるため、その低強度元素が接合時に接合部分
に集中することにより、接合強度がさらに低下するとい
う問題もあった。 【0004】本発明は、上述した従来技術が有する課題
に鑑みなされたものであって、その目的は、ろう材で接
合する接合方法であっても、接合した接合面付近の複合
材料中に鬆の発生がなく、接合強度が従来より大きく向
上する金属−セラミックス複合材料同士の接合方法を提
供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するため鋭意研究した結果、ろう材の組成を複合
材料中のマトリックスに近い組成とし、そのろう材の形
状、厚さを特定し、かつそのろう材を接合する熱処理条
件を特定すれば、接合した接合面付近の複合材料中に鬆
の発生がなく、接合強度が従来より大きく向上するとの
知見を得て本発明を完成するに至った。 【0006】即ち本発明は、セラミックス粉末またはセ
ラミックス繊維を強化材とし、アルミニウムまたはアル
ミニウム合金をマトリックスとする金属−セラミックス
複合材料同士を接合する接合方法において、該接合方法
が、接合する複合材料の接合面間に、Mgを5〜10質
量%含有するアルミニウム合金からなるろう材を1〜3
mmの厚さの板にして装填し、該ろう材の板面に10〜
20g/cm2の圧力がかかるようにそれらを加圧しな
がら、窒素雰囲気中で600〜650℃の温度で3〜6
時間熱処理することにより接合する方法であることを特
徴とする金属−セラミックス複合材料同士の接合方法と
することを要旨とする。以下さらに詳細に説明する。 【0007】上記で述べたように、本発明の接合方法と
して、接合するろう材の組成、その形状、厚さを特定
し、かつそのろう材で接合する熱処理条件を特定した接
合方法とすることにより、ろう材の組成が複合材料中の
マトリックスの組成に近くても接合できるようにしたも
のである。 【0008】そのため、ろう材に接している複合材料中
のマトリックスがろう材に吸収されずに複合材料同士が
接合するので、接合した接合面付近の複合材料中に鬆の
発生がなく、また、低強度元素も配合されていないの
で、接合強度が従来より大きく向上する金属−セラミッ
クス複合材料同士の接合方法となるものである。 【0009】ろう材の組成が複合材料中のマトリックス
の組成に近くても接合できるのは、ろう材の組成が複合
材料中のマトリックスの組成に近ければ、通常複合材料
中のマトリックスと同様の温度でないと軟化・溶融しな
いが、それに圧力をかけることにより、複合材料中のマ
トリックスも軟化・溶融するものの、複合材料が変形し
ないで形を保つことができる温度でろう材を軟化・溶融
させることができるので、ろう材と複合材料中のマトリ
ックスとが相互に浸透して強固に接合できるようになる
からである。 【0010】そのろう材の組成としては、Mgを5〜1
0質量%含有するアルミニウム合金とした。アルミニウ
ム合金中にMgを含有するのは、接合する複合材料の表
面にはアルミニウムまたはアルミニウム合金に濡れ性の
悪いセラミックス粉末またはセラミックス繊維が存在す
るので、そのセラミックス粉末またはセラミックス繊維
との濡れ性を改善して接合強度を向上させるためであ
る。 【0011】そのアルミニウム合金中のMgの量が5質
量%より少ないとセラミックスとの濡れ性の改善が不十
分で接合強度が低下し好ましくなく、逆に10質量%よ
り多いと複合材料中のマトリックスとの熱膨張係数の差
が大きくなってこれも接合強度が低下し好ましくない。
なお、アルミニウム合金中に含有するMg以外の元素の
存在は、複合材料中のマトリックスと反応して悪影響を
及ぼさないものであれば、また、ろう材の融点を大きく
上げたり下げたりしないものであれば何でも構わない。 【0012】そのろう材の形状としては、板とし、その
厚さは、1〜3mmとした。ろう材の形状が板でない
と、ろう材の板面に均等に圧力がかかり難く好ましな
く、その厚さについては、1mmより薄いと接合面に行
き渡るろう材に不足部分が生じて好ましくなく、逆に3
mmより厚いと接合したろう材の接合部の厚さが厚くな
って接合強度が低下するので好ましくない。 【0013】そのろう材を接合する熱処理条件として
は、接合面間に装填したろう材の板面に10〜20g/
cm2の圧力がかかるように加圧しながら、窒素雰囲気
中で600〜650℃の温度で3〜6時間熱処理するこ
ととした。かける圧力の大きさが10g/cm2より小
さいと、ろう材の軟化・溶融が不十分で接合強度が低下
し、20g/cm2より大きいと複合材料が形を保つこ
とができずに変形する。なお、ろう材の板面に圧力をか
ける方法は、ろう材を装填している両側の複合材料をろ
う材の板が水平になるように置き、そのろう材の上部に
ある複合材料の上面に10〜20g/cm2の圧力がか
かるように重しを載せてもよいし、ろう材を装填してい
る複合材料の両側からろう材の板面に10〜20g/c
m2の圧力がかかるように機械的に加圧してもよい。 【0014】熱処理する雰囲気については、大気雰囲気
ではろう材であるアルミニウム合金の表面に酸化膜が生
じて接合強度が低下するため好ましくなく、アルゴンな
どの不活性ガス雰囲気でも接合面部分にポアが生じる原
因となるため好ましくないが、窒素雰囲気ではその窒素
がろう材中のMgと反応することにより、ろう材のセラ
ミックスへの濡れ性を改善して接合強度を向上させるこ
とができるものとなる。 【0015】一方、熱処理する温度については、その温
度が600℃より低いとろう材の軟化・溶融が不十分で
接合強度が低下し、650℃より高いと複合材料が形を
保つことができずに変形する。また、熱処理時間につい
ては、その時間が3時間より短いとろう材の軟化・溶融
が不十分で接合強度が低下し、6時間より長いと複合材
料が形を保つことができずに変形する。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明の接合方法をさらに詳細に
述べると、まず接合する複合材料を用意する。複合材料
中のマトリックスはアルミニウムまたはアルミニウム合
金であるが、セラミックスとしては、SiC、Al
2O3、AlN等の通常のセラミックス粉末またはセラミ
ックス繊維でよく、アルミニウムまたはアルミニウム合
金と反応しないセラミックス粉末またはセラミックス繊
維であれば何でも構わない。複合材料は、高圧鋳造法、
高圧含浸法、非加圧浸透法等の慣用の方法で作製でき
る。 【0017】次いで1〜3mmの厚さの板にした、Mg
を5〜10質量%含有するアルミニウム合金からなるろ
う材を用意する。その用意したろう材を、用意した複合
材料の接合面間に挟んで装填する。 【0018】それらを、ろう材の板面に10〜20g/
cm2の圧力がかかるように加圧しながら窒素雰囲気中
で600〜650℃の温度で3〜6時間熱処理すること
により、複合材料同士を接合する。 【0019】以上の方法で接合すれば、ろう材で接合す
る接合方法であっても、接合した接合面付近の複合材料
中に鬆の発生がなく、接合強度が従来より大きく向上す
る金属−セラミックス複合材料同士の接合方法となる。 【0020】 【実施例】以下本発明の実施例を比較例と共に具体的に
挙げ、本発明をより詳細に説明する。 【0021】(実施例1〜10) (1)金属−セラミックス複合材料同士の接合 市販のSiC粉末により100×100×高さ30mm
のプリフォームを形成し、そのプリフォームにAl−3
Mg組成のアルミニウム合金を浸透させて複合材料を2
個作製した。得られた複合材料をその表面同士(100
×100mmの面)を接合するために上下に重ねて配置
した。 【0022】その重ね合わせた表面同士の間に表1に示
すろう材を装填し、そのろう材の上部にある複合材料の
上面に表1に示す圧力がかかるように重しを載せ、それ
らを窒素雰囲気中で表1に示す温度と時間で熱処理して
複合材料同士を接合した。 【0023】(2)評価 得られた接合体の接合面を含む部分より試験片を切り出
し、その曲げ強度を3点曲げ試験(JIS R 160
1)で測定して接合強度を求めた。また、接合した接合
面付近の複合材料の部分を切断し、その切断面に存在す
る複合材料中の鬆の有無を目視で調べた。さらに、接合
した接合面のろう材の部分を切断し、ろう材の行き渡り
の状態を目視で調べた。さらにまた、接合した複合材料
の変形の有無の状態を目視で調べた。それらの結果を表
1に示す。 【0024】(比較例1〜12)比較のために比較例1
では、ろう材として2質量%の亜鉛粉末を含むアルミニ
ウム粉末に、アクリル樹脂を加えて混練し成形した0.
3mmの厚さのシートを用い、そのシートを実施例と同
様に上下に重ね合わせた複合材料の接合面間に装填し
て、圧力をかけないで窒素雰囲気中で600℃の温度で
3時間熱処理して接合し、得られた接合体を実施例と同
様に評価した。また、比較例2、3では、ろう材である
アルミニウム合金中に含有するMgの量を本発明の範囲
外にした他は実施例1、2と同様に、比較例4、5で
は、ろう材の厚さを本発明の範囲外にした他は実施例
3、4と同様に、比較例6、7では、かける圧力の大き
さを本発明の範囲外にした他は実施例5、6と同様に、
比較例8では、熱処理する雰囲気を大気雰囲気とした他
は実施例1と同様に、比較例9、10では、熱処理する
温度を本発明の範囲外にした他は実施例7、8と同様
に、比較例11、12では、熱処理する時間を本発明の
範囲外にした他は実施例9、10と同様にそれぞれ複合
材料同士を接合し、評価した。それらの結果も表1に示
す。 【0025】 【表1】 【0026】表1から明らかなように、実施例全てにお
いて接合した接合面付近の複合材料中に鬆が認められ
ず、接合強度については従来の接合方法である比較例1
に比べて大幅に高かった。また、実施例においてはろう
材の行き渡り状態は良好で、複合材料の変形もなく良好
であった。このことは、本発明の接合方法であれば、ろ
う材で接合する接合方法であっても、接合した接合面付
近の複合材料中に鬆の発生がなく、接合強度が従来より
大きく向上する金属−セラミックス複合材料同士の接合
方法となることを示している。 【0027】それに対して比較例1では、従来の接合方
法であるので、接合した接合面付近の複合材料中に鬆が
認められ、接合強度が実施例よりはるかに低かった。ま
た、比較例2では、ろう材のアルミニウム合金中のMg
の含有量が少なすぎて、比較例3では、そのMgの含有
量が多すぎて、比較例5では、ろう材の厚さが厚すぎ
て、比較例6では、かける圧力の大きさが小さすぎて、
比較例8では、加熱処理する雰囲気が窒素雰囲気でなく
大気雰囲気であったため、比較例9では、熱処理温度が
低すぎて、比較例11では、熱処理時間が短すぎていず
れも接合強度が大きく低下していた。さらに、比較例7
では、かける圧力の大きさが大きすぎて、比較例10で
は、熱処理温度が高すぎて、比較例12では、熱処理時
間が長すぎていずれも複合材料の一部が変形していた。
さらにまた、比較例4では、ろう材の厚さが薄すぎてろ
う材の行き渡らない不足部分が発生していた。 【0028】 【発明の効果】以上の通り、本発明の接合方法であれ
ば、ろう材で接合する接合方法であっても、接合した接
合面付近の複合材料中に鬆の発生がなく、接合強度が従
来より大きく向上する金属−セラミックス複合材料同士
の接合方法とすることができるようになった。このこと
により、アルミニウムまたはアルミニウム合金をマトリ
ックスとする金属−セラミックス複合材料同士をろう材
で接合する接合方法によっても、接合強度を大きく向上
させることができると共に、接合した部分の気密性にも
優れた接合方法とすることができるようになった。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 セラミックス粉末またはセラミックス繊
維を強化材とし、アルミニウムまたはアルミニウム合金
をマトリックスとする金属−セラミックス複合材料同士
を接合する接合方法において、該接合方法が、接合する
複合材料の接合面間に、Mgを5〜10質量%含有する
アルミニウム合金からなるろう材を1〜3mmの厚さの
板にして装填し、該ろう材の板面に10〜20g/cm
2の圧力がかかるようにそれらを加圧しながら、窒素雰
囲気中で600〜650℃の温度で3〜6時間熱処理す
ることにより接合する方法であることを特徴とする金属
−セラミックス複合材料同士の接合方法。
Priority Applications (1)
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JP2002127914A JP4597468B2 (ja) | 2002-04-30 | 2002-04-30 | 金属−セラミックス複合材料同士の接合方法 |
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