JP2003315484A - 沸騰水型原子炉の炉心流量計測演算システム - Google Patents
沸騰水型原子炉の炉心流量計測演算システムInfo
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Abstract
性に依存する必要なく、より高い精度で炉心流量の計算
値を得る。 【解決手段】原子炉圧力容器への給水流量、そのエンタ
ルピ、炉心入口の冷却材エンタルピを計測し、キャリア
ンダー率を仮定し、これら各計測値と仮定値とを演算手
段に入力する。炉心出入口におけるエネルギバランス式
を用いて炉心流量を演算し、炉心流量と給水流量とに基
づいて出口クオリティを演算し、出口クオリティと炉心
流量とに基づいて、キャリアンダー率についての相関式
からキャリアンダー率を演算し、キャリアンダー率と仮
定キャリアンダー率とを比較して両者の差が一定値以下
となるまで演算を繰り返し、その差が一定値以下となっ
た場合のキャリアンダー率を採用して炉心流量を求め
る。
Description
ト等に適用される沸騰水型原子炉の炉心流量計測演算シ
ステムに関する。
容器に装荷した核燃料内で発生するウランの核分裂の量
を制御し、かつ核分裂によって発生した熱を有効に除去
するため、冷却材である水を強制的に循環させる方式を
採用している。沸騰水型原子炉の場合、冷却材の循環量
(=炉心流量)が多ければ多いほどウランの核分裂は促
進されて原子炉の出力が増加し、逆に、冷却材の循環量
が少なければ少ないほどウランの核分裂の数が減少して
原子炉出力は低下する。
が決定される理由は、炉心流量が多いと原子炉の気泡
(ボイト)の量が少なくなり、気泡の量が少なくなると
ウランの核分裂によって生成される中性子が減速されや
すくなり、中性子が減速されていわゆる比較的速度の遅
い熱中性子が多く生成され、次のウランの核分裂が促進
されて原子炉出力が増加するためである。炉心流量が少
ない場合にはこれとは逆の過程をたどって原子炉出力は
低下する。
出力を制御するとともに、核分裂で発生した熱を核燃料
から除去するものであるため、これが原子炉で発生する
出力に見合う量に満たない場合には、核燃料表面で冷却
不全に至る可能性がある。このように、沸騰水型原子炉
において、炉心流量は原子炉の制御、運転、安全の観点
から極めて重要な物理であり、より高い精度で計測又は
計算することが要求されている。
いて説明する。この図6は、炉心に冷却材を循環させる
ための再循環ポンプを原子炉圧力容器に内蔵する型式の
構成を示す概略図である。
包する炉心2、この炉心2をその下方から上方に通過し
て気液混合状態となった冷却材を気相(=蒸気)と液相
とに分離する気水分離器3、および冷却材を強制的に循
環する再循環ポンプ4が設けられている。原子炉圧力容
器1には、発生した蒸気をタービン5に導いて発電機6
を駆動するための主蒸気管7が接続されており、タービ
ン5の駆動により仕事をした蒸気は復水器8で再び液相
となり、復水として給水配管9を経て再び原子炉圧力容
器1に導かれる。給水配管9には給水ポンプ10が設け
られ、復水を冷却材として原子炉圧力容器1に常時一定
量供給するようになっている。
炉において、従来行われている炉心流量の計測方法につ
いて説明する。
部において、冷却材を昇圧して炉心の下部より炉心2に
向けて冷却材を強制的に循環させる機能を有している。
通常、冷却材が単位時間内に炉心2を通過する流量の値
を「炉心流量」と呼んでいる。再循環ポンプ4の前後に
は、冷却材の圧力差を計測する計装配管11が設けら
れ、この計装配管11によって再循環ポンプ4の前後間
差圧が計測される。また、再循環ポンプ4にはその回転
数を計測する回転計12が設けられている。
の前後間差圧および回転数の測定値が演算手段13に導
かれ、演算手段13では、この2つの信号に基づいて炉
心流量の計算が行われる。すなわち、演算手段13のデ
ータベースには、再循環ポンプ4の前後間差圧(=ポン
プ揚程)と回転数、ならびに通過する流量の関係につい
て、予め原子炉圧力容器1への据付前に工場等の試験装
置において測定されたポンプ特性がデータとして格納さ
れている。
転数とを実測することにより、1台の再循環ポンプ4毎
に通過する冷却材の流量が求められる。通常、原子炉圧
力容器1内には複数台の再循環ポンプ4が設けられてい
るので、炉心流量は個々の再循環ポンプ4毎に上述の計
算によって得られた値を合計することによって求められ
ている。
循環ポンプ18とループ状の外部配管19とを有する型
式の沸騰水型原子炉の構成を示している。この沸騰水型
原子炉においても、上記同様の手法により、炉心流量が
求められている。
の沸騰水型原子炉においては、実測される再循環ポンプ
前後間差圧と回転数とを予め工場で測定されたポンプ特
性に基づいて求めている。このため、原子炉運転様式が
変ったり、据付後の時間が経過して再循環ポンプの特性
が変化し、工場等で測定した値と異なるものとなったと
きには、計算される炉心流量が正しい値とならない場合
を想定することができる。
もので、再循環ポンプ特性に依存することなく、より正
確に炉心流量を求めることができる沸騰水型原子炉の炉
心流量計測演算システムを提供することを目的とする。
環ポンプ特性に代る炉心流量の計測演算要素について研
究してきた結果、冷却材のエンタルピ、給水流量および
そのエンタルピ等の熱的要素を適用することにより、よ
り正確な炉心流量を求めることができるとの着想を得
た。
おいて、核燃料の核分裂によって発生する熱量をQ、炉
心流量をWc、炉心2の入口部における冷却材のエンタ
ルピをHin、原子炉圧力容器1に給水配管9を介して
流入する給水の流量をWfw、そのエンタルピをHfw
とする。
その下部より液相の状態で流入した冷却材が炉心2で加
熱され、炉心2の上部の出口では気液二相状態となる。
このとき、気相(=蒸気)の包有率(重量割合)を「出
口クオリティXe」と呼ぶ。二相状態となった冷却材
は、気水分離器3を通過することによって気相と液相と
に分離され、気相部は主蒸気管7に導かれる。また、液
相部は下降流となり、原子炉圧力容器1内のダウンカマ
部の領域において給水と混合され、再び再循環ポンプ4
を経て炉心2に下部より流入される。
冷却材の流れを示している。図3において、気水分離器
3からの下降流14は大半が飽和の液相状態であるが、
ごく微量の飽和蒸気を含んでいる。この飽和蒸気の包有
量(重量割合)を「キャリアンダー率Xcu」と呼ぶ。
る蒸気17の量は、給水15の流量(給水流量Wfw)
に等しい。したがって、気水分離器3からの下降流14
の量は、炉心流量Wcから給水流量Wfwを減算した
(Wc−Wfw)で表わされる。
液相とが混合した状態の流体であるため、そのエンタル
ピHcuは、
の圧力に対した飽和状態の気相および液相のエンタルピ
である。
給水15とが混合して、炉心2にその下部から流入する
炉心流16となることを考慮して、熱エネルギバランス
の式をたてると、
式として表現すると
タルピHfw、炉心入口部の冷却材エンタルピ(以下、
「炉心入口エンタルピ」と呼ぶ)Hin、およびキャリ
アンダー率Xcuの4つの物理量を知れば、炉心流量W
cを知ることができることを表わしている。ここで、エ
ンタルピとして表現されている物理量Hfw、およびH
inは、実際には温度計を用いて流体温度を測定するこ
とによって求められる。しかし、上記に示した4つの物
理量のうちで、実際の沸騰水型原子力発電所において、
計測装置により測定が可能な物理量は給水流量Wfw、
その給水のエンタルピHfw、炉心入口エンタルピHi
nの3つであり、キャリアンダー率Xcuは測定するこ
とができない。
量Wcを求める場合、その精度を正しく把握しておく必
要があるが、この評価には沸騰水型原子力発電所におい
て実際に測定される物理量Wfw、Hfw、Hinの計
測精度、および設計上想定するキャリアンダー率Xcu
の不確かさを考慮して評価することとなる。
る沸騰水型原子力発電所の代表的な値を用いて評価する
と、給水流量WfwおよびそのエンタルピHfwの計測
精度が炉心流量Wcの計算値の不確かさに与える影響は
小さく、その不確かさの大半は、炉心入口エンタルピH
inの計測精度と、仮定するキャリアンダー率Xcuの
不確かさに支配されている。例えば、炉心流量Wcの計
算値の不確かさに対して炉心入口エンタルピHinの計
測精度が起因している割合は40〜50%、キャリアン
ダー率Xcuの不確かさが起因している割合もまた40
〜50%程度と大きく、残りの10%程度が給水流量W
fwおよびそのエンタルピHfwの計測精度に起因して
いる。
善する代表的な方策としては、炉心入口部に多数の温度
計を設けることが挙げられる。
るために、その配管内部に温度計を内蔵した局所出力モ
ニタ(LPRM)を複数台用意し、その計測値の平均値
を用いることで、炉心入口エンタルピHinの計測精度
を改善することができる。温度計の設置位置としては、
原子炉圧力容器内のガンマ線や中性子束分布を考慮し
て、その影響を受けない位置に設置することが望まし
い。
は、気水分離器3の気相と液相の分離メカニズムが複雑
であるために、従来の沸騰水型原子力発電所の設計にお
いては一定値を仮定し、精度評価が必要な場合には例え
ば±100%という大きな不確かさを仮定していた。
いて炉心流量Wcを求める場合にはキャリアンダー率X
cuをより精度よく知ることが重要であることがわか
る。この目的を達成するためには、気水分離器3におけ
る気相と液相との分離のメカニズムを明確にする必要が
あるが、現実的には定量的に評価することが非常に困難
であるため、本発明においては実際に運転されている沸
騰水型原子力発電所の運転実績からこれを求める方策を
提供する。
(1)とエネルギバランス式(3)を用いてキャリアン
ダー率Xcuについて整理すると
器1の外に再循環ポンプ18とループ状の外部配管19
とを有する型式の沸騰水型原子炉においては、炉心流量
Wcの値を比較的精度よく求めることができるので、式
(4)を用いてキャリアンダー率Xcuを計算すること
が理論的に可能である。
ィXeは、炉心流量Wcと給水流量Wfwとの比率
は気水分離器下降流14に包まれる蒸気の重量割合であ
るので、出口クオリティXeと強い相関をもっているも
のと考えられる。また、出口クオリティXeが同じであ
っても冷却材の流速の大小、すなわち炉心流量Wcにも
相関を持つことが予想される。
で、f(Wc)は炉心流量Wcの関数であることを示
し、g(Xe)は出口クオリティXeの関数であること
を示す。
の運転実績を用いてキャリアンダー率Xcuとクオリテ
ィXeとの関係、およびキャリアンダー率Xcuと炉心
流量Wcとの関係を求めてみると、それぞれ図4および
図5に示すような相関を見ることができる。
件のもとでキャリアンダー率Xcuと出口クオリティX
eの関係の一例を示すグラフである。この図4に示すよ
うに、出口クオリティXeの増加によってキャリアンダ
ー率Xcuは増加する傾向がある。
の条件のもとでキャリアンダー率Xcuと炉心流量Wc
の関係の一例を示すグラフである。この図5に示すよう
に、炉心流量Wcの増加によってキャリアンダー率Xc
uは減少する傾向がある。
くの沸騰水型原子力発電所のこれまでの運転実績をもと
に作成する。相関式(5)の具体的な表式としては、例
えばa,b,c…fを定数として、
式の積として表わす方法などが考えられる。ここでは簡
単化のため、2次式で表わされるとした場合の表式の例
を示しているが、他にこれらの関係をよく表示するもの
があれば式(6)にこだわらない。
クオリティXeの他に、原子炉水位Lnを加え、
b,c…fは式(4)を用いて計算したキャリアンダー
率Xcuと相関式(6)の値の偏差が極小となるよう
に、最小2乗法等を用いて計算することが可能である。
炉心流量Wcの計算精度を改善するために相関式(5)
を用いてキャリアンダー率Xcuを求めることに想到し
た。この際、式(5)の独立変数は、式(3)の結果で
ある炉心流量Wcおよびこの炉心流量Wfcと給水流量
Wfwとを用いて計算される出口クオリティXeである
ため、単純に炉心流量Wcを求めることは困難である。
cuを1つ仮定してエネルギバランス式(3)により炉
心流量Wcを求め、その値と、給水流量Wfwとにより
計算される出口クオリティXeを式(5)に適用してキ
ャリアンダー率X´cuを求め、その値と初めに仮定し
たXcuとの差が大きいときは、再び同様の計算を行
う。このような計算を繰返して実行し、キャリアンダー
率について初めの仮定値Xcuと相関式(5)による算
値X´cuとの差が充分小さくなったとき、その際の炉
心流量Wcとキャリアンダー率Xcuとはエネルギバラ
ンス式(3)と式(5)とを同時に満足する値となる。
そこで、この値を用いることにより、キャリアンダー率
Xcuの不確かさを低減し、その結果、炉心流量Wcの
計算値の精度を大きく改善することができる。
あり、原子炉圧力容器への給水流量、この給水のエンタ
ルピおよび前記原子炉圧力容器の炉心入口の冷却材エン
タルピを計測するステップと、前記原子炉圧力容器内の
気水分離器からの冷却材下降流に含まれる蒸気割合とし
てのキャリアンダー率を仮定するステップと、これら各
計測値と仮定値とを演算手段に入力するステップと、こ
れらの入力値を演算要素として炉心出入口におけるエネ
ルギバランス式を用いて炉心流量を演算するステップ
と、この演算によって求められた炉心流量と前記給水流
量とに基づいて炉心出口の気液二層に含まれる蒸気割合
としての出口クオリティを演算するステップと、この演
算によって求められた出口クオリティと前記炉心流量と
に基づいて、これら両者の関数として示される前記キャ
リアンダー率についての相関式からキャリアンダー率を
演算するステップと、この演算により求められたキャリ
アンダー率と前記仮定されたキャリアンダー率とを比較
して両者の差が一定値以下であるか否かを判断するステ
ップと、これら両キャリアンダー率の差が一定値以下で
ない場合にはその差を縮小する方向で新たにキャリアン
ダー率を仮定して再入力を行うステップとを備え、前記
差が一定値以下となるまで前記演算を繰り返し、その差
が一定値以下となった場合のキャリアンダー率を採用し
て前記炉心流量を求めることを特徴とする沸騰水型原子
炉の炉心流量計測演算システムを提供する。
心流量を求めるためのキャリアンダー率が、炉心出入口
におけるエネルギバランス式と、出口クオリティの関数
および炉心流量の関数として示される相関式とを同時に
満足する値となるため、キャリアンダー率Xcuの不確
かさを5〜10分の1に低減することが可能であり、結
果として炉心流量Wcの計算値の精度を大きく改善する
ことができる。
炉の炉心流量計測演算システムの一実施形態について、
図面を参照して説明する。
を実行するための処理手順を示すフローチャートであ
り、図2は演算要素および演算種類等の関係を示す系統
図である。なお、本実施形態において適用する沸騰水型
原子炉の構成については、図6および図7および前述し
た説明をそのまま参照する。また、作用の説明について
は、図3〜図5を参照する。
示した原子炉圧力容器1に再循環ポンプ4を内蔵する型
式の沸騰水型原子炉に本発明のシステムを適用する場合
について説明する。
のシステムにおいては、運転する沸騰水型原子炉の原子
炉圧力容器1内に設置される計測器により、給水流量W
fwと、その給水のエンタルピHfwと、炉心入口エン
タルピHinとを測定する(ステップS101)。この
計測器としては、炉心入口エンタルピHinを精度良く
求めるために、その配管内部に温度計を内蔵した複数の
局所出力モニタ(LPRM)を適用する。この複数の局
所出力モニタ(LPRM)に内蔵した温度計の計測値の
平均値を用いることにより、炉心入口エンタルピHin
の計測精度を改善することができる。温度計の設置位置
としては、原子炉圧力容器1内のガンマ線や中性子束分
布を考慮して、その影響を受けない位置を設定する。
からの冷却材下降流14に含まれる蒸気割合としてのキ
ャリアンダー率Xcuを1つ仮定する(ステップS10
2)。
w,Hiおよび仮定値Xcuを演算手段に入力し(ステ
ップS103)、これらの入力値を演算要素として、ま
ず炉心出入口におけるエネルギバランス式を用いて炉心
流量Wcの演算を行う(ステップS104)。
2に示すように、例えば上述した(3)式を適用する。
即ち、炉心流量をWc、給水流量をWfw、その給水の
エンタルピをHfw、炉心入口部の冷却材エンタルピを
Hinとしたとき、
の給水のエンタルピHfwおよび炉心入口エンタルピH
inと、仮定による不確かさを含むキャリアンダー率X
cuとに基づく炉心流量をWcが一旦求められる。
量Wcと給水流量Wfwとに基づいて、炉心出口の気液
二層流に含まれる蒸気割合としての出口クオリティXe
の演算を行う(ステップ105)。出口クオリティXe
は、炉心流量Wcと給水流量Wfwとの比率に関する上
述した式、すなわち
オリティXeと、ステップS104で求められた炉心流
量Wcとに基づいて、これら両者の関数として示される
相関式からキャリアンダー率X’cuの演算を行う(ス
テップS106)。この相関式としては、図2に示すよ
うに、上述した(5)式を適用する。
流量の関数をf(Wc)、出口クオリティの関数をg
(Xe)としたとき、
特性、即ち、出口クオリティXeの増加によってキャリ
アンダー率Xcuが増加する傾向、また図5に示した炉
心流量Wcの増加によってキャリアンダー率Xcuが減
少する傾向を参照する。
ャリアンダー率X’cuと、最初に仮定されたキャリア
ンダー率Xcuとを比較し、両者の差が一定値以下であ
るか否かを判断する(ステップS107)。
uの差が一定値以下でない場合(NO)、即ち差が大き
いときには、その差を縮小する方向に新たにキャリアン
ダー率を仮定して再入力を行う(ステップS108)。
(1),(2)の仮定をして、XcuとX´cuの差が
充分小さくなるまで再び同様の計算を繰り返す。
り小さくX´cuより大きい値。 (2)Xcu<X´cuならば、Xcuより大きくX´
cuより小さい値。
たキャリアンダー率の値Xcuと相関式((5)式)に
より計算したキャリアンダー率の値X´cuとの差が充
分小さくなったとき、その際の炉心流量Wcとキャリア
ンダー率Xcuとはエネルギバランス式((3)式と
(5)式))とを同時に満足する値となる。
X’cuの差が一定値以下となるまでステップS104
〜S108の演算を繰り返し、その差が一定値以下とな
った場合のキャリアンダー率を採用して前記炉心流量を
決定する(S109)。
炉心流量計測演算システムによれば、給水流量Wfw、
およびそのエンタルピHfw、炉心入口エンタルピHi
nを計測器を用いて測定し、これらの3つの物理量と予
め1つ仮定するキャリアンダー率Xcuから出発してエ
ネルギバランス式を適用した繰返し演算を行い、炉心流
量Wcを計算することによって、最終的に炉心流量Wc
の値を精度よく知ることができる。
ンプ4を内蔵した方式を用いる沸騰水型原子炉におい
て、給水流量WfwやそのエンタルピHfw、炉心入口
エンタルピHin等を用いて炉心流量Wcを求める従来
の手法では、その計算値に大きな影響を与えるキャリア
ンダー率Xcuが一定の計測値と大きな不確かさを想定
していたのに対し、本発明による計算手法を用いた場合
には、キャリアンダー率Xcuの不確かさを従来に比し
て5〜10分の1に低減することが可能であり、その結
果、炉心流量Wcの計算値の精度を大きく改善すること
ができる。
器1の外に再循環ポンプ18とループ状の外部配管19
を有する方式を用いている沸騰水型原子炉においても、
前記同様のステップS101〜S109を適用して炉心
流量Wcを求めることができる。
に再循環ポンプ18とループ状の外部配管19とを有す
る型式の沸騰水型原子炉においては、炉心流量Wcの値
を比較的精度よく求めることができるので、前述した式
(4)を用いてキャリアンダー率Xcuを計算すること
が可能である。この場合においては、式(4)によるキ
ャリアンダー率Xcuの計算値を、式(5)で表わされ
るように、炉心流量Wcと出口クオリティXeとの近似
式からなる相関式として作成し、この式にエネルギバラ
ンス式(3)で求めた炉心流量Wcをあてはめて、キャ
リアンダー率X´cuを求めるようにする。
を求める相関式は、炉心流量をWc、前記給水流量をW
fw、その給水のエンタルピをHfw、前記給水分離器
からの下降流のエンタルピをhfgとしたとき、
において、前記同様に、下記(1),(2)の仮定をし
て、XcuとX´cuの差が充分小さくなるまで再び同
様の計算を繰り返す。
り小さくX´cuより大きい値。 (2)Xcu<X´cuならば、Xcuより大きくX´
cuより小さい値。
たキャリアンダー率の値Xcuと相関式((5)式)に
より計算したキャリアンダー率の値X´cuとの差が充
分小さくなったとき、その際の炉心流量Wcとキャリア
ンダー率Xcuとはエネルギバランス式((3)式と
(5)式))とを同時に満足する値となる。
X’cuの差が一定値以下となるまでステップS104
〜S108の演算を繰り返し、その差が一定値以下とな
った場合のキャリアンダー率を採用して、前記図6に示
した再循環ポンプ内蔵型の場合と同様に、炉心流量を決
定する(S109)。
給水流量Wfw、およびそのエンタルピHfw、炉心入
口エンタルピHinを計測器を用いて測定し、これらの
3つの物理量と、予め1つ仮定するキャリアンダー率X
cuとをエネルギバランス式に適用して炉心流量Wcを
計算することにより、炉心流量Wcの値を精度よく知る
ことができる。即ち、原子炉圧力容器1の外に再循環ポ
ンプ18とループ状の外部配管19とを有する型式の沸
騰水型原子炉においても、キャリアンダー率Xcuの不
確かさを5〜10分の1に低減し、炉心流量Wcの計算
値の精度を大きく改善することができる。
型原子炉の炉心流量の計測演算値を、再循環ポンプ特性
に依存する必要なく、より高い精度で得ることができ
る。
心流量計測演算システムの処理手順を示すフローチャー
ト。
心流量計測演算システムの演算要素および演算種類等を
示す系統図。
却材の流れ様式を示す説明図。
タの一例を示すグラフ。
例を示すグラフ。
の沸騰水型原子炉の構成図。
を有する型式の沸騰水型原子炉の構成図。
Claims (5)
- 【請求項1】 原子炉圧力容器への給水流量、この給水
のエンタルピおよび前記原子炉圧力容器の炉心入口の冷
却材エンタルピを計測するステップと、前記原子炉圧力
容器内の気水分離器からの冷却材下降流に含まれる蒸気
割合としてのキャリアンダー率を仮定するステップと、
これら各計測値と仮定値とを演算手段に入力するステッ
プと、これらの入力値を演算要素として炉心出入口にお
けるエネルギバランス式を用いて炉心流量を演算するス
テップと、この演算によって求められた炉心流量と前記
給水流量とに基づいて炉心出口の気液二層に含まれる蒸
気割合としての出口クオリティを演算するステップと、
この演算によって求められた出口クオリティと前記炉心
流量とに基づいて、これら両者の関数として示される前
記キャリアンダー率についての相関式からキャリアンダ
ー率を演算するステップと、この演算により求められた
キャリアンダー率と前記仮定されたキャリアンダー率と
を比較して両者の差が一定値以下であるか否かを判断す
るステップと、これら両キャリアンダー率の差が一定値
以下でない場合にはその差を縮小する方向で新たにキャ
リアンダー率を仮定して再入力を行うステップとを備
え、前記差が一定値以下となるまで前記演算を繰り返
し、その差が一定値以下となった場合のキャリアンダー
率を採用して前記炉心流量を求めることを特徴とする沸
騰水型原子炉の炉心流量計測演算システム。 - 【請求項2】 前記沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器
に再循環ポンプを内蔵する型式、または原子炉圧力容器
の外に再循環ポンプと外部配管とを設置する型式のもの
であり、前記エネルギバランス式は、炉心流量をWc、
給水流量をWfw、その給水のエンタルピをHfw、炉
心入口部の冷却材エンタルピをHinとしたとき、 【数1】 で示される方程式である請求項1記載の沸騰水型原子炉
の炉心流量計測演算システム。 - 【請求項3】 前記沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器
に再循環ポンプを内蔵する型式、または原子炉圧力容器
の外に再循環ポンプと外部配管とを設置する型式のもの
であり、前記キャリアンダー率の演算を行うための相関
式は、前記キャリアンダー率をXcu、前記炉心流量の
関数をf(Wc)、前記出口クオリティの関数をg(X
e)としたとき、 【数2】 で示される式である請求項1記載の沸騰水型原子炉の炉
心流量計測演算システム。 - 【請求項4】 前記沸騰水型原子炉が原子炉圧力容器の
外に再循環ポンプと外部配管とを設置する型式のもので
ある場合、前記キャリアンダー率Xcuを求める相関式
は、前記炉心流量をWc、前記給水流量をWfw、その
給水のエンタルピをHfw、前記給水分離器からの下降
流のエンタルピをhfgとしたとき、 【数3】 で示される方程式である請求項3記載の沸騰水型原子炉
の炉心流量計測演算システム。 - 【請求項5】 前記沸騰水型原子炉が原子炉圧力容器に
再循環ポンプを内蔵する型式のものである場合、前記炉
心入口部の冷却材エンタルピを求めるための計測器とし
て、複数台の局所出力モニタの配管に内蔵した温度計を
適用する請求項1記載の沸騰水型原子炉の炉心流量計測
演算システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002116366A JP4299995B2 (ja) | 2002-04-18 | 2002-04-18 | 沸騰水型原子炉の炉心流量計測演算システム |
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JP (1) | JP4299995B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011085528A (ja) * | 2009-10-16 | 2011-04-28 | Toshiba Corp | 炉心流量校正装置および炉心流量校正方法 |
JP2011122910A (ja) * | 2009-12-10 | 2011-06-23 | Toshiba Corp | 原子炉および炉心流量評価装置 |
CN112051066A (zh) * | 2020-09-02 | 2020-12-08 | 润电能源科学技术有限公司 | 小汽轮机进汽调门流量特性测定方法、装置、设备及介质 |
-
2002
- 2002-04-18 JP JP2002116366A patent/JP4299995B2/ja not_active Expired - Fee Related
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