JP2849409B2 - 沸謄水型原子炉のスペクトルシフト運転方法及び運転制御装置 - Google Patents

沸謄水型原子炉のスペクトルシフト運転方法及び運転制御装置

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JP2849409B2
JP2849409B2 JP1192626A JP19262689A JP2849409B2 JP 2849409 B2 JP2849409 B2 JP 2849409B2 JP 1192626 A JP1192626 A JP 1192626A JP 19262689 A JP19262689 A JP 19262689A JP 2849409 B2 JP2849409 B2 JP 2849409B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は沸騰水型原子炉の運転方法及び運転制御装置
に係り、特に、水ロッド内の冷却材液面水位を制御しス
ペクトルシフト運転を行う場合に好適な運転方法及び制
御装置に関する。
[従来の技術] 沸騰水型原子炉において、燃料の効率的な燃焼を図る
運転方法の一つに、スペクトルシフト運転方法がある
(日本原子力学会「昭63年会」要旨集F15〜F18,265pp〜
268pp)。このスペクトルシフト運転では、燃料集合体
内に冷却材を流通させる水ロッドを入れ、燃料集合体の
燃焼初期には該水ロッド内上部に冷却材蒸気を溜めて冷
却材液面水位を下げて運転する。これにより、蒸気部分
を通過するγ線により燃料内にプルトニウムが蓄積され
る。そして、燃料の燃焼末期には水ロッド内に冷却材を
充満させて運転することで、このプルトニウムが燃焼さ
れる。このように、スペクトルシフト運転では、水ロッ
ド内の冷却材液面水位を制御することで、原子炉の出力
を制御する。
[発明が解決しようとする課題] 上述したスペクトルシフト運転方法で沸騰水型原子炉
を稼働させると、燃料の大幅な有効利用を図ることがで
きるが、次の様な不具合が生じる。例えば、スペクトル
シフト運転中に、負荷が遮断される事態が生じたとす
る。この様な過渡事象が生じると、炉心内の圧力が急上
昇する。これにより、炉心内圧力と水ロッド内圧力との
間に圧力差が生じ、冷却材が水ロッド内に流入してその
液面水位が上昇する。その結果、減速材密度が大きくな
り、炉心出力が急激に増大する。従って、斯かる事態を
回避するために、炉心圧力の上昇を早期に検出して制御
棒を炉心内に挿入する制御機構が必要となり、原子炉の
制御装置の構成が複雑になるという不具合が生じる。原
子炉の安全性を考慮すると、制御棒挿入による出力制御
用の制御装置は必要である。しかし、その一方で、原子
炉の二重三重の安全性を考慮する上で、この制御装置を
使用する前の、上述した過渡事象に簡易に対処できる安
全対策を講じる必要がある。
本発明の目的は、沸騰水型原子炉のスペクトルシフト
運転方法における負荷遮断等に対し、制御棒挿入制御以
前に出力増大を抑制することが可能な運転方法及び運転
制御装置を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記目的は、スペクトルシフト運転において、水ロッ
ド内の冷却材液面水位を、最低限、水ロッドの長さの0.
76より下げないで運転することで、達成される。
[作用] 水ロッド内の冷却材は沸騰状態にあり、液柱部分には
気泡が含まれる。前述した様に、負荷遮断等により炉心
圧力が上昇し水ロッド内の冷却材液面水位が上昇し水ロ
ッド内圧力が上昇すると、沸騰点が上昇して新たな気泡
の発生は止まり、水ロッド内上部に溜る蒸気は、圧力上
昇以前に発生した蒸気と気泡の液柱部分からの抜け出し
分だけとなる。このため、液柱が低ければ、気泡の抜け
出し分が少ないので、液柱の水位は圧力差を解消するた
めに上昇するが、液柱が高ければ、気泡の抜け出し分が
多いため、気泡の抜けた分だけ液面水位は低下すること
になる。水位が低下されば、原子炉の出力の急上昇はな
くなり、制御棒挿入による出力制御は必要なくなる。炉
心圧力の上昇により、水ロッド内の冷却材液面水位の上
昇が抑制される水ロッド内の液柱の高さの境界点が、水
ロッドの長さの0.76倍の位置である。従って、最低限で
も水ロッド内冷却材液面水位がこの位置となる様にスペ
クトル運転することで、原子炉の出力上昇を回避するこ
とができる。
[実施例] 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第2図は、沸騰水型原子炉の構成図である。この原子
炉の炉心には、多数の燃料集合体1が、上部タイプレー
ト2と下部タイプレート3との間に保持されている。原
子炉の下部方向から燃料集合体1間側壁に挿入可能に設
けた多数の中性子吸収材で成る制御棒4は、挿入深さを
変える制御棒駆動機構4aにより進退される。この制御棒
駆動機構4aは、運動制御装置5からの指令に基づいて動
作する制御棒制御装置6により駆動される。燃料集合体
1間には複数の局所出力領域モニタ(LPRM)7が設けら
れ、各モニタ7からのLPRM信号は運転制御装置5に送ら
れる。また、原子炉には、炉心入口の温度を計測する温
度計8と、炉心に流れる冷却材の流量を計測する流量計
9とが設けられ、各検出信号も運転制御装置5に送られ
る。運転制御装置5は、この他にも、炉心で発生した主
蒸気を流出する主蒸気配管10に設けられた主蒸気隔離弁
11の開閉状態も読み込み、制御棒駆動装置6や主蒸気隔
離弁11を制御し、更に、冷却材循環ポンプ12を制御し
て、炉心に流す冷却材の流量を制御し、詳細は後述する
ように、燃料集合体1内に設けた水ロッド内の冷却材液
面水位制御を行って、スペクトルシフト運転を行う。
第3図は、一本の燃料集合体1の構成図である。燃料
集合体1は、複数の長手の燃料棒15と、その中心に配さ
れた長手の水ロッド(スペクトルシフトロッドSSR)16
とを束ねて構成され、下部から流入する冷却材は、燃料
棒15の間を流れて上部から流出する。
第1図(a)は、本実施例に係る水ロッド16の断面図
である。上端が閉塞された二重管型円筒状の水ロッド16
は、冷却材流入方向に開口する流入口20と、隣接する燃
料棒15側に冷却材を流出する流出口21とを下部に設けて
成り、流入口21から流入した冷却材は、水ロッド16内の
上昇通路22を通って上昇した後、中心の下降通路23を通
って下降し、流出口21から流出される。
前記循環ポンプ12を制御して、冷却材の流量を多くす
ると、つまり、高流量時には、水ロッド16内には、第1
図(a)に示す様に、冷却材で満たされる。冷却材の流
量を少なくすると、つまり、低流量時には、第1図
(b)に示す様に、沸騰する冷却材から発生する冷却材
蒸気の逃げ場が無いため、水ロッド16内の上部に蒸気相
が形成され、冷却材液面水位30が水ロッド16の上端より
下に下がる。これにより、燃料棒15から射出されるγ線
が蒸気相を通過することで、このγ線の照射を受けた燃
料棒15内にプルトニウムが作られる。つまり、スペクト
ルシフト運転が行われる。このスペクトルシフト運転中
は、炉心出力の制御は冷却材液面水位30の高さの制御で
行われるため、制御棒4による出力制御は不要となる。
従って、この運転中は、制御棒4は、全引き抜き状態に
してある。
本実施例では、原子炉の通常のスペクトルシフト運転
中(通常の運転中とは、主蒸気隔離弁11の全閉時の運転
状態は含まないことをいう。)には、この冷却材液面水
位30の流出口21からの高さを、水ロッド16の全長の0.76
倍以上の高さとなるように、循環ポンプ12を制御する。
以下、上述した制限を設けてスペクトルシフト運転を
行う理由について述べる。
負荷遮断時の水ロッドの過渡特性を調べるため、第4
図(a)に示す様な圧力上昇曲線を想定し、水ロッド内
の液相/気相の二相流の流れを解析した結果が同図
(b)であり、この図には、水ロッド内の液面水位の変
化を示している。尚、「水位」とは、本実施例では、水
ロッド16の流出口21から計った水位をいうものとする
が、この実施例と異なる水ロッドを使用する場合には、
例えば、上端に小さな流出口を設けた水ロッドにあって
は該水ロッドの下端からの水位でもよい。
例えば、負荷遮断があって炉心内圧力が上昇した場
合、炉心内圧力と水ロッド内圧力との間に差圧が生じ、
冷却水が水ロッド内に流入してその液面水位が上昇する
のは前に述べた。ところで、液面が位置する燃料集合体
の上部では、ボイド率が高いのが普通である。第5図
に、ボイド率の変化に対する反応度の応答を示す。この
図によれば、ボイド率が高い程、ボイド反応度係数が大
きく、同一ボイド率変化に対する反応度変化が大きい。
従って、水ロッド内での冷却材液面水位が上昇すると、
燃料集合体上部での見掛けのボイド率が急減し、大きく
反応が進み、出力が増大する。従って、圧力上昇を検知
したときに制御棒4を燃料集合体内に挿入する必要が生
じる。
しかるに、この解析を、負荷遮断が生じる前の水ロッ
ド内冷却材液面水位(過渡解析では初期値を意味し、以
下、初期水位という。)をパラメータとして進めてみる
と、第6図(b)に示す結果が得られる。尚、同期
(a)は、第4図(a)と同じであり、想定した圧力上
昇曲線を示している。
この第6図(b)によれば、初期水位を上げていくと
液面水位の上昇傾向は弱まり、初期水位が3m以上では、
逆に減少することが判明した。この3mという数字は、実
際の水ロッドにおける数値であるが、この値(実際には
後述するように3mではなく2.8mである。)は、水ロッド
の全長に対する割合でいくと、0.76倍の長さとなる。
この様な値に水位を制御すると、圧力上昇時に水ロッ
ド内冷却材液面水位が低下する理由は、以下の様に考え
られる。
炉心内圧力が上昇すると、圧力差により冷却水が水ロ
ッド内に流入し、水ロッドの流出口も冷却水で塞がれる
状態になる。初期水位が高い場合は、水ロッド内の液柱
部が長いことを意味し、つまり、その中に含まれるボイ
ドの量が多いことを意味する。一方、加圧される状態に
なると沸点が上昇し、水ロッド内の冷却材はサブクール
状態になる。そのため、新たな蒸気の発生は停止し、ボ
イドが液面から抜け出すだけとなる。つまり、ボイド率
は減少する。その結果、ボイドが抜けた分だけ水位が低
下し、水ロッド内への冷却材の流入による水位上昇分が
相殺され、引いては減少分の方が多くなる。つまり、水
ロッド内への冷却材の流入(流入冷却材重量増加分をΔ
Wとし、冷却材密度をρとし、水ロッドの断面積をAと
する。尚、第1図(b)に示す実施例による水ロッド
は、スペクトル運転中は下降通路に蒸気のみが充満する
ので、この面積Aは上昇通路の断面積となる。)による
水位増加分(ΔW/ρA)と、液柱部のボイド率αの減少
による水位の低下分(LΔα/(1−α))とのバラン
スにより、その水位が決定される。
ΔL=(ΔW/ρA)−(LΔα/(1−α))…(1) 従って、液柱の長さLが長い程、この式の第2項が大
きくなり、水位が低下することがわかる。第7図
(a),(b)は、軸方向の任意の点におけるボイド率
の変化を示す図である。第7図(a)は、初期水位が2m
未満の場合を示している。この場合、2mの地点は蒸気と
なっているので、ボイド率は1.0つまり100%であるが、
負荷遮断の1秒後には、水位が上昇してその水位は2mを
超えるので、2mの地点でのボイド率は大幅に低下する。
第7図(b)は、初期水位が3mを越している場合を示し
ている。この場合は、3mの地点は水位以下のため、その
ボイド率は低い値を示している。しかし、負荷遮断後に
は前述したように水位が低下するので、2.5秒後には水
位は3m以下となり、3m地点でのボイド率は100%とな
る。この様に、負荷遮断後に水ロッド内の冷却材液面水
位が上昇するか下降するかは、負荷遮断発生前の初期水
位の位置に依存する。そこで、上昇・下降の境界を求め
るため、水位上昇速度の時間微分をとり、水位上昇速度
と初期水位との関係を調べた結果が第8図である。この
解析結果によれば、初期水位が2.8m以上では時間微分が
負となり、炉心圧力上昇に対して水ロッドの水位は常に
低下する。ところで、上記第(1)式の両辺を水ロッド
の全長で割ると無次元化できるので、上記の条件は下記
の様に無次元化して表現することができる。
(条件1) 水ロッドの液面制御によるスペクトルシフト運転範囲
を、水ロッドの全長の0.76以上の範囲に限定する。
この条件1を満足することで、負荷遮断等の過渡事象
が発生しても、水ロッド内での冷却材液面は上昇せず、
従って、出力が急激に増大するという事態は回避され
る。
尚、負荷遮断等の加圧事象が生じると、水ロッド内の
液面水位は上昇しないが、燃料集合体内のボイドは圧力
上昇で潰れ、冷却材密度は大きくなる。このため、中性
子束に異常が生じて反応度が増加し、炉心出力が上昇す
ることは解析上分かっている。原子炉の安全対策とし
て、中性子束に異常が生じたときこれを感知し、運転制
御装置5は制御棒制御装置6に指令を発し、制御棒4を
燃料集合体内にスクラムする様になっている。従って、
加圧事象が生じると、制御棒がスクラムされる。この加
圧事象から制御棒のスクラムまでにはタイムラグがある
が、上記条件1に従ってスペクトルシフト運転をするこ
とで、このタイラムラグ中の出力増大も抑制され、二重
の安全対策を施すことになる。異常発生時には上述した
ように制御棒がスクラムされるため、このことを前提と
して考えた場合、上記条件1に従ってスペクトルシフト
運転を行うのは、条件が厳しく現実的でない。従って、
この条件1は以下の様に緩和することができる。つま
り、加圧事象が生じ制御棒スクラムにより原子炉が停止
するまで、反応度が即発臨界条件を超えないという条件
まで緩和する。
圧力過渡事象が生じ制御棒スクラムまでの時間は、最
も遅い場合で4秒である。この時間をもとに、水ロッド
内の冷却材液面水位の上昇により増加する反応度を水ロ
ッドの流路面積をパラメータとして解析した結果が、第
9図である。初期水位が低い状態では、水位上昇速度が
増大する(第8図参照)のため、反応度が増大すること
が分かる。また、水ロッドの流路面積を広くすると、燃
料集合体内の見掛け上の冷却材密度が急増するため、反
応度も増大することも分かる。ところで、反応度の上限
すなわち即発臨界となる反応度は1.00ドルである。しか
し、前述した様に加圧事象が生じると、燃料集合体内,
燃料集合体間の流路にある冷却材の密度が増大して反応
度が増加する。そこで、水ロッドによって増加する反応
度の上限を即発臨界となる反応度の半分つまり0.50ドル
と仮定する。その結果、反応度0.50ドルより下方が許容
領域となる。この許容領域を、水ロッド流路面積と初期
水位のマップ上に表した結果が第10図である。図中の斜
線領域より上方が許容量意気である。境界線は2次曲線
で表すことができ、下記の条件2となる。
(条件2) L/L0>−1.545×(As/Ac)+1.564(As/Ac)+2.8288 ここで、L;水ロッドの内の水位 L0;水ロッドの全長 As;水ロッドの上昇通路の面積 Ac;燃料集合体内の面積 である。
ところで、本実施例は負荷遮断の過渡事象を対象とし
ているが、負荷遮断事象は、発生した蒸気をタービン系
に輸送することに生じる事象である。従って、主蒸気配
管10に取り付けられている主蒸気隔離弁11は、蒸気輸送
中は常に開状態となっている。そのため、上記条件1,2
以外に、主蒸気隔離弁が開状態にあることが前提であ
る。つまり、原子炉を通常運転していることが前提であ
る。
以上述べたことをまとめると、通常運転時に水ロッド
内の水位を、条件1あるいは条件2を満たす範囲に限定
して運転することで、負荷遮断時等生じる圧力上昇によ
る水位上昇を抑制でき、急激な出力上昇を回避すること
ができる。尚、原子炉起動時等の運転時には、主蒸気隔
離弁が閉状態にあるため、負荷遮断等による圧力急上昇
の過渡事象は生じることはなく、水ロッドによる運転範
囲は制限されない。
上述した条件1あるいは条件2を満足するように運転
制御装置5は循環ポンプ12を制御するのであるが、その
制御は以下の手順で行う。
I.LPRM信号を読み込み、この値により出力分布補正を計
算する。
II.出力分布、炉心流量、炉心入口温度に基づく各燃料
集合体1への流量を計算する。
III.IIでの流量に基づく水ロッド内の水位を計算する。
IV.主蒸気隔離弁が閉状態の場合は、水ロッド内の液面
水位を制御することで原子炉出力を制御することが可能
と判断する。
V.主蒸気隔離弁が開状態の場合で、水ロッド内の液面水
位が上記条件1あるいは条件2を満足する場合は、水ロ
ッド内液面水位制御による原子炉出力の制御が可能と判
断する。
VI.主蒸気隔離弁が開状態で、水ロッド内液面水位が上
記条件1あるいは条件2を満足しない場合には、水ロッ
ド内の液面水位の制御では原子炉出力制御は不可能と判
断し、制御棒による出力制御モードに移行する指令を制
御棒制御装置6に送出する。
上述した手順で制御を進めることで、通常運転時に負
荷遮断等が生じ炉心内圧力が急上昇しても、水ロッド内
の水位が前述した条件式を満たしているので、水ロッド
内水位は上昇せず、逆に下降させることもできる。水ロ
ッド内水位が下降すると、反応度がマイナスとなり、安
全性が向上することになる。
通常運転時に、水ロッド内水位が前述した条件式を満
たしていない場合は、負荷遮断等で水ロッド内水位は上
昇する。しかし、この場合は、制御棒スクラムが実行さ
れ、中性子が制御棒に吸収されてしまい、大事には至ら
ない。更にこの場合、制御棒を全部挿入することで、原
子炉を停止させてしまえば、全く問題とはならない。
本実施例では、上述した手順の計算を行う運転制御装
置5を付加するのみで済むため、コストの上昇は少なく
て済むという利点がある。
次に、運転制御装置内で行う上記I〜IIIとは別の水
位評価方法を説明する。
第11図に、水ロッド内の水位と下部タイプレート差圧
との関係を示す。水ロッド内の水位は、下部タイプレー
ト差圧に対し線形関数で表される。下部対プレート差圧
は、燃料集合体内を流れる冷却材流量の二乗に比例し、
この流量は炉心流量に比例する。従ってね水ロッド内の
水位は下記の様に表現することができる。
(水位)=(係数a)×(炉心流量)+(係数b) しかも、この水ロッド内水位は、全ての燃料集合体毎
に評価する必要はなく、水ロッド内の水位が一番低くな
る燃料集合体、つまり内部に流れる冷却材流量が最小と
なる燃料集合体に着目するだけでよい。この燃料集合体
は、ホットチャネル(出力が最も大きくなる燃料集合
体)であり、この燃料集合体について、係数aと係数b
とわ予め設定しておき、上式から水ロッド内水位を評価
し、この水位が前述した条件1あるいは条件2を満足し
ない場合は、前記実施例と同様に、制御棒を全挿入ある
いは一部挿入とするように、制御信号を制御棒駆動装置
に送出させる構成にする。これにより、水ロッド内の水
位が条件1あるいは条件2を満たしたときのみ、水ロッ
ド内液面水位制御により出力制御を行う。
本実施例は、比較的簡単な計算で済むため、前述した
実施例よりも安価なシステムが構築できるという利点が
ある。また、第11図から分かる様に、水位評価に下部タ
イプレート差圧を利用することもできる。この場合も上
記と同様に内部流量が最小となる燃料集合体のみに着目
すれば良く、差圧計の設置数も高々数台で済むので、コ
スト上昇も少なくて済み精度よく水位評価ができるとい
う利点がある。
第12図は、本発明の更に別の実施例の説明図である。
本実施例では、水ロッド内の水位評価にLPRM信号を利用
する。炉心の燃料集合体1の軸方向に、4つの局所出力
領域モニタ(LPRM)7を並べてあり、各LPRM7からは、
設置場所で受けた中性子束密度に比例した信号が出力さ
れる。つまり、軸方向に並べられた4つのLPRM7は、軸
方向の出力分布に応じた信号を運転制御装置5に送出す
ることになる。
水ロッド内の水位が上昇すると、上昇した部分に対応
する燃料棒内での反応度が増加し、軸方向出力分布すな
わち軸方向中性子束密度分布が変化する。そのため、各
LPRM7からの出力信号が変化する。つまり、この変化に
より水ロッド内の水位を監視することが可能となる。従
って、LPRM7の出力信号で評価した水ロッド内水位で述
した実施例と同様に制御することができる。
この実施例は、水ロッド内水位に直接関係するLPRM信
号で水位評価を行うので、信頼性が極めて高く、また、
既存のLPRM7を使用するので、これもコスト上昇が少な
くて済むという利点もある。
第13図は、上述した水ロッド内液面水位の各水位評価
による原子炉のスペクトルシフト運転制御手順を纏めた
フローチャートである。
水ロッド内水位の評価方法として、炉心流量を用いる
方法、下部タイプレート差圧を利用する方法、LPRM信号
を用いる方法について述べた。これらの方法により、水
ロッド内の水位を評価したあと、水位の下限値を計算す
る。そして、評価した水位と下限値とを比較し、水位が
下限値以上であれば、水位の評価ステップに戻り(別の
制御プログラムにより水位制御による出力制御を行って
いる。)、次の本プログラム実行時に再び水位の評価を
行う。水位が下限値を割っており、この時の主蒸気隔離
弁が開状態にある場合には、スクラム信号を発信し、制
御棒挿入による出力制御モードに移行する。
水位評価、例えば炉心流量による水位評価手順を第14
図に示す。運転制御装置5は、炉心流量計9の検出信号
値Wを取り込み、この値Wから水位Lを所定式に基づき
評価する。
第15図は、水位の下限値を求める手順を示すフローチ
ャートである。水位の下限値Llowを求める場合は、水ロ
ッドや燃料集合体の幾何形状等から計算するものであ
り、まず、水ロッド内の流路の面積Asをメモリから読み
出し、次に、燃料集合体内の流路面積Acをこれもメモリ
から読み出し、更に、水ロッドの全長L0をこれもメモリ
から読み出す。そして、条件2の式に従って下限値Llow
を計算する。尚、条件1で運転する場合には、この下限
値は0.76L0とする。
[発明の効果] 本発明によれば、燃料集合体内の水ロッド中の冷却材
液面水位を制御することで出力制御を行う沸騰水型原子
炉において、炉心内圧力が上昇する事態が生じた場合で
も、炉心出力の急上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は本発明の一実施例を適用する水
ロッドのスペクトルシフト運転時,全出力運転時の説明
図、第2図は本発明の一実施例に係る沸騰水型原子炉の
構成図、第3図は第2図の原子炉で使用する燃料集合体
の構成図、第4図(a),(b)は炉心内圧力上昇時の
水ロッド内水位の解析結果を示すグラフ、第5図はボイ
ド反応度係数の特性グラフ、第6図(a),(b)は炉
心内圧力上昇時の水ロッド内水位の初期水位毎の解析結
果を示すグラフ、第7図(a),(b)は軸方向の任意
位置におけるボイド率変化を示すグラフ、第8図は水ロ
ッド内の水位変化の時間微分と初期水位との関係を示す
グラフ、第9図は加圧過渡事象発生時に水ロッドにより
印加される反応度のグラフ、第10図は本発明の実施例に
よるスペクトルシフト運転範囲を示すグラフ、第11図は
水ロッド内水位と下部タイプレート圧損との関係を示す
グラフ、第12図はLPRM信号を利用して水ロッド内水位を
評価する実施例の説明図、第13図は本発明の実施例に係
るスペクトルシフト運転での制御手順を示すフローチャ
ート、第14図は炉心流量による水ロッド内水位の評価手
順を示すフローチャート、第15図は本発明の実施例に係
る水ロッド内水位の下限値算出手順を示すフローチャー
トである。 1……燃料集合体、4……制御棒、5……運転制御装
置、6……制御棒制御装置、7……局所出力領域モニ
タ、9……炉心流量計、11……主蒸気隔離弁、12……循
環ポンプ、15……燃料棒、16……水ロッド、20……流入
口、21……流出口、22……上昇通路、23……下降通路、
30……水ロッド内冷却材液面水位。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏井 進一 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 村田 重人 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 中尾 俊次 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 折井 明仁 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 河崎 照文 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 青山 肇男 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 山下 淳一 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (56)参考文献 特開 昭63−73187(JP,A) 特開 昭63−217294(JP,A) 日本原子力学会「昭和63年会」要旨集 F15〜F18,p.265−268 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21C 7/26

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷却材の流入口と流出口が共に下部にあり
    前記流入口から流入した冷却材が上昇した後下降して前
    記流出口から流出する上下方向に長手のロッドを有する
    燃料集合体を備える沸騰水型原子炉のスペクトルシフト
    運転方法において、原子炉の通常運転時には、前記ロッ
    ド中の冷却材液面水位を最低限前記流出口から該ロッド
    の長さの0.76倍の位置として運転することを特徴とする
    沸騰水型原子炉のスペクトルシフト運転方法。
  2. 【請求項2】燃料集合体内に設けられる水ロッドの内部
    を流通する冷却材液面水位を制御することで出力を制御
    する沸騰水型原子炉のスペクトルシフト運転方法におい
    て、原子炉の通常運転時には、前記水ロッド内の冷却材
    液面水位が最低限該水ロッドの底から該水ロッドの長さ
    の0.76の位置となるように制御することを特徴とする沸
    騰水型原子炉のスペクトルシフト運転方法。
  3. 【請求項3】冷却材の流入口と流出口が共に下部にあり
    前記流入口から流入した冷却材が上昇した後下降して前
    記流出口から流出する上下方向に長手の水ロッドを有す
    る燃料集合体を備える沸騰水型原子炉のスペクトルシフ
    ト運転方法において、 水ロッドの全長をL0 水ロッド内の冷却材通路面積をAS 燃料集合体内の冷却材通路面積をAC としたとき、原子炉の通常運転時の前記水ロッド内の前
    記流出口からの冷却材液面水位Lが、 L/L0>−1.545×(As/Ac)+1.564(As/Ac)+2.8288 となるように制御することを特徴とする沸騰水型原子炉
    のスペクトルシフト運転方法。
  4. 【請求項4】冷却材の流入口と流出口が共に下部にあり
    前記流入口から流入した冷却材が上昇した後下降して前
    記流出口から流出する上下方向に長手のロッドを有する
    燃料集合体を備える沸騰水型原子炉において、前記ロッ
    ド内の液面水位を検出する検知手段と、該検出手段の検
    出値から求めた前記液面水位を原子炉の通常運転時には
    前記流出口から該ロッドの長さの0.76倍以上に保持する
    手段とを備えることを特徴とする沸騰水型原子炉の運転
    制御装置。
  5. 【請求項5】燃料集合体内に設けられる水ロッドの内部
    を流通する冷却材の液面水位を制御することで出力を制
    御する沸騰水型原子炉の運転制御装置において、前記水
    ロッド内の冷却材液面水位を検出する検出手段と、該検
    出手段の検出値から求めた前記液面水位を原子炉の通常
    運転時には前記水ロッドの底から該水ロッドの長さの0.
    76倍以上に保持する手段とを備えることを特徴とする沸
    騰水型原子炉の運転制御装置。
  6. 【請求項6】冷却材の流入口の流出口が下部にあり前記
    流入口から流入した冷却材が上昇した後下降して前記流
    出口から流出する上下方向に長手の水ロッドを有する燃
    料集合体を備える沸騰水型原子炉において、前記水ロッ
    ド内の前記流出口からの冷却材液面水位を検出する検出
    手段と、該検出手段が検出した液面水位Lが、 水ロッドの全長をL0 水ロッド内の冷却材通路面積をAs 燃料集合体内の冷却材通路面積をAc としたとき、原子炉の通常運転時に、 L/L0>−1.545×(As/Ac)+1.564(As/Ac)+2.8288 となるように制御する制御手段とを備えることを特徴と
    する沸騰水型原子炉の運転制御装置。
  7. 【請求項7】請求項4乃至請求項6のいずれかにおい
    て、冷却水液面水位を制御する手段は、冷却水液面水位
    が目標の下限値を割ったとき制御棒による出力制御に移
    行することを特徴とする沸騰水型原子炉の運転制御装
    置。
  8. 【請求項8】請求項4乃至請求項7のいずれかにおい
    て、冷却水液面水位を直接検出する代わりに、該液面水
    位に依存する他の物理量を検出する検出手段を設けたこ
    とを特徴とする沸騰水型原子炉の運転制御装置。
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