JP4854654B2 - 炉心性能計算装置 - Google Patents

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Description

本発明は、炉心性能計算装置に係り、特に、水ロッドとして機能する、炉心流量の変化により内部の水位が変化するスペクトルシフトロッドを有する燃料集合体を装荷した沸騰水型原子炉に適用するのに好適な炉心性能計算装置に関する。
沸騰水型原子炉の炉心特性を監視するために、及び制御棒位置及び炉心流量を変化させたときの炉心特性の変化を予測し安全性を確保するために、炉心性能計算装置が設けられている。炉心性能計算装置は、中性子輸送計算または中性子拡散計算により炉心内の3次元中性子束分布を求める。この計算を実行するに当たっては、炉心を3次元の複数領域に分割し、各領域における物質組成を反映した核定数を与える。核定数は、中性子による核反応のため原子炉の運転に伴って変化する。そこで、同じ燃料集合体が無限に配列されているという無限格子体系を仮定して詳細な計算(以下、集合体計算という)を行い、燃料集合体の中性子分布の算出、及び燃料集合体内の各燃料棒に含まれる核燃料物質の組成の追跡を行って、各燃焼時点での燃料集合体の特性を求めている。通常は、1種類の燃料集合体に対して、減速材密度の異なる数ケースの集合体計算を行い、燃料集合体平均の核反応断面積及び中性子無限増倍率などの特性量(以下、集合体核定数という)を算出する。算出した集合体核定数の値を燃焼度、減速材密度及び燃焼平均減速材密度などの値で整理する。実際の炉心では、炉心内の位置によって減速材密度及び燃焼度の値が異なる。このため、炉心全体にわたる中性子分布及び炉心全体の反応度を求める炉心計算では、集合体計算の結果を燃焼度、減速材密度、燃焼平均減速材密度などの値で内外挿して、炉内各領域での状態に応じた集合体核定数を計算する。このような計算方法は、例えば、特開平4−320996号公報に記載されている。
一方、核燃料物質の有効利用を図る観点から、特開昭63−73187号公報に示されているようなスペクトルシフトロッド(以下、SSRという)を設けた燃料集合体が提案されている。SSRは、逆U字状の管であり、炉心流量の変化に伴って内部の水位が変化する一種の水ロッドである。このSSRを備えた燃料集合体は、炉心流量の変更により炉心内の減速材密度を大きく変更でき、ウラン238からプルトニウム239への転換の促進及び燃焼末期での反応度向上等が可能となり、核燃料物質の有効利用を図ることができる。SSR内の水位は炉心流量の変化に伴って変化するので、このような燃料集合体を装荷した原子炉において、炉心性能計算を精度良く行うためには、SSR内の水位を考慮して炉心計算を行うことが重要となる。
特開平7−92289号公報に記載された炉心性能計算装置は、SSRを有する燃料集合体が装荷された原子炉において、炉心流量に応じて変化する、SSR内の水位を考慮して炉心内の各領域での核定数を求めることによって、炉心内の出力分布及び反応度等の炉心特性を精度良く算出することができる。
特開平4−320996号公報 特開昭63−73187号公報 特開平7−92289号公報
特開平7−92289号公報記載の炉心性能計算装置は、SSR内での蒸気発生量が少ないと仮定して、SSR内の水面より下方に形成された水領域のボイド率を0、水面より上方に形成された蒸気領域ではボイド率1.0としてSSR内の液面の位置を算出し、SSR内の水の有無に基づいて核定数を算出している。この水位算出方法は、簡便で炉心性能計算に重要な高速演算の観点で優れている。しかしながら、発明者の3次元詳細熱水力計算及び実験等の結果から、SSR内に形成された水領域のボイド率を0とした場合の水位と実際の水位には差があることが判明した。発明者は、特に、SSR内において、水領域のボイド率を0、蒸気領域のボイド率を1とした場合には、その水領域とその蒸気領域の核定数の差を過大に評価する傾向があることを見出した。
本発明の目的は、スペクトルシフトロッドを有する燃料集合体が装荷された炉心の炉心特性の精度をさらに向上することができる炉心性能計算装置を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、燃料集合体に供給される冷却水流量に基づいてスペクトルシフトロッド外で燃料集合体内に形成された冷却水流路におけるボイド率αを求める第1手順と、燃料集合体に供給される冷却水流量及び前記燃料集合体の下部タイプレートの圧力損失のいずれかに基づいて、スペクトルシフト内のボイド率αを求める第2手順と、ボイド率α及びボイド率αに基づいて、燃料集合体の燃料有効長を軸方向において複数に分割して形成される各セルでの核定数を求める第3手順と、その核定数を用いて中性子輸送計算及び中性子拡散計算のいずれかの計算を行って炉心特性に関する情報を求める第4手順とを実行することにある。
本発明は、ボイド率αに基づいて得られた核定数を用いて炉心特性に関する情報(例えば、炉心の出力分布及び炉心の反応度等)を求めているので、スペクトルシフトロッドを有する燃料集合体を装荷している原子炉に対して得られた炉心特性の精度をさらに向上させることができる。
燃料集合体に供給される冷却水流量に基づいてスペクトルシフトロッド外で燃料集合体内に形成された冷却水流路における減速材密度ρを求める第1手順と、燃料集合体に供給される冷却水流量及び前記燃料集合体の下部タイプレートの圧力損失のいずれかに基づいて、スペクトルシフト内の減速材密度ρを求める第2手順と、減速材密度ρ及び減速材密度ρに基づいて、燃料集合体の燃料有効長を軸方向において複数に分割して形成される各セルでの核定数を求める第3手順と、その核定数を用いて中性子輸送計算及び中性子拡散計算のいずれかの計算を行って炉心特性に関する情報を求める第4手順とを実行することによっても、上記の目的を達成することができる。
本発明によれば、スペクトルシフトロッドを有する燃料集合体が装荷された炉心の炉心特性の精度をさらに向上することができる。
本発明の実施例を以下に説明する。
沸騰水型原子炉(BWR)プラントに適用される本発明の好適な一実施例である実施例1の炉心性能計算装置を、図1〜図8を用いて以下に説明する。
まず、BWRプラントの概略構成を説明する。BWRプラントの原子炉1は、図3に示すように、内部に炉心3を有する原子炉圧力容器(以下、RPVという)2を備えている。インターナルポンプ22がRPV2の底部に設置される。インターナルポンプ22のインペラ23は、RPV2と炉心3の間に形成される環状流路であるダウンカマー25内に配置される。複数の燃料集合体4が炉心3に装荷されている。インペラ23の上流側と下流側の差圧を計測する差圧計24がRPV2に設置される。
燃料集合体4の詳細構成を、図4、図5及び図6を用いて説明する。燃料集合体4は、複数の燃料棒5、上部タイプレート6、下部タイプレート7、複数の燃料スペーサ8、複数のスペクトルロッド(SSR)9及びチャンネルボックス19を有する。核燃料物質を内部に充填した各燃料棒5は、下端部が下部タイプレート7の上端部に形成される燃料保持部28(図6参照)に支持され、上端部が上部タイプレート6に保持される。複数の燃料棒5は、正方格子状に9行9列に配置される(図5参照)。2本のSSR9も、下端部が下部タイプレート7の燃料保持部28に支持され、上端部が上部タイプレート6に保持される。複数の燃料スペーサ8は、燃料集合体4の軸方向に所定の間隔を置いて配置され、燃料棒5の相互間及び燃料棒5とSSR9の間に冷却水流路を形成するように、燃料棒5及びSSR9を保持している。燃料スペーサ8によって束ねられた燃料棒5の束は、上部タイプレート6に取り付けられたチャンネルボックス19によって取り囲まれている。
SSR9は、逆U字状をした管であり、上端部が相互に接続された上昇管10及び下降管11を有する(図6参照)。冷却材上昇通路14が上昇管10内に形成され、冷却材下降通路15が下降管11内に形成される。冷却材上昇通路14と冷却材下降通路15は、SSR9の上端部で連絡されている。上昇管10の下端に形成される入口開口12は、下部タイプレート7内の、燃料保持部28より下方の領域に連絡される。下降管11の下端は、燃料保持部28より上方でSSR9の上端よりも下方に位置しており、好ましくは、燃料保持部28の上面付近に位置させるとよい。出口開口13が下降管11の下端に形成される。2本のSSR9は燃料集合体4の横断面で中央部に隣接して配置される。各SSR9の上昇管10の横断面積は、4本の燃料棒5が配置可能な領域を占有している。下降管11の横断面積は、下降管11が上昇管10と燃料棒5の間に配置できるように、上昇管10の横断面積よりも小さくなっている。
炉心3内に装荷された燃料集合体4の相互間に挿入される複数の制御棒20が、RPV2内に配置される。制御棒20は、RPV2の底部に設置された制御棒駆動機構21に連結される。制御棒駆動機構21は、制御棒20を炉心2から引き抜く操作、及び制御棒20を炉心3に挿入する操作を実行する。さらに、固定式の複数の中性子検出器(局所出力レンジモニタ(LPRM))29が炉心3内に配置されている。
炉心性能計算装置30は、図2に示すように、データ処理計算機31及び記憶装置33などと信号伝送線36を介してネットワークを構成しており、それらとの間で情報のやりとりができる。データの入出力及び制御プログラムの入力等を実施するプロセス入出力装置32がデータ処理計算機31に接続される。差圧計24、中性子検出器29、及び制御棒駆動機構21に設けられた、制御棒20の炉心3の軸方向における位置を検出する制御棒位置検出器(図示せず)が、プロセス入出力装置32に接続される。信号伝送線36は、BWRプラントの中央運転制御室内の中央制御盤37に設けられた表示装置(CRT)38及び表示計器39に接続され、さらに、プリンタ35及びオペレータコンソール34に接続される。
原子炉の運転中、炉心3に供給された冷却水は、下部タイプレート7内に流入し、燃料保持部28に形成された多数の開口7aを通って燃料棒5相互間に形成された冷却水流路を上昇する。冷却水は、この冷却水流路を上昇する間に、燃料棒5内の核燃料物質の核分裂によって生じる熱によって加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、RPV2内で炉心3の上方に配置された気水分離器(図示せず)及び蒸気乾燥器(図示せず)によって水分が除去され、主蒸気配管26によってRPV2からタービン(図示せず)に供給される。タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で水に凝縮される。この凝縮水は、給水として、給水配管27を通ってRPV2に供給される。気水分離器で分離された冷却水は、RPV2内に供給される給水と混合され、ダウンカマー25内を下降し、インターナルポンプ22により昇圧されて炉心3に供給される。
SSR9内の状態について説明する。下部タイプレート7内に流入した一部の冷却水は、入口開口12を通って冷却材上昇通路14内に流入する。炉心流量が最少炉心流量に保持されて、制御棒20の引き抜きによる原子炉出力の上昇が停止された状態では、冷却材上昇通路14内の冷却水は、SSR9の周囲に存在する各燃料棒5から中性子及びγ線の照射によって加熱され、一部が蒸発する。この蒸気は、冷却材上昇通路14内を上昇し、冷却材下降通路15を通って出口開口13から放出されて燃料棒5相互間の冷却水流路を上昇する。冷却材上昇通路14内への冷却水の供給流量と冷却材上昇通路14内での蒸気の発生量がバランスすると、冷却材上昇通路14内に液面16が形成される。冷却材上昇通路14内において、液面16より下方は水領域17であり、液面16より上方は蒸気領域18である。インターナルポンプ22の回転数が増加して炉心流量が増加し、原子炉出力が上昇するにつれて、冷却材上昇通路14内の液面16は上昇する。炉心流量が定格流量に達したとき、原子炉出力は定格出力になり、冷却材上昇通路14内に液面16が形成されなくなる。すなわち、冷却材上昇通路14及び冷却材下降通路15内は全て水領域17になる。
差圧計24で計測されたインペラ23の上流側と下流側の圧力計測値、及び中性子検出器29で計測された中性子束計測値は、プロセス入出力装置32を介してデータ処理計算機31に入力される。データ処理計算機31は、圧力計測値に基づいて炉心流量を算出し、中性子束計測値に基づいて原子炉出力を算出する。算出された炉心流量及び原子炉出力は記憶装置33に記憶される。制御棒駆動機構21に設けられた制御棒位置検出器から出力された制御棒位置情報も、プロセス入出力装置32を介してデータ処理計算機31に入力され、記憶装置33に記憶される。炉心性能計算装置30は、記憶装置33に記憶された炉心流量等の運転状態データを用いて核定数を算出し、この核定数を用いて炉心性能計算を実行する。炉心性能計算装置30で得られた計算結果、及びデータ処理計算機31で算出された情報は、表示装置38、表示計器39及びプリンタ35に出力されて表示され及びプリントされる。
SSR9内の水領域17のボイド率を考慮した場合における核定数の算出の概要を以下に説明する。
SSR9内の冷却水は、前述したように、SSR9の周囲に存在する燃料棒5から放出される中性子及びγ線によって加熱され、その一部が蒸気になるので、冷却材上昇通路14内に液面16が形成される。このときのSSR9内の圧力損失ΔPSSRは(1)式で算出できる。
ΔPSSR=ΔPIN+ΔP+ΔPOUT ……(1)
ここで、ΔPINはSSR9の入口開口12での局所圧力損失、ΔPはSSR9内の冷却水の静水頭、ΔPOUTはSSR9の出口開口13での局所圧力損失である。
SSR9内に液面16が形成されたとき、SSR9に流入する冷却水とSSR9から流出する蒸気(または蒸気及び冷却水)の流速は小さく、ΔPIN及びΔPOUTはΔPと比較して無視できるほど小さくなる。
一方、下部タイプレート7の燃料保持部28には燃料保持部28より下方の領域からそれよりも上方の領域に冷却水を供給するための多数の開口7aが形成されている。このような燃料保持部28は、その冷却水の流れに対して抵抗体となっている。SSR9を備えた燃料集合体4が炉心3に装荷された原子炉1を運転すると、下部タイプレート7内に流入した冷却水の大部分は開口7aを通って燃料棒5相互間に形成された冷却水通路内に導入される。開口7aにおける圧力損失をΔPLTPとしたとき、過渡変化時を除いた原子炉1の通常運転時においては、SSR9の圧力損失ΔPSSRと下部タイプレート7の圧力損失ΔPLTPは釣り合っている。また、上述したようにΔPINとΔPOUTはΔPと比較して小さいので、近似的に(2)式が成立する。
ΔPLTP=ΔP ……(2)
下部タイプレート7に供給する冷却水の流量、すなわち、炉心流量を変化させると、燃料保持部28より上流の領域と燃料保持部28より下流の領域との間の差圧ΔPLTPが変化する。この差圧ΔPLTPは炉心流量のほぼ2乗に比例するので、例えば、炉心流量を定格流量の80%から120%に変化させると、差圧ΔPLTPは80%流量時の約2.3倍になる。SSR9内の静水頭ΔPも同様に約2.3倍になるが、これはSSR9内の液面16が大きく上昇することを意味している。SSR9内の液面16が上昇した場合には、冷却材上昇通路14内の蒸気領域18の一部が水領域17になる。このように新たに水領域17になった領域では、中性子減速機能を有する冷却水量が増加するので、熱中性子が多くなり反応度が増加する。逆に、SSR9内の液面16が下降した場合には、冷却材上昇通路14内の水領域17の一部が蒸気領域18になる。新たに蒸気領域18になった領域では、冷却水量の減少によって熱中性子が少なくなり、反応度が減少する。
以上に述べたように、原子炉運転中に、炉心流量を変化させることにより、SSR9の冷却材上昇流路14内の液面16の位置を変えることができ、炉心3の反応度を制御することができる。制御棒20による反応度制御が制御棒20に中性子を吸収させて反応度を制御するのに比べて、SSR9による反応度制御は、無駄に吸収させる中性子が少ないため、燃料経済性の観点で利点がある。その一方で、SSR9を用いた原子炉1の運転管理を行うためには、SSR9内の減速材密度を考慮して炉心管理を実施する必要がある。
前述の特開平7−92289号公報では、SSR9内の液面16より下方の水領域17に蒸気が含まれていない、すなわち、その水領域17のボイド率が0であると仮定して、SSR9内の液面16までの水位Zを、冷却材の静水頭ΔP、水の密度ρ、重力加速度gを用いて(3)式により算出し、核定数をSSR9内の水の有無に基づいて算出し
Z=ΔPg ……(3)
ている。これに対し、本実施例は、SSR9内のボイド率分布を考慮して核定数を算出する。ここで、ボイド率とは、流路断面積に対する気相の割合で、蒸気単相のとき1、水単相のとき0となる指標である。
炉心性能計算装置30で実行される炉心性能計算方法の詳細を、図1を用いて以下に説明する。図1に示すステップ51〜60の処理が炉心性能計算装置30において行われる。
本実施例では、まず、核定数計算を行う対象の炉心全体を、燃料集合体の境界に沿って燃料有効長を対象に軸方向において例えば約15cm立方のセルごとに分割する。これは、炉心3の領域分けである。燃料有効長は核燃料物質が充填されている領域の軸方向における長さである。各セル内は均質とみなし、中性子拡散計算によって炉心3内の中性子分布及び中性子実効増倍率を求める。さらに、炉心3内の熱出力分布及び反応度等の炉心特性を算出する。
沸騰水型原子炉では、炉心3の出力分布によって減速材密度の分布が変化するので、炉心性能計算装置30は、中性子拡散計算処理及び熱水力計算処理を反復して行う核熱水力結合計算によって、互いに整合性が取れた出力分布及びボイド率分布を求めることができる。すなわち、炉心性能計算装置30に運転状態データが入力される(ステップ51)。その運転状態データを基に炉心3の軸方向出力分布等の初期設定を行う(ステップ52)。運転状態データは、燃焼度、SSR9の外側で燃料集合体4内の減速材密度、SSR9内の減速材密度、制御棒挿入状態の情報、炉心流量及び炉心入口温度などを含んでいる。制御棒挿入状態の情報(制御棒位置情報)及び炉心流量はデータ処理計算機31で求められた情報である。燃焼度は、単位ウラン重量あたりこれまでにどのくらいの出力を出しているかを示す指標で、炉心性能計算装置30で計算したセルの出力を時間積分することで得られる。燃焼度は、前の運転サイクル終了時点で炉心性能計算装置30が計算して記憶装置33に記憶した値を引き継ぎ、現在の運転サイクル中に更新していく。SSR9の外側で燃料集合体4内の減速材密度は、熱水力計算においてSSR9の外側で燃料集合体4内のセルにおけるボイド率を求めた後、原子炉運転時での原子炉圧力における水と蒸気の密度を用いて計算される。セルの燃焼平均減速材密度は、炉心3にはじめて装荷されてから現在に至るまでに、燃料集合体4内のセルが経験した減速材密度(SSR9の外側とSSR9内の減速材密度を各流路面積で重み付けして平均化したもの)の時間平均値である。燃焼平均減速材密度も、炉心性能計算装置30で計算され、記憶装置33に記憶した値を引き継ぎ、現在の運転サイクル中に更新していく。
なお、SSR9の外側で燃料集合体4内の減速材密度ρはSSR9の外側で燃料集合体4内のボイド率αを使って(4)式で算出できるので、SSR9内のボイド率αを求めることとSSR9内の減速材密度ρを求めることは、密度を計算する圧力条件がわかれば等価である。SSR9内の減速材密度ρも同様にSSR9内のボイド率αから(5)式で算出できる。
ρ=αρ+(1-α)ρ ……(4)
ρ=αρ+(1-α)ρ ……(5)
ここでρは蒸気密度、ρは水密度である。ちなみに、減速材密度ρ及びρは、図1に示す熱水力計算処理の中で求められる。具体的には、減速材密度ρ及びρは、ステップ54,55の後でステップ56の前で求められる。
ステップ52の処理が終了した後、チャンネル毎、すなわち、燃料集合体毎の冷却水流量配分計算が行われ(ステップ53)、燃料集合体内のボイド率分布計算(ステップ54)及びSSR内のボイド率分布計算(ステップ55)を含む熱水力計算処理が実行される。流量配分計算では、データ処理計算機31で求められた全炉心流量、及び炉心3内の燃料集合体4の出力分布情報を用いて、各燃料集合体の圧力損失が等しくなるように燃料集合体4毎に、供給される冷却水流量を求める。燃料集合体の圧力損失の計算は以下のように行う。各燃料集合体の冷却材流量配分を仮定し、ステップ52で設定した出力分布や炉心入口温度を用いてセル毎の発生蒸気量を計算すると、蒸気流量率(水と蒸気をあわせた全質量流量に対する蒸気質量流量の割合。クオリティとも呼ぶ)の軸方向分布が計算できる。セルの圧力損失は、冷却材流量及び蒸気重量率から算出でき、各セルの圧力損失を軸方向に積分することで燃料集合体毎の全圧力損失が計算できる。最初に仮定した冷却材流量配分では各燃料集合体の全圧力損失は集合体毎に異なる値をとるが、これが一致するように各燃料集合体の冷却材流量配分を調整し、圧力損失計算を繰り返す。最終的に、全各燃料集合体の全圧力損失が一致したときに、流量配分計算53が終了する。ボイド率分布計算では、ステップ52で設定された出力分布及び炉心入口温度とステップ53で計算した各燃料集合体の冷却材流量を用いてセルの蒸気流量率を計算する。蒸気重量率と蒸気体積率であるボイド率の関係はあらかじめ実験などによって求めておき、蒸気重量率の軸方向分布から、ボイド率α(減速材密度ρ)の軸方向分布を計算する。SSR9内のボイド率分布計算の詳細は後述する。
次に、各セルにおける核定数が求められる(ステップ56)。中性子拡散計算処理における核計算と上記の熱水力計算を結合するため、核定数が求められる。すなわち、核定数算出処理(ステップ56)において、熱水力計算で求めた各セルのボイド率α、SSR9内のボイド率α(または水密度)及び制御棒挿入状態などに基づいて、セル平均の核定数を求める。核定数の具体的な求め方も後述する。
本実施例で用いるにおけるセル平均の核定数としては、拡散係数、マクロ吸収断面積、マクロ散乱断面積及びマクロ核分裂断面積などがある。これらの核定数は、燃焼度、減速材密度ρ及びρ、制御棒挿入状態及び炉心流量などを用いて、燃料集合体単体に対する集合体計算により、幾つかの代表的な状態での値を予め算出されている。減速材密度ρ及びρとしては(4)式及び(5)式によって算出された各値が用いられる。算出された各核定数は、算出に用いられた燃焼度、減速材密度ρ及びρ、制御棒挿入状態及び炉心流量など(以下、便宜的に、第2状態量という)と関連付けられて、それぞれテーブル状の核定数テーブル情報として記憶装置33に記憶されている。ステップ56においては、中性子拡散計算の対象である1つの燃料集合体4に対する燃焼度、減速材密度ρ及びρ、制御棒挿入状態及び炉心流量など(以下、便宜的に、第1状態量という)を用いて、記憶装置33から、各セルでの平均核定数を検索する。もし、第1状態量の各値とマッチングする第2状態量が記憶装置33に存在しない場合には、第1状態量の各値に最も近い第2状態量及び対応する各核定数を記憶装置33から検索し、第1状態量の各値を用いて、検索された第2状態量及び各核定数を内挿(または外挿)することによって、セルに対する各平均核定数を求める。他の燃料集合体に対しても、同様にして、各平均核定数がそれぞれ求められる。
中性子拡散計算を実行する(ステップ57)。ステップ56で求めた核定数を用いて中性子拡散計算が行われ、炉心の軸方向出力分布及び反応度等の炉心特性(炉心特性に関する情報)が算出される。そして、求められた軸方向出力分布をステップ52で初期設定した軸方向出力分布と比較し、その差が許容範囲内にあるか否かの集束判定を行う(ステップ58)。その差が許容範囲よりも大きい場合には、ステップ58の判定は「No」となり、出力分布を調整してステップ53〜58の各処理が再度実行される。すなわち、熱水力計算処理(ステップ53,54及び55)、核定数算出処理(ステップ56)及び中性子拡散計算処理(ステップ57)が、ステップ58の判定が「Yes」になるまで繰り返し実行される。この繰り返し計算におけるボイド率分布計算(ステップ54)では、ステップ57で得られた軸方向出力分布を用いてボイド率分布を計算する。また、繰り返し計算を行った場合におけるステップ58の収束判定では、前回のステップ57の計算で得られた軸方向出力分布と今回のステップ57の計算で得られた軸方向出力分布との差を比較する。なお、ステップ57で求める軸方向出力分布等は、中性子拡散計算の替りに中性子輸送計算を用いて算出してもよい。
ステップ58の判定が「Yes」であるとき、すなわち、前述の差が許容範囲内であるとき、ステップ59の処理が実行される。すなわち、炉心の安全性が評価される(ステップ59)。ここでは、算出された上記の炉心特性を対象に、炉心3の安全性を示す指標(例えば、最小限界出力比及び最大線出力密度等)を算出する。ステップ59における最小限界出力比等の計算は、運転員がオペレータコンソール34から炉心性能計算装置1に計算指令を入力することによっても行われる。ステップ59の処理が終了した後、炉心の出力分布及び反応度等の炉心特性の情報、及び算出された炉心の安全性を示す各指標が炉心性能計算装置30から表示装置38及び表示計器39に出力される(ステップ60)。各炉心特性の情報は表示装置38等に表示される。SSR9内のボイド率αも、同様に、表示装置38等に出力される。また、各炉心特性の情報、ボイド率α及び炉心の安全性を示す各指標は記憶装置33に記憶される。
運転員は、表示された出力分布及び反応度等の炉心特性を考慮して、炉心3内への制御棒20の挿入・引抜位置の設定等の、原子炉の運転計画を立案する。
SSR9内のボイド率分布の計算(ステップ55)の詳細を、図7及び図8を用いて説明する。炉心3内に装荷されたある燃料集合体4におけるSSR9内のボイド率分布の計算結果の一例を、図7に示す。その燃料集合体4は燃料有効長を軸方向において24個のセルに分割され、分割された24個の各セルにそれぞれ核定数が設定される。各セルは、燃料有効長の下端から第1セル、第2セル、……、第24セルとセル番号が付されている。これらの核定数に基づいて炉心性能計算が実施される。図7に示す例では、第1セルから第4セルの各セルにおけるボイド率αは0%、第5セルのボイド率は5%、第6セルのボイド率は15%、第7セルのボイド率は30%、及び第8セルから第24セルの各セルのボイド率αは100%となっている。
炉心性能計算装置30において、SSR9内のボイド率分布の計算が以下のように行われる。
炉心3に装荷されている、同じタイプのSSR9を有する燃料集合体4毎に、炉心性能計算に用いる、軸方向に分割されたセル数に対応したボイド率αのテーブル情報が記憶装置33から炉心性能計算装置30に入力される。燃料集合体入口での冷却水流量に対するSSR9内のボイド率αテーブル情報の一例を、図8(a)及び図8(b)に示す。図8(a)は上部セル(例えば、第22セル)、及び図8(b)は下部セル(例えば、第8セル)での各テーブル情報である。このようなテーブル情報は、各セルに対して作成されている。燃料集合体入口の冷却水流量が小さい場合には、冷却材上昇流路14内に形成される液面16(図6)より上方に存在する蒸気領域18に位置する各セルのボイド率αは1.0となる。しかしながら、燃料集合体入口の冷却水流量がある流量(例えば、図7の点41a及び点41bに対応する各冷却水流量)以上に増加すると、ボイド率αが1.0より減少する。その冷却水流量が点42a、点42bに対応する流量以上になると、ボイド率αが0になる。
このようなテーブル情報は、3次元詳細熱水力計算または実験で得られた情報を基に予め作成され、記憶装置33に記憶されている。本実施例では軸方向に24個のセルが存在するので、1種類のSSRに対して24のボイド率αテーブル情報が予め作成されて記憶装置33に記憶されている。これらのテーブル情報を利用することにより、任意の軸方向位置でのSSR9内のボイド率αを燃料集合体入口の冷却水流量基に求めることができる。
図8(a)(または図8(b))に示すボイド率αテーブル情報では、点41a(または点41b)から点42a(または点42b)までボイド率αは線形に変化するように近似されている。しかしながら、その変化を、例えば2次関数状に変化するように近似してもよいし、点41a(または点41b)と点42a(または点42b)の間で勾配が変化するように近似してもよい。なお、必ずしも、燃料集合体入口の冷却水流量が小さいときにボイド率αが1.0に、その冷却水流量が非常に大きいときにボイド率αが0にならなくてもよい。
下部タイプレート7の圧力損失ΔPLTPは、下部タイプレート7の圧損係数をKLTP、燃料集合体入口の冷却水流量をWとすると次式(6)式で表せるので、燃料集合体入口の冷却水流量に対するSSR9内のボイド率αのテーブル情報を使用するのではなく、下部タイプレート7の圧力損失ΔPLTPに対するSSR9内のボイド率αのテーブル情報を用いてもよい。
ΔPLTP=KLTP・W/ρg ……(6)
下部タイプレートの圧力損失ΔPLTPは、各チャンネル毎の流量配分計算53を実施するときにすでに計算されており、この計算結果を用いてSSR9内のボイド率αを算出することができる。SSR9内のボイド率αを求めた後、(5)式を用いてSSR9内の減速材密度ρに変換し、これを利用してセルの核定数を評価する。
また、SSR9内のボイド率αの替りに、(5)式で算出されたSSR9内の減速材密度ρを直接用いてセルの核定数を評価してもよい。具体的には、図8に示すテーブル情報を、燃料集合体入口における冷却水流量とSSR9内の減速材密度ρの関係、あるいは下部タイプレートの圧力損失ΔPLTPとSSR9内の減速材密度ρの関係を表すテーブルに置き換える。このテーブル情報を用い、燃料集合体入口における冷却水流量(または下部タイプレートの圧力損失ΔPLTP)基づいて減速材密度ρを求めることができる。SSR9内に存在する水量情報の与え方として、SSR9内のボイド率αを用いるよりも、SSR9内の減速材密度ρを用いたほうが、原子炉圧力が変化した場合における誤差が小さくなる。
前述のステップ56の処理を具体的に説明する。ステップ55で求められたSSR9内のボイド率αを利用して核定数を算出する場合には、追加入力の定数を最小にするため、核定数の計算に利用する入力定数として、SSR9内を全て水領域17(ボイド率0)であるとして算出した第1の核定数テーブル情報、及びSSR9内を全て蒸気(ボイド率1.0)として算出した第2の核定数テーブル情報の2種類の核定数テーブル情報を用意する。該当する燃料集合体4のSSR9内のボイド率αに依存して、第1及び第2の核定数テーブル情報を内挿(または外挿)し、該当するボイド率αに相当する点の核定数の値を計算する。内挿(または外挿)する場合には、SSR9内のボイド率αを指標とするのではなく、SSR9内の減速材密度ρを指標として用いてもよい。
前述したように、セル平均の核定数としては拡散係数、マクロ吸収断面積、マクロ散乱断面積及びマクロ核分裂断面積などがある。第1及び第2の核定数テーブル情報はこれらの核定数それぞれを含んでいる。また、燃料集合体単体に対する集合体計算によって求められた、燃焼度、及び減速材密度ρ及びρなどの、幾つかの代表的な状態での各値が、第1及び第2の核定数テーブル情報に含まれている。これらの値は、第1及び第2の核定数テーブル情報のそれぞれにおいて該当する核定数と関連付けられている。
ステップ56の核定数算出処理では、第1及び第2の核定数テーブル情報から求められる代表的な状態での値を、その時における燃焼度、及び減速材密度ρ及びρなどの値で内挿(または外挿)して各セルでの平均核定数を求める。以上のようにして求められた各核定数は、前述したステップ57の中性子拡散計算に用いられる。
本実施例は、以上に述べたSSR内のボイド率計算、及びこの計算により得られたボイド率α(または減速材密度ρ)を用いた核定数計算を行うことによって、原子炉の運転計画の際、演算処理が膨大になるのを防ぐことができる。
本実施例は、燃料集合体4毎の燃料集合体入口における冷却水流量(または下部タイプレート7での圧力損失)に基づいて、SSR9内のボイド率αを求め、このボイド率αを用いて核定数を求め、得られた核定数を用いて中性子拡散計算を行って炉心特性(炉心の出力分布及び反応度等)を求めている。このように、本実施例は、ボイド率αに基づいて得られた核定数を用いて炉心特性を求めているので、SSR9を有する燃料集合体4を装荷している原子炉1に対して得られた炉心特性の精度をさらに向上させることができる。なお、減速材密度ρに基づいて得られた核定数を用いて炉心特性を求めることによっても、得られたその炉心特性の精度がさらに向上する。
本実施例は、求められたSSR9内のボイド率α(または減速材密度ρ)を表示装置38に表示するので、運転員が炉心3の状態を適切に理解することを支援することができる。炉心特性(炉心の出力分布及び反応度等)の情報及び炉心3の安全性を示す指標も表示装置38に表示されるので、運転員は、炉心3の状態をより適切に認識することができる。
BWRプラントに適用される本発明の他の実施例である実施例2の炉心性能計算装置を、図9を用いて以下に説明する。本実施例の炉心性能計算装置が適用されるBWRプラントの構成は、実施例1で述べたBWRプラントの構成と同じである。炉心3に装荷されている燃料集合体4はSSR9を有している。
本実施例の炉心性能計算装置30は、実施例1と同様に、図2に示すネットワークに組み込まれている。この炉心性能計算装置30は、実施例1の炉心性能計算装置30で実行される処理手順、すなわち、ステップ51〜60の処理を、図9に示す処理手順に変更したものである。本実施例の炉心性能計算装置30で実行される処理手順は、実質的に、実施例1の炉心性能計算装置30で実行される上記の処理手順に、SSR内のボイド率αのテーブル情報の補正(ステップ61)及び各セルの核定数補正計算(ステップ62)を追加したものである。
ステップ61及び62の処理は、いずれも、炉心3内に挿入される移動式中性子束検出器(TIP)(図示せず)で計測された、炉心3の軸方向における中性子束分布に基づいて得られた炉心3の軸方向の出力分布を用いる。BWRでは、TIPは、常時、炉心3内の中性子束分布を計測している訳ではなく、運転員がオペレータコンソール34から入力した挿入指令に基づいて炉心3に挿入され、炉心3の軸方向の中性子束分布を計測する。TIPは、炉心3の中性子束分布を計測する以外の期間では、原子炉1の外に引き抜かれている。TIPから出力された炉心3の軸方向における多数の位置での各中性子束計測値は、プロセス入出力装置32を介してデータ処理計算機31に入力される。データ処理計算機31は、それらの中性子束計測値に基づいて、炉心3の軸方向の出力分布を求める。データ処理計算機31で求められた炉心3の軸方向の出力分布が、性能計算装置30に入力される。
炉心性能計算においては、TIPで測定した出力分布と炉心性能計算装置が中性子拡散計算あるいは中性子輸送計算で評価した出力分布に違いがあるときに、TIPで測定した出力分布に拡散計算あるいは輸送計算結果を合わせる補正を実施して評価精度を向上する。本発明においては、SSR内のボイド率αのテーブル情報を補正することで出力分布の補正が可能で、評価精度を向上できる。SSR内のボイド率αのテーブル情報の補正(ステップ61)について詳細に説明する。ステップ53の処理の後に行われるステップ61においては、例えば、図8に示すボイド率αテーブル情報を補正する。具体的には、炉心性能計算装置30は、記憶装置33から図8(a)及び図8(b)に示す各ボイド率αテーブル情報を入力し、これらのボイド率αテーブル情報における点41a,42a,41b及び42bのそれぞれを補正する。第8セル(図8(b)参照)において、点41b及び42bに対応する燃料集合体4の入口の冷却水流量を変化させ、TIPで計測した中性子束分布に基づいて得られた炉心3の軸方向の出力分布(以下、便宜的に、第1軸方向出力分布という)と、ステップ52で初期設定された炉心3の軸方向の出力分布(以下、便宜的に、第2軸方向出力分布という)の最小二乗誤差が小さくなるように、点41b及び42bのそれぞれに対応する燃料集合体入口の冷却水流量を求める。例えば、第2軸方向出力分布のピークが第1軸方向出力分布のそれよりも上方にずれているときには、軸方向における上部の反応度が増加するように、上部セルのSSR内のボイド率αを低下させるようにボイド率αテーブル情報を補正すればよい。補正されたボイド率αテーブル情報は記憶装置33に記憶される。このようなボイド率αテーブル情報の補正は、軸方向における全てのセルに対して実施する必要はなく、原子炉の定格出力運転時においてSSR9内に液面16が形成されやすいセルにおいて実施することが効果的である。
SSR9内のボイド率α分布の計算(ステップ55A)は、ある燃料集合体4の各セルのボイド率αテーブル情報(補正されたボイド率αテーブル情報が存在する場合にはこのテーブル情報)を用いて、実施例1におけるステップ55と同様に、ボイド率α分布を求める。各セルの核定数の計算(ステップ56)は、ステップ54で得られたボイド率α及びステップ55Aで得られたボイド率αを用いて行われる。
各セルの核定数補正計算(ステップ62)を具体的に説明する。ステップ62では、第1軸方向出力分布と第2軸方向出力分布を比較し、最小二乗法等を利用して前者と後者の差が小さくなるように、ステップ56で求められた各セルの核定数を補正する。補正された核定数を補正核定数という。TIPによる次の炉心3の軸方向における中性子束分布が計測されるまでは、前回のTIP計測値に基づいて得られた第1軸方向出力分布を用いて算出された補正核定数が使用される。核定数の補正は、異なる構成のSSRを有する燃料集合体毎に行われる。
セルの核定数には、無限増倍率、拡散係数、マクロ吸収断面積、マクロ散乱断面積、マクロ核分裂断面積、バックリングなどがある。これらの核定数は、燃焼度、減速材密度、制御棒挿入状態などの関数で表現される。本実施例ではSSR9内の減速材密度ρが補正され、セルの核定数が変化することで、出力分布が補正される。
第1軸方向出力分布に基づいた学習計算による核定数の補正及び燃料集合体入口の冷却水流量に対するSSR9内のボイド率αテーブル情報の補正は、本実施例の炉心性能計算装置30で実施される。しかしながら、補正された核定数、及び補正されたボイド率αテーブル情報は記憶装置33に格納されるため、1つの運転サイクルにおける原子炉の運転終了後に、補正された核定数、及び補正されたボイド率αテーブル情報に基づいて原子炉の運転実績のトレース評価を実施することができる。
本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。さらに、本実施例によれば、燃料集合体4を装荷している炉心3に対してTIPの計測値に基づいた第1軸方向出力分布による学習処理を効果的に実施することができ、炉心性能計算装置30で得られた炉心特性に関する情報の予測精度をさらに向上させることができる。
本発明の好適な一実施例であるBWRプラントに適用される実施例1の炉心性能計算装置で実行される炉心性能計算の処理手順を示すフローチャートである。 図1の処理手順が実行される実施例1の炉心性能計算装置が組み込まれた運転制御システムの構成図である。 実施例1の炉心性能計算装置が適用されるBWRプラントの概略構成図である。 図3に示す炉心に装荷される、SSRを有する燃料集合体の縦断面図である。 図4に示す燃料集合体の横断面図である。 図4に示す燃料集合体に用いられるSSRの詳細構成図である。 図4に示す燃料集合体におけるSSR内のボイド率分布の計算結果の一例を示す説明図である。 燃料集合体入口の冷却水流量に対するSSR内のボイド率のテーブル情報の一例を示しており、(a)は上部セルにおけるそのテーブル情報の一例を示す説明図及び(b)は下部セルにおけるそのテーブル情報の一例を示す説明図である。 本発明の他の実施例であるBWRプラントに適用される実施例2の炉心性能計算装置で実行される炉心性能計算の処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…原子炉、2…原子炉圧力容器、3…炉心、4…燃料集合体、5…燃料棒、9…スペクトルシフトロッド、10…上昇管、11…下降管、12…入口開口、13…出口開口、14…冷却材上昇通路、15…冷却材下降通路、16…液面、20…制御棒、21…制御棒駆動機構、22…インターナルポンプ、23…インペラ、24…差圧計、29…中性子検出器(固定式)、30…炉心性能計算装置、31…データ処理計算機、33…記憶装置、34…オペレータコンソール、37…中央制御盤、38…表示装置。

Claims (8)

  1. 炉心流量の変化によって内部に形成された液面の位置が変化するスペクトルシフトロッドを有する燃料集合体を装荷した炉心を備えた原子炉の炉心特性を計算する炉心性能計算装置において、
    前記燃料集合体に供給される冷却水流量に基づいて前記スペクトルシフトロッドの外で前記燃料集合体内に形成された冷却水流路におけるボイド率αを求める第1手順と、前記燃料集合体に供給される冷却水流量及び前記燃料集合体の下部タイプレートの圧力損失のいずれかに基づいて、前記スペクトルシフト内のボイド率αを求める第2手順と、前記ボイド率α及び前記ボイド率αに基づいて、前記燃料集合体の燃料有効長を軸方向において複数に分割して形成される各セルでの核定数を求める第3手順と、前記核定数を用いて中性子輸送計算及び中性子拡散計算のいずれかの計算を行って炉心特性に関する情報を求める第4手順とを実行することを特徴とする炉心性能計算装置。
  2. 求められた前記ボイド率αを表示する表示装置を備えた請求項1に記載の炉心性能計算装置。
  3. 前記ボイド率αが、前記冷却水流量と前記ボイド率αが関連付けられている、前記セル毎の前記ボイド率αのテーブル情報に基づいて求められる請求項1または請求項2に記載の炉心性能計算装置。
  4. 前記炉心の軸方向に移動される中性子検出器によって計測された中性子束、及び前記冷却水流量に基づいて、前記ボイド率αの前記テーブル情報を補正する第5手順と、補正された前記テーブル情報に基づいて前記ボイド率αを求める前記第2手順と、前記第3手順で求められた前記核定数を、前記計測された中性子束に基づいて補正する第6手順と、補正された前記核定数を用いて前記炉心特性に関する情報を求める前記第4手順とを実行する請求項3に記載の炉心性能計算装置。
  5. 炉心流量の変化によって内部に形成された液面の位置が変化するスペクトルシフトロッドを有する燃料集合体を装荷した炉心を備えた原子炉の炉心特性を計算する炉心性能計算装置において、
    前記燃料集合体に供給される冷却水流量に基づいて前記スペクトルシフトロッドの外で前記燃料集合体内に形成された冷却水流路における減速材密度ρを求める第1手順と、前記燃料集合体に供給される冷却水流量及び前記燃料集合体の下部タイプレートの圧力損失のいずれかに基づいて、前記スペクトルシフト内の減速材密度ρを求める第2手順と、前記減速材密度ρ及び前記減速材密度ρに基づいて、前記燃料集合体の燃料有効長を軸方向において複数に分割して形成される各セルでの核定数を求める第3手順と、前記核定数を用いて中性子輸送計算及び中性子拡散計算のいずれかの計算を行って炉心特性に関する情報を求める第4手順とを実行することを特徴とする炉心性能計算装置。
  6. 求められた前記減速材密度ρを表示する表示装置を備えた請求項5に記載の炉心性能計算装置。
  7. 前記ボイド率αが、前記冷却水流量と前記減速材密度ρが関連付けられている、前記セル毎の前記減速材密度ρのテーブル情報に基づいて求められる請求項5または請求項6に記載の炉心性能計算装置。
  8. 前記炉心の軸方向に移動される中性子検出器によって計測された中性子束、及び前記冷却水流量に基づいて、前記減速材密度ρの前記テーブル情報を補正する第5手順と、補正された前記テーブル情報に基づいて前記減速材密度ρを求める前記第2手順と、前記第3手順で求められた前記核定数を、前記計測された中性子束に基づいて補正する第6手順と、補正された前記核定数を用いて前記炉心特性に関する情報を求める前記第4手順とを実行する請求項7に記載の炉心性能計算装置。
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