JPH1123787A - 原子力発電所と原子炉の運転計画方法及びその計画装置 - Google Patents

原子力発電所と原子炉の運転計画方法及びその計画装置

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JPH1123787A
JPH1123787A JP9176785A JP17678597A JPH1123787A JP H1123787 A JPH1123787 A JP H1123787A JP 9176785 A JP9176785 A JP 9176785A JP 17678597 A JP17678597 A JP 17678597A JP H1123787 A JPH1123787 A JP H1123787A
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reactor
region
core
calculation
boundary
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JP9176785A
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Masanao Moriwaki
正直 森脇
Hiromi Maruyama
博見 丸山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 【課題】燃料集合体内、及び、燃料集合体間の非均質性
を炉心計算に反映させるために、炉心を燃料棒レベルか
ら一括して解くと、計算時間が膨大となる。 【解決手段】燃料集合体計算において計算領域の境界か
ら境界への中性子カレント応答を求めておき、それを従
来の核定数の代わりに燃料集合体核特性値として炉心計
算に用いる、という二段階計算を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子炉炉心内の出力
分布や反応度を数値計算によって評価,予測し原子炉運
転計画を立てる方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子炉炉心内の出力分布や反応度を評
価,予測するための数値計算は、通常二段階以上に分け
て行われる。二段階計算の場合、燃料集合体(以下集合
体)内を解析する集合体計算と集合体計算の結果を基に
炉心内を解析する炉心計算に分かれる。集合体計算で
は、集合体1体に関して、この集合体が無限に配列され
ているという無限格子体系を仮定して詳細な解析を行っ
た後、解析された特性を集合体内で平均し、核定数(ま
たは核反応断面積)という燃料集合体内の位置に依存し
ない特性値として算出する。
【0003】炉心計算においては、炉心内を多領域に分
け、それぞれの領域に対応する適切な核定数を与えた上
で、輸送計算あるいは拡散計算により解析し、出力分布
や反応度を評価する。このような計算方法は、例えば、
ニュークリア・テクノロジー33(1977年)第18
頁(Nuclear Technology, 33 (1977), p.18)に
記載されている。
【0004】上記の計算方法には、二つの問題点があ
る。一つ目の問題点は、集合体内の特性を平均化して核
定数を作成しているため、集合体内の非均質な効果が炉
心計算に反映されないことである。すなわち、例えば沸
騰水型原子炉の場合、集合体は、燃料棒,水ロッド,チ
ャネルボックス,制御棒などから構成され、燃料棒自体
も濃縮度,中性子吸収物質の濃度の違いなどから様々の
種類が存在するが、これらが集合体内で非均質に集まっ
た影響が核定数を通してでは炉心計算に反映されないの
である。
【0005】例えば、中性子吸収物質を多く含む燃料が
集合体のある境界面に偏在していると仮定すると、その
面から外に流出する中性子の量は、中性子吸収物質によ
る中性子の吸収のため、他の面より少なくなると予想で
きるが、平均化した核定数のもとではそれは考慮されな
いことになる。二つ目の問題点は、集合体計算で仮定し
た集合体周囲の状況と、実際の炉心内での周囲の状況が
異なるため、核定数に誤差が生じることである。
【0006】すなわち、集合体計算においては、その集
合体自体によって決められたスペクトルで解析するが、
炉心計算では、隣接集合体から中性子が流れ込むことに
なるので、隣接集合体のスペクトルがその集合体のスペ
クトルを決める大きな要因となる。集合体間の特性が異
なれば異なるほど、炉心計算におけるスペクトルに対す
る集合体計算におけるスペクトルの相違が大きくなり、
計算誤差を増加させることになる。以上のように、従来
の方法では、集合体内と集合間の二つの非均質性に対応
し難いという欠点を有する。
【0007】上記二つの原因による誤差は本質的には二
段階計算に由来し、解決するためには炉心全体を一括し
て解く方法が考えられる。このような方法としては、例
えば、Joint International Conference on Mathematic
al Methods and Supercomputing in Nuclear
Applications 1993, Proceedings Vol.2 702頁
に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記炉心を一括で解析
する方法は、計算時間が膨大であるという問題を有す
る。すなわち、二段階計算においては、集合体計算は種
類毎に行えば良く、炉心計算においては同じ種類の集合
体には同じ核定数を与えれば良いが、炉心一括計算の場
合、すべての集合体に対して、詳細な計算を行う必要が
ある。また、運転計画を立案する場合には最適な燃料配
置を試行錯誤的に求める必要があるが、二段階計算の場
合炉心計算のみで実行できるのに対し、炉心一括計算の
場合集合体の詳細解析のレベルから計算し直す必要があ
る。さらに、実際の原子力プラントの炉心性能監視装置
として見た場合、炉心計算のみ行う通常の性能計算に対
し、集合体計算から行う必要が生じ、高速にその場の状
況を計算しなければならない性能計算には不向きである
という欠点がある。
【0009】本発明の目的は、集合体及び炉心計算とい
う二段階による計算方法は維持することで、計算時間を
大幅に増大させることなく、集合体内,集合体間の非均
質性にも対応できる、原子炉の運転計画方法及びその装
置等を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、上記二段階
計算における集合体計算の段階で、集合体計算領域の境
界面から境界面への中性子カレント応答(以下カレント
応答)を求めておき、それを従来の核定数の代わりの集
合体核的特性値として炉心計算で用いることで、達成さ
れる。
【0011】ここで言うところのカレント応答を図1に
基づいて述べる。図1は集合体計算における計算領域を
示している。通常の集合体計算では上下方向に関しては
物質の分布に変化が無いと仮定するので、実質2次元体
系で計算されるが、本発明ではカレント応答を求めるた
めに3次元で解く必要がある。しかし、後に述べるよう
に2次元体系の解析結果のみを用いる場合もある。2次
元方向に関しては、便宜上一つの集合体を計算領域とす
ることが望ましいが、上下方向と同様任意の大きさに設
定できる。
【0012】カレント応答とは、計算領域のある境界面
(図1中では面1)に中性子が流入し、その他の境界面
での中性子の流入がないと仮定した場合の、それぞれの
面において流出する中性子量(本発明では流出中性子カ
レントと呼ぶ)を流入中性子量(本発明では流入中性子
カレントと呼ぶ)で割ったものである。従って、3次元
の直方体の場合、流入中性子カレント6種類,流出中性
子カレント6種類による36種類のカレント応答が存在
する。本発明ではこれら36種類のカレント応答をまと
めてカレント応答と呼ぶ。本カレント応答は単に領域を
透過する中性子の確率ではなく、核分裂による中性子の
増倍効果も含めた応答の確率であるから、従来の核定数
が持つ性格を引き継いでいる。
【0013】また、例えば面2の近傍に強い中性子吸収
材が配置された場合には、面2からの流出カレントが小
さくなるという結果になり、集合体内の非均質な配置の
効果を表すことができる。また、流入カレントのスペク
トルを調節することにより、隣接集合体におけるスペク
トルの効果も考慮することができる。以上の様に、応答
カレントは従来の方法における核定数の代わりになるも
のであるから、従来と同様に、燃焼度依存性,沸騰水型
原子炉であればボイド率依存性,履歴ボイド率依存性を
もつことが望ましい。
【0014】一方、二段階計算の後段階である炉心計算
においては、集合体計算から渡されるカレント応答の情
報をもとに、従来のノード法と呼ばれる計算法の枠組み
を直接利用する事ができる。すなわち、通常ノード法に
おいては、集合体計算から渡される核定数をもとに領域
におけるカレント応答を求め、次に炉心全体の中性子の
バランスを解くという手順をとる。従って本発明では、
カレント応答を求める部分を削除し、直接、集合体計算
で求められるカレント応答を導入することにより、容易
に炉心計算を実現できる。但し、炉心計算では、全ての
領域の核分裂断面積を一律に調節しながら炉心の固有値
を探す手順が含まれるが、本発明では核分裂断面積を炉
心計算では使用しないため代替手段が必要となる。
【0015】本発明では、二つの代替手段を考案してい
る。一つの方法は、全ての領域のカレント応答を一律に
調整しながら炉心の固有値を探す方法であり、もう一つ
の方法は、集合体計算において核分裂断面積を調整する
パラメータを導入し、いくつか異なるパラメータでカレ
ント応答を求め、炉心計算では固有値に見合ったカレン
ト応答を内挿により求める方法である。前者の方法は、
簡便であるが、物理的には従来の固有値と違った定義の
固有値を算出することになるが、後者では、従来と物理
的に同一な固有値を計算できる。
【0016】本発明を、計算アルゴリズムあるいは炉心
特性計算装置としてみた場合、炉内各領域の応答カレン
トを格納しておく手段を設ける。また、炉心特性監視装
置として用いる場合は、実際に計測された炉心内のスペ
クトルの情報に近い流入カレントによるカレント応答を
用いることにより、より高い精度の評価ができる。
【0017】本発明では、集合体計算と炉心計算という
二段階計算の構成は維持しているので、種類が異なる集
合体に対してのみ集合体計算を行えば良く、また、炉心
内燃料配置を決定するような試行錯誤的な計算に対して
炉心計算のみで対応できるので、計算時間の大幅な増大
を抑えることができる。また、流出カレントが従来の核
定数の情報及び集合体内部の非均質性に関する情報を持
ち、流入カレントのスペクトルの調節により隣接集合体
のスペクトルの影響も考慮する事ができるので、従来よ
り精度良く炉心内の出力分布及び反応度を評価すること
ができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して説明する。
【0019】本発明の第1実施例では、炉心全体を集合
体境界に沿って約15cm立方の領域に分割する。各領域
におけるカレント応答の情報から炉心計算を行い、出力
分布や反応度を算出する。
【0020】図2は、本実施例による炉心特性計算の流
れを示すフローチャートである。沸騰水型原子炉では、
炉心内の出力分布によって減速材密度の分布が変化する
ので、中性子拡散計算処理と熱水力計算処理の反復計算
からなる熱水力計算によって、出力分布とボイド率分布
が首尾一貫した状態を求める。核計算と熱水力計算を結
合するため、カレント応答算出処理において、熱水力計
算で求めた各セルのボイド率、及び、制御棒挿入状態な
どに応じたカレント応答を算出する。また、各領域の燃
焼度も異なるので、カレント応答は燃焼度及び履歴ボイ
ド率にも依存している。
【0021】本発明における核計算は、炉心内の中性子
カレント分布を求める部分と固有値の収束を判定する部
分に分かれる。固有値を変化させながら収束点を探すた
め、カレント応答は固有値に依存したものとなってい
る。中性子カレント分布計算は、最初仮定した流入カレ
ントから始まり、各領域の特性(燃焼度,履歴ボイド
率,ボイド率,固有値)に対応したカレント応答により
流出カレントを計算する。次に、隣接集合体の流出カレ
ントを自集合体の流入カレントとして設定し直し、同様
の計算を行う。この計算の繰り返しを中性子カレント分
布が収束するまで行う。さらに固有値を変化させながら
収束するまで、上記繰り返し計算を行う。
【0022】図3は本実施例で用いた集合体の断面図で
ある。燃料集合体は種類が異なる4種類の燃料から成り
立っており、濃縮度はそれぞれ、1.6重量%,2.3重
量%,3.2重量%及び2.4重量%である。また、中央
付近に水ロッドが1本配置されている。本実施例では、
平面方向を集合体単位、上下方向を20cmに区切った領
域毎にカレント応答計算を3次元輸送計算により実施す
る。本実施例で用いた方法は、集合体内の非均質な構造
を直接計算できるモンテカルロ法であるが、中性子輸送
法で計算でき、集合体内の非均質な構造を計算できれ
ば、他の方法でも良い。
【0023】本実施例では、まず、従来からの方法と同
様に、平面方法は集合体の無限配列,上下方向は無限大
を仮定して、固有値計算を実施する。ここで得られた各
領域境界面における部分中性子カレント(領域中心に向
う方向のみ)の情報を保存する。同時に、通常の集合体
計算と同様にその領域平均の核定数(核分裂断面積,中
性子生成断面積,中性子吸収断面積)を計算し、保存す
る。
【0024】次に、一つの領域面に保存した部分中性子
カレントを流入カレントとして設定し、他の面を真空境
界条件として、固定ソース計算を実施し、各領域面から
の流出カレントを計算する。これを各領域面に対して繰
り返した後、流入カレント量に対する流出カレント量の
比を求め、カレント応答とする。また、流入カレントに
対する領域内平均中性子束及び領域内平均核分裂反応率
も保存しておく。
【0025】本実施例ではさらに、核分裂断面積を調整
するパラメータを幾つか設定し、上記カレント応答計算
を実施する。さらに、代表的な燃焼度,履歴ボイド率,
ボイド率に対しても同様の手順を繰り返し、カレント応
答テーブルとして保存する。従来においては、炉心計算
において均質化した核定数を基に、例えば多項式拡散ノ
ード法によりカレント応答を解いていた。多項式拡散ノ
ード法とは、境界における部分中性子カレントの情報を
もとにフィックスの法則により中性子束の傾きを予測し
領域内の中性子束分布を多項式で近似するものである。
均質化した核定数に基づく多項式拡散ノード法による計
算精度が、3次元体系を輸送法により直接解いた計算精
度より劣るのは炉物理的に明らかである。
【0026】従来法では、核定数という集合体の核的特
性を表す特性値に固執しそれを使った手法の改良に力が
注がれていたが、本発明では、カレント応答という異な
る特性値に注目し、それにより集合体計算と炉心計算を
結び付けることで精度の向上を図ることができる。
【0027】炉心計算では、集合体計算で求められたカ
レント応答に従い、炉心内中性子カレント分布及び反応
度を計算する。多項式拡散ノード法に基づいた炉心計算
結果よりも、3次元体系を輸送法で直接的に解いたノー
ド法に基づく本発明がより精度が高いということができ
る。また、カレント応答テーブルから内挿により炉心内
の各領域のカレント応答を算出するので、核定数をもと
に多項式ノード法により算出する従来の方法に比べ、計
算時間の大幅な増加はない。
【0028】炉心計算において中性子束分布,出力分布
を求める際には、予め保存しておいた流入カレントに対
する領域内平均中性子束及び領域内平均核分裂反応率を
基に、炉心内中性子カレント分布から計算する。また、
炉心内中性子吸収率分布及び炉心内中性子生成率分布
は、炉心内中性子束分布と保存してある領域毎の中性子
吸収断面積および中性子生成断面積の積から計算する事
ができる。炉心内出力分布は、炉心内中性子束分布と核
分裂断面積の積からも計算することができる。
【0029】次に本発明による第2実施例について説明
する。本実施例は、炉心計算を2次元で行う例である。
加圧式軽水炉などでは、上下方向に冷却材密度分布がつ
きにくいため、炉心計算を2次元で実施する場合があ
る。その場合は、カレント応答計算も2次元のみで、実
施する事ができる。
【0030】次に本発明による第3実施例について説明
する。本実施例では、カレント応答を求める際の流入カ
レントに、違う種類の集合体の固有値計算で保存された
部分中性子カレントを用いる例である。実際の炉心計算
において、注目領域に流入する中性子カレントは、隣接
領域から流出する中性子カレントである。従って、隣接
領域のスペクトルが流入中性子カレントに与える影響が
大きい。本実施例では、隣接する可能性がある領域の部
分中性子カレントでカレント応答を計算し、隣接する領
域のスペクトルの影響を考慮するものである。
【0031】次に本発明による第4実施例について説明
する。本実施例では、カレント応答を求める際の流入カ
レントに、予め用意した中性子カレントを用いる例であ
る。炉心内の燃料構成などを試行錯誤的に決定する運転
計画法においては、隣にどのような集合体が来るか予め
決まっていない場合がある。そこで、スペクトルの特性
に従って、代表的な中性子カレントを幾つか用意してお
き、それらを流入スペクトルとして一連のカレント応答
計算を行う。実際の炉心計算では、隣接する領域のスペ
クトル特性に応じてカレント応答を選択、あるいは、調
整し、炉心内カレント分布、及び、反応度を計算する。
本実施例により、注目領域の隣にどのような領域が配置
されても対応することができる。
【0032】次に本発明による第5実施例について説明
する。本実施例では、領域の境界面を5×5の25のサ
ブ境界面分け、サブ境界面からサブ境界面へのカレント
応答を計算するものである。これにより、境界面内にお
ける中性子カレントの部分まで考慮できるため、より高
精度の炉心特性解析が可能となる。
【0033】次に本発明による第6実施例について説明
する。本実施例では、扱う中性子カレントの群数を3群
とした例である。各面の各群から各面の各群へのカレン
ト応答確率を計算する。これにより、隣接領域のスペク
トル特性をより詳細に考慮できるため、より高精度の炉
心特性解析が可能となる。
【0034】次に本発明による第7実施例について説明
する。本実施例では、炉心を燃料ピンごとに長さ5cmの
直方体セルに分割した例である。燃料ピン毎のカレント
応答を求めるので、より高精度の炉心特性解析が可能と
なり、燃料ピン毎の出力分布を知ることができる。
【0035】次に本発明による第8実施例について説明
する。本実施例は、燃料ピン毎の出力分布を知ることが
できるもう一つの例である。本実施例では、カレント応
答を求めるときに、流入カレントに対する各燃料棒の核
分裂反応率テーブルを保存しておく。炉心計算におい
て、炉心内カレント分布が解かれた後は、各領域の境界
における流入中性子カレントと保存済みの核分裂反応率
テーブルから燃料ピン毎の出力を計算することができ
る。
【0036】次に本発明による第9実施例について説明
する。本実施例は、本発明による計算手順を炉心特性監
視装置に組み込んだ場合の例である。図4は、本発明に
よる計算手順によって炉心特性を予測して運転計画を立
案したり、炉心性能を監視する装置の構成図である。本
装置は、カレント応答算出手段と領域内平均特性値算出
手段と炉心内中性子カレント分布計算手段と炉心内出力
分布計算手段とカレント応答格納手段及び領域内平均特
性値格納手段を備える。
【0037】領域内平均特性値は、領域内平均中性子
束,領域内平均核分裂断面積,領域内平均中性子生成断
面積,領域内平均中性子吸収断面積で、領域内平均特性
値算出手段により運転状態データからのみ決まる。一
方、カレント応答は、運転状態データとともに炉内計装
系から来る出力分布とスペクトル分布の情報を基に適切
なカレント応答を算出する。炉心内中性子カレント分布
計算手段において計算された炉心内中性子カレント分布
と前記領域内平均特性値より求めるべき炉心内出力分布
を計算する。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、計算時間を大幅に増大
させることなく、集合体内,集合体間の非均質性にも対
応できる原子炉の運転計画方法及びその装置等を提供す
ることができるので、炉心内の出力分布や反応度等の炉
心特性を正確に予測することが可能となり、プラントの
運転が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いているカレント応答の概念を説明
するための図である。
【図2】本発明の一実施例に係わる原子炉炉心特性計算
の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例で使用した燃料集合体の構成図
である。
【図4】本発明の一実施例に係わる運転計画装置の構成
図である。
【符号の説明】
1…集合体計算における領域、2…面1に流入する中性
子カレント、3…面1から流出する中性子カレント、4
…面2から流出する中性子カレント、5…面3から流出
する中性子カレント、6…面4から流出する中性子カレ
ント、7…面5から流出する中性子カレント、8…面6
から流出する中性子カレント、10…低濃縮度燃料棒、
11…中低濃縮度燃料棒、12…高濃縮度燃料棒、13
…中高濃縮度燃料棒、14…水ロッド、15…チャネル
ボックス、16…計算領域の境界、20…核定数算出手
段、21…カレント応答算出手段、22…中性子カレン
ト分布及び反応度計算、23…流入カレントスペクトル
調整手段、24…核定数格納手段、25…カレント応答
テーブル格納手段、26…炉内計装系信号処理装置

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多領域に区切られた原子炉炉心内の各領域
    の核的特性値を基に原子炉炉心内の出力分布,反応度を
    評価し、原子炉内の燃料構成,制御棒の挿入計画を立案
    する原子炉の運転計画方法において、領域毎の前記核的
    特性値として領域の境界から境界への中性子カレント応
    答を用い、その中性子カレント応答を燃料集合体詳細計
    算により求めることを特徴とする原子炉の運転計画方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1において、燃料集合体詳細計算に
    より領域毎の中性子カレント応答を求めるときに、領域
    内の核分裂断面積を一律に調整するパラメータを用い
    て、領域内の計算上の反応度を変化させながら中性子カ
    レント応答を求め、それらの中性子カレント応答群を領
    域の核的特性値として用いることを特徴とする原子炉の
    運転計画方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、各領域の核的特性値と
    して求められた中性子カレント応答を用いて炉心内の出
    力分布,反応度を評価する炉心計算おいて、実効増倍率
    の調整のかわりに、中性子カレント応答を一律に調整す
    ることにより外部反復計算を収束させることを特徴とす
    る原子炉の運転計画方法。
  4. 【請求項4】請求項1において、各領域の核的特性値と
    する中性子カレント応答を求めるときに、境界における
    流入中性子カレントを境界条件とした固定ソース問題と
    して設定し、燃料集合体内部の構造を考慮した3次元輸
    送計算を用いる事を特徴とする原子炉の運転計画方法。
  5. 【請求項5】請求項1において、各領域の核的特性値と
    する中性子カレント応答を求めるときに、境界における
    流入中性子カレントを境界条件とした固定ソース問題と
    して設定し、燃料集合体内部の構造を考慮した2次元輸
    送計算を用いる事を特徴とする原子炉の運転計画方法。
  6. 【請求項6】請求項4または請求項5において、境界条
    件とする流入中性子カレントを設定するときに、注目領
    域を反射境界条件を用いた固有値問題として予め解き、
    結果として得られる境界上の流入中性子カレントを前記
    境界条件として用いることを特徴とする原子炉の運転計
    画方法。
  7. 【請求項7】請求項4または請求項5において、境界条
    件とする流入中性子カレントを設定するときに、反射境
    界条件を用いた固有値問題として予め解いた他の領域の
    境界上の流入中性子カレントを前記境界条件として用い
    ることを特徴とする原子炉の運転計画方法。
  8. 【請求項8】請求項4または請求項5において、境界条
    件とする流入中性子カレントを設定するときに、予め用
    意された代表的な燃料集合体の性格を持つ流入中性子カ
    レントを前記境界条件として用いることを特徴とする原
    子炉の運転計画方法。
  9. 【請求項9】請求項1において、中性子カレント応答を
    求めるときに領域内における領域平均中性子束及び領域
    平均核分裂反応率も同時に流入中性子カレントに対する
    値として計算し、後の炉心計算において炉心内中性子束
    分布及び炉心内出力分布を領域毎に求める際に利用する
    ことを特徴とする原子炉の運転計画方法。
  10. 【請求項10】請求項1において、中性子カレント応答
    を求めるときに領域内における領域平均中性子束も同時
    に流入中性子カレントに対する値として計算し、後の炉
    心計算において領域平均核反応断面積と上記領域平均中
    性子束から領域毎の炉心内核反応分布を求めることを特
    徴とする原子炉の運転計画方法。
  11. 【請求項11】請求項1において、中性子カレント応答
    を求めるときに領域内における核分裂反応率分布も同時
    に流入中性子カレントに対する値として計算し、後の炉
    心計算において上記各領域内出力分布から燃料棒毎の炉
    心内出力分布を求めることを特徴とする原子炉の運転計
    画方法。
  12. 【請求項12】請求項1において、境界面を幾つかの面
    に区切り、区切られたそれぞれのサブ境界面から他の境
    界面、あるいは、同様に区切られた他の境界面のサブ境
    界面へのカレント応答を燃料集合体詳細計算により求
    め、領域の核的特性として利用することを特徴とする原
    子炉の運転計画方法。
  13. 【請求項13】請求項1において、計算する中性子カレ
    ントを多群とし、各境界面の各群から各境界面の各群へ
    の中性子カレント応答を燃料集合体詳細計算により求
    め、領域の核的特性として利用することを特徴とする原
    子炉の運転計画方法。
  14. 【請求項14】多領域に区切られた原子炉炉心内の各領
    域の核的特性値を基に原子炉炉心内の出力分布,反応度
    を評価し、原子炉内の燃料構成,制御棒の挿入計画を立
    案するために用いる原子炉の運転計画装置において、各
    領域の境界から境界への中性子カレント応答を燃料集合
    体詳細計算から求める手段と、その中性子カレント応答
    から炉心計算を行う手段とを備えることを特徴とする原
    子炉の運転計画装置。
  15. 【請求項15】多領域に区切られた原子炉炉心内の各領
    域の核的特性値を基に原子炉炉心内の出力分布,反応度
    を評価する炉心特性監視方法において、領域毎の前記核
    的特性値として領域の境界から境界への中性子カレント
    応答を用い、その中性子カレント応答を燃料集合体詳細
    計算により求めることを特徴とする原子炉の炉心特性監
    視方法。
  16. 【請求項16】多領域に区切られた原子炉炉心内の各領
    域の核的特性値を基に原子炉炉心内の出力分布,反応度
    を評価し、原子炉内の燃料構成,制御棒の挿入計画を立
    案するために用いる原子炉の炉心特性監視装置におい
    て、各領域の境界から境界への中性子カレント応答を燃
    料集合体詳細計算から求める手段と、その中性子カレン
    ト応答から炉心特性を評価する手段とを備えることを特
    徴とする原子炉の炉心特性監視装置。
  17. 【請求項17】多領域に区切られた原子炉炉心内の各領
    域の核的特性値を基に原子炉炉心内の出力分布,反応度
    を評価し、この評価値に基づいて炉心が設計された原子
    力発電所において、領域毎の前記核的特性値として燃料
    集合体詳細計算により求めた境界から境界への中性子カ
    レント応答を用いることを特徴とする原子力発電所。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007147377A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 炉心設計支援装置及びプログラム
JP2007192550A (ja) * 2006-01-17 2007-08-02 Toshiba Corp 粒子輸送の計算方法、計算装置およびプログラム、核定数の計算方法、計算装置およびプログラム、ならびに、原子炉シミュレーション方法、原子炉シミュレータおよび原子炉シミュレーションプログラム
JP2009156745A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 炉心性能計算装置
JP2009236727A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 沸騰水型原子炉の炉心性能計算方法および装置
JP2017129486A (ja) * 2016-01-21 2017-07-27 三菱重工業株式会社 中性子束分布の算出方法、炉心の反応度評価方法、プログラム及び装置

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