JP2005148079A - 炉心性能計算装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 D格子炉心におけるオフセットバンドル隣接の場合やチャンネルボックスの変形の際に、瞬時的および履歴効果を考慮した炉心核特性を精度良く計算できる炉心性能計算装置を提供することである。
【解決手段】 炉内出力分布計算手段は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する。そして、ノード境界値計算手段は、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算し、線出力密度計算手段は、炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力およびノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒局所出力の感度係数を用いて補正した無限格子燃料棒局所出力により集合体の線出力密度を計算する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、沸騰水型原子炉における炉心性能計算装置に関する。
沸騰水型原子炉の炉心は、複数の燃料集合体(バンドル)が挿入されてから構成されている。図15に燃料集合体1の一部切欠き斜視図を示す。図15に示すように、燃料集合体1はチャンネルボックス2内に複数本の燃料棒3を束ねて構成されている。炉心内において、冷却水は炉心下部から入るので、チャンネルボックス2内においては下部方向から上部方向に冷却水が流れる。冷却水はチャンネルボックス2内の燃料棒3の間を流れ、その間に燃料より熱を受け取り沸騰して炉心上部より出ていく。
図16は炉心内での燃料集合体1の配置の説明図である。図16に示されるように、隣接する4個の燃料集合体1のチャンネルボックス2a〜2dの間には、非沸騰の冷却水が流れるための水ギャップ4が存在する。4個の燃料集合体1のチャンネルボックス2a〜2dに挟まれるコーナー部の水ギャップ4の位置には必要に応じて制御棒5が設けられ、また、その対角位置のコーナー部の水ギャップ4の位置には、炉内中性子束計測器用の計装管6が設けられる。
ここで、初期の沸騰水型原子炉は、図17に示されるように、制御棒5側の水ギャップ幅LWが炉内中性子束計装管側の水ギャップ幅LNよりも広い、いわゆるD格子燃料炉心を採用している。このようなD格子燃料集合体では、広い水ギャップLW(以下ワイドギャップ)での中性子減速効果が大きいため、ワイドギャップLW側の熱中性子束が狭い水ギャップLN(以下ナローギャップ)側に比べて大きくなり、燃料集合体1内の熱中性子束分布が非対称となる。このため、燃料棒局所出力分布を平坦化するためには、ワイドギャップLW側の燃料棒3の濃縮度を低く、ナローギャップLN側の濃縮度を高くする必要がある。
このように、濃縮度分布が対称でないと、例えば、地震時においてチャンネルボックスが揺れた際に水ギャップ幅の変化により熱中性子束分布が高濃縮側にシフトすることがある。そうした場合、反応度が印加されスクラムに至る場合がある。これを回避するため、D格子燃料炉心において、ワイドギャップLWとナローギャップLNの幅を近づけることが考えられる。これはD格子バンドルのチャンネルボックス2の中心を制御棒5に干渉しない範囲で、制御棒5側に偏心させることにより実現される。このようにチャンネルボックス2の中心を制御棒5側に偏心させたD格子バンドルをオフセットバンドルと呼ぶ。
このオフセット化は、サイクル毎に段階的にD格子バンドルをオフセットバンドルで置き換えることにより実現される。制御棒5を囲む2体のD格子バンドルがオフセットバンドル化された段階を図18に示す。図18では燃料集合体1のチャンネルボックス2b、2cがオフセットされたものを示している。
原子炉における炉心性能計算では、炉心の3次元核熱水力結合物理モデルに基づき、炉心内の中性子束分布および出力分布を計算する。集合体内断面で規格化した燃料棒出力を局所出力と称し、炉心の熱的制限値は集合体断面平均出力と燃料棒局所出力とにより計算される。集合体の最大線出力密度とは、集合体断面の最大の燃料棒局所出力ピーキング係数と集合体断面平均出力との積で定義される。また、燃料棒の焼損(バーンアウト)の監視指標である限界出力比は、各燃料棒周辺の局所出力分布のパターンを表す燃料棒R因子と集合体平均出力およびチャンネル流量の関数として計算される。
これらの熱的制限値の計算方法については、例えば文献 "Three‐dimensional BWR core simulator, "J.A.Wooly,Licensing topica1 report,NEDO‐20953,1976,General E1ectric Companyに記載されている。
また、炉心の3次元核熱水力結合物理モデルの精度を向上させるために、例えば文献 "TARMS:An on‐Line Boiling Water Reactor Management System Basedon Core Physics Simulator,"M.Tsuiki et al.,Proceedings of a topical meeting on Advances in Reactor Computations,Salt Lake City,1983に記載されるように、炉心内の中性子束検出器の実測値と計算値を用いて、炉心計算による炉内中性子束分布を補正して精度を向上させることが行われている。
さらに、炉心性能計算では、中性子検出器の寿命を監視するために、中性子検出器の照射量を積算している。同様に、制御棒の寿命を監視するために、制御棒照射量を積算している。
炉心3次元計算では、各集合体を均質化したノードに対する集合体平均核定数を用い、中性子拡散理論に基づく粗メッシュノード法により、炉心の臨界固有値と炉内中性束分布および炉内出力分布を計算する。集合体平均核定数は、各集合体の境界において反射境界条件を適用した無限格子体系における詳細計算により計算されるのが一般的である。通常の炉心では、着目集合体と隣接する集合体の隣接面の水ギャップ幅は同一であるから、反射境界条件を用いた無限格子計算は良い近似である。
しかしながら、D格子バンドルとオフセットバンドルとが隣接すると、隣合う面の水ギャップ幅が異なるために、それぞれのノード平均核定数を計算した時の無限格子体系における反射境界条件の近似が悪くなる。これは、水ギャップ幅が変化するために、局所的に水ギャップ近傍における熱中性子束分布が変化し、集合体核特性に変化が生じるためである。なお、高速中性子束は殆ど変化せず、集合体核特性の変化は、ほとんど熱中性子束の水ギャップ近傍における変化より生じるものといってよい。この変化は、隣接し合うD格子バンドルにもオフセットバンドルにも共に生じる。
オフセット量が大きいと、集合体核特性への影響は大きく、炉心性能計算において、炉心臨界固有値、炉内出力分布、集合体内の燃料棒出力分布、熱的制限値、中性子検出器の計数値、制御棒位置での熱中性子束変化などを考慮することが炉心の性能を監視する上で必要となる。
図18に示したように、オフセットバンドルによる核特性変化の例において、いま、チャンネルボックス中心を制御棒側に2mmオフセットしたオフセットバンドルを制御棒まわりに2体装荷した場合を考える。この場合のD格子バンドル内の集合体内局所出力分布を無限格子体系の燃料棒局所出力分布と比較した特性を図19に示す。図19において、上段は混在体系、中段は無限格子体系、下段はその差を示している。
この場合、参照解の局所出力分布の評価はマルチ集合体非均質計算により行った。オフセットバンドルが隣接することにより、D格子バンドルのワイドギャップは実質的に減少し、ナローギャップは増加することになる。参照解によれば、オフセットバンドルの隣接によりD格子バンドルの集合体最大局所ピーキング係数は約10%変化しており、オフセットバンドルとの隣接効果を考慮して炉心監視を行うことの重要性が示されている。
一方、チャンネルボックス2が高速中性子照射により変形した場合も同様な問題点が生じる。すなわち、チャンネルボックス2は例えばジルコニウム合金から形成されている。そして燃料棒の上下端は上部タイプレートおよび下部タイプレートにより支持されている。燃料集合体1は高温、高圧、高放射線下の条件下にあり、チャンネルボックス2は高速中性子照射による変形を受ける。
対向するチャンネルボックス2の面の間で高速中性子照射量に差があると、図20に示すように、チャンネルボックス2の軸方向の照射成長量に違いが生じるため軸方向に曲がりが発生する。図20は、高速中性子照射によるチャンネルボックス2の照射成長により、軸方向に曲がりが発生した状態を示している。
このように、チャンネルボックス2に曲がりが生じると、図21に示すように、燃料集合体1の水ギャップ4の幅が正規の幅から変化する。このため、機械的には、水ギャップ4への制御棒5の挿入が妨げられるという影響が生じる。
照射成長により着目集合体および隣接集合体のチャンネルボックスに曲がりが生じると、隣接し合う燃料集合体間の水ギャップの幅が正規の幅から変化することにより、燃料集合体の核特性に変化が生じる。従って、炉心性能計算において、チャンネルボックス変形による炉心性能変化を考慮することが炉心の性能を監視する上で重要となる。
すなわち、照射成長により着目集合体および隣接集合体のチャンネルボックスに曲がりが生じると、隣接し合う燃料集合体間の水ギャップの幅が正規の幅から変化し、炉心性能計算への影響では、水ギャップ幅が変化すると、中性子の減速効果および吸収効果が変更を受け、水ギャップ近傍での熱中性子束分布が変化して、燃料集合体の核特性に変化が生じる。
なお、高速中性子束は殆ど変化せず、集合体核特性の変化は、ほとんど熱中性子束の水ギャップ近傍における変化より生じるものといってよい。チャンネルボックス変形が大きいと、集合体核特性への影響は大きく、炉心性能計算において、チャンネルボックス変形による炉心臨界固有値、炉内出力分布、集合体内の燃料棒出力分布、熱的制限値、中性子検出器の計数値、制御棒位置での熱中性子束変化などを考慮することが炉心の性能を監視する上で必要となる。
従来、中性子照射によるチャンネルボックス2の変形を予測し、制御棒5とチャンネルボックス2との干渉を避けるような炉心の運転管理を行うことは、特許文献1や、特許文献2や、特許文献3に示されている。
しかしながら、これらの文献では、チャンネルボックスの変形による炉心性能計算への影響については考慮されていない。チャンネルボックス変形による核特性変化の一例を説明する。例えば、図21に示すように、チャンネルボックス2の変形により、いま、着目する燃料集合体1の制御棒5側の水ギャップ4が2mm減少し、中性子検出器用の計装管6側水ギャップ4が2mm増加し、その他の隣接集合体1には変形が無いとする。この場合の集合体内局所出力分布と無限格子体系の燃料棒局所出力分布との比較の結果は、オフセットバンドルを採用した場合の図19と同様な特性となる。
この場合、参照解の局所出力分布の評価はマルチ集合体非均質計算により行った。これによれば、チャンネルボックス変形により集合体最大局所ピーキング係数は約10%変化しており、チャンネルボックス変形を考慮して炉心監視を行うことの重要性が示されている。
ここで、炉心性能計算において、燃料集合体が設計上の正規位置からずれたことによる燃料棒出力への影響を考慮して熱的制限値を評価することは、特許文献4により示されている。
特開平2−176497号公報 特開平2−201291号公報 特開平4−204084号公報 特開平4−110698号公報
特許文献4では、炉心内の制御棒または炉内中性子検出器を囲む4体の燃料集合体を一単位セルとし、各単位セル内での集合体の位置ずれによる燃料棒出力変化を計算するとしている。
一般に、単位セル内の着目集合体内の燃料棒出力変化は、単位セル内の4体の燃料集合体の位置ずれ量および位置ずれの方向の組み合わせに依存するが、特許文献4のものでは、単に燃料集合体の位置ずれ量から計算するとのみ記述されており、評価方法が明確ではない。
また、特許文献4のものでは、着目する単位セルの外側から着目集合体に隣接する集合体の位置ずれの影響が無視されており、燃料棒出力変化が精度良く評価できないという問題があった。さらに、集合体の位置ずれによる燃料棒出力変化から、限界出力比を評価する方法についてもなんら具体的な方法が示されていない。
また、特許文献4のものでは、燃料集合体の位置ずれによる炉心の臨界固有値や炉内出力分布、炉内中性子検出器の計数値と検出器照射量、制御棒照射量等への影響が全く考慮されていない。特に炉内中性子束検出器の計数は水ギャップ幅変化に敏感であり、中性子束検出器実測値との誤差を学習して、炉内出力分布を補正するためには、検出器計算値を精度良く求める必要がある。
また、燃料集合体が位置ずれしたまま燃焼が進むと、水ギャップ幅変化による燃料集合体内の中性子スペクトル変化の燃焼履歴効果や燃焼度分布効果が蓄積され、瞬時的に集合体が位置ずれした場合の効果との差が生じる。この履歴効果は一般に瞬時効果を相殺する方向に生じるが、特許文献4のものでは、この履歴効果についてなんら考慮されていない。
また、チャンネルボックスの変形に関しても、特許文献4のものにおいては、中性子照射によるチャンネルボックス変形による集合体チャンネルボックスの正規位置からの位置ずれの評価方法が記述されておらず、従って照射成長によるチャンネルボックス変形を予測して熱的制限値の計算を行うことができないという不具合があった。
また、チャンネルボックス変形により集合体が位置ずれしたまま燃焼が進むと、水ギャップ幅変化による集合体内の中性子スペクトル変化の燃焼履歴効果や燃焼度分布効果が蓄積され、瞬時的に集合体が位置ずれした場合の効果との差が生じる。この履歴効果は一般に瞬時効果を相殺する方向に生じるが、特許文献4のものでは、この履歴効果についてなんら考慮されていない。
本発明の目的は、D格子炉心におけるオフセットバンドル隣接の場合やチャンネルボックスの変形の際に、瞬時的および履歴効果を考慮した炉心核特性を精度良く計算できる炉心性能計算装置を提供することである。
請求項1の発明は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒局所出力の感度係数を用いて補正した無限格子燃料棒局所出力により集合体の線出力密度を計算する線出力密度計算手段とを有するものである。
請求項1の発明では、炉内出力分布計算手段は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する。そして、ノード境界値計算手段は、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算し、線出力密度計算手段は、炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力およびノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒局所出力の感度係数を用いて補正した無限格子燃料棒局所出力により集合体の線出力密度を計算する。
請求項2の発明は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒局所出力の感度係数を用いて補正した無限格子燃料棒局所出力により集合体の線出力密度を計算する線出力密度計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記線出力密度計算手段による燃料棒局所出力を用いて計算される燃料棒R因子より燃料集合体の限界出力比を計算する限界出力比計算手段とを有するものである。
請求項2の発明では、炉内出力分布計算手段は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する。そして、線出力密度計算手段は、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力およびノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒局所出力の感度係数を用いて補正した無限格子燃料棒局所出力により集合体の線出力密度を計算する。また、限界出力比計算手段は、炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および線出力密度計算手段による燃料棒局所出力を用いて計算される燃料棒R因子より燃料集合体の限界出力比を計算する。
請求項3の発明は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒R因子の感度係数を用いて補正した無限格子R因子により集合体の限界出力比を計算する限界出力比計算手段とを有するものである。
請求項3の発明では、炉内出力分布計算手段は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算し、ノード境界値計算手段は、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算する。そして、限界出力比計算手段は、炉内出力分布計算手段により計算された集合体平均出力およびノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒R因子の感度係数を用いて補正した無限格子R因子により集合体の限界出力比を計算する。
請求項4の発明は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する炉内計測器位置中性子束の感度係数を用いて補正した無限格子計測器位置中性子束より炉内中性子束計測器計数および照射量を計算する炉内中性子束計測器計数値計算手段とを有するものである。
請求項4の発明では、炉内出力分布計算手段は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算し、ノード境界値計算手段は、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算する。そして、炉内中性子束計測器計数値計算手段は、炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力およびノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する炉内計測器位置中性子束の感度係数を用いて補正した無限格子計測器位置中性子束より炉内中性子束計測器計数および照射量を計算する。
請求項5の発明は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する制御棒位置中性子束の感度係数を用いて補正した無限格子制御棒位置中性子束より制御棒照射量を計算する制御棒照射量計算手段とを有するものである。
請求項5の発明では、炉内出力分布計算手段は、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算し、ノード境界値計算手段は、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算する。そして、制御棒照射量計算手段は、炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力およびノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する制御棒位置中性子束の感度係数を用いて補正した無限格子制御棒位置中性子束より制御棒照射量を計算する。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の発明において、前記炉内出力分布計算手段は、修正1群拡散計算により高速中性子束分布を計算し、得られた高速中性子束と無限格子計算における熱中性子束の高速中性子束に対する比であるスペクトルインデクスを用いて、熱中性子束および熱中性子流を計算するようにしたものである。
請求項6の発明では、請求項1乃至請求項5の発明の作用に加え、修正1群拡散計算により高速中性子束分布を計算し、得られた高速中性子束と無限格子計算における熱中性子束の高速中性子束に対する比であるスペクトルインデクスを用いて、熱中性子束および熱中性子流を計算する。
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6の発明において、D格子バンドルとオフセットバンドルとの隣接効果を補正した炉内中性子束計測器計数値の計算値を、炉内中性子束計測器の実測値に適合させることにより、炉内出力分布計算値を補正する炉内出力分布補正手段を設けたものである。
請求項7の発明では、請求項1乃至請求項6の発明の作用に加え、D格子バンドルとオフセットバンドルとの隣接効果を補正した炉内中性子束計測器計数値の計算値を、炉内中性子束計測器の実測値に適合させて、炉内出力分布計算値を補正する。
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7の発明において、燃料集合体内の燃焼度分布および熱中性子束の高速中性子束に対する比の燃焼度平均値であるスペクトル履歴分布を用いて、D格子バンドルとオフセットバンドルとの隣接に伴う履歴効果による集合体核定数、燃料棒局所出力分布、燃料棒R因子分布の補正量を計算するようにしたものである。
請求項8の発明では、請求項1乃至請求項7の発明の作用に加え、燃料集合体内の燃焼度分布および熱中性子束の高速中性子束に対する比の燃焼度平均値であるスペクトル履歴分布を用いて、D格子バンドルとオフセットバンドルとの隣接に伴う履歴効果による集合体核定数、燃料棒局所出力分布、燃料棒R因子分布の補正量を計算する。
本発明の炉心性能計算装置によれば、D格子バンドルとオフセットバンドルが隣接することによる効果を考慮した炉心核特性の計算は、D格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせに応じたマルチ集合体詳細計算により予め用意された補正テーブル、あるいは集合体不連続因子を用いた拡散ノード法、または解析的拡散モデルに基づき計算するから、炉心の臨界固有値や炉内出力分布、最大線出力密度、限界出力比、炉内中性子検出器計数と検出器照射量、制御棒照射量等を精度良く計算できるというすぐれた効果を奏する。
また、高速中性子照射によるチャンネルボックス変形に対して、炉心出力分布計算によりチャンネルボックスの各面における高速中性子照射量を積算し、照射成長モデルに基づいて中性子照射によるチャンネルボックス変形量を予測評価できるので、チャンネルボックス変形を考慮した炉心核特性を計算することが可能となる。さらに、チャンネルボックス変形を考慮した炉心核特性の補正計算は、着目集合体と隣接集合体のチャンネルボックス変形量より、マルチ集合体詳細計算により予め用意された補正テーブルあるいは拡散モデルに基づき、チャンネル変形履歴効果も補正して計算するから、炉心の臨界固有値や炉内出力分布、最大線出力密度、限界出力比、炉内中性子検出器計数と検出器照射量、制御棒照射量等を精度良く計算できるというすぐれた効果を奏する。
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。まず、D格子炉心において、オフセットバンドル隣接効果を考慮した集合体平均核定数、燃料棒局所出力、燃料棒R因子、炉内中性子検出器計数、制御棒照射量等の炉心核特性を精度良く計算する場合について説明する。すなわち、以下の[1]、[2]、[3]の処理により達成する。
[1]D格子バンドルとオフセットバンドルとが隣接することによる集合体核特性の変化を、次の(a)〜(d)のようなマルチ集合体詳細計算モデルまたは中性子拡散モデルに基づいて計算する。
(a)マルチ集合体詳細2次元計算モデル。
着目集合体と隣接集合体とに対するマルチ集合体詳細2次元計算により、予めD格子バンドルとオフセットバンドルとが隣接することによる集合体平均核定数、燃料棒出力分布、燃料棒R因子分布などの集合体核特性変化量を、直接、着目集合体に隣接する水ギャップ幅の異なる集合体の組み合わせのテーブルとして準備する。
(b)解析的拡散モデル。
水ギャップと燃料領域とをそれぞれ均質化した2領域拡散モデルの解析解に基づいて、集合体内熱中性子束分布の変化を求め、実質的な水ギャップ幅変化量に対する熱中性子束分布変化より核特性変化量を評価する。
(c)単一集合体中性子束不連続因子拡散モデル。
集合体中性子束不連続因子を用いた均質拡散ノード法に基づいて、各集合体を均質化したノード内の均質中性子束分布を求める。ここで、集合体不連続因子は、無限格子計算において、集合体の各面の平均中性子束の集合体平均中性子束に対する比として定義される。
ノード内の均質中性子束から非均質中性子束を計算するため、無限格子計算において評価された「集合体境界での非均質熱中性子束の均質熱中性子束に対する比」と「ノード内での均質熱中性子束の非均質熱中性子束に対する比」とを掛け合わせた因子を、均質熱中性子束分布の熱中性子拡散による過渡成分の補正係数とすることにより、ノード内の非均質熱中性子束分布を計算し、この非均質熱中性子束分布より集合体核特性を計算する。均質拡散モデルとしては、多群ノード法、修正1群ノード法等を用いる。
(d)単一集合体中性子束不連続因子境界摂動モデル。
集合体中性子束不連続因子を用いた均質拡散ノード法に基づいて各集合体を均質化したノード境界の中性子束と中性子流とを求める。
無限格子計算において評価された、集合体境界での中性子束と中性子流との変化に対する集合体核特性の変化を感度係数として使用し、上記のノード境界の中性子束および中性子流から集合体核特性変化を計算する。
均質拡散モデルとしては、多群ノード法、修正1群ノード法、修正1群差分法等を用いることができる。
[2]限界出力比計算では、集合体内のR因子変化を直接計算する他に、燃料棒出力変化からも計算することができる。
[3]拡散モデルにおいては、オフセットバンドル隣接に伴う燃焼履歴効果を、集合体内の燃焼度分布およびスペクトル履歴分布を用いて補正する。
このように、本発明では、D格子炉心において、オフセットバンドル隣接を考慮した炉心核特性を、マルチ集合体詳細計算により準備したテーブルや拡散モデルに基づき計算し、また燃焼履歴効果も考慮するから、核特性の変化を精度良く計算できる。また、従来は無視されていた、炉心の臨界固有値や炉内出力分布、炉内中性子検出器の計数値と検出器照射量、制御棒照射量等への影響も考慮できる。
図1は、本発明の第1の実施の形態を示すブロック構成図である。集合体平均核定数計算手段11は、隣接するD格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせに応じてマルチ集合体詳細計算により予め評価した集合体平均核定数あるいは無限格子平均核定数に対する補正量を用いて集合体平均核定数を計算するものである。すなわち、ノードの燃焼度、ボイド率等の関数としてノード平均核定数を計算し、その時、隣合うD格子バンドルとオフセットバンドルの組み合わせに応じて、マルチ集合体詳細計算により予め評価した集合体平均核定数を用いて隣接集合体の影響を考慮に入れる。
炉内出力分布計算手段12は、集合体平均核定数計算手段11により計算された核定数を用いて炉心拡散計算に基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算するもので、ノード平均核定数を用いて、炉内の中性子束分布と炉心固有値を拡散モデルに基づき計算する。拡散モデルとしては、例えば前述したJ.Woolyの文献に示されるような修正1群差分モデルや、後述するK.Smithの文献に示されるような多群ノード法モデル等を用いることができる。炉内出力分布は中性子束分布を基に計算され、集合体断面平均出力が計算される。
局所出力分布計算手段13は、隣接するD格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせに応じてマルチ集合体詳細計算により予め評価した燃料集合体内の燃料棒局所出力あるいは無限格子燃料棒局所出力に対する補正量を用いて燃料棒局所出力を計算するものである。
次に、線出力密度計算手段14は、炉内出力分布計算手段12により計算された集合体断面平均出力および局所出力分布計算手段13により計算された燃料棒局所出力を用いて集合体の線出力密度を計算する。この線出力密度計算手段14では、炉心の熱的制限値として、隣合うD格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせに応じて、マルチ集合体詳細計算により予め評価した燃料棒局所出力分布により与えられる集合体の最大局所出力ピーキング係数と、炉心内出力分布計算による集合体断面平均出力とを用いて、各燃料集合体断面の最大線出力密度を計算する。この場合、炉心内出力分布計算手段12による集合体断面平均出力として、オフセットバンドル隣接効果を補正した出力を用いることで精度をさらに向上できる。
限界出力比計算手段15では、隣合うD格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせに応じて、マルチ集合体詳細計算により予め評価した燃料棒R因子分布の中から求めた集合体最大R因子と、集合体平均出力とを用いて、各燃料集合体の燃料棒の焼損の監視指標である限界出力比を計算する。なお、燃料棒R因子は局所出力分布計算手段13で求めた燃料棒局所出力から計算することも可能である。
次に、炉内中性子束計測器計数値計算手段16では、隣合うD格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせに応じて、マルチ集合体詳細計算により予め評価した炉内中性子計測器位置における熱中性子束を用いて、炉内中性子検出器計数値と検出器照射量とを計算する。そして、炉内出力分布補正手段17では、D格子バンドルとオフセットバンドルとの隣接効果を補正した炉内中性子束計測器計数値の計算値を、炉内中性子束計測器の実測値に適合させることにより、炉内出力分布計算値を補正する。このように補正された炉内中性子検出器計数値の計算値の実測値に対する誤差を学習することにより、炉内出力分布計算値を補正することもできる。
また、制御棒照射量計算手段18では、隣合うD格子バンドルとオフセットバンドルの組み合わせに応じて、マルチ集合体詳細計算により予め評価した制御棒位置熱中性子束を用いて制御棒照射量を計算する。
次に、マルチ集合体計算により、オフセットバンドル隣接効果を補正した集合体平均核定数、集合体不連続因子、燃料棒局所出力、燃料棒R因子、中性子計測器位置における熱中性子束等を計算する手法について詳細に説明する。
(a)マルチ集合体詳細2次元計算モデル。
D格子バンドルとオフセットバンドルとの隣接効果は、隣接するD格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせにより決定される。オフセットバンドルを中心とした隣接バンドルの組み合わせについて、考えられ得る8通りのパターンを図2に示す。なお、着目する中心バンドルに対して斜め対角方向から隣接するバンドルの影響は小さいので、ここでは、8通りのパターンからは省略してある。図2において、DはD格子バンドルを示し、Sはオフセットバンドルを示している。このようなパターン毎に、マルチ集合体計算を行って、集合体核特性を評価しておけばよい。
集合体が位置ずれしたまま燃焼が進むと、水ギャップ幅変化による集合体内の中性子スペクトル変化に起因する燃焼履歴効果や燃雛度分布効果が蓄積され、瞬時的に集合体が位置ずれした場合の効果との差が生じる。この履歴効果を取り入れるためには、マルチ集合体計算では燃焼計算も行う必要がある。
図3は、図2におけるマルチ集合体パターンP1について、D格子バンドルおよびオフセットバンドルの集合体最大局所ピーキング係数の燃焼変化を、無限格子体系と比較して示した特性図である。ただし、各集合体のボイド率は等しいと仮定している。図3に示すように、燃焼に伴い無限格子計算からの変化量は減少する傾向にあることがわかる。
D格子とオフセットバンドルとの組み合わせパターンの数はそれほど多くはないが、実際には各バンドルの燃焼度やボイド率の違いまで考慮すると組み合わせ数は増加し、計算コストが増加する。ただし、燃焼度の組み合わせについては、サイクル毎にオフセットバンドルが段階的に導入されるものとすれば、代表的なバッチタイプ毎の燃焼度の組み合わせで近似することができる。
マルチ集合体の組み合わせの近似による誤差を小さくするためには、マルチ集合体計算により集合体核特性そのものを与えるのではなく、無限格子計算からの補正成分のみを与えてもよい。各集合体における集合体核特性の計算においては、まず、第1近似値として、無限格子燃焼計算により集合体核特性を評価する。隣接バンドルの影響の補正成分は第2次の効果であるから、代表的なバンドルタイプ、燃焼度、ボイド率の組み合わせにより評価しておいても、誤差はそれほど大きくない。この方法では無限格子計算からの補正量のみを代表的なマルチ集合体の組み合わせパターンで計算すればよいから計算コストの低減ができる。
さらに、補正計算を簡略化する方法として、最大線出力密度や限界出力比等の熱的制限値の最も厳しくなるD格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせに対するマルチ集合体詳細計算により予め評価した、燃料集合体内の燃料棒局所出力、燃料棒R因子の無限格子計算値に対する補正量をすべてのD格子バンドルとオフセットバンドルに用いて、炉心拡散計算により炉心の線出力密度、限界出力比をそれぞれ補正計算することもできる。
(b)解析的拡散モデル。
次に、着目集合体の水ギャップ幅の無限格子体系からの変化量に対する集合体内の熱中性子束分布の変化を拡散方程式に対する解析的モデルに基づいて計算する熱中性子束変化計算手段を設け、D格子バンドルとオフセットバンドルの隣接による集合体の水ギャップ幅の実質的な変化による集合体内の熱中性子束分布の変化を、拡散方程式に対する解析的モデルに基づいて求める。そして、この熱中性子束分布より、核特性変化量を評価する。
この手法では、例えば、水ギャップおよびチャンネルボックス内部の燃料領域をそれぞれ均質化した2領域の1次元体系について、水ギャップ幅を与えた時の中性子束分布を解析的に計算する。このとき、x方向1次元拡散モデルによる水ギャップ変化による燃料領域の熱中性子束変化の解析式は、次の(1)式で与えられる。

ここで、xは集合体境界からの距離、κは熱中性子拡散距離の逆数、aは水ギャップ変化幅である。
集合体内熱中性子束分布の変化は、x方向およびy方向の1次元分布の積δΨ(x)δΨ(y)により近似できる。この手法は、解析モデルに基づくため予め詳細計算によるテーブルの準備をしておく必要がないという利点がある。
(c)単一集合体中性子束不連続因子拡散モデル。
次に、集合体内の非均質熱中性子束分布を計算する非均質熱中性子束計算手段を設け、D格子バンドルとオフセットバンドルの水ギャップ幅が異なることによる効果を、無限格子計算により得られる集合体中性子束不連続因子を用いて考慮する。したがって、マルチ集合体計算を必要としない。この手法は、各集合体を均質化したノードからなる系に対して、中性子束不連続因子を用いた拡散ノード法により集合体内中性子束分布を求め、この中性子束分布より集合体核特性変化量を評価する。
すなわち、中性子束不連続因子を用いた拡散理論に基づいて各集合体を均質化したノード内の均質熱中性子束分布を計算し、無限格子計算において評価された「集合体境界での非均質熱中性子束の均質熱中性子束に対する比」と「集合体内での均質熱中性子束の非均質熱中性子束に対する比」を掛け合わせた因子を、均質熱中性子束分布の熱中性子拡散による過渡成分の補正係数とする。これにより集合体内の非均質熱中性子束分布を計算する。そして、この非均質熱中性子束計算手段による非均質中性子束分布を用いて集合体平均核定数を補正して炉心固有値、炉内中性子束分布、出力分布を計算する。
ここで、集合体中性子束不連続因子は、無限格子体系において、集合体の各面の平均中性子束の集合体平均中性子束に対する比として定義される。不連続因子を用いた多群拡散ノード法そのものについては既に知られており、例えば、文献"Assembly Homogenization Techniques for Light Water Reactor Analysis,"K.S.Smith,Progress in Nuclear Energy,vol.17,p303,1986に記載されている。
また、ノード法計算により得られる中性子束分布を用いて、集合体内の局所出力分布を計算する方法の一例は、"SIMULATE-3 Pin Power Reconstruction Methodology and Benchmarking,"K.R.Rempe et.al,Proceedings of lnternational Reactor Physics Conference,111ー19,Jackson Hole,1988 に記載されている。
D格子バンドルとオフセットバンドルでは、水ギャップ幅が異なるため集合体内中性子束分布が異なり、集合体中性子不連続因子も異なる。上記 K.Smithの文献に示されるように、中性子束不連続因子は、拡散ノード法において、集合体をそれぞれ均質化したノードの境界における中性子束に対する境界条件を与える。すなわち、例えば着目集合体nと隣接集合体mのx方向境界において、中性子束に対する以下の境界条件を与える。

ここで、fは境界面の中性子束不連続因子、Ψは境界面における中性子束を表す。着目集合体と隣接集合体が無限格子体系において同じ格子タイプであれば、中性子不連続因子も等しく、上記の境界条件は単に中性子束の連続性を表すにすぎない。しかし、隣接する集合体間の隣接面における中性子不連続因子fが異なると、上記の境界条件に基づいてノード境界に中性子の仮想ソースが生じるため、集合体不連続因子の違いから水ギャップ幅の違いによる集合体内の中性子束分布の変化が計算できる。多群拡散ノード法では、熱中性子束に対する中性子束不連続因子を用いた全炉心計算により、ノード平均熱中性子束および、ノード境界熱中性子束が与えられる。
次に、ノード平均中性子束、ノード境界中性子束等を用いて、均質化した集合体内の中性子束分布を展開計算することができる。一例として、前記 K.Rempeの文献では、均質化した集合体ノード内の熱中性子束Ψ2の2次元分布を次式の形式で展開している。

ここでΨ1は高速中性子束であり、ciは展開係数、fiはsinh、cosh関数である。
非均質中性子束の均質中性子束に対する比が知られていれば、非均質中性子束は、上記(3)式の均質熱中性子束分布にこの比を掛けることで計算できる。拡散ノード法では、前記 K.Rempe の文献に示されるように、この比が無限格子計算で得られる非均質中性子束分布Ψhetと均質中性子束分布Ψとの比で近似できるもの仮定している。すなわち、炉心中に置かれた集合体ノード内の非均質熱中性子束分布Ψ2 hetは、次式で計算される。

ここで、記号∞は無限格子計算値を示す。
しかしながら、発明者らがこの手法をオフセットバンドル体系に適用したところ、ノード平均中性子束や、ノード境界中性子束およびノード境界中性子流については、拡散ノード法の結果はマルチ集合体詳細計算と良く一致するにもかかわらず、燃料棒局所出力については誤差が大きいことが判明した。この原因は、熱中性子束分布については、上記の「非均質中性子束の均質中性子束に対する比が、無限格子計算で得られる非均質中性子束分布と均質中性子束分布の比で近似できる」という仮定が成り立たないためであることがわかった。
ノード内均質熱中性子束から非均質熱中性子束分布を精度良く計算するために、発明者らは、無限格子体系において評価された「集合体境界での非均質熱中性子束の均質熱中性子束に対する比」と「集合体での均質熱中性子束の非均質熱中性子束に対する比」を掛け合わせた因子を、均質熱中性子束分布の熱中性子拡散による過渡成分の補正係数とすることにより、集合体ノード内の非均質熱中性子束分布を精度良く計算できることを見出した。
均質熱中性子束分布の熱中性子拡散による過渡成分は(3)式の第2項で与えられる。従って、本手法では非均質熱中性子束は、(4)式の代わりに、下記の(5)式で与えられる。

ここで、「集合体境界での非均質熱中性子束の均質熱中性子束に対する比」を表す係数Wは、4つの集合体境界面に関する荷重平均により、次式で表すことができる。

集合体内の非均質熱中性子束分布が計算されると、非均質中性子束分布の関数である集合体平均核定数が計算され、オフセットバンドル隣接を補正した炉内出力分布が計算される。また、集合体内の非均質熱中性子束分布から燃料棒局所出力分布が直ちに計算され、これより集合体の線出力密度が計算できる。
また、燃料棒R因子分布は、燃料棒局所出力分布より計算することができ、これから限界出力比が計算できる。
集合体の各面における集合体中性子束不連続因子は、予め単一集合体詳細計算(反射境界条件を用いた無限格子計算)により集合体毎に準備する。図4に熱中性子束に対する集合体不連続因子のチャンネルボックスのオフセット量に対する関数形の一例を示す。
この手法の計算精度を示す一例として、オフセットバンドル隣接による効果を示した従来の図19と同様に、D格子バンドルのまわりに制御棒を挟んで2体のオフセットバンドルが隣接した場合の、集合体内局所出力分布を本手法により計算し、マルチ集合体詳細計算による参照解と比較した結果を図5に示す。図5において、上段は詳細計算、中段は本発明による手法、下段はその差である。参照計算によれば、オフセットバンドルの隣接により集合体最大局所ピーキング係数は約10%変化しているが本手法はこれを良く再現している。
この手法では、集合体中性子束不連続因子のテーブルを準備する際にマルチ集合体詳細計算が不要であり、燃料集合体の各面の中性子束不連続因子を着目集合体の各面の関数として独立に計算すればよい。このように、本手法はマルチ集合体計算を要する前述の手法に比べて、テーブルの準備や参照が簡単であるという利点がある。
拡散モデルとして、修正1群拡散モデルに基づく方法では、全炉心計算においては高速中性子束分布のみを解く。熱中性子束は炉心計算で得られた高速中性子束と、無限格子体系における「熱中性子束と高速中性子束の比(スペクトルインデクス)」とを用いて計算する。隣接集合体間でスペクトルインデクスが異なると、熱中性子の空間移動が生じるが、これによる熱中性子束の無限格子からの変化は、着目集合体と隣接集合体をそれぞれ均質化したノードからなる系に対して、拡散モデルを適用することにより計算される。
修正1群ノード法では、この系の拡散方程式を解析的に解くことによりノード内の均質熱中性子束を求める。この方法の詳細は、例えば、文献 "Verificationof LOGOS Nodal Method with Heterogeneous Burnup Calculations for a BWRcore,"T.I wamoto et al.,Transaction of American Nuclear Society,vol.71,p251,1994に記載されている。
修正1群法においても、チャンネルボックス変形による熱中性子束変化は、着目集合体と隣接集合体をそれぞれ均質化したノードからなる系において、熱中性子束に対する境界条件に中性子束不連続因子を用いることで、前述の多群ノード法におけると同じ原理で計算できる。
(d)単一集合体中性子束不連続因子境界摂動モデル中性子束不連続因子を用いる他の方法としては、境界摂動法と組み合わせたものである。これは、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段を設け、水ギャップ幅の違いによる集合体不連続因子の差を利用して、集合体境界における中性子束および中性子流を求め、この境界値の無限格子からの変化とそれに対する集合体核特性の感度係数を用いて、集合体核特性の変化を計算する。これは、前述のように、中性子束不連続因子を用いた拡散ノード法は、集合体境界における中性子束および中性子流については精度が良いことに着目したものである。
境界摂動法に基づき、集合体境界における摂動量として「中性子流/中性子束」を用いて集合体内局所ピーキングを計算する例が、文献 "A Boundary Condition Perturbation Method for Prediction of Pin Power Distribution in LightWater Reactor,"F.Rahnema et al.,Proceedings of Topical Meeting on Reactor Physics and Shielding,Chicago,1984 に記載されている。
この手法では例えば、燃料棒(x,y)に対する集合体内局所出力LPF(x,y)は、下記の(8)式により計算する。

感度係数Fは、予め境界条件を変化させた単一集合体詳細計算あるいはマルチ集合体詳細計算により準備しておく。
しかし、前記Rahnemaの文献においては、拡散理論に基づいて境界面での中性子流/中性子束を求める際に、集合体中性子束不連続因子が用いられていないため、オフセットバンドル隣接の場合のように水ギャップ近傍での局所的な中性子束分布変化による中性子流/中性子束の変化を計算することができない。
そこで、ノード境界値rは前述の拡散ノード法の様に、着目集合体と隣接集合体をそれぞれ均質化したノードからなる系に対して、中性子束不連続因子を用いて多群の拡散ノード法を適用して求める。あるいは、修正1群差分法においてはノード境界熱中性子束は、経験的荷重因子を用いて隣接するノードのスペクトルインデクスと中性子束不連続因子から計算してもよい。この場合、ノードmとノードnの境界の熱中性子束Ψ2nは、下記(9)式で示される。

式(8)は集合体局所出力に関する境界摂動法による補正計算法を示すものであるが、他の集合体核特性量の補正計算も、それぞれの核特性量の中性子流/中性子束に対する感度係数を用い、同様な方法で計算することができる。
燃料集合体が位置ずれしたまま燃焼が進むと、水ギャップ幅変化による集合体内の中性子スペクトル変化の履歴効果や燃焼度分布の効果が蓄積され、瞬時的に集合体が位置ずれした場合の効果との差が生じる。これは中性子スペクトル(熱中性子束の高速中性子束に対する比)が無限体系から変化することにより、ウランの燃焼遅れやプルトニウムの蓄積の増加が生じるためで、スペクトル履歴効果とよばれる。
拡散ノード法では、マルチ集合体詳細計算による燃焼計算のようには、燃焼履歴効果を直接に考慮できない。拡散ノード法による炉心性能計算において、異なる中性子スペクトルを持つ燃料集合体が隣接した際のスペクトル干渉によるスペクトル履歴効果を補正する方法としては、例えば、特願平6−210243号「原子炉の炉心性能計算方法および装置」に記載されているように、炉心内での中性子スペクトルと無限格子体系でのスペクトルの比の燃焼度平均値であるスペクトル履歴をパラメータとして補正する手法がある。
本発明では、この手法をオフセットバンドル隣接によるスペクトル履歴効果に応用し、水ギャップ幅の変化による熱中性子束分布の変化効果を補正した燃料集合体内における燃焼度分布およびスペクトル履歴分布を計算し、燃焼履歴効果による集合体平均核定数、燃料棒局所出力分布等の補正量を計算する。例えば、燃料棒局所出力については、集合体内の燃料棒位置(x,y)におけるスペクトル履歴SH(x,y)を、次の(10)式で表す。

ここで、Eは燃焼度、Ψ2、Ψ1はそれぞれオフセットバンドル隣接を考慮して計算された位置(x,y)での熱中性子束、高速中性子束であり、また∞は無限格子体系での値を示す。スペクトル履歴を考慮した局所出力分布LPFの補正は、熱群核分裂断面積Σに対するスペクトル履歴補正係数(∂Σ/∂SH)を用いることにより、次の(11)式で与えられる。

同様に、オフセットバンドル隣接により、ノード内に燃焼度分布が生じることによる履歴効果についても、前記文献に示されるように、燃焼度に関する感度係数を用いて補正することができる。
次に、チャンネルボックスの変形に対する第2の実施の形態について、説明する。チャンネルボックス変形を考慮した炉心核特性を精度良く計算するには、以下の[1]〜[5]の処理により達成する。
[1]炉心性能計算によりチャンネルボックスの各面における高速中性子照射量または燃焼度を積算し、チャンネルボックスの対向する面における照射成長量を各面の高速中性子照射量または燃焼度の関数として計算し、チャンネルボックスの変形量を対向する面における照射成長量の差から計算する。
[2]着目集合体と隣接集合体におけるチャンネルボックス変形を考慮して、集合体平均核定数、燃料棒局所出力、中性子検出器位置熱中性子束、制御棒位置熱中性子束等の集合体核特性を計算する。
[3]チャンネルボックス変形量より上記の集合体核特性の変化を計算するには、以下のようなマルチ集合体詳細計算モデルまたは中性子拡散モデルに基づく。
(a)マルチ集合体詳細2次元計算モデル。
着目集合体と隣接集合体に対するマルチ集合体詳細2次元計算により、予め集合体平均核定数、燃料棒出力分布、燃料棒R因子分布などの集合体核特性変化量を直接、着目集合体の各面の水ギャップ幅の変形量のテーブルとして準備する。ここで、マルチ集合体詳細2次元計算とは集合体を小数体(通常4〜16体)組み合わせて炉心の一部分を模擬した系に対して、各集合体の非均質性をそのまま考慮した詳細計算を行うことにより、着目集合体に対する隣接集合体の影響を詳細に評価する方法である。
(b)単一集合体中性子束不連続因子拡散モデル。
チャンネルボックス変形量から集合体中性子束不連続因子の変化量を計算し、これより各集合体を均質化したノードに対して均質拡散モデルに基づいて集合体内熱中性子束分布を求め、この熱中性子束分布より核特性変化量を評価する。ここで、集合体不連続因子は、無限格子体系において、集合体の各面の平均中性子束の集合体平均中性子束に対する比として定義される。集合体中性子束不連続因子の変化量は予めチャンネルボックス変形量のテーブルとして、単一集合体詳細計算により準備する。また、均質拡散モデルとしては、多群ノード法、修正1群ノード法等を用いることができる。
(c)単一集合体中性子束不連続因子境界摂動モデル。
集合体中性子束不連続因子を用いた均質拡散ノード法に基づいて各集合体を均質化したノード境界の中性子束と中性子流を求める。
無限格子体系において評価された、集合体境界での中性子束と中性子流の変化に対する集合体核特性の変化を感度係数として使用し、上記のノード境界の中性子束および中性子流から集合体核特性変化を計算する。
均質拡散モデルとしては、多群ノード法、修正1群ノード法、修正1群差分法等を用いることができる。
(d)解析的拡散モデル。
チャンネルボックス変形量から、水ギャップと燃料領域をそれぞれ均質化した2領域拡散モデルの解析解に基づいて集合体内熱中性子束分布の変化を求め、この熱中性子束分布より核特性変化量を評価する。
[4]チャンネルボックス変形を考慮した限界出力比計算では、集合体内のR因子変化を直接求める他に、燃料棒出力変化からも計算することができる。
[5]チャンネルボックス変形に伴う燃焼履歴効果を、チャンネルボックス変形に伴う集合体内の燃焼度分布および熱中性子束の高速中性子束に対する比の燃焼度平均値として定義されるスペクトル履歴分布を用いて補正する。
このように、この第2の実施の形態では、炉心性能計算によりチャンネルボックスの各面における高速中性子照射量あるいは燃焼度を積算するので、中性子照射によるチャンネルボックス変形量を予測評価して、チャンネルボックス変形を考慮した炉心核特性を計算することが可能となる。
さらに、チャンネルボックス変形を考慮した炉心核特性の計算は、着目集合体と隣接集合体のチャンネルボックス変形量から、マルチ集合体詳細計算により準備したテーブルや拡散モデルに基づき計算し、またチャンネルボックス変形の履歴効果も考慮するから、核特性の変化を精度良く計算できる。
また、従来は無視されていた、炉心の臨界固有値や炉内出力分布、炉内中性子検出器の計数値と検出器照射量、制御棒照射量等へのチャンネルボックス変形の影響も考慮できる。
図6は、本発明の第2の実施の形態を示すブロック構成図である。炉内出力分布計算手段19は炉心の状態データを入力して、炉内の中性子束分布と炉心固有値を拡散モデルに基づき計算するものである。拡散モデルとしては、例えば前述したJ.Wooly の文献に示されるような修正1群差分モデルや、K.Smithの文献に示されるような多群ノード法モデル等を用いる。炉内出力分布は中性子束分布を基に計算され、集合体断面平均出力が計算される。
チャンネルボックス照射量計算手段20では、この中性子束分布を基に、集合体のチャンネルボックスの各面における高速中性子照射量を計算する。ここで、面nにおける高速中性子束Ψnは、多群拡散ノード法ではあらわに計算され、また修正1群差分モデルでは着目集合体と周辺の集合体のノード平均中性子束を多項式を用いて内外挿することにより計算できる。これにより高速中性子照射量φは、高速中性子束を時間積分することにより(12)式のように計算できる。ここで、dtは時間幅である。

チャンネルボックス変形量計算手段21では、各面の高速中性子照射量を用いて、中性子照射によるチャンネルボックスの変形量を照射成長モデルを用いて評価する。評価方法としては、チャンネルボックスの対向する面における軸方向の照射成長量から計算できる。
チャンネルボックス変形量計算方法では、対向する2面A、Bにおける照射成長量の差に伴い、チャンネルボックスの軸方向の曲がりが一様な曲率を持つとしてチャンネルボックス変形量を解析的に計算する。すなわち、図7に示されるように、チャンネルボックスの面A、Bの軸方向平均の高速中性子照射量をそれぞれφA、φBとし、チャンネルボックスの軸(Z)方向の曲がりの曲率は、曲がりが小さいとして、下記の(13)式で示される。そして、軸方向高さZでの曲がり量は(13)式を積分して、(14)式のように示される。従って、上下端を固定した場合の曲がり量は(15)式で表される。また、照射成長関数は(16)式および(17)式のように示される。この関数形の一例を図8に示す。

ここで、a、b、c、d、eはフィッティング係数である。本係数は実験式から求めることができる。また本係数は、チャンネル製造時の残留応力の開放によるランダムな曲がり、ジルカロイの照射成長のばらつき等に依存する誤差を補正するために、過去におけるチャンネルボックス変形量の実測値を用いて決定してもよい。
チャンネルボックス変形量の計算方法としては、上記(15)式の解析的手法とは別に有限要素法に基づく手法もある。図9に示すように、チャンネルを軸方向ノードに分割し、各ノードi毎にチャンネルの向かい合う両A、Bの照射成長後の長さlAi、lBiを求める。このノードを軸方向に積み重ねた後、チャンネルのA面またはB面の上下端を結ぶ直線と各ノード間の距離を曲がり量δiとして求めることができる。
なお、照射成長を引き起こす高速中性子はエネルギ1MeV以上の中性子であり、炉心性能計算で与えられる全高速中性子とは必ずしも一致しない。そこで、高速中性子照射量計算に用いる高速中性子の全高速中性子に占める割合fを、下記の(18)式のように、燃焼度Eとボイド率Vのテーブルとして計算することができる。

また、この第2の実施の形態では、高速中性子照射量と燃焼度が一対一で対応することを用いた照射成長モデルを用いて炉心性能計算装置を構成する。この場合、図1のチャンネルボックス照射量計算手段20に代えて、燃焼度分布計算手段を設ける。
次に、燃焼度分布計算手段における集合体のチャンネルボックスの各面における燃焼度の計算方法について説明する。ここで、面nにおける燃焼度Enは、多群拡散ノード法ではノード内出力分布があらわに計算されることから、チャンネルボックス位置における出力密度を時間積分することにより計算される。また修正1群差分モデルでは着目集合体および周辺の集合体のノード平均燃焼度を多項式を用いて内外挿することにより計算できる。
燃焼度を用いたモデルでは、中性子照射によるチャンネルボックスの照射成長歪み量を各面の燃焼度Eの関数として、例えば次の(19)式および(20)式のように計算することができる。

ここで、a、b、c、d、eはフィッティング係数である。本係数は実験式から求めることができる。また本係数は、チャンネル製造時の不確定さ等に依存する誤差を補正するために、過去におけるチャンネルボックス変形量の実測値を用いて決定してもよい。図10にε(E)の関数形の一例を示す。
次に、炉内出力分布再計算手段22では、上述のようにしてチャンネルボックス変形量計算手段21により評価したチャンネルボックス変形量を用いて、チャンネルボックス変形効果を補正した集合体核定数および中性子束不連続因子を計算し、これを用いて、炉心の臨界固有値、炉内出力分布、燃料集合体断面平均出力分布を再計算する。
綿出力密度計算手段23では、炉心の熱的制限値として、チャンネルボックス変形効果を補正した燃料棒局所出力分布により与えられる集合体の最大局所出力ピーキング係数と炉心内出力分布計算による集合体断面平均出力を用いて、各燃料集合体断面の最大線出力密度を計算する。なお、チャンネルボックス変形効果を補正した燃料棒局所出力分布の中から集合体の最大局所出力ピーキング係数を求めるかわりに、精度は低下するが、集合体の最大局所出力ピーキング係数に対して直接にチャンネルボックス変形効果を補正してもよい。
また、限界出力比計算手段24では、チャンネルボックス変形を考慮した燃料棒R因子分布の中から求めた集合体最大R因子と、集合体平均出力を用いて、各燃料集合体の燃料棒の焼損の監視指標である限界出力比を計算する。なお、燃料棒R因子分布は前述の燃料棒局所出力分布から計算することも可能である。また、チャンネルボックス変形効果を補正した燃料棒R因子分布の中から集合体の最大R因子を求める代わりに、精度は低下するが、集合体の最大R因子に対して直接にチャンネルボックス変形効果を補正してもよい。
これらの線出力密度、限界出力比等の計算においては、計算に用いる燃料集合体平均出力として、チャンネルボックス変形量を補正した核定数を用いて再計算された燃料集合体平均出力を用いることにより精度を向上することができる。
次に、炉内中性子束計測器計数値計算手段25では、チャンネルボックス変形を考慮した炉内中性子計測器位置における熱中性子束を用いて、炉内中性子検出器計数値と照射量とを計算する。
炉内中性子束検出器として可動型炉内中性子束検出器(TIP)の場合の計数の計算法の一例が前述のWoolyの文献に記載されている。また、検出器照射量は炉内中性子計測器位置における熱中性子束の時間積分で与えられる。
図6には示されていないが、チャンネル変形を補正した炉内中性子検出器計数値の計算値の実測値に対する誤差を、前記Tuikiの文献の手法等に基づいて学習することにより、炉内出力分布計算値を補正することもできる。また、制御棒照射量計算手段26では、チャンネルボックス変形効果を補正した制御棒位置熱中性子束の時間積分により制御棒照射量を計算する。
次に、チャンネルボックス変形効果を補正した集合体平均核定数、集合体不連続因子、燃料棒局所出力、燃料棒R因子、中性子計測器位置における熱中性子束等を計算する3つの異なる手法について詳細に説明する。
(a)マルチ集合体詳細2次元計算モデル。
まず、手法1として、着目集合体および隣接集合体のチャンネルボックス変形量に対する集合体平均核定数、燃料棒局所出力、燃料棒R因子、中性子計測器位置における熱中性子束等の核特性変化をテーブルまたはフィッティング式として準備しておき、チャンネルボックス変形効果を補正した燃料集合体内の核特性変化を直接的に計算する。着目集合体および隣接集合体のチャンネルボックス変形量に対する着目集合体の特性量の変化のテーブルまたはフィッティング式は、マルチ集合体2次元詳細計算により評価する。
ここで、マルチ集合体詳細2次元計算とは集合体を小数体(通常4〜16体)組み合わせて炉心の一部分を模擬した系に対して、各集合体の非均質性をそのまま考慮した詳細計算を行うことにより、着目集合体に対する隣接集合体の影響を詳細に評価する方法である。
このテーブルないしフィッティング式は着目集合体の各面の変形量のみならず、隣接する集合体の隣接面の変形量の関数であり、一般には多変量の組み合わせに対する複雑な関数である。これに対して、特許文献4のものでは、単に燃料集合体の位置ずれ量から計算するとのみ記述されており、評価方法が全く明確ではない。本手法では、この関数を着目集合体のチャンネルボックス各面に対する水ギャップ幅のテーブルとして整理する。このテーブルも、各面の水ギャップ幅に対する多変量関数(4変量関数)となるが、比較的簡単な参照法としては例えば次のような方法が考えられる。
まず、第1ステップとして、着目集合体に隣接する集合体のチャンネルボックス変形が無いと仮定し、着目集合体のチャンネルボックス2bだけが変形した場合を考える。図11に示すように、着目集合体のチャンネルボックス2bのx方向左側における水ギャップ変形量δxl(i)とx方向右側における水ギャップ変形量δxr(i)の大きさが等しく(絶対値が等しく符号が反対)δxであるとする。同様に、着目集合体チャンネルボックス2bのy方向上側における水ギャップ変形量δyt(i)とy方向下側における水ギャップ変形量δybの大きさが等しくδyであるとする。チャンネルボックスの変形による集合体核特性変化をv(δx,δy)の形式の2次元テーブルないしフィッティング式として整理し、また参照する。
次に第2ステップとして、着目集合体に隣接する集合体チャンネルボックスの隣接面の変形による水ギャップ幅の変化による影響を考慮し補正する。図11では変形後のチャンネルボックスの位置を点線で示している。この場合、例えば着目集合体チャンネルボックス2bのx方向左側における水ギャップ変形量δxlは、着目集合体チャンネルボックス2bの左面と左側隣接集合体チャンネルボックス2aの右面の変形量δxr(i−1)との和となる。x方向右側における水ギャップ変形量δxrについても同様である。
両隣の集合体チャンネルボックスの変形量は一般に異なるから、両隣の集合体チャンネルボックスの変形を考慮に入れると、δxl(i)≠δxr(i)となる。ここで、dx=δxl−δxrとする。y方向も同様に、dy=δyt−δybとする。そこで、前記テーブルはまず、v(δxl、δyt)として参照し、これに対する補正量をw(dx,dy)として整理し、また参照する。最終的に核特性変化はv+wで与えられる。
図12に、δx=δyおよびδy=0の場合の集合体最大局所ピーキング係数のδxに対する関数形の一例を示している。また、図13に、dx=dyおよびdy=0の場合の集合体最大局所ピーキング係数の補正量のdxに対する関数形の一例を示す。
(b)単一集合体中性子束不連続因子拡散モデル。
次に、手法2について説明する。この手法2では、着目集合体および隣接集合体のチャンネルボックス変形量から集合体中性子束不連続因子の変化量を計算し、各集合体を均質化した系に対して、中性子束不連続因子を用いた拡散ノード法により集合体内中性子束分布を求め、この中性子束分布より集合体核特性変化量を評価する。ここで、集合体中性子束不連続因子は、無限格子体系において、集合体の各面の平均中性子束の集合体平均中性子束に対する比として定義される。
不連続因子を用いた多群拡散ノード法計算法については、前述のように、文献"Assembly Homogenization Techniques for Light Water Reactor Analysis,"K.S.Smith,Progress in Nuclear Energy,vol.17,p303,1986に記載されている。また、ノード法計算により得られる中性子束分布を用いて、集合体内の局所出力分布を計算する方法の一例は、"SIMULATE‐3 Pin Power Reconstruction Methodology and Benchmarking,"K.R.Rempe et.al,Proceedings of International Reactor Physics Conference,III-19,Jackson Hole,1988 に記載されている。
チャンネルボックスが変形すると水ギャップ幅変化により集合体内中性子束分布が変化するため、集合体中性子不連続因子も変化する。上記K.Smithの文献に示されるように、中性子束不連続因子は、拡散ノード法において、集合体をそれぞれ均質化したノードの境界における中性子束に対する境界条件を与える。すなわち、例えば着目集合体nと隣接集合体mのx方向境界において、中性子束に対する(2)式の境界条件を与える。ここで、(2)式において、fは境界面の中性子束不連続因子、Ψは境界面における中性子束を表す。
着目集合体と隣接集合体が無限格子体系において同じ格子タイプであれば、中性子不連続因子も等しく、上記の境界条件は単に中性子束の連続性を表すにすぎない。しかし、チャンネルボックス変形により、隣接する集合体間の隣接面における中性子不連続因子fが異なると、上記の境界条件に基づいてノード境界に中性子の仮想ソースが生じるため、集合体不連続因子の違いからチャンネルボックス変形による集合体内の中性子束分布の変化が計算できる。多群拡散ノード法では、中性子束不連続因子を用いた熱中性子束に対する全炉心計算により、ノード平均熱中性子束および、ノード境界熱中性子束が与えられる。
次に、ノード平均中性子束、ノード境界中性子束等を用いて、均質化した集合体内の中性子束分布を展開計算することができる。一例として、前記K.Rempeの文献では、均質化した集合体ノード内の熱中性子束Ψ2の2次元分布を(3)式の形式で展開している。ここで、(3)式において、Ψ1は高速中性子束であり、ciは展開係数、fiはsinh、cosh関数である。
均質化された集合体内の熱中性子束分布が求まれば、これに無限格子計算で得られた非均質な中性子束分布を合成することにより、集合体内の非均質熱中性子束分布が計算できる。非均質中性子束分布の関数である集合体平均核定数や、燃料棒局所出力分布はこれより直ちに計算できる。燃料棒R因子分布は燃料棒局所出力分布より計算できる。
集合体の各面におけるチャンネルボックス変形量に対する集合体中性子束不連続因子の変化量は、予め単一集合体詳細計算(無限格子計算)によりチャンネルボックス変形量のテーブルとして準備する。熱中性子束に対する集合体不連続因子の水ギャップ幅変化δxに対する関数形の一例を図14に示す。
本手法の計算精度を示す例として、チャンネルボックス変形の局所出力分布への影響を示した図21と同様に、着目集合体のチャンネルボックスがx,y方向に2mmづつ変形し、隣接集合体には変形が無いとした場合、すなわちδx=δy=2mmの場合の、集合体内局所出力分布を本手法により計算し、マルチ集合体詳細計算による参照解と比較した結果は、図5に示す場合と同様になる。燃料棒局所出力計算法は前記K.Rempeの文献に記載されているものと基本的に同様の手法を用いたが、熱中性子束分布の変化に対して前述の集合体の非均質性の補正を加えた。参照計算によれば、チャンネルボックス変形により集合体最大局所ピーキング係数は約10%変化しているが本手法はこれを良く再現している。
この手法では、チャンネルボックス変形量から集合体中性子束不連続因子の変化量のテーブルを準備する際にマルチ集合体詳細計算が不要であること、また着目集合体および隣接集合体のチャンネルボックス変形量から集合体核特性の変化を計算する際には、燃料集合体の各面の中性子束不連続因子を着目集合体のチャンネルボックス各面の変形量のみの関数として独立に計算すればよい。このように、手法2は手法1に比べて、テーブルが各面の変位量の組み合わせによらず、テーブルの準備や参照が簡単であるという利点がある。
拡散モデルとして、修正1群拡散モデルに基づく方法では、全炉心計算においては高速中性子束分布のみを解く。熱中性子束は炉心計算で得られた高速中性子束と、無限格子体系における「熱中性子束と高速中性子束の比(スペクトルインデクス)」を用いて計算する。隣接集合体間でスペクトルインデクスが異なると、熱中性子の空間移動が生じるが、これによる熱中性子束の無限格子からの変化は、着目集合体と隣接集合体をそれぞれ均質化したノードからなる系に対して、拡散モデルを適用することにより計算される。修正1群ノード法では、この系の拡散方程式を解析的に解くことによりノード内の均質熱中性子束を求める。この方法の詳細は例えば文献"Verification of LOGOS Nodal Methodwith Heterogeneous Burnup Calculations for a BWR core,"T.lwamoto et al.,Transaction of American Nuclear Society,vol.71,p251,1994に記載されている。
修正1群法においても、チャンネルボックス変形による熱中性子束変化は、着目集合体と隣接集合体をそれぞれ均質化したノードからなる系において、熱中性子束に対する境界条件に中性子束不連続因子を用いることで、前述の多群ノード法におけると同じ原理で計算できる。なお、熱中性子束および熱中性子流は、拡散方程式を解く代わりに、よく知られているように経験的荷重因子を用いて、隣接するノードのスペクトルインデクスから計算することもできる。
(c)単一集合体中性子束不連続因子境界摂動モデル。
中性子束不連続因子を用いる他の方法としては、境界摂動法と組み合わせたものを用いる。この手法では水ギャップ幅の違いによる集合体不連続因子の差を利用して、集合体境界における中性子束および中性子流を求め、この境界値の無限格子からの変化とそれに対する集合体核特性の感度係数を用いて、集合体核特性の変化を計算する。これは、前述のように、中性子束不連続因子を用いた拡散ノード法は、集合体境界における中性子束および中性子流については精度が良いことに着目したものである。
境界摂動法に基づき、集合体境界における摂動量として「中性子流/中性子束」を用いて集合体内局所ピーキングを計算する例が、文献"A Boundary Condition Ferturbation Method for Prediction of Pin Power Distribution in LightWater Reactors,"F.Rahnema et a1.,Proceedings of Topical Meeting on Reactor Physics and Shielding・Chicago,1984に記載されている。
この手法では、例えば、燃料棒(x,y)に対する集合体内局所出力LPF(x,y)は、前述の(8)式より計算する。(8)式での感度係数Fは、予め境界条件を変化させた単一集合体詳細計算あるいはマルチ集合体詳細計算により準備しておく。
しかし、前記Rahnemaの文献においては、拡散理論に基づいて境界面での中性子流/中性子束を求める際に、集合体中性子束不連続因子が用いられていないため、オフセットバンドル隣接の場合のように水ギャップ近傍での局所的な中性子束分布変化による中性子流/中性子束の変化を計算することができない。
本発明では、ノード境界値rは前述の拡散ノード法の様に、着目集合体と隣接集合体をそれぞれ均質化したノードからなる系に対して、中性子束不連続因子を用いて多群の拡散ノード法を適用して求めることができる。あるいは、修正1群差分法においてはノード境界熱中性子束は、経験的荷重因子を用いて隣接するノードのスペクトルインデクスと中性子束不連続因子から計算してもよい。この場合、ノードmとノードnの境界の熱中性子束Ψ2nは、前述の(9)式で示される。
前述の(8)式は集合体局所出力に関する境界摂動法による補正計算法を示すものであるが、他の集合体核特性量の補正計算も、それぞれの核特性量の中性子流/中性子束に対する感度係数を用い、同様な方法で計算することができる。
(d)解析的拡散モデル。
次に、手法3について説明する。この手法3は、手法2で拡散ノード法を用いて集合体内の熱中性子束を求めるかわりに、着目集合体および隣接集合体のチャンネルボックス変形量から拡散方程式に対する解析的モデルに基づいて集合体内の熱中性子束分布の変化を求め、この熱中性子束分布より、核特性変化量を評価するものである。この手法3では、例えば水ギャップおよびチャンネルボックス内部の燃料領域をそれぞれ均質化した2領域の1次元体系について、水ギャップ幅を与えた時の中性子束分布を解析的に計算する。
このとき、x方向1次元拡散モデルによる水ギャップ変化による燃料領域の熱中性子束変化の解析式は、前述の(1)式で与えられる。(1)式において、xは集合体境界からの距離、κは熱中性予拡散距離の逆数、aは水ギャップ変化幅である。集合体内熱中性子束分布の変化は、x方向およびy方向の1次元分布の積δΨ(x)δΨ(y)により近似できる。この手法3は、解析モデルに基づくため予めテーブルの準備をしておく必要がないという利点がある。
集合体が位置ずれしたまま燃焼が進むと、水ギャップ幅変化による集合体内の中性子スペクトル変化の履歴効果や燃焼度分布の履歴効果が蓄積され、瞬時的に集合体が位置ずれした場合の効果との差が生じる。中性子スペクトル(熱中性子束の高速中性子束に対する比)が無限体系から変化することにより、ウランの燃焼遅れやプルトニウムの蓄積の増加が生じる現象はスペクトル履歴効果とよばれる。また、集合体内の燃焼度分布によりウランの燃焼遅れ等が生じる効果を片燃え効果と呼ぶ。これらの効果は一般的に瞬時効果を相殺する方向に働くため、熱的制限値計算において過度のマージンをとらないためには、これらの効果を適切に考慮する必要がある。
チャンネルボックス変形量は集合体の燃焼とともに増加し、チャンネル変形によるスペクトル変化も燃焼とともに変化する。このため、チャンネル変形の燃焼履歴効果を、マルチ集合体による詳細燃焼計算では評価する場合には、燃焼ステップ毎に変形量を変化させればよいが、計算の複雑さが増加する。
これを避けるためには、マルチ集合体計算では瞬時効果のみを評価し、スペクトル履歴効果および片燃え効果については、炉心性能計算で補正する方法がある。不連続因子を用いた拡散ノード法の場合も、チャンネル変形効果は瞬時的効果としてしか計算できないから、スペクトル履歴効果および片燃え効果については、炉心性能計算で補正する。
炉心性能計算において、異なる中性子スペクトルを持つ燃料集合体が隣接した際のスペクトル干渉によるスペクトル履歴効果を補正する方法としては、例えば、特願平6−210243号「原子炉の炉心性能計算方法および装置」に記載されているように、炉心内での中性子スペクトルと無限格子体系でのスペクトルの比の燃焼度平均値であるスペクトル履歴をパラメータとして補正する手法がある。
そこで、本発明では、この手法をチャンネルボックス変形によるスペクトル履歴効果に応用し、チャンネルボックスの変形効果を補正した燃料集合体内における燃焼度分布およびスペクトル履歴分布を計算し、チャンネル変形の燃焼履歴効果による集合体平均核定数、燃料棒局所出力分布等の補正量を計算する。例えば燃料棒局所出力については、集合体内の燃料棒位置(x,y)におけるスペクトル履歴SH(x,y)を、前述の(10)式で表す。(10)式において、Eは燃焼度、Ψ2、Ψ1はそれぞれチャンネルボックス変形を考慮して計算された位置(x,y)での熱中性子束、高速中性子束であり、また∞は無限格子体系での値を示す。スペクトル履歴を考慮した局所出力分布LPFの補正は、熱群核分裂断面積Σに対するスペクトル履歴補正係数(∂Σ/∂SH)を用いることにより、前述の(11)式で与えられる。
同様に、チャンネル変形による熱中性子束分布変化によりノード内に燃焼度分布が生じることによる履歴効果についても、前記文献に示されるように、燃焼度に関する感度係数を用いて補正することができる。
本発明の第1の実施の形態を示すブロック構成図。 D格子バンドルとオフセットバンドルとの組み合わせパターンを示す説明図。 オフセットバンドル隣接体系における局所ピーキング係数の燃焼度依存性の一例を示す特性図。 チャンネルボックスのオフセット量と集合体中性子束不連続因子の関係を示す特性図。 本発明の第1の実施の形態による局所出力分布計算の効果を示す説明図。 本発明の第2の実施の形態を示すブロック構成図。 照射成長によるチャンネルボックスの軸方向の曲がり量の評価モデルを示した説明図。 高速中性子照射による照射成長関数の一例を示す特性図。 照射成長によるチャンネルボックスの軸方向の曲がり量を有限要素法で求める場合の説明図。 燃焼度による照射成長関数の一例を示す特性図。 本発明の第2の実施の形態におけるチャンネル変形量と水ギャップ変形量との関係を示す説明図。 着目集合体の水ギャップ幅変形量(δx=δyおよびδy=0の場合)に対する最大燃料棒局所出力の変化例を示す特性図。 隣接集合体の水ギャップ幅変形量(dx=dyおよびdy=0の場合)に対する最大燃料棒局所出力の変化例を示す特性図。 着目集合体の水ギャップ幅変形量に対する集合体中性子束不連続因子の変化例を示す特性図。 沸騰水型原子炉の燃料集合体の一部切欠き斜視図。 沸騰水型原子炉の燃料集合体における水ギャップの位置関係の説明図。 D格子バンドルの説明図。 制御棒まわりの2体がオフセットバンドルに置き換えられた状態を示す説明図。 オフセットバンドル隣接による集合体内局所出力分布の変化の一例を示した説明図。 高速中性子照射によるチャンネルボックスの軸方向の曲がりを示した説明図。 チャンネルボックスの変形による水ギャップの位置関係を示した説明図。
符号の説明
1 燃料集合体
2 チャンネルボックス
3 燃料棒
4 水ギャップ
5 制御棒
6 計装管
11 集合体平均核定数計算手段
12 炉内出力分布計算手段
13 局所出力分布計算手段
14 線出力計算手段
15 限界出力比計算手段
16 炉内中性子束計測器計数値計算手段
17 炉内出力分布補正手段
18 制御棒照射量計算手段
19 炉内出力分布計算手段
20 チャンネルボックス照射量計算手段
21 チャンネルボックス変形量計算手段
22 炉内出力分布再計算手段
23 線出力密度計算手段
24 限界出力比計算手段
25 炉内中性子束計測器計数値計算手段
26 制御棒照射量計算手段

Claims (8)

  1. 沸騰水型原子炉の炉心性能計算において、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒局所出力の感度係数を用いて補正した無限格子燃料棒局所出力により集合体の線出力密度を計算する線出力密度計算手段とを有することを特徴とする炉心性能計算装置。
  2. 沸騰水型原子炉の炉心性能計算において、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒局所出力の感度係数を用いて補正した無限格子燃料棒局所出力により集合体の線出力密度を計算する線出力密度計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記線出力密度計算手段による燃料棒局所出力を用いて計算される燃料棒R因子より燃料集合体の限界出力比を計算する限界出力比計算手段とを有することを特徴とする炉心性能計算装置。
  3. 沸騰水型原子炉の炉心性能計算において、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する燃料棒R因子の感度係数を用いて補正した無限格子R因子により集合体の限界出力比を計算する限界出力比計算手段とを有することを特徴とする炉心性能計算装置。
  4. 沸騰水型原子炉の炉心性能計算において、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する炉内計測器位置中性子束の感度係数を用いて補正した無限格子計測器位置中性子束より炉内中性子束計測器計数および照射量を計算する炉内中性子束計測器計数値計算手段とを有することを特徴とする炉心性能計算装置。
  5. 沸騰水型原子炉の炉心性能計算において、ノード平均核定数を用いて拡散モデルに基づき、炉心の臨界固有値、中性子束分布、出力分布を計算する炉内出力分布計算手段と、中性子束不連続因子を用いた拡散理論算に基づいて、各集合体を均質化したノード境界面の中性子束および中性子流を計算するノード境界値計算手段と、前記炉内出力分布計算手段により計算された集合体断面平均出力および前記ノード境界値計算手段による集合体境界各面の中性子束および中性子流に対する制御棒位置中性子束の感度係数を用いて補正した無限格子制御棒位置中性子束より制御棒照射量を計算する制御棒照射量計算手段とを有することを特徴とする炉心性能計算装置。
  6. 前記炉内出力分布計算手段は、修正1群拡散計算により高速中性子束分布を計算し、得られた高速中性子束と無限格子計算における熱中性子束の高速中性子束に対する比であるスペクトルインデクスを用いて、熱中性子束および熱中性子流を計算するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の炉心性能計算装置。
  7. D格子バンドルとオフセットバンドルとの隣接効果を補正した炉内中性子束計測器計数値の計算値を、炉内中性子束計測器の実測値に適合させることにより、炉内出力分布計算値を補正する炉内出力分布補正手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の炉心性能計算装置。
  8. 燃料集合体内の燃焼度分布および熱中性子束の高速中性子束に対する比の燃焼度平均値であるスペクトル履歴分布を用いて、D格子バンドルとオフセットバンドルとの隣接に伴う履歴効果による集合体核定数、燃料棒局所出力分布、燃料棒R因子分布の補正量を計算するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の炉心性能計算装置。
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