JP2003314353A - 失火検出装置 - Google Patents

失火検出装置

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JP2003314353A JP2002124179A JP2002124179A JP2003314353A JP 2003314353 A JP2003314353 A JP 2003314353A JP 2002124179 A JP2002124179 A JP 2002124179A JP 2002124179 A JP2002124179 A JP 2002124179A JP 2003314353 A JP2003314353 A JP 2003314353A
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靖 坂倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多重放電により混合気への着火を行う内燃機
関において失火を検出するにあたり、イオン電流を検出
することなく失火検出を行う失火検出装置を提供する。 【解決手段】 失火検出装置1では、火花放電発生回数
検出回路35が、I−V変換回路30が出力する電圧値
に基づき火花放電を検出し、火花放電の発生時間を積算
した火花放電積算時間をECU19に対して出力する。
ECU19で実行される失火検出処理では、火花放電積
算時間を遮断時間Tcで除算して火花放電発生回数を算
出し、火花放電発生回数と失火判定基準値とを比較し
て、正常燃焼であるか失火であるかを判定する処理を行
う。このため、失火検出装置1は、火花放電が終了した
後にイオン電流を検出する処理を行うことなく失火判定
ができ、多重放電を行う内燃機関での失火検出の検出精
度が低下を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火プラグに発生
させる複数回の火花放電により混合気への着火を行う多
重放電型点火手段を備える内燃機関において、失火を検
出する失火検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車エンジン等に使用され
る内燃機関としては、点火コイルに発生させた誘導電圧
を印加して、点火プラグの電極間に火花放電を発生さ
せ、この火花放電により混合気への着火を行う構成の内
燃機関が知られている。
【0003】しかし、点火プラグの電極間で正常に火花
放電が発生しない場合には、混合気への着火が行われず
失火に至るため、内燃機関を正常に運転することができ
ない。また、点火プラグの電極間に火花放電が発生した
場合であっても、混合気への着火が正常に行われない場
合には失火となり、内燃機関を正常に運転できなくな
る。
【0004】そのため、内燃機関を正常に運転するに
は、失火を早期に発見して、点火時期や空燃比などの制
御パラメータを失火を抑える値に設定することが望まし
い。そして、失火を検出するための方法としては、例え
ば、イオン電流を用いた方法が知られている。つまり、
内燃機関において、点火プラグによる火花放電により混
合気が燃焼すると、その燃焼に伴ってイオンが発生する
ことから、点火プラグの火花放電後にその点火プラグの
電極間に火花放電が発生しない程度の電圧を印加した場
合には、イオン電流が流れる。このため、正常燃焼した
場合と失火した場合とでは、イオンの発生量が異なりイ
オン電流値に差が生じることから、このイオン電流を検
出し、解析処理を行うことによって、失火を検出するこ
とができる。すなわち、イオン電流が流れる場合には正
常燃焼と判定し、イオン電流が流れない場合には失火と
判断することができる。
【0005】一方、誘導電圧を発生する点火コイルとし
て容量の小さい点火コイルを用いる場合には、火花放電
持続時間が短くなり、混合気への着火性能が低下するこ
とがある。この問題に対して、1燃焼サイクル中に一次
電流の通電・遮断を繰り返す動作を行い、複数回の火花
放電を発生させることで、着火性能の低下を防止する手
法が提案されている。
【0006】つまり、容量の小さい点火コイルを備える
内燃機関は、火花放電を複数回発生させて(多重放電を
発生させて)、見かけ上の火花放電持続時間を長くする
ことで、容量の大きい点火コイルと同等の着火性能を実
現することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、多重放電によ
り混合気への着火を行う構成の内燃機関は、1燃焼サイ
クル中に1回の火花放電を継続的に発生させる場合と同
等の火花放電エネルギで混合気への着火を行うために
は、多重放電の発生期間(見かけ上の火花放電持続時
間)を、1燃焼サイクル中に1回の火花放電を継続的に
発生させる場合の火花放電持続時間よりも長く設定する
必要がある。
【0008】そして、多重放電の発生期間が長くなる
と、内燃機関の運転状態によっては、多重放電発生期間
とイオン電流検出時間とが重複することがある。特に、
内燃機関の回転速度が高回転になると、多重放電発生期
間とイオン電流検出時間との重複が発生しやすくなる。
【0009】このように多重放電発生期間とイオン電流
検出時間とが重複すると、火花放電により流れる二次電
流(放電電流)による影響を受けるため、イオン電流の
みを検出することができず、失火検出を実行できなくな
る。また、多重放電発生期間終了後にイオン電流を検出
して失火検出を行ったとしても、多重放電発生期間を長
く設定した場合に、例えば、高回転時において、多重放
電発生期間の後半に向かうほどイオンが無くなる傾向が
あると考えられるので、多重放電終了後にイオン電流検
出用電圧を点火プラグに印加して失火検出を行ったとし
ても、イオン電流による失火検出が行えないことがあ
る。
【0010】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
のであり、多重放電により混合気への着火を行う内燃機
関において失火を検出するにあたり、イオン電流を検出
することなく失火検出を行う失火検出装置を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1記載の発明は、一次巻線および二
次巻線を有し、一次巻線に流れる一次電流を遮断するこ
とで二次巻線に誘導電圧を発生する点火コイルと、二次
巻線と共に閉ループを形成するとともに、誘導電圧が印
加されることにより、自身の電極間に火花放電を発生す
る点火プラグと、点火コイルの一次巻線に流れる一次電
流の通電・遮断を行う点火用スイッチング手段と、を備
え、点火プラグの点火時期に生じる火花放電中に、点火
用スイッチング手段を用いて一次電流を通電・遮断する
繰り返し動作を開始し、繰り返し動作により複数回にわ
たり二次巻線に誘導電圧を発生させることにより、火花
放電を複数回発生させる多重放電型点火手段を備える失
火検出装置であって、点火プラグの電極間に発生した火
花放電発生回数を検出する火花放電発生回数検出手段
と、火花放電発生回数検出手段にて検出した火花放電発
生回数と、正常燃焼時の火花放電発生回数と失火時の火
花放電発生回数との境界値に設定された失火判定基準値
とを比較することにより、正常燃焼または失火と判断す
る失火判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】多重放電を行う場合、火花放電を繰り返す
ことに伴い点火コイルの蓄積エネルギが消費されること
から、多重放電の発生期間のうち後半になるほど点火コ
イルの蓄積エネルギが少なくなり、二次巻線に発生する
誘導電圧が低下する傾向がある。また、点火プラグの電
極間に火花放電を発生させるために必要な要求電圧は、
電極間の状態によって変化しており、例えば、電極間に
イオンが多く存在する場合には要求電圧は低くなり、電
極間にイオンが存在しない場合には要求電圧は高くな
る。
【0013】これらのことから、正常燃焼した場合には
要求電圧が低下するため、多重放電発生時期の後半にお
いても火花放電が発生し易くなり、失火した場合には要
求電圧が上昇するため、多重放電発生時期の後半におい
ては火花放電が発生し難くなる。つまり、1燃焼サイク
ル中において同一回数の誘導電圧を発生させた場合であ
っても、正常燃焼時と失火時とでは、点火プラグで実際
に火花放電が発生する回数に差が生じることになる。こ
のため、実際に発生した火花放電発生回数に基づいて失
火判定を行うことが可能となる。
【0014】そして、本発明(請求項1)の失火検出装
置は、火花放電発生回数検出手段と失火判定手段とを備
え、検出した火花放電発生回数と失火判定基準値とを比
較して、正常燃焼または失火と判断する失火判定を行う
よう構成されている。なお、失火判定基準値は、正常燃
焼時の火花放電発生回数と失火時の火花放電発生回数と
の境界値に設定されている。
【0015】つまり、この失火検出装置は、実際に発生
した火花放電発生回数を検出し、検出した火花放電発生
回数に基づいて失火判定を行うよう構成されていること
から、火花放電が終了した後にイオン電流を検出する処
理を行うことなく、失火判定を行うことができる。
【0016】よって、本発明(請求項1)の失火検出装
置によれば、多重放電型点火手段を備える内燃機関にお
いてイオン電流を用いることなく失火検出することがで
き、多重放電により混合気への燃焼を行う内燃機関での
失火検出の検出精度が低下するのを防ぐことができる。
【0017】なお、火花放電発生回数検出手段における
火花放電発生回数の検出方法としては、例えば、燃焼室
内における点火プラグの電極間を観察可能に設置された
光センサを用い、火花放電が発する光の検出の有無に基
づいて実際に発生した火花放電を検出して、火花放電発
生回数を検出する方法を採ることができる。つまり、光
センサを備える火花放電発生回数検出手段は、光を検出
した場合には実際に火花放電が発生したと判断し、光を
検出しない場合には火花放電が発生していないと判断す
ることで、火花放電発生回数を検出するのである。
【0018】しかし、光センサを用いた構成では、光セ
ンサの設置スペースをシリンダヘッド等に設ける必要が
あるため内燃機関の構造が複雑になるという問題があ
り、また、光センサの設置スペースの加工作業が必要と
なるため製造コストが高くなるという問題がある。
【0019】そこで、上述(請求項1)の失火検出装置
は、請求項2に記載のように、点火プラグの電極間に流
れる火花放電電流を検出する電流検出手段を備え、火花
放電発生回数検出手段が、電流検出手段により検出され
る火花放電電流の通電回数に基づいて火花放電発生回数
を検出するよう構成すると良い。
【0020】つまり、火花放電が発生する場合には点火
プラグの電極間に電流(火花放電電流)が流れるが、火
花放電が発生しない場合には点火プラグの電極間に電流
が流れることはない。このため、点火プラグの電極間に
火花放電電流が流れたか否かを検出することで、その検
出結果に基づいて実際に点火プラグの電極間に火花放電
が発生したか否かを判断することができ、火花放電発生
回数を検出することが可能となる。
【0021】また、点火プラグの電極間に流れる火花放
電電流は、点火プラグおよび二次巻線を含んで形成され
る通電経路(閉ループ)上であれば、どの位置でも検出
できるため、シリンダヘッドを加工することなく火花放
電電流を検出することが可能となる。
【0022】よって、本発明(請求項2)の失火検出装
置によれば、内燃機関の構造を複雑化することなく、火
花放電発生回数を検出することができるため、製造コス
トの上昇を抑えつつ、失火判定を行うことが可能とな
る。なお、電流検出手段は、例えば、抵抗素子を用いて
構成することができ、具体的には、点火プラグおよび二
次巻線を含んで形成される通電経路に抵抗素子からなる
検出用抵抗を直列接続して、検出用抵抗の両端電圧に基
づいて火花放電電流を検出することができる。
【0023】しかし、検出用抵抗の挿入位置によって
は、誘導電圧の発生時における検出用抵抗への印加電圧
が高電圧となる場合があり、検出用抵抗や検出用抵抗の
両端電圧を検出するための電圧検出装置が、誘導電圧に
よる高電圧の印加によって破損する虞がある。なお、こ
の問題に対しては、検出用抵抗や電圧検出装置として許
容耐電圧が高い検出用抵抗や電圧検出装置を用いること
で、誘導電圧の印加による破損を防止することはできる
が、許容耐電圧が高い検出用抵抗などは高価であり、コ
ストが高くなるという問題が生じてしまう。
【0024】そこで、上述(請求項2)の失火検出装置
においては、請求項3に記載のように、電流検出手段
が、二次巻線の端部のうち点火プラグとの接続端とは反
対側の端部からグランドに至る通電経路に直列接続され
る検出用抵抗を備えて、検出用抵抗の両端電圧に基づい
て火花放電電流を検出するとよい。
【0025】つまり、二次巻線は、一般に、一方の端部
が基準電位となるグランドに接続され、他方の端部が点
火プラグに接続されており、誘導電圧の発生時におい
て、点火プラグに接続される端部から、グランド電位と
の電位差が大きい誘導電圧(点火用電圧)を出力するよ
う構成されている。
【0026】このため、検出用抵抗を、点火プラグとの
接続端とは反対側となる二次巻線の端部からグランドに
至る通電経路に直列接続した場合には、誘導電圧の発生
時に検出用抵抗に印加される電圧値は高電圧にはなら
ず、また、検出用抵抗の両端電圧を検出する電圧検出装
置への印加電圧が高電圧となるのを防止できる。
【0027】よって、本発明(請求項3)の失火検出装
置によれば、誘導電圧による高電圧の印加により検出用
抵抗などが破損するのを防止できるため、安定した失火
検出を継続することができる。また、許容耐電圧が高く
設定された高価な検出用抵抗や電圧検出装置を用いる必
要がないため、失火検出装置のコストの上昇を防ぐこと
ができる。
【0028】ところで、検出用抵抗を通電経路に直列接
続するに際しては、誘導電圧の発生時における検出用抵
抗での電圧降下を抑制して、点火プラグの電極間に印加
される電圧値の低下割合を小さく抑えることが望まし
い。そこで、検出用抵抗を備える上述(請求項3)の失
火検出装置は、請求項4に記載のように、検出用抵抗
が、二次巻線の抵抗値の100分の1以下の抵抗値とな
る抵抗素子を用いて構成されていると良い。
【0029】このような低い抵抗値の検出用抵抗であれ
ば、誘導電圧の発生時における検出用抵抗での電圧降下
が小さくなり、点火プラグの電極間に印加される電圧の
低下割合を小さく抑えることができる。よって、本発明
(請求項4)の失火検出装置によれば、誘導電圧の発生
時における点火プラグの電極間への印加電圧の低下を抑
制でき、火花放電として使用可能なエネルギ量の低下を
抑制できるため、混合気への着火性が劣化するのを防止
することができる。
【0030】次に、点火プラグを通過する通電経路に
は、ノイズにより電流(ノイズ電流)が発生する場合が
あり、通電経路における電流の発生回数を検出して火花
放電発生回数を検出する構成の火花放電発生回数検出手
段を用いる場合には、ノイズ電流を誤って火花放電電流
として検出する虞がある。このため、ノイズ電流の影響
により火花放電発生回数の検出精度が低下して、失火検
出の検出精度が低下する虞がある。
【0031】そこで、上述(請求項3または請求項4)
の失火検出装置は、請求項5に記載のように、繰り返し
動作期間において、一次電流の遮断時から通電時までの
期間である遮断時間はそれぞれ一定期間であって、火花
放電発生回数検出手段が、火花放電電流の通電時間を積
算して火花放電積算時間を検出し、繰り返し動作におけ
る複数回の火花放電のうち1回あたりの一次電流の遮断
時間で火花放電積算時間を除算することにより火花放電
発生回数を検出するように構成すると良い。
【0032】なお、一次電流の通電・遮断の繰り返し動
作による多重放電を行う場合には、一次電流の遮断時間
に火花放電が発生することになるため、一次電流の遮断
時間は火花放電持続時間に略等しくなる。そして、繰り
返し動作期間において、一次電流の遮断時間は、一定期
間になるため、火花放電積算時間は、理論上、繰り返し
動作における複数回の火花放電のうち1回あたりの火花
放電持続時間に火花放電発生回数を乗算した値になる。
【0033】このことから、検出した火花放電積算時間
を1回あたりの一次電流の遮断時間で除算することで火
花放電発生回数を算出することができる。また、ノイズ
電流は継続的に発生することは少なく、瞬時的に発生す
ることが多いことから、点火プラグを含む通電経路を流
れる電流の通電時間を積算した火花放電積算時間は、瞬
時的なノイズ電流が発生した場合であっても値が大きく
変化することはない。
【0034】これらのことから、検出した火花放電積算
時間を1回あたりの一次電流の遮断時間で除算して得ら
れる値は、火花放電発生回数に略等しい値となる。つま
り、通電経路における電流の発生回数を検出して火花放
電発生回数を検出する場合に比べて、検出した火花放電
積算時間を1回あたりの一次電流の遮断時間で除算して
火花放電発生回数を検出する場合の方が、ノイズの影響
を抑えて火花放電発生回数を検出することができる。
【0035】よって、本発明(請求項5)の失火検出装
置によれば、火花放電発生回数を検出する際のノイズの
影響を抑えることができ、火花放電発生回数を用いた失
火判定における失火判定精度の低下を防ぐことができ
る。なお、火花放電発生回数検出手段は、検出用抵抗を
用いて火花放電発生回数を検出する場合には、例えば、
検出用抵抗の両端電圧が通電判定用基準電圧値以上とな
る超過回数を検出し、検出した超過回数に基づいて火花
放電発生回数を検出することができる。このとき、通電
判定用基準電圧値は、火花放電電流の通電有無を判定で
きるように、非通電時の検出用抵抗の両端電圧値(一般
に0[V])よりも高電圧となる電圧値に設定されてい
る。
【0036】しかし、検出用抵抗の両端電圧が、ノイズ
等の影響により上昇して通電判定用基準電圧値を上回る
と、誤って火花放電が発生したと判定してしまい、火花
放電発生回数の検出精度が低下する虞があり、そのた
め、失火検出の検出精度が低下する虞がある。
【0037】そこで、電流検出手段を検出用抵抗を用い
て構成する場合には、火花放電発生回数検出手段が、検
出用抵抗の両端電圧と通電判定用基準電圧値とを比較し
て、検出用抵抗の両端電圧が通電判定用基準電圧値以上
となる時間を積算した火花放電積算時間を検出し、繰り
返し動作における複数回の火花放電のうち1回あたりの
一次電流の遮断時間で火花放電積算時間を除算すること
により火花放電発生回数を検出するように構成すると良
い。
【0038】つまり、ノイズによる検出用抵抗の両端電
圧の上昇は、継続的に発生することは少なく、瞬時的に
発生することが多いことから、検出用抵抗の両端電圧が
通電判定用基準電圧値以上となる時間を積算した火花放
電積算時間は、瞬時的なノイズが発生した場合であって
も値が大きく変化することはない。
【0039】このため、検出した火花放電積算時間を1
回あたりの一次電流の遮断時間で除算して得られる値
は、火花放電発生回数に略等しい値となる。つまり、上
述した超過回数を検出して火花放電発生回数を検出する
場合に比べて、検出した火花放電積算時間を1回あたり
の一次電流の遮断時間で除算して火花放電発生回数を検
出する場合の方が、ノイズの影響を抑えて火花放電発生
回数を検出することができる。
【0040】よって、このように構成した失火検出装置
によれば、電流検出手段が検出用抵抗を用いて構成され
る場合であっても、ノイズによる検出用抵抗の両端電圧
の変動によって火花放電発生回数の検出精度の低下を抑
えることができ、火花放電発生回数を用いた失火判定に
おける失火判定精度の低下を防ぐことができる。
【0041】ところで、内燃機関は、エンジン回転速度
やエンジン負荷などの運転状態が変化すると混合気への
着火性が変化することから、1燃焼サイクルにおける多
重放電の回数(すなわち、見かけ上の火花放電積算時
間)を内燃機関の運転状態に応じて適切な値に設定する
ことで、内燃機関を安定して運転することが可能とな
る。このため、多重放電を行う内燃機関においては、例
えば、内燃機関の回転速度が高回転になるほど誘導電圧
の発生回数(多重放電回数)を減少させ、また、内燃機
関の回転速度が低回転になるほど誘導電圧の発生回数
(多重放電回数)を増加させるように、内燃機関の運転
状態に応じて多重放電回数を設定する多重放電型点火手
段を備えた内燃機関がある。
【0042】このように、運転状態に応じて誘導電圧の
発生回数を変化させる内燃機関においては、運転状態の
変化により正常燃焼時の火花放電発生回数と失火時の火
花放電発生回数との境界値が変化するため、失火判定基
準値が固定値である場合には、運転状態の変化により境
界値が大きく変動すると、失火検出の検出精度が低下す
る虞がある。
【0043】そこで、上述(請求項1から請求項5のい
ずれか)の失火検出装置は、内燃機関が運転状態に応じ
て誘導電圧の発生回数を設定するよう構成されている場
合には、請求項6に記載のように、内燃機関の運転状態
に応じて失火判定基準値を設定する判定基準値設定手段
を備えるとよい。
【0044】つまり、誘導電圧の発生回数だけでなく、
失火判定基準値についても、内燃機関の運転状態に応じ
て値を変更することで、失火判定基準値を失火判定に適
した値に設定するのである。例えば、誘導電圧の発生回
数がより小さい値に設定される内燃機関の運転状態にな
るほど失火判定基準値を小さい値に設定し、また、誘導
電圧の発生回数がより大きい値に設定される内燃機関の
運転状態になるほど失火判定基準値を大きい値に設定す
るとよい。
【0045】これにより、内燃機関の運転状態が変化し
て誘導電圧の発生回数が変化した場合であっても、失火
判定基準値が失火判定に適した値に設定されることか
ら、火花放電発生回数に基づいて失火判定を行うことが
可能となる。よって、本発明(請求項6)の失火検出装
置によれば、内燃機関の運転状態に応じて誘導電圧の発
生回数が設定される内燃機関においても、失火検出の検
出精度が低下するのを防止することができる。
【0046】また、1燃焼サイクル中における繰り返し
動作によって発生するそれぞれの火花放電持続時間を内
燃機関の運転状態に応じて適切な値に設定することで、
内燃機関を安定して運転することも可能となる。この場
合も、上述と同様に内燃機関の運転状態に応じて失火判
定基準値を設定する判定基準値設定手段を備えると良
い。
【0047】つまり、内燃機関の運転状態が変化して1
燃焼サイクルごとの火花放電持続時間が変化した場合で
も、上述と同様に失火判定基準値に適した値に設定され
ることから、火花放電発生回数に基づいて失火判定を行
うことが可能である。ただし、この場合、1燃焼サイク
ル中における繰り返し動作によって発生する火花放電1
回あたりの火花放電持続時間は、一定期間とする。
【0048】次に、多重放電の発生期間のうち後半にな
るほど点火コイルの蓄積エネルギが少なくなることか
ら、正常燃焼時と失火時とのそれぞれにおける火花放電
の発生有無の差異は、多重放電の発生時期の後半になる
ほど明確となる。また、多重放電発生期間のうち初回の
誘導電圧の発生時期については、それ以前に火花放電は
発生しておらず、正常燃焼か失火かの違いが要求電圧に
反映されることはない。
【0049】そこで、上述(請求項1から請求項6のい
ずれか)の失火検出装置は、請求項7に記載のように、
火花放電発生回数検出手段が、火花放電発生回数の検出
期間を設定するための検出期間設定手段を備え、検出期
間設定手段が、複数回の誘導電圧の発生時期のうち最後
の発生時期を含み、複数回の誘導電圧の発生時期のうち
最初の発生時期を含まない期間において、最後の発生時
期から少なくとも2回の誘導電圧の発生時期を含むよう
に、火花放電発生回数の検出期間を設定するとよい。
【0050】つまり、少なくとも、正常燃焼時と失火時
とのそれぞれにおける火花放電の発生有無の差異が明確
となる最後の誘導電圧の発生時期を含み、正常燃焼か失
火かの違いが要求電圧に反映されない最初の誘導電圧の
発生時期を含まないように、火花放電発生回数の検出期
間を設定するのである。これにより、火花放電発生回数
の検出結果に対して、正常燃焼であるか失火であるかの
差異がより大きく反映されることになる。
【0051】また、火花放電発生回数の検出期間に含ま
れる誘導電圧の発生回数が少なすぎると失火検出の検出
精度が低下することから、本失火検出装置では、最後の
発生時期から少なくとも2回の誘導電圧の発生時期を含
むように火花放電発生回数の検出期間を設定すること
で、失火検出の検出精度の低下を防止している。
【0052】よって、本発明(請求項7)の失火検出装
置によれば、火花放電発生回数の検出期間を設定するこ
とで、正常燃焼であるか失火であるかの差異がより大き
く反映された火花放電発生回数を検出することができ、
火花放電発生回数に基づく失火検出の検出精度を向上さ
せることができる。
【0053】上記目的を達成するために別になされた請
求項8の発明は、一次巻線および二次巻線を有し、一次
巻線に流れる一次電流を遮断することで二次巻線に誘導
電圧を発生する点火コイルと、二次巻線と共に閉ループ
を形成するとともに、誘導電圧が印加されることによ
り、自身の電極間に火花放電を発生する点火プラグと、
点火コイルの一次巻線に流れる一次電流の通電・遮断を
行う点火用スイッチング手段と、を備え、点火プラグの
点火時期に生じる火花放電中に、点火用スイッチング手
段を用いて一次電流を通電・遮断する繰り返し動作を開
始し、繰り返し動作により複数回にわたり二次巻線に誘
導電圧を発生させることにより、火花放電を複数回発生
させる多重放電型点火手段を備える失火検出装置であっ
て、点火プラグの電極間に流れる火花放電電流を検出す
る電流検出手段と、1回あたりの火花放電に対して、電
流検出手段により検出される火花放電電流の通電時間を
検出する火花電流通電時間検出手段と、火花電流通電時
間検出手段にて検出した通電時間を1燃焼サイクル分積
算した火花放電積算時間と、正常燃焼時の火花放電積算
時間と失火時の火花放電積算時間との境界値に設定され
た失火判定基準時間とを比較することにより、正常燃焼
または失火と判断する失火判定手段と、を備えたことを
特徴とする。
【0054】多重放電の発生期間のうち後半になるほど
二次巻線に発生する誘導電圧が低下する傾向があり、ま
た、点火プラグの電極間に火花放電を発生するために必
要な要求電圧は、例えば、電極間にイオンが多く存在す
る場合には要求電圧は低くなり、電極間にイオンが存在
しない場合には要求電圧は高くなる。
【0055】つまり、正常燃焼した場合には要求電圧が
低下するため多重放電発生時期の後半においても火花放
電が発生し易くなり、失火した場合には要求電圧が上昇
するため多重放電発生期間の後半においては火花放電が
発生し難くなる。つまり、1燃焼サイクル中において同
一期間の誘導電圧を発生させた場合でもあっても、正常
時と失火時とでは、点火プラグで実際に火花放電が発生
する期間に差が生じることになる。
【0056】よって、本発明(請求項8)の失火検出装
置は、1回あたりの火花放電に対して、電流検出手段に
より検出される前記火花放電電流の通電時間を検出し、
検出した通電時間を1燃焼サイクル分積算した火花放電
積算時間に基づいて失火判定を行うように構成されてい
ることから、火花放電が終了した後にイオン電流を検出
する処理を行うことなく、失火判定を行うことができ
る。
【0057】そして、上述(請求項1から請求項8のい
ずれか)の失火検出装置は、請求項9に記載のように、
点火コイルが、米国自動車技術会規格SAE J973
に基づく測定により点火プラグの火花放電持続時間が
0.7[mSec]以上1.3[mSec]以下の電源
条件を満たすよう構成され、多重放電型点火手段が、繰
り返し動作として、一次電流の通電・遮断の繰り返し周
期に対する一次電流通電時間の占める割合が30%以上
70%以下で、繰り返し周期が200[μSec]以下
となる繰り返し動作を実行するよう構成された内燃機関
において、失火検出を行うよう構成するとよい。
【0058】上記の電源条件を満たす点火コイルは、比
較的容量が小さく1回の火花放電で持続可能な火花放電
持続時間が短いことから、多重放電を実行して見かけ上
の火花放電継続時間を長くすることで、長い火花放電持
続時間が必要となる運転状態においても混合気への着火
が可能となるように使用されることが多い。
【0059】そして、多重放電を行う場合、点火コイル
の蓄積エネルギは、多重放電の開始前までに通電される
一次電流によって蓄積されるが、誘導電圧の発生を繰り
返すことで減少するため、多重放電の発生期間中に通電
される一次電流を用いて点火コイルにエネルギを補充す
ることが望ましい。
【0060】そのため、一次電流の通電・遮断の繰り返
し周期に対する一次電流通電時間の占める割合を30%
以上に設定することで、点火コイルの蓄積エネルギが不
足するのを防ぐことができる。このようにして誘導電圧
の低下を防ぐことで、多重放電の発生期間の前半におい
て、正常燃焼時であるにも拘わらず火花放電が発生しな
くなるのを防止するのである。つまり、多重放電の発生
期間の前半において、正常燃焼時には確実に火花放電が
発生するように、点火コイルにエネルギを蓄積するので
ある。
【0061】一方、多重放電の発生期間中に通電される
一次電流により補充されるエネルギが過剰になると、多
重放電の発生期間の後半において、失火時であるにも拘
わらず、火花放電が発生してしまう虞がある。そのた
め、一次電流の通電・遮断の繰り返し周期に対する一次
電流通電時間の占める割合を70%以下に設定すること
で、点火コイルの蓄積エネルギが過剰となるのを防ぎ、
多重放電の発生期間の後半において、失火時であるにも
拘わらず、火花放電が発生してしまうのを防止するので
ある。つまり、多重放電の発生期間の後半において、正
常燃焼時には火花放電が発生するように、失火時には火
花放電が発生しないように、点火コイルにエネルギを蓄
積するのである。
【0062】このように、一次電流の通電・遮断の繰り
返し周期に対する一次電流通電時間の占める割合を設定
することで、正常燃焼時および失火時のそれぞれの火花
放電発生回数に差異が生じやすくなる。さらに、繰り返
し周期が200[μSec]以下となるように繰り返し
動作を実行することで、1燃焼サイクルにおいて発生可
能な火花放電の回数が過度に少なくなるのを防止するこ
とができる。これにより、1燃焼サイクルに含まれる誘
導電圧の発生回数が不足するのを防止でき、火花放電発
生回数に基づく失火検出の検出精度が低下するのを防止
できる。
【0063】よって、本発明(請求項9)の失火検出装
置によれば、正常燃焼時と失火時との火花放電発生回数
に差が生じ易くなり、また、誘導電圧の発生回数が不足
しないことから、失火検出の検出精度を向上させること
ができる。
【0064】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。まず、多重放電を行う内燃機関に備えら
れる実施例の失火検出装置の構成を表す電気回路図を図
1に示す。なお、本実施例では、1気筒分について説明
を行うが、本発明は複数の気筒を備える内燃機関につい
ても適用でき、各気筒毎の失火検出装置の基本構成は同
様である。
【0065】図1に示すように、本実施例の失火検出装
置1は、定電圧(例えば電圧12[V])を出力する電
源装置11(以下、バッテリ11ともいう)と、中心電
極25および接地電極27を有して内燃機関の気筒に設
けられた点火プラグ13と、一次巻線21および二次巻
線23を有して誘導電圧を発生する点火コイル15と、
一次巻線21と直列接続されたnpn型パワートランジ
スタから成るイグナイタ17と、イグナイタ17を駆動
制御するための第1指令信号37を出力する電子制御装
置19(以下、ECU19ともいう)と、二次巻線23
に直列接続される検出抵抗31を備える電流電圧変換回
路30(以下、I−V変換回路30ともいう)と、I−
V変換回路30が出力する変換電圧信号32(検出抵抗
31の両端電圧)に基づき火花放電発生回数を検出する
火花放電発生回数検出回路35と、を備えて構成されて
いる。
【0066】これらのうち、イグナイタ17は、点火コ
イル15の一次巻線21への通電・遮断を切り替えるた
めに、ECU19からの第1指令信号37に基づいてス
イッチング駆動される半導体素子からなるスイッチング
素子であり、本実施例の内燃機関に備えられる点火装置
は、フルトランジスタ型点火装置である。また、この点
火装置は、後述するように、1燃焼サイクル中に複数回
の火花放電を発生するよう構成されていることから、本
実施例の内燃機関に備えられる点火装置は、多重放電型
点火装置でもある。
【0067】また、ECU19は、第1指令信号37の
他に検出タイミング信号40などの指令信号を出力可能
に構成されており、また、火花放電積算時間信号46な
どの外部信号を入力可能に構成されている。そして、一
次巻線21は、一端が電源装置11の正極に接続され、
他端がイグナイタ17のコレクタに接続されている。ま
た、二次巻線23は、一端がI−V変換回路30(検出
抵抗31)を介して電源装置11の負極と同電位のグラ
ンドに接続され、他端が点火プラグ13の中心電極25
に接続されており、二次巻線23の抵抗値は15[k
Ω]である。
【0068】また、I−V変換回路30は、検出抵抗3
1の両端電圧を変換電圧信号32として変換電圧出力端
子から出力可能に構成されており、検出抵抗31の端部
のうち二次巻線23と接続される端部が変換電圧出力端
子に接続されている。そして、I−V変換回路30の変
換電圧出力端子は、火花放電発生回数検出回路35の入
力端子に接続されている。なお、火花放電発生回数検出
回路35の構成については後述する。
【0069】さらに、点火プラグ13において、接地電
極27は、一端が中心電極25と対向して火花放電を発
生させる火花放電ギャップを形成すると共に、他端が電
源装置11の負極と同電位のグランドに接地されてお
り、イグナイタ17は、ベースがECU19の第1指令
信号37の出力端子に接続され、エミッタが電源装置1
1の負極と同電位のグランドに接地されている。
【0070】そして、ECU19から出力される第1指
令信号37がローレベル(一般にグランド電位)である
場合には、ベース電流18が流れずイグナイタ17はオ
フ状態(遮断状態)となり、イグナイタ17によって一
次巻線21に電流(一次電流22)が流れることはな
い。また、ECU19から出力される第1指令信号37
がハイレベル(一般に、定電圧電源装置が出力する電源
電圧Vcc(例えば、5[V]))である場合には、ベ
ース電流18が流れてイグナイタ17はオン状態(通電
状態)となり、イグナイタ17によって一次巻線21に
電流(一次電流22)が流れる。
【0071】このため、第1指令信号37がハイレベル
であり一次巻線21に一次電流22が流れている状態
で、第1指令信号37がローレベルになると、イグナイ
タ17がオフ状態となり、一次巻線21への一次電流2
2の通電が停止される。すると、点火コイル15におけ
る磁束密度が急激に変化して、二次巻線23に誘導電圧
(点火用電圧)が発生し、この誘導電圧が点火プラグ1
3に印加されることで、点火プラグ13の電極25−2
7間に火花放電が発生する。
【0072】なお、点火コイル15は、通電中の一次巻
線21の遮断により、二次巻線23の端部のうち点火プ
ラグ13の中心電極25に接続される端部にグランド電
位よりも低い負極性の誘導電圧(点火用電圧)を発生す
るように構成されており、この誘導電圧の印加により点
火プラグの電極25−27間に火花放電が発生する。ま
た、点火コイル15は、米国自動車技術会規格SAE
J973に基づく測定により点火プラグの火花放電持続
時間が0.7[mSec]以上1.3[mSec]以下
の電源条件を満たすよう構成されている。
【0073】そして、火花放電に伴い二次巻線23に流
れる二次電流24(以下、火花放電電流24ともいう)
は、点火プラグ13の中心電極25から二次巻線23,
I−V変換回路30(検出抵抗31)を通り、グランド
を介して点火プラグ13の接地電極27に流れる。
【0074】このとき、I−V変換回路30における検
出抵抗31の両端には、火花放電電流24の電流値に応
じた電圧値が発生し、この電圧値は火花放電発生回数検
出回路35に対して出力される。つまり、I−V変換回
路30は、火花放電電流24の電流値を電圧値に変換し
て火花放電発生回数検出回路35に対して出力するよう
構成されている。なお、検出抵抗31は、抵抗値が50
[Ω]の抵抗素子で構成されている。
【0075】次に、火花放電発生回数検出回路35につ
いて説明する。図1に示すように、火花放電発生回数検
出回路35は、I−V変換回路30が出力する変換電圧
信号32に基づき火花放電の発生有無を判定し、判定結
果に応じて判定結果信号44を出力する火花放電検出回
路41と、火花放電検出回路41が出力する判定結果信
号44のハイレベル出力時間を積算する時間積算回路4
7と、を備えて構成されている。
【0076】そして、火花放電検出回路41は、判定用
比較器43と判定基準電源装置45とを備えており、判
定基準電源装置45は、非通電時の検出用抵抗の両端電
圧値(一般に0[V])よりも高電圧である通電判定用
基準電圧値Voを出力している。なお、本実施例では、
通電判定用基準電圧値Voは、火花放電電流が5[m
A]となるときの検出抵抗31の両端電圧値と等しい値
に設定されている。
【0077】また、判定用比較器43は、I−V変換回
路30が出力する変換電圧信号32(検出抵抗31の両
端電圧値)と、判定基準電源装置45が出力する通電判
定用基準電圧値Voとをそれぞれ入力するための入力端
子を備えている。そして、判定用比較器43は、検出抵
抗31の両端電圧値が通電判定用基準電圧値Vo以上と
なると出力信号をハイレベル出力し、検出抵抗31の両
端電圧値が通電判定用基準電圧値Voよりも低くなると
出力信号をローレベル出力するよう構成されている。な
お、判定用比較器43の出力信号は、判定結果信号44
として火花放電検出回路41から時間積算回路47に対
して出力される。
【0078】つまり、火花放電検出回路41は、火花放
電の検出時には判定結果信号44をハイレベル出力し、
火花放電の非検出時には判定結果信号44をローレベル
出力するよう構成されている。また、時間積算回路47
は、ECU19からの検出タイミング信号40を入力す
るための入力端子を備えており、検出タイミング信号4
0に基づき火花放電発生回数の検出期間を判断する。そ
して、時間積算回路47は、火花放電発生回数の検出期
間において、火花放電検出回路41が判定結果信号44
をハイレベル出力する時間を積算し、その積算値である
火花放電積算時間を内部に蓄積する。なお、ECU19
は、火花放電発生回数の検出期間になると検出タイミン
グ信号40をハイレベル出力し、火花放電発生回数の検
出期間以外には検出タイミング信号40をローレベル出
力するよう構成されている。
【0079】そして、時間積算回路47は、火花放電積
算時間を表す火花放電積算時間信号46を、ECU19
に対して出力する。つまり、火花放電発生回数検出回路
35は、I−V変換回路30が出力する電圧値に基づき
火花放電を検出し、火花放電の発生時間を積算した火花
放電積算時間を検出し、火花放電積算時間を表す火花放
電積算時間信号46をECU19に対して出力するよう
に構成されている。
【0080】なお、時間積算回路47は、リセット信号
を入力するための入力端子(図1では図示省略)を備え
ており、リセット信号が入力されると蓄積した火花放電
積算時間をリセットする処理を行う。次に、ECU19
において実行される失火検出処理について、図2に示す
フローチャートを用いて説明すると共に、失火検出処理
の実行時における失火検出装置1の各部の状態につい
て、図3に示すタイムチャートを用いて説明する。
【0081】なお、ECU19は、内燃機関の火花放電
発生時期(点火時期)、燃料噴射量、アイドル回転数等
を総合的に制御するためのものであり、以下に説明する
失火検出処理のほかに、別途、内燃機関の吸入空気量
(吸気管圧力),回転速度(エンジン回転数)、スロッ
トル開度、冷却水温、吸気温等、機関各部の運転状態を
検出する運転状態検出処理等を実行している。
【0082】また、ECU19は、失火検出処理におい
て設定される火花放電発生回数の検出期間Tnに基づい
て、時間積算回路47に対して検出タイミング信号40
を出力する検出タイミング制御処理を、失火検出処理と
並行して実行する。なお、検出タイミング制御処理で
は、火花放電発生回数の検出期間Tnの開始時期から終
了時期にかけて検出タイミング信号40をハイレベル出
力する処理を行うことにより、時間積算回路47に対し
て検出期間Tnを通知する。また、検出タイミング制御
処理は、処理開始直後に時間積算回路47に対してリセ
ット信号を送信することで、時間積算回路47に蓄積さ
れている火花放電積算時間をリセットする処理を行う。
【0083】そして、図2に示す失火検出処理は、例え
ば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出するクラ
ンク角センサからの信号に基づき、内燃機関が吸気,圧
縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実
行されており、点火制御のための処理も実行している。
また、失火検出処理と並行して実行される検出タイミン
グ制御処理についても、失火検出処理と同タイミング
で、1燃焼サイクルに1回の割合で実行される。
【0084】なお、図3は、正常燃焼時(着火時)およ
び失火時のそれぞれについて、図1に示す回路図におけ
る第1指令信号37、点火プラグ13の中心電極25の
電位、検出抵抗31の両端電圧(火花放電電流)、判定
用比較器43が出力する判定結果信号44、の各状態を
表すタイムチャートである。また、図3においては、正
常燃焼および失火の判断基準となる燃焼圧力についても
記載しており、燃焼圧力が大きい値となる左側のタイム
チャートが正常燃焼時(着火時)の波形であり、燃焼圧
力が小さい値となる右側のタイムチャートが失火時の波
形である。
【0085】そして、内燃機関が始動されて失火検出処
理が開始されると、まずS110(Sはステップを表
す)では、別途実行される運転状態検出処理にて検出さ
れた内燃機関の運転状態を読込む処理を行う。なお、S
110での処理では、内燃機関のエンジン回転速度と、
スロットル開度や吸気管負圧(吸入空気量)等を用いて
算出されるエンジン負荷とを含む運転状態を読み込む処
理を行う。
【0086】次に、S120では、S110で読み込ん
だ運転状態に基づき、初回火花放電発生時期ts(所
謂、点火時期)、誘導電圧発生回数sn、火花放電発生
回数の検出期間Tn、各火花放電の火花放電持続時間T
t、多重放電の火花放電間隔Tbなどの各種パラメータ
の設定を行う。
【0087】なお、S120での処理では、初回火花放
電発生時期tsについては、エンジン回転速度とエンジ
ン負荷とをパラメータとするマップ若しくは計算式を用
いて制御基準値を求め、これを冷却水温,吸気温等に基
づき補正する、といった従来から知られている手順で設
定される。
【0088】また、誘導電圧発生回数snは、エンジン
回転速度とエンジン負荷を含む運転状態に基づいて、予
め用意されたマップ若しくは計算式を用いて設定され
る。なお、このとき用いるマップもしくは計算式は、エ
ンジン回転速度が高速(高回転)になるほど誘導電圧発
生回数snを減少させ、エンジン回転速度が低速(低回
転)になるほど誘導電圧発生回数snを増加させるよう
に構成されている。
【0089】さらに、火花放電発生回数の検出期間Tn
は、エンジン回転速度とエンジン負荷を含む運転状態に
基づいて、予め用意されたマップ若しくは計算式を用い
て設定される。なお、このとき用いるマップもしくは計
算式は、複数回の誘導電圧の発生時期のうち最後の発生
時期を含み、複数回の誘導電圧の発生時期のうち最初の
発生時期を含まない期間において、最後の発生時期から
少なくとも2回の誘導電圧の発生時期を含むように、火
花放電発生回数の検出期間を設定するよう構成されてい
る。そして、設定された検出期間Tnは、検出タイミン
グ制御処理での処理に使用される。
【0090】また、各火花放電の火花放電持続時間T
t、火花放電間隔Tbは、例えば、内燃機関の回転速度
と機関負荷を表すスロットル開度とに基づいて、予め設
定されたマップ若しくは計算式を用いて設定される。な
お、この時用いるマップもしくは計算式は、例えば、混
合気を燃焼させるのに必要な火花エネルギが大きい運転
条件下(内燃機関の低負荷低回転時等)には、各火花放
電の火花放電持続時間Ttが長く、火花放電間隔Tbが
短くなるように、また、火花エネルギが小さくてよい運
転条件下(内燃機関の高負荷高回転時等)には、各火花
放電の火花放電持続時間Ttが短く、火花放電間隔Tb
が長くなるように構成されている。また、火花放電間隔
Tbは、換言すれば一次電流の通電・遮断の繰り返し周
期であり、このとき用いるマップもしくは計算式は、火
花放電間隔Tbが200[μSec]以下に設定される
よう構成されている。さらに、マップもしくは計算式
は、火花放電間隔Tbに占める火花放電持続時間Ttの
割合が30%以上70%以下に設定されるよう構成され
ている。
【0091】また、一次電流の通電・遮断の繰り返し周
期に対する一次電流通電時間の占める割合は、火花放電
間隔Tbから火花放電持続時間Ttを差し引いた時間で
あり、火花放電間隔Tbに占める火花放電持続時間Tt
の割合が30%以上70%以下に設定されることから、
火花放電間隔Tbに占める一次電流通電時間の割合は、
70%以下30%以上、つまり30%以上70%以下と
なる。
【0092】次に、S130では、誘導電圧発生回数を
カウントするためのカウンタiを初期化するため、カウ
ンタiに1を設定する。続くS140では、S120に
て設定した初回火花放電発生時期tsに基づき、初回火
花放電発生時期tsに対して予め設定された初回放電用
通電時間だけ早い一次巻線21の初回放電用通電開始時
期を求め、初回放電用通電開始時期に達した時点(図3
に示す時刻t1)で、第1指令信号37をローレベルか
らハイレベルに変化させる。なお、初回放電用通電時間
は、一次巻線21への通電によって点火コイル15に蓄
積されるエネルギが、内燃機関のあらゆる運転条件下で
混合気への着火が可能な火花放電を発生することができ
るエネルギ量となるように、予め設定されている。
【0093】そして、S140の処理により、図3に示
す時刻t1にて、第1指令信号37がローレベルからハ
イレベルに切り替わり、イグナイタ17がオン状態(通
電状態)になると、点火コイル15の一次巻線21に電
流(一次電流22)が流れ始め、これに伴う磁束密度の
変化により二次巻線23の両端に誘導電圧が発生する。
しかし、このとき発生する誘導電圧の電圧値は低いこと
から、点火プラグ13における火花放電は発生しない。
【0094】そして、続くS150では、クランク角セ
ンサからの検出信号に基づき、初回の火花放電の時(カ
ウンタi=1の時)には、S120で設定した初回火花
放電発生時期tsに達したか否かを判断し、否定判定さ
れた場合には、同ステップを繰り返し実行することで、
初回火花放電発生時期tsになるまで待機する。S15
0にて、初回火花放電発生時期tsに達したと判断され
ると(図3に示す時刻t2)、S160に移行する。
【0095】また、S150では、2回目以降(カウン
タi≧2の時)の火花放電発生時期についても判断して
おり、2回目以降の火花放電では、前回の火花放電発生
時期からS120で設定した火花放電間隔Tbが経過し
た時刻を火花放電発生時期とし、この火花放電発生時期
に達したか否かを判断する。そして、否定判定された場
合には、同ステップを繰り返し実行することで、火花放
電発生時期になるまで待機する。そして、S150に
て、火花放電発生時期に達したと判断されると、S16
0に移行する。
【0096】次にS160では、第1指令信号37をハ
イからローレベルに反転させる。この結果、イグナイタ
17がターンオフして、一次電流22が遮断され、点火
コイル15の二次巻線23に誘導電圧(点火用電圧)が
発生して、点火プラグ13に火花放電が発生する。
【0097】そして、次のS170では、火花放電が、
S120で設定した誘導電圧発生回数snに等しい回数
実施されたかを、カウンタiが誘導電圧発生回数snに
達したか否かによって判断しており、肯定判定されると
S210に移行し、否定判定されるとS180に移行す
る。
【0098】S180では、カウンタiをインクリメン
ト(i=i+1)する処理を行う。例えば、S180に
移行する前のカウンタiの値が1(i=1)であれば、
S180では、カウンタiを2(i=2)とする。続く
S190では、S150にて火花放電発生時期と判定さ
れた時点から、S120で求めた火花放電持続時間Tt
が経過したか否かを判断し、否定判定された場合には、
同ステップを繰り返し実行することで、火花放電持続時
間Ttが経過するまで待機する。そして、S190に
て、火花放電持続時間Ttが経過したと判断されると
(図3に示す時刻t3)、S200に移行して、第1指
令信号37をローからハイレベルに反転する。この結
果、イグナイタ17がターンオンして、一次電流22が
再通電され、点火コイル15の二次巻線23に発生して
いた誘導電圧が低下して、点火プラグ13の火花放電が
強制的に遮断される。
【0099】S200の処理に続き、再度S150に処
理が移行し、そして、S150では前述したように、2
回目(カウンタi=2)の火花放電発生時期に達した
(火花放電間隔Tbが経過した)か否かを判断し、2回
目の火花放電発生時期(図3に示す時刻t4)になる
と、S160に移行して2回目の火花放電を発生させ
る。
【0100】このようにして、S150からS200ま
での処理を繰り返すことで、二次巻線23に誘導電圧を
複数回発生して、複数回の火花放電(多重放電)を発生
させる。そして、前述したように、S120にて設定し
た誘導電圧発生回数snの回数だけ誘導電圧を発生する
と(図3に示す時刻t6)、S170の判断処理にて肯
定判定され、S210に移行する。
【0101】なお、S180での処理により火花放電が
発生して火花放電電流が流れ、検出抵抗31の両端電圧
が通電判定用基準電圧値Vo以上となると、火花放電検
出回路41は判定結果信号44をハイレベル出力する。
つまり、図3に示すように、判定結果信号44は、点火
プラグ13に実際に発生する火花放電の発生回数および
各火花放電の発生時間に応じてハイレベルとなる。そし
て、火花放電発生回数の検出期間Tnにおいて、判定結
果信号44がハイレベルとなる時間、換言すれば、火花
放電が発生する時間は、時間積算回路47において火花
放電積算時間として積算されると共に時間積算回路47
に蓄積される。なお、前述したように、火花放電積算時
間は、火花放電積算時間信号46として時間積算回路4
7からECU19に通知される。
【0102】S210では、火花放電積算時間信号46
が表す火花放電積算時間を1回あたりの火花放電持続時
間Tt(換言すれば、一次電流の遮断時間Tc)で除算
することで、火花放電発生回数を算出する処理を行う。
次のS220では、S210で算出した火花放電発生回
数と失火判定基準値Nsとを比較して、火花放電発生回
数が失火判定基準値Nsよりも小さいか否かを判断して
おり、火花放電発生回数が失火判定基準値よりも小さい
場合に失火と判定し、火花放電発生回数が失火判定基準
値以上である場合に正常燃焼と判定する処理を行う。な
お、失火判定基準値Nsは、正常燃焼時の火花放電発生
回数と失火時の火花放電発生回数との境界値となるよう
に、内燃機関の運転試験の試験結果などに基づいて予め
設定されている。
【0103】ここで、図3に示すように、失火時におい
ては、時刻t6よりも前の時刻t5での誘導電圧による
火花放電が発生した後は火花放電が発生しておらず、正
常燃焼時(着火時)に比べて火花放電の発生回数が少な
いことが判る。このため、火花放電発生回数を失火判定
用の失火判定基準値と比較し、その比較結果に基づい
て、火花放電発生回数が失火判定基準値よりも小さい場
合に失火と判定することができる。
【0104】なお、多重放電を行う場合、火花放電を繰
り返すことに伴い点火コイル15の蓄積エネルギが消費
されることから、多重放電の発生期間のうち後半になる
ほど点火コイル15の蓄積エネルギが少なくなり、二次
巻線23に発生する誘導電圧が低下する傾向がある。ま
た、点火プラグ13の電極間に火花放電を発生させるた
めに必要な要求電圧は、電極間の状態によって変化して
おり、例えば、電極間にイオンが多く存在する場合には
要求電圧は低くなり、電極間にイオンが存在しない場合
には要求電圧は高くなる。これらのことから、正常燃焼
してイオンが発生する場合には要求電圧が低下するた
め、多重放電発生時期の後半においても火花放電が発生
し易くなり、失火した場合にはイオンが発生せず要求電
圧が上昇するため、多重放電発生時期の後半においては
火花放電が発生し難くなる。つまり、1燃焼サイクル中
において同一回数の誘導電圧を発生させた場合であって
も、正常燃焼時と失火時とでは、点火プラグで実際に火
花放電が発生する回数に差が生じることになり、正常燃
焼時の火花放電発生回数は、失火時の火花放電発生回数
よりも大きくなる。このため、実際に発生した火花放電
発生回数に基づいて失火判定を行うことが可能となる。
【0105】そして、S220での処理が終了すると、
本失火検出処理は終了する。なお、上記実施例において
は、火花放電発生回数検出回路35および失火検出処理
におけるS210が特許請求の範囲における火花放電発
生回数検出手段に相当し、失火検出処理におけるS22
0が失火判定手段に相当し、電流電圧変換回路30(I
−V変換回路30)が電流検出手段に相当し、検出抵抗
31が検出用抵抗に相当し、失火検出処理におけるS1
20が検出期間設定手段に相当する。また、点火コイル
15、点火プラグ13、イグナイタ17および失火検出
処理におけるS110からS200までの処理が多重放
電型点火手段(多重放電型点火装置)に相当する。
【0106】以上説明したように、実施例の失火検出装
置1が備えられる内燃機関においては、ECU19の指
令によるイグナイタ17のスイッチング駆動により、複
数回にわたり二次巻線23に発生した誘導電圧を点火プ
ラグ13に印加して、電極25−27間に複数回の火花
放電(多重放電)を発生させて混合気への着火を行って
いる。
【0107】このとき、火花放電発生回数検出回路35
は、I−V変換回路30が出力する電圧値に基づき火花
放電を検出し、火花放電の発生時間を積算した火花放電
積算時間を検出し、火花放電積算時間を表す火花放電積
算時間信号46をECU19に対して出力する。また、
ECU19で実行される失火検出処理では、S210に
おいて火花放電積算時間を1回あたりの火花放電持続時
間Tt(以下、遮断時間Tcともいう)で除算して火花
放電発生回数を算出する処理を行い、S220において
火花放電発生回数と失火判定基準値とを比較して、正常
燃焼であるか失火であるかを判定する処理を行う。
【0108】つまり、失火検出装置1は、火花放電発生
回数を検出し、検出した火花放電発生回数に基づいて失
火判定を行うよう構成されていることから、火花放電が
終了した後にイオン電流を検出する処理を行うことな
く、失火判定を行うことができる構成である。
【0109】よって、本実施例の失火検出装置1によれ
ば、多重放電型点火装置を備える内燃機関においてイオ
ン電流を用いることなく失火を検出することができ、多
重放電型点火装置を備える内燃機関での失火検出の検出
精度が低下するのを防ぐことができる。
【0110】また、失火検出装置1は、火花放電電流2
4の電流値を電圧値に変換して出力するI−V変換回路
30を備えており、点火プラグ13の電極間に流れる火
花放電電流を検出することができる。なお、I−V変換
回路30は、点火プラグ13および二次巻線23を含ん
で形成される通電経路に直列接続される検出抵抗31を
備えて構成されており、検出抵抗31の両端電圧を変換
電圧信号32として出力するように構成されている。
【0111】なお、火花放電の発生時には点火プラグ1
3の電極間に火花放電電流が流れ、火花放電の未発生時
には火花放電電流は流れないことから、変換電圧信号3
2に基づいて点火プラグ13の電極間に火花放電電流が
流れたか否かを検出し、その検出結果に基づいて実際に
火花放電が発生したか否かを判断することで、火花放電
発生回数の検出が可能となる。
【0112】また、点火プラグ13の電極間に流れる火
花放電電流は、点火プラグ13および二次巻線23を含
んで形成される通電経路(閉ループ)上であれば、どの
位置でも検出できるため、シリンダヘッドを加工するこ
となく火花放電電流を検出することが可能となる。
【0113】よって、本実施例の失火検出装置は、内燃
機関の構造を複雑化することなく、火花放電発生回数を
検出することができるため、製造コストの上昇を抑えつ
つ、失火判定を行うことが可能となる。また、I−V変
換回路30、すなわち検出抵抗31は、二次巻線23の
端部のうち点火プラグ13との接続端とは反対側の端部
からグランドに至る通電経路に直列接続されている。ま
た、本実施例の二次巻線23は、誘導電圧の発生時にお
いて、点火プラグ13に接続される端部から、グランド
電位との電位差が大きい誘導電圧(点火用電圧)を出力
するよう構成されている。
【0114】このため、誘導電圧の発生時に検出抵抗3
1に印加される電圧値は高電圧にはならず、また、検出
抵抗31の両端電圧を検出する火花放電発生回数検出回
路35(詳細には判定用比較器43)への印加電圧が高
電圧となるのを防止できる。よって、本実施例の失火検
出装置1によれば、誘導電圧による高電圧の印加により
検出抵抗31や判定用比較器43が破損するのを防止で
きるため、安定した失火検出を継続することができる。
また、許容耐電圧が高く設定された高価な検出抵抗や判
定用比較器を用いる必要がないため、失火検出装置のコ
ストの上昇を防ぐことができる。
【0115】なお、検出抵抗31は、抵抗値が50
[Ω]であり、二次巻線23の抵抗値(15[kΩ])
に対して、100分の1以下の抵抗値となっている。こ
のような低い抵抗値の検出抵抗31を用いることで、誘
導電圧の発生時における検出抵抗31での電圧降下が小
さくなり、点火プラグ13の電極間に印加される電圧の
低下割合を小さく抑えることができる。このことから、
本実施例の失火検出装置1によれば、誘導電圧の発生時
において、火花放電として使用可能なエネルギ量の低下
を抑制できるため、混合気への着火性が劣化するのを防
止できる。
【0116】また、失火検出装置1は、火花放電発生回
数検出回路35において、検出抵抗31の両端電圧と通
電判定用基準電圧値Voとを比較して、検出抵抗31の
両端電圧が通電判定用基準電圧値Vo以上となる時間を
積算した火花放電積算時間を検出し、ECU19での失
火検出処理において、火花放電積算時間を遮断時間Tc
で除算して火花放電発生回数を算出するよう構成されて
いる。
【0117】なお、繰り返し動作期間において、一次電
流の遮断時間は、一定期間になるため、火花放電積算時
間は、理論上、繰り返し動作における複数回の火花放電
のうち1回あたりの火花放電持続時間Tt(一次電流の
遮断時間Tc)に対して火花放電発生回数を乗算した値
になることから、検出した火花放電積算時間を遮断時間
Tcで除算することで火花放電発生回数を算出すること
ができる。
【0118】また、ノイズによる検出抵抗31の両端電
圧の上昇は、継続的に発生することは少なく、瞬時的に
発生することが多いことから、検出抵抗31の両端電圧
が通電判定用基準電圧値Vo以上となる時間を積算した
火花放電積算時間は、瞬時的なノイズが発生した場合で
あっても値が大きく変化することはない。
【0119】これらのことから、検出した火花放電積算
時間を1回あたりの一次電流の遮断時間Tcで除算して
得られる値は、ノイズの影響による火花放電積算時間の
変化量は小さくなり、実際の火花放電発生回数に略等し
い値となる。つまり、本実施例における火花放電発生回
数の検出方法は、検出抵抗31の両端電圧が通電判定用
基準電圧値Vo以上となる超過回数を検出して火花放電
発生回数を検出する場合に比べて、ノイズの影響を抑え
て火花放電発生回数を検出することができる。
【0120】よって、本実施例の失火検出装置1によれ
ば、火花放電発生回数を検出する際のノイズの影響を抑
えることができ、火花放電発生回数を用いた失火判定に
おける失火判定精度の低下を防ぐことができる。次に、
失火検出装置1は、ECU19で実行される失火検出処
理のS120において、火花放電発生回数の検出期間T
nを設定するにあたり、複数回の誘導電圧の発生時期の
うち最後の発生時期を含み、複数回の誘導電圧の発生時
期のうち最初の発生時期を含まない期間において、最後
の発生時期より少なくとも2回の誘導電圧の発生時期を
含むように、火花放電発生回数の検出期間Tnを設定す
るよう構成されている。
【0121】なお、多重放電の発生期間のうち後半にな
るほど点火コイルの蓄積エネルギが少なくなることか
ら、正常燃焼時と失火時とのそれぞれにおける火花放電
の発生有無の差異は、多重放電の発生時期の後半になる
ほど明確となる。また、多重放電発生期間のうち初回の
誘導電圧の発生時期については、それ以前に火花放電は
発生しておらず、正常燃焼か失火かの違いが要求電圧に
反映されることはない。
【0122】つまり、失火検出装置1は、少なくとも、
正常燃焼時と失火時とのそれぞれにおける火花放電の発
生有無の差異が明確となる最後の誘導電圧の発生時期を
含み、正常燃焼か失火かの違いが要求電圧に反映されな
い最初の誘導電圧の発生時期を含まないように、火花放
電発生回数の検出期間Tnを設定するのである。これに
より、火花放電発生回数の検出結果に対して、正常燃焼
であるか失火であるかの差異がより大きく反映されるこ
とになる。
【0123】また、火花放電発生回数の検出期間Tnに
含まれる誘導電圧の発生回数が少なすぎると失火検出の
検出精度が低下することから、最後の発生時期から少な
くとも2回の誘導電圧の発生時期を含むように火花放電
発生回数の検出期間Tnを設定することで、失火検出の
検出精度の低下を防止している。
【0124】よって、本実施例の失火検出装置1によれ
ば、上記のように火花放電発生回数の検出期間Tnを設
定することで、正常燃焼であるか失火であるかの差異が
より大きく反映された火花放電発生回数を検出すること
ができ、火花放電発生回数に基づく失火検出の検出精度
を向上させることができる。
【0125】なお、本実施例の失火検出装置1に備えら
れる点火コイル15は、米国自動車技術会規格SAE
J973に基づく測定により点火プラグの火花放電持続
時間が0.7[mSec]以上1.3[mSec]以下
の電源条件を満たすよう構成されており、比較的容量が
小さく1回の火花放電で持続可能な火花放電持続時間が
短い。このため、本実施例の内燃機関は、多重放電を実
行して見かけ上の火花放電継続時間を長くすることで、
長い火花放電持続時間が必要となる運転状態においても
混合気への着火が可能となるように構成されている。
【0126】そして、本実施例における内燃機関は、失
火検出処理での点火制御のための処理(S110からS
200までの処理)において、繰り返し動作として、一
次電流22の通電・遮断の繰り返し周期に対する一次電
流通電時間の占める割合が30%以上70%以下で、繰
り返し周期が200[μSec]以下となる繰り返し動
作を実行するよう構成されている。
【0127】つまり、一次電流の通電・遮断の繰り返し
周期に対する一次電流通電時間の占める割合を30%以
上に設定することで、点火コイルの蓄積エネルギが不足
するのを防止している。このようにして誘導電圧の低下
を防ぐことで、多重放電の発生期間の前半において、正
常燃焼時であるにも拘わらず火花放電が発生しなくなる
のを防止するのである。つまり、多重放電の発生期間の
前半において、正常燃焼時には確実に火花放電が発生す
るように、点火コイルにエネルギを蓄積するのである。
【0128】また、一次電流の通電・遮断の繰り返し周
期に対する一次電流通電時間の占める割合を70%以下
に設定することで、点火コイルの蓄積エネルギが過剰と
なるのを防ぎ、多重放電の発生期間の後半において、失
火時であるにも拘わらず、火花放電が発生してしまうの
を防止している。つまり、多重放電の発生期間の後半に
おいて、正常燃焼時には火花放電が発生するように、失
火時には火花放電が発生しないように、点火コイル15
にエネルギを蓄積するのである。
【0129】このように、一次電流22の通電・遮断の
繰り返し周期に対する一次電流通電時間の占める割合を
設定することで、正常燃焼時および失火時のそれぞれの
火花放電発生回数に差異が生じやすくなる。さらに、繰
り返し周期が200[μSec]以下となるように繰り
返し動作を実行することで、1燃焼サイクルにおいて発
生可能な火花放電の回数を少なくとも3回以上とするこ
とができる。これにより、1燃焼サイクルに含まれる誘
導電圧の発生回数が不足するのを防止でき、火花放電発
生回数に基づく失火検出の検出精度が低下するのを防止
できる。
【0130】よって、本実施例の失火検出装置1によれ
ば、正常燃焼時と失火時との火花放電発生回数に差が生
じ易くなり、また、誘導電圧の発生回数が不足しないこ
とから、失火検出の検出精度を向上させることができ
る。ここで、実際の内燃機関を用いて、正常燃焼時(着
火時)および失火時のそれぞれにおいて、燃焼圧力(図
示平均有効圧力:Pmi)および二次電流時間積算値
(火花放電時間積算値)を測定した測定結果を、図5、
図6、図7に示す。
【0131】まず、図5は、正常燃焼時(着火時)にお
ける火花放電電流(波形A)および図示平均有効圧力
(波形B)の測定波形を表す測定結果であり、図6は、
失火時における火花放電電流(波形A)および図示平均
有効圧力(波形B)の測定波形を表す測定結果である。
なお、正常燃焼時の方が失火時よりも図示平均有効圧力
のピーク値が高く、ピーク時期が遅いことから、図5と
図6とにそれぞれ示す図示平均有効圧力の波形から、図
5が正常燃焼時の測定結果であり、図6が失火時の測定
波形であることが判る。
【0132】そして、図5および図6に示す火花放電電
流の測定結果から、正常燃焼時の方が失火時よりも火花
放電の発生回数が多いことが判る。また、図7は、50
回の測定を実行した際の、図示平均有効圧力と火花放電
時間積算値との関係を表す測定結果である。なお、火花
放電時間積算値は、1燃焼サイクルにおいて火花放電の
発生時間を積算した値であり、火花放電発生回数に比例
した値となる。また、図7において、図示平均有効圧力
が正の値となる測定データは正常燃焼時(着火時)の測
定データであり、図示平均有効圧力が負の値となる測定
データは失火時の測定データである。
【0133】図7に示すように、正常燃焼時の火花放電
時間積算値は、失火時の火花放電時間積算値よりも大き
い値となることから、火花放電時間積算値に基づいて、
正常燃焼であるか失火であるかを判断できることが判
る。なお、火花放電時間積算値を一次電流の遮断時間で
除算して得られる火花放電発生回数に基づいて、失火判
定を行うことも可能である。したがって、火花放電発生
回数に基づき失火判定を行う本実施例の失火検出装置
は、正常燃焼であるか失火であるかを正確に判断するこ
とが可能となる。
【0134】次に、本発明の別の実施例(以下、第2実
施例ともいう)について説明する。なお、第2実施例の
失火検出装置は、上述した実施例(以下、第1実施例と
もいう)の失火検出装置1のうち、失火検出処理の一部
が変更されて構成されている。図8は、第2実施例の失
火検出装置で実行される失火検出処理の処理内容を表す
フローチャートである。なお、第1実施例と同一番号の
ステップについては、第1実施例と同様の処理を実行し
ている。
【0135】第2実施例の失火検出処理は、第1実施例
の失火検出処理のうち、S210およびS220に代え
てS310を実行するよう構成されており、以下に、S
310での処理内容について説明する。S310では、
火花放電積算時間信号46が表す火花放電積算時間と失
火判定基準時間Ntとを比較して、火花放電積算時間が
失火判定基準時間Ntよりも小さいか否かを判断してお
り、火花放電積算時間が失火判定基準時間Ntよりも小
さい場合に失火と判定し、火花放電積算時間が失火判定
基準時間Nt以上である場合に正常燃焼と判定する処理
を行う。なお、失火判定基準時間Ntは、正常燃焼時の
火花放電積算期間と失火時の火花放電積算時間との境界
値となるように、内燃機関の運転試験の試験結果等に基
づいて予め設定されている。
【0136】つまり、第2実施例の失火検出装置は、第
1実施例における火花放電発生回数に代えて火花放電積
算時間を用いて着火・失火判定を行うよう構成されてい
る。このように構成された第2実施例の失火検出装置
は、第1実施例の失火検出装置と同様の効果を得ること
ができる。
【0137】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種
々の態様を採ることができる。例えば、失火検出処理の
S220での処理に用いる失火判定基準値Nsは、固定
値に限ることはなく、可変値としても良い。
【0138】つまり、上記実施例の失火検出装置1が備
えられる内燃機関は、運転状態に応じて多重放電回数を
設定(更新)するよう構成されている。具体的には、E
CU19で実行される失火検出処理のS120におい
て、内燃機関の運転状態に応じて誘導電圧発生回数sn
を設定している。このように、運転状態に応じて誘導電
圧発生回数snを変化させる内燃機関においては、正常
燃焼時の火花放電発生回数と失火時の火花放電発生回数
との境界値が変化するため、固定値である失火判定基準
値を用いて失火検出を行うと、境界値が大きく変動した
場合には、失火検出の検出精度が低下する虞がある。
【0139】そこで、失火検出処理のS120におい
て、誘導電圧発生回数snだけでなく、失火判定基準値
Nsについても、内燃機関の運転状態に応じて値を変更
することで、失火判定基準値Nsを失火判定に適した値
に設定するのである。例えば、誘導電圧発生回数snが
より小さい値に設定される内燃機関の運転状態になるほ
ど失火判定基準値Nsを小さい値に設定し、また、誘導
電圧発生回数snがより大きい値に設定される内燃機関
の運転状態になるほど失火判定基準値Nsを大きい値に
設定するとよい。
【0140】これにより、内燃機関の運転状態が変化し
て誘導電圧発生回数が大きく変化した場合であっても、
失火判定基準値Nsが失火判定に適した値に設定される
ことから、火花放電発生回数に基づいて失火判定を行う
ことが可能となる。したがって、内燃機関の運転状態に
応じて誘導電圧の発生回数が設定される内燃機関におい
ても、失火検出の検出精度が低下するのを防止すること
ができる。
【0141】なお、このような構成の失火検出装置にお
いては、失火検出処理のS120が、特許請求の範囲に
記載の判定基準値設定手段に相当する。また、I−V変
換回路30は、抵抗素子を備える構成に限らず、図4に
示すようにオペアンプ69を有する第2I−V変換回路
53を用いて失火検出装置を構成しても良い。なお、第
2I−V変換回路53は、第1入力端子55が二次巻線
23(図1参照)に接続され、第2入力端子57がグラ
ンド(図1参照)に接続され、電圧出力端子59が火花
放電発生回数検出回路35(図1参照)に接続されてい
る。
【0142】そして、第2I−V変換回路53は、アノ
ードが第1入力端子55に接続され、カソードが第2入
力端子57に接続される第2ダイオード61と、アノー
ドが第2入力端子57に接続され、カソードが第1入力
端子55に接続されて、第2ダイオード61に並列接続
される第3ダイオード63とを備えている。また、オペ
アンプ69は、反転入力端子−が第2ダイオード61の
アノードに接続され、反転入力端子−と出力端子とが第
2抵抗65を介して接続され、非反転入力端子+が第3
抵抗67を介してグランドに接続され、出力端子が電圧
出力端子59に接続されている。
【0143】このように構成された第2I−V変換回路
53においては、二次巻線23から第2ダイオード61
に流れる火花放電電流24と同等の電流が第2抵抗65
に流れる。このことから、第2I−V変換回路53は、
火花放電電流24の電流値Iと第2抵抗65の抵抗値R
との乗算して得られる電圧値V(=I×R)を電圧出力
端子59から出力する。そして、電圧値Vは電流値Iに
比例した値となることから、第2I−V変換回路53
は、火花放電電流24(副火花放電電流)の電流値を電
圧値に変換して火花放電発生回数検出回路35に対して
出力するよう動作する。
【0144】よって、I−V変換回路30に代えて第2
I−V変換回路53を備えて構成した失火検出装置につ
いても、火花放電電流の検出結果に基づき火花放電発生
回数を検出し、その検出結果に基づいて適切に失火判定
を行うことが出来る。さらに、火花放電電流の検出方法
としては、I−V変換回路30や第2I−V変換回路5
3の他に、ホール素子を用いて検出する方法を採ること
もできる。なお、ホール素子は、通電経路を取り囲む検
出部を備えて構成されており、通電経路に電流が流れて
インダクタンスが変化することにより検出部に発生する
電流に基づいて、火花放電電流を検出することができ
る。
【0145】また、判定基準電源装置45は、固定値の
通電判定用基準電圧値Voを出力する構成に限らず、可
変値の通電判定用基準電圧値Voを出力する構成として
もよく、例えば、内燃機関の運転状態に基づき通電判定
用基準電圧値Voを設定可能な電源装置を用いて構成し
ても良い。
【0146】そして、時間積算回路47は、例えば、コ
ンデンサを備えて、火花放電電流の通電時間に応じた電
荷を蓄積するよう構成し、コンデンサに蓄積された蓄積
電荷量によって時間積算を行うよう構成しても良い。ま
た、火花放電発生回数検出回路35から時間積算回路4
7を省略し、火花放電検出回路41が出力する判定結果
信号44をECU19に入力して、ECU19の内部処
理として火花放電積算時間を算出する積算時間算出処理
を実行するように、失火検出装置を構成しても良い。
【0147】また、上記の失火検出装置1が備えられる
点火装置は、イグナイタ17を使った多重放電型点火装
置であるが、これに限らず、例えば、特開平10−34
7306号公報に記載されるような容量誘導放電型点火
装置においても、本発明の失火検出装置を用いることで
同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多重放電を行う内燃機関に備えられる実施例
の失火検出装置の構成を表す電気回路図である。
【図2】 電子制御装置(ECU)において実行される
失火検出処理の処理内容を表すフローチャートである。
【図3】 失火検出処理の実行時における失火検出装置
の各部の状態を表すタイムチャートである。
【図4】 オペアンプを有する第2I−V変換回路の構
成を表す電気回路図である。
【図5】 正常燃焼時における火花放電電流(波形A)
および図示平均有効圧力(波形B)の測定波形を表す測
定結果である。
【図6】 失火時における火花放電電流(波形A)およ
び図示平均有効圧力(波形B)の測定波形を表す測定結
果である。
【図7】 図示平均有効圧力と火花放電時間積算値との
関係を表す測定結果である。
【図8】 第2実施例の失火検出装置において実行され
る失火検出処理の処理内容を表すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1…失火検出装置、11…電源装置(バッテリ)、13
…点火プラグ、15…点火コイル、17…イグナイタ、
19…電子制御装置(ECU)、21…一次巻線、23
…二次巻線、25…中心電極、27…接地電極、30…
電流電圧変換回路(I−V変換回路)、31…検出抵
抗、35…火花放電発生回数検出回路、41…火花放電
検出回路、43…判定用比較器、45…判定基準電源装
置、47…時間積算回路、53…第2I−V変換回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G019 AB01 AB02 BB10 CD06 CD07 DB07 DB14 EA16 EA20 FA04 FA05 FA18 3G084 BA16 DA27 DA28 EA07 EA11 EB22 FA35

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次巻線および二次巻線を有し、前記一
    次巻線に流れる一次電流を遮断することで前記二次巻線
    に誘導電圧を発生する点火コイルと、 前記二次巻線と共に閉ループを形成するとともに、前記
    誘導電圧が印加されることにより、自身の電極間に火花
    放電を発生する点火プラグと、 前記点火コイルの前記一次巻線に流れる前記一次電流の
    通電・遮断を行う点火用スイッチング手段と、を備え、 前記点火プラグの点火時期に生じる火花放電中に、前記
    点火用スイッチング手段を用いて前記一次電流を通電・
    遮断する繰り返し動作を開始し、 前記繰り返し動作により複数回にわたり前記二次巻線に
    誘導電圧を発生させることにより、前記火花放電を複数
    回発生させる多重放電型点火手段を備える失火検出装置
    であって、 前記点火プラグの電極間に発生した火花放電発生回数を
    検出する火花放電発生回数検出手段と、 前記火花放電発生回数検出手段にて検出した前記火花放
    電発生回数と、正常燃焼時の火花放電発生回数と失火時
    の火花放電発生回数との境界値に設定された失火判定基
    準値とを比較することにより、正常燃焼または失火と判
    断する失火判定手段と、 を備えたことを特徴とする失火検出装置。
  2. 【請求項2】 前記点火プラグの電極間に流れる火花放
    電電流を検出する電流検出手段を備え、 前記火花放電発生回数検出手段は、前記電流検出手段に
    より検出される前記火花放電電流の通電回数に基づいて
    前記火花放電発生回数を検出すること、 を特徴とする請求項1に記載の失火検出装置。
  3. 【請求項3】 前記電流検出手段は、前記二次巻線の端
    部のうち前記点火プラグとの接続端とは反対側の端部か
    らグランドに至る通電経路に直列接続される検出用抵抗
    を備えて、該検出用抵抗の両端電圧に基づいて前記火花
    放電電流を検出すること、 を特徴とする請求項2に記載の失火検出装置。
  4. 【請求項4】 前記検出用抵抗は、前記二次巻線の抵抗
    値の100分の1以下の抵抗値であること、 を特徴とする請求項3に記載の失火検出装置。
  5. 【請求項5】 前記繰り返し動作期間において、前記一
    次電流の遮断時から通電時までの期間である遮断時間は
    それぞれ一定期間であって、 前記火花放電発生回数検出手段は、 前記火花放電電流の通電時間を積算して火花放電積算時
    間を検出し、前記繰り返し動作における複数回の前記火
    花放電のうち1回あたりの前記遮断時間で前記火花放電
    積算時間を除算することにより前記火花放電発生回数を
    検出すること、 を特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の
    失火検出装置。
  6. 【請求項6】 前記内燃機関が運転状態に応じて前記誘
    導電圧の発生回数を設定するよう構成されており、 前記内燃機関の運転状態に応じて前記失火判定基準値を
    設定する判定基準値設定手段を備えたこと、 を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の
    失火検出装置。
  7. 【請求項7】 前記火花放電発生回数検出手段は、前記
    火花放電発生回数の検出期間を設定するための検出期間
    設定手段を備え、 前記検出期間設定手段は、複数回の前記誘導電圧の発生
    時期のうち最後の発生時期を含み、複数回の前記誘導電
    圧の発生時期のうち最初の発生時期を含まない期間にお
    いて、最後の発生時期から少なくとも2回の前記誘導電
    圧の発生時期を含むように、前記火花放電発生回数の検
    出期間を設定すること、 を特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の
    失火検出装置。
  8. 【請求項8】 一次巻線および二次巻線を有し、前記一
    次巻線に流れる一次電流を遮断することで前記二次巻線
    に誘導電圧を発生する点火コイルと、 前記二次巻線と共に閉ループを形成するとともに、前記
    誘導電圧が印加されることにより、自身の電極間に火花
    放電を発生する点火プラグと、 前記点火コイルの前記一次巻線に流れる前記一次電流の
    通電・遮断を行う点火用スイッチング手段と、を備え、 前記点火プラグの点火時期に生じる火花放電中に、前記
    点火用スイッチング手段を用いて前記一次電流を通電・
    遮断する繰り返し動作を開始し、 前記繰り返し動作により複数回にわたり前記二次巻線に
    誘導電圧を発生させることにより、前記火花放電を複数
    回発生させる多重放電型点火手段を備える失火検出装置
    であって、 前記点火プラグの電極間に流れる火花放電電流を検出す
    る電流検出手段と、 1回あたりの火花放電に対して、前記電流検出手段によ
    り検出される前記火花放電電流の通電時間を検出する火
    花電流通電時間検出手段と、 前記火花電流通電時間検出手段にて検出した前記通電時
    間を1燃焼サイクル分積算した火花放電積算時間と、正
    常燃焼時の火花放電積算時間と失火時の火花放電積算時
    間との境界値に設定された失火判定基準時間とを比較す
    ることにより、正常燃焼または失火と判断する失火判定
    手段と、 を備えたことを特徴とする失火検出装置。
  9. 【請求項9】 前記点火コイルが、米国自動車技術会規
    格SAE J973に基づく測定により前記点火プラグ
    の火花放電持続時間が0.7[mSec]以上1.3
    [mSec]以下の電源条件を満たすよう構成され、 前記多重放電型点火手段が、前記繰り返し動作として、
    前記一次電流の通電・遮断の繰り返し周期に対する一次
    電流通電時間の占める割合が30%以上70%以下で、
    前記繰り返し周期が200[μSec]以下となる繰り
    返し動作を実行するよう構成された前記内燃機関におい
    て失火検出を行うこと、 を特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の
    失火検出装置。
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