JP2003313351A - 熱可塑性樹脂微細発泡体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂微細発泡体及びその製造方法

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JP2003313351A JP2002120121A JP2002120121A JP2003313351A JP 2003313351 A JP2003313351 A JP 2003313351A JP 2002120121 A JP2002120121 A JP 2002120121A JP 2002120121 A JP2002120121 A JP 2002120121A JP 2003313351 A JP2003313351 A JP 2003313351A
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Hideki Harada
秀樹 原田
Shinichi Hirayama
真一 平山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】物理発泡し難いポリアミド樹脂等の親水性樹脂
において、発泡剤として水蒸気又はアルコールを用いる
ことにより、微細な気泡が均一に分布した発泡状態が達
成された熱可塑性樹脂微細発泡体及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】均一に分布した複数の気泡を有する熱可塑
性樹脂からなり、平均気泡径が1μm〜100μm未
満、重量低減率が10〜90%であることを特徴とする
親水性熱可塑性樹脂微細発泡体、及び溶融させた熱可塑
性樹脂に水蒸気又はアルコール類からなる発泡剤を分散
させた後、射出成形することにより、熱可塑性樹脂中に
気泡を微細発泡させることを特徴とする前記熱可塑性樹
脂微細発泡体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂を発
泡剤を用いて微細発泡させた発泡体及びその製造方法に
関するものである。特に、物理発泡し難いポリアミド樹
脂等の親水性樹脂において、発泡剤として水蒸気又はア
ルコールを用いることにより、微細な気泡が均一に分布
した発泡状態が達成された熱可塑性樹脂微細発泡体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】材料母体中に気泡が内在する「発泡材
料」は、いわば材料を気体で複合化することになり、使
用原料の低減による省資源化のみならず、重量低減によ
る軽量化や断熱性、遮音性、緩衝性、浮揚性、電気的特
性などの多くの機能向上が期待できる。このような発泡
材料は、一般に、原材料樹脂を混練し、この混練過程に
おいて発泡剤を注入し、引き続き通常の射出成形するこ
とにより製造される。
【0003】例えば、ポリアミド樹脂は、強靭で、耐摩
耗性、潤滑性、耐薬品性、耐油性にすぐれており、ポリ
アミド樹脂を発泡体とすれば、これらの特性を持った発
泡体が得られると期待されている。しかし、ポリアミド
樹脂は、結晶性の樹脂であるために、結晶融点付近で急
激に溶融粘度を減少させる性質を持っており、このた
め、ポリアミド樹脂は発泡に適した粘度を発現させにく
く、従って発泡させることが困難であった。そこで、ポ
リアミド樹脂に添加剤を加えて発泡に適した粘度を持つ
ように改質したり、種々の発泡剤を用いて、発泡させよ
うとする試みがなされた。
【0004】例えば、特開昭55−125127号公報
には、ポリアミド樹脂に金属イオン架橋α−オレフィン
系ポリマーを加えて混合物とし、この混合物を溶融し、
これに発泡剤を圧入してポリアミド樹脂発泡体を製造す
る方法が記載されいる。しかし、この方法では、添加剤
として加える金属イオン架橋α−オレフィン系ポリマー
が、ポリアミド樹脂100重量部に対して、40〜90
重量部もの大量でなければならないので、得られた発泡
体はポリアミド樹脂本来の特性を失ったものとなる。
【0005】また、特公平8−5986号公報には、押
出機にポリアミド樹脂を入れて溶融し、これに発泡剤と
してジメチルエーテルを圧入して、押し出し発泡させる
ことが記載されている。この方法によれば、均一な気泡
を持った発泡体が得られるが、気泡が大きく平均1mm
以上であるため、得られた発泡体は外観のよいものとは
ならない。
【0006】特開2000−103960公報には、1
分子中に3個以上のカルボン酸無水物基を持った化合
物、α、β−不飽和カルボン酸無水物とスチレン及び/
又はオレフィンとの共重合体、又はポリカーボネート樹
脂を改質剤として、ポリアミド系樹脂と混合することに
より、溶融粘度を調整し、これを発泡剤を用いて発泡さ
せることが記載されている。しかし、この方法でも気泡
径は0.1〜0.8mm程度と大きすぎるため、逆にそ
れらの空隙が内部欠陥として作用するために強度低下を
免れなかった。
【0007】一方、微小な気泡を有する発泡材料を製造
する方法として、特許第2625576号には、超臨界
液体を用いて樹脂材料を微小発泡させる方法が提案され
ている。この微小発泡材料は材料内部に潜在的に存在す
るクラック(一般に10μm程度)よりも小さい微小気
泡を導入することにより、その材料が本来有する機械的
特性を低下させることがなく、原材料を低減することが
できるという特徴を有するセル構造体の一つである。さ
らにこの微小発泡材料は、熱的、および電気的特性にも
優れており、種々の用途が期待できる材料である。
【0008】しかし、前記方法では超臨界液体として通
常二酸化炭素が使用されるため、二酸化炭素との親和性
が高い、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン系樹
脂、ポリカーボネートなどの発泡には適しているが、ポ
リアミド樹脂等の二酸化炭素との親和性が低い熱可塑性
樹脂では、10μm以下の微小な気泡を有する微小発泡
体を製造することは困難であった。このため、ポリアミ
ド樹脂等の二酸化炭素との親和性が低い熱可塑性樹脂に
ついて、10μm以下の微小な気泡を有する微小発泡体
を製造することのできる方法が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な要望に応じて生まれたものである。すなわち、本発明
は、ポリアミド樹脂等の二酸化炭素との親和性が低い熱
可塑性樹脂を発泡剤を用いて微細発泡させた発泡体及び
その製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ポリアミ
ド樹脂の欠点でもある吸水性に着目し、逆にこの親水性
を利用して、水蒸気を発泡剤として使用することによ
り、ポリアミド樹脂中に10μm以下の極めて微小の気
泡を均一に発泡させることができることを見出し、本発
明に到達した。すなわち、本発明は、均一に分布した複
数の気泡を有する熱可塑性樹脂からなり、平均気泡径が
1μm〜100μm未満、重量低減率が10〜90%で
あることを特徴とする親水性熱可塑性樹脂微細発泡体に
関するものである。また、本発明は、溶融させた熱可塑
性樹脂に発泡剤を分散させた後、射出成形することによ
り、熱可塑性樹脂中に気泡を微細発泡させることを特徴
とする前記熱可塑性樹脂微細発泡体の製造方法に関する
ものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂微細発泡体
は、均一に分布した複数の気泡を有し、平均気泡径が1
μm〜100μm未満、好ましくは、1〜10μm、重
量低減率が10〜90%、好ましくは、20〜60%で
ある。
【0012】本発明における熱可塑性樹脂としては、親
水性を有するものが用いられ、例えば、ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂等が用いられる。
【0013】ポリアミド樹脂は、ジアミンと二塩基酸と
からなるか、またはラクタムもしくはアミノカルボン酸
からなるか、またはこれらの2種以上の共重合体であ
る。
【0014】ジアミンとしては、テトラメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレジアミン、ウンデカメチレンジアミン、
ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンや、メタキ
シリレンジアミン等の芳香族・環状構造を有するジアミ
ンが挙げられる。ジカルボン酸としては、アジピン酸、
ヘプタンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ノナン
ジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカ
ルボン酸等の脂肪族ジアミンやテレフタル酸、イソフタ
ル酸等の芳香族・環状構造を有するジカルボン酸が挙げ
られる。
【0015】ラクタムとしては、炭素数6〜12のラク
タム類であり、また、アミノカルボン酸としては炭素数
6〜12のアミノカルボン酸である。6―アミノカプロ
ン酸、7―アミノヘプタン酸、11―アミノウンデカン
酸、12―アミノドデカン酸、α―ピロリドン、ε―カ
プロラクタム、ω−ラウロラクタム、ε―エナントラク
タム等が挙げられる。
【0016】具体的には、ナイロン6、ナイロン66、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロ
ン612、ナイロン1212、ナイロン46などのホモ
ポリマーや、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナ
イロン11/12などのコポリマーが挙げられる。これ
らのポリアミド樹脂は、単独でも用いることができる
が、また2種以上のものを混合して用いることもでき
る。
【0017】また、ポリアミド樹脂以外のポリマーとの
混合物であってもよい。混合物中のポリアミド樹脂の含
有率は、50重量%以上が好ましい。ポリアミド樹脂以
外のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリカーボネ−ト、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等を挙げることができる。
【0018】本発明における熱可塑性樹脂には、粘度調
整のための改質剤を添加してもよい。改質剤を添加する
ことにより、熱可塑性樹脂に架橋構造が導入され、これ
により溶融時の溶融粘度、溶融張力及び弾性特性が好ま
しく変化し、熱可塑性樹脂が容易に発泡できるようにな
る。改質剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対
し0.1〜20重量部である。改質剤としては、1分子
中にカルボン酸無水物を2個以上有する化合物、多官能
エポキシ化合物、α、β−不飽和カルボン酸無水物とス
チレン及び/又はオレフィンとの共重合体等が挙げられ
る。
【0019】1分子中にカルボン酸無水物を2個以上有
する化合物としては、ピロメリット酸無水物、ナフタレ
ンテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水
物、エチレングリコール (アンヒドロトリメリテート)
又はグリセロール (アンヒドロトリメリテート) 等が挙
げられる。
【0020】多官能性エポキシ化合物としては、ジグリ
シジルテレフタレート、ジグリシジルオルトフタレー
ト、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、4官能窒化
エポキシ (例えば三菱瓦斯化学社製TETRAD−D)
、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポ
リプロピレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールジ
グリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシ
ジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパントリグリシジルエーテル、水添BP-Aジグリ
シジルエーテル、又は2,2−ジブロモネオペンチルグリ
コールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0021】α、β−不飽和カルボン酸無水物として
は、無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸、クロロ無
水マレイン酸等が使用でき、スチレン及び/又はオレフ
ィンとしてはスチレン、エチレン、プロピレン等を使用
することができる。この共重合体の代表的なものは、無
水マレイン酸とスチレン又はエチレンとの共重合体であ
る。共重合体としては、平均して1分子中に3〜80重
量%のカルボン酸無水物基を含んでいるものが好まし
い。
【0022】さらに、熱可塑性樹脂に金属又は金属化合
物を添加することによって架橋あるいはネットワーク構
造の導入を促進することができる。金属又は金属化合物
としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等
の金属炭酸塩;又はモンタン酸ナトリウム、ステアリン
酸亜鉛、パルミチン酸カリウム等の脂肪酸金属塩等を挙
げることができる。金属又は金属化合物の添加量は、上
記改質剤と共に添加する場合には、改質剤100重量部
に対して、一般に10〜100重量部である。
【0023】また、本発明の熱可塑性樹脂には、更に粘
弾性改質助剤、気泡調整剤を加えることができる。粘弾
性改質助剤としては、イソシアネート系化合物、過酸化
物、オキサゾリン系化合物、オキサジン系化合物を用い
ることが可能であり、その添加量は0.05〜1.0重
量部である。気泡調整剤としては、タルク、シリカ、モ
ンタン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム等の脂
肪酸金属塩、炭酸ソーダ等の無機塩を用いることが可能
であり、その添加量は0.1〜5.0重量部である。
【0024】本発明における熱可塑性樹脂には、機械的
強度を向上させる目的で無機充填材を配合してもよい。
無機充填材としては、ガラス繊維やカーボン繊維、ワラ
ストナイトやチタン酸カリウムウイスカー等の繊維状無
機材料、モンモリロナイト、タルク、マイカ、炭酸カル
シウム、シリカ、クレイ、カオリン、ガラスパウダー、
ガラスビーズ等の無機充填材が挙げられる。また、各種
有機または高分子パウダー等の有機充填材を配合しても
よい。
【0025】また、本発明の熱可塑性樹脂には、耐熱
剤、耐候剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、滑剤、
帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤等の機能性付与
剤を添加してもよい。
【0026】より具体的には、耐熱剤としては、ヒンダ
ードフェノール類、ホスファイト類、チオエーテル類、
ハロゲン化銅などが挙げられ、単独またはこれらを組み
合わせて使用できる。耐候剤としては、ヒンダードアミ
ン類やサリシレート類が挙げられ、単独またはこれらを
組み合わせて使用できる。結晶核剤としては、タルク、
クレーなどの無機フィラー類や脂肪酸金属塩等の有機結
晶核剤などが挙げられ、単独またはこれらを組み合わせ
て使用できる。結晶化促進剤としては、低分子量ポリア
ミド、高級脂肪酸類、高級脂肪酸エステル類や高級脂肪
族アルコール類が挙げられ、単独またはこれらを組み合
わせて使用できる。離型剤としては、脂肪酸金属塩類、
脂肪酸アミド類や各種ワックス類が挙げられ、単独また
はこれらを組み合わせて使用できる。帯電防止剤として
は、脂肪族アルコール類、脂肪族アルコールエステル類
や高級脂肪酸エステル類が挙げられ、単独またはこれら
を組み合わせて使用できる。難燃剤としては、水酸化マ
グネシウム等の金属水酸化物、リン、リン酸アンモニウ
ム、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート、
エチレンジメラミンジシアヌレート、硝酸カリウム、臭
素化エポキシ化合物、臭素化ポリカーボネート化合物、
臭素化ポリスチレン化合物、テトラブロモベンジルポリ
アクリレート、トリブロモフェノール重縮合物、ポリブ
ロモビフェニルエーテル類や塩素系難燃剤が挙げられ、
単独またはこれらを組み合わせて使用できる。
【0027】次に、本発明の熱可塑性樹脂微細発泡体の
製造方法について説明する。本発明の熱可塑性樹脂微細
発泡体は、溶融させた熱可塑性樹脂に発泡剤を分散させ
た後、射出成形することにより、熱可塑性樹脂中に気泡
を微細発泡させて製造される。
【0028】発泡剤としては、水蒸気又はアルコールが
用いられる。アルコールとしては、メタノール、エタノ
ール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプ
ロパノール、シクロヘキサノール等のモノアルコール、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレン
グリコール、ヘキサンジオール等のジオールなどが用い
られる。熱可塑性樹脂の溶融温度は種類によって適宜選
択されるが、一般に220℃以上、好ましくは240℃
以上である。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂微細発泡体の製造に
用いられる射出成形機は、ホッパーから導入される樹脂
を回転するスクリューにより溶融混練して、シリンダー
部を経て金型中に射出するスクリュー押出機と前記スク
リュー押出機に発泡剤を導入する発泡剤供給装置と、ス
クリュー押出機から射出された樹脂の形状を決定する金
型とを具備する。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂微細発泡体の製造に
おける溶融混合及び射出成形は、以下のように行なわれ
る。熱可塑性樹脂に、上述の改質剤等を加えて得られた
混合物をホッパーから押出機に入れ、押出機内で混合物
を回転するスクリューにより溶融混練し、密封状態とし
た射出シリンダ内で樹脂を計量し、この間に、押出機の
バレルに設けた圧入口から圧力及び流量を制御しながら
発泡剤を圧入して発泡性組成物とし、この発泡性組成物
を押出機先端のノズルを開放し、金型内に注入する。こ
の際、発泡剤が細かく分散した溶融樹脂中に、圧力開放
の瞬間から微細な気泡が生成・成長する。そして、適切
な保圧・冷却工程の後、金型を開いて成形品を取り出
す。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では10μm
以下の微小な気泡を有する微小発泡体を製造することが
困難であったポリアミド樹脂等の二酸化炭素との親和性
が低い親水性の熱可塑性樹脂について、発泡剤として水
蒸気又はアルコールを用いることにより、10μm以下
の微細な気泡が均一に分布した発泡状態が達成された熱
可塑性樹脂微細発泡体微細を得ることができる。本発明
の熱可塑性樹脂微細発泡体を射出成形する場合において
は、溶融樹脂の見かけの粘度を下げることができるた
め、繊維状物質や多量の高融点物質を混合したため、溶
融粘度が高いものや、製品設計上、非常に薄肉部を充填
しなければならないもの、成形工程で軟弱な内包物を持
たせるため粘度が高いと内包物が損傷を受けるものを成
形することが可能になる。また、本発明の熱可塑性樹脂
微細発泡体は、発泡状態を広範囲に制御することが出来
るため、低空隙率で軽量化・物性維持を図ったり、発泡
率を高めて断熱・防音などの用途に適用することができ
る。例えば、優れたガスバリア性、耐熱性、断熱性を生
かした食品容器、遮音性による防音材などとして、高い
強度、耐熱性を生かした建築用資材、構造材として、耐
油性、難燃性及び自己消火性を生かしたガソリンタンク
のフロート、エンジンのヘッド部材などとして用いられ
る。
【0032】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて、本発明を具
体的に説明する。 物性値の測定方法 [平均発泡径]ASTM D 2842-69の方法に準拠して測定す
る。詳述すれば、発泡体の押出方向(MD方向)及びそ
れと直交する方向(TD方向)、ならびにMD及びTD
方向と直交する方向(VD方向)の断面の顕微鏡写真を
撮影し、その写真において一直線上(直線長さL)にか
かる気泡数Nから平均弦長Tを次式 T=L/N (式1) によって算出する。次いでこのTの値を用いて、平均気
泡径Dは次式 D=T/0.616 (式2) により算出した値である。 [引張り強度]ASTM D-638に準拠する。成形後は室温・
密封で乾燥状態を保持させるものとする。 [シャルピー強度]ASTM D-256に準拠する。テストピー
ス状態は上述の通り。 [重量低減率]表1に示す通常条件と発泡条件とで成形
したテストピースを成形直後に重量測定し、その変化の
割合を以って重量低減率とする。重量低減率はガス注入
条件を一定にして計量ストロークの調整のみで行う。す
なわち計量ストロークが短ければ相対的にガスの量が多
くなり発泡部の体積分率は増え、逆に長くすると発泡部
の割合が小さくなる。ただあらかじめ定量的設定ができ
ず成形品の重量測定をしながら表中の範囲で適宜設定す
るものである。また、これらの操作は独立発泡を保つ限
りその発泡径には影響を及ぼさない。
【0033】[射出成形機の操作条件]
【表1】
【0034】実施例1 ナイロン6樹脂(1013NW8、宇部興産社製)を、発泡剤
として水蒸気を用いて、表2に記載の発泡条件で、射出
成形して微細発泡体を製造した。得られた微細発泡体に
ついて、平均発泡径、重量低減率、引張り強度、シャル
ピー強度を測定した結果を表2に示す。
【0035】実施例2 ガラス強化ナイロン6樹脂(1015GC6、宇部興産社製)
を、発泡剤として水蒸気を用いて、表2に記載の発泡条
件で、射出成形して微細発泡体を製造した。得られた微
細発泡体について、平均発泡径、重量低減率、引張り強
度、シャルピー強度を測定した結果を表2に示す。
【0036】比較例1〜2 ナイロン6樹脂(1013NW8、宇部興産社製)を、発泡剤
として二酸化炭素を用いて、表2に記載の発泡条件で、
射出成形して発泡体を製造した。得られた発泡体につい
て、平均発泡径、重量低減率、引張り強度、シャルピー
強度を測定した結果を表2に示す。
【0037】比較例3 ガラス強化ナイロン6樹脂(1015GC6、宇部興産社製)
を、発泡剤として二酸化炭素を用いて、表2に記載の発
泡条件で、射出成形して発泡体を製造した。得られた発
泡体について、平均発泡径、重量低減率、引張り強度、
シャルピー強度を測定した結果を表2に示す。
【0038】
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 均一に分布した複数の気泡を有する熱可
    塑性樹脂からなり、平均気泡径が1μm〜100μm未
    満、重量低減率が10〜90%であることを特徴とする
    親水性熱可塑性樹脂微細発泡体。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である請
    求項1記載の熱可塑性樹脂微細発泡体。
  3. 【請求項3】 溶融させた熱可塑性樹脂に発泡剤を分散
    させた後、射出成形することにより、熱可塑性樹脂中に
    気泡を微細発泡させることを特徴とする請求項1又は2
    記載の熱可塑性樹脂微細発泡体の製造方法。
  4. 【請求項4】 発泡剤が水蒸気又はアルコール類である
    請求項3記載の熱可塑性樹脂微細発泡体の製造方法。
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