JP2003309335A - プリント基板用基材シート及びその製造方法 - Google Patents

プリント基板用基材シート及びその製造方法

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JP2003309335A
JP2003309335A JP2002114243A JP2002114243A JP2003309335A JP 2003309335 A JP2003309335 A JP 2003309335A JP 2002114243 A JP2002114243 A JP 2002114243A JP 2002114243 A JP2002114243 A JP 2002114243A JP 2003309335 A JP2003309335 A JP 2003309335A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラスクロスに対してPTFE樹脂のディ
スパージョンを含浸し、含浸後に於いて乾燥及び焼成す
る処理を数回繰り返す従来の技術では、基板の厚さに応
じて樹脂含浸シートを所定枚数重ねて積層板を得るの
で、製造工程が複雑化し、製造コストが高くなることが
避けられなかった。 【解決手段】ガラスクロスの少なくとも片面にフッ素樹
脂繊維を主成分とする紙状物と銅箔とを順次重ねて積層
配置し、次いで該積層体を加熱加圧処理により一体成形
することを特徴とするプリント基板用基材シートの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に用
いられるプリント基板用基材シートに関し、特にフッ素
樹脂繊維を主成分とする紙状物を用いたプリント基板用
基材シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年通信用やコンピュータの演算処理の
高速化に伴い、高周波特性に優れたプリント基板、特に
低誘電率のプリント基板の開発が要求されている。従来
このような低誘電特性を有するプリント基板用基材シー
ト及びその製造方法としては、例えば次のようなものが
一般的である。すなわち、ガラスクロスを基材として、
この基材にポリテトラフルオロエチン(以下、PTFE
という)樹脂の含浸及び焼成処理を数回繰り返したシー
トを重ね、加えて該シート間にPTFEとパーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体樹脂層もしくはPTF
Eとヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂層を形成
し、更に最外層に配置され銅箔との間にも上述の樹脂層
をフィルム状に形成するか或いはコーティング法により
形成し、積層されたシートと銅箔とを一体的に加熱圧着
して一体化形成するプリント基板用基材シートが知られ
ている。
【0003】特に、高周波用のプリント配線基板に用い
られる基材シートのように、比誘電率、誘電正接の小さ
いものを要する場合、フッ素樹脂をベースとして、この
フッ素樹脂に対してガラスクロス等の充填材料を組み合
わせて、比誘電率が3.0以下、誘電正接が0.001
0程度のものが形成されていた。
【0004】しかしながら、フッ素樹脂には一般的に四
フッ化エチレン樹脂ディスパージョンが用いられるので
高価となる上、ガラスクロスに対してPTFE樹脂のデ
ィスパージョンを含浸し、含浸後に於いて乾燥及び焼成
する処理を数回繰り返す工程が必要であり、更に形成す
べき基板の厚さに応じて樹脂含浸シートを所定枚数重ね
て積層板を得るので、製造工程が複雑化し、製造コスト
が高くなることが避けられなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術にお
ける複雑な樹脂含浸処理工程を省略し、簡単な製造方法
で作成されるガラスクロスを基材として用いたプリント
基板用基材シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は種々検討の結
果、前記問題点を解決するために、種々検討の結果、フ
ッ素樹脂繊維を主成分とするものを水に分散させ、その
分散液を湿式抄造法により抄紙することによってフッ素
樹脂繊維紙状物を得、該フッ素樹脂繊維紙状物をガラス
クロスの少なくとも片面に配置し、更にこのフッ素樹脂
繊維紙状物の上に銅箔を重ねて配置し、該ガラスクロス
とフッ素樹脂繊維紙状物と銅箔とからなる積層体を加熱
加圧処理により一体化成形することにより、極めて簡単
にプリント基板用基材シートを得ることができることに
着目したものである。
【0007】すなわち、本発明の請求項1の発明は、ガ
ラスクロスの少なくとも片面にフッ素樹脂繊維を主成分
とする紙状物と銅箔とが順次重ねて積層配置され、加熱
加圧処理により一体成形されてなることを特徴とするプ
リント基板用基材シートであり、請求項2の発明は、フ
ッ素樹脂繊維を主成分とする紙状物中に無機微粒子が含
有されていることを特徴とする請求項1記載のプリント
基板用基材シートで、請求項3の発明は、フッ素樹脂繊
維を主成分とする紙状物中に中空微粒子が含有されてい
ることを特徴とする請求項1記載のプリント基板用基材
シートで、請求項4の発明は、フッ素樹脂繊維を主成分
とする紙状物中にフッ素樹脂繊維以外の耐熱性繊維が混
抄されていることを特徴とする請求項1記載のプリント
基板用基材シートで、請求項5の発明は、ガラスクロス
の少なくとも片面にフッ素樹脂繊維を主成分とする紙状
物と銅箔とを順次重ねて配置し積層体を形成し、次いで
該積層体を加熱加圧処理により一体成形することを特徴
とするプリント基板用基材シートの製造方法である。
【0008】以下本発明に於いて用いられる各材料につ
いて説明する。本発明に於いて使用されるフッ素樹脂繊
維は、上記PTFE繊維の他に、テトラフルオロエチレ
ン/ヘキサフルオロプロピレン(FEP),テトラフル
オロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル
(PFA),ポリクロロトリフルオロエチレン(PCT
FE),ポリふっ化ブニリデン(PVDF),ポリふっ
化ビニル,エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体
(ETFE),エチレン/クロロトリフルオロエチレン
共重合体(ECTFE),テトラフルオロエチレン/ヘ
キサフルオロプロピレン/パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体(FEPPFA)が挙げられる。な
お、本発明で用いるフッ素樹脂繊維には、その1種以上
を混合して使用することもできるし、更に、各種芳香族
繊維、耐熱性、難燃繊維等を混合することも出来る。中
でもPTFE繊維は、誘電率、誘電正接が低く、耐熱
性、耐薬品性にも優れているので好ましい。なお、本発
明で用いられるフッ素樹脂繊維の直径及び繊維長は、特
に限定されず、本発明での湿式抄造法により抄紙が出来
れば、形状は繊維状あるいは、球状、フィブリル状、パ
ルプ状等特に限定はなく、いずれの形状でも差支えな
い。
【0009】又、本発明に於いて使用される無機微粒子
としては、二酸化チタン系セラミック、チタン酸バリウ
ム系セラミック、チタン酸ストロンチウム系セラミッ
ク、チタン酸カルシウム系セラミック、チタン酸ビスマ
ス系セラミック、チタン酸マグネシウム系セラミック、
ジルコン酸鉛系セラミックを挙げることができ、これら
のセラミックの1種又は2種以上を混合して使用しても
差支えない。なお、前記二酸化チタン系セラミックと
は、組成的には二酸化チタンのみを含む系、又は二酸化
チタンに少量の他の添加物を含む系で、主成分である二
酸化チタンの結晶構造が保持されているものを言う。他
の系のセラミックもこれと同様に基本結晶構造が保持さ
れれば、少量の他の添加物を含むものをも含むものであ
る。
【0010】無機微粒子の粒径としては、約50μm以
下のものが用いられるが、好ましくは0.1〜20μ
m、更に好ましくは0.1〜15μmの範囲のものであ
る。これは微粒子の粒径が上記範囲より大きいと、フッ
素樹脂繊維への均一な分散や混合が困難になり、逆に上
記範囲より小さいと凝集し難く、湿式抄造する場合に微
粒子が脱落してしまい、フッ素樹脂繊維紙状物の中に残
らなくなるためである。なお、本発明でいう無機微粒子
は、粒状のもの以外に繊維状のものも包含するものであ
る。
【0011】無機微粒子のフッ素樹脂繊維への添加量
は、無機微粒子の含有量が多い程、プリント基板のXY
方向とZ方向の熱膨張係数の差が無くなり、温度変化に
よる積層板の寸法変化が抑えられる。また、誘電率の高
誘電率化が可能となる。具体的には、プリント基板で求
められる誘電率の値によって決定される。
【0012】又、本発明に於いて使用される中空微粒子
とは、粒子の内部が空洞になっているものであり、具体
的には天然火山性ガラス微粒子を加熱発泡させたシラス
バルーンやガラス微小中空球であるガラスバルーン、シ
リカバルーン等を挙げることができる。なお、粒子の内
部が中空になっているものならば、これに限定されるも
のではない。なお、中空微粒子の粒径としては、約20
0μm以下のものを用いることができ、好ましくは0.
1〜50μm、より好ましくは0.1〜20μmを用い
ることができる。
【0013】中空微粒子のフッ素繊維紙への添加量は、
用途に応じて量が決定される。具体的には、中空微粒子
の含有量が多い程、プリント基板のXY方向とZ方向の
熱膨張係数の差が無くなり、温度変化による積層板の寸
法変化が抑えられ、また、低誘電率化が進む。しかし、
添加量が増加するに従いフッ素樹脂繊維紙への均一分
散、混合が困難になり、また、プリント基板にした場合
に機械的強度の低下がみられる。また、中空微粒子の添
加量のコントロールでプリント基板の誘電率の値をコン
トロールすることができる。
【0014】本発明に於いて使用される耐熱性絶縁繊維
としては、ガラス繊維、ポリパラフェニレンベンゾビス
オキサゾール繊維(PBO繊維)、芳香族ポリエステル
繊維、ポリフェニレンスルフィッド繊維、全芳香族ポリ
アミド繊維等を使用することができる。また、前記耐熱
性絶縁繊維の添加によって、フッ素樹脂繊維を主成分と
する紙状物のシート強度を向上し、耐熱性を付与するこ
とができる。また更に、プリント基板用途に於いては、
プリント基板のXY方向及びZ方向の熱膨張係数を抑え
たり、プリント基板の曲げ強度及び曲げ弾性などの機械
的強度の向上を図ることができる上、配合量によって比
誘電率の調整も可能となる。
【0015】なおまた、無機微粒子あるいは中空微粒子
と耐熱性絶縁繊維をフッ素樹脂繊維紙に一緒に含有する
ことも差支えない。
【0016】前記耐熱性絶縁繊維に於いて、ガラス繊維
以外の高分子繊維はフィブリル化させて使用することも
でき、それによって繊維間の絡み合いが強固になり、更
にシート強度が向上する。フィブリル化のための手段と
しては、一般的な叩解機であるボールミル、ビーター、
ランペンミル、PFIミル、SDR(シングルディスク
リファイナー)、DDR(ダブルディスクリファイナ
ー)、その他リファイナー等を使用することができる。
フィブリル化の度合いは、無機微粒子あるいは中空微粒
子を一緒にフッ素樹脂繊維紙に含有した場合、無機微粒
子あるいは中空微粒子の保持力に影響し、フィブリル化
の度合いが進む程無機微粒子あるいは中空微粒子の保持
力向上に寄与できる。なお、上記耐熱性絶縁繊維の直径
は、1〜50μm、長さは0.1〜10mmのものが用
いられる。
【0017】本発明のフッ素樹脂繊維紙あるいは耐熱性
絶縁繊維含有フッ素樹脂繊維紙の製造方法は、通常の湿
式抄造法が用いられる。すなわち、本発明の製造方法
は、フッ素樹脂繊維あるいはフッ素樹脂繊維と耐熱性絶
縁繊維とを規定量秤量し、水中で攪拌し、混合し、好ま
しくは固形分濃度が0.5%以下になるように濃度調整
したスラリーを長網式、円網式等の湿式抄紙機に適用
し、連続したワイヤメッシュ状の脱水パートで脱水し、
その後、多筒式ドライヤーやヤンキードライヤーで乾燥
して一次シートを得る。次に該一次シートをフッ素樹脂
繊維の融点以上の温度で加熱処理、あるいは熱圧着ロー
ルに適用することによって、フッ素樹脂繊維が溶融する
ことにより、繊維間の融着、結着及び繊維間の絡み合い
を強固にし、フッ素樹脂繊維あるいはフッ素樹脂繊維含
有フッ素樹脂繊維紙を得る。
【0018】本発明で用いられる無機微粒子含有あるい
は中空微粒子含有フッ素樹脂繊維紙の製造方法は、通常
の製紙に用いられる湿式抄造法が用いられる。すなわ
ち、本発明の製造方法は、無機微粒子あるいは中空微粒
子を規定量秤量し、凝集剤とともに水中で攪拌し、無機
微粒子あるいは中空微粒子を凝固させる。その凝集無機
微粒子あるいは中空微粒子の規定量とフッ素樹脂繊維を
水中で攪拌、混合し、好ましくは固形分濃度が0.5%
以下になるように濃度調整したスラーを長網式、円網式
等の湿式抄造機に適用し、連続したワイヤーメッシュ状
の脱水パートで脱水し、その後、多筒式ドライヤーやヤ
ンキードライヤーで乾燥して一次シートを得る。次に該
一次シートをフッ素樹脂繊維の融点以上の温度で加熱処
理、あるいは熱圧着ロールに適用することによって、フ
ッ素樹脂繊維の溶融による繊維間の融着、結着あるいは
繊維間の絡み合いを強固にし、また、無機微粒子あるい
は中空微粒子とフッ素樹脂繊維を融着、結着させて無機
微粒子あるいは中空微粒子含有フッ素樹脂繊維紙を得
る。
【0019】本発明で無機微粒子あるいは中空微粒子を
凝集させるのに使用する凝集剤は、通常の製紙や産業廃
水や生活廃水の凝集処理等に用いられる一般的な凝集剤
が使用できる。具体的には、硫酸バンド、ポリ塩化アル
ミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アルキルア
ミン・エピクロルヒドリン縮合物、エチレンイミン、ア
ルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮
合物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ポリアク
リルアミド系、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(メ
タ)アクリル酸アミノアルキルエステル系、ポリアクリ
ルアミドのマンニッヒ変性物、キトサン、その他の無機
凝集剤、有機凝集剤、高分子凝集剤があり、フッ素樹脂
繊維に含有されている無機微粒子あるいは中空微粒子の
種類に応じて、それに適した凝集剤を選択して使用する
ことができる。また、中空微粒子の凝集効果を挙げて歩
留りを向上させるためには、無機凝集剤と有機凝集剤あ
るいは高分子凝集剤の併用、さらにはポリアクリルアミ
ド系、ポリエチレンオキサイド系等の合成粘剤の添加が
好ましい。また、凝集剤の添加量は、無機微粒子あるい
は中空無機微粒子の凝集状態に応じて決定される。
【0020】また、本発明に於いて、フッ素樹脂繊維
紙、無機微粒子あるいは中空無機微粒子あるいは耐熱性
絶縁繊維含有フッ素樹脂繊維紙には通常の製紙で用いら
れる各種の紙力増強剤、分散剤、消泡剤、合成粘剤や顔
料成分等の添加剤を配合することができる。本発明に於
けるフッ素樹脂繊維紙の厚さ及び坪量は、使用用途に応
じて適切な厚さ及び坪量が決定される。このようにして
得られた本発明に於けるフッ素樹脂繊維紙は、不織布の
製造に使用される乾式法と比較して、繊維あるいは添加
物が均一に存在するために、地合いが均一であるという
優れた効果を奏することができる。
【0021】本発明のプリント基板用基材シートは、ガ
ラスクロスの少なくと片面にフッ素樹脂繊維紙を配置
し、更にその上に銅箔を重ねて配置し、出来上がった銅
箔/フッ素樹脂繊維紙/ガラスクロスもしくは銅箔/フ
ッ素樹脂繊維紙/ガラスクロス/フッ素樹脂繊維紙/銅
箔の積層体を真空加熱プレス機にて一体成型プレスをす
ることによって作製される。又、ガラスクロスとフッ素
樹脂繊維紙とは、重ね枚数に特に限定されず、銅箔/フ
ッ素樹脂繊維紙/ガラスクロス/フッ素樹脂繊維紙/ガ
ラスクロス/フッ素樹脂繊維紙/銅箔のように、銅箔の
間であれば、フッ素樹脂繊維紙とガラスクロスは用途に
応じて複数枚重ねあわせることができる。また、銅箔/
フッ素樹脂繊維紙/フッ素樹脂繊維紙/ガラスクロス/
フッ素樹脂繊維紙/フッ素樹脂繊維紙/銅箔のように、
一枚のガラスクロスを中心にフッ素樹脂繊維紙を複数枚
ガラスクロスの上面及び下面に重ね合わせることもでき
る。
【0022】この場合、フッ素樹脂繊維紙として、10
0%フッ素樹脂繊維紙、無機微粒子あるいは中空微粒子
あるいは耐熱性絶縁繊維を含有したフッ素樹脂繊維紙の
いずれも用途に応じて使用することができる。また、こ
れらを複合して使用することもできる。例えば、上記フ
ッ素樹脂繊維紙の代わりに以下の無機微粒子含有フッ素
樹脂繊維紙、中空微粒子含有フッ素樹脂繊維紙、耐熱性
絶縁繊維含有フッ素樹脂繊維紙を用いることにより、誘
電率6.0以上(6.0≦ε)かつ誘電正接が低い高誘
電率なプリント基板用基材シートや、誘電率2.1以下
(2.1≧ε)の低誘電率なプリント基板用基材シート
や、耐熱性絶縁繊維によって耐熱性、寸法安定性および
機械的強度に優れたプリント基板用基材シートの作製も
可能となる。
【0023】また、一枚のガラスクロスの上面及び下面
に、100%フッ素樹脂繊維紙を重ねて配置し、更にそ
の積層体の上面及び下面に耐熱性絶縁繊維としてガラス
繊維を使用したフッ素樹脂繊維紙を複数枚重ねて配置
し、加圧加熱処理で作製した銅張板は、ガラスクロスを
コアとしているために寸法安定性に優れ、かつ表面にガ
ラスクロスの編み目による凹凸を持たない良好なプリン
ト基板用基材シートが得られる。また、本発明に使用さ
れるガラスクロスは特に限定されるものではなく、用途
に応じて様々な種類のものが使用できる。
【0024】更にまた、本発明に使用される銅箔以外に
アルミニウム、真鍮、ニッケル、鉄等の単独、合金、複
合箔も用いることも考えられるが、特に銅箔は電気導電
性が良好で可撓性があり、カバーレイを施すことにより
耐酸化性となり、最も好ましい。ここに用いられる銅箔
としては圧延銅箔、電解銅箔いずれでも差支えない。銅
箔は予め回路を形成して用いることもできるが、貼りつ
けした後にエッチッグにより回路を形成して、その上に
カバーレイを施すことにより回路基板とすることができ
る。また、必要に応じて銅箔の片面には予め接着剤を塗
布して使用することができる。銅箔の厚みは特に限定さ
れるものではないが、35μm以下のものが好ましく、
高周波プリント回路では加工精度がよくなるので好まし
い。また、加圧加熱処理条件はフッ素樹脂の融点以上の
温度で、真空下で加圧するのが好ましい。加圧条件は特
に限定されるものではない。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明を更
に詳細に説明する。
【0026】実施例1 5リットルの水を入れた容器中に往復回転式アジテータ
ーの羽根を入れ攪拌し、この中にフッ素樹脂繊維とし
て、PTFE樹脂繊維(東レファインケミカル社製、商
品名:トヨフロン、繊維長3mm)を添加し、往復回転
式アジテーターで攪拌し、均一に分散させる。この原材
料分散液から規定量採取し、TAPPIに規定する標準
型手抄き装置を用いて湿紙を作製した。その後、プレス
脱水を行い、130℃に加熱調整したヤンキー式ドライ
ヤーを用いて、湿紙の乾燥を行い一次シートを得た。そ
の後該一次シートを320℃以上に加熱調整した電気炉
に入れて10分間熱処理して、繊維間及び繊維と微粒子
間を融着して、厚さ350μmのフッ素樹脂繊維紙から
なる紙状物を得た。得られた紙状物をガラスクロス(日
東紡績社製、商品名:WEA05E)の上下に重ねて配
置し、更に金属箔として電解銅箔(福田金属箔工業社、
商品名:CF−T9、厚さ18μm)を重ねて配置し、
真空下で、1MPaの加圧,380℃の加熱下で90分
間プレスを行い本発明のプリント基板用基材シートを得
た。
【0027】実施例2 5リットルの水を入れた容器中に往復回転式アジテータ
ーの羽根を入れ攪拌し、この中に無機微粒子であるチタ
ン酸バリウム(堺化学工業社製、商品名:BT−05,
平均粒子径5μm)微粒子と、無機凝集剤(日本軽金属
社製、商品名:硫酸バンド)を上記微粒子に対して6重
量%、高分子凝集剤(栗田工業社製、商品名:ハイホル
ダー109)を上記微粒子に対して3重量%、合成粘剤
(ダイヤフロック社製、商品名:ACRYPERSE)
を上記微粒子に対して2.5重量%添加して攪拌し、無
機微粒子を凝集させる。攪拌を止めて、上澄みである凝
集剤水溶液を除去し、10リットルの水を入れた容器中
にその凝集無機微粒子とフッ素樹脂繊維としてPTFE
繊維を40Vol%対60Vol%の比率で添加し、往
復回転式アジテーターで攪拌し、均一に分散させる。こ
の原材料分散液から規定量採取し、TAPPIに規定す
る標準型手抄き装置を用いて湿紙を作製した。その後、
プレス脱水を行い、130℃に加熱調整したヤンキー式
ドライヤーを用いて、湿紙の乾燥を行い一次シートを得
た。その後該一次シートを320℃以上に加熱調整した
電気炉に入れて10分間熱処理して、繊維間及び繊維と
微粒子間を融着して、厚さ400μmの無機微粒子含有
フッ素樹脂繊維紙からなる紙状物を得た。得られた紙状
物をガラスクロス(日東紡績社製、商品名:WEA05
E)の上下に重ねて配置し、更に金属箔として電解銅箔
(福田金属箔工業社製、商品名:CF−T9、厚さ18
μm)を重ねて配置し、真空下で、1MPaの加圧、3
80℃の加熱で90分間プレスを行い本発明のプリント
基板用基材シートを得た。
【0028】実施例3 微粒子として中空微粒子であるガラスバルーン(住友ス
リーエム社製、商品名:スコッチライトグラスバブルズ
フィラーS−60,平均粒子径20μm)を用いた以外
は実施例2と同様にして、本発明のプリント基板用基材
シートを得た。
【0029】実施例4 耐熱性絶縁繊維としてガラス繊維(ユニチカガラスファ
イバー社製、商品名:PDE1/8ZA509、繊維長
3mm)を用い、PTFE繊維対ガラス繊維の配合比率
を90Vol%対10Vol%とした以外は実施例1と
同様にして、本発明のプリント基板用基材シートを得
た。
【0030】比較例1 ガラスクロスを基材として使用しないこと以外は実施例
1と同様にして、比較用のプリント基板用基材シートを
得た。
【0031】比較例2 ガラスクロスを基材として使用しないこと以外は実施例
2と同様にして、比較用のプリント基板用基材シートを
得た。
【0032】比較例3 ガラスクロスを基材として使用しないこと以外は実施例
3と同様にして、比較用のプリント基板用基材シートを
得た。
【0033】比較例4 ガラスクロスを基材として使用しないこと以外は実施例
4と同様にして、比較用のプリント基板用基材シートを
得た。
【0034】比較例5 ガラスクロスを基材にPTFE樹脂を含浸、焼成処理を
した市販のプリント基板用基材シート(アーロン社製、
商品名:DICLAD 522)を準備した。
【0035】得られた本発明および比較用のプリント基
板用基材シートに対して下記の評価を行った。
【0036】 (1)比誘電率:JIS C 6481に準じて測定し
た。 (2)はんだ耐熱性:JIS C 6481に準じて測
定した。 (3)耐熱性:JIS C 6481に準じて測定し
た。 (4)吸水率:JIS C 6481に準じて測定し
た。 (5)熱膨張係数:得られたプリント基板用基材シート
の銅箔をエッチングにより除去した試料を熱分析装置T
MAを用いて、25〜150℃まで2℃/minで昇温
させ、水平(XY)方向及び厚さ(Z)方向の寸法変化
率を測定した。 (6)寸法変化率:アニール処理(150℃/30分)
後をJIS C 6481に準じて測定した。 こららの測定値を表1に纏めて示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より、次の諸点が確認された。すなわ
ち、実施例に示す本発明のプリント基板用基材シート
は、明らかにガラスクロスを基材として用いない比較例
に示すシートに比較して寸法安定性に優れていることが
明らかとなった。また、はんだ耐熱性及び耐熱性評価に
於いていずれも膨れ、銅箔の剥がれ等の問題はなく、良
好であった。また、吸水率も低く良好であった。誘電率
は使用するフッ素樹脂繊維紙によりコントロールでき、
寸法変化率及び熱膨張係数も使用するフッ素樹脂繊維紙
によりコントロールできる。比較例5として市販のガラ
スクロスを基材としたシートと比較しても実施例のガラ
スクロスを基材とした本発明のシートは、いずれも実用
的に問題のない特性であり、本発明による簡単なフッ素
樹脂銅張り板の作製方法により実用的に問題のないガラ
スクロスを基材としたプリント基板用基材シートを作製
できることが明らかとなった。
【0039】
【発明の効果】本発明に係るガラスクロスを基材として
なるプリント基板用基材シートに於いて、ガラスクロス
の少なくとも片面にフッ素樹脂繊維を主成分とする紙状
物と銅箔とを重ねて配置し、更にこの積層体を加熱加圧
処理して一体化成型することにより、含浸工程を必要と
せず、簡単にガラスクロスを基材としたプリント基板用
基材シートを作製するという格別の効果を奏することが
できる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA00B AA00D AB17C AB17E AB33C AB33E AG00A AK17B AK17D AK18 BA03 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10C BA10E DE01B DE01D DE04B DE04D DG01B DG01D DG10B DG10D DG11A EH41 EJ17 EJ42 GB43 JA02 JD15 JJ03 JJ03B JJ03D JK06 JL02 JL04 JL11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスクロスの少なくとも片面にフッ素
    樹脂繊維を主成分とする紙状物と銅箔とが順次積層さ
    れ、加熱加圧処理により一体成形されてなることを特徴
    とするプリント基板用基材シート。
  2. 【請求項2】 フッ素樹脂繊維を主成分とする紙状物中
    に無機微粒子が含有されていることを特徴とする請求項
    1記載のプリント基板用基材シート。
  3. 【請求項3】 フッ素樹脂繊維を主成分とする紙状物中
    に中空微粒子が含有されていることを特徴とする請求項
    1記載のプリント基板用基材シート。
  4. 【請求項4】 フッ素樹脂繊維を主成分とする紙状物中
    にフッ素樹脂繊維以外の耐熱性繊維が混抄されているこ
    とを特徴とする請求項1記載のプリント基板用基材シー
    ト。
  5. 【請求項5】 ガラスクロスの少なくとも片面にフッ素
    樹脂繊維を主成分とする紙状物と銅箔とを順次重ねて配
    置し積層体を形成し、次いで該積層体を加熱加圧処理に
    より一体成形することを特徴とするプリント基板用基材
    シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006229028A (ja) * 2005-02-18 2006-08-31 Tomoegawa Paper Co Ltd プリント基板用銅張板およびその製造方法
JP2018014387A (ja) * 2016-07-20 2018-01-25 住友電工ファインポリマー株式会社 基板、フレキシブルプリント配線板用基材、フレキシブルプリント配線板及び基板の製造方法

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