JP2003308984A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法

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JP2003308984A
JP2003308984A JP2002115440A JP2002115440A JP2003308984A JP 2003308984 A JP2003308984 A JP 2003308984A JP 2002115440 A JP2002115440 A JP 2002115440A JP 2002115440 A JP2002115440 A JP 2002115440A JP 2003308984 A JP2003308984 A JP 2003308984A
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organic
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conductive composition
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JP2002115440A
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English (en)
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Kiwako Omori
喜和子 大森
Takayuki Imai
隆之 今井
Akinobu Ono
朗伸 小野
Toshiyuki Honda
俊之 本多
Koji Okamoto
航司 岡本
Masafumi Ito
雅史 伊藤
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程が簡略化され、大面積化および微細
加工が可能な有機EL素子およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 陽極層2が積層されたガラス基板1にホ
ール輸送層3、発光層4、電子輸送層5、陰極層6、集
電電極層7が順次積層され、陰極層6および集電電極層
7が粒子状銀化合物を含む導電性組成物で形成された有
機EL素子。導電性組成物がさらに還元剤および/また
はバインダを含むか、または粒子状酸化銀と三級脂肪酸
銀を含む。陽極層2が積層されたガラス基板1の表面に
ホール輸送層3、発光層4、電子輸送層5を形成する材
料の溶液を塗布、乾燥して、これらを順次積層し、電子
輸送層5に粒子状銀化合物を含む導電性組成物を塗布、
加熱して陰極層6および集電電極層7を形成する有機E
L素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネッセンス素子およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子(以下、
「EL素子」と略す。)は、蛍光性化合物に電場を加え
ることにより励起し、発光する素子である。EL素子に
は、発光層が無機化合物である無機EL素子と、有機E
L素子とがある。特に、有機EL素子は、高輝度、高効
率、直流低電圧駆動、高速応答性、多色化などの点で無
機EL素子よりも優れている。有機EL素子の発光機構
は、外部から電子とホール(正孔)を注入し、これらの
再結合エネルギーによって、発光中心を励起することに
よるものである。
【0003】図1は、有機EL素子の構成の一例を示す
概略断面図である。この例の有機EL素子は、ITO膜
からなる陽極層2が表面に積層されたガラス基板1と、
ホール輸送層3と、発光層4と、電子輸送層5と、陰極
層6と、集電電極層7とが順次積層され、陽極層2と集
電電極層7が配線8を介して、電池などからなる電源9
に接続されているものである。
【0004】このような有機EL素子の製造方法として
は、表面にITO(Indium tin oxide)電極からなる
陽極層2が積層されたガラス基板1上に、ホール輸送層
3、発光層4および電子輸送層5からなる有機発光層
と、陰極層6および集電電極層7とを、真空蒸着装置に
よって、連続的に順次積層する方法、あるいは、前述の
有機発光層を真空蒸着した後、この有機発光層の上に、
フォトリソグラフィにより陰極層6および集電電極層7
の形状に合わせたマスクを形成し、陰極層6および集電
電極層7を真空蒸着により形成する方法が挙げられる。
【0005】陰極層6および集電電極層7を形成する材
料としては、仕事関数の小さな(4.0eV以下)金属
や合金が用いられている。例えば、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、ガリウム、インジウムなどの第III族金
属が挙げられるが、これらの中でも、安価で化学的に安
定なマグネシウムの合金が最も広く用いられている。こ
のマグネシウム合金には、銀や銅を5〜10重量%加え
て酸化を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
有機EL素子の製造方法では、真空蒸着装置やクリーン
ルームを用いて各工程を行なうため、工程が複雑な上
に、製造装置が巨大化し、多量のエネルギーを消費する
ことになるから、製造コストが増加する。また、真空蒸
着装置を用いて、有機EL素子を構成する材料を積層す
る際の形成速度は、厚みに換算すると、0.2〜0.3
nm/s程度であり、150nmの厚みの有機発光層を
形成するのに、単純計算で8分以上もかかってしまい生
産性が悪かった。さらに、陰極層6および集電電極層7
を真空蒸着する際には、蒸発温度が1000℃を超える
ため、陽極層2、発光層4などや、フォトレジストによ
り形成されたマスクが熱により劣化することがあった。
これに加えて、真空蒸着では、有機EL素子を大面積化
することが困難であった。そして、フォトレジストを用
いてマスクを形成する際に、有機溶媒からなる現像液に
より、フォトレジストを現像処理すると、有機発光層が
溶解してしまい、有機EL素子を微細加工することがで
きなかった。
【0007】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、製造工程が簡略化され、大面積化および微細加工が
可能な有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製
造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題は、陽極層が積
層されたガラス基板の表面に、ホール輸送層と、発光層
と、電子輸送層と、陰極層と、集電電極層とが順次積層
されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子におい
て、前記陰極層および前記集電電極層が、粒子状銀化合
物を含む導電性組成物で形成された有機エレクトロルミ
ネッセンス素子によって解決できる。前記粒子状銀化合
物が、酸化銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチルアセトン銀錯
体から選ばれる1種類以上であることが好ましい。前記
導電性組成物がさらに還元剤を含むことが好ましい。前
記導電性組成物が粒子状酸化銀と三級脂肪酸銀を含むも
のであることが好ましい。前記課題は、陽極層が積層さ
れたガラス基板の表面に、ホール輸送層、発光層、電子
輸送層を形成する材料の溶液を塗布し、乾燥して、前記
ホール輸送層、前記発光層、前記電子輸送層を順次積層
し、該電子輸送層の表面に粒子状銀化合物を含む導電性
組成物を塗布し、加熱して陰極層を形成し、該陰極層の
表面に粒子状銀化合物を含む導電性組成物を塗布し、加
熱して集電電極層を形成し、有機エレクトロルミネッセ
ンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子
の製造方法によって解決できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図1を用いて、本発明を詳
しく説明する。本発明の有機EL素子は、図1に示した
陰極層6および集電電極層7が、粒子状銀化合物を含む
導電性組成物で形成されているものである。
【0010】以下、本発明で用いられる導電性組成物に
ついて説明する。この導電性組成物は、本発明者が先に
特願2001−398425、特願2001−3356
75、特願2002−108178として特許出願した
もので、粒子状銀化合物を必須成分とし、これにさらに
還元剤および/またはバインダを必要に応じて含むも
の、あるいは粒子状酸化銀と三級脂肪酸銀塩を含有する
ものである。
【0011】この導電性組成物に用いられる粒子状銀化
合物とは、単なる加熱あるいは還元剤の存在下における
加熱によって還元されて、金属銀となる性質を有する固
体粒子状の銀化合物である。
【0012】この粒子状銀化合物の具体的なものとして
は、酸化第1銀、酸化第2銀、炭酸銀、酢酸銀、アセチ
ルアセトン銀錯体などが挙げられる。これらは2種以上
を混合して使用することもできる。この粒子状銀化合物
は、工業生産されたものを用いることができるほか、後
述する水溶液からの反応によって得られたものを用いて
もよい。
【0013】この粒子状銀化合物の平均粒径は、0.0
1〜10μmの範囲とされ、還元反応条件;加熱温度、
還元剤の有無、還元剤の還元力などに応じて適宜選択す
ることができる。特に、平均粒径が0.5μm以下の粒
子状銀化合物を用いると還元反応の速度が速くなり好ま
しい。また、平均粒径が0.5μm以下のものは銀化合
物と他の化合物との反応によって生成したもの、例えば
硝酸銀水溶液に、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶
液を、撹拌しながら滴下して反応させて酸化銀を得る方
法によって製造することができる。この場合、溶液中に
分散安定剤を添加して、析出した粒子状銀化合物の凝集
を防止することが望ましい。
【0014】また、還元剤は、上述の粒子状銀化合物を
還元するもので、還元反応後の副生成物が気体や揮発性
の高い液体となり、生成された導電性被膜内に残らない
ものが好ましい。このような還元剤の具体的なものとし
ては、エチレングリコール、ホルマリン、ヒドラジン、
アスコルビン酸、各種アルコールなどが挙げられる。こ
の還元剤の使用量は、粒子状銀化合物1モルに対して0
〜20モル程度とすることが望ましい。反応効率や加熱
による揮発を考慮とすると、等モルより多めに添加する
ことが望ましいが、最大20モルを越えて添加してもそ
の分は無駄になる。
【0015】また、粒子状銀化合物あるいは粒子状銀化
合物と還元剤とを分散あるいは溶解し、液状の導電性組
成物を得るために分散媒が使用される。この分散媒に
は、水、エタノール、メタノール、プロパノールなどの
アルコール類、イソホロン、テルピネオール、トリエチ
レングリコールモノブチルエーテル、ブチルセロソルブ
アセテートなどの有機溶剤が使用される。
【0016】また、上記還元剤が液状で粒子状銀化合物
を分散するものであれば、還元剤が分散媒を兼ねること
ができ、このようなものにはエチレングリコールなどが
ある。この分散媒の種類の選択とその使用量は、粒子状
銀化合物や製膜条件などにより適宜調整される。
【0017】また、分散剤を添加して平均粒径が1μm
以下の粒子状銀化合物を良好に分散させて、粒子状銀化
合物の二次凝集を防止することが好ましい。この分散剤
には、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコールなどが用いられ、その使
用量は粒子状銀化合物100重量部に対して0〜300
重量部とされる。
【0018】導電性組成物の第1の例は、上述の粒子状
銀化合物を分散媒に分散したものである。また、必要に
応じて分散剤が添加されていてもよい。この例で用いら
れる粒子状銀化合物は、その平均粒径が1μ以下の粒径
の小さいものが還元反応速度が速くなって好ましい。
【0019】また、この例の導電性組成物の粘度は、製
膜条件によって異なるが、30〜300ポイズ程度が好
ましい。また、この例の導電性組成物による陰極層6ま
たは集電電極層7の形成方法は、この導電性組成物を電
子輸送層5または陰極層6に適宜の手段で塗布した後、
これを単に加熱するだけでよい。加熱温度は180〜2
00℃、加熱時間は10秒〜120分程度とされる。
【0020】導電性組成物の第2の例は、粒子状銀化合
物と還元剤を分散媒に分散、溶解したものである。この
例でも必要に応じて分散剤を添加してもよい。この例で
用いられる粒子状銀化合物の平均粒径は、小さいものに
限られることはなく、0.01〜10μmの範囲であれ
ば特に支障はなく、還元剤の存在により、1μm以上の
粒子でも、還元反応がスムーズに進行する。また、この
例の導電性組成物の粘度は、製膜条件によって異なる
が、30〜300ポイズ程度が好ましい。
【0021】この例の導電性組成物による陰極層6また
は集電電極層7の形成方法も、この導電性組成物を電子
輸送層5または陰極層6に適宜の手段で塗布した後、こ
れを単に加熱するだけでよい。加熱温度は還元剤の存在
により、第1の例のものよりも低くてよく140〜16
0℃、加熱時間は10秒〜120分程度とされる。
【0022】導電性組成物の第3の例は、上述の第1の
例または第2の例の組成物にさらにバインダを添加した
ものである。このバインダは、得られる導電性被膜を保
護し、柔軟性を付与するもので、従来の導電性ペースト
に配合されるものとはその機能が異なるものである。こ
のバインダとしては、多価フェノール化合物、フェノー
ル樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の1種または2種以上の
混合物が用いられる。
【0023】また、バインダとしては、これら樹脂、化
合物の中でもそれ自体還元作用を有するもの、換言すれ
ば酸化重合性を有し、加熱時に粒子状銀化合物を還元す
るとともにそれ自体が重合するものが好ましく、このよ
うなバインダを選択することにより、還元剤の添加量を
減量することができ、あるいは還元剤を不要とすること
もできる。このような還元作用を有するバインダには、
多価フェノール化合物、フェノール樹脂、アルキッド樹
脂などが挙げられる。
【0024】熱硬化性樹脂を用いる場合には、未硬化樹
脂とこれを硬化させる硬化剤、触媒などを用いる。バイ
ンダの配合量は、粒子状銀化合物100重量部に対し
て、1〜20重量部、好ましくは1〜5重量部とされ
る。1重量部未満では、配合効果が得られず、20重量
部を超えると硬化物の体積抵抗率が大きくなり、また有
機EL素子としたときの熱衝撃、機械的ストレスが劣る
ことになる。
【0025】この例の導電性組成物による陰極層6また
は集電電極層7の形成方法も、この導電性組成物を電子
輸送層5または陰極層6に適宜の手段で塗布した後、こ
れを単に加熱するだけでよい。加熱温度は、還元剤が含
まれていないものでは180〜200℃とされ、還元剤
が含まれたものでは140〜160℃とされ、加熱時間
はいずれも10秒〜120分程度とされる。
【0026】導電性組成物の第4の例は、粒子状酸化銀
と三級脂肪酸銀塩を含むものである。この粒子状酸化銀
の粒径は500nm以下が好ましく、これよりも大きい
粒径の酸化銀を用いる場合には、導電性組成物の製造過
程(混練工程)でこれを粉砕してその粒径を500nm
以下とすることが好ましい。
【0027】三級脂肪酸銀塩とは、総炭素数が5〜3
0、好ましくは10〜30の三級脂肪酸の銀塩である。
この三級脂肪酸銀塩は、滑剤的な役割を果たし、酸化銀
と三級脂肪酸銀塩とを混練してペースト状にする際に、
酸化銀を粉砕して微粒子化を促進するととともに、酸化
銀粒子の周囲に存在して酸化銀粒子の再凝集を抑制し、
分散性を向上させる。このため、バインダを添加しなく
ともペースト状にすることができる。
【0028】また、この三級脂肪酸銀塩は、加熱時に銀
を析出し、酸化銀から還元して生成する銀粒子同士を融
着させる。このような三級脂肪酸銀塩の具体例として
は、ピバリン酸銀、ネオヘプタン酸銀、ネオノナン酸
銀、ネオデカン酸銀などが挙げられる。三級脂肪酸銀塩
の製造は、例えば三級脂肪酸を水中でアルカリ化合物で
中和し、これに硝酸銀を反応させることで行われる。
【0029】この例の導電性組成物における粒子状酸化
銀と三級脂肪酸銀塩との配合割合は、酸化銀の重量をA
とし、三級脂肪酸銀塩の重量をBとしたときに、重量比
率(A/B)が1/4〜3/1であることが好ましい。
また、この例の導電性組成物では酸化銀と三級脂肪酸銀
塩以外に溶媒が含まれる。この溶媒には、酸化銀および
三級脂肪酸銀塩と反応を起こさず、これらを良好に分散
するものであれば特に限定されるものではない。
【0030】この例の導電性組成物の製造は、例えば酸
化銀粒子と三級脂肪酸銀塩と溶媒を混合した後、ロール
ミルなどで混練してペースト状にする方法などで行われ
る。この例の導電性組成物の使用方法も、基材1に適宜
の手段で塗布した後、これを単に加熱するだけでよい。
加熱温度は150〜250℃、加熱時間は10秒〜12
0分程度とされる。
【0031】このような導電性組成物を電子輸送層5ま
たは陰極層6に塗布し、加熱して得られた陰極層6また
は集電電極層7では、粒子状銀化合物が還元され、還元
された金属銀粒子が互いに融着して、連続した金属銀の
塗膜もしくは塊となる。このため、この陰極層6または
集電電極層7の体積抵抗率は、3〜8×10-6Ω・cm
に至る低い値を示し、金属銀の体積抵抗率と同オーダー
になる。このため、接続抵抗が低く、大電流を流すよう
な用途にも適用できる。さらに、陰極層6または集電電
極層7を形成する際の加熱温度は、140〜250℃で
十分であるので、樹脂材料からなるホール輸送層3、発
光層4、電子輸送層5を熱劣化させることがない。
【0032】また、加熱硬化後の陰極層6または集電電
極層7には、バインダ、硬化剤、触媒などの添加剤がほ
とんど含まれず、含まれていても極めて少量なので、陰
極層6または集電電極層7は、その大部分が銀粒子から
なり、かつこの銀粒子が直接融着し、結合した状態の高
純度の銀の塊となる。このため、この陰極層6または集
電電極層7は、熱衝撃や機械的ストレスに対して安定な
ものとなって、有機EL素子としての信頼性が向上す
る。
【0033】ホール輸送層3は、1,1−ビス(4−ジ
−p−アミノフェニル)シクロヘキサン、トリフェニル
アミン誘導体、カルバゾール誘導体などで形成されてお
り、ガラス基板1上に積層されたITO膜などからなる
陽極層2から正孔(ホール)を受け取って発光層4まで
輸送する層である。
【0034】発光層4は、低分子蛍光色素、蛍光性の高
分子、金属錯体などの発光物質で形成されている。具体
的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯
体、ビス(ベンゾキノリラト)ベリリウム錯体、トリ
(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム
錯体、ジトルイルビニルフェニル、蛍光性のポリ(p−
フェニレンビニレン)や、ポリアルキルチオフェンのよ
うなπ共役高分子などが挙げられる。発光層4は、電圧
印加時に、陽極層2側から注入された正孔と、陰極層6
側から注入された電子を結合して、その結合エネルギー
を光として放射する層である。さらに、発光層4は、固
体状態で高い量子収率を有することや成膜性のよいこ
と、キャリア輸送性が高いことなどが要求される。
【0035】電子輸送層5は、アントラキノジメタン誘
導体、ジフェニルキノン誘導体、オキサジアゾール誘導
体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体などで形成されて
おり、陰極層6から電子を受け取って発光層まで輸送す
る層である。
【0036】次に、本発明の有機EL素子の製造方法に
ついて説明する。本発明の有機EL素子の製造するに
は、まず、ITO膜からなる陽極層2が積層されたガラ
ス基板1を用意する。次いで、ホール輸送層3、発光層
4、電子輸送層5を形成する樹脂材料を溶媒などに溶解
する。次いで、ホール輸送層3、発光層4、電子輸送層
5を形成する樹脂材料の溶液を、ガラス基板1の陽極層
2の表面に、スピンコート法またはディッピング法によ
り塗布し、乾燥して、ホール輸送層3、発光層4、電子
輸送層5を順次積層、形成する。次いで、電子輸送層5
の表面に粒子状銀化合物を含む導電性組成物を、スクリ
ーン印刷などの適宜の方法により塗布した後、加熱し
て、陰極層6を形成する。次いで、陰極層6の表面に粒
子状銀化合物を含む導電性組成物を、スクリーン印刷な
どの適宜の方法により、電極パターンに塗布した後、加
熱して、集電電極層7を形成する。次いで、陽極層2お
よび集電電極7に配線8を接合し、この配線8を介して
電源9を接続して、有機EL素子を得る。
【0037】このように、本発明の有機EL素子の製造
方法によれば、真空プロセスを用いずに、少ない設備と
簡単な工程により、常温常圧下において、ウェットプロ
セスのみで、有機EL素子を製造できる。したがって、
従来の真空蒸着法を用いた製造方法よりも、低コストで
有機EL素子を製造できる。しかも、スクリーン印刷な
どにより、陰極層および集電電極層を形成することがで
きるから、これらの形成速度が上がり、生産性も向上す
ることができる。なお、このような有機EL素子の製造
方法は、ホール輸送層、発光層および電子輸送層を形成
する材料が、これらを溶媒に溶解して溶液とした場合
に、塗布可能な樹脂材料のときに限られる。
【0038】以下、図1を用いて具体的な実施例を示
し、本発明の効果を明かにする。 (実施例)ITO膜からなる陽極層2が積層されたガラ
ス基板1上に、ポリアルキルチオフェンをスピンコート
法により積層して、厚さ50〜100nmのホール輸送
層3、発光層4および電子輸送層5からなる有機発光層
を形成した後、この有機発光層の表面に粒子状銀化合物
を含む導電性組成物をスクリーン印刷して、150℃で
30分間加熱して、陰極層6および集電電極層7を形成
し、有機EL素子を得た。
【0039】(比較例1)ITO膜からなる陽極層2が
積層されたガラス基板1上に、ポリアルキルチオフェン
をスピンコート法により積層し、その上に銀を蒸着し
て、実施例と同様の構造の有機EL素子を製造した。 (比較例2)実施例と同様の構造の有機EL素子を、ポ
リアルキルチオフェンをスピンコート法により積層し
て、有機発光層を形成した後、銀微粒子をポリエステル
樹脂からなるバインダに混合した銀ペーストをスクリー
ン印刷して、150℃で30分間加熱して、陰極層6お
よび集電電極層7を形成し、有機EL素子を得た。
【0040】実施例および比較例1、2で得られた有機
EL素子の輝度(cd/m2)、輝度効率(lm/W)
および半減寿命(時間)を測定した。結果を表1に示
す。なお、表1に示す値は、比較例1の値を1としたと
きの相対値である。
【0041】
【表1】
【0042】表1の結果から、実施例の有機EL素子
は、従来の真空蒸着法により陰極層6および集電電極層
7を形成した比較例1の有機EL素子と同等の特性が得
られたことが確認された。また、実施例で得られた有機
EL素子は、従来の銀ペーストを用いた比較例2の有機
EL素子より高い発光効率が得られることが確認され
た。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機EL
素子は、陽極層が表面に積層されたガラス基板と、ホー
ル輸送層と、発光層と、電子輸送層と、陰極層と、集電
電極層とが順次積層されてなる有機EL素子において、
前記陰極層および前記集電電極層が、粒子状銀化合物を
含む導電性組成物で形成されたものであるから、陰極層
および集電電極層内で銀粒子同士が相互に融着している
ため、接続信頼性が優れている。また、接続抵抗が低
く、特に大電流を流すような用途に適している上に、発
光効率特性が良い。また、ナノサイズの銀微粒子を用い
ているから、微細な回路からなる有機EL素子を製造す
ることができる。さらに、陰極層および集電電極層が印
刷により形成されているから、常温、常圧で製造するこ
とができる。そして、真空プロセスを用いずに製造され
るから、少ない設備投資と簡単な製造工程で安価に製造
することができる。したがって、製造工程が短くなる。
【0044】本発明の有機EL素子の製造方法によれ
ば、陰極層および集電電極層を印刷により形成すること
ができるから、常温、常圧で有機EL素子を製造するこ
とができる。また、真空プロセスを用いずに製造するこ
とができるから、少ない設備投資と簡単な製造工程で安
価に、有機EL素子を製造することができる。さらに、
スピンコート法、ディッピング法などにより、有機発光
層、陰極層および集電電極層を形成することができるか
ら、従来のように、陰極層および集電電極層の真空蒸着
の際に、その衝撃から有機発光層を保護するための緩衝
層設ける必要がない上に、容易に有機EL素子を大面積
化することができる。さらに、材料の損失が少ない上
に、廃棄物の回収も容易にできる。さらに、陰極層およ
び集電電極層を形成する粒子状銀化合物を含む導電性組
成物は、水またはアルコール類を溶媒としているから、
有機発光層を溶解することがなく、有機発光層の微細加
工が可能となる。そして、低温での加熱により陰極層お
よび集電電極層を形成することができるから、ポリエチ
レンテレフタレートなどの安価で、可撓性のある樹脂製
の基板を用いた有機EL素子を、この基板を熱劣化する
ことなく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 有機ELの構成の一例を示す概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・ガラス基板、2・・・陽極層、3・・・ホール輸送層、
4・・・発光層、5・・・電子輸送層、6・・・陰極層、7・・・集
電電極層、8・・・配線、9・・・電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 隆之 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 (72)発明者 小野 朗伸 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 本多 俊之 埼玉県北葛飾郡鷲宮町桜田5丁目13番1号 藤倉化成株式会社開発研究所内 (72)発明者 岡本 航司 埼玉県北葛飾郡鷲宮町桜田5丁目13番1号 藤倉化成株式会社開発研究所内 (72)発明者 伊藤 雅史 埼玉県北葛飾郡鷲宮町桜田5丁目13番1号 藤倉化成株式会社開発研究所内 Fターム(参考) 3K007 AB03 AB05 AB11 AB18 BA07 CA06 CC00 DB03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極層が積層されたガラス基板の表面
    に、ホール輸送層と、発光層と、電子輸送層と、陰極層
    と、集電電極層とが順次積層されてなる有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子において、 前記陰極層および前記集電電極層が、粒子状銀化合物を
    含む導電性組成物で形成されたことを特徴とする有機エ
    レクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 前記粒子状銀化合物が、酸化銀、炭酸
    銀、酢酸銀、アセチルアセトン銀錯体から選ばれる1種
    類以上であることを特徴とする請求項1記載の有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 前記導電性組成物がさらに還元剤を含む
    ことを特徴とする請求項1または2記載の有機エレクト
    ロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 前記導電性組成物がさらにバインダを含
    むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載
    の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】 前記導電性組成物が粒子状酸化銀と三級
    脂肪酸銀を含むものであることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】 陽極層が積層されたガラス基板の表面
    に、ホール輸送層、発光層、電子輸送層を形成する材料
    の溶液を塗布し、乾燥して、前記ホール輸送層、前記発
    光層、前記電子輸送層を順次積層し、該電子輸送層の表
    面に粒子状銀化合物を含む導電性組成物を塗布し、加熱
    して陰極層を形成し、該陰極層の表面に粒子状銀化合物
    を含む導電性組成物を塗布し、加熱して集電電極層を形
    成し、有機エレクトロルミネッセンス素子を製造するこ
    とを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製
    造方法。
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