JP2003308878A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP2003308878A
JP2003308878A JP2002114245A JP2002114245A JP2003308878A JP 2003308878 A JP2003308878 A JP 2003308878A JP 2002114245 A JP2002114245 A JP 2002114245A JP 2002114245 A JP2002114245 A JP 2002114245A JP 2003308878 A JP2003308878 A JP 2003308878A
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賢治 中井
Kensuke Hironaka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高容量、高出力でありながらも、信頼性の高
い非水電解液二次電池を提供する。 【解決手段】 円筒型リチウムイオン二次電池は、軸芯
11の周りに、正、負極が40回以上捲回され、正極幅
Aが捲回群6の外径Bから内径Cを減じた長さのX倍
(Xは2以上)の捲回群6と、炭酸エステルを主溶媒と
する非水電解液とが電気的に中立な電池容器内に収容さ
れており、非水電解液注液後、12X時間以上経てから
初充電されている。非水電解液が捲回群6内部に十分に
浸透した状態で初充電をし、充放電時の電極反応の不均
一性を抑制した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非水電解液二次電池
に係り、特に、正極及び負極が40回以上捲回された電
極捲回群と、炭酸エステルを主溶媒とする非水電解液と
が電気的に中立な電池容器内に収容され、前記正極及び
負極の少なくとも一方の幅が、前記電極捲回群の外径か
ら内径を減じた長さのX倍(Xは2以上)の非水電解液
二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】非水電解液二次電池を代表するリチウム
イオン二次電池は、高エネルギー密度であるメリットを
活かして、主にVTRカメラやノートパソコン、携帯電
話等のポータブル機器の電源に使用されている。この電
池の内部構造は、通常以下に示されるような捲回式とさ
れている。電極は正極、負極共に活物質が金属箔に塗着
された帯状であり、セパレ−タを挟んで正極、負極が直
接接触しないように断面が渦巻状に捲回され、捲回群を
形成している。この捲回群が電池容器となる円筒状の電
池缶に収納され、非水電解液注液後、封口されている。
【0003】一般的な円筒型リチウムイオン二次電池の
寸法は、18650型と呼ばれる、直径が18mm、高
さ65mmであり、小形民生用リチウムイオン二次電池
として広く普及している。18650型リチウムイオン
二次電池の正極活物質には、高容量、長寿命を特徴とす
るコバルト酸リチウムが主として用いられており、電池
容量は、おおむね1.3Ah〜1.8Ahである。
【0004】一方、自動車産業界においては環境問題に
対応すべく、排出ガスのない、動力源を完全に電池のみ
にした電気自動車と、内燃機関エンジンと電池との両方
を動力源とするハイブリッド(電気)自動車の開発が加
速され、一部実用化の段階にきている。
【0005】電気自動車の電源となる電池には当然高出
力、高エネルギーが得られる特性が要求され、この要求
にマッチした電池としてリチウムイオン二次電池が注目
されている。電気自動車の普及のためには、電池の低コ
スト化が必須であり、そのためには、電池材料の低コス
ト化が求められる。例えば、正極活物質であれば、資源
的に豊富なマンガンの酸化物が特に注目され、電池の高
性能化を狙った改善がなされてきた。また、電気自動車
用の電池としては、高容量だけではなく、加速性能など
を左右する高出力化、つまり電池の内部抵抗の低減が求
められる。更に、電気自動車の長期の使用期間に対応す
べく電池の長寿命化も求められる。ここでいう長寿命化
とは、電池容量のみならず、出力の劣化速度を小さく
し、電気自動車を走行させるに必要な電気エネルギー供
給能力を満足することである。
【0006】長寿命化のために、電極活物質や、非水電
解液の改善が精力的に行われている。もちろん、これら
の改善が、高容量、高出力にもつながるが、高容量、高
出力とするためには、電極捲回群を大形化したり、電極
面積を大きくするために、電極捲回群の捲回数を多くす
ることが一般的である。
【0007】一方、電池構造においては、電池容器は、
金属製で負極端子を兼ねることが一般的である。従っ
て、この場合の電池容器は、負極缶と呼ばれることがあ
る。電池内部で、負極は、負極缶と電気的に接続されて
おり、負極缶は負極の電位と同電位となる。電池の充電
放電に伴いリチウムを吸蔵放出可能な炭素材は、リチウ
ムを未吸蔵の状態、すなわち、非水電解液注液後かつ初
充電前では、リチウムに対して約3Vという高電位を示
す。このような高電位状態では、負極缶材質の金属が溶
解する可能性があるため、例えば、特開平第5−166
535号公報においては、溶解した金属の電池への悪影
響を回避するために、非水電解液注液後、初充電までの
放置時間を24時間以内とすることが好ましいとされて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように、電極捲回群が大形化し、電極面積が大きくなる
と、放置時間が不足し易く、不足した状態では、電極捲
回群内部への電解液の浸透が不十分となり、十分な電池
性能が得られなくなる。また、このような状態で電池の
充放電を繰り返すと、電極捲回群内での電池反応が不均
一な状態となるので、早期寿命に到達するばかりか、場
合によっては、負極に金属リチウムが析出、成長し、セ
パレータを突き破って内部短絡に至る可能性がある。
【0009】特に、電池缶が正極端子も負極端子も兼ね
ない電気的に中立な場合では、特開平第5−16653
5号公報に記載された負極缶の溶解した金属による早期
寿命等の問題は、実質上発生せず、むしろ電極捲回群内
部への非水電解液の浸透性の方がより重要な問題であ
る。
【0010】本発明は上記事案に鑑み、高容量、高出力
でありながらも、信頼性の高い非水電解液二次電池を提
供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、正極及び負極が40回以上捲回された電
極捲回群と、炭酸エステルを主溶媒とする非水電解液と
が電気的に中立な電池容器内に収容され、前記正極及び
負極の少なくとも一方の幅が、前記電極捲回群の外径か
ら内径を減じた長さのX倍(Xは2以上)の非水電解液
二次電池であって、前記非水電解液注液後、12X時間
以上経てから初充電されていることを特徴とする。
【0012】本発明では、正極及び負極が40回以上捲
回されているため電極面積が大きく、正極及び負極の少
なくとも一方の幅を電極捲回群の外径から内径を減じた
長さのX倍(Xは2以上)としたので、高容量、高出力
の非水電解液二次電池とすることができる。また、電池
容器は、電気的に中立で正極及び負極に未接続のため高
電位状態とならず溶解しない。更に、非水電解液注液
後、12X時間以上経ることで、非水電解液が電極捲回
群内部に十分に浸透するので、高容量、高出力とするこ
とができると共に、十分浸透した状態で初充電をするこ
とで、電極反応の不均一性が抑制されるので、電流密度
の集中を抑制して容量劣化を抑制することができる。
【0013】この場合において、Xが5以下のときに
は、Xが5を超えるときに比べて非水電解液の不均一性
の影響がより大きいので、容量劣化を更に抑えることが
できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を電
気自動車用の電源となる円筒型リチウムイオン二次電池
に適用した実施の形態について説明する。
【0015】(正極の作製)図1に示すように、正極活
物質としてマンガン酸リチウム(LiMn)粉末
と、導電材として平均粒子径5μmの黒鉛及びアセチレ
ンブラックと、バインダ(結着剤)としてポリフッ化ビ
ニリデン(PVDF)とを質量比85:8:2:5の割
合で混合し、これに分散溶媒のN−メチル−2−ピロリ
ドン(NMP)を添加、混練したスラリを、厚さ20μ
mのアルミニウム箔の正極集電体W1の両面に塗布し
た。このとき、図2(B)に示すように、正極長寸方向
の一方の側縁に幅c=50mmの未塗布部を残した。そ
の後、乾燥、プレス、裁断して、所定幅、所定長さ、正
極活物質塗布部の厚さ175μmの正極を得た。正極活
物質合剤層W2のかさ密度は2.65g/cmとし
た。上記未塗布部に切り欠きを入れ、切り欠き残部を正
極リード片9とした。後述するように、隣り合う正極リ
ード片9の間隔を間隔b=50mmとし、正極リード片
9の幅をリード片幅a=10mmとした。正極の幅から
正極リード片9の長さRを減じた長さを正極幅とした。
【0016】(負極の作製)負極活物質として非晶質の
炭素粉末92質量部に結着剤として8質量部のポリフッ
化ビニリデンを添加し、これに分散溶媒のN−メチル−
2−ピロリドンを添加、混練したスラリを厚さ10μm
の圧延銅箔の負極集電体W3の両面に塗布した。このと
き、負極長寸方向の一方の側縁に幅c=50mmの未塗
布部を残した。その後、乾燥、負極活物質合剤層W4の
空隙率が約36%となるように負極を圧縮プレスし、裁
断して、正極よりも6mm広い幅、所定長さ、負極活物
質塗布部厚さ105μmの負極を得た。上記未塗布部に
正極と同様に切り欠きを入れ、切り欠き残部を負極リー
ド片9とし、隣り合う負極リード片9の間隔を間隔b=
50mmとし、負極リード片9の幅をリード片幅a=1
0mmとした。負極の幅から負極リード片9の長さRを
減じた長さを、負極幅とした。
【0017】(電池の作製)上記作製した帯状の正極と
負極とを、これら両極が直接接触しないように負極より
も6mm広い幅で厚さ40μmのポリエチレン製セパレ
ータW5を介して、直径14mmのポリプロピレン製軸
芯11を中心に40回以上捲回した。このとき、正極幅
及び負極幅の少なくとも一方の幅を、捲回群6の外径か
ら内径を減じた長さのX倍(Xは2以上)とした。な
お、正極及び負極のリード片9が、それぞれ捲回群6の
互いに反対側の両端面に位置するようにした。
【0018】従って、図2(A)に示すように、正、負
極がセパレータW5を介して40回以上捲回された捲回
群6が、軸芯11の周りに固定されている。正極幅又は
負極幅をA、捲回群6の外径をB、捲回群6の内径をC
としたときに、正極幅及び負極幅の少なくとも一方の幅
は、捲回群6の外径Bから内径Cを減じた長さのX倍
(Xは2.0以上)とされており、下式(1)を満た
す。なお、正、負極活物質塗布部幅は、正、負極幅より
僅かに狭い幅とされている。
【0019】
【数1】 正極から導出されているリード片9を変形させ、その全
てを、軸芯11のほぼ延長線上にある正極外部端子1周
囲から一体に張り出している鍔部7周面付近に集合、接
触させた後、リード片9と鍔部7周面とを超音波溶接し
てリード片9を鍔部7周面に接続し固定した。また、負
極外部端子1’と負極から導出されているリード片9と
の接続操作も、正極外部端子1と正極から導出されてい
るリード片9との接続操作と同様に行った。
【0020】その後、正極外部端子1及び負極外部端子
1’の鍔部7周面全周に絶縁被覆8を施した。この絶縁
被覆8は、捲回群6外周面全周にも及ぼした。絶縁被覆
8には、基材がポリイミドで、その片面にヘキサメタア
クリレートからなる粘着剤を塗布した粘着テープを用い
た。この粘着テープを鍔部7周面から捲回群6外周面に
亘って何重にも巻いて絶縁被覆8とした。捲回群6の最
大径部が絶縁被覆8存在部となるように巻き数を調整
し、該最大径を正極又は負極と未接続で電気的に中立な
円筒状ステンレス製の電池容器5の内径より僅かに小さ
くして捲回群6を電池容器5内に挿入した。
【0021】そして、アルミナ製で円盤状電池蓋4裏面
と当接する部分の厚さ2mm、内径16mm、外径25
mmの第2のセラミックワッシャ3’を、先端が正極外
部端子1を構成する極柱、先端が負極外部端子1’を構
成する極柱にそれぞれ嵌め込んだ。また、アルミナ製で
厚さ2mm、内径16mm、外径28mmの、平板状の
第1のセラミックワッシャ3を電池蓋4に載置し、正極
外部端子1、負極外部端子1’をそれぞれ第1のセラミ
ックワッシャ3に通した。その後、電池蓋4周端面を電
池容器5開口部に嵌合し、双方の接触部全域をレーザ溶
接した。このとき、正極外部端子1、負極外部端子1’
は、電池蓋4の中心に形成された穴を貫通して電池蓋4
外部に突出している。そして、第1のセラミックワッシ
ャ3、金属製ナット2底面よりも平滑な金属ワッシャ1
4を、この順に正極外部端子1、負極外部端子1’にそ
れぞれ嵌め込んだ。なお、電池蓋4には電池の内圧上昇
に応じて開裂する内圧低減機構として開裂弁10が設け
られている。開裂弁10の開裂圧は、1.3×10
1.8×10Paとした。
【0022】次いで、ナット2を正極外部端子1、負極
外部端子1’にそれぞれ螺着し、第2のセラミックワッ
シャ3’、第1のセラミックワッシャ3、金属ワッシャ
14を介して電池蓋4を鍔部7とナット2の間で締め付
けにより固定した。このときの締め付けトルク値は約7
N・mとした。なお、締め付け作業が終了するまで金属
ワッシャ14は回転しなかった。この状態で、電池蓋4
裏面と鍔部7の間に介在させたゴム(EPDM)製Oリ
ング16の圧縮により電池容器5内部の主として捲回群
からなる発電要素は外気から遮断される。
【0023】その後、電池蓋4に設けた注液口15から
炭酸エステルを主溶媒とする非水電解液を所定量電池容
器5内に注入し、その後注液口15を封止することによ
り円筒型リチウムイオン二次電池20を作製した。
【0024】非水電解液には、エチレンカーボネートと
ジメチルカーボネートとジエチルカーボネートの体積比
1:1:1の混合溶液中へ6フッ化リン酸リチウム(L
iPF)を1モル/リットル溶解したものを用いた。
なお、円筒型リチウムイオン二次電池20には、電池容
器5の温度の上昇に応じて電流を遮断する、例えば、P
TC(Positive Temperature Coefficient)素子や、内圧
の上昇に応じて電気的接続が切断されるような電流遮断
機構は設けられていない。
【0025】上記作製した円筒型リチウムイオン二次電
池20に電池としての機能を付与するために、非水電解
液注液後、12X時間(例えば、Xが2.0のときは、
24時間)以上経てから初充電をした。
【0026】本実施形態では、正、負極が40回以上捲
回されて、正極幅及び負極幅の少なくとも一方の幅が捲
回群6の外径Bから内径Cを減じた長さの2倍以上とさ
れており電極面積が広いため、高容量、高出力とするこ
とができる。
【0027】また、本実施形態では、電池容器5は、電
気的に中立で正極リード片及び負極リード片9に未接続
のため電池容器5が高電位状態とならないので、電池容
器5の材質(ステンレス)が非水電解液に溶解すること
もない。
【0028】更に、本実施形態では、非水電解液注液
後、24時間以上経ることで、非水電解液が十分に捲回
群6内部に浸透するので、高容量、高出力とすることが
でき、非水電解液がほぼ均一に浸透した状態で、充放電
をしたので、電極反応の不均一性及び電流密度の集中に
よる負極での金属リチウム析出を抑制でき、充放電効率
の低下及び内部短絡を防止することができる。従って、
充放電効率の低下した状態で充放電を繰り返すことによ
る容量劣化を防止することができる充放電効率に優れた
電池とすることができる。
【0029】また更に、本実施形態では、正極幅及び負
極幅の少なくとも一方の幅を、捲回群6の外径Bから内
径Cを減じた長さの2(X=2)倍以上とした例を示し
たが、Xが5以下のときに、非水電解液の不均一性の影
響がより大きいので、容量劣化を抑制して充放電効率及
び安全性をより効果的に向上することができる。
【0030】
【実施例】次に、本実施形態に従って捲回群6の外径B
から内径Cを減じた長さを36mm、正、負極の捲回数
を50回として作製した実施例の円筒型リチウムイオン
電池20について説明する。また、比較のために作製し
た比較例の電池についても併記する。なお、初充電条件
は、予め十分小さな電流で充放電して求めた電池容量を
基準に、電流0.5C、電圧4.2Vの定電流、定電圧
での充電とした。充電時間は、5時間、充電時の電池周
囲環境温度は、25±1゜Cとした。
【0031】(実施例1)下表1に示すように、実施例
1では、正極活物質塗布部幅Dを、捲回群6の外径Bか
ら内径Cを減じた長さの2.0倍(X=2)の72mm
として電池を作製し、非水電解液注液後、24時間経過
後に初充電をした。
【0032】
【表1】
【0033】(実施例2)表1に示すように、実施例2
では、非水電解液注液後、30時間経過後に初充電をし
た以外は実施例1と同様とした。
【0034】(実施例3)表1に示すように、実施例3
では、正極活物質塗布部幅Dを、X=3の108mmと
して電池を作製し、非水電解液注液後、36時間経過後
に初充電をした以外は実施例1と同様とした。
【0035】(実施例4)表1に示すように、実施例4
では、非水電解液注液後、42時間経過後に初充電を行
った以外は実施例1と同様とした。
【0036】(実施例5)表1に示すように、実施例5
では、正極活物質塗布部幅Dを、X=4の144mmと
して電池を作製し、非水電解液注液後、48時間経過後
に初充電をした以外は実施例1と同様とした。
【0037】(実施例6)表1に示すように、実施例6
では、非水電解液注液後、54時間経過後に初充電をし
た以外は実施例1と同様とした。
【0038】(実施例7)表1に示すように、実施例7
では、正極活物質塗布部幅Dを、X=5の180mmと
して電池を作製し、非水電解液注液後、60時間経過後
に初充電をした以外は実施例1と同様とした。
【0039】(実施例8)表1に示すように、実施例8
では、非水電解液注液後、66時間経過後に初充電をし
た以外は実施例1と同様とした。
【0040】(比較例1)表1に示すように、比較例1
では、正極活物質塗布部幅Dを、X=2の72mmとし
て電池を作製し、非水電解液注液後、12時間経過後に
初充電をした以外は実施例1と同様とした。
【0041】(比較例2)表1に示すように、比較例2
では、非水電解液注液後、18時間経過後に初充電をし
た以外は実施例1と同様とした。
【0042】(比較例3)表1に示すように、比較例3
では、正極活物質塗布部幅Dを、X=3の108mmと
して電池を作製し、非水電解液注液後、24時間経過後
に初充電をした以外は実施例1と同様とした。
【0043】(比較例4)表1に示すように、比較例4
では、非水電解液注液後、30時間経過後に初充電をし
た以外は実施例1と同様とした。
【0044】(比較例5)表1に示すように、比較例5
では、正極活物質塗布部幅Dを、X=4の144mmと
して電池を作製し、非水電解液注液後、36時間経過後
に初充電をした以外は実施例1と同様とした。
【0045】(比較例6)表1に示すように、比較例6
では、非水電解液注液後、42時間経過後に初充電をし
た以外は実施例1と同様とした。
【0046】(比較例7)表1に示すように、比較例7
では、正極活物質塗布部幅Dを、X=5の180mmと
して電池を作製し、非水電解液注液後、48時間経過後
に初充電をした以外は実施例1と同様とした。
【0047】(比較例8)表1に示すように、比較例8
では、非水電解液注液後、54時間経過後に初充電をし
た以外は実施例1と同様とした。
【0048】<試験・評価>次に、以上のように作製し
た実施例及び比較例の各電池を用いて、初充電条件と同
じ条件で充電し、その後、同じ周囲環境温度で、電流
0.5Cで電池電圧が2.8Vになるまで定電流連続放
電する充放電サイクルを繰り返し、10サイクル目の充
放電クーロン効率を求めた。下表2に、充放電クーロン
効率を示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2に示すように、正、負極幅を、捲回群
6の外径Bから内径Cを減じた長さのX倍(Xは2以
上)とし、非水電解液注液後、12X時間以上を経てか
ら初充電した実施例1〜実施例8の電池においては、1
0サイクル目の充放電クーロン効率が全て100%に達
している。それに対して、12X時間を経過せずに初充
電した比較例1〜比較例8の電池では、100%に達し
ていない。
【0051】また、10サイクル経過後の実施例及び比
較例の電池を解体調査した結果、実施例の電池では、な
んら異常が発見されなかったのに対し、比較例の電池で
は、負極に金属リチウムの析出が観察された。
【0052】更に、実施例及び比較例の電池を初充電直
前に解体調査した結果、実施例の電池では、電極やセパ
レータに一様に非水電解液が浸透し、なんら異常が発見
されなかったのに対し、比較例の電池では、電極、セパ
レータに非水電解液が浸透していないところが存在して
いた。
【0053】非水電解液が浸透しないまま充電すると、
電極の非水電解液が浸透している部分の電流密度集中
し、特に負極での金属リチウム析出につながる。析出し
た金属リチウムは、次の放電で全て酸化溶解されること
はなく、結果として充放電クーロン効率の低下を招く。
この低い充放電クーロン効率のまま充放電サイクルが繰
り返されると、容量低下を引き起こし、二次電池として
不具合を生ずる。
【0054】従って、非水電解液注液後、初充電をする
前には、非水電解液が電極やセパレータに浸透するため
の時間を確保することが必要であることが判り、その時
間は、正、負極幅が、捲回群6外径から内径を減じた長
さのX倍(Xは2以上)のときに、12X時間以上であ
ることが分かった。
【0055】なお、本実施例では、正極活物質塗布部幅
Dが捲回群外径Bから内径Cを減じた長さの2倍以上5
倍以下の捲回群6を例示したが、例えば、負極活物質塗
布部幅や正極幅を捲回群外径Bから内径Cを減じた長さ
の2倍以上5倍以下とするようにしても容量劣化を抑制
することができる。
【0056】また、本実施形態では、リード片幅a=1
0mm、間隔b=50mm、未塗布部の幅c=50m
m、長さRの正、負極リード片9を例示したが、これら
の大きさは限定されるものではない。また、直径14m
mの軸芯11を例示したが、正、負極の捲回時に軸とな
れば、軸芯11の直径も限定されるものではない。
【0057】更に、本実施形態では、電気自動車用電源
に用いられる大形の二次電池について例示したが、電池
の大きさ、電池容量には限定されず、電池容量としてお
おむね3Ah程度以上の電池に対して効果を発揮するこ
とが確認されている。
【0058】また、本実施形態では、絶縁被覆に、基材
がポリイミドで、その片面にヘキサメタアクリレートか
らなる粘着剤を塗布した粘着テープを用いた例を示した
が、例えば、基材がポリプロピレンやポリエチレン等の
ポリオレフィンで、その片面又は両面にヘキサメタアク
リレートやブチルアクリレート等のアクリル系粘着剤を
塗布した粘着テープや、粘着剤を塗布しないポリオレフ
ィンやポリイミドからなるテープ等も好適に使用するこ
とができる。
【0059】更に、本実施形態では、リチウムイオン電
池用の正極にマンガン酸リチウム、負極に非晶質炭素、
電解液にエチレンカーボネートとジメチルカーボネート
とジエチルカーボネートの体積比1:1:1の混合溶液
中へ6フッ化リン酸リチウムを1モル/リットル溶解し
たものを用いたが、本発明の電池には特に制限はなく、
また、導電材、結着剤も通常用いられているいずれのも
のも使用可能である。
【0060】また、本実施形態以外で用いることのでき
るリチウムイオン電池用極板活物質結着剤としては、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチ
レン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロー
ス、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリ
ロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化
プロピレン、フッ化クロロプレン、ポリビニルアルコー
ル等の重合体及びこれらの混合体及び変性体などがあ
る。
【0061】また更に、本実施形態以外で用いることの
できるリチウムイオン電池用正極活物質としては、リチ
ウムを挿入・脱離可能な材料であり、予め十分な量のリ
チウムを挿入したリチウムマンガン複酸化物が好まし
く、スピネル構造を有したマンガン酸リチウムや、結晶
中のマンガンやリチウムの一部をそれら以外の元素で置
換あるいはドープした材料を使用するようにしてもよ
い。
【0062】更にまた、本実施形態以外で用いることの
できるリチウムイオン電池用負極活物質も上記特許請求
範囲に記載した事項以外に特に制限はない。例えば、天
然黒鉛や、人造の各種黒鉛材、コークス、非晶質炭素な
どの炭素質材料等でよく、その粒子形状においても、鱗
片状、球状、繊維状、塊状等、特に制限されるものでは
ない。
【0063】また、非水電解液としては、一般的なリチ
ウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した電解液
が用いられる。しかし、用いられるリチウム塩や有機溶
媒は特に制限されない。例えば、電解質としては、Li
ClO、LiAsF、LiPF、LiBF、L
iB(C、CHSOLi、CFSO
Li等やこれらの混合物を用いることができる。非水電
解液有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチ
レンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2
−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒド
ロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3
−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチ
ルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトニル等ま
たはこれら2種類以上の混合溶媒を用いるようにしても
よく、混合配合比についても限定されるものではない。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
正極及び負極が40回以上捲回され、正極及び負極の少
なくとも一方の幅を電極捲回群の外径から内径を減じた
長さのX倍(Xは2以上)としたので、高容量、高出力
の非水電解液二次電池とすることができ、電池容器が電
気的に中立で正極及び負極に未接続のため高電位状態と
ならず溶解せず、非水電解液注液後、12X時間以上経
ることで、非水電解液が十分浸透し、電極反応の不均一
性が抑制されるので、電流密度の集中を抑制して容量劣
化を抑制することができる、という効果を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の円筒型リチウム
イオン二次電池の断面図である。
【図2】実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池の捲
回群を模式的に示し、(A)は外観斜視図であり、
(B)は正極の側面図である。
【符号の説明】 1 正極外部端子 1’ 負極外部端子 4 電池蓋(電池容器の一部) 5 電池容器 6 捲回群(電極捲回群) 11 軸芯 20 円筒型リチウムイオン二次電池(非水電解液二次
電池) A 正極幅又は負極幅(正極の幅又は負極の幅) B 捲回群の外径 C 捲回群の内径 D 正極活物質塗布部幅 W1 正極集電体(正極の一部) W2 正極活物質合剤層(正極の一部) W3 負極集電体(負極の一部) W4 負極活物質合剤層(負極の一部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ14 AK03 AL06 AM03 AM05 AM07 BJ02 BJ14 CJ16 HJ00 HJ04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極及び負極が40回以上捲回された電
    極捲回群と、炭酸エステルを主溶媒とする非水電解液と
    が電気的に中立な電池容器内に収容され、前記正極及び
    負極の少なくとも一方の幅が、前記電極捲回群の外径か
    ら内径を減じた長さのX倍(Xは2以上)の非水電解液
    二次電池であって、前記非水電解液注液後、12X時間
    以上経てから初充電されていることを特徴とする非水電
    解液二次電池。
  2. 【請求項2】 前記Xは、5以下であることを特徴とす
    る請求項1に記載の非水電解液二次電池。
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