JP2003306786A - 金属成形体表面脱脂方法及び表面脱脂剤 - Google Patents

金属成形体表面脱脂方法及び表面脱脂剤

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JP2003306786A
JP2003306786A JP2002118027A JP2002118027A JP2003306786A JP 2003306786 A JP2003306786 A JP 2003306786A JP 2002118027 A JP2002118027 A JP 2002118027A JP 2002118027 A JP2002118027 A JP 2002118027A JP 2003306786 A JP2003306786 A JP 2003306786A
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metal molded
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Keiji Maetsuji
啓志 前辻
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スペースをとらずに、安価に、しかも確実に
脱脂処理を行う新たな金属成形体表面脱脂方法及びそれ
に用いるための表面脱脂剤を提供する。 【解決手段】 金属成形体を表面調整前に脱脂するため
の金属成形体表面脱脂方法であって、界面活性剤、防錆
剤及び油剤を含む表面脱脂剤を塗布する工程、並びに、
湯洗工程を有する金属成形体表面脱脂方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄、亜鉛等の金属
の成形体の表面処理の前処理工程で行われる脱脂方法、
及び、それに用いる表面脱脂剤に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄、亜鉛等の金属成形体は、自動車車
体、自動車部品、家電製品、二輪車部材等の分野で広く
用いられている。これらの金属成形体は、防錆、美化、
等の目的のために、成形後に表面処理し塗装して製品化
されている。近年、環境保護や自動車燃費向上等の目的
を達成するために、このような金属成形体は、より薄い
鋼板を用いてより堅固な構造を保ちうるように工夫が進
んでおり、例えば、厚さ1mm以下のものも珍しくはな
い。このような薄い鋼板は、錆等に侵されると致命的な
構造欠陥を生じることとなるから、防錆処理の確実化が
望まれている。
【0003】金属成形体の表面処理は、一般に、塗料に
よる塗装の前段階として、防錆及び塗膜層の密着性向上
を目的として行われるものであり、成形直後の金属表面
に付着している油や汚れを除去するための脱脂工程、化
成処理の前処理として金属表面に、例えば、リン酸チタ
ン粒子を物理吸着させる表面調整工程、リン酸亜鉛等の
化成皮膜を形成させる化成処理工程、等を経て行われて
いる。このような表面処理は、自動車車体等のいわゆる
大物については、工場内にラインを組んで、自動車車体
を吊るす大型クレーンが各種の槽中を浸漬して引き上げ
られるように進んでゆくオートメーション過程で行われ
ている。
【0004】このようなライン上の脱脂工程において
は、その後の表面調整や化成処理を瑕疵なく行うため
に、プレス成形時に表面に塗布した潤滑油やプレス成形
工程で付着した汚れやゴミ等を完全に除去するための確
実な脱脂が必要となる。また、いわゆるモノコックボデ
ィ等の普及により金属成形体そのものの構造が複雑化し
たために、内側をも確実に脱脂する必要が生じた。この
ような場合には、脱脂処理はアルカリ性のアルカリ脱脂
剤に浸漬することにより行い、その後に水洗を行う。こ
のような脱脂方法を使用した場合、通常は、湯洗、予備
脱脂、本脱脂、水洗、純水水洗、の各工程を行う必要が
あるため、脱脂工程がライン上の比較的長い部分を占領
してしまう欠点があった。
【0005】一方、自動車部品や二輪車部材や家電製品
のように自動車車体ほどには大物でなく、形状が単純な
金属成形品に対しては、浸漬ではなくスプレーによる前
処理が行われているが、かかるスプレーによる前処理に
おいても、湯洗、予備脱脂、本脱脂、水洗、純水水洗の
各工程が必要とされ、脱脂工程がライン上の比較的長い
部分を占領してしまう欠点があった。
【0006】また、工場のラインにおいては、このよう
な脱脂工程の直前は、金属鋼板に対してプレス加工及び
その後の組み付け工程を行って金属成形体とする工程が
なされるものであるが、この組み付け工程終了直後か
ら、脱脂工程へ移行するラインは、例えば、5〜50m
程度の長さのラインが、単に移送のみに消費されてしま
うことが多かった。
【0007】近年、厳しいコストダウンが要求されてい
ることから、ラインの短縮化は省スペースという点でメ
リットが大きい。従って、移送工程の移送以外の目的へ
の利用及び工程の簡略化によるラインの短縮化は省スペ
ースによるコストダウンの観点から強く望まれるもので
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、スペースをとらずに、安価に、しかも確実に脱脂
処理を行う新たな金属成形体表面脱脂方法及びそれに用
いるための表面脱脂剤を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属成形体を
表面調整前に脱脂するための金属成形体表面脱脂方法で
あって、界面活性剤、防錆剤及び油剤を含む表面脱脂剤
を塗布する工程、並びに、湯洗工程、を有することを特
徴とする金属成形体表面脱脂方法である。上記湯洗工程
における湯の温度が40〜50℃であり、湯洗手段が水
圧100〜1000kPaのスプレーであることが好ま
しい。本発明はまた、上記金属成形体表面脱脂方法に用
いるための表面脱脂剤であって、界面活性剤、防錆剤及
び油剤を含み、粘度が、4.5〜6.5cpsであるこ
とを特徴とする表面脱脂剤である。以下に、本発明を詳
述する。
【0010】本発明の金属成形体表面脱脂方法は、界面
活性剤、防錆剤及び油剤を含む表面脱脂剤を塗布する工
程を、第一の工程として行うものである。上記第一の工
程においては、本発明における表面脱脂剤をプレス成形
後の金属成形体に塗布することにより、塗布された表面
脱脂剤を成形後の金属成形体に付着しているもの、例え
ば、成形前に塗布する潤滑油、成形時に付着する汚れや
ゴミ等に対して浸透させ、その潤滑油等を充分に膨潤さ
せることができる。
【0011】上記表面脱脂剤に界面活性剤が含まれるこ
とにより、表面脱脂剤における防錆剤と油剤とが好適に
混合され、エマルジョンのような状態を保持することが
可能となり、また、金属成形体に付着している潤滑油、
汚れ、ゴミ等に対する洗浄効果が発揮されることにな
る。
【0012】上記界面活性剤としては特に限定されない
が、通常、水溶性のものが好適に用いられ、例えば、エ
マルゲン106(商品名、花王社製)、アデカトールS
O12、アデカトールB722(商品名、アデカ社製)
等を挙げることができる。なかでも、脱脂性能やエマル
ジョン状態の保持性能の観点から、エマルゲン106
(商品名、花王社製)であることが好ましい。これら
は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】上記界面活性剤の含有量は、上記表面脱脂
剤中の界面活性剤、防錆剤及び油剤の合計量100質量
%に対して、好ましい下限は15質量%、好ましい上限
は65質量%である。15質量%未満であると、脱脂性
能が劣るおそれがあり、65質量%を超えても、添加す
ることによる効果の増加が少なく、経済的でない。より
好ましい下限は20質量%、より好ましい上限は60質
量%である。
【0014】上記表面脱脂剤に防錆剤が含まれることに
より、第一の工程や、第二の工程において、金属成形体
が錆びることを防止することができ、また、後述するよ
うに第一の工程と第二の工程との間に放置時間を置く場
合には、その間においても金属成形体が錆びることを防
止することができる。
【0015】上記防錆剤としては特に限定されず、例え
ば、カーレン906(商品名、三菱化成社製)等を挙げ
ることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0016】上記防錆剤の含有量は、上記表面脱脂剤中
の界面活性剤、防錆剤及び油剤の合計量100質量%に
対して、好ましい下限は2質量%、好ましい上限は30
質量%である。2質量%未満であると、表面調整前に金
属成形体が錆びるおそれがあり、30質量%を超えて
も、添加することによる効果の増加は見られず、経済的
でない。より好ましい下限は5質量%、より好ましい上
限は20質量%である。
【0017】上記表面脱脂剤に油剤が含まれることによ
り、プレス成形後の金属成形体に付着して固まっている
潤滑油を膨潤、溶解することができ、その結果、第二の
工程で潤滑油、汚れ、ゴミ等を除去することが可能とな
る。また、油剤が含まれることにより、上記表面脱脂剤
の粘度を大きくすることができ、これにより、上記表面
脱脂剤が金属成形体の表面に付着している状態をある程
度の時間保持することができることから、潤滑油を充分
に膨潤、溶解することが可能となる。
【0018】上記油剤としては、金属成形体に付着して
いる潤滑油との相溶性を有するものであれば特に限定さ
れず、例えば、2号スピンドル油(商品名、日石三菱社
製)等を挙げることができる。これらは、単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】上記油剤の含有量は、上記表面脱脂剤中の
界面活性剤、防錆剤及び油剤の合計量100質量%に対
して、好ましい下限は30質量%、好ましい上限は70
質量%である。30質量%未満であると、表面脱脂剤の
粘度が小さくなったり、金属成形体に付着している潤滑
油を充分に膨潤、溶解できないおそれがある。70質量
%を超えると、湯洗工程において充分に除去されず、金
属成形体上に油剤が残存するおそれがある。より好まし
い下限は40質量%、より好ましい上限は60質量%で
ある。
【0020】上記表面脱脂剤の濃度(上記第一の工程に
用いられる表面脱脂剤の全組成物に対する界面活性剤、
防錆剤及び油剤の合計量)としては特に限定されない
が、後述するように、第一の工程と第二の工程との間に
放置時間を設ける場合には、組み付け工程から脱脂工程
への移送時間により適宜設定することができる。即ち、
表面脱脂剤の濃度が大きいほど、その表面脱脂剤の粘度
が通常大きくなり、その結果、塗布後に表面脱脂剤が表
面上に付着している状態がより長時間保持されることに
より確実に脱脂がされることになるが、濃度が大きい表
面脱脂剤を用いるとその分コストがかかり経済的でな
い。従って、既存のラインおける移送時間で充分に脱脂
が可能な範囲で表面脱脂剤の濃度を小さくすることがコ
スト面で好ましい。例えば、既存のラインにおける移送
時間が30分である場合には、表面脱脂剤の濃度(表面
脱脂剤中の全組成物100質量%に対する界面活性剤、
防錆剤及び油剤の合計量)は、10質量%以上であるこ
とが好ましく、移送時間が10分である場合には、20
質量%以上であることが好ましい。上述した濃度未満で
あると、移送時間中において、表面脱脂剤が潤滑油、汚
れ、ゴミ等に充分に浸透し、膨潤させることができなく
なり、結果として確実に脱脂できないおそれがある。
【0021】上記表面脱脂剤の粘度は、表面脱脂剤を塗
布した後に短時間で下方に流れ落ちてしまい、潤滑油を
充分に膨潤、溶解することができず、脱脂が不充分にな
るおそれがある点から、4.5cps以上であることが
好ましい。上記表面脱脂剤の粘度の上限は特に限定され
ないが、塗布作業が困難になり、部分的に脱脂できない
箇所が生じるおそれがある点から、6.5cps未満で
あることが好ましい。
【0022】上記表面脱脂剤を金属成形体に塗布すると
きの表面脱脂剤の温度としては特に限定されず、例え
ば、好ましい下限は5℃、好ましい上限は70℃であ
り、より好ましい下限は20℃、より好ましい上限は5
0℃である。5℃未満であると、表面脱脂剤の粘度が大
きくなりすぎる場合があり、部分的に脱脂ができない箇
所が生じるおそれがある。70℃を超えると、粘度が小
さくなりすぎる場合があり、表面脱脂剤の塗布後に短時
間で下方に流れ落ちるおそれがある。
【0023】上記表面脱脂剤の塗布方法としては特に限
定されず、塗布される金属成形体の形状に応じて好適な
方法を用いることができ、例えば、スプレー、浸漬等を
挙げることができる。例えば、二輪車の燃料タンクのよ
うに密閉した状態で浸漬することが困難である部品等に
塗布する場合には、スプレーにより好適に塗布すること
ができ、自動車車体のように部品中にパイプ等を有する
ためにスプレーによって全面を塗布することが困難であ
るような部品等に塗布する場合には、浸漬により好適に
塗布することができる。特に、表面脱脂剤の塗布量を容
易に制御することができる観点から、スプレーにより塗
布する方法が好ましい。
【0024】上記表面脱脂剤の塗布時間としては、所望
の付着量が確保されればよく、特に限定されるものでは
ない。
【0025】上記表面脱脂剤の付着量としては特に限定
されないが、時間の経過とともに付着している表面脱脂
剤が下方へ脱落することになることから、ある時間経過
後においてもある程度の付着量を維持していることが脱
脂性能を向上させる観点から好ましく、例えば、用いる
表面脱脂剤の粘度を調整することによって、ある時間経
過後においてもある程度の付着量を維持することが可能
となる。例えば、粘度が4.5〜6.5cpsであるも
のを用いる場合には、塗布直後の付着量の好ましい下限
は5g/m、好ましい上限は15g/m、であり、
より好ましい下限は7g/m、より好ましい上限は1
3g/mであり、また、塗布後30分の付着量の好ま
しい下限は0.2g/m、好ましい上限は3g/
、であり、より好ましい下限は0.5g/m、よ
り好ましい上限は2g/mである。これにより、塗布
後30分間で表面脱脂剤が潤滑油等に充分に浸透し、膨
潤させることができる。粘度が4.5cpsであるもの
を用いる場合には、塗布直後の付着量の好ましい下限は
5g/m、好ましい上限は20g/m、であり、よ
り好ましい下限は8g/m、より好ましい上限は16
g/mであり、また、塗布後10分の付着量の好まし
い下限は0.5g/m、好ましい上限は5g/m
であり、より好ましい下限は1g/m、より好ましい
上限は4g/mである。これにより、塗布後10分間
で表面脱脂剤が潤滑油等に充分に浸透し、膨潤させるこ
とができる。上述した付着量未満であると、金属成形体
表面に付着している潤滑油等が表面に残存するおそれが
あり、上述した付着量を超えても、それに見合った効果
は得られず経済的でない。
【0026】本発明の金属成形体表面脱脂方法において
は、上記第一の工程の後、第二の工程として湯洗工程を
行うことになるが、本発明の金属表面脱脂方法におい
て、上記表面脱脂剤が金属成形体表面の潤滑油、汚れ、
ゴミ等に充分浸透した後に湯洗工程を行うことが、高い
洗浄効果を得る点から、好ましい。従って、上記第一の
工程と第二の工程の間に、5分以上の放置時間を置くこ
とが好ましく、10分以上の放置時間を置くことがより
好ましい。5分未満であると、表面脱脂剤が潤滑油等に
充分に浸透し、膨潤させることができないおそれがあ
る。
【0027】上記放置時間は、1時間未満であることが
好ましく、40分未満であることがより好ましい。1時
間を超えても、それに見合った効果が得られない場合が
あり、また、工程の短縮を充分に図れない点や表面脱脂
剤中の水分が蒸発するおそれがある点で好ましくない場
合がある。
【0028】上記放置時間の確保は、ライン上で一定時
間の放置時間を置くことにより行うことができ、例え
ば、表面脱脂剤を塗布する工程を組み付け工程直後に置
いた場合は、組み付け工程からの移送工程において放置
時間を確保できる。
【0029】従来から一般的に行われている金属成形体
の表面処理方法は、金属鋼板に対しプレス工程及び組み
付け工程を行うことによって金属成形体を作成した後、
5〜50m程度の長さのラインを10〜30分程度かけ
て移送される移送工程を経て、脱脂工程へと移行し、そ
の後表面調整工程、化成処理工程が行われるものであ
り、上記脱脂工程は、通常、湯洗工程、予備脱脂工程、
本脱脂工程、水洗工程及び純水洗工程からなるものであ
る。ここで、本発明の金属表面脱脂方法における上記第
一の工程である表面脱脂剤を塗布する工程を組み付け工
程直後の金属成形体に対して行うと、その後、従来の方
法では単に脱脂工程へ移送するためだけに用いられてい
た移送工程のラインでの10〜30分程度を、本発明に
おける表面脱脂剤を塗布する工程、放置時間及び湯洗工
程を行う時間として利用することができる。
【0030】即ち、従来移送するのみに利用されていた
移送工程のライン上で、金属成形体表面に表面脱脂剤を
塗布し、その後放置することによって、金属成形体表面
に付着している潤滑油、汚れ、ゴミ等に充分に浸透し、
膨潤させることができ、更に、充分に膨潤した潤滑油、
汚れ、ゴミ等を湯洗することによって金属成形体表面の
脱脂処理を充分に行うことができ、この脱脂処理後直ち
に表面調整工程を行うことが可能となる。
【0031】これにより、従来の方法において移送工程
の後に行われる湯洗工程、予備脱脂工程、本脱脂工程、
水洗工程及び純水洗工程からなる脱脂処理を移送工程中
において本発明における2つの工程によって行うことが
でき、その結果、工程数を大幅に削減することや、組み
付け工程終了から表面調整工程までに費やしていた時間
を短縮することが可能となる。また、これらの工程を行
っていたスペースが不要となることから、表面処理シス
テムとして従来のシステムと比較しても大幅な省スペー
ス化が可能となり、更にこれらの工程を行うために使用
していた電気、水等の消費量を大幅に削減することもで
きることから、ユーティリティー面において大幅にコス
トを削減することもできる。
【0032】本発明の金属表面脱脂方法を組み付け工程
直後の金属成形体に適用する場合の放置時間としては上
述したように、10〜30分の移送時間を用いることが
好ましいが、用いる表面脱脂剤の成分、濃度、粘度等に
よって放置時間を設定することが好ましい。
【0033】本発明において第二の工程である湯洗工程
は、上記第一の工程によって金属成形体表面において充
分に膨潤した潤滑油や、汚れ、ゴミ等を湯洗することに
より完全に除去するものである。これにより、上記湯洗
工程後、直ちに表面調整工程を行うことができる。
【0034】上記湯洗工程において、湯の温度の好まし
い下限は40℃、好ましい上限は50℃で行われること
が好ましい。40℃未満であると、金属成形体に付着し
ている潤滑油、汚れ、ゴミ等が確実に除去できないおそ
れがあり、50℃を超えても、それに見合う洗浄効果の
向上が見られないおそれがある。より好ましい下限は4
2℃、より好ましい上限は48℃である。
【0035】上記湯洗工程は、水圧によって表面脱脂剤
及び金属成形体表面の潤滑油、汚れ、ゴミ等を物理的な
力によって充分に除去することが可能となる点で、スプ
レーによって行われることが好ましく、スプレーの水圧
の好ましい下限は100kPa、好ましい上限は100
0kPaである。100kPa未満であると、表面脱脂
剤及び金属成形体表面の潤滑油、汚れ、ゴミ等の物理的
除去が充分に行われず、化成処理工程において化成皮膜
が金属成形体全体に均一に形成されないおそれがあり、
1000kPaを超えると、金属成形体が変形、破損し
たり、金属成形体がライン上から脱落したりするおそれ
がある。より好ましい下限は150kPa質量%、より
好ましい上限は500kPaである。
【0036】本発明の金属成形体表面脱脂方法を行った
後の金属成形体は、その後直ちに公知の方法によって、
例えば、リン酸チタン粒子を物理吸着させる表面調整工
程及びリン酸亜鉛等の化成皮膜を付着させる化成処理工
程を行うことができる。このように直ちに表面調整工程
及び化成処理工程を行うことができることから、従来の
表面脱脂方法に比べて工程が大幅に削減される点で好ま
しい。
【0037】本発明の金属成形体表面脱脂方法の対象と
なる金属成形体としては特に限定されず、例えば、自動
車車体、自動車部品、二輪車車体、二輪車部材、家電製
品等の各種金属成形体を挙げることができる。本発明に
おける表面脱脂剤の塗布方法として上述したようにスプ
レーにより塗布することが好ましいことから、本発明を
適用することが好ましい金属成形体としては、スプレー
によって塗布することが可能であるものであることが好
ましく、例えば、自動車部品、二輪車車体、二輪車部
材、家電製品等のような金属成形体は、大きさが比較的
小さく、部品中にパイプ等のようにスプレーにより塗布
することが困難である部分が存しないものであることか
ら、スプレーにより確実な脱脂を行うことができる。
【0038】本発明における金属成形体に使用される金
属製鋼板としては特に限定されず、例えば、冷延鋼板、
熱延鋼板等の鉄系鋼板;亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケ
ルめっき鋼板、亜鉛−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっ
き鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタン
めっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マ
ンガンめっき鋼板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっ
き、蒸着めっき鋼板等の亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板
等の亜鉛系鋼板;5000番系アルミニウム合金、60
00番系アルミニウム合金等のアルミニウム系鋼板等を
挙げることができる。
【0039】本発明の表面脱脂剤は、上記金属成形体表
面脱脂方法に用いるための表面脱脂剤であって、界面活
性剤、防錆剤及び油剤を含み、粘度の下限が4.5cp
s、上限が6.5cpsであるものである。本発明の表
面脱脂剤を用いて表面処理を行うことによって、従来の
表面処理方法に比べて大幅に工程を削減することができ
るものであることから、省スペース化やコスト削減を可
能とするものであり、また、従来の表面脱脂剤と同様の
脱脂性能を示すものである。なお、上記界面活性剤、上
記防錆剤、上記油剤としては、例えば、上述したものと
同様のものを用いることができる。
【0040】本発明の金属成形体表面脱脂方法は、表面
脱脂剤を塗布する工程及び湯洗工程からなる方法であ
り、従来から行われている湯洗工程、予備脱脂工程、本
脱脂工程、水洗工程及び純水洗工程からなる方法に比べ
て、工程を大幅に削減したものである。また、本発明に
おける表面脱脂剤を塗布する工程及び湯洗工程は、従来
から行われている表面処理方法における組み付け工程か
ら脱脂工程へと移送される移送工程中に行うことが可能
である。従って、従来から行われている方法において使
用されていたスペースに比べて、大幅に省スペース化す
ることが可能となり、更に工程を大幅に削減することが
できることから、ユーティリティー面においてコストを
削減することも可能となり、より安価に金属成形体表面
を確実に脱脂することが可能となる。
【0041】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り
「質量部」を意味する。
【0042】実施例1 市販のプレス成形後の冷延鋼板(0.8×70×150
mm)に、下記の工程条件で、表面処理(脱脂工程、表
面調整工程及び化成処理工程)を施した。 〔表面処理〕 (1)脱脂工程(表面脱脂剤を塗布する工程及び湯洗工
程) 界面活性剤として「エマルゲン106」(花王社製)を
23.3部、「アデカトールSO12」(アデカ社製)
を8.1部、「アデカトールB722」(アデカ社製)
を6.3部、防錆剤として「カーレン906」(三洋化
成社製)を7.1部、油剤として「2号スピンドル油」
(日石三菱社製)を55.2部を混合し、更に水で希釈
することにより、濃度が20質量%、粘度が50cps
である表面脱脂剤を調製した。得られた表面脱脂剤を室
温とし、基材(市販のプレス成形後の冷延鋼板)上にス
プレーにより塗布した。塗布後、2分間放置し、更に、
45℃の湯を用いて、300kPaの水圧で30〜12
0秒間スプレー処理することにより基材上に付着してい
る潤滑油、汚れ、ゴミ等を湯洗した。なお、塗布直後の
基材への付着量(g/m)、2分後の付着量(g/m
)を表1に示した。 (2)表面調整工程 湯洗後の基材に対して、「サーフファイン5N−8R」
(日本ペイント社製表面調整剤)を水で希釈することに
より0.1質量%に調製したものを用い、25℃で30
秒間浸漬処理することにより表面調整を行った。 (3)化成処理工程 表面調整後の基材に対して、「サーフダインSD250
0」(日本ペイント社製化成処理剤)を用い、処理温度
43℃で120秒間浸漬処理することにより化成皮膜を
形成した。化成皮膜形成後、水道水で30秒間スプレー
処理し、次いで、純水により30秒間スプレー処理する
ことにより試験片を得た。
【0043】実施例2〜3 放置時間を表1に示したように変えた以外は、実施例1
と同様にして、それぞれの試験片を得た。なお、塗布直
後の基材への付着量(g/m)、それぞれの放置時間
後の付着量(g/m)を表1に示した。
【0044】実施例4〜7 表面脱脂剤の濃度を15質量%とし、放置時間を表1に
示したように変えた以外は、実施例1と同様にして、そ
れぞれの試験片を得た。なお、表面脱脂剤の粘度(Pa
・s)、塗布直後の基材への付着量(g/m)、それ
ぞれの放置時間後の付着量(g/m)を表1に示し
た。
【0045】実施例8〜10 表面脱脂剤の濃度を10質量%とし、放置時間を表1に
示したように変えた以外は、実施例1と同様にして、そ
れぞれの試験片を得た。なお、表面脱脂剤の粘度(Pa
・s)、塗布直後の基材への付着量(g/m)、それ
ぞれの放置時間後の付着量(g/m)を表1に示し
た。
【0046】比較例1 上記脱脂工程(1)の代わりに、下記比較脱脂工程を行
った以外は、実施例1と同様にして、試験片を得た。比
較脱脂工程 (1)湯洗工程 50℃の湯を用いて、60秒間スプレー処理した。 (2)予備脱脂工程 「サーフクリーナ53」(日本ペイント社製脱脂剤)を
2質量%に希釈して用い、50℃で、1分間浸漬処理し
た。(3)本脱脂工程 「サーフクリーナ53」(日本ペイント社製脱脂剤)を
2質量%に希釈して用い、50℃で、1分間浸漬処理し
た。 (4)水洗工程 20℃の水道水で、30秒間スプレー処理した。 (5)純水洗工程 20℃の純水で、30秒間スプレー処理した。
【0047】〔評価〕 (水濡れ性)実施例1〜10における上記脱脂工程
(1)後の基材及び比較例1における比較脱脂工程後の
基材の水濡れ性をそれぞれ以下の基準で目視により評価
し、評価結果を表1に示した。 ◎:水濡れ性が良好である。 ○:水濡れ性がほぼ良好である。 △:水濡れ性が良好な部分とあまり良好でない部分とが
存在する。 ×:水濡れ性があまり良好でない。 (化成性)実施例1〜10及び比較例1により得られた
試験片に形成された化成皮膜の状態をそれぞれ以下の基
準で目視により評価し、評価結果を表1に示した。 ◎:良好な化成皮膜が基材全面に均一に形成されてい
る。 ○:良好な化成皮膜がほぼ基材全面に均一に形成されて
いる。 △:良好な化成皮膜が均一に形成されている部分と化成
皮膜があまり均一に形成されていない部分とが存在す
る。 ×:化成皮膜が基材全面にあまり均一に形成されていな
い。 (付着量)20、15、10質量%の表面脱脂剤を基材
に塗布し、塗布後の放置時間における基材上での表面脱
脂剤の付着量(残存量、g/m)を測定し、結果を表
2に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表1から、実施例1〜10により得られた
ものは、水濡れ性及び化成性が比較例により得られるも
のとほぼ同様の性能を示すものであった。また、20質
量%、15質量%、10質量%の表面脱脂剤によって塗
布した基材は、表2よりそれぞれ10、30、30分間
放置後にもある程度の付着量を維持し、それにより得ら
れたものは、良好な水濡れ性及び化成性を示すことが判
った。
【0051】
【発明の効果】本発明の金属成形体表面脱脂方法及び本
発明の表面脱脂剤は、上述した構成よりなるので、従来
から行われている表面処理方法に比べて、スペースをと
らずに、安価に、しかも確実に脱脂処理を行うことがで
きる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属成形体を表面調整前に脱脂するため
    の金属成形体表面脱脂方法であって、界面活性剤、防錆
    剤及び油剤を含む表面脱脂剤を塗布する工程、並びに、
    湯洗工程、を有することを特徴とする金属成形体表面脱
    脂方法。
  2. 【請求項2】 湯洗工程における湯の温度が40〜50
    ℃であり、湯洗手段が水圧100〜1000kPaのス
    プレーである請求項1記載の金属成形体表面脱脂方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の金属成形体表面脱
    脂方法に用いるための表面脱脂剤であって、界面活性
    剤、防錆剤及び油剤を含み、粘度が、4.5〜6.5c
    psであることを特徴とする表面脱脂剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006241560A (ja) * 2005-03-04 2006-09-14 Nippon Foil Mfg Co Ltd 臭気が低減された硬質金属箔の製造方法
CN115025704A (zh) * 2022-08-11 2022-09-09 深圳市信润富联数字科技有限公司 脱脂剂的自动添加方法、装置、设备及介质

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